最後の晩餐にはまだ早い


湯島・ナポリピッツア「アランジャルシ」

 この日のランチは千代田線湯島駅近くにある別の店に行くつもりだったが、開店時間の11時過ぎに着いたら店前に貼紙があり、「本日一人での営業のため12時からになります」との知らせが、この日は台風接近の影響により交通機関が乱れ、電車遅れで従業員が来られないみたいだ(笑)、そこで方針変更し「この辺りで何処か良さそうな店は?」と考えて、思い出したのが、そう離れていない湯島切通坂の途中にある、ナポリピッツアの店「アランジャルシ」で、歩いて行ってみる事にした、この店も以前から行きたいと思っていた店だ。

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 店に着いたのが開店時間の11時半、此処は予定通り開けるみたいで一安心、入店時一人である事を告げると、店主らしい男性からカウンター席に案内された、この席からはイタリア・ナポリから直輸入した薪釜がよく見える。

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 店名の「アランジャルシ‘Arrangiarsi’」は、この男性が言うには「イタリア語で適当にとか、いい加減みたいな意味です」との事だが、後で調べたら英語の‘dodge’の様に「かわす、避ける(人)」と云う意味の使い方もする、たぶん英語の‘arrange’とは語源が同じなのだろう、要は「ラテン系です」と云う事みたいだ(笑)。

 昼は1,300円のピッツアランチのみ、それも限定20食で終了してしまう、内容は前菜+ピッツア+コーヒーで、ドルチェは別料金になる、ピッツアはチーズ・トマト・バジリコを使う定番の「マリゲリータ」と、チーズを使わない「マリナーラ」の2種からの選択になる、初訪問の店なので、ここは定番の「マルゲリータ」をお願いする事にした、出て来たものは、

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・前菜盛り合せ(イカとサラダ菜のサラダ、白インゲン豆のトマト煮込み、ハムの下はピッツア生地のフリット?)

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ピッツア・マルゲリータ

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・本来ならここでコーヒーだが、ドルチェも食べたくなって、別料金のティラミス(450円)を注文

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・エスプレッソとレトロなシュガーポット

 ピッツアが焼けるまでの繋ぎである前菜は、特別に美味しいと云うものではないが、豆好きな私としては白インゲンの煮込みが嬉しい(笑)。
 薪釜に入れてから2~3分かかっただろうか、お待ちかねのピッツアがやって来た、夜だと直径30㎝位の大きさらしいが、ランチタイムで出されるのは20cm径位のもの、周りの部分が程よく焦げて、チーズ、バジリコとトマトが一体となった香りが食欲を刺激する。一口食べてみると、生バジリコとトマトの香りがして、その次にチーズの味わいが来る、生地はモチモチしているのが特徴、ピッツアは薄焼きでカリっとした味わいにするタイプと、この店みたいに少し厚みを持たせてモチっとした食感にするタイプに別れるみたいで、どちらが良いと云うより食べる側の好みで選ぶものだろう。
 これだけモチモチしている生地は、グルテンが生成されている事だから、粉を練ってからある程度寝かして(熟成して)いると思う、どの位の間置いているかは聞かなかったが前日の生地かも知れない、これは勿論意図的で「残り物」では無い筈(笑)。先日の旅行時に札幌のフレンチ料理人から聞いたのだが、旭川近くにあるピッツェリアでは、実に1週間寝かせた生地でピッツアを作り、それが特に美味しいとの事だ。フランス料理に比べたら単純そうに見えたこの世界もやはり奥は深い(笑)。

 途中からサービス担当の若い女性がやって来た、彼女も台風の影響で遅くなったらしい、この女性はアルバイトみたいだが、とても元気が良く明るくて可愛い(笑)、やはり接客業は暗い雰囲気では向かない。この料理人の店主一人とサービスのアルバイト女性一人計二人で店を回すと云うパターン、何店かで見たので増えていると思う、今はやる気が感じられない男性従業員を雇うより、元気な女性アルバイトの方がよほど頼りになるし、店の雰囲気も良くなる(笑)。
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 正午を過ぎてからは来客が続き、予約客もやって来た、この店がある春日通りの並びには、行列が出来る事で知られるラーメン店の「大喜」や中国料理の「一片雲」、ブログに書いたコーヒー&ケーキの「TIES」があり、向かいの湯島天神側にも老舗が数店存在するグルメスポット、その中でピッツェリアは異色だが、開店後既に5年経ったそうで、それだけ支持されて来たと云う事だ。
 ここはまた来てみたいと思う、グループで使うのも楽しいかも知れない。


