最後の晩餐にはまだ早い


2012年「印象に残った店」

 今年最後のブログ更新となるので、今回は「今年行って印象に残った店」を、その料理と共に挙げておきたいと思う。
 まずは新年第一回目の食べ始めに行ったのが、青山の超人気フランス料理「フロリレージュ」の「仏産ピジョンラミエの揚げ炙り」。

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 フロリレージュはこの後も2回訪れたが、「今、東京なら何処?」と訊かれたら、やはりこの店だろうか、そう簡単に予約は取れないが、仮病を使って?勤めを休んで電話をかけ続けるだけの価値はある(笑)、ディナーもランチも値段以上の満足度大。

 2月に旅行した関西からは、まずは和歌山「オテル・ド・ヨシノ」の「ショーソン・オ・トリュフ」の皿、これは見た目同様もの凄い料理だった、この時が今年最高支払額の筈だが、それでも断然安いと思った、これを食べた後は夜中に目が醒め、身体が妙に火照る異変が起きた(笑)、この位の量を食べないと「トリュフは媚薬」と言えない気がする、これを書いている今日は大変寒いのだが、学習効果なのかこの画像を見ただけで身体が温かくなった気がする(笑)。

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 その2日後に行ったのが大阪・上本町「コーイン」で、その時のメインが「ブレス鶏のベッシー包み、トリュフのライスボール」、これも超絶な凄い料理だった、とてつもなく手間をかけ、材料を入れ込んだグランドメゾンの料理だが、それを3人の狭い厨房で「本家」以上ではないかと思える程に、完璧な料理として仕上げる此処の料理長は只者でない、ゴー・ミヨ風に「今年の料理人」を選ぶならこの人しかいない、恐ろしいまでに醒めていながら火傷をしそうな位に熱い料理を作れる稀有の才能、私の知る限りにおいて、今の日本では指折りではないか。

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 今年の前半戦(1~6月)はこの3店で決まり(笑)。

 後半戦開始の7月に初めて訪れたのが、神楽坂の一日10人限定のフランス料理店「オー・トレーズ・ジュイエ」、この時の料理に何か光るものを感じたので、この店には月1回のペースで通う事になる、この頻度は旧店舗時代の浅草「オマージュ」以来で、私には珍しい(笑)、一皿一皿の料理精度を更に高めていけば、この料理人は結構いい処まで行けるのではと思っている、来年も楽しみな店だ、画像は初回に食べた「真イカのソテーサラダ仕立て、キャビアオーベルジーヌと冬瓜のスープ」。

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 去年から注目している女性料理人がいるのが、同じ神楽坂にあるイタリア料理店「ピアッティ・カステリーナ」、料理は安定して来たが、残念ながら?予想どおりに店の人気も上昇してしまい、思い立った時に利用出来なくなってしまった(笑)、やがては独立を視野に入れていると思うが、フレンチ出身の料理人なので、イタリアンとどちらへ進むのか興味深い、料理は7月に食べた「仏産マグレ鴨のロースト、蕪とヤングコーンのロースト添え」。

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 たまたまフェイスブックで知り合った料理人の店だが、「ネオビストロ」ではなく「新ビストロ」料理と名付けたいのが、麻布十番の「ビストロ・コティディアン」、昔から馴染み深い定番料理を今の時代に合せてリファインさせている、行った時に食べたのは「岩中豚ソーセージのシュークルート」で、アルザスで食べたシュークルートよりこちらの方が、日本人の私には断然美味しいと思った(笑)。「次はカスレを食べたい」と思いながらまだ実行していなかった(笑)近いうちに行かないと、ここも来年は今以上に人気店になりそうな気がする。

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 10月に訪れた札幌のフランス料理店は、毎回感じる事だが何処もレベルが高い、「ラ・ブランシュール」「プロヴァンサル・キムラ」は、行って決して損はさせない良店(笑)、此処で挙げておきたいのは、5年振りに訪れた円山「Miya-vie」の、「生姜とココナッツの香る冷たい大根のスープ、マイカ、ブロッコリーと三つ葉、オクラ添え」、自然と調和するミシェル・ブラスの精神を北海道の食材で体現した見事な一品、これを含めた2,800円のメニューは、コスパも考えたら「今年のベストランチ」に選びたい。

