最後の晩餐にはまだ早い


外苑前「フロリレージュ」(2017年11月)  

 今年5回目、おそらくは年内最後になると思う、外苑前「フロリレージュ」、最近はランチ専門になっている。支払額の違いもあるがそれ以上に、外苑前から夜遅い時間に遠路を帰るのが、辛い年齢になってしまった(笑)。
 予約時間の12時に店へ着いたら、既に数組がレセプションで待機、東京は札幌や大阪程でなくても、フランスに較べると特に昼の集合が早い。フロリレージュは旧店舗では客が重ならない様、入店時間調整をしていたが、新店舗ではレセプションスペースを設けた事もあり、特にしていないみたいだ。
 奥のカウンター角に着席、続々と来客があるが、この日は外国人客が多かった、カウンターは17席あったが、そのうち半数以上が外国人と思われる人達、女性一人客が二席あり、いずれも英語圏の人だった、店内で聞こえるのが英語、中国語、韓国語?で、国際都市東京の現在を象徴している。 
 顔馴染みになったスタッフに挨拶していると、舞台袖みたいな場所から川手料理長登場、相変わらず日本や世界を飛び回っているが、すっかり貫禄も付いて、国際スターになった面持ちだ(笑)。
  
 まずはこの日の料理から紹介したい、
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・投影、さつま芋

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・鰯 へしこ(フロマージュブランを加えて)

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・沢ガニのビスク(宮崎産沢蟹、クレソン、糯米)

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・牡蠣 メレンゲ(おかひじき)

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・紅鮭 卵黄(味噌漬け)

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・分かち合う(岩手石黒農場のホロホロ鳥)

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・切り分けたもの、ガルニは赤パプリカの肉詰め、上にアマランサス

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・ブランマンジェ、無花果(生姜風味)

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・贈り物、アマゾンカカオ(小布施の栗、栗のクリーム)

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・奈良かぶせ茶

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・ほおずきのパートフィロ

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・秀逸な廣田氏考案のドリンクペアリング

 まず料理全体の印象は、11月なのでジビエ系を加えるのかな?とも思っていたが、予想とは違って、真中直球系でシンプルさが目立った。従来フロリレージュの料理は「捻った組合せにより新しい味を創出」するみたいな印象があったが、そうした部分は少し後退し、過去のスペシャリテを再構築して、美味しさを明解にしたと感じた。これは外国人客が多かった事と関係あるかも知れないが、フロリレージュが今後進む方向を示しているのかとも思った。
 印象に残ったのは、活けの状態で運ばれて来た宮崎産沢ガニのビスク、野生と洗練を感じさせる構成の良さ、加えた糯米も印象深い。
 牡蠣は旧店舗時代から続く「牡蠣のかき揚げ」の進化版、和食みたいだが、食べるとこれはフロリレージュの料理だなと納得する。続く紅鮭も和食的ながら、鮭の質、調理共に抜群で、サーモンに馴染みある外国人客に受けると思った。
 岩手石黒農場ホロホロ鳥も牡蠣と同じく旧店からのスペシャリテ、比較のため以下に2011年1月、南青山の旧店舗時代のホロホロ鳥料理画像を挙げておく、

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 当時は昼でも2皿仕立て、比べると皿の上に色々なものが乗り過ぎている(笑)、見ただけで今回の料理のシンプルさが際立つ、ガルニもピーマン肉詰めだけになった。どちらが良い悪いは別にしても、これだけ料理が進化して、余分なものを省き単純になった。
 デセールも2品共にモノクロームの世界、本質だけを表現していて印象深いものだった。

 過去、客が予想する先のものを提供してきた川手料理、今回の単純化は何か客に対する「謎かけ」みたいにも感じた。他の若手料理人の、インスタグラム映えを狙ったとしか思えない、ディティール凝り過ぎの料理が目立つ中で、このシンプルさはかえって新鮮だった、やはり天才は人より先を歩くのかも知れない(笑)。 
 そして、スタッフ達の動きに無駄がなく洗練されて来た、このオープンキッチンスタイルが始まった新店では2年半が経過したが、人は替わりながらも組織として着実に進化していると感じる。
 旧日本軍の組織的欠陥を洞察したベストセラー「失敗の本質」(中公文庫)の中に、連想する組織論があったので引用させてもらう、
『組織は学習しながら進化していく、つまり、組織はその成果を通じて既存の知識の強化、修正あるいは棄却と新知識の獲得を行っていく。組織学習(organizational learning)とは、組織の行為とその結果との因果関係についての知識を、強化あるいは変化させる組織内部のプロセスである(以下略)』
 文中の「組織」を「レストラン」に変えれば、そのまま飲食業界で通用する(笑)、そしてフロリレージュはこの組織学習が出来ている、それが出来ない店はやがて淘汰される、そう思った。外形だけ真似て「フロリレージュスタイル」を取入れても駄目で、元になる思想・精神を理解しないと意味がない。
 来年になると思うが、次回も川手氏の「謎かけ」を解きに来るだろう、常に刺激を与え続けるこの店を、まだ卒業は出来ない(笑)。
 

