最後の晩餐にはまだ早い


赤坂「古屋オーガストロノム」(2017年4月)

 「友、遠方より来たる」シリーズ(笑)、今回も在関西の友人で、あらかじめ店のリクエストもあったのだが、それは去年1年間で5回、今年も2回目で計7回の利用になる、赤坂のフランス料理「古屋オーガストロノム」だった。
 ブログを続けていて、読む人の事を考えると、なるべく訪問店が片寄らない事を心掛けてはいるが、自分が本当に気に入った店は、文章にも表れてしまうみたいで(笑)、友人知人からも、この店と大阪の「コーイン」については聞かれる事が多い、ブログの検索ワードでも上位に来ているみたいだ。

 前回は昼利用だったが、今回は久しぶりの夜席、すっかり朝型人間になってしまったので、最後まで寝ないで居られるか少々心配だが(笑)。
 千代田線赤坂駅を出て一ツ木通りへ向かい、ドコモショップの角を左折、円通寺通りを進めばすぐ右側、大きな「f」の字が目印だが、その前に誰かが立っているなと思ったら、非常勤メートル?の秋葉氏が待っていてくれた(笑)、昔はジャン=クロード・ヴリナ氏を筆頭に、立っているだけで様になるサービスマンが居たが、今はもう絶滅寸前でこの人が最後の世代かも、長生きして欲しいものだ(笑)。
 先に入店して待っていた友人に挨拶、始まった当日の料理は以下のとおり、

     170427-1.jpg
・アミューズ・ブーシュ(静岡産くぬぎ鱒のマリネ・シャンピニオンの温製スープ)

        170427-2.jpg
・自家製全粒粉パン

        170427-3.jpg
・66℃67分で火を入れた“蘭王”とフランス産キャビア、ブリオッシュトーストの“玉子サンドウィッチ”、グレス・ド・フォアグラのマヨネーズソース

     170427-4.jpg
・北海道産ホタテのグリエ、ウニとフヌイユのクリーム

     170427-5.jpg
・ハンガリー産フォアグラのポワレとロワール産ホワイトアスパラガス、シブレットバターソース

        170427-6.jpg
・熊本産真鯛とアサリのポワレ、そのジュと京ほうれん草のピューレ

     170427-7.jpg
・フランス産リ・ド・ヴォーのブレゼ、グリーンアスパラガスとモリーユ

        170427-8.jpg
・オレンジとパイナップルのスープ、グリーンピースとミントのグラニテ

     170427-9.jpg
・いちごとミルフィーユ、さくらのソルベと共に

        170427-10.jpg
・レフォールのアンフュージョン

 前回利用が半月前だったので、料理どう変えて来るのかな?と思っていたが、まずは全体のデザインが違った、前回がクラシック真中の構成なら今回はモダンデザインになった、皿の上が凝縮から分散へ外側に向かって開いている、「なるほど、この手があったのか」と感心させる。
 各料理に触れると、スペシャリテの「ウフ・アン・ムーレット」から今回は「玉子サンド」へ変更、鶏卵と魚卵(キャビア)を合わせる難しいマッチングも成功していると感じる、皿内の色合いもいい。
 前回はコールラビと合わせた帆立は、今回のフヌイユとまた違った相性を見せる、帆立は相手を上手く引き立てるバイプレイヤーかも、前の玉子料理と共に「春」を感じさせる。ゲラ―ル以降一世を風靡したフォアグラポワレだが、最近は健康志向と鶏インフルエンザの影響で、レストランで見る機会が減っていると感じる、久しぶりに食べたフォアグラショーはやはり美味だった、脂肪肝は怖いがこれは残せない(笑)。
 真鯛とアサリを合わせるのも意外だが、旬のアサリの香りが生きている、ほうれん草もいいアクセントになっていた。
 この日の主役はラングドック産と聞くリ・ド・ヴォー、仏産食肉の輸入が今後増えるそうだが楽しみな事、フランス料理向けの精肉は国産も随分良くなっているが、こうした特殊食材は未だ仏産に一日の長があると思う、古屋氏は欧州産食肉を現地で相当数使って来たので扱いに長けている、これも的確な調理によりリ・ド・ヴォーの特徴を生かしていた、添えられたイタリア産緑アスパラと乾燥モリーユの相性・食感もいい。
 デセール2品も春を思わせるもので、各素材を上手く表現している。レフォールティーは面白かった(笑)。