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亀有「ティア・ブランカ」(12回目)

 この日の昼は、ブログではすっかりお馴染みになった、下町イタリアンの亀有「ティア・ブランカ」へ、家から交通費を使わず(自転車で行ける(笑))、財布に優しく、且つブログ記事になりそうな店となると、まずは此処が頭に浮かんでしまう。初めての店でいきなりカメラを出し、「料理写真撮っていいですか?」と聞くのも結構勇気のいるものだ(笑)、今はスマートフォンが主流になったので、何も言わずに料理を撮り出す人が多いが、一応店側に了承を得た上で撮る良識は持っていたいものだ。

 いつもマダムと云うよりママランチで賑わうこの店だが、この日は珍しく私の他に男性の一人客が来ていた、店主と親しげに話していたので、近所の人かも知れないが、男性客も牛丼や立ち蕎麦ばかりでなく、たまにはお昼に千円以上使って欲しいなと思う(笑)。
 3ヶ月ぶりだったので、値上げしているかな?とも思ったが、以前と値段は変わっていなかった、日替わりのランチは、Aが肉または魚の一品料理、Bがパスタ3種からの選択になる、デザートなしで980円、デザート&コーヒーをプラスしても1,200円と云う安さだ(^^;)、これは下町ならではの値段、家賃の高い都心でこの内容でこの価格設定は絶対無理な話だ。

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 選んだのはAの肉料理+デザートで、まずは前菜から、

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・カポナータと大麦のサラダ

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・豆と野菜のミネストローネ

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・豚ロース肉のソテー、白ワインとケッパーのソース

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・ティラミスとコーヒー

 前回まではランチ前菜の定番だった「スパニッシュオムレツ」がこの日は無かった、理由は訊かなかったが、ジャガイモと玉子が材料なので食材値上げとは関係ないだろう、想像だがこれから無国籍では無く、普通のイタリア料理店としてやっていきたい気持ちの表れなのかなとも思ったのだが。
 店で使用している野菜類は、店主の義父が八ヶ岳で自家菜園をやっているそうで、そこからの物が多いとの事、値段もさることながら、鮮度と云う点では市場を通さないだけ有利な筈だ、何でも値上げの時代にはこうした自己防衛も大事な点だと思う、実際に食べてみても、生きた野菜の美味しさを感じる。

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 豚肉は札幌で出会ったみたいな銘柄豚ではないが、注文がある度にブロックから切り出して調理するので切り口が乾いていない、これは至極当たり前な事だが、とんかつ屋でもやっていない店がある、当然味に影響する筈だ、少し硬さは感じる肉質だが値段を考えれば立派なもの、ソースも立派にイタリア料理店の味になっている(笑)。
 ティラミスも勿論市販品ではなく、ちゃんと自店で作ったものだ、定番ドルチェながら美味しい。

 油から粉や食肉まで、今年になって始まった食材値上げは個人営業の飲食店をジワジワと苦しめている、そうした中でこの内容で1,200円は立派だと思う。
 店主に「値上げしないで大丈夫?」と訊いたのだが、「ウチは開店以来この値段でやっていて、お客さんもそれで来てくれているので、もうしばらくは何とかやってみる」と苦笑しながら答えてくれた(笑)。
 原材料が上がっても客側の収入が上がらなければ、値上げしたら客が離れるだけだ、デフレ脱却には賃金上昇が不可欠だと云うのが、これでも判ると思う。
 ようやく下町に根付いた感のあるイタリアン、これからも此の地で続いて欲しいと願うばかりだ。


