最後の晩餐にはまだ早い


亀有「ティア・ブランカ」(4回目)

 この日の昼に向ったのは我家から自転車で行ける距離の、下町亀有の新鋭イタリア料理店「ティア・ブランカ」で、この日が4回目のランチ訪問になる。
 特に予約はしないで11時半の開店時に合せて入店したのだが、既に2名カウンターに男性が座っていた、そのうち一人の声に聞き覚えがあり、前回もいた騒がしいオジサンだった(笑)、この人やたら声が大きいため話が筒抜けで、この日料理人に喋る内容は全て「昔の自慢」(笑)、バブル期に一億で買った店(飲食店?)を一億五千万で売った話等、どこまで信じていいか判らないが、こういう与太話が気軽に出来る食堂は、街中のコミュニティが希薄な今貴重な存在だと思う。こんなオジサンが昼間からワインを飲みながら店主に、「パスタはニンニクたっぷり効かせてくれ」などと話しているのを聞くと、下町亀有も随分変わったなあと思ってしまう(笑)。

 この日のランチ(1,200円)は、

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・ミネストローネ

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・スパニッシュオムレツ、ジャガ芋と自家製ツナのサラダ

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・ルッコラとトマトのサラダ

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・オリーブオイルをかけたバケット

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・ツナとバジルのスパゲッティーニ、トマトソース

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・ティラミスとコーヒー

 これで1,200円は「破格」だ、値段だけでなくどの料理も丁寧で味付けが外れていない、料理長がスペイン人の伯母さんから習ったというオムレツは定番の美味しさ、義父にあたる人が八ヶ岳で自家菜園をやっているそうで、そこで無農薬で作ったルッコラは鮮烈な苦味が後を引く、パスタも初回は少し柔らかいかなと思ったが、今回はジャストな茹で具合だった、回を追う毎に料理が良くなっている感じがする。

 最初客は3人だったが、昼少し前から続々とお客がやって来て、15ある席の殆どが埋まってしまった、あまり教えたくなかった店だが、地元では既に知れ渡り始めた様だ、願わくはガイドブック等には載って欲しく無いのだが、それも時間の問題かも知れない。
 イケメンの料理長は誰かに似ていると思っていたが、ネットを見ていて思い出した、和歌山「オテル・ド・ヨシノ」のシェフ・パティシェだった葛川氏だ(笑)、彼を少しだけ丸顔にした様な面構えだ、いかにも女性にモテそうだが残念ながら?既婚者だそうだ(笑)。

 猥雑だった下町の亀有に忽然と現れた真っ当なイタリアン、このまま地域に根付いて成長していって欲しいと思う、今度は夜にも来てみたい。


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駒込「ふで春」

 この日は今年4月で退職した人の「お祝い会」を開催する事になった、本当はもっと前にする筈だったのが、ご本人にお孫さんが誕生した(我々の世代はもう孫です)事もあり、延び延びになっていたもの。伺ったのは駒込の割烹「ふで春」、初めての訪問になるが、今回は私が選んだ店ではないので気が楽(笑)。
 メトロ南北線とJRの駒込駅から商店街を通って歩き7,8分程、駒込は滅多に来ない場所だが意外と下町的な雰囲気が漂い、下町人間の私にはどこか懐かしい。

 店の外観は割烹と云うより「小料理屋」の様な雰囲気、店内は20席位だろうか、新鮮な魚料理が売りの店だそうだ、この日はあらかじめお願いしていた4,800円の献立からで、

・付き出し

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・椀物 豆乳の冷しクリーム仕立て、じゅんさい、オクラ

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・造り 鮑、鱧、鮪

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・焼物 子持ち鮎、沢蟹、茄子、茗荷、杏

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・揚物 海老、鮎、さつま芋、南瓜、ししとう
・茶そば

 食材の質は高い、造りの鮑は肉厚、鮪もこの価格帯の店では結構良い物だった、最後の茶そばもそうだが本山葵を使っているのは立派。今週から「子持ち」になったと説明のあった鮎、これも美味しい、特に前日のフランス料理での鮎と比較してしまうのだが、この魚はやはり塩焼きに優る調理法は無いのではと思う、でも鮎は一匹位で充分ですね(笑)。
 店内には主人自らが書いた「お品書き」が貼ってあり、これが全て食材の絵、どこか片岡鶴太郎氏描く魚の絵に似ている、このご主人は寡黙そうで厨房からは出て来ないが、食材にはかなり拘りがあると感じた、こういう店ではダラダラ飲んでいるより、とにかく出された物をいち早く食べ残さないのに限る(笑)。
 主人は料理を全て出し終わったら使った包丁を研ぎ出した、今は客がまだ居る時に包丁を研ぐ料理人は殆ど見なくなったが、下町にはまだ居た(笑)。

