最後の晩餐にはまだ早い


浅草「オマージュ」(9月)

 平日休みのこの日は、遠方からグルメ友達がやって来て、浅草のフランス料理「オマージュ」に昼間集まる事になった。少々間が空いてしまったなと調べたら、前回訪問が今年の三月末で、半年ご無沙汰していた事になる、旧店舗の頃は毎月の様に訪れていたが、興味を無くした訳ではなく、すっかり人気店になり週末昼などは相当前でないと予約出来なくなったりしたものだから、これまで通い続けていた私は、他の客のため少し遠慮した方がいいかなと思ったのと、もう一つはプロ野球球団の二軍打撃コーチが一軍の四番打者に対するみたいな気持もあった、「東京フレンチ」で例の「食べログ」を検索すると、店のランクでは東京全体でも17位、「シモムラ」「L’AS」「ラール・エ・ラ・マニエール」といった人気店の上を行っているのだから、この店の開業当時の頃を知っている人間にとっては、まさに「羨望と嫉妬」以外ない(笑)。

 12時の入店時には既に7割の入り、その後1卓を残してほぼ満席に、我々以外は全て女性客で、壮年男性4人のグループは明らかに浮いていた(笑)。この店は駅からのアクセスは決して良くないが、それでも平日昼にこれだけ集客力があるのだから、やはり料理に魅力があり、支持されているという事だろう。
 この日の料理は6,300円の昼メニューからで、

・グリーンオリーブとポンディケージョ

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・大分冠地鶏のバロティーヌとそのジュレ、セップ茸のムース添え

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・駿河湾産フレッシュ・ラングスティーヌのポワレ、ソース・コラリーヌ

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・鹿児島産クエのポワレ、二種(九条葱・千住葱)の長葱、クエと鶏のジュのバターソース

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・ノワール・ド・ビゴールの肩ロース、ロックフォール風味のヴィエノワーズ

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・シガーを模したショコラ、ミントのジュレ

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・ミニャルデーズ(人形焼、「浅草小桜」かりんとう)

 荒井料理長の料理は一時期「浅草のテロワール」を意識して、和の食材や調味料を頻繁に使い、細やか過ぎる位に細部まで神経を使っていたが、そうした面は少し変って来たかなという感じも受けた、今夏にフランスとベルギーまでレストラン体験に行って来たとの事で、その影響もあるかも知れない。
 料理の全体的な味付けは以前よりメリハリを効かせる様になった、クエのポワレのソースは海水濃度をイメージしたのか、少し塩辛いのではと感じる位、当然ワインと合せる事を意識していると思うが、この日の昼に集まった女性客の席を見ても殆どが「水だけ」(笑)、このあたりが日本のレストランのランチタイムの難しい処だとは思う。

 どうしても価格帯の近い、青山「フロリレージュ」と比較したくなるが、それで気が付く事は、メニュー内のメイン料理の比重を大きくして「起承転結」を付けた方が良いとか、デザートやパンはもう少しクオリティを上げて欲しい気もする。これは料理人もおそらく判っている事とは思う、別の見方をすれば、これだけ人気店になってもまだ「発展途上」だというのは、更に今後の楽しみがあると解釈すべきなのだろう(笑)。
 サービスは山田支配人とマダムが中心となり、過不足なく快適に過ごせる、特にマダムは「レストランのマダム」が身に付いて、以前より余裕が出て来た様に感じた。

 レストランは成長し変貌するもの、青年期の急激な上流、中年期の安定した中流、壮年期の大海に注ぎ込む直前の下流と、大河に流れに例えて言えば、この店は青年期を卒業して中年期に入ったあたりだろうか、まだまだ先は長い筈だ(笑)。



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南千住「パスティチェリア・バール・アルテ」(9月)

 明歴2年(1656)、江戸幕府はそれまで日本橋にあった吉原遊郭を、江戸城から鬼門の方角(北東)にあたる浅草郊外の日本堤へ移した、江戸の人口増加により市中での遊郭営業に支障が生じたためで、以降この場所が江戸を代表する「歓楽地」となる。吉原近くには遊郭の送迎車夫など関係者が定住、また東照宮開山により、日光へ向かう旅行者向けの木賃宿が増加した、この一帯が「山谷(さんや)」になる。第二次大戦後この地は、建設作業に従事する日雇労働者を集める場に変貌し、日本の高度経済成長期を陰から支えた、その後バブル経済崩壊により建設労働需要は減少、山谷は元日雇労働者や路上生活者が定住する場所となって街の活気は失われていた、ところが労働者達が利用していた簡易宿泊所の安さに目を付けたのが、バックパッカーなどの外国人旅行者、1泊2~3千円で泊まれるため、皆この地を目指すようになった、今は山谷と云う地名は無くなったが、現在ここで目立つのはその外国人と高齢化した元日雇労働者達である。
 以上私がまとめた「1分で読む山谷の歴史」だ(笑)。