 秋葉氏が「古屋は、この食材(A)は美味しい、この食材(B)も美味しい、それならAにBを合わせれば、美味しくない訳が無いとの考えで料理を作っている」と話していたが、意外にも思う組合せは、経験に裏打ちされた技術で生きている、主役がハッキリしているので、料理に混迷がなく秩序がある。
 私の考え過ぎかも知れないが、前回の料理は「フランスとベルギーで自分が学んだ料理」を、今回は「学んだ自分がこれから作りたい料理」を表現したかったのかなと思った。
 古典派コテコテの大阪「コーイン」の湯浅料理長が、「自分は(古典だけでなく)モダンも作れます」と語っていたが、古典を学べば現代を表現出来る、これは料理に限らず、絵画でも書でも陶芸でも、創作であれば共通する事かも知れない。

 店内は何時の間にか4卓全て埋まった、他店に較べると年齢層が高めな気もするが、一人の男性と目が合い「何処かで会った」と思ったのだが、この人が退店する時に「去年、〇〇〇〇〇〇に居ませんでしたか?」と話しかけられたので思い出した(笑)、東京以外だが其処も古典派料理なので、向かう方向が同じだと、結局行く店も同じになる(笑)。
 古屋料理長とサービス担当の秋葉、石橋両氏、遅くまでありがとうございました、この店ばかり利用すると色々と差し障りが生じるので、「忖度」しないといけないですが、また次に会えるのを楽しみにしています(笑)。


スポンサーサイト
  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0

赤坂「古屋オーガストロノム」(2017年3月)

 あえて名前は書くのは控えるが(笑)、2月の関西食旅行で訪れた人気店の料理長が東京に乗り込み、一夜限りの料理フェアを開催した。諸事情により私は参加出来なかったが、盛況と聞いて「当然でしょう」と納得、その翌日昼に「お疲れ会」も兼ねて有志が集まる事になった。場所は私が去年1月を初回に計5回訪れた、赤坂のフランス料理「古屋オーガストロノム」、古屋料理長にはspecialゲストである事を伝えて、通常のランチメニューではなく、夜のメニューをアレンジして出してもらう旨のお願いをした。
 呼びかけに応じて、平日昼ながら集まったのが総勢5名、かなり濃いメンバーでの濃い午餐を開催する事になった(笑)。店側もゲストに合わせ、非常勤メートル?の大ベテラン秋葉氏を招集してくれて、石橋支配人と共にサービス陣は盤石、企画と云う程大げさでないが、「この店で集まろう」と云い出した私も嬉しくなる。
 前置きは短くし、取りあえず当日の料理を紹介したい、

        170411-2.jpg
・「お疲れ様」の乾杯シャンパーニュは、ジャック・ラセーニュ「Les Vignes de Montgueux Blanc de Blancs」

     170411-3.jpg
・アミューズ・ブーシュ(プティポワの温製スープ フォワグラとブリオッシュ、赤玉葱のコンフィチュール、棗椰子ヴィネガー)

        170411-4.jpg
・北海道産ホタテのグリエ、コールラビのソース、シュークルートのエマルジョン

     170411-5.jpg
・ロワール産ホワイトアスパラガス、富山県産ホタルイカ、モリーユ茸のフリカッセ

     170411-6.jpg
・大分産地鶏玉子“蘭王”フランス産黒トリュフ“ウッフ・アン・ムーレット”

