最後の晩餐にはまだ早い


駒込「ふで春」

 この日は今年4月で退職した人の「お祝い会」を開催する事になった、本当はもっと前にする筈だったのが、ご本人にお孫さんが誕生した(我々の世代はもう孫です)事もあり、延び延びになっていたもの。伺ったのは駒込の割烹「ふで春」、初めての訪問になるが、今回は私が選んだ店ではないので気が楽(笑)。
 メトロ南北線とJRの駒込駅から商店街を通って歩き7,8分程、駒込は滅多に来ない場所だが意外と下町的な雰囲気が漂い、下町人間の私にはどこか懐かしい。

 店の外観は割烹と云うより「小料理屋」の様な雰囲気、店内は20席位だろうか、新鮮な魚料理が売りの店だそうだ、この日はあらかじめお願いしていた4,800円の献立からで、

・付き出し

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・椀物 豆乳の冷しクリーム仕立て、じゅんさい、オクラ

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・造り 鮑、鱧、鮪

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・焼物 子持ち鮎、沢蟹、茄子、茗荷、杏

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・揚物 海老、鮎、さつま芋、南瓜、ししとう
・茶そば

 食材の質は高い、造りの鮑は肉厚、鮪もこの価格帯の店では結構良い物だった、最後の茶そばもそうだが本山葵を使っているのは立派。今週から「子持ち」になったと説明のあった鮎、これも美味しい、特に前日のフランス料理での鮎と比較してしまうのだが、この魚はやはり塩焼きに優る調理法は無いのではと思う、でも鮎は一匹位で充分ですね(笑)。
 店内には主人自らが書いた「お品書き」が貼ってあり、これが全て食材の絵、どこか片岡鶴太郎氏描く魚の絵に似ている、このご主人は寡黙そうで厨房からは出て来ないが、食材にはかなり拘りがあると感じた、こういう店ではダラダラ飲んでいるより、とにかく出された物をいち早く食べ残さないのに限る(笑)。
 主人は料理を全て出し終わったら使った包丁を研ぎ出した、今は客がまだ居る時に包丁を研ぐ料理人は殆ど見なくなったが、下町にはまだ居た(笑)。

 上質な魚をいただき、日本酒を結構飲んでも一人7千円位、フランス料理ならビストロ価格だ、でも個人的には西麻布、広尾、神楽坂あたりで一人2万円払う和食店よりこの店位が「分相応」な気がするし、かえって落ち着いて好きだ(笑)。それに食材の質のレベルはそう変わるものと思えない。
 昔一緒に働いた仲間は「戦友」と云う感じがする、話題は老後の話が中心になっても、気持ちだけはいつまでも若く保ちたいものだ、また集まれる事を願って終了となった。
 駒込駅まで歩いて帰ったが、途中賑わっていたのは「立ち飲み屋」(笑)それも女性客が目立つ、今は一回7千円でも「高い店」になってしまうみたいで、客単価3千円が客が入る店か否かの分岐点になっている様だ、外食不況はまだ続いている・・。



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人はそれぞれに「見方、感じ方、考え方」が違います。私が美味と思ってもそう思わない人が居て当然です、味覚とはそれだけ不安定で不完全なもの、あくまでも筆者個人の嗜好による記事である事を承知の上で読まれてください。
主な出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原等地下鉄千代田線・日比谷線沿線の店。記事の店を訪れる際は、営業形態や時間が変わっている事があり、事前に調べてから行かれてください。
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