最後の晩餐にはまだ早い


神楽坂「カリーナカリーナ」

 私はサラリーマン生活が30年を超え、日本の平均的サラリーマンの財布つまり経済状態は一応知っているつもりだ。まず平日のランチに使う金額は、今500~700円が平均値ではないか?ランチ1回に1,000円以上使うのは女性だけだと思う(笑)。同様に夜の食事となると、一人一回あたり1万円を超える支払いが出来る人は、かなり限られた層で、私の職場を見渡しても百人に一人いるかどうか、つまり1%以下だと思う(笑)、お金を持っているか否かではなく、「外食」を生活の中でどう位置づけているかで、普通のサラリーマンが今思い切って出せるのは、7、8千円位ではないかと思っている。

 この日、以前の職場仲間で集まろうと云う話になり、いつもの如く店選びを任されたのだが、「職場から離れていない」「仕事の都合で全員一斉スタートが無理」と云う条件があった、それでいて前述の予算内で納まりそうな処となるとこれが難しい、悩んだ末に選んだのが、神楽坂に去年11月にオープンしたトラットリア「カリーナカリーナ」だった。
 この店のオーナー兼サービスは大原易裕氏、和歌山「アイーダ」出身の料理人で、西麻布「カステリ-ナ」のオーナーシェフ就任後、神楽坂に第2店「ピアッティ・カステリーナ」を開店、ここでは女性料理長を起用し自分はサービスに回る、そして昨年末には、より気楽に使えるトラットリアとしてこの第3店を開業、現在は主にこちらでサービス担当に就いている、料理人から経営者へ転身して成功した稀な例だ。

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 店は神楽坂のメインストリートに面しているが、「うなぎの寝床」(見た事はないが(笑))みたいに間口が狭く奥に長い造り、この日は金曜夜と云う事もあるが、19時の入店時は満席に近く、この後も次から次へ客がやって来て、席待ち客も出る盛況だった。
 料理は事前に一人3,800円の大皿メニューをお願いしていた、プラス1,100円で「飲み放題」にもできるが、時間制限があったので飲物は別にお願いする事に、出てきた料理は、
(一皿の料理は3~4人分)

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・豚肉のパテ・ド・カンパーニュとコルニッション

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・ブリのカルパッチョ

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・大山地鶏と温泉玉子のサラダ

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・ピッツアマルゲリータ

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・鶏手羽先のスパイシーグリル(これは取分け後)

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・浅利、タコ、イカの白ワイン煮込みのスパゲッティー(これも取分け後)

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・肉のグリルミスト(甲州ワインビーフ、豚肩ロース、玉葱)

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・ドルチェは別料金で「キャラメル風味のセミフレッド」(550円)

 料理は予想以上に良かった、こう書くと失礼かも知れないが、上質な「コンビニフーズ」みたいに、とても判り易く万人に受け入れられる味だと思う、これは揶揄しているのではない、私はコンビニフーズ&スイーツを結構評価している(笑)。
 月に1回、いや2月に1回でも、居酒屋ではないこの手の店に来る普通のサラリーマンにとって、高いだけで量の少ない上品系料理や、解釈に難しい理屈がいるIQ料理?は必要ない(笑)、この日みたいな料理なら「美味しかった、お腹一杯になった、楽しかった」と殆どの人が言う筈だ、そこへポイントを絞った店として成功していると思う、現に60席あると云う店内は満員だ、飲食店はどんなに料理人が有名でも、主役の客が来ない事には始まらない(笑)、この店の賑わいは、まるでフランスの繁盛ブラッセリーに居るみたいな雰囲気だ。

 サービスはオーナーの大原氏以下4名程なので、満席になると目が行き届かない事もあるが、呼べば必ず応えてくれるので不満は無い、形態からしてベタベタなサービスを期待する店ではないと思う、厨房は見えなかったが料理人は3、4名か?
 「今、客がレストランに求めているのは何なのか?」を判断し、出店を成功させてきたこのオーナーのセンスは只者でない、この盛況なら「俺の~」グループにも十分対抗出来ると思う。
 大原氏が前の店に居た時に、「どうして料理人からサービスに回ったのですか?」と単刀直入に聞いた事があるが、その答えは「一日中厨房に入ったままだと、客の反応が全然判らない、客を楽しませ自分も楽しめる事をしたかった」だった。
 「自分の料理は、判る人だけが判ればいい」と、カウンター席だけの紹介制システムにするのも一つの行き方だし、彼みたいに複数店の経営者へと転身する行き方もある、まさに「人生いろいろ、料理人もいろいろ」だ(笑)。
 