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「かつ敏」のカキフライ

 10月になると、どうしても食べたくなるのが「カキフライ」だ、今は生食可能な夏牡蠣もあり、夏場に食べる事が出来ない訳ではないが、やはりカキフライからイメージする季節は秋冬で、これに適した大きさの牡蠣が出回るのは10月からが多く、洋食店等のメニューに載るのもこの時期だ。
 私は子供の頃偏食だったので、牡蠣が食べられなかった、生まれた初めて食べたカキフライを一口食べて吐き出した事を覚えている(笑)、見かけもグロテスクだし、独特の磯臭さに拒否反応を起こした。その私が何時からカキフライを食べる様になったのかは、はっきりとした記憶にないが、かなり後で成人してからだと思う。

 外食でカキフライが美味しいと思ったのは銀座の老舗「煉瓦亭」、家で作る事は難しいタルタルソースを添え出て来た皿は、お洒落な銀座の味だった。そもそもカキフライの発祥は、ポークカツやオムライスと同じく、1895年創業のこの煉瓦亭であるとする説が有力らしい、その煉瓦亭をパリ「ランブロワジー」のベルナール・パコーが訪れ、カキフライを食べた後、自店で似せた料理を出したのは有名な話だ、ただフランス人にはあまり受けなかったみたいで、最近ではカルトから外れたとも聞く。
 あと記憶に残るカキフライを食べた店としては、水道橋の「かつ吉」や、赤坂にあった「フリッツ」(現在は「ポンチ軒」と改名し神田小川町に移転)等だが、急にカキフライが食べたくなったこの日は、朝から雨だったので遠出する気を失くし、我家から歩いて行ける、埼玉に本社があるRDCグループが運営する「かつ敏」まで行く事にした(笑)。

 この店は広い駐車場を備えたファミリー向けの店舗形態で、店内も「とんかつ屋」と云うより、ファミリーレストランに近い雰囲気。この日は平日ランチだったが、結構混んでいた、我家の辺りは車がないと不便だし、また営業中のタクシー運転手も利用できるので、駐車場それも広い敷地を備えている店は有利だ。
 1,000円以下のランチメニューもあるが、この日はカキフライが目的だったので、注文は「旬のカキフライ定食」に決め、5個入り(1,490円)と6個入り(1,690円)があるので5個入りの方を選んだ、これに選べるご飯(白飯or栗ご飯)、味噌汁(豚汁も可)、漬物が付く、ご飯・味噌汁・キャベツはお代わり可だ。

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 注文後にまず運ばれて来るのが小さな擂鉢で、この中で卓上にある煎った白胡麻を各自が擂りその中にソース(二種類)を入れる、このやり方は「平田牧場」や「かつくら」と云ったとんかつ高級店と同じだ、店側にとっては料理を出すまでの「時間稼ぎ」にもなる(笑)。
 暫くして運ばれて来たカキフライ、この店では以前は三陸産を使用していたと思ったが、現在は広島産だそうだ、これは東日本大震災により三陸産が壊滅的な被害を蒙ったためで、現在復興中だが安定して出荷が出来るのはもう少し先になりそうだ。

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 まずは何も付けずに食べてみる、気のせいかも知れないが、三陸産と比べると身が細長く筋肉質?な感じがする(笑)、身がしっかりしているので加熱しても身が崩れず鍋物等にも向いているし、輸送にも耐えられる牡蠣だと思う、どちらが良いと云うよりは好みの問題だろう。
 次にタルタルソースと先程作った胡麻ソースを付けて食べる、味わいはまた変わって、ご飯と一緒に食べるのはこちらの方が向いていると思う。
 今は炭水化物を出来るだけ控え目にしているため(笑)、ご飯のお代わりは断念し、豚汁とキャベツだけ追加で貰う事に、サービスのお姉さんが「この位は食べられますね」と、笑いながら皿の上にキャベツを山盛りにしてくれた(笑)。

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 カウンター席だけの店と違い、こういうファミリー系の店はサービスによって随分印象が変わってくるもの、その点この店の女性従業員達はよく指導されていて感じがいい、何度も書いているが、今日本の外食産業を支えているのは、提供する側も提供される側も女性だと思う(笑)。
 美味しいカキフライでした、これから「煉瓦亭」を始め、久しぶりにカキフライの名店巡りもしてみたいなと思っている。
 


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神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(2013年9月)

