最後の晩餐にはまだ早い


ロイヤルホスト「ハンバーグ&シーフードフェア」

 テレビ東京で放映している日本経済がテーマのTV番組「ガイアの夜明け」、4月末の「人気外食チェーン価格攻防の裏側」と題された特集の中で、大手ファミリーレストランチェーンの「ロイヤルホスト」が、従来の格安メニューから脱却し、商品の付加価値を高め他社との差別化を図るため「高級路線」へメニューを変更する戦略を取り上げていた。その一環としてハンバーグ、メンチカツと云った定番メニューの材料を厳選化し価格も上げ、更にはフランス料理店と同じ前菜を用意する、それも「赤ピーマンのムース」や「野菜のテリーヌ」と云った本格派の物だと番組では紹介していた。
 これは面白そう、本当に「本格派」ならフレンチ&イタリアンを含めて、街場の洋食店の脅威になる筈と思い、とにかく行って体験してみようと思った(笑)。

 WEBで調べて我家から一番近いロイヤルホストを探し、平日休みに自転車で行く事に(笑)、このメニューが提供されるのは午前11時からなので、それに合わせて到着した、前回ファミレスに入ってからは十年以上経っている(笑)。この日は平日昼なので店は空いていた、お客はママ友達の集まりと高齢者夫婦と思しきカップル、一人客は少ない、女性店員に奥まった良い席に案内され、すぐ持ってきたメニューを眺める。

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 TVで紹介していたのは「ハンバーグ&シーフードフェア」と云うフェアメニューになり、メインはハンバーグ、メンチカツ、カニピラフ、海老&帆立フライ、海老と帆立のグリル、シーフードドリアの6種から選ぶのだが、「国産黒毛和牛と黒豚粗挽き手ごねハンバーグ」(1,134円)に決め、「選べる前菜セット+ライス」(609円)を加える、これに期待していた「赤ピーマンのムース」と「11種野菜の自家製テリーヌ」が含まれる(笑)。
 注文後すぐに運ばれて来たのが、その「赤ピーマンのムース」と「11種野菜の自家製テリーヌ」、いつもフランス料理店での時間の進み方に慣れているせいか、この早さはかえって戸惑う(笑)。

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・「赤ピーマンのムース」
 小さなガラスの容器に入っていて、見かけは店売りのスイーツみたいだ、スプーンですくって食べると、ピーマンの香りは微かにするが、脂肪分(クリーム?)が勝ってしまい本当にスイーツみたいな印象。

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・「11種野菜の自家製テリーヌ」
 TVで見たのよりちょっと「ユルイ」感じ(笑)、食べてみると見かけとは反対にゼラチンが固く、テリーヌと云うより「ゼリー寄せ」みたいな食感だった、野菜の味は悪くないがテリーヌにする必然性があまり感じられない、これなら全部温野菜にして「ガルグイユ」とでもした方が良かった(笑)、でもファミレスに来る人で「ガルグイユ」知っている人はまずいないだろうけど(笑)。

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・「国産黒毛和牛と黒豚粗挽き手ごねハンバーグ」
 これは普通に美味しかった、ステーキ専門店で出してもおかしくないレベル、ソースはポン酢とブラウンバターの2種、結論を言ってしまうと、これにライスと「ツナとタマゴのサラダ」(302円)でも付けた方が良かったかも知れない(笑)。

 全部食べての印象は、これで1,743円なら、私なら同価格帯のビストロランチに行くなと思う(笑)、少々期待が大き過ぎた。でもこの高級路線が失敗かとなると、そうは言えないと思う、例えば小さい子供を連れた親がこうした「日常より少し贅沢」な食事の場を探すとなると本当に少ない、更には駐車場を完備し、個人店と違い中休みがなく何時間居たとしても何も言われない店となると皆無だろう、この意味でファミレスの高級路線は選択肢として有りだと思う、ここならバリアフリーだし、先日来マスコミを騒がした車椅子での入店も何ら問題ない筈だ。
 ファミレスがこれだけ浸透した今の日本で、これから個人店と地域の中でどう共存して行くのか、業界だけでなく社会全体で考える必要があると思う、ファミリーレストランだからと視野に入れていなかったら、コンビニが街場のパン店や和洋菓子店の脅威になった様に、やがて客が皆そっちへ集まっていたと云う事にもなり兼ねない、各社がこの高級路線を目指せば、更に競争は激しくなり料理も進化する筈だ。
 色々な事を考えたファミレス体験、面白かったが「もう一度行きたいか?」と訊かれたら、答えに詰まってしまいそう(笑)。