 上質な魚をいただき、日本酒を結構飲んでも一人7千円位、フランス料理ならビストロ価格だ、でも個人的には西麻布、広尾、神楽坂あたりで一人2万円払う和食店よりこの店位が「分相応」な気がするし、かえって落ち着いて好きだ(笑)。それに食材の質のレベルはそう変わるものと思えない。
 昔一緒に働いた仲間は「戦友」と云う感じがする、話題は老後の話が中心になっても、気持ちだけはいつまでも若く保ちたいものだ、また集まれる事を願って終了となった。
 駒込駅まで歩いて帰ったが、途中賑わっていたのは「立ち飲み屋」(笑)それも女性客が目立つ、今は一回7千円でも「高い店」になってしまうみたいで、客単価3千円が客が入る店か否かの分岐点になっている様だ、外食不況はまだ続いている・・。



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青山「フロリレージュ」(8月)

 この日3度目の訪問になる青山の人気フランス料理店「フロリレージュ」、ようやく店まで迷わずに行けた(笑)、メトロ表参道駅だと青山通りを赤坂方面へ向かい、「フランフラン」の手前の細い道を右折直進、「青山フロラシオン」のある通りに出たら左折し、3本目の道を右折直進、左手に「大塚歯科」のある道を左折する、行き止まりになる気がするが構わずに進むと道が少し右に寄れる、そこを更に真っすぐ進んだ左側奥のビルだ、判りやすく説明したつもりだが、やはり判り難い(笑)要は慣れです。
 私の身内の飲食関係業種で働く人間から、「その予約の取れないフロリレージュに行きたいのだけれど、何とかならない?」と頼まれたのが今回訪問の発端、「何とかならない」ので、予約開始の2ヶ月前の日に休暇を取り朝9時半から電話をかけ続け、何とか席を確保した、勿論自分が行きたいのもある(笑)。今ここまでして利用したいと思うのは東京ではこの店位だろうか。

 真夏の強い日射しの中、指定された12時半に到着、この店は20席だが昼も夜も来客が同時刻に集中しないよう、時間差を設けている。入店は最後から2番目の組になったが、あまり飲まないで食べるのが早いため、出るのは2番目に早かった(笑)。
 昼は4,200円のプリフィクスメニューになるが、選んだ料理は、

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・アミューズ(毎回同じオリーブのパン)

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・駒場東大「ル・ルソール」のパン

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・和歌山産鮎のフリット、きゅうりとサマートリュフ

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・北海道産蝦夷鹿のロースト

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・(鹿の2皿目)蝦夷鹿のクロケット

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・ショコラショーのシューアラクレーム、柑橘(橙?)のソルベ

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・葡萄のコンポート
・エスプレッソ

 前菜は鮎を開いて内臓をファルスにしてフリットにしたもの、きゅうりのジュレがソースだが、料理としては若干未消化な部分も感じた、フリットという調理法のせいか、はらわたの生臭みを少し感じてしまった、鮎は過去に他のフランス料理店でも何度か体験したが、正直言って合う食材とは思えない、「塩焼き」という最適な調理法を知った日本人には厳しいものがありそう。相客が頼んだ定番料理「フォアグラとメレンゲのコントラスト」と途中で皿を交換したが、これは文句ない美味しさ、この値段でよくこれだけ質のいいフォアグラが提供出来ると感心する。
 肉料理の蝦夷鹿は見事な出来、骨付きのままローストした背肉とフィレだが、火入れと豚の血を使ったソースは秀逸、ガルニ(付け合せ)の青梗菜、椎茸、ゴーヤといった和野菜がいい脇役を演じている。この店で必ず出る「2皿目の肉料理」は、鹿肉を挽き肉団子状にしてジャガイモのアッシュを付け揚げたもの、これは1皿目に比べると特に感動する程ではなかった。
 デセールはクリームを熱くした「チョコレートのシュークリーム」、これは美味しい、料理が良くてもデセールが悪いとその日の料理印象が悪くなりがちだ、この店はその点まったく抜かりない。毎回感じる事だが使っている駒場東大前の「ル・ルソール」のパンが美味しい、同価格帯の他のレストランもこの位のレベルの物を使って欲しい。
 この店の料理は主役がハッキリして質量共に充実しているので、「今日は何を食べた」との印象が強く残る、これが東京の他のモダンフレンチとは一線を画すもので、この辺りに人気の秘密がありそうだ。