 「札幌食べ続け」から帰って来て、最初に行った東京フレンチは、現在定期観察中の神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」。
 南千住のイタリアン「パスティチェリア・バール・アルテ」の2,100円ランチが、私が選ぶ東京一ハイコスパなイタリアンランチなら、フレンチではこの店の2,300円ランチが今の処その有力候補か、札幌で軽くなった財布には優しい店だ(笑)。
 この日は平日昼だったが昼夜の定員10名になっていた、つまり満席、そして私が人気店のバロメーターと思っている「営業時間中の予約電話」、これが3件架かっていた。店主は常連客と口コミ重視姿勢で、あまりマスコミには顔(店)出ししていないが、予想通りに人気店になりつつある。料理は昼夜ムニュのみで、原則アラカルト対応もしていないので、どんな客にも門戸を開いている訳ではないが、それでも何処からか集まって来る人達の嗅覚は凄いと思う(笑)。
 サービス担当だった若手男性は退店し、この日は若い女性が手伝っていた、従業員募集中との事だが、ここも他店と同じで人がなかなか来ないらしい、慢性的な人不足は今東京の飲食店が抱える一番の問題だ。
 月替わりの9月のランチメニューは以下のとおり

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・アミューズ(バターナッツかぼちゃのスープ)

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・ロワールの白‘Clos le Grand Beaupreau Domaine de la Bergerie.’は、個性的な味わい

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・秋刀魚と里芋のテリーヌ、梨のサラダ、バニュルスヴィネガー

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・鱈のポワレ、パルメザンのサブレ、トマトのクーリ

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・雛鳥のポトフ、蓮根のラペ

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・オレンジのゼリー

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・フレンチ大福

 札幌のフランス料理店でも旬の秋刀魚料理が3店で出たが、これは日本のフランス料理には難しい魚だと思う、何故なら日本人は塩焼きの美味しさを知っているので、それを超える料理にしないと作る意味がない、札幌では「リアン」の「秋刀魚のテリーヌ」が良かったが、この店も手法は同じで、秋刀魚の皮目を焼いて茹でた里芋と共にテリーヌにする、アクセントにした梨が面白い相性だ。
 魚は鱈のポワレで、パルメザンのサブレと炒めた茸と一緒に味わう、このサブレを使ったのが、ひと捻りした処だ。
 肉料理は鶏肉をミンチにした後鶏皮で巻き、これを蓮根のラペ(擦りおろし)、牛蒡、紅芯大根等とポトフにした料理、これがとても素朴な味わいで良かった、この料理の主役は根菜達で、そのアクをすべて除くのではなく風味を生かす方向で仕上げていて、味わうと「畑と土」の風景が浮かんでくる、洗練された都会の料理と云うより、もっと根源的な‘Recettes de La Grand-Mere’(祖母の味)とでも呼びたい料理だ(笑)。
 そして「傑作」と思ったのが、デセールの「フレンチ大福」(笑)で、遊び心と美味しさが詰まったもの、料理長が後で説明してくれたが、中身はパイナップル、キウイ、ネクタリン、グレープフルーツ、リンゴを刻み、バニラとシナモンシロップでマリネして、ジェノワーズと共に詰めた物だそうだ、かなり「遊び」で作ったのが、客の評判が良いので料理人自身驚いているとの事、名作が生まれる時は意外とこんな感じなのかも知れない(笑)。

 札幌フレンチ食べ続けの後だっただけに、札幌と東京の違いも見えて来た、生産地に近く優れた食材が使用可能なため、それを複雑にいじらない料理として出せる札幌に対し、東京はそれだけでは移り気な客達にすぐ飽きられてしまう、そこで「ひと捻り」を加える料理が多くなる、それを何処までどうやるかに料理人のセンスが問われるのだと思う。
 佐藤料理長が言うには「来月も楽しみにしています」と、客に言われるのが結構プレッシャーだとの事、月替わりのムニュを構成するために、自分の抽斗の中身を常に補充しておかないといけないと云う事だろう。

 一人の客としては、十年変わらない料理を出す店より、訪れる毎に料理の進化が感じられる店は面白い、今の処は変な脇道には逸れていないし、このまま追いかけてみたいと思わせてくれる店だ。