 この日の支払いは食べて飲んで一人7,000円弱、サラリーマンにはありがたい価格設定だ、どちらかと云えば若い人向けだが、神楽坂で数人グループが集まれる場所を探しているなら、お勧めしたい店だ。


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亀有「とんかつ有馬」

 先日、料理業界の人と食事をした時に、考えさせられる話があった。その方が英国人夫妻と東京の個人経営のレストランで食事した時、レストランの運営に関する話になり、「ロンドンでは経済的に、料理人が自らの店を持てるような時代は終わった」と言われたそうだ、つまりオーナーシェフの店は激減し、企業が飲食店を運営する時代になった、料理人はあくまでもそのスタッフの一員、機械で言えば部品の一つに過ぎず、部品ならスペアさえあれば何時でも交換可能だ(笑)。
 私はいずれ東京も、特に都心地域は同じ道を辿るのではと予想している、現にその兆候が表れていると思う、ロンドン同様に2020年の東京五輪へ向け土地代、建築資材、人件費が高騰、テナント賃料が更に上がると共に、少子高齢化による人材不足は深刻化し、飲食店を運営するためのマネジメントは、もう個人の能力を超えてしまうと思う、個人から企業への経営移譲は時代の必然で、「俺の~」グループや居酒屋チェーンの繁盛は、東京都心における個人飲食店の「終わりの始まり」ではないかと思っている。

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 この日初めて訪れた、実家のある亀有のとんかつ店「有馬」での食事後、この話を思い出した。私が子供の頃、街中には寿司屋があり、蕎麦屋と中華そば屋(当時はこう呼んでいたが、今なら「中華料理店」)は必ず一軒はあった、更にはとんかつ屋、うなぎ屋もあり、何処も出前をやっていて、街はその自転車やバイクが行き交って活気があった、現在これらの業種で出前は激減してしまった、コンビニ等の台頭により需要が減ったのもあるが、働く人間がいないのが大きい、昔は飲食店には地方から出て来た若者が、見習い兼出前要員で必ず居たものだ、今は女性アルバイトを探すのがやっとで、彼女達に出前は頼めない。

 この「有馬」は絶滅危惧種とも云えそうな、個人経営の小規模とんかつ店で、開店は十年以上前だと思ったが、以前は同じ通りの別の場所に在り、この時は居酒屋みたいな雰囲気でフリでは入店し難くて敬遠していた、2年位前に現在地へ移転し、通りから店内が見えて入りやすくなったし、「食べログ」にも取り上げられていたので、今回初訪問をしてみた。
 店の場所は「亀有公園」のすぐ近くで、目の前にはTSUTAYAがある、店内は画像のとおり居酒屋風だが、店内照明を落としてBGMはJAZZを流すと云う、「脱下町的」な雰囲気も感じられる(笑)。
 厨房は店主一人、店内サービスは若い女性が担当するが、たぶんアルバイト店員ではないか?

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 「食べログ」では「上ロースかつ定食(1,350円)」がいいと取り上げられていたが、この日は初回だった事もあり、実力を知るために、ランチメニューのとんかつ定食(850円)を注文する事に、これは夜メニューのとんかつ定食(1,100円)と同じ内容なのかは判らなかった。

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 しばらくして運ばれてきたのが、ロースかつとご飯とお新香、味噌椀は赤出汁ではなく豚汁を薄くしたみたいな、普通?の味噌汁だった。「とんかつ」のサイズが小さいのはこの値段では仕方がないが、肉の筋切りは丁寧にされていて、揚げた衣の剥がれもない、変な豚臭さも感じないので、それなりの豚肉を使っていると思う。
 感心したのはご飯が美味しい事で、とてもふっくらと艶やかに炊けている、ランチタイム口開けの客だったため、一番旨い「炊き上がりの一杯」に当たったみたいで、思わずお代わりまでしてしまった(笑)、特に銘柄米を使っている訳ではないとの事で、やはり米は「氏(銘柄)より育ち(炊き方)」か(笑)、家庭で2~3合炊くのとは違うと思った。このご飯を含めて850円なら十分納得できる内容だ、次は必ず「上ロース」を試してみたいと思う。

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 主人はいかにも人が良さそうな下町の職人風で、地域に根差して多くを望まない、勝手な想像だがそんなタイプにも見えた(笑)。私と定休日が同じなのは残念だが、土日ならまた来れそうだ。
 街中から個人店の灯を消さない様、個人経営の店は出来るだけ応援したいと思う、チェーン展開店で全国の何処で入っても均質な物が出て来る店、食べ物を作った人の顔が見えない店なんて、面白くないでしょう?(笑)


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麻布十番「グリグリ」(2013年11月)