 店内の客層は若い、利用するためには2ヶ月前の日の朝から電話をかけ続けるとなると、私も含めて高齢層には厳しいのだろう。ディナーも良かったが昼のメニューはかなり破格だ、毎日ほぼ満席が決まっていれば収益は計算可能だし、高原価な食材を使って客に還元出来るというシステムが上手く回っている様に感じた。
 店内のサービスは近藤支配人以下3人、堅苦しく無くクールでスムーズ、いつもどおり退店時に川手料理長が店外で挨拶に出て来た、以前より体型がスマートになった印象、今週末は和歌山に「料理対決」のために遠征するとの事だ(笑)。此処は今乗りに乗っている店と言っていい、予約が取り易かったら毎月でも通いたい位だが、それが実に難しい(笑)。


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出光美術館「東洋の白いやきものー純なる世界」展

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 8月4日から東京・日比谷の出光美術館で開催中の、「東洋の白いやきものー純なる世界」を観に行った。この企画展は「白いやきもの」である白磁と白釉陶器を、これが誕生した中国、「李朝白磁」で知られる王朝時代の朝鮮、更には日本の焼き物を体系的に並べて、その技術の進歩と系譜を追っている。
 「焼物好きが最後に行き着くのは白磁と青磁」と言われるが、私もこの白磁が大好きで、我家の食器類も半分は白磁、器を買いに行くと色々見ても結局は毎回白い器を買う事になってしまう(笑)。白い器で連想するのは三田のフランス料理の名店「コートドール」、最近では一部柄のある皿も使っているが基本白い皿が中心、他店でガラス器や石皿が流行っても、二十年以上変わらずにこれを使い続けていた、器使いにも料理人としての哲学を感じさせるのは、フランス料理の世界では稀有な存在だ。

 白磁が生まれたのは6世紀中頃の中国で、既に存在していた青磁の釉薬から鉄分を取る事によって生れたとされる、誕生にはこの頃より盛んになった東西交易により、西方のガラス瓶や銀器の輝きを陶磁器で表現したいと考えたのが始まりとも言われている、もしこれが事実なら、17世紀に東洋の白磁に憧れたザクセン公国王が、職工のベトガーに銘じて作らせた「マイセン磁器」との対比で実に興味深い話だ。
 王侯貴族が憧れた様に、白い器は長年人々が手に入れたいと願った貴重な物だ、それ程白い色を出すのは難しかった、磁器が発明される前は陶器の表面に白い化粧土を上掛けして焼成する方法が取られた、日本の志野焼や今回出品されている中国・磁州窯の白釉陶器もこの技法によるもの。その後、鉱物のカオリンの発見と窯の改良により、高温による焼成が可能となり、現在我々にも馴染み深い白磁が誕生する事になるが、製法は長い間各地で秘密とされた。

 展覧会は中国・朝鮮・日本の三部門に別れているが、今回に限っては質・量共に中国の圧勝だった(笑)。特に印象深いのは北宋時代の定窯白磁と北宋~南宋時代の景徳鎮窯、それに前述の磁州窯の白釉陶器を加えて、「中国三大色白美人産地」と呼びたい位(笑)。その中でも定窯は世界的に類品が少なく、残されているのはコレクター垂涎の品、大阪の東洋陶磁美術館にも定窯白磁の世界的名品「蓮花文洗」が所蔵されているが、今回の展示品にもこれに似た形の鉢があった、そして全展示品の中から私が選ぶ究極の色白美女は、「白磁長頸瓶」と名付けられた高さ30センチ程の白磁瓶、あたかも浮世絵の「見返り美人」やフェルメールの「真珠の首飾りの少女」みたいに、儚げで刹那的な美を形に閉じ込めた逸品だ、叶わぬ願いだがこれ欲しい(笑)。

 我が日本の代表は徳川美術館所蔵の「白天目茶碗」、16世紀に美濃で焼かれたとされる白釉陶器だが、織田信長が催した茶会でも使われた記録がある由緒正しき物、天目茶碗の本家中国の物に比べると何処か日本的で、たおやかな姿が印象深い。
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 「食」に関わる人なら一度は見ておきたい展覧会、料理は器があって完成するもの、その料理を惹き立てるのは、白磁、白釉陶に優る物はないと思う。


