最後の晩餐にはまだ早い


2013年総集編「今年印象に残ったデザート&スイーツ」

 今年印象的だったレストランデセールでは、まず挙げておきたいのが大阪・上本町「コーイン」の、

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・ガトー・マルジョレーヌ、ピスターシュのグラス
 
 店で出すバターにチーズ、サラミに生ハム、果ては野菜まで自分で作らないと気が済まない稀有な料理人、これからは牛や鶏を飼い、器やテーブルに椅子まで作り出すのではないかと、皆は期待?しているが(笑)、その料理人が古典を基に納得するまで試作を繰り返した名デセール、「ピラミッド」の時代よりずっと軽くなっている筈だが、何故かフェルナン・ポワンの亡霊を見た思い(笑)。

 青山「フロリレージュ」のデセールは毎回楽しみだが、今年特に惹かれたのが、

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・ガトー・ショコラ「青山の土」

 先月刊行されたフロリレージュの料理本にルセットは載っているが、これは店でメートルのクイズ?付きで体験する事に意義がある(笑)、それなので「一期一会」とも云えるデセールだ。

 今年一番通った八丁堀「シック・プッテートル」からは、おなじみの、

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・キャラメルのムース、チュイールとパンケーキ、バナナとレーズン

 一人厨房(当時)では手の込んだデセールを作るのは困難を伴うが、それでもこの出来は立派。現在はスタッフが増えたので、もっと手を加えたものになっているが、方向性は変わっていないと思う。

 ベテラン料理人の「おはらス・レストラン」からは、

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・生落花生のブランマンジェ

 三田「コートドール」の「ココナッツ風味のブランマンジェ」と似ているが、味わいは少し違う、こちらの方がより濃厚で舌に旨味が残る印象、白い皿に白いデセールのビジュアルは、エンリコ・カステラーニの現代アートみたい。

 見かけはそのブランマンジェに似ているが中身は違って、神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」の、

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・フレンチ大福(笑)

 求肥の中に刻んだフルーツとジェノワーズ生地を詰めたもの、遊び心満載の「カグラザカ・テロワール」の逸品、近々「フレンチ大福ver.2」が登場予定?(笑)

 そして今月体験したばかりだが、麻布十番「ビストロ・コティディアン」の、

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・ラム酒風味のクレームキャラメル

 見かけは普通だが、結局はこうした物が一番美味しい、ビジュアル優先なデセールが「美人は三日で飽きる」とすれば、「地味な花」の美味しさは普遍だ(笑)。

 以下はパティスリー物になるが、先ずは南千住「パスティチェリア・バール・アルテ」の、

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・リコッタチーズのケーキ

 コンビニスイーツに対抗するには、街場のパティスリーも変革しないといけないと云う実例、イタリアンドルチェはこれからもっと注目されていいと思う。

 小樽の製菓メーカー「ルタオ」が運営する、新しいタイプのパティスリーが表参道に誕生、その「グラッシェル」の、

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・アントルメグラッセ三種(杏仁、マンゴーパッション、フィレノワピスターシュ)

 素敵なサロン・ド・テを併設し、そこでいただくアントルメグラッセ(アイスクリームケーキ)は、これから東京で新たな潮流となりそう。
 こうして並べてみると、私はやはりシンプルなものが好きなのが判った(笑)。

 今年もこのブログにお付き合いいただき、ありがとうございました。
 東京では年初立て続けに個人店が閉店し、暗い気持ちになったが、それと「選手交代」するみたいに幾つか新店も誕生した、来年も「アベノミクス」なる景気上昇傾向が続き、その還元が飲食業にあるかは疑わしいと思っているが、新たに業界に参入した個人店は、長く続いて欲しいと願わずにはいられない。蟻一匹みたいな微力だが、真摯に「食」に取り組む彼・彼女達を応援したいと思っている。
 それでは、どうぞ皆様良いお年をお迎えください。

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2013年総集編「今年印象に残った店と料理」

 今年も残すところ数日、このブログ更新もあと2回の予定なので、昨年同様「今年印象に残った店&料理」を書いておきたいと思う、これは記憶力が急速に衰えている自分の備忘録の意味もある(笑)。
 
 今年体験した日本のレストランの中から3店を選べば、「フロリレージュ」(東京・青山)、「コーイン」(大阪・上本町)、「オテル・ド・ヨシノ」(和歌山)で昨年と変動なし、この3店についてはブログやFBで色々と書いてきたので、改めては語らないが、特に感銘した料理画像だけ挙げておく、
まずは「フロリレージュ」の、