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表参道「グラッシェル」(2017年10月)

 札幌食べ続けの記事を書いている間にも、外食には出かけているので、書く予定が溜まってしまった、ただ今回もフレンチだと書くのも読むのも疲れそうなので、此処は一回デザートタイムにしたいと思う(笑)。
 10月下旬に伺った、表参道のスイーツパラダイス「グラッシェル」のランチ記事をUPしたい、ただハロウィン直前だったので、店内装飾はハロウィン仕様、季節限定メニューもあったので、Xmas仕様の現在とは違っている事を了解願います。

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 地下鉄千代田線沿線に住む身内と会うのが目的だったが、この日荒川に架かる鉄橋内で火災が発生し、途中で折り返し運転になった、困った私はつくばエクスプレスの駅まで延々と歩き、南千住で日比谷線に乗換え、さらに上野で銀座線に乗換えて、集合時間には遅刻だがようやく店に到着した。
 雨降りの平日、2階のカフェスペースは空いているかな?と思ったが既に数人の客、女性ばかりだが、さすがは表参道、皆さん自意識美意識が高そうな人達、服装は華美ではなく一見地味だが、あれは「ユニクロ」ではなく、せいぜい「無印良品」あたり、バッグも海外ブランドは野暮になるので避け、一澤等の帆布鞄をさりげなく使う、嫌味にならない存在感が漂っている(笑)。
 
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 ランチの食事メニューは「タルティーヌ」「サラダリヨネーズ」「どろぶたソーセージ」「信州ポーク肩ロースハムサンド」の4種、値段は全て単品で1,000円(税別)、+ドリンクだと1,300円、さらにアントルメグラッセ2種盛を加えると2,400円、パフェを選ぶ時は差額が加わる事になる。

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 この日提供可能なパフェは、「熊本県産和栗のパフェ」(1,600円)、「プリンパフェ」(1,500円)、「かぼちゃパフェ(期間限定)」(1,500円)の三種類。
 まず食事は「ロースハムサンド」に決めて、デザートはシェフ一押しの栗パフェではなく、あえて逆らい(笑)、季節物の「かぼちゃパフェ」にしてみた、前週札幌に居たので「北海道産南瓜使用」に反応してしまった。

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 最初に一口ポタージュ、優しい味でした。

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 続いて「信州ポーク肩ロースハムサンド」メニューの説明では、
「長野県『肉のまる公』さんから届いた、信州ポーク肩ロースで自家製ハムを作りました。たっぷりのサラダと一緒にパンに挟んでお召し上がりください。」とある。

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 料理に付いているパン、北海道から送られて来るとの事。
 サラダはサニーレタス等の葉野菜の上に、薄切りの特製ハムが敷き詰められている、奥はキャロットラペ、オリーブのフライ、カレー風味のポテトサラダ。全体に優しい味付けで万人に受け入れられそう、ビネグレットも穏やか、アルコール類と一緒なら、もう少し塩分・脂分が欲しくなるかも知れないが、ソフトドリンクならこの位の味付けが合うと思う。食感が独特なパンもサラダに合って美味しかったが、「挟んで」食べるには小さい気がした。

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 紅茶、アールグレーだと思う、香りがいい。

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 本日の主役「かぼちゃパフェ」(10月末までの限定)、メニューの説明では、 
「北海道『みなみ農園』さんのメルヘンかぼちゃを使用、メープルのジュレにアーモンド風味の生地、サクサクのフィアンティーヌ、クルミのクッキーをのせ、メルヘンかぼちゃのアイスクリームとメープルのアイスクリーム、仕上げにかぼちゃのシャンティを絞りました。」とある。上部の飾りは月に向かって飛ぶコウモリをイメージしたそうだ。
 まずはかぼちゃシャンティを一口、南瓜独特の風味が口中に広がる、続いて南瓜とメープル味のアイスが加わると、味の積層によって美味しさが増す、そして冷たく柔らかい味の構成の中に、ビスケット系の生地が加わると味が単調にならない。