        170411-7.jpg
・山口県萩から届いたシマガツオ、香草シャンパーニュソース

     170411-8.jpg
・豚足のファルシ(リ・ド・ヴォーブレゼ、トランペット茸、ムース・ド・ヴォライユ)のグリエ、シャルキティエールソース

        170411-9.jpg
・いちごのマセレとレタスのグラニテ

     170411-10.jpg
・熊本県産デコポンのヴァリエンテ、ドモーリ72%有機カカオのグラスショコラ
・エスプレッソ

 ゲスト料理人はアミューズのスープで、「今時の料理人なら、もっとクリアな色で作る」と云ったが、油脂類を控えた抹茶みたいなスープではない(笑)、「プティポワのスープ」か「プティポワを素材にした旨いスープ」の違いだと思う、フォアグラはハンガリー産を使ったテリーヌで、赤玉葱のコンフィチュールがアクセントになっている。
 上質なホタテ料理に使ったコールラビが面白い、北ヨーロッパではよく食べられ、キャベツに似た風味がある。続く白アスパラは最近の流行よりしっかり火を通し、ソースで味わう脱日本的な料理になっている。
 古屋スペシャリテのウッフ・アン・ムーレットは以前と変わらず完成度高い。魚料理のシマガツオは別名「エチオピア」とも呼ばれ、マナガツオと似ている平べったい魚、日本では主に西日本に分布する、味もマナガツオに近いと思った、繊細で旨味ある白身を軽めのシャンパンソースが生かしている。
 「ジビエが終わり季節的に難しく、今日の肉料理は何出すのだろう?」と思っていたら、石橋氏が「古屋がベルギーから持ち帰った料理です」と説明したのが、伝統料理をアレンジしたピエ・ド・コションのファルシ。豚足を茹で骨抜きし、そこへリー・ド・ヴォー、鶏、トランペット茸をアッシュして詰め、おせち料理の「信太巻」みたいにする、それをグリルして酸味のあるソースと合わせると云う、面倒な手順を踏む、その割には見栄えは地味なので、1980年代生れの若い料理人は、まず作らないだろうと思う(笑)。これを人数分仕込み、当日他卓の料理と同時進行で仕上げるのは、一人厨房なら普通はやりたくない、それでも持って来たのは、自信がある料理だったからと思う、味にも手間をかけただけのものが感じ取れた。
 デセール2品も勿論古屋氏が作るが、手を抜かず丁寧なものだ、特にレタスのグラニテとショコラのグラスが印象的だった。

 古屋氏の料理はビジュアル受けする現代風ではないが、そうかと云って古臭くはない、古典料理を現代の嗜好に合わせて、食べると「フランス料理って、やはり美味しい」と改めて納得させる。
http://www.eatpia.com/restaurant/furuya-augastronome-akasaka-french
 このサイトで、『ソースを「食べて」もらう為に料理をつくっている』と、古屋氏は云っているが、その考えが理解出来る料理だった、まずは「料理とソースありき」で、素材はあくまでも構成する要素、この辺りが昨今のモダンフレンチとは違う処だと感じる。
 我々の料理を作るのに加えて、他にも2卓埋まっていたので、古屋氏は疲労困憊かなと思っていたが、後で挨拶に出て来たら冗談も云って笑っていた、非凡な料理人は一般人とは違う体力&精神力を持っている(笑)。
  
        170411-1.jpg
 結構際どい業界の裏話もあり、此処には書けない話題も多かったが(笑)、とても楽しい午後になりました、参加された皆様ありがとうございました。料理は幾ら語っても尽きる事のない奥深い世界、だから面白いのだと思う。
 最後は店前で記念撮影を、また皆で集まれる日がある事を願っています。
 

  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0

外苑前「フロリレージュ」(2017年3月)  

 関西から帰って顔も身体もパンパンに膨れ(笑)、暫しの間ヨコメシ系を遠ざけていたが、二ヶ月前から予約していた店をキャンセルする訳にはいかない、東京でのフレンチ再開は外苑前「フロリレージュ」から始める事に。
 2月にタイ・バンコクで開催された、サンペレグリノ主催「アジアベストレストラン50」に於いて、初登場ながらいきなり14位の上位に選出された「フロリレージュ」、今迄以上に世界から注目される店になった。レセプションの女性が話していたが、英語の電話とメールが急に増えたとの事、個室を含めても20席なので、これから更に席確保が難しく電話も通話中になりそう、今回賞発表前に予約出来たのはラッキーだった(笑)。
 勢いのある店は一歩店内に入っただけで空気感が違う、そして席に案内されると、スタッフ達の緊張感とやる気が、フランス語で云う「アトモスフェール‘atmosphère’」が上質である事を感じさせる。
 まずは川手料理長にランキング入りのお祝いを伝える、応える彼の表情や言動にも自信と余裕みたいなものを感じた、注目される店のスタッフを率いるリーダーは、迷ったり悩んだりしても顔に出せなくなる、それを続けると本物の自信が出来る(笑)。