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 前置きが長くなったのは、この日3回目の訪問になるイタリア料理店「パスティチェリア・バール・アルテ」がある山谷という土地を知ってもらいたいからで、失礼ながら東京でも一番横文字レストランが似合わないディープな場所だと思う(笑)、それでいてこの店で提供されるのは極めて真っ当な直球料理、イタリアの街中のリストランテやトラットリアを連想させる骨太な料理が体験出来るので、初めて訪れる人はそのギャップに驚くと思う。
 雨上がりの蒸し暑さの中、南千住駅から歩いて店に到着、この日も前2回と同じく2,100円のランチメニューを注文する事にした。

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・アンティパストミスト(上から時計回りに、茸のスフォルマート、鰻の薫製、鶏肉の冷製、カポナータ、バカラオのクロスティーニ)

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・茸のリゾット

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・もち豚のボルペットーネ

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・ドルチェ盛合せ(ティラミス、カッサータ、エスプレッソのアイス)
・エスプレッソ

 この内容で2,100円は価格破壊的、家賃の高い都心ではこの値段では絶対無理(笑)。最初のアンティパストだけでも結構な手間を掛けている、茸のリゾットは日本米を使用しているとの事だが、火入れはジャストで味わいも穏やか、メインのボルペットーネとはイタリア版ハンバーグで、練肉の旨味と下に敷いた白インゲン豆のトマト煮込との相性も抜群、ドルチェはどれも奇をてらわず正攻法で美味しい、この料理人は菓子職人出身なのでドルチェはお手の物だ。
 食後、料理長と話をさせてもらったが、この店は元々洋菓子店で現料理人の父親が始め、その後2005年にイタリア料理店を併設し現在に至っているそうだ、不躾ながら単刀直入に、「料理長位の実力があれば、都心で勝負する事は考えなかったのですか?」と訊いてみた処、「考えないでもなかったが、父親が飲食店は家賃を払ってまで儲かる商売ではないと常々言っていたので、この地でこの自店舗で続けて行くつもりだった」との答えだった。

 この店はもっと知られていいと思う、デパートの中に出店している様な「イタリア料理風」なイタリア料理店とは一線を画す、正調な料理が体験出来る店だ、併設のショップで販売しているスイーツ類も、華やかさは控え目だが実質的で美味しい。
 この日も美味しくて安くてお腹一杯になった、浅草やスカイツリー見物の際には、この店まで足を延ばす価値ありです(笑)。


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「フランシス・ミオ」のコンフィチュール

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 フランス帰りの知人からお土産にコンフィチュール(ジャム)をいただいた、最近WEB等で名前を見る様になった、フランシス・ミオ社のものだ。この‘Maison Francis Miot’はフランス南西部ピレネー山岳地帯の主要都市ポー近くにある、UZOSという町(村?)に本拠地を置くジャムメーカー、最近フランス国内で注目されていて、日本にも輸入されているが値段が高い(笑)、ネット通販では340g瓶入りのストロベリーが1,785円で販売されている、フォション製より高価だ。

 名前を聞いた事はあったが今回初めて味を体験する事に、もらったのはブラックチェリー(Cerise noire)とフランボワーズ(Framboise)の2種、フランボワーズから開け早速トーストに塗ってみた、濃度も粘度も高く鼻に近付けただけで凝縮した果実の香りがする、食べてみると濃厚な果実味が広がって美味しい、よくラングドックやローヌの赤ワインを評して「ジャミー(ジャムみたい)なワイン」と悪口?を言う事があるが、そのイメージに近い気がする(笑)。

 今迄にフランス製のジャムで特に美味しいと思った物に、アルザス地方ニーデルモルシュヴィル村の「クリスティーヌ・フェルベール」がある、以前毎年の様にフランスに行っていた頃は、パリのボン・マルシェ別館「グラン・エピズリー」で必ず買って帰っていたものだ、それとの比較で言えば、繊細さのフェルベールに対して濃縮した果実味のミオ、という感じだろうか、これは製法の違いと云うよりも、材料の違いではないかと思う、冷涼なフランス北東部と温暖な南西部では、果実の育ち方・味が違う筈、更には消費する人の好みも変わる、アルザスワインと南西部ワインの違いと言えばワイン好きの人は判ってもらえそう(笑)。
 個人的にはヨーグルトに加える時や、料理に使うならフェルベールで、パンに塗るならミオと云う印象だ、どちらも優れた製品である事は間違いない。