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 お好みでかけてお召し上がり下さいと、ラム酒が出て来た。
 少しずつ加えて食べると、味わいに深みが増す、甘さの中に奥行きや高さが出る印象、アルコールは弱いのだが、これは加えた方が美味しいと思う。
 あっという間に完食しました、血糖値が一気に上がりお腹一杯になる、「口福に満たされる」とは、この状態を云うのだろう(笑)。

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 一階ブティックの飾り付け、現在はXmasバージョンになっている筈。
 サラダランチにパフェで支払い総額3,024円、この位払えばフレンチやイタリアンでデザート付ランチが食べられる店はあるが、タルトやムース系みたいな、あらかじめ作り置いたものが殆どだ、その場の作り立ての美味しさを感じたい甘味重視の人には、此処のランチをお勧めしたいと思う。
 外は雨だが、センス感じられる空間でいい時間を過ごせた、若いスタッフ達の客対応も良好、日常生活を忘れられる、食のテーマパークに居るみたいでした(笑)。
 なお、「グラッシェル」のシェフパティシェールである本間友梨さんが、インタヴューに応えている記事があります、「お菓子づくり」だけでなく、仕事に取組む姿勢として参考になると思うので、ご一読を。
http://www.kumon.ne.jp/kumonnow/obog/049_1/
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札幌・ススキノ「meli-melo(メリメロ)」(2017札幌食べ続け⑥)

 駆け足だった今回の「札幌食べ続け」も最後の店になった。最終日のランチ場所は去年と同じく、ススキノ狸小路近くのフランス料理「meli-melo(メリメロ)」へ。
 今回宿泊先がススキノのホテルで、荷物を預けて歩いて行け、帰り荷物をピックアップしたら、近くから新千歳空港行きのバスが出ているので、JRを使うより移動距離が少なくて楽だ(笑)、次回もこのアクセスを使おうと思った。買い物は余程特別な物でなければ、空港内で用が足りる、新千歳は日本一土産物が充実している空港ではないかと思う。
 メリメロが入っているのはビルの2階、12時5分前に着いたら店前には女性達の集団、誰か有名人でも来ているの?と思ったら、店が開くのを待っている人と知って驚いた、札幌はディナーの開始時間が東京に較べると早めだが、ランチの集まりも早い(笑)。店外にあるトイレに入ってから、皆が着席した頃を見計らい遅れて入店、既にカウンター席以外満員で平日ながら繁盛している。
 佐藤料理長夫妻に挨拶し、キッチン前のカウンターに着席する、去年は夫妻の他に調理補助の男性が居たが、今回は男性が二人になり主にサービスを担当、料理人でもある奥様が調理を補助する体制に変わっていた。

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 昔のフランス料理店は、磨き込んだ銅鍋が並んでいたが、今はパコジェットにコンベクションオーブンが並ぶ、去年はガストロパックなる最新兵器?もあったが。
 この日の5,000円(税別)のランチは以下のとおり、

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・アミューズ(左:フォアグラ、右:リコッタチーズのミニタルト)

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・同 (秋刀魚のテリーヌ)

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・同 (秋刀魚の内臓を使ったチップ)

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・ホタテ貝のポワレ、春菊とタマリンドのソース

・ブリ、蕪のマリネ、パプリカとバルサミコ(画像失敗しました)

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・青森産ボラ、花ニラ、椎茸、マッシュルームのソース

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・青森産キジハタ、ブイヤベース仕立て

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・道産豚の炭火焼き、札幌黄(玉葱)