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金町・とんかつ「喝」

 我家から割と近い葛飾区の金町に、「とんかつ」の美味しい店があるとの噂は、だいぶ前から聞いていた、主人は私がよく行っていた水道橋の「かつ吉」出身(ネット上では日本橋店との情報もある)との事、この「かつ吉」は昨年創業50年を迎えた老舗のとんかつ店、川端康成や三島由紀夫が利用していた店としても知られている。私は勤め先が近かった事もあり、此処は一番通ったとんかつ店だった、店内はオーナーが収集した骨董の陶磁器や民具が並べられ、ゆったりとした広い空間で落ち着いて食事が出来、値段はそれなりにするが好きな店だった。
 その「かつ吉」に行かなくなってからしばらく経つ、最近はとんかつよりもフランス料理に比重を置く様になり、この店で「ロースカツ定食」を食べる金額で、デザートまで付くランチが食べられる店もあり、つい足が向かなかった、ただ自分が年齢を重ねて、天麩羅を始め日本の食べ物について関心が向く様になり、とんかつ店もこれからまた回ってみようかなと思っている。

 その金町の店は「喝(かつ)」というシンプル極まりない店名、ここは通常「ロースかつ定食」が1,800円だが、平日ランチに限って1,350円で提供していると言う話を聞き、行きたいと思いながら私と定休日が同じ事もあり行きそびれていた(笑)。この日休みが貰えたため、やっと行ける事になった。我家からは自転車に乗って30分位、摂取カロリーを消費するには丁度良い距離だ(笑)。

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 店は雑居ビルの2階にあり、店内は古木を使った天井梁や民芸調の机と椅子、骨董の陶磁器を並べる等「かつ吉」に似ている、あれをもう少し雑然とさせた感じだ(笑)。目立つ場所に焼酎や日本酒の瓶が並び、とんかつ屋と云うより居酒屋的な雰囲気がする。坊主頭の店主はネット上では「怖そう」と書かれているが(笑)、調理に専念しているので特に気にならない、サービスは若い女性が一人で担当するが、この女性がとても感じが良くて好印象、今の日本のサービス業種で頼りになるのは女性だ(笑)。
 ランチは4種類(ロース・ヒレ・かつ重・ハムカツ?)、その中から「ランチロースかつ定食」(1,350円)を注文し出来上がりを待つ事に。まず運ばれて来たのがお新香のセットだが、不思議にもチーズが乗っている(笑)、昼間から呑んでいる客もいて、WEB上でこの店の事を「とんかつ居酒屋」と書いている人がいたが、そんな雰囲気もある。

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 少し時間を置いて運ばれて来たのが赤だし汁と十穀米(白飯との選択あり)、そして「かつ吉」と同じ多治見製の民芸調の器に乗せて現れたのがロースかつ、出来上がりの色は白い、これは「かつ吉」と同じで、低温の油で時間をかけて揚げたものだ。
 この白いとんかつは、昭和初期に上野御徒町にあった「ポンチ軒」の料理人島田信二郎が考案したものとされている、それまでは「コートレット」や「シュニッツェル」の様な薄い肉を揚げていたが、このポンチ軒の常連客からの、「ビーフステーキみたいな厚いカツが食べたい」との要望に応えるため、島田が低温で長時間加熱する方法を考え出した、これが全国に広まる事になる、「かつ吉」の揚げ方もこの低温加熱法で、この「喝」もそれを踏襲している。

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 ロースカツは芯がピンク色、まずは何も付けないで食べてみるが、肉汁を残してとてもジューシー、豚肉の甘味と脂の香味がマッチしてこれは美味しい。備え付けのソースはちょっと甘味が強いが、ご飯と一緒に食べるのはこの位が合うのだろう、でもマニア系のとんかつ好きは「塩が一番」と言い出しそうだ(笑)。
 通常の1,800円のロースかつとどう違うのかは不明だが、私の様にマニアでない普通のとんかつ好きには、この1,350円で充分美味しいし、この値段でこのクオリティならお得だと思う。
 女性店員は出来上がるまで食関係の雑誌を渡してくれ、キャベツが無くなりそうだとすぐに追加を持って来るなど良く気が付き、教育が出来ているなと感心する、サービスの人材不足が深刻な東京のフランス料理界に欲しい(笑)。