 この日はFacebookを通じ親しくなった料理業界関係者の方と、「何処かでランチをご一緒しましょう」との話しになり、場所を考えた末に8月に初めて行き好印象だった、麻布十番のフランス料理「グリグリ」を再訪問する事にした。
 来月末は年間の総集編で、「今年印象に残った店」を書くつもりでいるが、この店はもう一度行ってみて確認をしたいと思っていたので丁度良かった(笑)。
 店は判り難い場所に在るが、麻布十番商店街に続く道に面しているので、「フロリレージュ」と違い道を間違える心配は無く、2回目はすぐ着けた(笑)、開店時間前だったので店の周りを歩いてみたが、日曜日で場所柄外国人も多く、「ここは何処の国?」と不思議な感覚になる、同じく外国人の多い浅草や神楽坂とも違う雰囲気、街歩きには面白い場所だと思う。昔の麻布十番は交通アクセスが悪く、「陸の孤島」と呼ばれた時期もあったが、今は南北線と都営大江戸線の開通により便利になった、六本木にも出られるので、これから更に注目される地域ではないかと思う。

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 12時に入店し、マダムから「ベンチシートでもカウンターでもお好きな方を」と言われたが、今日は初対面の方との同席なので、前回と同じ窓側の席に座る事にした。
 最初この店内の雰囲気は少々「メルヘンチック」とも思ったが、2回目になると不思議な個性に感じる、店内を流行の黒一色や白一色にするよりは面白い、そして後述の様に独創的な料理のイメージに合っていると思った(笑)。
 今は「初対面」と云っても、ネット上で何回も遭遇していると「初顔合わせ」とは思えず、特に同好の士と云うのは、会った早々に打ち解けられるもの、疑似恋愛と恋愛は違うが、ネット上の友人と実際の友人との差はあまり無い気がする(笑)。

 「グリグリ」の11月のランチメニュー(4,500円)は以下のとおり、料理名は後で伊藤料理長に確認したもので、実際にはもっと細かな説明があったが、長くなるので一部省略させてもらった。

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・アミューズ 透明なポテトチップとピマンデスペレットとレモンのピュレ、ラプサンスーチョンとニシン卵のマカロン、カカウェットのギモーブサレ

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・豊富なグラスワイン

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・オニオングラタンスープのエモーション(オニオンのコンソメ、パンのエスプーマ、チーズの泡)

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・『全部卵』(外側はメレンゲ、中に低温調理した卵黄、ウニ、カラスミ、ソースマヨ3種<パプリカ、ほうれん草、アンチョビ>)

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・『ホタテと根セロリのパラドックス』(根セロリのパートグロッセル<岩塩とパン生地を混ぜたもの>包み焼きと、香ばしいホタテと発酵バターのソース)

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・シャラン産鴨胸肉のロースト、そのジュとルバーブのコンフィ、赤タマネギのマリネ

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・イザラ(バスク地方のリキュール)風味のモンブラン。

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・ミニャルディーズ(カヌレ、マカロン)

 この日2人での食事だが、メインの鴨とデセールは同じ、それまでは違う料理だった。
 私がレストランで料理を評価するポイントは、「食べて美味しい、素材の持ち味を壊していない」「独創的で、人真似でない個性が感じられる」、まずこれだが、もう一つ「皿上のドレッセが美しい」がある、過去美術業界に首を突っ込んだ私は結構これを重視する、見た目を無視した雑な料理はそれだけでパスしたい(笑)、私が知る限り、今の東京フレンチでこの3つの条件を満たしているのは、まずは「フロリレージュ」、次に「シック・プッテートル」だが、その次位にはこの「グリグリ」を選びたいと思った、それ程独創性で美味しく、且つビジュアルの美しさを感じさせる。
 特に印象に残ったのはセロリラブの料理、塊をパン生地で包み火入れしたもので、肉も魚も細かく切らず、骨付き塊のまま調理した方が美味しいのは知っていたが、野菜特に根菜も同じなのを知った、これは今年最高の野菜料理になりそう、ソースはフォアグラ?と思ったがバターベースだった、なぜ「パラドックス」なのかは、通常はホタテのポワレに添える事の多いセロリラブを主役にする、主従逆転の料理だからとの事だ。
 鴨の火入れも抜群で、変なスパイス等使用せず素材の本質を際立たせているが、シャラン鴨自体他店で何回も経験済で感動出来なくなり、この才能ある料理人ならもっと別の食材を知りたいと思った、これも一種の「知恵の悲しみ」だろう(笑)。