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・葡萄と洋梨のソルベ

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・パイナップルとミント、ミントのメレンゲと抹茶

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・イチジクのショコラ(奥)、葡萄2種、きな粉と醤油

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・この日のノンアルコールペアリング

 全体の印象は、前回に比べ各料理の細部が丁寧になり、味の組合せも良くなって、仕上がり精度が高くなったと感じた。特に鰤、鯔、雉羽太(漢字で書くとこうなる)と続く魚料理が秀逸だった、中でもキジハタのブイヤベース仕立ては、もう一度食べたい逸品。去年は「味のメリハリがもう少し欲しい」と思う料理があったが、これも修正されていた。
 佐藤大典料理長は札幌ではなく函館の出身、函館は江戸時代から良港として海産物貿易で栄えた街、日本海に近い札幌と違って太平洋側に近く、距離的には札幌より青森に近い、津軽海峡の魚介が豊富な地だ。佐藤氏も子供の頃から魚介に親しみ、現在でも魚料理が好きらしく、青森産の食材を積極的に使うのも、現地との交流があるからと聞く、料理も他の札幌料理人とは少し系統が違うものを感じる。
 また料理人でもある奥様の存在も大きいのかなと思った、他店で副料理長まで務めた実力の持ち主なので、二人の力が噛み合えばエンジンが二つある車、加速も安定性も違うと思う。奥様が考えたノンアルコールペアリングも、前回より味わいが良くなっていた。
 平日昼ながら女性客で繁盛している、このライト感覚でビジュアルも良く、食べ終わっても胃が重くない料理、明るい店内と洒落たインテリアや食器、まず女性に支持される事は間違いない。佐藤氏も積極的にマスコミ等に顔出し、ニューリーダーとして、札幌フレンチ界を盛り上げようとしている。
 初日に行った同じススキノにある「オプトゥニール・ケイ」が、札幌を代表するクラシックフレンチを目標にするなら、「メリメロ」は札幌を代表するモダンフレンチを目指している様にも感じた、PARISなら「ランブロワジー」と「アストランス」みたいに、両店ともに札幌の街を代表する店になって欲しいと、願うばかりだ(笑)。

 3泊4日の間、観光らしい事は殆どしないで、ただ食べて歩いていたが(笑)、今回も収穫が大きかった、特に若い世代の料理人に、従来の「札幌フレンチ」のイメージから脱却しようとする姿勢を感じた、これからも食都として伸びて行くだろう事は間違いない。 札幌から東京へ移った「おはらス・レストラン」の小原氏が、札幌フレンチ第一世代とすれば、「プロヴァンサル・キムラ」の木村氏は第二世代、「リアン」の木下氏以下は第三世代、そんな印象を持っている。業界が停滞する事なく進化が続くのは、種として健全な証拠だ(笑)。
 そして何より支払いが安い、東京のイメージで「今日は料理がこの金額だから、支払いはこの位だろう」と予測する金額より、大体1~2割は安く感じる。札幌はフレンチ好きにはパラダイスみたいな場所だ、LCC利用なら成田から札幌まで往復約一万円、2~3店回れば差額で交通費は償還できる(笑)。
 このブログを読んで、札幌へ行ってみたいと思ったら、迷わず行く事をお勧めしたい、今回訪れたフレンチ4店とスープカレーの店は、あなたの期待をきっと裏切らないと思う。


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札幌・西18丁目「プロヴァンサル・キムラ」(2017年札幌食べ続け⑤)

 今回札幌行の一番の目的が、これから訪れるプロヴァンサル・キムラだった。
 北海道立近代美術館近くで14年間営業して来たが、今年11月に近隣へ移転する事が決まり、思い出ある店舗ともお別れする事になるので、伺っておきたかったからだ。
 最初「移転」と聞いた時は、東京で増えている、カウンター席中心の店へスケールダウンするのかな?とも思ったのだが、そうではなく水回りを始め店舗の不具合が多くなり、前から移転を考えていたが、今回たまたま近所でいい物件を紹介されたので、思い切って引っ越しを決意したそうだ。
 私の初訪問は2010年、翌年は東日本大震災等で札幌へ行けなかったが、2012年以降は毎年1回訪れているのでこれが7回目になる、歩いていて遠くからでも目立つ、プロヴァンスジョーヌの外装を見るのも最後と思うと、感傷的になってしまう。

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 ドアを開けると迎えてくれるのは、いつもと同じ南仏の太陽みたいに、明るく華やかなマダム、初めて会った頃と全く変わっていない。初訪問当時SNSで書いていた日記を今回探したら、マダムの印象を「小泉今日子の『なんてったってアイドル』を連想した」と書いていた、年齢を重ねても輝く小泉今日子さんと同じ位に、マダムも魅力的です(笑)。
 テーブル席に座らせてもらい、この店舗での「最後の晩餐」になるが、まずは料理から紹介したい、

