最後の晩餐にはまだ早い


神田須田町「雲林坊秋葉原店」の担々麺

 平日休みのこの日、秋葉原に用事があったので何処かで昼食と思い、選んだのは神田須田町にある「雲林坊秋葉原店」、同じ須田町にある中国四川料理「雲林」の支店で、担々麺や麻婆豆腐に特化した専門店、「雲林」の子供だから「雲林坊」と云う名前を付けたのだと思う(笑)。
 本店ではコース料理の最後に担々麺が出て、なかなか美味しかった記憶があるので、以前から行ってみたいと思っていた店だ。
 場所はJR秋葉原駅から神田駅へ向かう途中、靖国通りに面しJR高架の文字通り「ガード下」にあって判り易い、真上には東北・上越新幹線が走る。

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 私は若い頃は夜型人間だったが、現在は朝型人間に変わった、春夏秋冬朝は6時には目が覚める(笑)、休みの日は大抵朝食を摂らないから、昼食は早目に食べる事が多い、この店の様にランチ開始が11時からだとありがたい、11時半や12時開始の店はサラリーマンのランチとぶつかる事が多く、店に着いてみたら既に満席だったと云う事もある、その点11時開始だと席待ちの心配はまずいらないので安心だ(笑)。
 店はカウンターだけの10席、ラーメン専門店に多い先に食券を買う方式だ、この日は大変暑い日だったので、「汁無し担々麺」にも惹かれたが、先日行った千駄木「天外天」との比較もしてみたく、「汁あり担々麺」(800円)を選ぶ事に、この他にも麻婆豆腐定食や麺に小丼が付いたセットもある。
 外観から想像したより店内は綺麗に整頓されている、カウンター内は最初一人だったが、あとで2階?から一人降りて来て加わり、二人で料理を作っていた。面白いと思ったのが、割り箸とレンゲの入った洒落た抽斗で、始めはこれが何だか判らなかった(笑)。

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 しばらくして、カウンターの前に置かれたのが、派手な色彩のラーメン丼に盛られた担々麺、辛さの事は聞かれなかったので、何も言わなければノーマル版が出るみたいだ、見た感じではそれ程辛そうには見えない、香辛料のいい香りがする。

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 まずは一口スープを味わうと唐辛子の辛味と芝麻醤の甘味が上手くエミルジョンされ、味のバランスはとてもいい、スープも丁寧に取ってあって辛さだけが突出していない。
 麺は全粒粉を使用しているとの事だが、汁ありの方は細麺、汁無しには太麺を使う、この麺が美味しい、細麺ながら歯応えがあって、強いスープに負けていない。私は大体においてどの食べ物も食べるのが早いが、それが自分のストライクゾーン真ん中に入った美味しさだと余計に早くなる(笑)。この日もあっという間に完食してしまった、もう少し若い頃だったら、汁無しも追加で一杯行けたかも知れない(笑)。
 あくまでも担々麺だけの評価だが、私は「天外天」よりこちらの方が好きだ、スープと麺のバランスがいい。隣席の客が食べていた麻婆豆腐も美味しそうだったし、此処はまた来てみたいと思った。

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 帰りは昭和通りに向かって歩いて行ったが、途中由緒ありげな小さな神社があったので中を拝見する事に、「柳森神社」と書かれ、境内には大きな狸の石像や、「力石(ちからいし)」と云う名の、江戸時代に力比べに使ったと由来のある古い大きな石が幾つも置かれ、なかなか面白い不思議空間である。帰宅後調べたら、江戸城から鬼門の方角にあたるこの場所に、江戸開幕以前に鎮守として建てられた歴史ある社だそうだ。狸を守り神にしているそうで、近隣の人はこの神社を「おたぬきさん」と呼ぶらしい(笑)。
 この須田町には、「看板建築」と呼ばれる古い商家様式の建物も残っていて、近くの秋葉原の開発、再開発に取り残されたみたいな一角、歩いていて大変面白い、路上観察に興味のある方には、秋葉原に行かれたら、ここまで足を延ばしてみる事をお勧めしたい。


