最後の晩餐にはまだ早い


八丁堀「シック・プッテートル」(2013年9月)

 この日は関西から「若手最強料理人」がやって来る事になり、彼とは年に1、2回食事を一緒にしているのだが、困るのが店選び、何と言っても最強だから、迂闊に不満足な店に連れて行ってしまい、料理人と掴み合いでも始められたら困る(笑)。ここは私が現在持っている最上のカードを出すしかないだろうと、選んだのがこのブログではお馴染みの、八丁堀のフランス料理「シック・プッテートル」、この店へ4回目の訪問をする事に。彼が遠路やって来るので、興味がありそうな食仲間に呼びかけた処、皆喜んで参加表明してくれ、この日は総勢6名の集まりになった、それも私が料理人なら黙って裏口から逃げ出したくなる、かなり濃いメンバーが揃ってしまった。

 あらかじめ店側にはこの日集まるメンバーと主旨、予算を伝えていたが、店側にとってはこうしたプロファイルが重要なのは、長年の経験で判った事だ。集合時間の19時少し前に店へ向かったら、店内の電灯が消えていたので、「まさか、逃げた?」とは思わなかったが、心配になってドアを開けたら、星オーナーが出て来たので安心した。どうやら貸し切り客になったみたいで、つまり他の客を断ったのではと思うのだが、事前情報で脅かし過ぎてしまったかも知れない(笑)。

 全員が集まった時点で始まった、生井料理長渾身の料理、この夜に出された全10品を紹介したいと思う、

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・バスク、キントア豚のサラミ「ジェズ」

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・キャラウェイシードのクッキー

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・バターナッツかぼちゃのテリーヌ 、ペドロヒメネスと塩のシャンティ。

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・サンマの低温コンフィ、ナスのキャビアとハラワタのババロア

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・宮城雄勝町牡蠣のポシェ、アサリと依田さんのパセリのエミュルシオン

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・フォアグラ・ド・カナールのショーフロワ 、シードルビネガーのレディクシオン

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・ヒメジのクッサン仕立て、サフランとヴァニラのソース

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・ラカン産ピジョノー、肝のソース、キャラメリゼしたバナナ

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・キャラメルのムース、チュイール

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・ココナッツのサブレ、(フレッシュアンフィージョン)
※料理名は後で料理長に確認したもの
・ワインは星オーナーが選んだ、フランス物を中心にしたペアリングで。

 バターナッツスクワッシュのテリーヌは前回訪問時のズッキーニ版の変奏、甘味があり独特の食感があるこの野菜を上手く使っている、サンマの前菜はテリーヌ状に四角く固め、はらわたのババロワが大胆で面白い。牡蠣のポシェは軽い火の通しでパセリの泡が味を引き締めている、フォアグラのショーフロワは普段フォアグラを食べない私でも納得する仕上げ、ヒメジの「クッサン仕上げ」とはクッションの事、この料理はドレッセも含めグランドメゾンの皿でも充分通用すると思う(笑)。良質のピジョノーに添えたバナナが独特で、最初「鳩にバナナ?」と疑ったが、これが合わせて食べてみると、鉄分の多い鳩肉の酸味・甘味に意外に合う、これの相性を探り当てた料理人のセンスは見事。
 全体的な料理の印象は、独創的でいながら脇道に逸れていなく、真っ当に楽しめると同時にサプライズ感もある、前回利用時より更に料理の精度を増していると思った。ただこれ以上精度を上げるのは、店全体のバランスを考えると、取りあえずはこの辺りで止めておいた方がいい気もする。

 以前に別の食事会で、この夜と同じく強豪グルメ達を集めた事があるが、後でその店の料理人が言っていたのが、それまで皆語り合っていたのに、料理が出ると一斉に声が止み静寂の時間が訪れる、これが恐怖だったとの事(笑)、この日も全く同様で、料理が出て皆が食べ始めた数分は不気味な沈黙タイムがある、これで誰かが「不味い」と言い出せば、他の人間は「そうだ、そう通りだ」と賛同し、料理人はさながらバスティーユ牢獄に押し寄せた群衆に対峙する守備兵みたいな、絶望感と恐怖感に苛まれると思う、幸い?な事に、料理はどれも隙の無い出来で、「襲撃」に合う事は一切無かったが(笑)。
 食材と同じく店にも料理人にも「旬」がある、それが長く続くか否かは様々な要因によるが、昨年11月に開店したこのレストランが、今まさに旬の盛りに入ろうとしている事だけは間違いない。

 濃厚なグルメ話は延々と続いたが、この日は週初めの月曜日だった事もあり、名残惜しいながら、まだまだ電車がある時刻に終了した。
 生井料理長、星オーナーとサービス陣、そして参加者の皆さんありがとうございました、忘れ難い素敵なディナーになりました。

※次回のブログ更新は22日の予定です。


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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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