 昔は「フランスのジャム」と言えば「ボンヌママン」位しか日本では入手出来なかったが、その後「フォション」や「エディアール」といった高級食料品店の物が入って来るようになった、そしてそれに飽き足らない人達が見つけて来たのが、更に小規模なパティスリーの製品だ、個人的には日本では高価なので滅多には買わないが、人気があるのはやはり美味しいからだと思う。日本国内でもこうした小規模なジャム製造のショップが出来ているが、どうも日本の物は総じて甘味と濃縮度が足りない、糖尿病患者用のジャムではないかと思う物もあった(笑)。

 ここ数年、日本のパンが美味しくなったと感じているので、このジャムの分野でも、いつか本場フランスを超える製品を作るメーカーやショップが現れて欲しいものだ。


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麻布十番「ビストロ・コティディアン」

 「麻布十番にいいビストロが出来た」と云う噂は去年から聞いていた、料理人は名門校のエコール辻を卒業後渡仏、「ミッシェル・ロスタン」「ピエール・ガニエール」「ルカ・キャルトン」等錚々たる名店の調理場で働き、帰国後は「キャスクルート」「ブラッスリー・オザミ」の料理長に就任後独立したとの事だ。興味を持ったのはフランスでの修業先からすると、高級店の料理長になるキャリアだと思うが、独立に際し「ビストロ」を選んだ理由も知りたくなった、たまたまFacebookでこの料理人と「友達」になる事も出来たので、この日平日休みのランチタイムに伺う事にした。

 店の名前は「ビストロ・コティディアン」仏語で「日常」の意味だ、場所はメトロ南北線の麻布十番駅から歩いて5分のビル2階で、1階にはフランス人経営のパティスリーがある。店のWEBページには「パリの路地裏にあるビストロをイメージしています」とあったが、パリのビストロでこれだけ綺麗で明るい店は見た事ない(笑)。席数は20で厨房が2人、店内サービスも2人でWEB情報ではマダムとベテランソムリエのコンビとあったが、ワイン担当は最近交替したのか若い女性だった。

 ランチメニューは1,800円のプリフィクスで前菜7種、メイン4種、デザート4種から選ぶ、この他に「カスレ」のメニュー(3,500円)もあり強く心惹かれたのだが、今日はこの店のスペシャリテとされる「シュークルート」を食べてみたかったので、カスレは次回の楽しみにした(笑)、選んだ料理は、

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・秋刀魚のマリネとクスクス、バジルのソース

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・バケットは近所の「ポワンタージュ」、評判通りの美味しさ

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・「ライヨールナイフ」も数種あるが、これは水牛の角を柄に使った高級品、欲しいけど高い(笑)。

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・岩中豚ソーセージのシュークルート(+900円)

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・シュークルートならやはりこれです(グラス1,000円)

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・くるみと黒糖のタルト、キャラメルアイス添え

 秋刀魚のマリネはバジルソースを周りに置き、ビストロらしくないヴィジュアル、少しだけ「ガニエール」を感じた(笑)、期待していたシュークルートは期待以上、アルザスのレストランでは皿に「特盛り」されて作りも雑(笑)、この店では量も味付けも日本人仕様になっているが、料理の美味しさではフランス以上だと思う。またデザートもパリのビストロでは量が多く、ただ甘いだけであまり感心する物に出会わないが、この店のタルトとアイスは丁寧な出来で美味だった。
 今は「フランス料理を味わうなら、フランスへ行かないと駄目」とは言わないが、やはり現地で現地の人達が食べる料理を経験していると、この店の料理のクオリティと志の高さがより理解出来る、この料理人は日本人が美味しいと思うツボを十分心得ている。

 店内は女性客を中心に8割の入り、予約なしで来た客も数人居た、フランスでは滅多に見ない「女性の一人飯」も二人居たが、確かにこのビストロなら女性一人でも入り易そうだ(笑)。
 食後に須藤料理長と少し話をする事が出来た、職人気質であまり饒舌なタイプではないが、料理にかける「熱さ」は伝わって来る。偶然だが私が2002年にパリの「ピエール・ガニエール」を訪れた時に厨房にいたとの事だ。一番聞いてみたかった「独立するにあたり何故ビストロを選んだのですか?」と云う私の問いには、「若い時からフランスのビストロが大好き、理由は美味しいから。フランス修業中もビストロばかり食べ歩いた、(だから)ビストロを開く事しか考えなかった。」との答えだった。
 「釣りは鮒に始まり鮒に終わる」と云われるが、フランス料理も「ビストロに始まりビストロに終わる」のかも知れない、私もこの店みたいな美味しいビストロなら大好きだ、お腹一杯で幸せな午後になった、ここはまた近い内に訪れたいと思う、その時はカスレだな(笑)。