 

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八丁堀「シック・プッテートル」(2013年8月)

 この日は、大阪から食べ仲間の友人夫妻がやって来る事になり、当然のごとく「何処かで食事を一緒にしましょう」との話になった。幾つか候補の店を挙げた中で、この方も私のブログを見て「行ってみたい」と思われたのが、八丁堀のフランス料理「シック・プッテートル」だったそうで、世間は盆休み期間中だが、幸いな事に予約が取れ、酷暑盛りの夜に八丁堀に集まる事になった。
 友人の話では、新幹線に乗って東京駅に降りた際の第一印象は、「東京は涼しい」だったそうで、大阪がいかに暑いのか同情してしまう、どの世界でも上には上が、更にはその上があるものだ(笑)。

 シック・プッテートルはこれが3回目、初訪問が5月だから、私としては「頻繁に」訪れる店になった、私は一度気に入ると立て続けに通う性癖?があり、そうなると以前から利用していた店はご無沙汰する事になってしまう、「最近来てくれなくなった」と思われてしまうのは辛い処でもあるが、もし今より資力と体力があれば、もっと沢山の店に均等に通いたいのだけれど(笑)。
 この店はカウンターも含めると一応20席あるが、現在は席数を絞り、この日も我々を含めて3卓8人で止めていた様子だ、調理場が生井氏一人なので、自分達の納得いく仕事をしたいがために、こうしているのだろう、この辺りはオーナー兼サービス担当の星氏の考えも大きいと思う、テーブルを確保出来た客側にとっては嬉しいスタンスだが、ビジネスと考えると結構大変かも知れない。

 この夜のムニュは、8,000円の全ておまかせによる「カルトブランシュ」で、全10品をお見せしたい、

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・バスク、キントア豚のサラミ「ジェズ」

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・キャラウェイシードに埋まったチーズクッキー

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・クールジェットのテリーヌ、塩シャンティ、スターレットキャビア

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・時知らずの低温湯煎調理、イクラと桜エビのマヨネーズ

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・鰹のミ・キュイ、彩り野菜、コリアンダーとアボガドのソース

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・石巻雄勝町産夏牡蠣、トウモロコシ、コリアンダー風味モロヘイヤのスープ

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・凾館産骨付き平目のムニエル、トリュフ風味のブール・ブランとブール・ノワゼット

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・岩手二戸産短角牛、二種のブールコンポゼ
     
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・リュバーブのムース、トマトと白桃のコンポート

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・自家製クッキー

 まさに生井ワールド全開で絶好調だと感じた、特に彼の際立った個性と豊かな感性が感じられるのが前菜群で、この日のクールジェットのテリーヌと鰹と野菜の皿は、それを表現する料理だと思った、味だけでなく色彩や食材構築のビジュアルが美しいのが特徴、最近若手料理人の中で、皿の中心を使わず周辺部に非対称に料理を盛るのが流行し、どうも北欧辺りで始まったみたいだが、私はあれが嫌いで、決して美しいドレッセと思えない。生井料理長は若い頃(そう言っても今でも充分若いが(笑))、美術と音楽を指向したと聞くが、あんな変な事はやらないのはさすがだと思う。
 魚料理と肉料理は、軽やかな前菜達とは少し方向が変わり、バターやチーズ等脂肪分をしっかりと使い、伝統性を感じさせてくれるもの、日本の平目はフランス料理にはあまり合わないのではとも思っていたが、こうして骨付きのまま火入れし、バターをしっかり効かせたソースで味わうと、日本の平目旨いじゃないかと認識を新たにする(笑)。牛の本場である関西から来たゲストに牛肉料理を出すのは、食材と料理への自信と見た、ムニュの中に牛肉を使うのは、時として詰まらないものになる事もあるが、この赤身肉はその心配のいらない旨味に富んだものだった。

 オーナーの星氏ともう一人の若い女性のサービスは、回を追う毎にこなれて良くなっている、厨房とホールの連携がお互いを信頼しながら、そうかと言って「馴れ合い」になる事なく、とても上手く行っている様に見える。今、料理人がオーナーシェフとして独立しても、自分と合うサービスを探すのは、人材不足の現状から至難になっているので、この店はお互い大変良い選択をしたのではないかと思う。