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・北海道仔羊のロースト

「コーイン」の料理中、前菜(前菜です!!)で出てきた、

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・ベカスのアンクルート、ソースペリグー、山盛りトリュフのサラダ

「オテル・ド・ヨシノ」の濃厚華麗なヴィアンド、

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・大和鹿のロワイヤル

 この3品の画像を見ているだけで、もうお腹一杯になって来た(笑)。
 以下は都内の店になるが、今年一番多く訪れたフランス料理が、八丁堀「シック・プッテートル」だ、5月の初訪問以来5回訪問した事になる、画像は初回時に最も印象的だった前菜、

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・茄子と鳥貝、カラスミ、アボガドのピュレ

 或る人がこの店を評して「絶妙なアンバランス」と言ったが、これはなかなか名言(笑)、行っていない人には「とにかく一度行ってみて下さい」としか言えないのだが、生井料理長の個性溢れる料理構成と星オーナーの軽妙なサービスのコンビはとてもユニーク、店を出た時に「今日、この店へ来て良かった、楽しかった」ときっと思う筈だ。

 「シック・プッテートル」と同時期に開店し、個性的な料理に瞠目したのが、麻布十番の「グリグリ」、店主とマダム2人で営む小さな店だが、料理&サービスのポテンシャルは「シック~」に決して引けを取らないと思う、来年はもっと注目される店になる筈、画像は斬新な野菜料理で、

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・ホタテと根セロリのパラドックス

 最近は若い料理人の店ばかり行っているが、「ベテラン健在なり」を見せつけられたのが、大崎「おはらス・レストラン」で、料理を体験して今まで訪れていなかったのを激しく後悔した(笑)。1960年代にシベリア鉄道でフランスに料理修行に渡った小原料理長の、40年に及ぶキャリアとエスプリを、その料理から充分感じる事が出来た。古臭さがなく、そうかと言って変に日本化されていない正当料理を、落ち着いた空間で体験できる大人の店、まだこれからも続いて欲しいと願う。画像は初回訪問時の、

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・徳島産阿波赤牛いちぼ肉の直火網焼き、ベアルネーズソース添え

 大ベテランの小原氏とは対照的に「新星登場」を感じたのが、秋葉原「ビストロ・ヌー」、磯貝料理長は33歳の若さながら「料理力」が抜群、パリのネオ・ビストロの戦場みたいな厨房を体験していて、とにかく料理が早い、修羅場を潜り抜けているので胆力が備わっている、これから楽しみな才能だ、料理は3回目に体験した、

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・サーモンのミ・キュイ、レモンのソース

 9月に訪れた札幌のフランス料理店4店は、どこも優秀で個性があり、甲乙は付けられないが、ただ料理として一番感銘したのが「バンケット」の肉料理で、

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・当別産黒豚とレギューム・ア・ラ・グレック

 低温オイルの中で火入れした道産豚に、ヌーベルキュイジーヌの代表的野菜料理を合わせたセンスは見事。近い将来札幌のフランス料理は世界を席巻するか?(笑)。

 意識したわけではないが、フランス料理店ばかりになってしまった(笑)、そこで1店だけ別ジャンルの料理を挙げておく、大阪・北新地の天ぷら店「ひら石」、ここで出たのが、

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・鳥取産大椎茸の天ぷら

 これは物凄い椎茸料理だった、天ぷらと云う優れた調理法により、「椎茸を超えた椎茸」になっていると思った。この店の特にランチはお得、行ってみる価値充分だと思う。
 
 次回は「デザート&スイーツ」編を書く事にしたい。


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麻布十番「ビストロ・コティディアン」(2013年12月)

 「今年の北半球の冬は、冷え込みが厳しい」と予想されているそうだが、平日休みのこの日も寒い日だった、それで「熱い物、身体にガツンと来るものが食べたい」と思い、また担々麺でも食べに行こうかと考えたが、「熱い」で連想したのが「カスレ」、そうだ麻布十番「ビストロ・コティディアン」のあれが食べたいと、頭の中がカスレで満ちてしまい、他の料理が全部消えてしまった(笑)。
 「満席だったらどうしよう?」と心配しながら電話をしたら、利用OKとの事で満面の笑みを湛えながら(たぶん)、麻布十番へ向かう事に、今年の1月以来になってしまったが、本当に月日が経つのは早過ぎる(笑)。
 麻布十番は「シプレ」「グリグリ」に、この「コティディアン」と、良質なフランス料理店が存在し、イタリア料理や和食にも興味深い店が出現している、街も落ち着いているし、出来る事なら「住みたい街」だが、これは年末ジャンボ宝くじにでも当たらないと、貧乏サラリーマンには無理な話だ(笑)。