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 久しぶりに美味しいとんかつが食べられた、此処はまた自転車を飛ばして?来てみたいと思う(笑)。


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東京駅と「KITTE」

 八丁堀のフランス料理「シック・プッテートル」での贅沢ランチに満足した後、歩いて東京駅まで出かける事にした、現在駅周辺は再開発ラッシュで、ここだけ見ると「不況何処吹く風」と云う感じだが、これらのビルが埋まると云う事は、何処かのビルのテナントが空くという事ではないか?日本経済全体が回復しているとは、まだとても言えない気がする。
 東京駅の駅舎は5年半に及ぶ大規模な改築工事が殆ど終わり、3階部分の屋根が復元された。一時は見物客が殺到していたが、さすがに半年経つと話題性が薄れたのか、工事前と変わらない駅に戻りつつある、この駅舎は八重洲口と丸の内口から見たのとでは、ずいぶんと印象が違う、丸の内つまり皇居側から見るのが正面の筈だが、全景を見るためには相当皇居側に引かねばならず、そこまで行くのは面倒なので、丸ビルか今度出来た「KITTE」側から見れば十分かも知れない(笑)。個人的な建物の印象を言うと、塗装等がまだ新しくピカピカ過ぎで、十年から二十年後位にもっといい味が出て来そう。
 実は私の縁者にこの駅と関わりの深い人物がいるのだが、私が生まれる前に物故していて会った事はなく特別な感慨もない、ただ改築は京都駅みたいな駅舎にしなくて良かったと思う程度だ(笑)。

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 写真を撮るだけでなく、近くの路上でこの駅舎を水彩画で描いている年配の女性が居た、これだけ往来の激しい中で、凄い実行力と度胸だなと感心する(笑)。
 この日東京駅よりも行ってみたかったのが、旧東京中央郵便局の建物を改築した複合商業施設「KITTE」だった。中央郵便局の旧庁舎は取り壊すか壊さないのか、当時の総務相を巻き込んで騒動になり、一応「一部保存」と云う曖昧な決着が付いた、これがあったので、今回どんな建物が出来たのか、期待半分失望半分予想で見物したのだが、意外にも?想像より良かった(笑)。設計は根津美術館や新歌舞伎座を担当した隈研吾で、今回のコンセプトも新歌舞伎座と似ている、前方に旧庁舎の外観を残して回廊型の商業施設とし、後方は目立たない様に高層のオフィスビルにする、この場合難しいのが両者間の「繋がり」だが、見た限りではかなり上手く処理していると思った、現在日本で一番乗っている建築家かも知れない。特に感心したのが回廊型のショッピングエリアで、採光がとても良く気分が明るくなる、これは「これから何か買おう」と気持ちを高揚させるには大事だ(笑)、同じ回廊型ながら暗い「表参道ヒルズ」より断然こちらを採りたい。

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 「KITTE」へ行ったもう一つの目的が、この建物の2、3階に入っている「インターメディアテク」を見たかったからだ、これは東京大学総合研究博物館と日本郵政が共同運営を行うミュージアム・スペースで、既に訪れた知人から「あそこは訪れる価値がある」と聞いていたので、行ってみたいと思っていた場所だ。

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 東大が開校以来収集して来た、学術標本や研究資料を常設展示する一種の「博物館」だが、あえて小難しい名称にしたのは、パンフレットによると「各種の表現メディアを架橋することで新しい文化の創造につなげる『間メディア実験室』に由来します」と説明がある、でもこの文章読んでもよく判らない(笑)。陳列されている物は高尚なアカデミズムに陥らず、素人が見ても面白かった。特に鳥類の剥製は必見、種類や量は世界に誇れる規模ではないかと思う。

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 特質すべきは入館料が無料な事、これだけの施設維持には相当費用がかかる筈だが、あえて無料にしたのは立派だと思う反面、500円位取った方がもっとありがたさが増す気がする(笑)。ここは東京駅に来たら寄ってみる価値あり、今まで自然標本に興味がない人でも、きっと面白いと思う筈だ。
 再開発された丸の内周辺は、渋谷や新宿と違って我々年齢層の高い人間でも、それなりに楽しめる街だと思う。
 ※なお、インターメディアテク内の画像はWEB上から引用しました。