 新店に移ってから昼に1回利用したが、その時は夜メニューをお願いしたので、ランチメニューは今回が初めて、どう違うかの楽しみもあった、以下に当日の料理を紹介したい。
        170403-1.jpg
・提示された7品構成のランチメニュー、ディナーより4品少なくなる。

        170403-2.jpg
・投影、ふきのとう

     170403-3.jpg
・タケノコ イカ墨

        170403-4.jpg
・旨み、椎茸

     170403-5.jpg
・甘鯛 菜の花

        170403-6.jpg
・分かち合う(宮崎産あかうし藁焼き)

     170403-7.jpg
・切り分けドレッセした皿

        170403-8.jpg
・レモンのソルベ

     170403-9.jpg
・贈り物、アマゾンカカオ

        170403-10.jpg
・奈良産烏龍茶

        170403-11.jpg
・苺のパートフィロ

        170403-12.jpg
・今回のドリンクペアリング

 まずは蕗の薹シフォンケーキの心地よい苦味で目が覚める(笑)、次の筍・烏賊墨パスタ・生烏賊を重ねた料理は、食感の違う素材の組合せで新たな味を構築した秀逸な皿、続く埼玉産原木椎茸はトリュフと重ねる事によって、「旨味椎茸、香りトリュフ」の見事な結合になっている。
 魚料理の鱗を付けて焼いた甘鯛は、大胆な量を乗せた菜の花の食感、香りが「春」を感じさせた。
 そして此の日のハイライトが宮崎産あかうし、確認はしなかったが「鰹タタキ」みたいに藁を使って表面を炙っていると思う、肉熟成はしていないと感じたが、濃い旨味ある赤身肉の食感と香りが口中に広がる。これだけ上質な牛肉は塩胡椒だけで食べたくなるが、其処はフランス料理店の矜持で、トマト水と蜂蜜を使った甘酸味のソースがプラスの方向に効いている、また焼いた肉の上に同じ肉のタルタルを乗せると云う、禁じ手みたいな技にも納得(笑)。日本のフランス料理店の牛肉焼系料理では、あまり感心するものに出会えないでいたが、これは過去国内では三指に入れたいと思った。
 デセールは現在のパティシェールになってから進化していると思う、旧店舗ではデセール単体で完結していたが、現在は料理との相乗で完成する方向と感じる。ドリンクペアリングも先駆店だけあって、ユーモアあるアイディアが面白く、味も高評価したいものだった。
 結果として品数が少なくなった事も忘れる(笑)、充実した料理構成だった。

 正直に云ってしまうと、関西でヘビー級古典フレンチを堪能した後だったので、比べたらフロリレージュは料理軽いだろうと、そう期待は大きくなかった、ところが実際に体験してみると、「これは関西とは違うTokyoならではの料理だ、存在価値は大」と、納得させられた。特に食感や味と香りの方向が異なる食材を組合せ新しい料理にするのは、この料理人ならではの特質。
 これだけ人気店になったので、次の利用は暫く先になるかなと思っていたが、この日の料理が秀逸だったので、思わず次回予約を珍しくも席の空いていた日に入れてもらう事にした、電話も繋がり難いので、その場で予約するのが最良の方法なのは間違いない。もっとも京都の某有名店みたいに、食後「今日、次の予約が取れる日は〇月〇〇日です、希望される方は?」と、店側から持ち掛けられるのも、気分が白ける限りなので、難しい処ではあるが(笑)。
 「世界何位」「星幾つ」とかは、私自身店を選ぶ基準にはせず、かえって眉に唾付けてしまう捻くれた人間だが、少なくともこの店に関しては「14位でも低いのでは?」と思ってしまった。今の東京が世界に誇っていい店の一つだと思う、つい最近発表された「世界ベストレストラン」でも99位に選ばれたと聞く、どうやら上昇は止まる事ない(笑)。


  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0

大阪・布施「パパノエル」(2017関西食べ続け⑨)