 前回気付かなかったが、マダムのサービスが控えめながら好印象で、癒し系と感じる喋りの温かさと、料理やワインの知識もありながら、「私がマダムよ」との気負いやアクの強さがない(笑)、失礼ながら「以前からこのお仕事でした?」と聞いた処、元々この業種を志して、国内やフランスのレストラン数店でサービスを担当して来たそうだ、どうりで「俄かマダム」では無いと思った(笑)。ポテンシャルを有した料理人とマダムの良店は、これからもっと評価される筈だ。

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 此処は再訪して良かったと思った、そして楽しい食話を延々と出来て収穫も多かった、お誘いありがとうございました(笑)。


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水道橋「かつ吉水道橋」

 JR水道橋駅近くにある「かつ吉水道橋」は、私が過去最も多く通ったとんかつ店だ。
 創業は昭和37年(1962年)、創業者は吉田吉之助という人物(店名は名前から採ったので「かつきち」が正しい)で、第二次大戦後にとんかつ店の経営に関与し、数店を開業する事になる。父親が「煙草王」とまで呼ばれた富豪だった事もあり、食を始め文化全般、特に書画骨董に精通した。文化人との交流も深く、この水道橋店は作家の川端康成や三島由紀夫が通った事でも知られ、特に三島由紀夫は例の「楯の会」のメンバー達と何度も食事に来ていたと伝えられている。
 店内はその創業者が集めた古伊万里の蕎麦猪口コレクションや、中国古陶磁の壺や大皿、更には日本の古民具が幾つも並べられて、独特の雰囲気を醸し出している、古民具館の中で食事する様な贅沢な時間が持てる、今同じ物を同じ量だけ集めようと思えば、億の金額が必要な筈だ、現在は二代目が店主を務めている。
 
 私は長年勤めた職場がこの近くだった事もあり、この店には何回も通った、特に低温で揚げられた肉厚の「ロースかつ」は好物だった、全体的に値段は髙目だが、この店で過ごす時間が好きだった。
 その店へ行かなくなってから暫く経ってしまった、特に理由があった訳ではないのだが、フランス料理店も「その店へ行かなくなる理由が、はっきり判らないまま」、何年も経ってしまった店が幾つかある、この自分自身の深層心理は解明する必要ありそうだ(笑)。

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 また前置きが長くなってしまったが、この日の昼は水道橋駅近くに用事があり、昼時だったので、この店を思い出して利用する事にした、たぶん3年ぶり位だ(笑)。
 地下にある店舗へ行くために階段を降り、引き戸を使った自動ドアを開けたら、以前と全く変わりない空間だった。この店は入店時に待機場所があり、席が空いていてもいなくても、案内されるまでここで待つ事になる、この日席にはすぐ案内されたが、一人客は通常入口近くの円卓に案内される事が殆どだ、この席は蕎麦猪口コレクションの前なので見ていて飽きない、卓に自立する巨大なメニューも変わっていなかった(笑)。

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 この店の注文はまず「ロースかつ」か「ひれかつ」を頼むのが無難だが、この日は時間があまりないのと、風邪気味で体調万全ではなかったため、ランチメニューの中から早く出来て体に重くなさそうな「元祖かつ丼」(1,000円)を頼む事にした、体調が良くない時にかつ丼を食べるのも、かなり変なのだが(笑)。

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 席には漬物類が置かれ、ボウル山盛りのサラダが出て来るのも以前と同じだ、

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 予想通り割と早い待ち時間で運ばれて来たのが「元祖かつ丼」、たしか現在の玉子でとじるタイプのかつ丼は、早稲田の日本蕎麦店が発祥と云う説が有力らしいので、この店で「元祖」を名乗る理由は不明だが、見た目は極めてオーソドックスなもの、スプーンが付いて来るのが面白い。
 食べ始めてみると、玉葱が生煮え気味なのが少し気になったが、味は見た目通りで王道の味(笑)、ボリューム的にはもう少し量があっても良さそうだが、赤出汁椀は美味しいし、漬物とサラダ更にはこの落ち着ける環境を含めてこれで1,000円なら、まあ納得出来る内容だと思う、特に女性には受けそうなライト感覚のかつ丼だ。
 食後には食事中とは別のお茶や、新しいおしぼりが出て来る、これも以前と変わらない、サービス担当の従業員教育はよく出来ている。

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 こうして以前通った店を久しぶりに訪れてみて、以前と変わっていない事を確認できて嬉しくなった(笑)。最近特にフランス料理店では、比較的若い料理人の新しい店を利用する事が多いが、こうした老舗の「変わっていない」事を確認するのも、また別の発見がある。
 「変わらない」事の良さもあるのだと思う。


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八丁堀「シック・プッテートル」(2013年11月)