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 あとは今年から通い始めた、ご近所下町イタリアンの亀有「ティア・ブランカ」と南千住(浅草)「パスティチェリア・バール・アルテ」は、来年も続けて通いたい佳店だ。
 こうして今年を振り返ると、「百年に一度の大不況」と言われながらも、日本のフランス料理頑張っているなとの印象が強い、特に若い料理人で期待の持てそうな人材が現れている、来年は少しでもこの国の景気回復が進み、彼等に続く世代が希望を持ち安心して働ける業界であって欲しいものだ、居酒屋とファストフード店しか客が来ない社会では「食文化」は育たないと思う。

 一年間拙ブログにお付き合いいただき、ありがとうございました、また料理人並びにレストラン関係者の皆様、生意気に好き勝手な事を書き、読んで不愉快になった点がありましたら、この場でお詫び申し上げます。
 来年が皆様方にとって良き年であります様に心からお祈り申し上げます、またレストランで今年以上に素敵な出会いがある事を願っています。


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神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」でノエルとマリアージュのお祝い

 10月に札幌へ「食べ続け」に行った時の事、SNSで知り合いになったグルメな友人が、ちょうど私と入れ違いに札幌へ行くのを知り、「会えなくて残念、今度東京でお会いしましょう」とメッセージをやり取りしたのが今回の発端。エクスキューズで終わらせてはいけないと思い(笑)、本当に東京で会おうと日程を詰めていたら、この方が最近結婚されていた事を知り、それならそのお祝いも一緒にしよう、集まる人間も多い方が楽しいと勝手に決めてしまった、まずは店選びから始め何店か候補に浮かんだのだが、集まってくれそうなメンバーを考えて「面白そう」と思ったのが、今年から通い始めている神楽坂のフランス料理「オー・トレーズ・ジュイエ」だった。
 この店の佐藤料理長は失礼ながら茫洋として掴みどころが無く、常に淡々と料理をこなし、それでいて作る料理は、私の好きな1990年代のフランス料理に近いものを感じていたので、「いつか彼が気合入れて本気になった料理を食べてみたい」と思っていた、これはチャンスだと考え(笑)、私の知る限り「在京最強」と思える超グルメなメンバー何人かに声をかけ、主旨を説明した処、私を含めて合計8名が集まってくれる事になった。

 事前に打合せのために店へ行き、集まるメンバー構成を話して「私が料理人なら、仮病を使って逃げ出すだろう」と、料理長にプレッシャーをかけていた(笑)。
 決行は12月22日の冬至日、ノエルの直前でマヤ歴の「終末の日」の翌日、何かが起こりそうな日でもあったが、とにかく全員無事に集まってくれた(笑)、揃った処で料理長から説明を受けた「ムニュ・アニヴェルセル」の内容は、

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・アミューズ(キッシュ、パルメザンパイ、ブランタードのシュー)

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・赤のコンポジション(オマール、短角牛他)

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・帆立のポワレ、芽キャベツのデュクセル、レモンコンフィの軽いジュ

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・黒ソイのポワレ、キノコのエチュベ、生姜とココナッツのエキュム

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・広島産イノシシをベルナール・ロバンのスタイルで

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・コルヴェールのフラン

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・鹿児島産コルヴェールのロティ、グリューワインのソース

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・デセール盛合せ(アニュヴェルセルのケーキ他)

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・(秘密兵器)チョコレートファウンテン

 今回は料理に合せたワインもあらかじめ料理長に選んでもらっていた、
・Gosset-Brabant brut tradition 1er cru NV
・Marceau blanc J.L.Tribouley 2010
・Bourgougne blanc Renommee Remoissenet pere et fils 2006
・Crozes Hermitage Alain Graillot 2010
・Causse du Bousquet Mas Champart 2008