 

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札幌芸術の森(2013札幌食べ続け⑥)

 これが最後の札幌ネタになる(笑)。
 札幌食べ続けの間に、唯一「観光」的な事をしたのが、札幌市内南部にある「札幌芸術の森」へ行った事で、此処は以前から訪れてみたかったアートスポットだ。実は去年10月にも行くつもりでいたのだが、当日WEB上でアクセスを調べたら、「熊の出現により休館します」との文字でガッカリしたもの、2年越しでようやく訪れる事が出来た。
 場所は市営地下鉄南北線真駒内駅で降り、駅前から発着するバスで約15分、料金は280円なのだが、地下鉄との「乗り継ぎ割引」で安くなる、ただこのバスは都バスと違い料金は降車時払い、支払時には釣銭が出ない運賃箱なので要注意、私は知らずに料金箱に100円硬貨をそのまま入れてしまい、運転手とちょっとしたトラブルになった(笑)。

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 「芸術の森」内の敷地は広大なので、まずは入口から近い「芸術の森美術館」から観る事にした、現在「高橋コレクション・マインドフルネス」展が開催されている。東京在住の精神科医高橋龍太郎氏の個人コレクション展示で、現代美術のコレクターとして知られる氏のコレクションは壮観の一言、僅か15年ほどの期間に約2,000点を収集したそうで、その資力もさることながら、集めたエネルギー自体大変なものだ、今回はこの一部を公開している、草間彌生、奈良美智、村上隆といった日本人作家中心で、全て名作ばかりと云う訳ではないが、現代美術に興味がある人は見ておくべきだと思う。

 続いて行ったのが「工芸館」で、ここで道内作家の陶芸・金工・木工作品や、2階の工房で制作している織物類の販売をしている、北海道在住の陶芸家工藤和彦の片口鉢に惹かれたのだが、東京まで持って帰る面倒を考え断念、花瓶置きになる小さな織物をお土産に買った。
 この後に階段を昇って行ったのが、観るのを一番楽しみにしていた「野外美術館」で、7.5ヘクタールという広い敷地の自然の中に、国内外の作家64人の野外作品73点を配置し、自然の中で人とアートが触れ合える場にしている、美術関係者から「此処の野外彫刻は見る価値がある」と以前から聞いていたが、その言葉どおりだった、一応全作品を観て回ったが、特に印象に残ったものを上げておく。

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・入口近くで迎えてくれるのは、朝倉響子「ふたり」

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・東京でこれに似た住居を見た?新妻實「目の城 ’季季90」

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・アザラシの親子?(笑)、中井延也「月下」

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・市内から見える宮の森ジャンプ台を連想(笑)、澄川喜一「そりのあるかたち」

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・子供たちに一番人気の、福田繁雄「椅子になって休もう」

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・天使の羽根みたいな、小清水漸「石翔ぶ」

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・己の姿を見ているような(笑)、細川宗英「ユカタンの女」

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・自然の中で異質な世界を表現する、内田晴之「異・空間」

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・韓国出身で世界的に評価されている作家、李 禹煥「関係項」

 野外美術館と云うと、「箱根彫刻の森」や現在は閉館中だがスペイン・サン=セバスチャンの「チリーダ・レク」等を連想するが、見渡しの良い平原に彫刻を置く両所と違い、木立や起伏の中に彫刻を設置しているので、歩いていると市川崑の横溝正史物みたいに突然彫刻が現れる(笑)、この人を驚かせる意外性が面白い。見たい彫刻を捜すと云う楽しみ方も出来るし、大人でも子供でも楽しめる場所だと思う。
 積雪のため11月から4月までは休館、ブロンズや鉄製の彫刻も多いので、その間はビニールシート等で厳重に養生する筈だ、その労力や雪解け後の整備等を考えると、相当費用がかかるだろうし、収入が入場料だけでは収支は赤字だろう、でもこの優れた施設はこれからも続いて欲しいと願う。

 札幌は「食べる」だけではなく、こうして文化の香りも高く、人の心も優しい街だ、訪れる毎にこの街が好きになっていく私は、近い将来は此処で「年金暮らし」をするのも悪くないなと思い始めている(笑)。