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八丁堀「シック・プッテートル」

 この日の平日休みランチに選んだのは、地下鉄日比谷線八丁堀駅近くに昨年11月にオープンした、フランス料理「シック・プッテートル」、オープン時からずっと行ってみたかった店だ。
 今は食に関しての情報が氾濫し過ぎていて、その中から自分に有益な情報を選択しなければならない時代、新店情報に関しても本当に期待していい店かどうかは、マスコミだけでなく信頼できる食べ歩きの先人達の情報が何より頼りになる。
 この「シック・プッテートル」に関して、行った人の感想ではネガティブな評価は聞かず殆どの人が褒めていたので、「これは早く行かないと、予約の取れない店になり兼ねない」と焦っていた(笑)、この日の昼に同行者と予定が合い、やっと行ける事になった。

 店の場所は八丁堀駅から東京駅八重洲口へ向かう途中、八丁堀郵便局近くにある、東京駅周辺は再開発真っ盛りだが、少し離れたこの辺りはまだ落ち着いたビジネス街、サラリーマン相手の弁当屋も多く、360円弁当を山積みしている店もあった(笑)。もとは蕎麦店を改装したと聞く「シック・プッテートル」は、カウンターを含めても20席と小さな店、WEBページでは「路地裏のアジトのような大人の空間」と自己紹介しているが、まさにそんな感じだ(笑)。料理人は生井祐介氏、軽井沢「ウルー」の料理長を経て、この店の開業にあたりオーナー兼サービスの星氏とコンビを組む事になった、サービスはもう一人女性が居て二人体制、厨房は生井氏一人だ。

 この日はあらかじめお願いしていた、3,800円の料理長おまかせメニューをいただく事にした、

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・サマークイーン(苺)のピクルス

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・静岡産生シラスと青海苔、炒ったパン粉

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・バスク、キントア豚のサラミ

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・茄子と鳥貝、カラスミ、アボガドのピュレ

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・太刀魚の骨付きロースト、アリコヴェール

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・ソルトブッシュラムの背肉ロースト、シャンピニオン、蕪

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・キャラメルのムース、チュイール、パンケーキ、バナナとレーズン
・ミニャルディーズとエスプレッソ

 この店に来るまでは、東京では「フロリレージュ」の4,200円が「最強ランチ」だと思っていたが、強力なライバルが出現した(笑)、これは見事な構成と料理力だと思う、皿上のドレッセも綺麗で上手い。
 まずは最初の苺のピクルスで「おぬし、出来るな」と思わせる(笑)、次の生シラスは和食の一品みたいだがこれも面白い。茄子と鳥貝は特に印象に残った料理、料理人は野菜料理が得意らしいが、これから旬になる茄子を主役にした素敵な前菜、貝に入れた細かな包丁が効いている。太刀魚はあえて骨と皮を付けて焼いたもの、料理人が「それが一番旨いから」という結論に達したのだろう、多少食べ難くてもこれは賛同出来る美味しさだ。ソルトブッシュラムはこれが2回目、火入れはジャストだしガルニとの相性もいい、一番美味しい脂を残す人がいるので、食べ易い様に脂部分を一旦外して燻製にかけたそうだ、このひと手間も効いている。感心したのがデザートで、一人厨房の場合は料理が良くてもデザートで落胆する店があるが、この皿は甘さと香り、リキュールの使い方に優れ印象的なものだった。

 サービスはイタリア料理店出身のオーナーが担当だが、厨房が信頼できるので、安心して接客にあたれる様子に見える、邪魔にならない程度に話しかけ、上手く間を持たせて居心地はとても良い。特筆すべきはグラスワインが安い事、これはかなりサービス価格だと思った。
 最後に生井料理長が挨拶に出て来て少し話をしたが、意外にもフランスで働いた経験は無いとの事、それでいてこれだけフランス的な料理を作るのは、作るだけでなく食べる方も相当実践を積んでいる筈だ、失礼ながら若く(30代後半?)面構えもいいし、この料理人はこれから更に伸びそうな気配がある(笑)。