 前菜の後に帆立と魚料理、その後にジビエ2種を出すという、かなり特殊で重量級なムニュにも思ったが、実際に体験してみると各料理のバランスは意外に良かった(笑)、でもこの料理人が「調理師学校を首席で卒業し、海外の三ツ星厨房で働いて来たエリート料理人」だったとしたら理性が先行してしまい、この様なムニュ構成は採らない気がする、どちらかと言えばマルティン・ベラサテギみたいな独学派の料理人のムニュに近い、全体のバランスは多少崩しても、「今自分が美味しいと自信があり、客に食べてもらいたい料理」を出したかったのだと思う、そう言えば佐藤料理長は、よく見るとベラサテギ本人と顔が少し似ている気もする(笑)。この中でうるさいメンバー達の評価が特に高かったのが「イノシシのシヴェ」、トゥール地方で「ジビエ名人」と呼ばれた名料理人のルセットを参考にしたそうで、本来はリエーブル(野兎)を使う料理だが、人数分の入手が困難なためイノシシに転用したとの事、これは記憶に残る秀逸なものだった。

 記念のケーキの後は、秘密兵器?の「チョコレートファウンテン」、チョコレートを噴水上に流して、そこへ果物をくぐらせて食べるものだが、れっきとしたこの店の備品だそうだ、最初見た時はキワモノ的にも感じたが、この日のメンバーはさすが遊び心を備えている(笑)、結構皆が楽しんでいた。
 集まった濃いメンバーの濃い話は、「NOMA」や「美山荘」の話題から、クリスマスにレストランに来る客の程度の悪さ(笑)まで延々と続いて、いつまでも尽きる事はなさそうだった。フランス語で「コンヴィヴィアリテ‘Convivialite’」と云う言葉があり、辞書で引くと「打ち解けた雰囲気、和やかさ」とあるが、もっと踏み込んで「友人達と過ごす一期一会の食事の場、それを徹底して楽しむ」みたいな意味もある、この日はまさにそんな時間だった。

 東京を代表する?グルメの皆様、遅くまでありがとうございました、私は夜遅いのはすっかり弱くなりましたが(笑)、またこうした集まりが出来ればと願っております、そして佐藤料理長、料理長が役満をテンパイしたみたいな顔しているのは初めて見ました(笑)、スタッフの皆さん、楽しい場を提供いただきありがとうございました、どうぞ良い新年をお迎えください。


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本郷三丁目「野菜和食 十六の糸」

 この夜は30年近い付き合いがある友人達と恒例の忘年会をする事になった、いつもの様に店選びを任されたが、3人合計すると170歳を超えようかというメンバー(笑)、私はともかく残り2人の最近の嗜好と健康を考慮して、今回横メシは止めて和食にする事にした、勤め先からあまり離れていない場所で「面白そうな店はないか?」とWEB上で探していたら、引っかかったのが丸ノ内線の本郷三丁目駅近くにある「野菜和食 十六の糸」という店、WEB情報によると去年開店し、有機野菜を中心の料理で、夫婦二人で営む小さな店とあったので、これは私のストライクゾーンに入りそうと思い、予約の電話を入れたが、奥さんと思われる女性の応対も良く、期待が持てそうな店だった。

 場所は丸ノ内線と都営大江戸線の本郷三丁目駅から春日通りを上野方面へ向かって歩き、本郷中央教会の手前の道を右に折れた処にある、周りは小規模な商業ビルばかりで飲食店はなく、その中にポツンと灯りが点るこの店は、なかなか「隠れ家」的ないい雰囲気だ、私の持論に「良い店は入口に立った時に判る」があるが(笑)、まずはその点でこの店は合格だ。

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 モノトーンの店内は椅子席とカウンター席で合計15席、この日は結局カウンター以外全て埋まった。イケメン優男の店主が一人で厨房を担当し、奥さんが一人でサービスにあたる、牛込柳町のフランス料理「ル・デッサン」の和食版みたいと言えば、判る人には判ると思う(笑)。
 初回利用と云う事もあって、この日は予約時に3種ある内から真中の4,600円の「萌黄」コースをあらかじめお願いしていた。

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・朝摘み野菜(黄色人参、白菜、紅化粧大根)

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・蕪みぞれ

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・天ぷら(海老、すずき、ひらたけ、大和芋)

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・霜里絹豆腐

・おばんざい(紅化粧大根のそぼろあんかけ、ほうれん草とルッコラの胡麻和)

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・蒸し野菜(さつま芋、かぼちゃ、人参、玉ねぎ、黒大根、チンゲン菜、ブロッコリー)
 *これを白味噌、梅だれ、塩の三種で食べる。