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赤坂「オゥ・レギューム」のパーティー料理

 以前に職場の同じ部署で働いた仲間有志で集まろうという話になり、「何処かいい店を教えて欲しい」と依頼が来た、でもこれが正直難しいのだ、職場から遠過ぎず(これが大事)、そうかと言って近過ぎず(これも大事)、値段が高過ぎず、飲まない女性も参加するので居酒屋ではなく食事中心の店がいいとなると本当に難しい、街中に「和風ダイニング」の店が増えているのは、こうした目的にピッタリ合致するからだろう、今一番お金を使ってもらえる女性に店に来てもらうには、料理も大事だがそれ以上に雰囲気と店員のサービスが重視される気がする。

 私の専門?は横メシ系なので、過去行った中から目的に合いそうな店をWEB上で確認していたら、赤坂のフランス料理「オゥ・レギューム」がHP上で、「ドリンク3杯込みで5,500円(デザート・コーヒーは別)」というパーティープランを提唱していた、「これ面白いのでは」と幹事役に薦めたら、運よく予定の日に予約が取れ、総勢6人でこの店に集まる事になった。

 私が利用するのは約3年振り、この店は2003年オープンなので今年9年目を迎える、今の東京でフランス料理店が9年存続したら「長続き」と言える(笑)、この店のコンセプトである「野菜たっぷり・がっつりフレンチ」が、女性客を中心に支持されて来たのだろう、この日も我々以外は女性ばかりだった。
 そのパーティーメニューの内容は、

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・キッシュロレーヌ、人参のムース

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・バーニャガウダ、アンチョビのソース

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・季節野菜のエチュベ

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・生ハム2種とフルーツ(白桃・メロン)

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・ゴーヤと夏大根のフリット、ビーツのソース

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・新潟産「越乃黄金豚」のロースト、ラタトゥイユとクレソン

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・デザート盛合せとコーヒー(+600円)
(キッシュの皿とデザート以外は大皿料理ですべて6人分)

 ソースたっぷりの濃厚フレンチの良さは理解しているつもりだが、真夏は冷房を強く効かせた室内でそうした料理を食べるより、やはりこの店みたいな野菜中心の料理が美味しいなと感じてしまう(笑)、ましてや今年は全国的に「節電」が命題になっている、食べ物と気候は切り離せないものだ、野菜本来の甘味・辛味・苦味を生かしたこれらの料理を食べていると、身体が清涼になり体温が下がっていく気がする(笑)。
 もちろん普通の野菜ではなく、新潟出身の料理人が厳選した地元直送野菜が中心なので余計美味しく感じる、市場に並んだ野菜が八頭身美女だとしたら、此処の野菜は健康的なアスリート女性という感じがした(笑)。

 参加した女性陣は多分喜ぶだろうと思っていたが、この日集まった男性もこの店の野菜中心料理を「美味しい」と言ってくれたのでまずは一安心、私が働き始めた頃は「大の男は野菜サラダなど食わないもの」みたいな風潮があったが(笑)、今はそれだけ皆が健康志向に変わって来たと云う事だろう。
 美味しい野菜料理のおかげで楽しい集まりになった、野菜が好きな人には是非お薦めしたい店だ。


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神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(8月)

 先月に利用して、料理が好印象だった神楽坂のフランス料理「オー・トレーズ・ジュイエ」に、この日職場仲間と再訪問をする事になった、勤務先からは地下鉄で2駅という近さで、今はまだ予約も取り易いのでありがたい。職場の人間の集まりだと、まず皆の日程を調整するのが難しく、やっと全員可能な日が決まったら実行日までには日が無く、人気店を予約するのはもう無理というケースになりがちだ、此処もやがて人気店になると思うが、今のうちは占有に近い状態で利用出来るので、こういう時は「食べ歩き」を趣味にして良かったと思う、「店は他の人に気付かれる前に行け」(笑)。

 この日は早目の18時開始、前回客席担当だった女性が居なかったので料理人に訊いたら、体調を崩して辞めてしまい今は後任を探しているとの事だ、割と一生懸命やる女性だなと思っていただけにこれは残念、今個人店でまともな人材を引き当て、それを繋ぎ止めて置けるのは、宝くじに当たるより難しいかも知れない。
 普通ならシャンパーニュだが、此処は店主がロワールワインに拘りを持っているので、「クレマン・ド・ロワール」で乾杯した。料理人自ら口頭で説明した全7品(4,800円)のメニューは、