 大阪から来た友人夫妻も充分満足されたみたいだし、とてもいい「真夏の夜の夢」の宴になった。次回は更なる強者達が集まる予定なので、店側には大迷惑かも知れないが、どんな饗応を見せてくれるか、とても楽しみだ(笑)。



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亀有「吉田パン」のコッペパン

 残念ながら私は未訪だが、岩手県盛岡市に「盛岡市民なら知らない人間は居ない」とまで云われる、「福田パン」と云う名前のパン店がある。主力商品はコッペパンで、スーパー等にも置かれていて、誰が名付けたのか「盛岡のソウルフード」なる尊称?もあるそうだ。
 この福田パンで学んだ人が開業、パン製造や店舗運営の監修を受けている店が、我家から自転車で行ける葛飾・亀有にある事はWEB情報で知っていた、店の名前は「吉田パン」で、一度買いに行ったのだが、既にネット上で知れ渡った事もあり、その時は長蛇の列だったのであきらめた。
 今回再度チャレンジし買いに行く事にした、猛暑の中だったので、行列は少ないだろうとの希望的憶測もあった(笑)。
 場所は常磐線亀有駅の北口を出て、北へ向かって直進した道路沿い、最近出来たらしいマンションの1階にある、店前には行列を想定したベンチも置いてあるが、この日は並びが5人と少なくて一安心、それも冷房の効いた店内で待つ事が出来た。扱っているのはコッペパンだけで、客が中身を注文してからパンに詰めるので、ジェラートショップみたいに時間がかかる、開業当初はオペレーションも慣れていなかったので、余計に待たされる事が多かったみたいだ。

 後でもらったパンフレットによると、中身は以下のとおり、
140円 あん、いちごジャム、ピーナッツ
150円 いちごジャムバター、ピーナッツバター、マーマレード
160円 あんマーガリン
170円 クッキー&バニラ
230円 たまご、ポテトサラダ
250円 コンビーフ、ごぼうサラダ、スパゲッティナポリタン
260円 ツナ、ハムカツ
 この日は食べたかったハムカツが無く、あんマーガリン、たまご、コンビーフを選んだが、予想以上に大きく重かった(笑)。

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 家に持ち帰って早速食べる事にしたが、その前に大きさを測ってみたら18×10×6㎝で重さは236g、これはかなり食べ応えがある。
 まずは「たまご」
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 茹で卵を細かく刻みマヨネーズで和えたもの、野菜は入らずシンプルそのもの、コッペパンは独特な食感で、日本のパンメーカーが作る「ソフトフランス」みたいだが、もう少ししなやかさがある、香りは素朴で添加物は感じない、初めは美味しいのだが、大きいので最後まで食べ切るのが結構辛い(笑)、途中で飽きてしまうのだ、これは1個を2人で分けた方がいいかも知れない。

 次に「コンビーフ」
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 市販?のコンビーフをほぐしてマヨネーズで和えたもの、マヨネーズ味が被ってしまったのは失敗だった(笑)。これも構成要素が単純なので、一個全部食べ切るのに苦労した、やはりハムカツが食べたかった(笑)。

 最後は「あんマーガリン」
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 画像では少し萎んでいるが、これは一晩冷蔵庫に入れたためで、パンが風邪を引いて?しまった、やはりパンは生き物だ(笑)。盛岡の本家も此の店もこれが一番の人気商品らしい、本家では最初「あんバター」だったが、数年前のバター不足の時にマーガリンに変え、その後はこれで続けているそうで、給食的な懐かしさと云う点ではマーガリンかも知れない、不思議なマッチングながらこれが美味しい、1個を2回に分けて食べたが、その位が丁度良かった(笑)。