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 店へ到着したのは12時過ぎで既に1組は食事中、私の後には更に2組の入店があった。店のスタッフに移動があり、厨房は須藤料理長ともう一人の若い男性が担当、店内はマダムと新人男性だった、人材不足のレストラン業界だが、こうしてスタッフが辞めても次が見つかるのは羨ましい、これも麻布十番の地盤の強さなのかも知れない。
 須藤料理長に挨拶し、笑顔のマダムから渡されたランチメニューを眺めるが、通常メニューの2皿1,800円、3皿2,500円は変わっておらず、食材料高騰が続く中でこの低廉価格の維持は立派だと思う、それに「ビブグルマン・マーク」を貰ったりすると、急な値上げは難しくなりそうだ(笑)。

 前々回に食べたシュークルート(+900円)にも惹かれたが、ここはやはり初志貫徹で、「シェフのおすすめカスレランチコース」(3,500円)をお願いする事にした、その内容は、
  
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・料理長からの内緒?の前菜(笑)「猪とフォアグラのテリーヌ」

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・ラッグドックの赤‘CHATEAU DE CIFFRE 2009 ’(グラス1,000円)

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・ブルゴーニュ風エスカルゴ

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・カスレ

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・ラム酒風味のクレーム・キャラメル

 テリーヌはメニュー外なので、ブログに書くのは止めようかなと思ったが、あまりにも美味しかったので画像を載せてしまう。フランスでは誕生日を迎える側の人間が、友人達に御馳走する習慣があるそうで、きっとこれは「フランス式お祝い」だと思って、ありがたく頂戴した(笑)。
 メニューを聞いた時に、カスレの前菜にエスカルゴでは重いかなとも思ったが、実際に出てきた料理は予想以上に軽く、付け合せのキャロット・ラペの酸味も効き、あっさりしてもっと食べられそう(笑)。
 そして真打登場で出てきたのがカスレ、思わず頬ずりしたくなる太もも、ではなく(笑)鴨肉のコンフィだが、見ただけで「これは旨い」と判る、そして一口食べるとパリっとした皮目と、鴨肉のジューシーさが舌を襲って唸りたくなる美味しさ、肉汁が浸み込んだアリコ(白いんげん豆)の煮え具合もいいし、1月に食べた同店のカスレより更に美味しくなっていると思った。
 そしてこの店はデセ-ルが美味しい、これは同価格帯の店では特筆すべきだ。

 後ろの席では日・仏・英の混合客?が食事中で、始めは仏語と日本語が聞こえていたが、何時の間にか英語だけになった、これは現在の世界情勢を反映している?(笑)。この店のアセゾネ(味付け)は「フランスそのまま」ではないと思うが、フランス料理の基本軸は外していない、普通のフランス人が食べても十分美味しい筈だ。
 食後、厨房から出てきた須藤料理長と話をさせてもらったが、話し方にも余裕が出てきた印象を受けた、麻布十番の地盤にも定着し、これから此の地を代表するビストロになる事は間違いない、マダムの接客や客席の雰囲気も良くて、ランチタイムでも落ち着いて時間が過ごせる。食事中にもリザベーションの電話が何件もかかっていたので、今まで気付かなかった人達にも、気付かれる店になってしまったかも知れない(笑)。

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 美味しくてお腹一杯になり、幸せな午後になった、出来る事なら月に1回位は訪れたい店だが、我家からちょっと遠いのが難、やはり宝くじ当てて麻布十番に住むしかないかな(笑)。
 須藤料理長&マダム、美味しい料理と素敵な時間をありがとうございました。
 