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・スモークサーモンと野菜、野菜のジュレ、キャビア

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・自家製フォカッチャとバケット(カイザー)、オリーブオイル

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・北海道産カスベ(エイ)のポシェ、トウモロコシの再構築、グリーンサラダ

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・桃のスープ黒胡椒風味

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・フォアグラのポワレ、マンゴーとトマト

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・長崎産黒ソイのポワレ、バターナッツカボチャ、ナス、シメジ、ピーマン

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・フランス産ホロホロ鳥のロティ、ブロッコリ、ゴーヤ

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・ブラッドオレンジジュースで煮たサツマイモ、アーモンド?のグラス

 今後のサービスは心配だが、料理については問題なくこの日もいい出来、過去に他店で2回目の訪問時に1回目に気付かなかった欠点が目に付く事があったが、この店はそれが無かった、前菜で印象に残ったのはカスベの料理と桃のスープ、特に後者はこの季節にピッタリのもので、桃の甘さを微かな玉葱の風味と胡椒が引き立て秀逸。肉料理のホロホロ鳥は、最近国産の物も出回っているが、あえてフランス産を使う理由を料理人に尋ねたら、「鳩も鶏も鴨もそうだが、食べてみると国産の物はどうも味が薄いと感じる、自分が納得出来るのは今の処フランス産の方だ」との事、そう言うだけあって、このホロホロ鳥料理は火入れ、食感ともいい出来だった。
 あえて言わせてもらうと、料理のクオリティに比べてデザートが弱かったか、これは料理人もわかっていて、近々冷蔵調理機「パコジェット」を導入予定との事、これからバリエーションはもっと広がると思う。
 全体的には4,800円という価格ではこの内容は立派、食材料はブランド名に拘らず出来るだけ良質な物を仕入れ、宣伝等にはお金を使わず、自店の考えを理解してくれる人に料理を提供したいと思っているとの事だ、厳しい時代なので安定した集客が望めるまでにはもう少し時間がかかると思うが、今のコンセプトを忘れないで欲しいと思う。

 既に完成された店を訪れるのは勿論いい、特に「この日は決めてやる」みたいな勝負日には外すリスクは極力避けたい(笑)、そういう時には「間違いない店」を選びたいもの、でも人生と同じで安全な道ばかり歩いていても詰まらない(笑)、店の成長を見続けると共に自分も成長出来そうな、そんな店を一つは持っていたいと思う、今の私が注目するのはこの店になりそうだ。



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亀有「ティア・ブランカ」(3回目)

 私の好きなTV番組に、BS日本テレビで放映している「小さな村の物語 イタリア」がある、イタリアの各地方にある小村とそこに住む人達にスポットを当て、日常の生活を追った洒落たドキュメント番組だ、観光客も訪れない地味な小さな村で地に足を付けた生き方、今様に言えば「スローライフ」を実行している人達の日常はとても素敵だ。この番組の中に出て来るのが、その村にあるリストランテやバール、これがまたどの店も味があり、ミシュランに載る店が「浮世の店」なら、これは「常世(とこよ)の店」と呼びたくなる様な、いい雰囲気を出している。最近通う様になった、実家のある亀有に昨年出来たイタリア料理店「ティア・ブランカ」の食卓に座っていたら、急にこの番組に出て来る小さなリストランテを思い出した。
 この日3回目の訪問になったが、昼のパスタランチ(1,200円)の内容は、

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・自家製ソーセージとキャベツのスープ

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・カポナータ、自家製ツナとジャガイモのサラダ

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・イカとムール貝、生トマトのスパゲッティー

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・苺のジェラート、コーヒー

 前2回の前菜はスパニッシュオムレツだったが、今回はよりイタリア料理店らしいもの、キャベツのスープもカポナータも優しい味、3種あるスパゲッティーから選んだのは、初回と同じくムール貝を使ったもの、この小粒なムール貝が美味しい、フランス・ブルターニュ地方を訪れた時に体験した、モン=サンミシェル産のムール貝に似ている、現地の人が話していたが、ブルターニュでは大粒より小粒の方が高価だそうで、この店で使っているのは何処産なのか不明だが、パスタに合う美味しい物だ。ただドルチェのジェラートは既製品みたいで、これはもう少し何とかしたい、でも1,200円と云う値段を考えたら、本当によく頑張っているなと思うし、どの料理もピントがずれていない。