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・豚肩ロース 八海山の酒粕味噌漬け

・だし茶漬け
・きなこと黒蜜のアイス

 この店の野菜は、埼玉県比企郡小川町の有機生産者の物を主に使用する、農薬・化学肥料を使用しないのが特徴だそうだ、私の凡俗な舌では「他に抜きん出て美味しい野菜」とまでは感じなかったが、癖が無く食べ飽きる事は無い、例えば北海道の野菜が健康美のグラマー美女なら、此処の野菜はもっと繊細で柳腰の浮世絵美人みたいな印象だ(笑)。料理中では「蕪みぞれ」「おばんざい」と「蒸し野菜」が特に良かった。同じく野菜をメインにした和食の人気店、神保町「傳」ともまた違い、もっとシンプルに野菜の本質を表現しようとする料理に感じた。
 感心したのが「器」で、信楽の「谷寛窯」の物を使用しているそうだが、この窯は器好きの私も知らなかった、とてもシンプルで手に馴染んで作為が無く軽い、よく言われる事だが、器は料理が盛られて完成する、その意味でこの店の料理にはベストマッチだと思った。

 私も齢五十を過ぎてから、「野菜が美味しいな」としみじみ思う様になった(笑)。此処の料理ならあと20年は食べられそうな気もする。東京でまともな和食店を続けるのは色々と難しい面もあると思うが、長く続けて欲しい良店だ、「また利用したい」とは思った、独りよりアベックでこっそり訪れるのが似合いそうな店だ(笑)。


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南千住「パスティチェリア・バール・アルテ」(12月)

 今年、「食べ続け」を目的に関西と札幌を旅行したが、得た結論は「コスト・パフォーマンス(仏語ならキャルテ・プリ)は、東京のレストランは敵わない」と云う事、例えば3,000円前後のランチメニューの内容を比べても、使う食材の原価は東京ではそう高い物は使えない、他にもグラスワインの値段も結構違う、この差は何と言っても家賃(テナント)で、大阪や札幌に比べたら東京は飛び抜けて高い、勿論場所にもよるが大阪の2倍、札幌の3倍と言ってもいいかも知れない。賃貸物件の場合は「坪何万」との言い方をするが、フランス料理店ならある程度の厨房の広さは必要なので20坪は欲しい処だ、坪2万円なら家賃は月40万円、飲食店の場合家賃は月売上げの10%以内が理想とされる、つまり月売上げが400万円ないと厳しい事になる、月営業日が25日だとすれば1日平均は16万円以上の売上げだ、20席の場合はランチ客単価4,000円、ディナー8,000円だとしたら、12,000円×20席×25日=600万円でこれが最大限、400万/600万=0.6666 なので、月平均で6割6分以上の席が埋まっていないと経営的には苦しくなる。

 私が見た限りでは、外食不況下の現在の東京で上記条件を満たしている店、特にフランス&イタリア料理店は半分も無いのではと思うのだが、どうだろうか?その東京で札幌並にコスパの高い店がもしあるとしたら、
・家賃を払わない店舗(自社物件)
・人件費のかかる従業員を雇わない、雇っても最小限の家族中心経営
・開店後年数が経っていて設備等の減価償却が終わっている
こうした条件を満たした店なら可能かも知れない。

 また前置きが長くなってしまったが(笑)、この日4回目の訪問になった、イタリア料理店「パスティチェリア・バール・アルテ」のランチを食べていて上記の様な事を考えた、この日は水曜日で「レディース・デイ」にあたり、女性に限りデザート3種盛りのサービスになる、隣席の女性が頼んでいた「ワンプレートランチ」を見たら、サラダ・自家製フォカッチャ・パスタ二種(ボロネーゼのショートパスタ、トレヴィスのリゾット)、これにドルチェ三点盛りに飲み物が付き1,050円、これは価格破壊だ(笑)この店は上記の三つの条件をほぼ満たしているので、この値段でも何とか出来るのだろう、客としてはこうした店を利用するのが一番「お得」だし、その意味でもっと知られていい店だと思う。
 この日も私の注文はいつもの‘Planzo Arte’(2,100円)を、

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・アンティパストミスト(上から時計回りで、自家製生ハム、鯖のマリネ、カポナータ、鶏肉のインヴォルティーニ、自家製カラスミ、白子のスフォルマート)