 苦しかった食べ続けも遂に最終日、最後に選んだのは、十年来の付き合いになる友人の店、東大阪市布施のフランス料理「パパノエル」だった。
 東京も下町と山の手では街の雰囲気や人間の気質が違うが、大阪もキタとミナミでは相当違う、元々は摂津と河内と云う別の「国」だった事もあり、話す言葉も微妙に違って聞こえる、東京人がイメージする「大阪人」はおそらく南側に住む人達だと思う(笑)。更に言うと同じ南側でも東と西ではまた別の雰囲気になる、「パパノエル」の在る東大阪市布施は近くの鶴橋や八尾も含めて、おそらく「昔の大阪」が一番残っている地域ではないかとも感じている、東京なら墨田や江東区辺りになるか?
 中之島、天満や北浜辺りは再開発が進み、街並も綺麗だが、歩いていても東京と変わらず、あまり面白くない、また難波や道頓堀界隈も外国人観光客(特にアジア系)が溢れているので、日常の大阪を感じたいなら東大阪がいいと思う(笑)。

     170330-1.jpg
 「パパノエル」は近鉄布施駅南口を出て、二条通り商店街へ右折、「フラワーロードほんまち」に出たら左折してすぐの場所、そのまま直進すると布施戎神社がある。

        170330-2.jpg
 店到着は12時だが、店前には既に自転車が数台停まり、「ご予約で満席」の貼り紙も出ていた、土曜昼なのもあって店内は奥様達(マダムではない(笑))で賑わっている、大阪ランチはスタートが早い(笑)。
 入店後、サービスを担当する奥様に挨拶し、入口近くの個室風な席に座らせてもらう、以下に料理を紹介するが、この日使い続けていたカメラの調子が悪くて、前菜とデセールの撮影に失敗した事をお詫びしたい。

     170330-3.jpg
・八尾産若牛蒡と鴨のスープ、牛蒡の葉を蓋にして

        170330-4.jpg
・葉蓋を開けた処

・前菜三種(海老のファルシ、牡蠣とアボガド、アズキハタとラタトゥイユ)画像なし

        170330-5.jpg
・パン二種

     170330-6.jpg
・英虞湾直送の石鯛、ブイヤベース風サフランソース

        170330-7.jpg
・鹿児島牛ミミクリ肉の赤ワイン煮込、干柿、百合根と小松菜

・デセール三種(フルーツグラタン、オレンジのコンポート、ミルクのアイス)画像なし

        170330-8.jpg
・コーヒー

 壺に入ったスープを見て、すぐに「ボキューズだ」と連想した(笑)、P・ボキューズのスペシャリテ‘Soupe aux truffes noires V.G.E’のパイ皮に変えたのは、東大阪八尾の名産若牛蒡の葉、スープ中にも葉と茎に鴨肉団子、これはなかなかの名品だと思った。
 前菜三種もホッと心和む優しい味、食べ続けで疲れた胃にもスンナリ収まって行く。次の石鯛が抜群だった、市場を通さずに漁師から直接送られて来た魚で、身の締り、旨味が抜群、塩焼でも美味しいだろうが、フランス料理の技法によって更に一段上の料理になっている、やはり白身魚の旨さは関西だ(笑)。
 肉料理の「ミミクリ」とは、牛の耳付け根部分で頬肉以上に希少部位、私もたぶん初めて食べるが、頬肉より噛み応えは感じるが肉味があり美味しい、洗練され過ぎない煮込方で、惣菜風な印象もありながら、やはりこれはプロでないと出せない味だ。
 デセールも良かった、牛乳アイスは何処か懐かしく子供時代に帰れる味、母乳の記憶を呼び覚ますのかも知れない(笑)。

 奥田周一料理長は地元出身で、有名調理師学校を卒業し洋食店や神戸のフランス料理店勤務後渡仏、帰国後1986年に布施で独立開業、2003年に現在地に移転した。こう云っては失礼ながら、フランス料理があまり似合わない街で30年続いたのは、地元客の嗜好に合わせる柔軟さがあったからだと思う。
 年齢は私とあまり違わないので、既にベテラン料理人の領域、作る料理にもそうした大人の懐の深さ、穏やかさを感じさせてくれた、此処へ辿り着くまでには色々とあった事は想像するが、今は「信じたこの道を私は行くだけ」と云える境地に至ったのではないか?
 先に現役リタイアした私が云うのも何だが、体力の続く限りは仕事を続けて、此の地で地元の人達に愛される店である事を願っている(笑)。
 店を出た後は近くにある布施戎神社へ旅の無事?を感謝し、不信心者ながら御参りをする事に、日本一大きいとされる戎像があるが、私は布施駅構内にあるサンタさんみたいな「えべっさん」像の方が親しみ易くて好み、この像何処となく友人に似ている(笑)。
        170330-9.jpg