 始めは私一人だったが立て続けに4人来店し、その中の一人が70歳ぐらいの男性、既に何回も訪れているみたいで、カウンターに座って料理中の店主と話し始めた、声が大きく店主も負けずに声が大きいから話が全部筒抜け(笑)、「この店は、雰囲気がいいんだよな」と言うのには、失礼だがちょっと笑ってしまった(笑)。
 私もリタイア中に感じていた事だが、日本では高齢者それも男性の居場所が無い、せいぜいパチンコ店位という寂しい状況だ、スペインの「バル」、イタリアの「バール」みたいに、そこへ行けば店の人や同年代の仲間と会え、サッカーの話で盛り上がれる、そうした場所が日本にもっと欲しいと思っていたが、少しずつだがこうした店も出現し始めている。

 不況下に飲食店が生き残るのには、マスコミに頼るより、こうした地域のリピーターを増やすのが大事なのではと思う。
 下町リストランテとしてこれからも頑張って欲しい店だ。


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田丸公美子著「目からハム」(文春文庫)

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 今話題になっている言葉に、「職場で(席が)隣の人に、メールを送るのは駄目人間」と云うのがあるらしい(笑)、これは私も実際に職場で経験している、もちろん来た以上は失礼と思い返事も出したが、何か釈然とせず不思議に思っていた。更にはスポーツの試合後インタビューを聴いていると、欧米人選手に比べ日本人選手は自分の考えを表明するのが下手だ、勝った時は「気持ち良かった」とか「楽しかった」、敗れた場合は「口惜しいです」で終わってしまう(笑)、だいぶ前にTVで見たのだが、ドイツのサッカー選手がW杯で敗れた試合を振り返ったインタビューは立派だった、試合展開を分析し自分達に足りなかったものは何か、冷静に答えていた場面は印象に残っている。
 どうやら日本人は「自分の考えを言葉で表す事」が大の苦手だ、その理由については、この田丸公美子さんの「目からハム」(文春文庫)を読み長年の疑問が氷解した、日本人は平安の昔から感情を文章で表す事は得意だが、言語として相手に伝える事は苦手だったのだ、「黙って俺について来い」で指導者になれてしまう(笑)。

 この本は面白い、著書はイタリア語通訳として40年近いキャリアを誇ると共に、エッセイストとしても活躍、第一作の「パーネアモーレ」は著者お得意の下ネタが満載の抱腹絶倒の奇書だった、なお著者のニックネームは「シモネッタ」だ(笑)。今回は残念ながら?下ネタ度は低くなり、著者の専門分野である通訳と言語、そして国際理解について語っている、随所に参考にすべき金言がある、その一つとして、或るイタリア人デザイナーの講演時の発言、
「デザインとは単にモノのフォルムを考える行為でも、一朝一夕に思いつくものでもない。まず、自分自身の内面や感性を豊かにする体験や地道な研究を日々重ねることが大切だ。異文化の美術展や音楽会にも足を運び、哲学や美学の勉強もする。薄っぺらな知識と内面からは、決していいデザインは生れない。」
 これなど「デザイン」を「料理」に、「モノのフォルム」を「食材の組合せ」に変えれば、そのまま料理人にも当てはまりそうだ(笑)。

 更には、著者自身の言葉で。
「私の経験で言っても、二十代の記憶力は抜群で、大量かつ難解な専門用語も直前に一度見るだけで、そのまま脳にヴィジュアル・インプットができていた。が、いかんせん若いだけに、背景となる社会知識と現場経験に乏しい。今、五十代、常識や知識の量は多くなったものの、新しい単語が、もどかしいくらい覚えられなくなった。しかも、すぐに忘れる。 (中略)つまり、十分な経験を積み理解力が増したころには、記憶力や瞬発力が衰え始めるのである。世の中は、ほんとうに皮肉にできている。」
 これも料理人も含めて、あらゆる分野の「仕事人」に言える筈だ(笑)。
 文字で覚えただけの知識でなく、「異文化との遭遇」の現場に日々立ち会った人だけに、直感と観察力の冴えは素晴らしい、言語は無理としても気持ちだけは「国際化したい」と思う人間には一読をお薦めしたい(笑)。

 なお書名の「目からハム」は、日本の「目からウロコ」と同じ意味で、イタリアには本当にこうした言葉があるそうだ(笑)。
(文春文庫 ISBN 978-4-16-780158-8)


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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