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・蕪とアンチョビのトンナレッリ

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・鯖のコンフィ、長葱のリゾット添え

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・ドルチェミスト(アップル・シュトゥルーデル、シブースト、カンパリオレンジのジェラート)
・コーヒー

 アンティパストは茹でた野菜を並べただけでなく、どれも丁寧な仕事をしている、トンナレッリは蕎麦状の四角い断面の生パスタ、鯖のコンフィは表現が良くないが、「サバ缶」を上品にした様な料理(笑)、ドルチェ類は安心して美味しい。
 この値段で生パスタが食べられて、メイン料理があり、丁寧なドルチェも付く店は、家賃の高い東京中心ではちょっと考えられない、銀座の「ティールーム」ならこのデザートに紅茶で2,000円取られそうな気がする(笑)。

 この日は来客それも一人客が多かった、レディース・デイながら男性客が多い、スーツ姿ありジーンズ姿ありの多様な感じで、店の独特なロケーションもあり不思議な雰囲気を醸し出していた(笑)、でも私の経験上男性客が多いフレンチ&イタリアンは、おおむね「旨い店」だ。
 下町の中でも更にディープな場所にありながら、店主の気概を感じる本格イタリアン、厳しい時代だがこれからも頑張って続けていって欲しいと思う。
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フランスのレストランの想い出

 フェイスブックの日記で、フランスの著名なレストランのカルト(メニュー)の写真をUPしようと、押入れを探していたら何枚か出て来て懐かしくなり、今回はこれを紹介しながら「昔話」をしたいと思う(笑)。

 私が初めてフランスに行ったのは1997年、まだフランの時代だ。そして初めて行った星付きレストランがパリ「ランブロワジー」だった、これは今振り返ると最高の「初体験」だったと思う(笑)、この時食べた料理を今でも鮮明に覚えている、アミューズに赤ピーマンのムース、前菜にラングスティーヌ、メインには仔羊、デセールはガトーショコラ、料理・サービス・雰囲気どれも最高で、世の中にはこんな凄い体験の出来る場所があるのかと感動を覚えた、画像はその時のカルトではなく、2回目の訪問時2003年のもの、残念ながら料理は前回の方が圧倒的に良かった。このサインは料理長ではなくメートルが日付と店名を書いてくれたものだ。

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 パリでもう一店忘れ難いのはやはり「タイユヴァン」、2002年と2005年の2回訪れたが、このカルトは2002年のもの、サインはオーナーの故ジャン=クロード・ヴリナ氏が目の前で書いてくれたものだ、この店は何と言ってもヴリナ氏を筆頭にしたサービス陣が素晴らしかった、多分無理だろうがもし天国へ行けるなら(笑)、天国のタイユヴァンでヴリナさんにもう一度会いたいと思う。

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 残念なのは「P・ボキューズ」(1999年に訪問)、「グラン・ヴェフェール」(同)、「ラ・コートドール」(2000年)、「ラムロワーズ」(同)等の写真もカルトも残っていない事、当時は自分なりに「突っ張った」処があり、「レストランで写真を撮り、カルトを貰う事は格好悪い」と思っていた(笑)、特にベルナール・ロワゾーは死去、ジャック・ラムロワーズは引退してしまったので、せめて両人のサイン位貰っておくのだったと、今になって後悔している(両店共に現在も営業はしている)。
 地方のレストランでカルトが残っていたのが、ブルターニュのオーベルジュ・ブルトン(2003年)、ジャック・トレル料理長のサイン入りだが、実際に食べたのはこのムニュではなく、カルトのコート・ド・ヴォーで、この料理が凄かった、「フランスでは食べたくなくても、とにかく肉を食え」は当っている(笑)、ガルニはラット芋だけで、まさに「シンプル・イズ・ベスト」の肉料理、もう一度訪れたいと思いながらも果たせず、トレル氏は最近引退し店は売却されたと聞く。

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 現代アートを使い額に入れて飾りたい様なカルトは、リヨンの二つ星「オーベルジュ・ド・リル」のもの、文化財級の16世紀の館を改装したレストランで、2005年と2009年の2回訪れたが、この店も「ランブロワジー」と同様料理は初回の方が良かった、店側が相当ポテンシャルを上げていないと、「1回目より2回目の方がいい」と思えなくなるのかも知れない。