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LCC初搭乗記(2013札幌食べ続け⑤)

 食べる事を目的にして、フランス料理のレベルが高い札幌を訪れるのは今度で4回目、過去の航空会社はJALとエア・ドゥだった、今回も当初はエア・ドゥで行くつもりでいたが、札幌在住の友人から「LCC(Low Cost Carrier:格安航空会社)を利用すれば、もっと安く来られるのでは?」との助言を受けた、そこでWEB上で色々調べてみたのだが、それで判った事は、

・LCCのカテゴリーに入る航空会社のうち、現在東京⇔札幌間の路線があるのは、ジェットスターとエアアジア(12月より「バニラエア」に改名)の2社、スカイマークをLCCに入れるのは値段が高いと思う。
・2社共に、東京発着は成田空港である。
・2社の路線価格、発着時間は大差ない。
・サービスや空港での対応等の評判も大差無さそう。
・申込みをするWEBページの判り易さ(判り難さ)も同じ位(笑)。
・機内持ち込み荷物は1個、預け荷物・機内飲食が有料なのも同じ。

 結局、この2社の違いはあまり無さそうで、「CA(客室乗務員)の質が高い」と書いてあった記事を見つけ、それだけでジェットスターで申込みをしてみる事にした(笑)。
 購入は全てWEB上で行う、決済はクレジットカードなので、感覚的にはネットショッピングで物を買う時と同じだ、ジェットスター社のWEBページは、お世辞にも判り易いと云えないが、約2ヶ月前の手続きで9月の平日出発で土曜日帰着、これで手数料込往復一人11,900円、JALやANAの約半額だ、この差は大きい、1万円あれば客単価の安い札幌、それもフレンチ個人店ならディナー1回、ランチ2回分になる(笑)。それなので何とか入力に苦しみながらも予約を完了した。
 予約と支払さえ済ませば、あとは搭乗日を待てばいいのだが、出発時間の48時間前から「WEBチェックイン」が可能になる、プリンターでの搭乗券印刷が必須だが、結果を言うとこれはやっておいて良かった、当日の空港カウンターや機械を使ってのチェックインはそれなりに混んでいたからだ。

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 問題は我家から成田空港までのアクセスだが、一番早いのは京成電鉄のスカイライナーを利用する方法、これなら接続が上手く行けば1時間15分位で着ける、だが問題は値段が高い事、片道計で2,700円位かかってしまう、航空運賃を節約した意味があまりなくなるので、今回は時間に余裕があった事もあり、京成の無料特急で行く事にした、これだと所要時間は1時間40分位で片道1,300円。この他には東京駅発着の直行バスがある、京成が900円で平和交通が1,000円、東京駅までのアクセスが良ければ、これを利用すべきだろう。

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 成田空港でのジェットスターの搭乗手続きは第2ターミナルビルの2階、その端っこに出来た盲腸みたいな場所にある(笑)、延々と歩いて手荷物検査を受け、そこから更に歩いて1階に降り、そのまた先に搭乗口がある。

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 出発30分前になると係員が何処からか現れて搭乗手続きが始まる、ここでプリントアウトした搭乗券のバーコードを読んでもらって完了、当初の案内では「要身分証提示」とあったが、これは何も言われなかった。ここまでで相当歩いたが(笑)この先はバスだ、飛行機は俗に云う「沖止め」なので、そこまでバスに乗って約5分、昔懐かしいタラップを歩いて昇って、ようやく機内へ入れた。ここまでのイメージは何処かで体験したと思ったら、4年前にエールフランスでフランス・リヨンへ行った時と同じだった、あの時もCDG空港でバスに乗って沖止めのフランス国内便に乗った、機種も塗装の色こそ違うが同じエアバスA-320、そのため懐かしくて既視感があった(笑)。