 この日の料理が毎回出せれば、遠くない時期に「予約の取れない店」の仲間入りもありそう、だからブログには書きたくなかったのだが(笑)、そうなる前に一度行ってみる価値のある店だと思う。
 食後はオーナー&料理長に見送られて退店、私は腹ごなしも兼ね東京駅まで歩き、改装なった駅舎と話題の「KITTE」を見に行ったが、この話は次回にしたい。


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大谷田「手打ちそば蕎」

 東京下町で育った私には、寿司と蕎麦は決して特別な食べ物でなく、日常生活に密接したものだった。特に我家は商店を営んでいたため出前を取る機会が多く、普通なら日本蕎麦で、客人が訪ねて来た時や祝い事がある日は寿司を頼む事が多かった、店まで行ってその場で食べるより、出前が圧倒的に多かったと思う、たまに家族で行く「外食」はデパートの食堂(笑)、今で言う「洋食」が何よりのご馳走だった、子供の頃の好物は「ハンバーグ」で、当時偏食だった私が一番好んで食べ、親は私が機嫌悪くてもハンバーグさえ食べれば喜ぶ事を知っていた(笑)。
 ご馳走は洋食、寿司・蕎麦は日常との意識は、子供時代に刷り込まれたものだ、そのため大人になってからも、蕎麦屋と寿司屋は「電車賃を使ってわざわざ行く場所」ではなく、自宅の近所でいい店を見つければそれで十分だと思っている、そのためこのブログでは寿司屋と蕎麦屋の出番が少ない(笑)、ましてや利用するために何か月も前から予約する必要がある寿司屋(現にあるらしい)など、まず行ってみたいと思わない、これは多分これから先も変わらないと思う。

 また前置きが長くなってしまったが、今日紹介するのは我家から自転車で7、8分の場所に去年出来た蕎麦店の「手打ちそば蕎(きょう)」、場所は大谷田(おおやた)にある、この地名を知っている人は少ないと思うが、環七に架かる大谷田陸橋と大谷田団地のすぐ近く、温泉ファンには「大谷田温泉・明神の湯」というスーパー銭湯も近い。公共交通で行くのは不便で、JRの亀有駅からバスに乗って行くしかない、この店も最初は亀有で営業していたが、去年7月に移転して来たそうだ、ネット情報で知り初めて行ったのが2ヶ月前で、蕎麦の印象は良かったので月1回位通うようになり、この日の昼が3度目の訪問。

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 ランチタイムには小蕎麦と小丼のセットが4種類あるので、この日は「天丼セット」(980円)を注文し、通常の小盛りの蕎麦を大盛り(+200円)にしてもらった(笑)。

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・天丼(海老、かぼちゃ、茄子、しし唐)、これにサラダとお新香が付く。

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・もり蕎麦

 天丼は昔ながらの「蕎麦屋の天丼」、キリっとした辛口のタレが全体を締めていて美味しい。蕎麦はたぶん二八(蕎麦8割、小麦2割)だと思うが、綺麗な細打ちで喉越しがいい、蕎麦ツユも甘過ぎず悪くないし、最後の蕎麦湯もポタージュ系で美味しい。蕎麦は昼夜使う分だけ手打ちするらしく、打つ場所も狭いながら厨房の湿気が入らない別部屋がある。

 ちょっと北島康介に似た(笑)店主は、若いながらも技術が確かだと感じたので、この日「何処で働いていたのですか?」と不躾な質問をしてしまったが、意外な事を聞いてしまった。
 私もだいぶ前に行った事があるが、この地域では割と知られた蕎麦屋があり、ひと癖ありそうな親父が主人だった、この「蕎」の店主はその店の二代目で、先代の下で蕎麦職人として十年以上働いた後に独立したそうだ、店は先代が亡くなった後人手に渡ったが、店名は以前と同じまま現在も営業を続けている、その息子はこうして別の店で蕎麦店主として別の屋号で営業を始める、これ以上の「深い話」は聞くのは遠慮したが、何かこれは人形町の有名な洋食店の後継問題みたいだなと思った、飲食店ではこうした事が起こり易いのだろうか・・。