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 最後は料理人の人柄が偲ばれる、「レジス&ジャック・マルコン(旧:オーベルジュ・クロ・デ・シーム)」(2009年)のもの、サインと茸の絵はレジス・マルコン本人が書いてくれたものだ、この人は三つ星料理人というオーラはあまり無く、なにかトラクターでも乗って畑を耕すのが似合いそうな人だった(笑)。

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 「ミシェル・ブラス」(2002年)のカルトも何処かにあった筈だが、見つからなかった、此処も再度訪れたいと思いながら果たせていない、料理長は息子に代替わりしたとも聞いたが。

 振り返ると、フランスの料理界が一番充実していた時に、こうした名店を回れて良かったなとつくづく思う、更に古い人には「1970年代の方がもっと凄かった」と言われるかも知れないが(笑)。今、日本では30代後半から40代前半の料理人の店に行く事が多いが、理由の一つは彼や彼女達がフランスで働いていた時期と私が頻繁に訪れていた時期とが重なるからで、料理にその時代の片鱗が感じられる事が多いからだ。
 最後にフランスを訪れてから3年以上過ぎてしまった、今正直言って「どうしても此処だけは行きたい」と思う店が少ない、フランスの料理界はスペインや北欧勢、更には隣国ベルギーにも押され気味で、経済的にも不況と雇用不安が拡大していると伝えられる、でもフランス料理は一番であって欲しいと思う、以前の様に「勤めを辞めてでも行きたい、今行かないと後悔する」と思わせる店が出て来て欲しいものだ(笑)。


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神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(11月)

 月に一度の楽しみになったのが、神楽坂のフランス料理「オー・トレーズ・ジュイエ」のランチ、基本は2,300円で内容はすべて「おまかせ」だが、月替わりで内容が全て変わるため、料理人が今月どんなカードを出して来るのか興味深く、12月にこの店でグルメな集まりを計画している事もあり、その打合せも兼ね平日休みに訪れた。

 地下鉄の神楽坂駅を出て店に向ったら、途中見た事がある黒服男性が歩道上に立ち、道行く人達にポストカードを配っていた、よく見たら神楽坂の人気イタリアン「ピアッティ・カステリーナ」のオーナー大原氏だった、今度新店を立ち上げその宣伝だとの事、これで3店目になるが今回は客単価を抑えたトラットリア兼バール的な店で、昼は1,050円のランチ、夜は一皿300円からの単品料理を提供するとの事、彼は料理人出身ながら、今は経営者専任になりつつあり今迄の店も成功させているので、経営の才覚はありそう、その彼が低価格店をオープンさせたのは、これもデフレ時代に合せたという事か、この店もたぶん繁盛する事だろう。

 12時に「オー・トレーズ・ジュイエ」に入店し、料理人に挨拶してテーブルに着く、卓上の紙に書かれた今月のランチメニューは、

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・タラのブランタードと赤ピーマンのビネグレット

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・フレンチバスクの白ワイン「XURI」(グラス950円)
 独特の個性的な味わいながら美味しい、この日の料理には合うと思う

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・イトヨリと白菜のベニエ、サフラン風味のソース

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・鴨のカスレのア・ラ・クレーム

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・オレンジのカプチーノ(これは料理長のサービス(笑))

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・ティラミスと焼きリンゴのソルベ

 こう言っては失礼になるかも知れないが、佐藤料理長の料理はどこか「懐かしい味」がする(笑)、フランス料理がまだスペインや日本料理の影響を受けていない、私が一番好きだった1990年代の料理を連想させるものを感じるのだ。
 料理人はフランスではアルザス、プロヴァンス、ロワール地方で働いていたそうだが、現在は主に料理本でルセットを勉強するとの事、それも1980年代、90年代の料理に傾倒しているみたいだ。「タラのブランタード」はプロヴァンスの定番料理、「イトヨリのベニエ」は料理人得意の「魚」と「包む」料理で、これは4,800円の夜メニューの魚料理でも充分通用する(笑)、「カスレのア・ラ・クレーム」はフランス南西部の郷土料理カスレの「解体と再構築」、オリジナルはカルカッソンヌ?の星付きレストランの料理だそうで、コテコテ料理のカスレを軽く現代的に上手く変容させている。珍しい白ワインはスペインとの国境近くが産地で、個性的な味わいだがこの日の料理には合っていると思った。
 これで2,300円なら納得だ、私もそう遠くない先に年金生活に入るが、その時でもこの値段なら月に一度は来られると思う(笑)。