 機内の座席間隔は狭いと聞いていたが、実際に座ってみると窮屈と云う程ではなかった、これでフランスまで13時間乗るのは辛いかも知れないが、新千歳空港までなら1時間半だ、普通の日本人体型の人なら特に問題無いと思う、乗客はやはり若い人が多い、平日だったがほぼ満席だ、別の見方をすると満席にしないと採算が取れないと云う事だろう。「LCCは遅れるのは覚悟しろ」と云われていたが、ジェットスターはJALとの共同運航をしているためか、「定時離発着」をモットーにしていて、この日もほぼ定刻に出発陸した。
 期待していたCAさんについては、なかなか評判どおりで、期待は裏切らなかった(笑)、離陸上昇後安全ベルト装着解除が出ればすぐに機内販売が始まる、何か買っている人は全体の1~2割位だろうか。
 ほぼ定刻通りに新千歳空港に到着、此処はボールディングブリッジ使用だった、やはりゲートは端なので、JRの空港駅までは結構歩いた。

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 長くなったので、復路便は省略するが、これも出発&到着は定刻どおりだった。

 私なりの結論だが、
・くれぐれも時間には余裕を持って行く事。
・空港内でかなり歩くので、キャスター付きのバゲージが楽だ。
・荷物が多い場合は、到着日に合わせ一部を宿泊先へ宅配便で送る(私はこれをやった)。
・早朝出発の場合空港近くで宿泊するのも一考、遅便で帰る時は遅れる事も考慮し、翌日は出来れば休みにしたい、あとはバスで東京駅まで行き、電車が無ければカプセルホテルを探すかネットカフェ(笑)、場合によっては空港泊も覚悟。
・航空運賃を節約出来た事で、かえって無駄な支出をしなくなった(笑)、特に空港で売っている土産品類は高いので買う気が起きなかった、空港内飲食店も同じ、ホッケ(本物ではない)の干物焼いただけの定食が1,500円とはどう考えても高いと思う(笑)。

 帰って来た直後は、「経験で一回乗ればいいか」と思っていたが、時間が経ってみると、「次行く時もLCCかな」と考え直した(笑)、それだけ価格面での魅力は大きい。一度経験すると、LCC利用はもうベテランユーザーになった気もしている(笑)。


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札幌西20丁目「リアン」(2013札幌食べ続け④)

 札幌最終日は何処へ行くか直前まで決まらなかった、以前に行って好印象だった店を再訪する事も考えたが、ここは冒険をして、まだあまり有名ではない若い店をレポートするのも、有名ではないグルメブロガーの使命ではないかと思い(笑)、WEB検索で西18丁目駅周辺を探してみた、私が好きなのは夫婦2人でやっている様な小さな店、特にこの日は一人ランチのため、出来ればカウンター席のある処なら気兼ね無くていい(笑)、この条件にピッタリ合いそうな店があった、それが西20丁目にあるフランス料理「リアン‘lien’」で、例の「食べログ」で見たがなかなか評価もいいし、若い店主はマニア系?レストランとして知られる、小田原「ラ・マティエール」、鹿児島「CAINOYA」の料理人とも交流があるらしい、これは面白そうだと働きかけるものがあり、出発前に東京から電話をかけ昼の席を予約した。

 店の場所は西18丁目駅1番出口から歩いて5分、札幌市医師会館と保健所の近くなので、これは札幌一安全安心なレストランかも知れない(笑)。店の正式な名前は‘cuisine urbaine lien’で、「都会で(人と)繋がる料理」とでも訳すべきか?
 予約時間の12時に入店し、マダムに名前を告げたら「椅子席でもカウンターでもお好きな方を」と云われたが、男性は私一人だけだったのでカウンターを選んだ、この後に女性二人組が入店し、10席ある椅子席は満員になったが、予約したのが私の方が早かったからだろう、一人客ながら先に席の選択をさせるのは立派だと思った、商売優先だとなかなか出来ない事だ。
 カウンター席の前にはル・クルーゼのテリーヌ型が整然と置かれ、その奥の什器もきれいに整頓されていて好印象、これだけで美味しいものが出て来そうな予感がする、やはりカウンター席はこれでないといけない(笑)。

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 ランチメニューは2,500円と4,000円の2種、前者はプリフィクスで後者は「おまかせ」になる、予約時に4,000円の方をお願いしていた、その内容は、