 全体的に云うと、素朴で添加物もあまり感じることなく美味しく食べる事が出来た、ただ、あまりにもサイズが大き過ぎで、一人で1本食べるのは途中で飽きてくる、二人以上で半分ずつ食べる位が丁度いいかも知れない。
 値段も安いし、まだ食べていない具なら、もう一度買いに行ってみたいと思った、亀有に行った時には、話のタネになるお土産だと思う(笑)。


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金町・とんかつ「喝」(2回目)

 私は元々出不精な人間で人混みが苦手、温泉趣味も無いので、何処かに出かけても観光は殆どしない(笑)、フランスへは計9回行ったが、いまだにベルサイユ宮殿には行っていないし、モン・サン=ミッシェルも人の多さに辟易して、早足で一回りしてすぐ帰って来てしまった(笑)、ロワールに行きながらも有名な城を一つも見ていない(笑)、史跡で興味があるのは、ロマネスク時代に建てられた教会だけと云う、マニア系の変な人間なので、夏休みをもらっても殆ど家に居るか、何処かにランチを食べに行くだけだ。
 この日も折角の平日休みなのに、電車に乗るのが億劫になり、自転車で行けそうな近場でランチと考えて、思い付いたのが前回行って好印象だった、金町のとんかつ店「喝」、此処へまた自転車を飛ばして行ってみる事にした、もちろん平日昼のみのお得なランチ狙い(笑)。

 金町は中川沿いにあった三菱製紙の跡地に、東京理科大学のキャンパスが一部移転され、昔と雰囲気が大幅に変わった、工場労働者の街から学生の街に変貌しつつある、学校があると飲食店が増えるのは必然で、これから期待が持てる地域だと思う。
 この「喝」も駅から東京理科大へ向かう途中にあるので、学生向けのメニューも揃えているが、この日は夏休みに入った事もあって、学生の姿は見なかった。

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 昼最初の客となり、前回と同じ席に座りメニューを見たが、前回はロースランチ(1,365円)だったので、今回はヒレランチ(1,575円)を注文する事にした、個人的にはとんかつはロース派だが、この店がどんなヒレカツを出すのか興味があった。他には「ハムかつランチ」(840円)、「チキンランチ」(1,050円)があるが、これは学生を意識しているメニューだろう(笑)。

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 この店の面白い処は、まず「お通し」みたいな、お新香とキムチ、チーズのセットが出て、水もビアジョッキ、箸がポメリーマスタードの空き瓶に入って出て来る事、前回も思ったがこれが居酒屋的に感じる、メニューには「ランチビール」(280円)もあり、後から入って来た女性二人組は、昼からこれを飲んでいた(笑)。店内には焼酎や日本酒の瓶が並び、酒が中心の店にも見えてしまうが、勿論ちゃんとしたとんかつが出る店だ。

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 注文後しばらく経って出て来たのが、キャベツの千切りと十穀米と赤出汁碗、白米も可能だが私はこれが好きなので、毎回十穀米を選ぶ、此処のものは特に美味しい。

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 そして運ばれて来たのが、多治見製の絵皿に盛られたヒレカツ、この店は低温で時間をかけて揚げるので衣が白い、中はロースカツ同様に微かに赤身を残している、揚げ具合はこれがジャストだと思う、何も付けずに一口食べてみると、肉汁が口内に広がり、爽やかでいながら濃厚な豚の香りが沁みる、詳しい事は不明だが、おそらくは生肉を何日か熟成させているのだと思う、パサつき易いヒレ肉を上手く処理している。
 
 甘味のあるソースをかけると、また違った味わいが生まれる、御飯と共に食べるなら、やはりソースをかけた方が合うと思う。
 丁寧に切られたキャベツ、酸味のある赤出汁汁も文句なし、あっという間に平らげてしまい、無くなるのが悔しくなるような秀逸なカツだった。ロースも美味しいがヒレも捨てがたい、可能なら週一で来て交互に食べたいと思ってしまった(笑)。
 サービスの女性は前回と人が替わったみたいだが、とても教育が出来ていて、前回同様に気持ちいいサービスだった。