 最近、高級レストランには行かなくなった、と云うより興味を失いつつある、今年振り返っても東京では「フロリレージュ」の10,500円の夜メニューが最高値だった、レストランへ行くのが夜より昼が増え、収入が少なくなった事もあり、たぶんこれからも「アンチ高級店」?は続くと思う、でも今はそれが一番楽しいと言える自信が付いた気がする(笑)。
 来月、この店がどんな料理を提供してくれるか大変楽しみだ、料理長お腹痛くならないで下さい(笑)。


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青山「ルメルシマン・オカモト」

 料理人が独立開業する時は、三通りのプロセスがあると思う。
1 オーナー(パトロン)がいる店で料理長を任されていた、つまり「雇われ料理長」だった料理人が自店を開業しオーナー兼料理長になる。
2 それなりの店で副料理長(スーシェフ)だった料理人が独立開業する。
3 国内では雇われ料理長でも副料理長でもなかった料理人が独立開業する。

 このうち3のケースが一番少ないのではと思うが、浅草「オマージュ」や大阪「ラ・シーム」の様な例はある、このタイプが難しいのは、店があまり知られていないので、集客が安定するのに時間がかかる事だ。
 2のケースは青山「フロリレージュ」、池尻「オギノ」、札幌「クネル」、「Miya-vie」等が該当する、前の店が有名な程注目されるし、前店からの流れで客が来てくれる事も、ある程度期待出来る。
 1のケースが今一番多いのではないか、六本木「エディション・コウジ・シモムラ」がそうだし、恵比寿「ヒロミチ」や広尾「アニュ」、札幌なら「ラ・ブランシュール」がこれになる筈、知名度のある料理人なら「客が付いている」ので、当初の間の集客は期待出来るが、反面従来と違った料理を提供すると批判も受け易い。

 この日初めて訪れた、今年8月に開店した青山のフランス料理店「ルメルシマン・オカモト」での食事後、電車の中で前述の事を考えていた。オーナー兼料理長は岡本英樹氏、京橋「シェ・イノ」井上旭氏の門下で、系列店の恵比寿「ドゥ・ロアンヌ」の料理長を長く務めていたが、今年満を持しての独立、47歳という年齢的には遅い開業になる。
 店の場所は地下鉄表参道駅からは7~8分、「ホテル・フロラシオン青山」の向い側になるが、近くの「フロリレージュ」同様、あまり目立たない店構えでうっかりすると通り過ぎそうだ、この「一見目立たない店」が最近の東京の流行みたいだ(笑)。店内はすっきりして明るい、何処か札幌のレストランみたいな印象、席数は28で個室と半個室で3つに仕切られる。
 客入りはどうなのかなと思っていたが、この日は3連休中のランチタイムという事もあってかほぼ満席、近くのフロリレージュと比べると女性客同士が多く年齢層も高い。
 この日は予約時にお願いしていた6,300円のムニュを体験する事になった、

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・アミューズ(北海道産人参のムース、ウニと蟹のコンソメジュレ)

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・ポワロー葱のテリーヌ、鶏レバーのムース、トリュフのソース

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・かぼちゃのポタージュ、フォアグラのフラン

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・北海道産アカハタのポワレ、ブールブラン

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・北海道黒毛和牛のロティ、ソースペリグー、道産野菜

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・プレデセール(北海道産シコレカフェのババロア)

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・シャリオのデセールから(モンブラン、フルーツタルト、ショコラフラン、バニラアイス)

 岡本料理長は札幌出身、このためか自店では道産食材を積極的に使用している。料理全体としては「ドゥ・ロアンヌ」時代から特に目立った変化は感じなかった、「ポワロー葱のテリーヌ」は当時からのスペシャリテ、これは岡本氏が働いていた仏南西部の名店「ローべルガード」(現:ミッシェル・トラマ)譲りの料理でもある、これはトラマ程には尖らず柔らかく変容している、魚も肉も安心して食べられる王道系、隣席は4,200円のムニュでメインは牛頬肉の煮込み、「ドゥ・ロアンヌ」ではランチは3~4種からのプリフィクスだったが、ムニュ2種共に「牛」と云うのは少々無難過ぎるだろうか、これはまだ開店3ヶ月目という事もあり、まだ安全運転状態で前述の様にあまり羽目を外せないと云う事情もありそうだ。
 デセールは最近少なくなったシャリオ(ワゴン)サービス、「ドゥ・ロアンヌ」も同じだが、これは女性には受けると思う。

