最後の晩餐にはまだ早い


青山「ルメルシマン・オカモト」

 料理人が独立開業する時は、三通りのプロセスがあると思う。
1 オーナー(パトロン)がいる店で料理長を任されていた、つまり「雇われ料理長」だった料理人が自店を開業しオーナー兼料理長になる。
2 それなりの店で副料理長(スーシェフ)だった料理人が独立開業する。
3 国内では雇われ料理長でも副料理長でもなかった料理人が独立開業する。

 このうち3のケースが一番少ないのではと思うが、浅草「オマージュ」や大阪「ラ・シーム」の様な例はある、このタイプが難しいのは、店があまり知られていないので、集客が安定するのに時間がかかる事だ。
 2のケースは青山「フロリレージュ」、池尻「オギノ」、札幌「クネル」、「Miya-vie」等が該当する、前の店が有名な程注目されるし、前店からの流れで客が来てくれる事も、ある程度期待出来る。
 1のケースが今一番多いのではないか、六本木「エディション・コウジ・シモムラ」がそうだし、恵比寿「ヒロミチ」や広尾「アニュ」、札幌なら「ラ・ブランシュール」がこれになる筈、知名度のある料理人なら「客が付いている」ので、当初の間の集客は期待出来るが、反面従来と違った料理を提供すると批判も受け易い。

 この日初めて訪れた、今年8月に開店した青山のフランス料理店「ルメルシマン・オカモト」での食事後、電車の中で前述の事を考えていた。オーナー兼料理長は岡本英樹氏、京橋「シェ・イノ」井上旭氏の門下で、系列店の恵比寿「ドゥ・ロアンヌ」の料理長を長く務めていたが、今年満を持しての独立、47歳という年齢的には遅い開業になる。
 店の場所は地下鉄表参道駅からは7~8分、「ホテル・フロラシオン青山」の向い側になるが、近くの「フロリレージュ」同様、あまり目立たない店構えでうっかりすると通り過ぎそうだ、この「一見目立たない店」が最近の東京の流行みたいだ(笑)。店内はすっきりして明るい、何処か札幌のレストランみたいな印象、席数は28で個室と半個室で3つに仕切られる。
 客入りはどうなのかなと思っていたが、この日は3連休中のランチタイムという事もあってかほぼ満席、近くのフロリレージュと比べると女性客同士が多く年齢層も高い。
 この日は予約時にお願いしていた6,300円のムニュを体験する事になった、

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・アミューズ(北海道産人参のムース、ウニと蟹のコンソメジュレ)

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・ポワロー葱のテリーヌ、鶏レバーのムース、トリュフのソース

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・かぼちゃのポタージュ、フォアグラのフラン

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・北海道産アカハタのポワレ、ブールブラン

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・北海道黒毛和牛のロティ、ソースペリグー、道産野菜

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・プレデセール(北海道産シコレカフェのババロア)

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・シャリオのデセールから(モンブラン、フルーツタルト、ショコラフラン、バニラアイス)

 岡本料理長は札幌出身、このためか自店では道産食材を積極的に使用している。料理全体としては「ドゥ・ロアンヌ」時代から特に目立った変化は感じなかった、「ポワロー葱のテリーヌ」は当時からのスペシャリテ、これは岡本氏が働いていた仏南西部の名店「ローべルガード」(現:ミッシェル・トラマ)譲りの料理でもある、これはトラマ程には尖らず柔らかく変容している、魚も肉も安心して食べられる王道系、隣席は4,200円のムニュでメインは牛頬肉の煮込み、「ドゥ・ロアンヌ」ではランチは3~4種からのプリフィクスだったが、ムニュ2種共に「牛」と云うのは少々無難過ぎるだろうか、これはまだ開店3ヶ月目という事もあり、まだ安全運転状態で前述の様にあまり羽目を外せないと云う事情もありそうだ。
 デセールは最近少なくなったシャリオ(ワゴン)サービス、「ドゥ・ロアンヌ」も同じだが、これは女性には受けると思う。

 サービスは3人体制、うち1人はフランス人?女性だが日本語も結構喋る、退店時に岡本料理長が挨拶に出てきたが、「ずっと物件探していたのだが、ようやく見つけられました」と話してくれた、厨房は3人態勢の様子だ。まずは順調な滑り出しで、料理人の個性や冒険心を期待するのはこれからだと感じる、個人的には肉料理に選択肢を入れて欲しいなと思った。
 フレンチ&イタリアンが密集する激戦区だが、大人が落ち着いて集える店として、長く続いて欲しいものだ。


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Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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