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・ピサラディエール

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・甘海老のタルタルと甘海老のコンソメジュレ

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・自家製パンとオリーブオイル

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・大間マグロと野菜のクロッカン、マンゴーとバジルのソース

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・苫前産かすべのポッシェ、人参のクーリーとレモングラスのエミュルジョン

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・道産ホタテとムール貝、ジロール茸、トマトフォンデュとシェリービネガー

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・口直し:ジャスミン茶のソルベ

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・南フランスシストロン村仔羊背肉のロースト、黒米を詰めたプチトマト

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・洋梨の赤ワイン煮と洋梨のソルベ

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・黒糖のクレームブリュレ、五香粉のグラス

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・ミニャルディーズと台湾パイナップルケーキ(笑)
・デトックスティー

 料理は「プロヴァンサル・キムラ、14年間の集大成」そんな印象を持った。定番の南仏風ピザからスタート、優しい味わいの甘海老料理の後は、普通フレンチではまず扱えないレベルの上質な鮪料理、最近では「フロリレージュ」の鮪以来に旨いと思った。日本で鮪は値段によるヒエラルキーが確立しているから、量を使うフランス料理では難しい食材だが、採算度外視の質だった(笑)。
 続くかすべ(エイ)と帆立&ムールの料理は、道産の豊かな魚介と野菜を使い、味わいを変えていい構成だった、特にエイ料理の完成度が高いと思った。
 そして真打登場が、今年から輸入解禁になった、フランス三大羊産地の一つとされる、南仏シストロン産の仔羊。羊料理は日本でもフランスでも数多く体験したが、背肉「Carre d'agneau」、もも肉「Gigot d'agneau」共に、こうした骨付き調理に勝るものないと思っている、今回もそれを確信した。
 木村氏はチマチマと切り分けたりせず、ドンと厚切りの背肉を出して来た(笑)。肉質、調理は申し分なし、北海道の仔羊も最近味が良くなっているが、シストロンは格の違いを見せつける。元NYヤンキースの名クローザー、マリアノ・リベラ投手みたいに、千両役者の風格でこの日の試合(料理)を締める(笑)。スチームコンベクション等による低温長時間調理ではなく、昔ながらのオーブンによる高温&余熱調理だと思うが、過去日本で食べた仔羊料理では、三指に入れたい旨さだと思った。
 デセールには定評ある木村氏、二品共に秀逸で、もう一品追加したい位だ(笑)。

 私は気候のいい季節に行っているだけだが、真冬の札幌は1m近い積雪になる、酷寒の地で南仏スタイルの料理を続ける事は、おそらく過去に葛藤や悩みもあったと思う、それでも自分達のスタイルを変えずに貫き通し、ブレる事のない木村夫妻のセンスに拍手(笑)、今は真っ直ぐ前を向いて迷いがない。
 この夜の料理には「凄み」まで感じさせた、東京なら赤坂「古屋オーガストロノム」や代官山「レクテ」の料理に共通する、若い料理人にはなかなか難しい、メニュー構成における、平坦でない深さがあると思った。
 同じ札幌フレンチでは、円山の「ラ・ブランシュール」が10月末で閉店、「Miya-vie」も移転し、カウンター席中心の規模を小さくした店になると聞く、東京でも同じだが、札幌でも限られた数の客を獲り合う現状、スタッフ不足も変わらない、そうした中でも新店で第二幕を開けようとする木村夫妻には、応援のエールを送りたい。
 なお新店は、旧店舗の道路を挟んで東側、次は一軒家でテラス席もあるとの事で、東京なら六本木の「トレフ・ミヤモト」みたいな店になるのかも知れない。
 再オープンは11月末の予定だそうで、今から次回の札幌訪問が待ち遠しい(笑)。


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札幌・北15条東「Curry Power パンチ」~西17丁目「餅菓子商 白谷」(2017札幌食べ続け④)

 札幌後半戦の3日目は、朝の散歩で昨夜胃に入れたものを消化する事から始める(笑)。市内南部豊平川に近い中島公園は広い池や音楽ホール、天文台や文学館も園内に備えていて、緑豊かな札幌を代表する公園、それが歓楽街ススキノのすぐ近くにあるのも面白い。この時期紅葉が始まっていて、歩いていると北国の秋を、そして長い冬の気配を感じ取れる。地下鉄の駅も近いので、札幌を訪れた時にはお勧めしたいスポットだ。