 米国の作家ロバート・ネイサンに、「ジェニーの肖像」と云うファンタジー小説がある、映画化もされたが、大まかなストーリーは、貧しい青年画家がNYのセントラル・パークで可愛い少女と出会うが、その時に描いたスケッチが画商で初めて売れる、次に出会った時少女は急に成長していた、本格的な肖像画を描く約束をした後、彼女の事を調べたら、過去に存在した女性だと云う事が判った、やがて彼の前に現れた少女は美しい女性になっていた・・。こう書くと「怖い話」にも思えるが、実際には哀しいながら心温まる優れたファンタジーになっている。
 この夜、今年5月の初利用以来5回目の訪問になった、八丁堀のフランス料理「シック・プッテートル」での食事中、急にこの小説を思い出した。
 これだけ短期間に同じ店に5回も通うのは私としては珍しいのだが、その理由は訪れる毎に料理と店が進化しているのが感じられるからで、言い方を変えれば「成長」している、他店の倍以上のスピードで急成長し時空を超えている(笑)。それでこの小説を連想してしまった。

 勿論私のブログの影響ではないが(笑)、「この店に行ってみたい」と云う話をよく聞く、実際に行ってみて「駄目だった」と云う人も今までいなかったので、巷間の評判もそれなりに信用していいのだろう(笑)、今回も同行したのは業界関係者で、繁盛している小規模店がどういう運営をして、どんな料理を出すかの興味があったと思う、たぶん期待に沿えたのではないかと思うが、その11月の料理は、

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・バスク地方「キントア豚」のサラミ

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・パルメザンとキャラウェイシードのクッキー

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・フォアグラとフィグ(イチジク)のテリーヌ、ココア風味の竹炭チュイル

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・毛蟹のウッフブリュイエ、トリュフの泡をのせて

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・雄勝町の帆立のミ・キュイ、クミンとカルダモンの香り、鋸草のサラダ

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・蝦夷鹿のコンソメ、アキレス腱、黒大根、セロリ

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・蝦夷鹿二つの部位、二つの調理法、ロースのロティとバラ肉のラッケ、山葡萄風味,アンポ柿のベニエ

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・チィエルダンテルに詰めたフロマージュブランのムース、キャラメルのグラス、塩シャンティ

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・ミニャルディーズ
(フレッシュアンフィージョン)

 前回よりさらに料理の精度が増し立体的になったと感じた、これは生井料理長一人だった厨房に料理人が一人加わったのも大きいと思う、前菜もデセールも一手間作業が増えていると感じた。この店を初めて訪れた時に、太刀魚の骨付き料理が出て美味しかったが、ああしたビストロ的料理はもう出ないだろうと思う(笑)。
 帆立の料理は、ミ・キュイ仕立ての生っぽさと刻んだ百合根や銀杏?のクリスピー感が絶妙にマッチし、カレー風味の味付けが効いている。
 蝦夷鹿コンソメは芳醇な味わいで、この贅沢さは和歌山「オテル・ド・ヨシノ」以来、最近の東京では良いコンソメに出会う機会が無いが、ちゃんと作った物は美味しいと云う実例だ。
 肉料理に使った鹿は3歳雌との事、鹿の1歳は大体人間の7歳位になるそうで、それなら21歳の女性、少女から大人の女に変わっていく年頃だ、先月の「フロリレージュ」の鹿料理は、若さを強調した瑞々しいものだったが、このシック・プッテートルでは、より熟成をかけた事もあり、もっと大人びた化粧と衣装を纏わせた印象、「どちらもいい」としか言い様がないが、生井料理長はもしかしたら熟女好きなのかも知れない(笑)。
 デセールも味のテクスチャーが複雑になり、更に良くなったと思う。

 料理もいいが、この店のもう一つの魅力がオーナー兼メートルの星氏の軽快な喋りとサービスで、レストランは料理だけでは完結しないと云う事を認識させてくれる。
 最後は生井料理長を交え、業界関係の「濃い話」を延々としてしまった、これはブログにはとても書けないので、すいません(笑)。
 褒めてばかりでは「成長」を止めてしまいそうなので、少し注文も付けるとすれば、気になったのがディナー時の照明、クリスタルの小さなシャンデリは面白いが、光が拡散してしまい卓上の照度が足りず、料理の美しさが映えない。「コートドール」や「フロリレージュ」等の照明使いに比べると損をしている、補助光スポットで補う等の工夫があった方がいいと思う。

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 この店は11月に開業一周年を迎えるが、この一年で前述の小説みたいに、幾つもの店を追い抜いた気がする(笑)。今まさに大輪の花を咲かせようとする瞬間、「この時に行かないで何時行くの?」と言いたい旬の店だ(笑)。