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 都心からは外れるし、店内の雰囲気や店外にある宣伝を書いた案内板?は独特で、好き嫌いが別れるかも知れないが、とんかつ好きなら一度訪れる価値のある店、特に平日ランチはお得感が大きいと思う(笑)。
 満足感に包まれ、また自転車に乗って帰路へ向かった、次は何時来ようか(笑)。


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麻布十番「グリグリ」

 今年の初めに親しい料理人から、「今度麻布十番に出来たフランス料理店は、要マークだ」との話を聞いた、私は全く知らなかったのだが、何でもその料理人はフランス・ヴァランスの「ピック」、スペイン・バスクの「マルティン・ベラサテギ」等で働き、その後地元の名古屋で開業するも、斬新な料理に名古屋人が付いて行けず(笑)、「客を求めて」東京へ進出して来たとの事だった。この話を聞いてから「行ってみたい」と思っていたが、その後別の料理人からの話でも、実際に行ってみて「料理にオリジナリティがあって、すごく良かった」との感想を聞いた、「客より料理人が評価する店」ならこれは面白い、行かない訳には行かないと、以前より親しくさせてもらっている、尊敬するグルメ仲間のご夫妻を誘って、まずはランチタイムに訪れる事にした。

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 「店の場所が判り難い」、これは東京の名店の条件なのかも知れない(笑)、麻布十番駅を出て、「豆源」や「更科本店」がある商店街を六本木へ向かって歩き、もうじき六本木ヒルズのゲートタワーが見える辺りに出来た新しいビル内にあるのだが、看板は出ていないので、予約客以外は最初から想定していないみたいだ。
 事前にWEB情報を見た時は、店内装飾が妙に乙女チック?な雰囲気で、中年親父でも大丈夫か?との心配もあったが、実際には予想より落ち着いていてまずは一安心(笑)。店内は6席のベンチシートに4席の丸テーブル、更に4席のカウンターがあり合計14席、調理場はオーナーシェフ1人、店内はマダムが1人で対応する最低限の体制だ、丸テーブル席では女子会?が始まっていて、私達の後には男性2人組が来店した。
 ランチは4,500円(税・サービス料込)の一種類のみ、内容は全ておまかせの「カルトブランシュ」で、メニュー構成が、アミューズ・前菜1・前菜2・メイン・デザートまたはチーズになるのだが、このうち前菜2皿とメインについては、同じテーブル内で全て料理が違う、この日3人で行ったので、3×3で9皿別の料理が出た、4人で行ったら12皿出る事になるみたいだ、そしてそれを一人の厨房で時間差なく全て出せるのが凄い、画像で紹介するのは私に出た料理だが、

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・アミューズ(フォアグラのあんこ玉?トウモロコシの冷製スープ、人参チップス、茶豆に豚背脂)

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・鮎の再構築、ペリエのエスプーマ

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・Givry 1er Cru ‘Clos Jus’ Domaine Ragot 2009

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・ブルターニュ産ムール貝のフリット、ブルターニュ産海藻バター、ムール貝のスープ

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・夏鹿のシヴェ、グレープフルーツのコンフィ

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・イルフロッタント、パイナップルとマンゴーのコンカッセ、パイナップルのスープ

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・ミニャルディーズ
・エスプレッソ

 ちなみに他の二人のメインはシャラン鴨とイベリコ豚だった。
 鮎は一旦骨と中身を外してから再度成形し「うるか」を塗ってローストしたもの、ムール貝は生地の間に貝を挟んで揚げ、スープをかけて食べるのだが、生地が「かっぱえびせん」みたいに香ばしく(笑)後を引く。今注目されている食材の夏鹿は古典的なシヴェ仕立てで大変良い出来、酸味と苦みのあるグレープフルーツも効いている。