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足立・一ツ家「東京スープカレーCahaya」

 地元ネタが続くが、今回は足立区一ツ家にあるスープカレーの店「東京スープカレーCahaya(チャハヤ)」。
 ウィキペディアによると、スープカレーは1971年に札幌の喫茶店「アジャンタ」が発売した薬膳カレーが起源とされている、その後同じ札幌の「マジックスパイス」がこれを改良し、「スープカレー」と名付けて売り出した処、行列が出来る程の爆発的ヒットとなった、やはり名前は大事だ、特に食べ物は覚えやすくて、名前から対象物がある程度予想出来る事が一番、この点「薬膳」だけでは、今一つイメージが湧かない、「今川焼」より「たい焼き」の方が有名なのも、デザインとネーミングのせいだと思うが違うかな(笑)。
 そのスープカレーだが、札幌市内には約250店が存在すると云われている、これだけの数が共存出来ているのは凄いが、その中から東京へ進出した店がある、更には札幌でスープカレーを勉強して来た人が、独自に東京で開業した店舗もある、今回紹介「チャハヤ」は後者で2008年の開店、スープカレー好きには割と知られた店だ、家から何とか自転車で行ける距離なので、一度行ってみたいと思っていたが、今回初訪問する事になった。

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 店の場所を説明するのが難しい、一番近い駅はつくばエクスプレスの六町だが、そこから歩くと15分位かかってしまう、地元以外の人は車で行く事になるが、駐車場は店が別敷地に確保している。行った第一印象は「こんな不便な場所にある飲食店が、続いているのは立派」だった(笑)。
 平日の開店11時直後だったので客は私一人、この店は深夜2時まで営業している事もあり、平日は夜営業がメインなのだろう。席に案内されてメニューを選ぶのだが、これが結構複雑なシステムになっている。
 メニュー(10種類)を選ぶ → スープ(4種類)を選ぶ → 辛さ(6段階)を決める → ライスorナンパン(この店独自のナン風パン)を選ぶ、ライスの場合は量も選ぶ → 好みでトッピングを選ぶ
 初めての客は戸惑うが、不明な点は店員が助言してくれる。

 この日は初訪問なので、一番ベーシックな「とりカレー」(880円)を選び、+100円のランチセット(ドリンク+プチサラダ+プチアイス)にしてもらった、ライスは普通盛り(笑)。

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・まず運ばれて来たのがプチサラダ、これはちょっと寂しかった(笑)。

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・「あなたが一人・・『おいしい』って感じてくれる。それだけで私は幸せです。」深い(笑)

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・とりカレー

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・ご飯(Mサイズ-200g)

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・プチアイスとバナナラッシー

 ウィキペディアに「スープカレーの定義」が出ているが、それによると、
・具の肉や野菜が大ぶりである。
・動物や野菜から取ったダシに、スパイスペーストを合わせてスープを作る。
・具はスープと別に調理する。メインの具はチキンレッグや豚角煮等。
以上だそうで、その要件は満たしている、ベースになるスープとスパイスのバランス、具の鶏モモ肉と野菜の質と調理もいい、札幌でもスープカレー店は何店か入ったが、較べても決して遜色は無い出来と思った。
 少し気になったのが値段、980円と云えば都心でもそれなりのランチが食べられる金額、それがこの辺鄙と言っては失礼だが不便な場所で、この値段でやっているのは強気とも言えるが、個人的にリピートするには、もう少しプラス「何か」が欲しい気もした。でも予想より美味しかったし、急に食べたくなる事はありそうだ。

 最近、「ガラパゴス」と云う言葉をよく使うが、このスープカレーも本場インドのカレーが、札幌で「ガラパゴス的進化」を遂げた実例だ(笑)、それがこうして札幌以外にも広まりつつある、これを冷涼で乾燥した札幌と気候が似ている北部欧州に輸出したら、もしかしたら人気の食になるかも知れない(笑)。
 この店主はWEBページでスープカレーについて熱く語っているので、興味のある方は読んでみてください、
http://www.cahaya.co.jp/
 なお店名の「Cahaya(チャハヤ)」は、ヒンディー語で「好き」「憧れ」と云う意味だそうだ。


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東和「アンティーム」のケーキ

 休日にフェイスブックを見ていたら、友人が美味しそうなフルーツケーキの画像をUPしていて我慢できなくなり(笑)、自転車に乗ってケーキを買いに行ってしまった。
 店は足立区東和にあるパティスリー「アンティーム」、仏語で親密や親愛を表す店名だ。不便な場所にあって駅なら千代田線綾瀬駅と常磐線亀有駅の中間程になり、地元の人が買いに行く小さな店だが、「雛にも稀」と言っては地元民に失礼かも知れないが、結構本格的なケーキ類を販売している、ブログで紹介した「アンプリル」が開店するまでは、この辺りでは殆ど唯一のまともなパティスリーだった。
 WEBで調べたら、開業は1998年なので15年経った事になる、コンビニスイーツに押される街場のパティスリーだが、これだけ続いたのは地元民に支持されてきたと云う事だろう。