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六町駅前「にこにこパン」

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 私は体調を崩したため、3年前に一時仕事をリタイアしたのだが、自宅療養?をしていた時にまず実行したのが「パン屋探し」だった。
 このブログでもパンが大好きなのは書いたが、それまでは電車に乗って遠方の有名ベーカリーまで買いに行く事が多かった、勤務先から交通費が支給されるので、定期に乗り越し料金さえ払えば実際の出費は少なくて済む、富ヶ谷の「ルヴァン」や新松戸「PAO」、プランタン銀座内の「ビゴ」等は数えきれない程通ったものだ。ところが勤めを辞めると当然交通費は全て自腹になる、無収入の身でパンを千円分買いに行くのに、往復の交通費も千円近くかける訳にはいかなくなった。そこで考えたのが「交通費のかからない自転車で行ける距離にあるパン屋探し」だった。
 お金はなくなったが時間は幾らでもある(笑)、まずはWEBで自宅から行けそうなパン屋を探す事から始め、気になる店を次々と訪れてみた、中には往復で1時間以上かかる処もあった(笑)。

 それでもなかなか気に入った店は見つけられずにいたが、一年近く経った頃やはりパン好きの知人から、「つくばエクスプレスの六町駅近くに最近出来たパン屋がなかなか良かった」と情報を得た、六町なら我家から自転車なら20分位で行けそう、これを聞いた翌日には早速行ってみる事にした、それが今回紹介するベーカリー「にこにこパン」の初訪問で、此処のパンを食べてみて、「まだ発展途上だけれど、この店のパンなら納得出来る」と思い、以降はあまり浮気?をしなくなり、遠方へパンを買いに行く事もなくなった。

 私が好きでよく読んでいるのが、「足立区のパン屋さん・台東区のパン屋さん」とのタイトルのブログhttp://ameblo.jp/shinonao/。情報の少ない東京下町のパン屋を紹介しているが、何より筆者のパンとパンを作る人への愛情が感じられる。これで得た情報によると、此処の店主加藤氏は千葉の船橋で小さなパン屋を営んでいたが、オーナーは別だった事もあり、自宅の近くで独立開業する事を計画し、パートナーと共に2010年2月に現在地で開業したそうだ。
 店名は「子供からお年寄りまでみんなに来てもらえる、地元に愛されるパン屋さんにしたい」いう思いから付けたとの事。店内には小学校の教室をイメージした様なイートインスペースもあるし、玩具も置いてあり子供を連れて来てもパンを選べる店作りにしている。店へ入ると緊張を強いられるようなパン屋もあるが、この店へ入ると不思議と笑顔になれる気がする(笑)、レストランも同じだが食べ物は愛情だなと思う、決して才能だけでは美味しい物は作れない。
 肝心のパンの味は店主の性格を反映してか、尖った所のない穏やかな優しさで店名そのまま、都心に比べれば値段も良心的だと思う。

 もし「つくばエクスプレス」に乗る機会があったら、少し遠出してこの店に寄ってみる事をお勧めしたい、きっと笑顔になれる筈(笑)。
(店のURL http://niko-pan.jp/


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神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(9月)

 今年初訪問したフランス料理店の中では、私のストライクゾーンに一番合致したのが、牛込神楽坂駅近くの「オー・トレーズ・ジュイエ」、この店の4,800円の夜メニューはリーズナブルながら内容充実、技術も味のポイントも焦点が合っていて、これはいい店だとすぐ再訪問したが、この店のランチメニュー2,300円も一度体験してみたくなり、平日休みに訪れる事にした。
 最近は「労多くして益少ない」ランチタイムに営業しない店も増えている、特に平日はお酒を飲まないランチマダムが中心になるので、2~3千円のランチメニューで水だけ飲む客だと正直言って店側も辛い処だ、だからと言って昼間店を閉めてしまうと、店周辺地域の活性化に繋がらない、この辺りの判断が難しい。ただ平日休みのある私にとっては、昼に営業してもらえる店は嬉しいのだが(笑)。

 今年は本当に暑い、9月に入っても30度越えの日が続いている、ただこの店は都営地下鉄の駅からは歩いて2分、東京メトロの神楽坂駅からでも5分なので、炎天下にあまり歩かないで行けるのはありがたい(笑)。
 佐藤料理長と最近入店したばかりと聞く若い男性スタッフに挨拶し、席に着いて今月のランチメニュー(2,300円)をいただく事に、