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・毛蟹の蟹味噌和えトマトファルシー、アボガドのクーリー

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・秋刀魚のテリーヌ

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・パテ・ド・カンパーニュ、野菜のマリネ

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・朝採りトウモロコシの冷製スープ

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・アイナメのポワレ、甘海老のソース

・緑茶を使った口直し

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・ラカン産仔鳩とフォアグラのパイ包み焼き

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・巨峰のコンポート、ジュレ、ソルベのグラス

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・ガトーショコラ、洋梨のエピスマリネ、マンゴーのソルベとルバーブのコンフィチュール
・コーヒーとミニャルディーズ

 料理全体の印象は、繊細で盛付けが綺麗、アセゾネ(味付け)も柔らか目で塩がキツクなく私好み(笑)、料理人は小田原のホテル内レストランで働いていたそうだが、何となく判る、宴会料理も相当経験したのだろう、基礎がしっかりしていて見栄えがいい、従来の札幌フレンチのイメージより、東京フレンチに近いと思った。
 特に印象深かったのが魚料理、今回4店中3店で旬の秋刀魚料理が前菜に出て、どれも美味しかったが、特にこの店のテリーヌは良かった。北海道では「アブラコ」と呼ばれるアイナメは、皮目を強くポワレして甘海老の出汁のソースで食べる、この脂の強い白身魚を上手く処理していると思った。肉料理の鳩のパイ包みも丁寧な作りで美味しいが、「パイ包み」自体は過去関西方面で横綱級料理を体験していて(笑)、較べるのは気の毒だが、どうしても較べてしまうと少し迫力には欠けた、でもこれは「知恵の悲しみ」だと思う(笑)。デセールも全て料理人一人で作っているそうで、料理の印象と同じく繊細でいい出来だ。

 サービスはマダム一人で担当する、この方も小田原のホテルで働いていたそうだ、そのためか客との応対は慣れていて、開業後まだ一年半ながら安心して料理が楽しめる。面白いと思ったのがワインリストで、イタリアワインをメインに品揃えをしている、これは「CAINOYA」や「ラ・マティエール」に倣ったそうだ、マティエールの料理人とは小田原のホテルで一緒に働いた先輩後輩の関係になるとの事。
 カウンター席だったので料理人と話しをする事が出来たが、まだ35歳と云う若さ、穏やかな話し方でランチタイムでも客の見送りは欠かさない。「CAINOYA」や「ラ・マティエール」の料理人との交流から、てっきり「テクノ系料理人」なのかなと思ったが、意外にも店の調理器具はレンジと前開きオーブンだけだそうだ、そこで「ガストロパック(調理器具)等、厨房に新しい機械を入れて料理するのはどう思いますか?」と、少し意地悪な質問をしてみた(笑)、それに対しては「興味はあるが、自分はまず料理を覚えないといけない段階、当面は今の料理を続けて、もう少し年を取って楽をしたくなったら(導入を)考えるかも知れない」と苦笑しながら答えてくれた、私はこれを聞いて「この料理人は信用出来る」と思った(笑)。

 此処はこれから楽しみな店だ、いい客が付けばもっと伸びると思う、可能なら来年再訪問してどのくらい店が成長しているか、確認してみたいものだ。
 退店時には、身長差のある(笑)木下夫妻揃っての見送りを受けた、これで満ち足りた気分のまま東京に帰れそうだ。

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 3泊4日の札幌フレンチ食べ続け、去年にも増して実に楽しかった、ご一緒出来た皆様ありがとうございました。
 北海道の食材は素晴らしいと思う、特に畜産は生産者の熱意を感じる事が出来た、そしてそれを提供する料理人も負けずに熱意がある、「今時、こんな事やっていたら儲からないだろう」と心配してしまうのだが、自分が料理する事で客に楽しんでもらうのを何よりの喜びと感じる人達なのだろう、損得抜きで人間に裏表がなく、料理に真摯で食材へのリスペクトがある、少なくとも今回私が訪れた店は何処もそうだった。
 食旅行の結論として、「今、変化球でない直球のフランス料理を、適正価格で食べたかったら、迷わず札幌へ行きなさい」と力説したい(笑)、LCCなら成田から往復一万円で行けます。
 次回のブログはそのLCCについて書く事にしたい。


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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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