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 店主は50歳代か、大柄でコックコート&コック帽を着用し、ちょっと昔の職人風に見えるタイプ、此処は開店の頃から知っていたが、以前ラボ内は2人、販売担当が1人の計3人でやっていた、この日はガラス張り窓の奥から店主自ら販売に出てきたので、「今、一人でやっているのですか?」と訊いたら、午後からは販売のアルバイトが一人来るが、他は一人になる事も多いとの事、若い子を雇ってもすぐ辞めてしまい長続きしないと言っていた、人材不足はこの業界でも深刻だ。
 ショーケースから選んだのは3種、

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・苺のタルト(378円)
 これが一番先に目に留まった(笑)、タルト生地の上にカスタードクリーム、その上にホイップ(生)クリームで、トップが良質な生苺、甘さもしっかり出してクリームの質がいい、個人的にホイップクリームはあまり好まないので、量はもっと少なくていいと思うが、下町の特に子供に受けるのはこうした作りなのだろう(笑)。

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・モンブラン(367円)
 「アンプリル」のモンブランと比較したくなって買ったもの、あちらは焼いたメレンゲ生地なのに対し、タルト生地の上にマロンクリームが乗る、このクリームがとても美味しい、昔風に甘味をしっかり感じるタイプで、全体のバランスとしては、私はこちらの方が好みだ。

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・シュークリーム(189円)
 店一番の売れ筋商品らしい、シュークリームは他のケーキと一緒に買う人が多いのだろう、シュー皮は少しウエットな感じで、岩塩?を貼り付けているのが特徴、クリームはカスタードとホイップクリームの混合版だ。普通に美味しいシュークリームだが、それ以上ではない(笑)、これは「アンプリル」のシュークリームの方を採りたい。

 全体的にどのケーキ類も手をかけてあり、丁寧な作りで好感が持てる、殆どのケーキが400円以下と云う下町価格なのも嬉しい(笑)。今東京の有名店では、500円台、600円台のケーキが珍しくない、こんな事を書くとスイーツ好きの方からお叱りを受けるかも知れないが、ケーキ類の構成要素である、粉、卵、生クリーム、バター等は殆ど違わない筈だ、後は土地代と技術料?の違いと云う事か。
 ブランド志向のない私は、こうした有名ではないけれど、安価ながら本格的なスイーツを作り、地元の人達を相手に頑張っている店に、つい肩入れをしてしまう(笑)。

 コンビニスイーツはたしかに美味しくなった、急にケーキやシュークリームを食べたくなった時には便利だが、何か「ときめき」が無い。パティスリーは店に入り、ガラスケースに並んだケーキを見ているだけでワクワクし、家に買って帰って紙ケースを開ける時はドキドキする(笑)、コンビニに足りないのはこうした点だ。パティスリーの扉は、大人が瞬時に子供時代に帰れる「どこでもドア」なのかも知れない(笑)。
 料理店と同じで街場の個人店には大変厳しい時代だが、子供にも大人にも夢を与える場所として頑張って欲しい、私も特に地元の店はこれからもブログで紹介し、微力ながら応援したいと思っている。
 

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神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(2013年12月)

 9月以来となってしまった、神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」のランチ、この日は時間があったので、店に行く前に神楽坂の街を少し歩いてみた、正午直前だったが意外に人が出ていない、飲食店で客が入っていそうなのは、何処もランチ1,000円以下の店ばかり(笑)、昼1,000円、夜8,000円と云う極端な価格差の和食店があって、昼だけは盛況との事だが(笑)、この飲食店供給過剰とも言える神楽坂で生き残るのは、本当に大変だなとあらためて思ってしまう、政府やマスコミは盛んに「景気上向き」を謳っているが、少なくともこの街を歩いている限りは、それを感じる事は出来なかった。