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竹ノ塚「武藤製麺所」

 足立区の竹ノ塚駅周辺は、葛飾区の亀有と並び東京城北地区を代表するラーメン激戦区だ、「食べログ」で調べると駅周辺500mの範囲だけでも16軒のラーメン店がある、居酒屋みたいな所でもラーメンを出す店があるので、実際にはもっと多いと思う。
 その中でも一番有名で人気があるとされているのが「武藤製麺所」だ、開業は2006年の12月、店主は行列が出来る事で知られる、湯島の人気店「大喜」で修行したそうだ、以前から行ってみたいと思っていたが、家からだと自転車でも電車でも中途半端な距離になり、なかなか機会がなかった。
 持病の腰痛解消のため通っている整体治療院で、「腰の動きを良くするため、バッティングセンターへ行ってみなさい」と指導?され、探していたら竹ノ塚近くにある事が判り、それ以来通っているので、この日そのついでに自転車で行ってみる事にした。

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 店の場所は東武スカイツリーラインの竹ノ塚駅東口から3分程度で着ける、ラーメン店には珍しく間口が広い作りで、看板も大きいためか、ラーメン店と云うよりは居酒屋みたいに見えてしまう(笑)。店舗の一部を製麺スペースにしている、つまり「自家製麺店」だ、更にこの店は化学調味料不使用を謳っている、この「自家製麺&無化調」と云う言葉に反応するラーメンフリークは多い。
 平日の開店直後の入店だったため一番乗りの客になった、まずは食券購入でメニューを決めるが、初回と云う事もあり、この店の看板メニューである「わんたんとり塩めん」(800円)を選び、白めし(100円)もお願いする事に(笑)。

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 食券を店員に渡し、テーブル席に案内されたが、ラーメン店にしては広く20席以上ある、店内は整理整頓されていて好印象、厨房は男性3、店内サービスは女性と厨房兼任の男性が各1の計5名で充実した布陣だ、今フランス料理店でも5人いる所は珍しい(笑)、箸は共有箸、照明はLED電球を使用するなど、環境面でも配慮が感じられる。

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 割と短い待ち時間で出て来たのが「わんたんとり塩めん」、これは比較的細い麺を使用しているので茹で上がりが早いからだと思う、感心したのが入れ物の丼とそれを受ける皿が、プリントでは無い手描き(たぶん)の染付だった事で、通常は白い無地の器が多いラーメン店では珍しい、値段も結構すると思う。
 まずは一口スープを飲んでみる、鶏出汁+鰹出汁等の魚介系だと思うが、無化調スープに共通する、あっさりした中にも深さのある味わいが感じられる、湯島の「大喜」に行ったのはかなり前で記憶は薄れているが、あちらも「鶏そば」がスペシャリテで、味わいは似ていると思った。細い麺は繊細なスープと良く合う、自家製麺の一番の利点は輸送を経ていないので、麺が疲労していない事だと思う。ワンタンはどこか懐かしい味わいで、昔の東京味だ(笑)、豚ではなく鶏肉で作ったチャーシュー?が乗っている。

 無化調スープの究極は、和食の吸物椀と中国料理の上湯を使ったスープ類だが、どちらも丼で食べるものではない、一人前なら200cc位だと思う、ラーメン丼位のスープになると量が多いので、最初は美味しくても途中で味が単調になり易い、この店はよく判っていて、卓上に胡椒や唐辛子類を幾つか並べ、客が途中で味を調節出来る様にしているがこれは大事だ、無化調だからと言って、客十人が十人「加化調より旨い」とは思わない筈、それまで化学調味料味に慣れていると、意外と頼りない味に感じるものだ(笑)。
 一緒に頼んだ「白めし」には、これも大喜と同じく、チャーシューだれで煮た豚肉の佃煮が添えられている、ご飯の質はとても良い。炭水化物+炭水化物の摂取は栄養学的にはあまり推奨できないが、まあ、たまにはいいでしょう(笑)。

 美味しいラーメンでした、私は加齢もあって最近は脂まみれ系がどうも苦手、こうしたあっさり繊細系の味に惹かれる事が多くなった、ここはまた来てみて他のメニューも試してみたいし、竹ノ塚の他店もこれから開拓しようと思っている。
 フランス料理とラーメンは私のライフワークだ(笑)。
 

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私が愛する「最中アイス」

 最中アイスが好きだ、「何で好きなの?」と訊かれると、たぶん子供時代の体験から続いているからだと思っている(笑)。
 若い人達には説明し難いのだが、私が子供の頃「アイス」は、下町なら一軒あった甘味屋で買うのが普通で、ここで売っていたのが最中アイスだった、注文すると大きな入れ物から掬い最中皮に入れてくれる、種類は小豆餡を混ぜた「小倉アイス」と「白いアイス」、当時「バニラ」と云う言葉はなかったと思う。カップアイスは雪印の製品があったが、冷凍庫を備えている店舗が少なかった事もあり、通常「アイス」と云うと、甘味店で買う最中皮に入れた物だった。
 東京・湯島に「みつばち」と云う甘味処があるが、此処は今でも当時のスタイルで最中アイスを売っている、興味のある方は一度試してみる事をお勧めしたい。