 これは見事な構成と料理力だ、例えば「フロリレージュ」のランチと比べても、デザートが少し見劣りするくらいで(作るのが一人なので、これでも立派だと思うが)、料理に関しては決して遜色ない、厨房一人なのに凄い事だ、あえて言えば食事中のパンがお代わりしたくなる様な物でなかったが、これは今後もっと良くなるだろう。
 「ピック」は未訪問だが、料理の所々に「ベラサテギ」のエッセンスは感じる事は出来た。料理人はまだ三十代後半の若さなので、これから更に進化しそうなポテンシャルを感じさせる、注目すべき才能。ただ、客側も自分の前にどの料理が出ても楽しめる度量が試される、人の皿を見て「あっちが良かった」と思う事の多い人には向かない(笑)、その意味では遊び心のある料理上級者向けの店とも言えそう。
 サービスはマダム一人のため、ベタな対応は無理だが、私にはそれがかえって好印象(笑)、都会スレしていなくて、決して毒が無い感じ(笑)なのはとてもいい。
 ランチタイム最後の客になり、料理長とマダム揃っての見送りを受けた、以前TV番組で田崎真也さんが、「帰り際に『美味しかった』と言う客は次来てくれない、『楽しかった』と言う客はまた来てくれる」と話していたが、此処は「楽しかった」と言いたい店だ(笑)。

 実に素敵な店が出現した、今年はこれまでの処、東京の新規訪問店では「当たり」が多いが、それだけ全体のレベルが上がって来ていると云う事だろう、この店はいきなり「当たりグループ」の上位にランクインした(笑)、近いうちに再訪したいと思う。
 今ならまだ予約も取り易いので、狙い目だ。



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神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(2013年7月2回目)

 この日は、職場仲間と暑気払いをやろうとの話になり、伺ったのはこのブログではお馴染みになった、神楽坂の「オー・トレーズ・ジュイエ」、改装後2回目の訪問になる、この店は職場からだと20分位で行けるので、この日みたいに移動に難のある高齢者?集団で行く時は特に重宝する(笑)。
 18時過ぎに入店したら、既に私達より更に年配に見える男性客二人が食事を始めていた、サービス担当の男性や料理長とも親しげに話をしているので、彼らが帰った後に聞いてみたら、料理人が別の店で雇われ料理長だった時代から贔屓にしてくれた客だそうで、独立してからもこうして時折来てくれるそうだ、これはありがたい事だ。日本で年配の男性客が、固定客として付いているフランス料理店はまだ少ないと思う、超高齢化社会を迎えようとするこの国で、彼&彼女達を常連として持てれば、飲食店にとって結構強い味方になりそうだ(笑)、決して悪い意味ではなく「介護施設」の発想でレストランのあり方を見直す事も、これからの日本では必要になるかも知れない(笑)。

 この日もいつもと同じく、「ムニュ・クリアティフ」(4,800円)をお願いしたが、その全8品は、

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・白インゲンのエスペレット煮、ピータンのムース

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・鮎のセビーチェ、その肝と冬瓜のすり流し、トマトとフランボワーズのソルベ

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・ピーマンの冷たいスープ、ナスのキャビア

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・コリンキー南瓜とスルメイカのソテー、ディルのマヨネーズ

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・函館のハゴトコ、アメリカンチェリーとイチジクのガルニチュール、トレビスのエテュヴェ、オレンジ風味、エストラゴン

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・鹿角の短角牛とイワシのピサラディエール

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・紫蘇のグラニテ

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・夕張メロンのパルフェ、ジャスミンのグラス

ワインもお任せで選んでもらった白・赤で、
・VOUVRAY Domaine des Aubuisieres 2012
・COTES DE BORDEAUX Duc DES Nauves 2010

 改装後は、独自性を考えたのか日本の食材を積極的に使っている、これには円安に伴う輸入食材の極端な値上がりも関係していると思う。
 特に印象に残った料理は、白インゲン、コリンキー、ハゴトコ(アイナメの仲間)の料理とデザート。鮎の料理は少々「実験的」で改良の余地ありそう、クリュ(生)はこのムニュ構成には難しい気もした。短角牛はトマトソースにタタミイワシ、アンショワ、タプナードが加わったために塩分過多になり、短角牛の繊細さがちょっと隠れてしまった、夏向け料理を作りたかったのは理解できるが、これも少し食材を整理した方が良さそうだ。
 店の改装に伴い、時価数十万という冷凍粉砕調理器「パコジェット」を導入、これを使用する事により、デザートのグレードが一気に上がった、「パティシェを一人雇う人件費に比べたら、この機械を買った方が安い」と言う料理人もいるが(笑)、そのポテンシャルはやはり凄い、これはスイス製だがフランスなら「機械に職業を奪われる」と、パティシェ&パティシェールから製品開発への反対運動が起きたかも知れない(笑)。