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 「オー・トレーズ・ジュイエ」は価格を改定し、昼500円、夜700円基本のメニューを値上げした、食材料の高騰が続いている中で止むを得ないと思うが、1,000円ランチで客の奪い合いをしている神楽坂で、値上げは結構勇気のいる事だと思う、今まで来ていた客が、これを機に他店へ流れる事も考えられるのだ、私も客入りを心配していたが、平日のこの日私を含めて5名の来客、夜も予約が8名入っているそうで、更には食事中も予約照会の電話が数件来ていたので、取りあえずの心配はなさそうだ(笑)。
 12月のメニュー(2,800円)の内容は、

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・アミューズ(温かいリエットの上に、甘くないチュイール)
 ※これは料理長からのサービス(笑)

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・珍しいギリシャ産の白、始めは松脂みたいな香りもしたが(笑)、温度が上がるとスペインワインに似た風味になった

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・チカと赤キャベツの温かいエスカベッシュ、ゴルゴンゾーラのシャンティ

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・北海道産メヌケと湯葉のヴァプール、柚子の香りのブロッコリー

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・若鶏モモ肉の燻製、レフォールの泡、根菜のクスクス

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・りんごのタルト・アルザス風、黒ビールのグラス

 「チカ」はワカサギに似た小魚、これを赤キャベツと共に酢漬けし、ゴルゴンゾーラを混ぜたクレームシャンティを添える、スタートに最適な一品。魚料理は料理長が最も得意とする分野だが、道産メヌケを湯葉と合せ、ブリッコリーのソースを和えた手法は良かった。肉料理は骨付きの鶏モモ肉を燻製風味で火入れし、根菜類やスムールを付け合せにし、クリスピー感を出したもの、デセールは「アルザスのノエル」を表現したみたいで、黒ビールのアイスクリームが面白かった。
 佐藤料理長は技術を持っているので、若干「料理をやり過ぎる」事がある、これが長所でもあり短所にもなり得る、個人的にはもう少し皿上を整理した方がいいのでは?と感じる時もあるが、神楽坂の地盤と店の客層を考えると、現時点ではこの方向で合っているのだろう。
 これから年齢を重ねて行く中で、たぶん余分なものは取れていくと思う、これは他人が言うより、自らが納得した上で減らすものだ。

 フランス料理業界では、ランチ2,800円と云うのは決して高額料金ではない、だがサラリーマンやOLにとって昼飯に2,800円は結構な支払額だ、同じ神楽坂では1,000円、いや1,000円以下でランチが食べられる店は幾らでもある、その中で客に来てもらうためには何が必要なのか考えると難しい、料理が美味しい事は勿論だが、それにプラスした居心地の良さと、昼食に2~3時間かけても寛げる場所、つまり家で得る事は難しい料理+空間+時間に客はお金を払う、そのためにはサービス体制も充実させ、店内のアンビアンスも良くしないといけない、テナント家賃や食材料が高騰し、飲食店で働こうと云う人材が激減している今、オーナー料理人は料理以外で悩む事が、あまりに多いと思う。

 店主も判っている事だが、あえて書いてしまうと、この店にあと欲しいのはサービススタッフだろう、今年行って好印象だった「シック・プッテートル」と「グリグリ」は、どちらも小さい店ながらサービスが優れていて、とても居心地がいい、小さい店だからこそ猶更サービスの重要度が問われると思う、9月に訪れた札幌のフランス料理店でもそれを感じた。別の見方をすれば、それだけ今の日本人料理人の技術は優秀で、料理に関しては「差」を見つけるのが難しくなったとも言える(笑)。

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 同じ神楽坂では、今年オープンして既に閉店してしまったフランス料理店もある(笑)、それを考えれば「オー・トレーズ・ジュイエ」は、これで3年目を迎えたので、よく頑張っていると思う、ただ私の勝手な思い込みだろうが、この料理人はまだまだ実力を全部出し切っていない様に見える、料理人をもっと本気にさせる客を、たぶん待っている筈だ(笑)。
 最近はあまり店にはありがたくない、ランチ専門客になってしまったが、次回のメニューが楽しみだ(笑)。