 今回の関西食旅行は例年以上に濃かった(笑)、加齢により短期間に食を詰め込むのは正直辛くなって来ているが、充実した楽しい5日間でした。この間に同行同席していただいた友人、温かく迎えてくれた店の方達に感謝です、また限られた日程のため、今回伺えなかった店の方にはお詫び申し上げます。

     170330-10.jpg
 最後に南海電車で関空へ向かうために、なんば駅の改札を通ったら、左手に見えたのが「南海そば」のスタンド、「そうだ饂飩を食べていなかった」と、止せばいいのにフラフラと吸い込まれ、「きつねうどん」(300円)を食べてしまった事を白状します(笑)。


  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0

大阪・上本町「レストラン・コーイン」(2017関西食べ続け⑧)

 食旅行2日目に「オテル・ド・ヨシノ」に集まった、古典フレンチ好きの重量級選手達との会話で名前が挙がり話題になり、去年私が最も回数行ったレストランの料理人も「一番行ってみたい店」と話していたのが、これから訪れる事になる、大阪上本町の「レストラン・コーイン」だった、向かう方向が同じだと、結果辿り着くのも同じ場所になるみたいだ。「君達が気付くもっと前から行っているぞ」と、思わず自慢したくなるが、そこは笑って「そうですか」と相槌を打つ事にしている(笑)。
 去年は食旅行1日目に訪れたため、その後の訪問店の印象が薄れてしまった、それがあったので今年は日程最終夜に予定を組む事に、在関西の料理人で、やはりこの店に関心を持っていた友人と相席、1年ぶりに「上本町の巨匠」またの名を「無冠の帝王」が棲む館の扉を開く。 
 去年と店内のレイアウトが少し変わり、店奥が円卓から長卓になったが、この席に座らせてもらう、サービスを担当するのが、以前にもこの店で働いていた若い女性、有名調理学校の専門課程卒業生との事で、最近まで渡仏していたそうだ、料理の質問をしても「シェフに訊いてきます」みたいな事はなく、的確に答えるのはさすが。彼女もそうだが、今回の食旅行ではどの店も女性の活躍が印象に残った、今関西の食は女性達が支えている(笑)。

 湯浅料理長に挨拶し始まった濃厚な饗宴、まずは料理を紹介したい、なお後で湯浅氏より料理について説明があり、全部を載せると長くなるので、ブログ公開には適当でないと思われる部分(笑)等は要約し記す事にしたい、『』内がその説明。
        170326-1.jpg
・アミューズ(赤ピーマンのババロア、カニ身、コンソメジュレ、カニみそ)
『カニは鳥取産活ズワイ蟹、熊野牛のコンソメジュレです。』

        170326-2.jpg
・トリュフサンド(手前)とトリュフバター
『「フィセル」(ブランジェリー)のパンドゥミに自家製バターを塗り、オニオンソテーとトリュフスライスを挟みオーブンで焼いています。』(トリュフサンド)
『自家製バターにトリュフアッシェ、コニャック、ポルト酒、藻塩を練りました。レーズンバターのトリュフバージョン。』(トリュフバター)

     170326-3.jpg
・ベレオロール‘Belle aurore’※
『(ファルスは)鴨、鳩、子牛、プーレ、フォアグラ、リードヴォー、猪、鹿、トリュフ、ピスタチオ等です。』

     170326-4.jpg
・鳥取県産ミンククジラのタルタル仕立て、自家菜園の野菜添え
『今はなかなか手に入らない生ミンククジラの赤身。仕入先の鮮魚店が一頭買いしています、(入荷は)2ヶ月に1回位で今回は1トン物です。塩を打ち6時間後常温燻製1時間かけ、上のキャビアも燻製かけています。卵黄は土佐ジロー。』

        170326-5.jpg

     170326-6.jpg
・コンソメクリュスタッセ
『オマール、赤座、足赤の頭でフォンをとり地鶏のササミのミンチでクラリッフェ。SPゲストの予約が入っている時だけ時間を逆算してそのまま(鍋ごと)プレゼンします。』