 この店も開業して今年の10月で2年になる、昔から「石の上にも3年」と云うので、これからの1年が生き残れるがどうかの本当の正念場だ、天井漏水事故による予期せぬ休業と云うアクシデントはあったが、無事?再開後は勝負の年となる筈、「予約が取れない」と客に悔しがらせる店位になって欲しいが、でもそうなると常連客には困る事になるか(笑)。


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マミーズの「アップルパイ&バナナパイ」

 知人から、「マミーズ」のアップルパイとバナナパイをいただいて(ホールではなくカットしたもの)、久しぶりに食べてみて、美味しかったのだが思う処あって、今回はこの話をしたいと思う。

 「マミーズ」、現在は「マミーズ・アン・スリール‘mammies an sourire’(母の微笑)」が正式な店名になっているが、文京区西片に本店があるパイ専門店、WEBページ上での会社(現在は会社組織になっている)概要によると、平成7年に同区本郷にて開業、平成8年に現在地に移転して以降事業を拡大し、現在は都内だけでも7店舗を構えるまでになった。
 店主は横川さんという女性の方で、最初は子供達に安全なものを食べさせたいとの思いからパイ作りを始め、脱サラして起業に成功し、過去TV等でも何回か取り上げられている。
 私は勤め先が西片から近かったので、この平成8年当時からこの店を知っていた、当時の印象はいかにも「家庭の味」という感じで、パイの出来も何処かアマチュア的だったし、味も洗練され過ぎずホッとする温かな美味しさだった。

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 今回おそらく10年ぶり位になる筈で、食べたのは、

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・看板商品のアップルパイ
 現在は大ホール(直径20cm)と小ホール(15cm)の二種あるが、これは大の方を6分の1にカットしたもので、1個386円。

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・バナナパイ
 大きさはアップルパイとほとんど同じ、値段は263円

 味は充分美味しく、今は1個500円超えの有名パティスリーのスイーツが当たり前になった時代に、この値段は良心的だと思う、それは充分承知の上であえて言わせてもらえば、以前の「手作り感」は薄れて「製品」になってしまったかなと云う印象を受けた、「お母さんの味」が「企業の味」になってしまった、でもこれは仕方のない事だろう、都内だけで7店舗もあれば、どこか工場で一括製造するしかなく、今は荒川区に工場があると聞いた。

 これで連想したのがパリの「メゾン・カイザー」、パン職人のエリック・カイザーがカルチェ・ラタンに第一店を出店したのが1990年代、当時増え始めたパリのネオ・ビストロがこの店のパンを使って名前を知られる事になる、その後アラン・デュカスと提携し事業を拡大、現在はパリだけでも20店舗以上、海外でも日本を始め韓国や香港、米国まで支店展開するまでになった、こうなるともう「ブランジェリー」と云うより「多国籍企業」だ(笑)。
 「マミーズ」にしても「カイザー」にしても、企業としてブランド名と品質を維持する努力は決して怠っていない筈、それだからこそ作る物は、最大公約数的な均質な製品になる、もう「手作り感」を求めてはいけないと思う、これはどうしようもない現実で、「パリと同じ味だった」「本店と変わらない美味しさ」と、この均質性が大事な消費者も現実にいる。

 こうして店の名前は人々の間に広まっていき、残った店が「老舗」と呼ばれ、やがてデパートの地下名店街に並ぶ事になる(笑)。古くからの店を知っている客が「昔の方が良かった」と思うのは、感傷でしかないのだろう。でも私はやはり飲食では、店主が厨房から汗を流しながら、出来たばかりのものを運んで来る様な店の方が好きだ(笑)。
 ※本店の外観画像は店のWEBページから引用しました。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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