 この最中アイスの起源について調べたのだが、どうもはっきりした事は判らなかった、大正時代末期には存在していたそうだが、おそらく正調のアイスクリームに付いていたウエハースからヒントを得て、誰かが日本では一般的な最中皮を使う事を思い付いたのではと推測されている。最中皮を使う利点は、スプーンを使わずに手に持ってアイスを食べられる事で、中身が溶けても皮が水分を吸収してくれるので、かなり耐久性?がある、家庭に冷凍冷蔵庫の無かった時代にこれは大事だった。
 私の年代以上の人は、最中アイスに懐かしさを覚えている人が多いと思う(笑)。

 町中からアイスを売る甘味店が無くなった現在、最中アイスが食べたくなったら、スーパーやコンビニでメーカー品を買うしかない、少し寂しいがこの分野でも各社の商品開発は凄い、私が食べて「美味しい」と推薦できる物を幾つか紹介したいと思う。

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・森永「チョコモナカジャンボ」
 最中アイスの代表格は何と言ってもこれ、1972年の発売以来実に40年経つロングセラー、当時はまだ至る所で最中アイスが売っていたので、森永製菓が「他にはない、チョコレートメーカーならではのアイスを」をコンセプトに商品開発したそうだ、現在はアイスの中に板チョコが入っているが、当時はアイスの外側にチョコレートを吹き付けた、私が過去一番食べた最中アイスはこれ(笑)。今でも時折食べたくなるし、スーパーで安売りされていると思わず「大人買い」をしてしまう(笑)。

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・同 「バニラモナカジャンボ」
 「チョコモナカ」の姉妹品として最近発売されたもの、バニラアイスの外側にホワイトチョコをコーティングしている、シンプルであっさりした食感、個人的には最近はこちらを買う事が多い、年齢のせいかオリジナル版はしつこく感じる事がある(笑)。

 大手ではロッテが「モナ王」と云う商品を出しているが、これはあまり評価していない、味が単調なのだ、その「モナ王」と似ていると思ったのが、

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・セイコーマート「北海道牛乳モナカ」
 「ガイアの夜明け」と云う日本経済がテーマのTV番組で取り上げられたもの、北海道中心に事業展開するコンビニチェーンの売れ筋商品、先日札幌へ行った時にセイコーマートへ行き買ってホテルで食べた(笑)、ミルクの香りが感じられて一口目は美味しいのだが、大きいし味が単調なので途中で飽きてくる、何かもう一工夫欲しい気がする。

 最中皮+バニラアイスだけだと味と食感が単調になりやすい、そこで森永みたいにチョコ味等を加えるのがポイントになる、この点で感心したのが、ローソン105で買った福岡・丸永製菓の物、このメーカーが作る製品は秀逸なので要チェック(笑)。

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・丸永「八女抹茶もなか」
 八女は福岡近郊にある茶の名産地、これは甘味を抑えて茶の風味が生きている、最中皮とのバランスもいい、抹茶アイス好きと聞くオバマ大統領に食べさせたい逸品(笑)。

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・同 「かぼちゃモナカ」
 ハロウィン限定品かも知れないが、かぼちゃの形をした最中皮の中に、かぼちゃ餡を包んだかぼちゃアイス、この種の製品は子供受けを狙ったキワモノになりがちだがキチンと作っている、変に甘過ぎないのがいい。

 最後に「外道」と云っては失礼だが(笑)、意外に良かったのが、

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・井村屋「たい焼きアイス」
 「たい焼き」と名乗っているが、外側は最中皮なので最中アイスに入れたい、鯛と云うより古代魚?みたいなシュールな外観だが(笑)、中身はバニラクリーム+つぶ餡+チョコレートと豪華版、意外にバランスがいい、見つけたら一度は試す価値あり。

 最中アイスは好物なのでつい熱く語ってしまう(笑)、でもどれも100円前後で買えるので、気軽に楽しめるスイーツ、未食の人はまず試してみて下さい。


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青山「フロリレージュ」(2013年10月)

 6月のディナー以来となってしまった青山「フロリレージュ」、本当なら毎月行きたい店だが、予約の取り難さを考えたら、春夏秋冬の各シーズンに1回利用出来ればいいのかなとも思っている、本当に気に入った店は占有しないで、他の人にも利用出来る機会を分け与えるべきなのだろう、でも今の東京でそこまで言えるのは、正直この店だけだが(笑)。