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 公園内にある「豊平館」の建物、1880年にホテルとして大通に建築、明治天皇も宿泊し宴会場としても使われ、札幌の迎賓館的役割を担った。1958年に中島公園内に移築保存されるが、以降結婚式場として市民も利用可能だった、1964年国重要文化財に指定される。昨年4年間のリニューアルを経て再オープンした、少々綺麗になり過ぎた感じもするが(笑)、文化財でありながらも、現在でも式場や宴会場として、市民が利用可能な事が素晴らしいと思う。
 昼が近づいて来たので、地下鉄で北13条東駅へ向かう、札幌にはこうした地番そのままの地下鉄駅が幾つかある。

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 目的地は「リアン」同様に、札幌の定番になったスープカレーの店「Curry Power パンチ」で、私は3年連続で4回目の訪問になる。今回は札幌在住の友人夫妻との会食?で、開店時間直後に店内で待ち合せる事に、札幌の飲食店は駐車場を完備している処が多いが、先に停めた者勝ちで(笑)、混雑時には溢れてしまう事もある。

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 2014年10月開業のこの店も3周年を迎える、「石の上にも3年」と云うが、繁華街ではない場所でも3年続いたのは、それだけ味が支持されて来たと云う事だろう。

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 此処へ来ると、いつも「うまうまつくねベジタブル」(税込1,170円)を注文するのだが、今回も一応迷いながらも、やっぱりこれを選んでしまう、選べる辛さは8段階ある内の下から3番目「フック」で、ライスは小盛にしてもらった(笑)。

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 一年ぶりの「うまうまつくねベジタブル」、何故か「おまけ」も付いていた(笑)、まずはスープを一口、あっさりした和風スープが胃に浸みていく、ゴロンと大きいつくね団子と北海道野菜の相性が抜群、スープカレーは道産の豊かな農作物と乾燥した気候が生んだものだと思う。東京で食べるともっとコッテリした店が多いが、この店のカレースープは毎日でも食べられそうな優しさと中毒性がある(笑)。

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 店主の好意でラッシーまで出してもらい恐縮してしまう、今回も美味でした。残念なのはこのスープカレーが札幌へ来ないと味わえない事で、願うのは「五丈原」のラーメンとセットで、東京に支店出してくれないかな?と思う事(笑)。 
 食後は「甘味を食べに行こう」と、急に話がまとまり(笑)、友人の車に乗せてもらって、西17丁目札幌医大近くまで遠征、「餅菓子商 白谷(しろや)」まで行く事に。

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 2011年開業のこの店、私は3年前に訪れていて2回目。その時はフレンチランチの後に友人と店の前を通り、「大福」の文字に惹かれ入ってしまった店で、喫茶スペースで大福と抹茶をいただいた。
 前回もそうだったが、製造、販売、お茶出しの対応等全て店主一人でやっている、高級住宅地の円山も近く、住人達の御用もある店に見える。「和菓子店」ではなく「餅菓子商」を名乗っているのが特徴、店のWEBページでは、
「ここ北海道で収穫される米は、厳しい自然の力と少しの人の手を借りて美味しく育っていきます。土と水と光と命。それだけで作り上げた白谷の餅。大量生産も日持ちもしません。ただ誰かに喜んでもらえるために、毎日丁寧にこしらえています。」
と自店紹介をしている。
 店頭の餅菓子、どれも美味しそうで何を選ぶか迷うが、珍しい「モンブランもち」(税込140円)にしてみた。

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 抹茶椀が並び、客は好みの物を選べる。

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 一番渋く地味な、瀬戸黒みたいな碗を選んだ(笑)。

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 モンブランもちは、同じく店の説明では、
「白餡とマロンペーストで作った『マロン餡』でお餅をふんわり包み、刻んだ栗の甘露煮を上に添えました。お餅の中には生クリームが入っています。」とある。
 柔らかく上品な味、餡もマロンペーストも上質、儚く消えてしまう束の間の美味しさでした、抹茶(200円)もさすが本職で丁寧に点ててある。そして東京のこの種の店と比べると、価格破壊的に安い(笑)。
 地元民を対象としている店なので、あまり観光客が荒らしてはいけないと思うが、西18丁目駅近辺にフレンチ食べに行ったついでに、寄ってみる価値ありです(笑)。
 お付き合いいただいた友人夫妻に感謝です、忙しい中をありがとうございました。
 私はその後ATMでお金を引き出し、フレンチ3店目に出発する事に(笑)。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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