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梅島「ふうりゅう」の担々麺

 今回は久しぶりの「担々麺食べ歩き」シリーズ(笑)。
 普通のラーメンやつけ麺と同じく、坦々麺についても熱烈なファンは多く、有名処を食べ歩いている人達のブログやWEBサイトが幾つかある、これらを眺めていたら、私の住んでいる足立区内の店が取り上げられているのを知った、店の場所は東武スカイツリーライン梅島駅の近くで、店名は「ふうりゅう」と云う、担々麺の店にしては珍しい名前、ネット上の評判もいいし、我家から自転車でも何とか行ける距離なので、天気の良い日に訪ねてみる事にした。
 店の場所は梅島駅を出て日光街道(国道4号線)へ向かう道に面しているので、すぐ判った、以前は同じ区内の別の場所で営業していたそうで、この場所へ移転したのは数年前らしい、外見は何処にでもありそうな「街場の中華料理店」に見える(笑)。

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 店内はカウンターのみの12席で、壁に貼られたメニューを見ると、担々麺専門店と言う訳ではなく、普通のラーメンやギョーザもある、ただ客の殆ど全てが「担々麺」(この店では「担担麺」と表記している)か「ネギ担々麺」を注文するので、客の方も「この店は担々麺」と決め込んでいるみたいだ。 
 それなので注文は勿論、ノーマルな担々麺(800円)にする事に、食券制ではなく口頭での注文になる。厨房は寡黙そうで職人風な中年の主人が一人と、女性(奥さん?)が水出し等をしている、店内の雰囲気もベタな下町の中華料理店だ(笑)。

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 カウンターの前には、「担々麺」についての薀蓄を書いた紙が貼ってある、ラーメン専門店ではたまに見かけるが、個人的にはこの手の薀蓄系はあまり好きではない、料理は食べて感じるものだと思うからだ。

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 暫くして出て来たのは、見かけはスーパーオーソドックスな担々麺、具は炒めた挽肉と茹でたホウレン草だけで地味だが、昔の担々麺はこんな感じだった、青梗菜等を使う様になったのはずっと後になってからだと思う。
 まずは一口スープを啜るが、とにかく濃厚(笑)、味が濃いだけでなく粘度が高くドロッとしている、胡麻の甘味が強く唐辛子の辛さは抑え目に感じた、ベースになるスープ自体を濃い目に取っているみたいで、誰かがWEB上で「辛くした家系ラーメン」と書いていたが、なかなか的確な言い方だと思った(笑)。
 麺は太めの縮れ麺、担々麺専門店では、汁入り=細麺、汁なし=太麺が定着してきたと思うので、今は汁入りタイプで太麺を使うのは少数派かも知れない。
 主人は担々麺を作りながらも、コンロに乗せた中華鍋で大量の胡麻を煎っている、この胡麻がこの店の味を決めるキーポイントだと思った、材料については結構気を遣い、丁寧に作った担々麺である事は間違いない、だからこそこうしてWEB上で話題になり、支持する客も付いているのだと思う。
 
 ただ個人的な好みを言ってしまうと、全体的に濃過ぎでもう少しキレと云うか、軽やかさがあってもいいと思う、「これが東京を代表する坦々麺か?」と訊かれると、少し答えに窮してしまう、近所にあれば通うけれど、電車賃払ってまで行くかとなると正直微妙か、でも昔のラーメン店は何処もそうだった、電車に乗って行列してラーメンを食べるなどあり得ない話だった(笑)。
 何かの用事で梅島近くまで来たら、寄ってみる価値はあると思う、「決して美人ではないが何故か記憶に残る、素朴ながらも情に熱い」、そんなタイプの店と味に感じた(笑)。
 なお料理には関係ないが、梅島は北野武氏の生まれた街としても知られている。

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 入店時には先客3人だったが、昼休みが近づき次々と客が訪れて、私の退店時にはほぼ満席になった。店主は職人気質で常にマイペースな印象、「有名にしたのは客の方で、自分は何時も普通に作るだけだ」、そんな事を言いたい背中にも見えた(笑)。
 個人飲食店には本当に厳しい時代だが、地元民に支持される店として、これからも続いて欲しいと願う。


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根津美術館「井戸茶碗―戦国武将が憧れたうつわ」展

 南青山の根津美術館で開催中の、「井戸茶碗―戦国武将が憧れたうつわ」展を観に行った。

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 井戸茶碗とは、主に16世紀に朝鮮半島南部で作られた陶製の器で、元は民衆の日常雑器と推測されるが、日本に渡来後に茶人達が抹茶碗として転用、茶の世界では「一井戸、二楽、三唐津」とまで言われる程に珍重された、外に向かって開いた男性的で豪快な形が特徴で、荒い陶土を使って無造作に轆轤を回し成形した作為の無さが感じられる、その他には、
・色は枇杷色と呼ばれるベージュ系かグレー系
・胴部の内外に轆轤あとが残る
・高台が高く、竹の節状になっている
・高台部分の釉薬が縮れ細かい穴が現れている、茶人はこれを「梅花皮(かいらぎ)」と呼び珍重した
 以上の特徴があるが、「竹の節高台」と「梅花皮」については全てある訳ではなく、出ていない類型もある。