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 フロリレージュは2009年の開業以来、川手料理長と両輪で店を支えていた近藤支配人が退店した、この川手―近藤コンビは、三田「コートドール」の斉須―松下コンビの後を継ぐ、東京のフランス料理を代表する名コンビと思っていただけに残念な事だ、聞く処によると、近藤氏はフランスでレストランサービスに携わるとの事で、料理人では無いが、本場の業界で活躍する日本人として、今後の健闘を祈りたいものだ。
 近藤氏が抜けた後には若い女性がサービス担当として参入、店内の雰囲気も少し変わった気がする、以前は何処となく緊張感が漂っていたが、全体的にカジュアルな印象になった、個人的には肩肘張らないで楽しめていいと思うが、「前の方が良かった」と言う人もいると思う、でもレストランは何時までもそこに止まるのではなく、こうして変容して行くものだ、客はそれに自分の指向するものを重ね合せて、「合う、合わない」を判断すればいい事、店へやって来た100人の客が全て生涯最高と絶賛する「完全無欠のレストラン」は、世界中何処を探しても存在しないと思う。

 10月のランチメニュー(4,200円)は、通常のプリフィクスからで、前菜・メイン・デセールをそれぞれ3~4品の中なら選ぶ、私が選んだものは、

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・アミューズ(定番:グリーンオリーブのパン)

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・白ワインは4種からの選択

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・本ししゃもとトリュフのパイ包み焼き

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・蝦夷鹿の一皿目はロースト

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・同じく二皿目はラグー

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・フロリレージュ風ガトーショコラ

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・ホオズキの飴がけ

 ベテラン支配人が抜けて料理に影響が出るかなとも思ったが、心配は無用だった、川手料理長以下調理スタッフの機能は充実し、最後のミニャルディーズまで飽きさせない。
 まず前菜はサービス担当が編み籠に入った紙袋を持ってくるのだが、この中にシシャモを包んで焼いたパイが入っている、客は皿上にあるシシャモの骨を煎って砕いた粉とハーブを袋の中に入れ振る、そう「シャカシャカチキン」と同じやり方(笑)、これを皿の上に開けて食べると云う客参加型?の料理だ、「遊び心」と面白がるか、「ふざけている」と批判するかは人それぞれだと思うが、食材を無駄にしたり壊したりしている訳ではなく、シシャモの味わいは生きている、前菜やデセールにはこうした遊びは、私はあってもいいと思う。
 メインの蝦夷鹿は王道のロースト、キュイッソンは浅過ぎず強すぎず、ギリギリのジャストなもの、ガルニに使ったのは人参風味の根菜「パースニップ」で、これが意外な相性を発揮する、通常鹿肉にはビーツや赤キャベツあるいはベリー類等「赤いもの」を使う事が多いが、ありきたりの物にしたくないのだろう、この野菜を探し当てた料理人のセンスはさすがだと思う。
 二皿目はトラデショナルなラグーで、少量ながら鹿特有の風味を生かし、この料理を出した意味を感じた、セロリラブが印象的なガルニになっている。
 「ガトーショコラ」と説明のあったデセールだが、通常イメージするものとは全く違う、これは詳しく語るより是非店で体験して欲しいなと思う、スペシャリテの「ショコラ・オムレット」以上に、面白く記憶に残るデセールになりそう。

 前菜から始まりデセール、ミニャルディーズまで隙が無く、楽しさと美味しさを十分感じさせる、随所に謎かけや語呂合わせみたいな遊びもあり、客のユーモアセンスが問われる(笑)。
 私自身はどちらかと云えば厨房一人サービス一人でやっている様な小さな店が好きなのだが、この形態だとどうしても限界を感じる時がある、例えば料理は良くてもデセールで落胆する事はありがちだ、これは一人厨房の宿命で仕方の無い事だろう、それ以上を望むとすれば、このフロリレージュみたいに厨房スタッフが充実した店を選ぶしかない。
 この店は20の客席に5人の厨房スタッフと3人のサービスの体制を維持して、連日満席を続けながらも、開業以来の4年間一度も価格を上げていない、この店からそう離れていない個人名を冠した有名店?が、再三値上げしているのとは対照的だ、プリフィクスのランチでも料理による追加料金は一切ない、これは称賛すべき姿勢だと思う。
 
 毎回ながら退店時には川手料理長が見送りに出て来た、食材値上がりの話などをしたが、腰が低くて態度に裏表のない好青年と云う印象で、「料理も人なり」を感じた、長身料理人はその見かけどおり、今の東京では頭一つ抜けていると感じる、これからも輝き続けて欲しい名店だ。



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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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