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 家から自転車で行ける場所には、ブログで紹介した事のある「重吉」があるが、そこの蕎麦との比較では、味と香りの重吉、喉越しで蕎と云う感じだろうか、どちらもいい店で、私にはこの二店があれば蕎麦屋に関しては遠出をしなくて済みそうだ、前述の様に私は決して蕎麦マニアではない(笑)。
 此処は定期的に通いたい店の一つになった。


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六本木「ル・グラン・ソワール」

 毎年、GWの連休中はあまり外食をしないのだが、今年は珍しく前半にフランス料理のランチに出かけた、場所は六本木の「ル・グラン・ソワール」で、この店を選んだ理由は、昨年末にメートル兼ソムリエ担当に、以前浅草「オマージュ」で支配人だった宮脇氏が就任したからで、時間のある休日に懐かしい顔に会いに行く事にした。

 店は六本木ヒルズ至近のため少し早目に家を出て、久しぶりにヒルズ内を見物する事に、午前中だったせいか意外と人出は少なく今は浅草の方が人は多いと感じる(笑)。一番驚いたのが「フレンチの神様」なる料理人の名前を冠したカウンターフレンチ店、どう見てもラーメン屋のカウンター位にしか見えないのだが、ランチが3,900円と6,500円は凄く強気だなと思う、もっとも私みたいなチープな人間は、初めから対象には考えていないのかも知れないが(笑)。

 仏語で「大きな夜」を店名にした「ル・グラン・ソワール」は、ヒルズから六本木通りを挟んで向かい側、「長寿庵」という大きな蕎麦店の地下にある、割と急な階段を降り、ガラス扉を開けたら思っていたより小さな店内、迎えてくれたのは宮脇氏と噂の美人マダム(笑)、サービスはこの二人で調理はオーナーの松原氏が担当する。テーブルが10、カウンターが4の計14席、六本木と云う場所柄夜の営業がメインなのだろうが、この日のランチタイムはテーブル席が全部埋まり、カウンターも2席使われてほぼ満席状態だった、店は地下にありフリでは入り難いし、客の様子を見ても初見の客では無さそう、食の激戦区だがこの店を支持する客は結構いるみたいだ。

 平日はOLさん相手に1,000円ランチもやっているが、土日祝のメニューは3,500円と5,000円の2種類、あらかじめ前者をお願いしていた。

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・隠岐の島の岩牡蠣(+600円)

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・Dopff au Moulin Gewurztraminer2011 (グラス1,000円)

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・山菜のタルトレット

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・新玉葱のポタージュ、オニオンリング

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・しょうさいフグのカダイフ巻き、レモンとコブミカンのソース

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・ココナッツミルクで煮込んだ仔羊のナヴァラン

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・ガナッシュのムース、キャラメルグラッセ、エスプレッソのサバイヨン
・エスプレッソ

 料理の印象は繊細で随所に手をかけた作業が感じられるもの、料理人の松原氏は青山「ランベリー」出身で副料理長まで務めたと聞く、ランベリーと言えば綺麗でお洒落な料理で特に女性に人気のフランス料理店だが、自店ではその路線でなくもっと本質的な料理の美味しさを狙っていると感じた。この日同行したのが料理人だったため、あとで厨房を見せてもらったのだが、失礼ながら狭い、家庭のキッチンとあまり変わらないスペースだ、加えて調理担当は一人なのでランベリーみたいな細かな作業は難しい、前菜やデザート類は作り置きのものが多くなりそう、でも料理はビストロやワインバーとは一線を画すもので、「仔羊のナヴァラン」等の盛り付けの丁寧さは、さすが高級レストラン出身だと感じた。料理人はフランス料理の料理人には珍しく「ふぐ調理師免許」を所持していて、冬場には「ふぐのコースメニュー」も提供するそうだ。

 「食べログ」で検索すると、六本木・麻布・広尾エリアでは「フランス料理」を提供する店が200軒ある、この中で生き残るのは相当熾烈な競争、料理だけでなく何らかの個性表現が求められると思う、この店も宮脇氏が参入する事により、ワインを初めサービスの幅が広まったのではないかと思う。
 私はこうした小規模な個人店はつい応援したくなる方だ(笑)、東京では昨年末から個人店の閉店情報を耳にする事が多く、飲食店には厳しい時代が続いているが、例え小さな店であっても、ここ六本木で店名の様に大きく輝いて欲しいと願っている。
 最後は宮脇氏と料理長が外に出てまで見送ってくれた、「夜の六本木」には場違いな人間なので(笑)、ランチにまた来てみたいと思った。