        170326-7.jpg
・スッポンとアワビの赤ワイン煮
『スッポンは赤ワインと牛のフォンで1時間ほど煮る。縁ペラ部分を使いゼラチン質とコクを楽しんでもらいます。仕上げに軽くアワビを煮込み煮汁を煮詰めてソースにしています。通常なら魚のポアレやブレゼにブールブランやソースヴァンブラン等を合せた皿を提供するのですが、他(店)で沢山食べて来ると予想してこの料理にしました。』

     170326-8.jpg
・ブレス産ピジョンのファルシー

     170326-9.jpg
・同腿肉を使ったトリュフのリゾット
『ピジョンは綺麗に皮を残して、ささ身、フォアグラなどのファルスを中に詰込み全体を皮で覆い焼く、通常でしたらクレピーヌを使いたいところですが、ピジョンの皮でのみで覆うのがポイント、軽く仕上げたいためにそうしました。ソースはジュドピジョンに少しレモンを加えたもの。ガルニチュールはトリュフと保存していた米とピジョンの腿、内臓をフォンドピジョンとトリュフ、ジュドトリュフでブレゼしました。』

・フランボワーズのソルベ(画像なし)

        170326-10.jpg
・ブリュレ
『トリュフと共に保存していた土佐ジローの卵黄でブリュレを作っています。飴のスフレと食べると(食感が通常の)ブリュレとなるようにしました。グラスもトリュフと土佐ジロー卵です。』

     170326-11.jpg
・ミニャルディーズ

     170326-12.jpg
・フレッシュアンフィージョン

※筆者注:料理中の「ベレオロールBelle aurore」とは、リヨンを中心に作られているパテ・アンクルートの一種で、型に入れないで焼く、その形から使っていた枕を連想し、子供時代の想い出から、母の名で呼んだのが料理名となったと伝えられる。

 全部について語ると長くなるので、特に印象に残った料理を挙げると、まずは鯨のタルタル、私の世代は「鯨=給食の竜田揚げ」のイメージがあり、あまり美味しいと云う認識ではなかったが、このタルタルには度肝を抜かれた(笑)、過去食べたどの牛タルタルより美味、これは「知ってしまった不幸」で、もうこれから牛肉では満足出来なくなりそう。友人も「金属バットで殴られたみたいに旨い」と云っていた(笑)。
 次のコンソメも脳髄に突き刺さる味と香り、時間とお金をかけたその一番いい状態を提供する、鍋全部飲みたい位だが、次を考えて一杯で止めておいた。スッポンと鮑で作る魚料理も圧巻、和の食材を使いながらも、王道真中直球のフランス料理にするのは、この料理人ならではの資質だ。
 そして「もう食べられないかな?」と思いながらも完食した、意外にも軽やかな鳩料理に加え、それに添えられたトリュフリゾットが異次元の旨さだった、満腹で少量しか食べられなかったのが心残り、誰も見ていなければ入れ物抱えて帰りたかった(笑)。
 デセールのトリュフブリュレは昨年版よりモダンになっていた、料理人は「私はモダンも作れるのです」との事(笑)。

 何回か通った店は「次はこんな料理が出るのでは?」と、行く前にある程度予想する、多くの店でそれが大きく外れる事はなくなったが、此の店はこちらの想像の斜め上を行く料理が出て来る(笑)。
 料理人の説明を読んでわかると思うが、料理はオートクチュール、食べる側の経験値や体調を考えて調理を変える、料理力に加えて推理力や洞察力も駆使するのでIQも高そう、過去私に何の料理を出したのかも概ね記憶(記録ではない)していると思う、アミューズ以外は殆ど料理がカブっていない。
 自分が海原雄山に料理ともてなしについて説教される山岡士郎になった気がした(笑)、今回の対決?も完敗に終わった。そして何より感心したのが、これだけ食べても翌朝胃が重くなく、ホテルの朝飯を普通に食べられた、これは特筆すべき事。
 記事を読んで此の店に興味を持ったら、ランチよりディナーへ行くべき、更に電話予約時に何故行きたいか理由を伝える事を勧めたい、「このブログを見た」でも構わない(笑)、客側が本気ならそれ以上の本気で応える料理人だから。
 濃い大阪夜の締めくくりに相応しい濃厚なトリュフ料理に酔い、何故か古い歌「アカシアの雨がやむとき」を口ずさんで帰り道を歩いていた(笑)。



  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0

NEW ENTRY  | BLOG TOP |  OLD ENTRY>>


プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

訪問者

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

« 2017 04  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -