最後の晩餐にはまだ早い


札幌・ススキノ「meli-melo(メリメロ)」(2017札幌食べ続け⑥)

 駆け足だった今回の「札幌食べ続け」も最後の店になった。最終日のランチ場所は去年と同じく、ススキノ狸小路近くのフランス料理「meli-melo(メリメロ)」へ。
 今回宿泊先がススキノのホテルで、荷物を預けて歩いて行け、帰り荷物をピックアップしたら、近くから新千歳空港行きのバスが出ているので、JRを使うより移動距離が少なくて楽だ(笑)、次回もこのアクセスを使おうと思った。買い物は余程特別な物でなければ、空港内で用が足りる、新千歳は日本一土産物が充実している空港ではないかと思う。
 メリメロが入っているのはビルの2階、12時5分前に着いたら店前には女性達の集団、誰か有名人でも来ているの?と思ったら、店が開くのを待っている人と知って驚いた、札幌はディナーの開始時間が東京に較べると早めだが、ランチの集まりも早い(笑)。店外にあるトイレに入ってから、皆が着席した頃を見計らい遅れて入店、既にカウンター席以外満員で平日ながら繁盛している。
 佐藤料理長夫妻に挨拶し、キッチン前のカウンターに着席する、去年は夫妻の他に調理補助の男性が居たが、今回は男性が二人になり主にサービスを担当、料理人でもある奥様が調理を補助する体制に変わっていた。

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 昔のフランス料理店は、磨き込んだ銅鍋が並んでいたが、今はパコジェットにコンベクションオーブンが並ぶ、去年はガストロパックなる最新兵器?もあったが。
 この日の5,000円(税別)のランチは以下のとおり、

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・アミューズ(左:フォアグラ、右:リコッタチーズのミニタルト)

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・同 (秋刀魚のテリーヌ)

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・同 (秋刀魚の内臓を使ったチップ)

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・ホタテ貝のポワレ、春菊とタマリンドのソース

・ブリ、蕪のマリネ、パプリカとバルサミコ(画像失敗しました)

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・青森産ボラ、花ニラ、椎茸、マッシュルームのソース

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・青森産キジハタ、ブイヤベース仕立て

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・道産豚の炭火焼き、札幌黄(玉葱)

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・葡萄と洋梨のソルベ

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・パイナップルとミント、ミントのメレンゲと抹茶

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・イチジクのショコラ(奥)、葡萄2種、きな粉と醤油

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・この日のノンアルコールペアリング

 全体の印象は、前回に比べ各料理の細部が丁寧になり、味の組合せも良くなって、仕上がり精度が高くなったと感じた。特に鰤、鯔、雉羽太(漢字で書くとこうなる)と続く魚料理が秀逸だった、中でもキジハタのブイヤベース仕立ては、もう一度食べたい逸品。去年は「味のメリハリがもう少し欲しい」と思う料理があったが、これも修正されていた。
 佐藤大典料理長は札幌ではなく函館の出身、函館は江戸時代から良港として海産物貿易で栄えた街、日本海に近い札幌と違って太平洋側に近く、距離的には札幌より青森に近い、津軽海峡の魚介が豊富な地だ。佐藤氏も子供の頃から魚介に親しみ、現在でも魚料理が好きらしく、青森産の食材を積極的に使うのも、現地との交流があるからと聞く、料理も他の札幌料理人とは少し系統が違うものを感じる。
 また料理人でもある奥様の存在も大きいのかなと思った、他店で副料理長まで務めた実力の持ち主なので、二人の力が噛み合えばエンジンが二つある車、加速も安定性も違うと思う。奥様が考えたノンアルコールペアリングも、前回より味わいが良くなっていた。
 平日昼ながら女性客で繁盛している、このライト感覚でビジュアルも良く、食べ終わっても胃が重くない料理、明るい店内と洒落たインテリアや食器、まず女性に支持される事は間違いない。佐藤氏も積極的にマスコミ等に顔出し、ニューリーダーとして、札幌フレンチ界を盛り上げようとしている。
 初日に行った同じススキノにある「オプトゥニール・ケイ」が、札幌を代表するクラシックフレンチを目標にするなら、「メリメロ」は札幌を代表するモダンフレンチを目指している様にも感じた、PARISなら「ランブロワジー」と「アストランス」みたいに、両店ともに札幌の街を代表する店になって欲しいと、願うばかりだ(笑)。

 3泊4日の間、観光らしい事は殆どしないで、ただ食べて歩いていたが(笑)、今回も収穫が大きかった、特に若い世代の料理人に、従来の「札幌フレンチ」のイメージから脱却しようとする姿勢を感じた、これからも食都として伸びて行くだろう事は間違いない。 札幌から東京へ移った「おはらス・レストラン」の小原氏が、札幌フレンチ第一世代とすれば、「プロヴァンサル・キムラ」の木村氏は第二世代、「リアン」の木下氏以下は第三世代、そんな印象を持っている。業界が停滞する事なく進化が続くのは、種として健全な証拠だ(笑)。
 そして何より支払いが安い、東京のイメージで「今日は料理がこの金額だから、支払いはこの位だろう」と予測する金額より、大体1~2割は安く感じる。札幌はフレンチ好きにはパラダイスみたいな場所だ、LCC利用なら成田から札幌まで往復約一万円、2~3店回れば差額で交通費は償還できる(笑)。
 このブログを読んで、札幌へ行ってみたいと思ったら、迷わず行く事をお勧めしたい、今回訪れたフレンチ4店とスープカレーの店は、あなたの期待をきっと裏切らないと思う。


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札幌・西18丁目「プロヴァンサル・キムラ」(2017年札幌食べ続け⑤)

 今回札幌行の一番の目的が、これから訪れるプロヴァンサル・キムラだった。
 北海道立近代美術館近くで14年間営業して来たが、今年11月に近隣へ移転する事が決まり、思い出ある店舗ともお別れする事になるので、伺っておきたかったからだ。
 最初「移転」と聞いた時は、東京で増えている、カウンター席中心の店へスケールダウンするのかな?とも思ったのだが、そうではなく水回りを始め店舗の不具合が多くなり、前から移転を考えていたが、今回たまたま近所でいい物件を紹介されたので、思い切って引っ越しを決意したそうだ。
 私の初訪問は2010年、翌年は東日本大震災等で札幌へ行けなかったが、2012年以降は毎年1回訪れているのでこれが7回目になる、歩いていて遠くからでも目立つ、プロヴァンスジョーヌの外装を見るのも最後と思うと、感傷的になってしまう。

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 ドアを開けると迎えてくれるのは、いつもと同じ南仏の太陽みたいに、明るく華やかなマダム、初めて会った頃と全く変わっていない。初訪問当時SNSで書いていた日記を今回探したら、マダムの印象を「小泉今日子の『なんてったってアイドル』を連想した」と書いていた、年齢を重ねても輝く小泉今日子さんと同じ位に、マダムも魅力的です(笑)。
 テーブル席に座らせてもらい、この店舗での「最後の晩餐」になるが、まずは料理から紹介したい、

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・ピサラディエール

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・甘海老のタルタルと甘海老のコンソメジュレ

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・自家製パンとオリーブオイル

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・大間マグロと野菜のクロッカン、マンゴーとバジルのソース

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・苫前産かすべのポッシェ、人参のクーリーとレモングラスのエミュルジョン

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・道産ホタテとムール貝、ジロール茸、トマトフォンデュとシェリービネガー

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・口直し:ジャスミン茶のソルベ

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・南フランスシストロン村仔羊背肉のロースト、黒米を詰めたプチトマト

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・洋梨の赤ワイン煮と洋梨のソルベ

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・黒糖のクレームブリュレ、五香粉のグラス

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・ミニャルディーズと台湾パイナップルケーキ(笑)
・デトックスティー

 料理は「プロヴァンサル・キムラ、14年間の集大成」そんな印象を持った。定番の南仏風ピザからスタート、優しい味わいの甘海老料理の後は、普通フレンチではまず扱えないレベルの上質な鮪料理、最近では「フロリレージュ」の鮪以来に旨いと思った。日本で鮪は値段によるヒエラルキーが確立しているから、量を使うフランス料理では難しい食材だが、採算度外視の質だった(笑)。
 続くかすべ(エイ)と帆立&ムールの料理は、道産の豊かな魚介と野菜を使い、味わいを変えていい構成だった、特にエイ料理の完成度が高いと思った。
 そして真打登場が、今年から輸入解禁になった、フランス三大羊産地の一つとされる、南仏シストロン産の仔羊。羊料理は日本でもフランスでも数多く体験したが、背肉「Carre d'agneau」、もも肉「Gigot d'agneau」共に、こうした骨付き調理に勝るものないと思っている、今回もそれを確信した。
 木村氏はチマチマと切り分けたりせず、ドンと厚切りの背肉を出して来た(笑)。肉質、調理は申し分なし、北海道の仔羊も最近味が良くなっているが、シストロンは格の違いを見せつける。元NYヤンキースの名クローザー、マリアノ・リベラ投手みたいに、千両役者の風格でこの日の試合(料理)を締める(笑)。スチームコンベクション等による低温長時間調理ではなく、昔ながらのオーブンによる高温&余熱調理だと思うが、過去日本で食べた仔羊料理では、三指に入れたい旨さだと思った。
 デセールには定評ある木村氏、二品共に秀逸で、もう一品追加したい位だ(笑)。

 私は気候のいい季節に行っているだけだが、真冬の札幌は1m近い積雪になる、酷寒の地で南仏スタイルの料理を続ける事は、おそらく過去に葛藤や悩みもあったと思う、それでも自分達のスタイルを変えずに貫き通し、ブレる事のない木村夫妻のセンスに拍手(笑)、今は真っ直ぐ前を向いて迷いがない。
 この夜の料理には「凄み」まで感じさせた、東京なら赤坂「古屋オーガストロノム」や代官山「レクテ」の料理に共通する、若い料理人にはなかなか難しい、メニュー構成における、平坦でない深さがあると思った。
 同じ札幌フレンチでは、円山の「ラ・ブランシュール」が10月末で閉店、「Miya-vie」も移転し、カウンター席中心の規模を小さくした店になると聞く、東京でも同じだが、札幌でも限られた数の客を獲り合う現状、スタッフ不足も変わらない、そうした中でも新店で第二幕を開けようとする木村夫妻には、応援のエールを送りたい。
 なお新店は、旧店舗の道路を挟んで東側、次は一軒家でテラス席もあるとの事で、東京なら六本木の「トレフ・ミヤモト」みたいな店になるのかも知れない。
 再オープンは11月末の予定だそうで、今から次回の札幌訪問が待ち遠しい(笑)。


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札幌・西20丁目「リアン」(2017札幌食べ続け③)

 札幌フレンチ2店目は、西20丁目にある「リアン」へ伺う事に。この店は2012年4月の開業で、私が初めて訪れたのが翌2013年9月、それから年一回定点観測?をしているので5回目の訪問になる。テーブル10席、カウンター3席の小さな店だが、勉強熱心な木下料理長の料理と、キリっとしたマダムのサービスは年々進化していて、毎回訪れるのが楽しみな店だ(笑)。
 今回は久しぶりの夜訪問、店の在る場所は人通りの少ない寂しい道沿いなので、周りが暗い中に緑色の店表示が見えると、我家に戻って来た時みたいにホッとする。
 ドアを開けてマダムに挨拶し、初めて来た時と同じカウンター席に座る、この椅子は後ろに他の客が通らず、視線にも晒されないので、落ち着いて食事が出来るからいい(笑)。
 テーブル席には私の後に男だけのグループが来たので、この夜は珍しく男客ばかりの日になった、フランス料理店に男性客が増えるのはいい事だと思うが、どうも日本の場合、ランチ時は女子会、ディナーは男子会とハッキリ別れてしまう傾向がある、そう云えば札幌初日の「オプトゥニール・ケイ」も男子会だった(笑)。
 いつものローズヒップティーから始まる料理は以下のとおり、

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・ローズヒップティー

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・ニンジンのババロワと刻んだ甘海老のマリネ、甘海老のコンソメジュレ
       
・カスベとビーツ、山葵菜、キャビアとエストラゴンヴィネガーのソース(画像失敗しました)

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・エゾ鹿のパテアンクルート

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・カットしたものとフォアグラ入りブリオッシュ、小田原無花果のコンフィチュール

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・とうもろこしのヴルーテ、秋トリュフ

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・キンキのポワレ、道産新蕎麦の実のリゾット、ソースペルノー

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・オマール海老と道産ホタテのフリカッセ

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・愛知県内田ファームのウズラ、ジュ・ド・カイユ、道産野菜

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・葡萄いろいろ

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・ショコラとトリュフのモンブラン

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・ハンドドリップコーヒー

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・ミニャルディーズ


 料理全体の印象から云うと、全体の流れに起承転結が感じられ、野菜、魚介、肉の組合せや、各料理の仕上がりも良くなっていると感じた。
 まず印象に残ったのは、焼き上がりを見せてくれたエゾ鹿のアンクルート、これは主に関西方面でうるさい作り手が居るけれど(笑)、決して劣らない出来で、自信があるからこそ見て欲しかったのだと思う。
 続くキンキのポワレは、この日最も印象に残った料理、これだけ上質なキンキは東京では和食店に回ってしまい、フランス料理店では扱えないと思う、調理やソースも秀逸だった。
 道産食材ではない肉料理は、料理長の新境地へのチャレンジかなと思った、従来の札幌フレンチは、道産の豊富な魚介に牛肉か羊肉、ソースには乳製品を多く使うみたいなイメージもあった、東京人が札幌フレンチに期待するのもそれだ、みたいな思い込みもあると思うが、木下氏の世代あたりから変わって来たと感じる。東京のフレンチで北海道や九州の食材を使うなら、札幌で愛知県の鶉を使っても何ら不思議ではない筈、それが納得できる質と調理だった。
 もとパティシェ志望だった木下氏が作るデセール2品はいい出来だったが、あえて云えばモンブランにもう少し軽やかさがあれば、もっと良かった。
 マダムが豆挽きから始めるハンドドリップのコーヒーも美味しい、「砂糖、ミルク使いますか?」と最初に訊くのは、それで豆の挽き方を変えるからで、その気遣いが感じられる余韻の残る味だった。

 東京赤坂の「古屋オーガストロノム」や麻布十番「グリグリ」も、「リアン」と同じ一人厨房ながら、多彩でレベルの高い料理を出すが、比べれば厨房が広い、木下氏は狭い厨房でよくこれだけの料理を並べるなと感心する、且つホテル出身だけに盛付が雑でない。
 年に一回ながら5年間追い続けて、料理は右肩上がりで来ているのは間違いない、ただこの先も上がり続けて行くかとなると、難しい処もあると思う。
 外苑前「フロリレージュ」の川手料理長は木下氏と同年生れだが、超人気店だった旧店舗を続けていて、「このままでは、やがて行き詰る」と思い、新店舗への移転と、従来とは違う形態で料理を提供するスタイルを決めたと聞くが、木下氏も「この後どうするか」を考え始めているようだ。
 一年ぶりの「リアン」、いい料理でした。私はこうした夫婦二人だけでやっているミニマムな店が好きで、訪れる事が多いのだが、何故か東京ではこのスタイルが減りつつある、それだけ夫婦のあり方が変わって来たのかも知れない、でも札幌ではまだ健在だ、「我家に招かれたみたいな」温かさに触れたいなら、札幌それも西18丁目駅近辺に出かけましょう(笑)。


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札幌・ススキノ「Obtenir K(オプトゥニール・ケイ)」」(2017札幌食べ続け①)

 今年の「札幌食べ続け」は、今年3月にオープンしたフランス料理店「Obtenir K(オプトゥニール・ケイ)」からスタートする事になった。
 料理長は1983年生れ道内江差出身の藤谷圭介氏で、「札幌のフレンチ」ならまず名前の挙がる、円山「コートドール札幌」の3代目料理長を経て独立した、現在札幌の食通や料理人から最も注目されている店だと思う。今回は札幌在住の食友人達との集まりで、何処へ行こう?と候補を考えた時に、此処の名前が真っ先に出た。
 店の場所はすすきの狸小路商店街中のビルの5階、同じビルには他業種飲食が数店同居、なかなか来ないエレベーターで5階に上がり店に入ると、「こんな処にこんな空間が」と、意外に思う位に瀟洒で華やかな場が目に入る。
 店名の‘Obtenir’はWEBページで、「つくり出す・創造する」を意味する仏語との説明があるが、自身の頭文字を加え「ケイ(自分)が創造する」にしている。店のコンセプト紹介では「今を生きるネオクラシック(料理)を表現します」と宣言、これはクラシック好きには楽しみだ(笑)。
 店内はオープンキッチンに沿って「L」の字を逆さにした客席配置で椅子席は14位か?この夜は使っていなかったが、カウンター席もある。席に座ると印象的なデザインのカマチ陶舗製の位置皿、カトラリーやグラス類も高級品ばかりで、これはかなり本気の店だなと思った(笑)。
 あらかじめお願いしていたのは8,000円(税別)のムニュ、まずは料理を全品紹介したい。

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・アミューズ(アンショワクロワッサン、グジェール)

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・バターナッツのピュレとコンソメジュレ、和栗パウダー

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・自家製パン2種

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・葡萄に見立てたフォアグラ、ピオーネ、葡萄のマスタード

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・ほうれん草で包んだ毛ガニ、虎杖浜産ワタリガニのコンソメレモングラス風味

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・マダチ(鱈白子)のムニエル、ソースブイヤベース

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・寿都産小鯛蒸し煮

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・口直し ライムのジュレに生姜のグラニテ

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・富良野和牛オックステールの赤ワイン煮込み、(別添えで)トリュフ入りポムピューレ

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・十勝新村牧場ヨーグルトのシャーベット

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・和栗のモンブラン
・アンフィージョン

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・ミニャルディーズ

 まず料理全体の印象を云うと、クラシック路線を基本として余計な飾りがなく、何を食べさせたいか主張が明確だと思った、さすがは「コートドール」系列出身で、元を辿れば三田「コートドール」の斉須料理に連なると感じる、盛付がシンプルで綺麗なのも好印象だ。
 印象に残った料理が、まずは葡萄に見立てたフォアグラ、葡萄の甘味との相性抜群で、私は特にフォアグラ好きではないが、この料理の見栄えの良さと味には感心した。蟹、白子、鯛と魚介が続いたが、調理も味も変えているので単調さはない、中でも白子の料理は素材の鮮度、調理共に申し分ない皿で、これは東京では食べられないレベルと思った。
 肉料理は決して悪い出来ではないが、かつて「ク・ドゥ・ブフ・ブレゼ・アン・クレピーヌ」として一世を風靡した料理、私も「コートドール」の現在より力感漲っていた時期に味わっている、藤谷氏は現代的に仕上がりを軽くしているし、比較する事は適当でないと思いながらも、少々迫力不足かな?と感じてしまった。これはシグネチャーメニューとして、今後改良して行くだろうと思う。
 デセールは専任のパティシェールと料理長が共同で作るそうで、特にモンブランは軽やかな爽やかさがあり美味だった。
 開店後まだ半年だが、それでも此処までのレベルに持って来たのが、料理長の実力だろう。今は楷書の料理だが、あと一年位経てば全体に柔らかさが出てきて、洒脱な行書や草書を書く事になる筈だ、またその頃に味わってみたいと思った。この若さでクラシック料理を志向するのは希少な人材、完成までに時間がかかるからこそクラシックなので、決して近道はない筈だ(笑)。

 食後、我々の席に挨拶に来た藤谷料理長、美味しい物を作り出す料理人らしい顔と体型をしている(笑)、古典派志向料理人として、和歌山「オテル・ド・ヨシノ」の手島料理長を尊敬しているそうで、それは料理を体験して理解出来た。
 札幌のフレンチ料理人と話していて感じるのは、東京やフランスのレストラン情報に精通している事で、勉強熱心さでは一番ではないかと思う、流行の中心地に居るとかえって情報には疎くなるのかも知れない(笑)。
 レストランの備品や食器、カトラリー&グラス等は一級品、トイレブースも男女別だ、メートレスやソムリエの対応も上質で、本格派を目指しながらも現在の処は価格を抑えている、札幌フレンチの新しい顔として、これからの飛躍が期待できる店と思った。
 店を出たら夕方から降り続いていた雨も上がっていた、札幌第一日目は美味しく終える事が出来た(笑)。


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赤坂「古屋オーガストロノム」(2017年10月)

 3連休の最終日、急に「友、遠方より来たる」の日になり、東京での外食先を相談された。前2日が東京以外の場所でフレンチに行くが、東京でもフレンチで構わないとの事、それなら少し軽い系の料理の方がいいかな?とも思ったのだが、宿泊先が赤坂との事で、先方から出た名前が、近くの「古屋オーガストロノム」だった、私がブログで好印象記事を書いているので行ってみたいと思ったそうだ、それなら責任を感じてしまうので、同行しない訳にいかなくなった(笑)。
 席を確保しランチタイムに現地集合する事に、古屋料理長には「食通と一緒に行く」旨の情報は伝えておいた。
 開店時間に店前に着くとサービス担当の石橋氏が外で待っている、彼の案内で店内奥のテーブルに就くが、この日は非常勤支配人?の秋葉氏まで待機していて、事前情報が効いたみたいだ(笑)。

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 前回の訪問が今年の4月なので既に半年経っていた、東京は店が多すぎる、行きたい店、再訪したい店が増えていくばかりで、時間はあれども資力・体力が追い付かない(笑)。
 以前は貸切りの日もあったが、開店後2年経てようやく実力が認められて来たみたいで、この日も4卓全て埋まった、割と早くから注目していた私としては嬉しいが、東京の飲食店は客の取り合い状態で流動的、日々安定するのが何より大事だ。
 古屋料理長にも挨拶し、始まった料理は以下のとおり、

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・アミューズ・ブーシュ(カボチャのスープとエスプレッソコーヒー)

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・冨士宮くぬぎマスの低温コンフィと大根のラヴィオリ仕立て、フランボワーズヴィネガーとハチミツのソース

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・ボルドーの白2014Chateau Courréges

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・大分県産地鶏玉子“蘭玉”の66℃40分火入れ、ハンガリー産フォアグラのソテー、イタリアマルケ産秋トリュフ添え

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・長崎県産ホウボウのポワレ、天然舞茸のリゾット、パプリカのクリームソース

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・青森県産バルバリー鴨のロティ“フレディ・ジラルデ風”

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・同(各皿に切り分け後)、ガルニはイタリア産緑アスパラ、ジロール、ポムドピュレ

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・同じ鴨のモモ肉を使った春巻、マイクロハーブ

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・小さなデザート(パイナップル、セージのグラス)

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・メインのデザート(タルトシトロン、スペキュローズのグラス、チュイール)

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・エスプレッソ

 アミューズのスープは以前と変わらず美味で良好なスタート、次の鱒料理は今迄にないモダン感覚、手をかけたビジュアルが良好で、甘味・酸味のバランスが絶妙、この日厨房には古屋氏の他にヘルプが一人入っていたので、手数の多い料理も停滞せず提供できたのかなと思った。
 蘭玉の温度玉子を使うスペシャリテは安定の美味しさ。続く魴鮄の料理はソースの下に敷いた舞茸のリゾットが効いている、やはり日本の魚の繊細な身質には、こうしたシンプルな料理が向いていると思う。
 肉料理の「フレディ・ジラルデ風」とは、スイス・ローザンヌで1970~1990年代に活躍した名料理人のスペシャリテだった鴨料理。ジラルデの元で働いた日本人、深津泰弘氏の店に古屋氏は何度も通ったそうだ。古屋氏の説明によると、鴨の皮目にニンニク、バター、レモンの皮、国産パセリを乗せ調理、ソースはシンプルにジュ・ド・ヴォー&プーレとの事。若手料理人中心に低温長時間調理が増えているが、この鴨は昔風の強めの火入れで、レモンとパセリ、大蒜の香りを鴨肉に加える、フランス料理伝統の「足し算」の調理法、その必然性が理解出来た。
 現在バルバリー種の鴨を青森県で飼育しているそうで、フランスからの鴨輸入が途絶えている中で、これから楽しみな素材だと思う。
 デセールには定評ある古屋氏なので、2品共安定して美味しい、特に酸味を効かせたシトロンのタルトが良かった。

 「レクテ」の佐々木料理長にも感じた事だが、古屋氏もムニュ全体への俯瞰が出来ていて、その中に上手く五味(甘・酸・塩・苦・旨)の調和がある。足す部分は足し、引く部分は引く、ランチメニューだから使える食材に制約はあるが、調理と全体のバランスがいいから食後の充実感が大きい、両者それぞれフランスとベルギーで料理長を務めた経験が料理に現れていると思った。
 若さと閃きで一皿だけ優れた料理は作れても、それを含め入口から出口まで起承転結を作り、客に満足感を与えるいいムニュが構築出来るかとなると話は別で、やはりこれは経験が必要だ。現在料理長を任されている、あるいはこれから料理長になろうとする若い料理人は、この二人の料理を体験して欲しいと思う、ムニュ構成とはどうあるべきか、いい手本なのできっと得る処がある筈だ、わざわざフランスに行かなくても東京に優れた例がある。

 遠方からの友人に秋葉氏を加えての同世代?同士の会話は、実にまったりとして濃かった(笑)、どうしても「昔は良かった」話になってしまうが、ネット上ではなく実際に顔を突き合わせて語るのは、現代に一番必要な事ではないかと思う。
 いい午後になりました、古屋料理長、秋葉さん、石橋さん、長時間お付き合いいただきありがとうございました、これから口コミで関西から客が殺到すると思います(笑)。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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