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神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(2013年4月)

  この日は4月で職場を完全退職された方の慰労会を、このブログではお馴染みになった、神楽坂のフランス料理「オー・トレーズ・ジュイエ」で行う事に、もちろん店選びは私だ(笑)。
 こうした店に職場の人を連れて行くのは難しい、俗に「グルメ」と呼ばれる人達と違って、値段や移動距離も考慮しないといけない、気を付けないと後で「あそこは遠かった、高かった」と言われかねない、それに加えて料理が美味しくなかったとしたら、職場にも居難くなりそうだ(笑)、赤坂「オゥ・レギューム」や牛込柳町「ル・デッサン」等はこの条件に合致していたが、前者は昨年末で閉店(移転準備中)、後者は5月中旬で静岡へ移転との事でとても残念だ。その点この「オー・トレーズ・ジュイエ」は値段、職場からの距離、料理とどれも条件に合致する、バランスが優れているので人を連れて行っても安心、あとはサービスだが、この日は料理長の計らいで特別キャストを依頼してもらい、これも文句付けようがなかった(笑)。
 この日のムニュ・クリアティフ(4,800円)の内容は、

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・イタリア産カルナローリ米サラダ サフラン風味、穴子のグリエ

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・自家製ハムのアスピック、カリフラワーのムース

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・新牛蒡のスープ

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・2年越冬させた北海道こがねとフォアグラ、木の芽マヨネーズ

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・アイナメのパネ、ホワイトアスパラ、浜名湖生海苔のソース

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・オセアニアのプレサレ、ソルトブッシュラムのグリエ、アンチョビソース

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・パイナップルのリソル、あきたこまちシェイク、シードルのジュレ

 ワイン選びも料理長にお願いしてしまった、
・Georg Breuer Riesling Sauvage2011
・Ad Astra Fattoria Nittardi 2011
 白はドイツラインガウ、赤はイタリアトスカーナと、ここの料理長らしい捻った選択(笑)。

 米サラダはイタリアンテイストの一皿、自家製ハムは4日間ソミュールに浸した後ボイルし、ボイル液のジュレと合わせた冷製の前菜、牛蒡のスープは最近多い牛蒡の味を強調し過ぎたものではなく、クリーム分が感じられる柔らかな味、演歌の題名みたいな「越冬こがね」は、2年間倉庫で熟成させたジャガイモをオーブンで焼きマヨネーズ風味のソースで食べるもの、これは濃厚で未体験の味だった。旬の魚アイナメは細かなパン粉を付け揚げ焼きし、風味豊かな生海苔のソースで味わう。
 そして本日の肉料理が私も初めて食べる「ソルトブッシュラム」、これは料理長が説明してくれたが、オーストラリア内陸地に生育するソルトブッシュと云う名の植物があり、地下水を養分として生育し塩分を葉に蓄える性質がある、これを餌として食べ続けた羊は肉質が飛躍的に向上し美味になる事から、最近注目されている食材だそうだ、フランス・ノルマンディー地方の、塩分を含む牧草で生育した羊「プレサレ」と同じだ。値段は通常の豪州産仔羊の倍近いとの事、食べた印象は「とにかく味が濃い」、「フランス産と同じか?」と訊かれたら微妙に違う気もするが、これは充分美味しい羊だ、倍の値段なのも頷けた。

 この店に初めて伺ったのは去年の7月、職場から近く今の処は予約も取り易いので頻繁に通う店になったが、料理はその時から明らかに進化し洗練されてきた、これは客層も影響していると思う、まだマスコミの注目度の低い店を支えるのは、本当に料理が好きな客だなと感じる、この店には「いい客」が付いている、何回か通ってみてそれが判った。
 神楽坂だけで「バル」的な店も含めると、フランス料理を提供する店が約80軒あると聞くが、この中で生き残るには、店を支えてくれる客をいかに確保するかが重要になる、常連客が他の店で浮気をしても、やがてはその店に帰ってくる様、日頃の努力が求められると思う(笑)。
 料理長並びにスタッフの皆様、この日も楽しい場の提供をありがとうございました。

(なお「オー・トレーズ・ジュイエ」は、現在内装工事のため休業中、5月末から6月初めに再開予定です。)



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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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