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・アミューズ(北海道産仔羊の胃トマト煮込)

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・スモークサーモンとパンツァネッラのタンバル、オレンジのヴィネグレット

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・オーストリア産HIEDLERは「皇女エリザベート」を思わせる様な気品ある白ワイン

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・蟹と鮮魚(函館で獲れた「ハゴトコ」)のシューファルシー、トリュフ風味のジュ

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・若鶏(大山地鶏)のクレソンソース

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・梨とドライフルーツのクルスティヤン

 佐藤料理長の料理の特徴は、繊細なフランス的エスプリと野菜の使い方の上手さだと思うが、このランチでもそれが十分感じられた、勿論この値段では高級食材は使えない、例えば「パンツァネッラ」はパンを使った「パンサラダ」みたいなもの、「ハゴトコ」は北海道沖にいるアイナメの仲間で、地元では通常は食用にしていないそうだ、こうしてあまり高価では無い食材を上手く利用している。2,300円でもちゃんとしたフランス料理を作れる技術のある人が、8,400円のランチを作れないと云う事は無い筈(その逆はあっても)、この料理も蟹をオマールに、大山鶏をブレス鶏に変えれば4~5,000円取れるし、それを花や絵に囲まれた天井の高いダイニングで、黒服のイケメンサービスが笑顔で皿を運べば6~7,000円になる(笑)。

 食後、料理長と話をしたが、彼はフランスで働いた後、日本に帰って来てすぐに雇われ料理長を任されたためか、あまり日本の料理界事情を知らず知己もそれ程多くないみたいだ、でも料理を食べてみて、それがかえって良かったのではないかと思っている、「厳しい師匠の下で何年働いた」とよく書かれるが、良い部分も吸収するが悪い部分も受け継いでしまった料理人に出会う事もある、佐藤氏にはそうした誰かの影響は感じられなかった。

 このランチはかなりお得だ、これはメニューが変わる毎(一ヶ月)に訪れてみたい気もする、安月給の私でもランチなら毎月通えそうだ(笑)、でもこの日も予約なしで現れた女性客もいたので、やがて人気店になりそうな気がする。


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三色パンの想い出

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 私が街中のパン店で見かけるとつい買ってしまうのが「三色パン」、これが子供の事からの好物だった。
 画像の様に三個の丸パンがくっついた形をしていて、それぞれ別の中身(フィリング)が入っている、ウィキペディアによると現在は「カスタードクリーム、チョコレートクリーム、つぶあん」が一般的だが、かつては「カスタードクリーム、チョコレートクリーム、苺ジャム」も多く見られた、とある。つまり一個のパンだがクリームパン、チョコレートパン、アンパン(またはジャムパン)という三つのパンの要素が楽しめるという贅沢なもの(笑)。

 私が子供の頃はもっとポーションが大きくて、中身は「クリーム、チョコ、苺ジャム」の組合せが多かった、このうち苺ジャムはどうも苦手だった、当時のジャムは人工甘味料と人工着色料のオンパレード、あの毒々しい色と苺の酸味は好きでなかった、そのためパンの横腹を指で開け、中に入っているものを最初に確認し、必ずジャム→クリーム→チョコの順で食べていた(笑)、つまり好きな物は最後に残していたのだ。
 我家は大家族で兄弟も多かったので、菓子パンを買う時は「一人一個」と決まっていた、この時に三色パンは一個とカウントされるので(笑)、私はこれを買ってもらう事が多かった、子供心に一つで三種類の味が楽しめるこのパンは、まさに「味の宝石箱」だった(笑)。

 その三色パンの姿を見る機会が減ったのは寂しい事だ、子供達が菓子パンよりコンビニスイーツやスナック菓子を好む様になったからだろうか、そう言えばパン店で子供の姿を見る事が少なくなった、皆ハンバーガーショップやコンビニへ向かってしまうのか、更には思春期になるとダイエットを気にして、一個で三種類の味を楽しめるパンを有難いと思わなくなってしまったのかも知れない。
 でも私にとって三色パンは子供時代の大切な想い出、これを一口食べれば、狭い家、狭い横丁、狭くて猥雑な商店街にあったパン屋など、あの懐かしい昭和30年代後半が甦って来る気がする、ちょうどプルーストにおける「紅茶に浸したマドレーヌ」みたいなアイテムだ(笑)。

 なお現存する三色パンを追った秀逸なレポートを見つけたので、興味のある人には一読をお薦めしたい。
http://portal.nifty.com/special04/12/13/

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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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