 サービスは3人体制、うち1人はフランス人?女性だが日本語も結構喋る、退店時に岡本料理長が挨拶に出てきたが、「ずっと物件探していたのだが、ようやく見つけられました」と話してくれた、厨房は3人態勢の様子だ。まずは順調な滑り出しで、料理人の個性や冒険心を期待するのはこれからだと感じる、個人的には肉料理に選択肢を入れて欲しいなと思った。
 フレンチ&イタリアンが密集する激戦区だが、大人が落ち着いて集える店として、長く続いて欲しいものだ。


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亀有「ティア・ブランカ」(6回目)

 現在の私は週の真中に休日があり、これが大変助かっている。持病の腰痛治療には隔週でこの日を充てているし、治療に行かない日にはお得な平日ランチ狙いで、結構遠くまで遠征している(笑)、ただこの時負担に感じるのが交通費で、都内の北東の端に住んでいる私にとっては表参道駅あたりが限界で、それより西となると往復の交通費が1,000円以上かかってしまう事もある、2,500円のランチを食べに行くのに1,000円以上かけるのは、幾ら何でもコスパが悪くなり過ぎる、働く日が少ないのは収入も当然少ない(笑)。それもあって、あまり交通費を使わないで行ける店を開拓中だ、そうした中で見つけたのが、実家のある葛飾・亀有に昨年出来たイタリア料理店「ティア・ブランカ」で、此処なら自転車で行けるので交通費は無料だ(笑)。

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 この日は一カ月ぶりのランチに訪れたが、先客がテーブル席に居た事もあって、初めてカウンターに座り、料理人店主と喋りながらランチを摂る事になった、名実共にすっかり「お馴染みさん」になってしまった(笑)、この日の注文は1,200円のパスタメニューからで、

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・八ヶ岳農園の大根スープ

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・スパニッシュオムレツ2種(ジャカイモ・ホウレンソウ)

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・キャベツとベーコンのスパゲッティーニ、アンチョビ風味

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・ティラミス&コーヒー

 これで1,200円なら文句の付け様はない、「あまり儲からないのでは?」と思わず料理人に訊いてしまったが、「店に人が集まって賑やかになる事が嬉しいので、そんなに儲けは考えていない」と笑って答えた。
 この料理人は、叔母さん(本人からすると叔父さんの奥さんか?)がスペイン人だそうで、店の基本はイタリア料理ながら、その人から習ったスペイン料理も提供する、ランチタイムもスペイン家庭料理の代表格「トルティージャ」(スパニッシュオムレツ)を前菜として出している、これがさすが本場仕込みなので美味しい、この日カウンターに座った事もあって、ジャガイモ入りの作り方を教えてもらった。

・ジャガイモは出来ればメークインと男爵を半分ずつ使う。
・これを2~3ミリ厚さ位に切り、玉ねぎと共に塩をまぶして暫く置く。
・フライパンにジャガイモ、玉ねぎを入れ、オリーブ油(スペイン産)を多目にかけて火にかける、弱火で「炒める」より「煮る」感覚で焦がさないよう柔らかくする。
・ジャガイモが柔らかくなったら油を切り、玉子に混ぜフライパンに残った油で両面焼く、オーブンは使わない、玉子は7~8個分位が一番上手く焼ける、少ないと火が入り過ぎる。
・焼き上がったら皿に盛り、客が来たら人数分切って出すが、冷めた時は電子レンジで温める。

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 料理本に書いてあるレシピと大体同じだが、過去試してみたがどうも美味しく焼けない、玉子が少なかったみたいだ、今度は本気入れてやってみようと思う(笑)。
 やはりカウンターでの食事は面白い、マニアックな話をやり過ぎると他の客の迷惑にもなるが(笑)、そうならない様に気を付けながら、またこの席に座りたいものだ。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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