 「井戸茶碗」の呼び名については諸説あるが、茶を飲むため茶碗の中を覗き込むと、外見より深く広く感じ、まるで井戸の如くに見えるから、茶人がそう呼んだと云う説が有力らしい。
 室町から桃山時代にかけて日本に渡来し、千利休一門の茶人達が好んで茶事に用いた事から知られる事になる、特に戦国武将達に人気があった、日々戦いに明け暮れた彼等はこの茶碗の詫びた風情、天に向かって開いた形状、孤高な姿に己を重ね合わせたのかも知れない。中でも織田信長は戦勝の褒美として、部下の功労者にこれらの茶碗を与えた、拝領した者は銘を与え家宝として子孫に伝えていく、こうして名碗は現在に伝世する事になる。

 今回の展覧会は、日本各地で伝世され「名碗」となった74点を一堂に展示したもので、前評判も高く実際に見て圧巻だった。井戸茶碗は大きさや色から「大井戸」「小井戸」「青井戸」に分類されるが、眺めていると大井戸は戦国武将、小井戸はその跡継ぎの子、青井戸が奥方達みたいで、これらがまるで「清州会議」の様に、一つの城に大集合した錯覚を覚えた(笑)。
 この中から代表的な名碗を紹介したい、

     131203-2喜左衛門
・大井戸茶碗 銘「喜左衛門」 大徳寺蔵
 井戸茶碗の代名詞にもなっている有名な碗、今回の展示中唯一の「国宝」、口造りは歪んで全体的にも薄汚れているが(笑)、それだからこそ桃山の茶人達の美意識に訴えた、唐物(中国製)茶碗の左右対称の均衡美に対し、左右非対称で不完全な茶碗に美を見出したのだから「価値観の逆転」だ、これを戦国の「下剋上」と結びつけるのも間違いでは無さそう、この茶碗を所有した者は不幸になると云う、オカルト的な謂われがあるのも名品の証拠(笑)。

     131203-3細川
・大井戸茶碗 銘「細川」 畠山記念館蔵
 もし信長公から、全展示品から「一つだけ好きな物を与える」と言われたら、私ならこれか(笑)、男性的な「喜左衛門」に対し、女性的な柔らかい外観と内側の繊細な造りで、見飽きる事が無い。江戸時代の大茶人である松平不味の所有物だった事もあり、愛情を注がれて「育った茶碗」だと云うのがよく判る。

      131203-4有楽
・大井戸茶碗 銘「有楽」 東京国立博物館蔵
 前二碗に比べると地味な外観だが、かつての所有者は信長の実弟である織田有楽斎、時代漫画「へうげもの」の中で名脇役として登場する人物だ(笑)、漫画にも描かれている様に、兄とは対照的な生き方をして、相当なエピキュリアンだったみたいだが、文化人として徳川政権になっても無事生き延びた、江戸城数寄屋橋門近くに屋敷があった事から、現在の「有楽町」はこの人の名前に由来する。

     131203-5柴田
・青井戸茶碗 銘「柴田」 根津美術館蔵
 伝承由来からすれば、この碗に優るものはない、織田信長からの褒賞として家臣の柴田勝家が拝領したとされる。小振りな造りながら姿が大変美しく、所々に青味を帯びた色合いから「青井戸」と呼ばれる茶碗、無骨武将と伝えられる柴田勝家のイメージに合わない気もするが(笑)、所有者と違って乱世を生き延び、今に伝わって歴史の証人になった、この名碗を根津美術館が所有していた事から、今回の展覧会が開催出来たのだと思う。

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 私が行ったのは平日午後だったが結構混んでいた、これだけの量と質の井戸茶碗を、一堂に集める展覧会は暫く無いだろうと思う、器好きで歴史好きの方には是非お勧めしたい。(2013年12月15日まで、東京・青山:根津美術館で開催)
 ※茶碗の画像はWEB上から引用しました。



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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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