最後の晩餐にはまだ早い


秋葉原「ビストロ・ヌー」(2014年1月)

 この日秋葉原で用事があり、その前に寄ったのが、私が去年から注目している店の一つ「ビストロ・ヌー」、そう言っても半年ぶりの訪問になってしまった。
 この日の秋葉原中央通りは、春節が近いせいか、あらゆる場所で中国語が聞こえる、おそらく秋葉原は中国人観光客の東京観光スポットベスト3に入る筈、変な言い方だが、私が中国人なら東京では一番行ってみたい場所だ、それだけ此処は、今の東京の縮図と言っていい位、あらゆるものが存在するカオスな街だ(笑)。

 中央通りは賑やかだが、このビストロ・ヌーがある昌平橋通りは静かな普通の街並、平日昼に目立つのはビジネスマン位で、観光客は殆ど見ない、でもこうした場所に本当の「行くべきスポット」があるのは、パリでも東京でも同じだ(笑)。
 11時半の開店直後に入店したら、既に一組が着席していた、いつもどおりカウンター席に座ったが、前回居たアルバイト女性がおらず、磯貝料理長だけなので、「一人でやっているのですか?」と訊いたら、今ランチタイムは殆ど一人で、夜だけアルバイトに来てもらっているとの事、この日みたいに5割の客入りなら何とか対応可能だが、満席になったらどうするのだろうと、余計な心配をしてしまう、これも今の日本が抱える飲食労働力不足の影響だろうか。
 店内には見事な桜の枝花が活けてあり、厨房の熱で開花し、早くも春が来た(笑)。

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 プリフィクスのランチ(デセール付で1,800円)から選んだのは、

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・スープ・ド・ポワソン

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・自家製パン

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・2008 Marsannsy “Les Echezots”Ballolin &F (グラス980円)
 「昨日開けたら尖っていた」との事だが、酸味が立って好きなタイプの自然派ワイン。

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・大山骨付鶏モモ肉の赤ワイン煮込み

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・ガトー・ショコラ

 魚のスープは一口飲むと、少し生臭みを感じたが、飲み続けると気にならなくなり、この野趣が味を複雑にしている、例えは適当ではないが「美女の腋臭」みたいな印象(笑)、クリーム等を入れて変に洗練させないのがいい。
 メインは黒板メニューを見た瞬間に決めた「コック・オ・ヴァン」、去年、大崎「おはらス」で、同じ大山鶏での料理を体験したので比較したくなり選んだ、これが予想以上にいい出来、煮込み時間やワインの酸味の飛ばし方と利かせ方が適格、「おはらス」ではコクを出すため血を加えているのでは?と思ったが、それが感じられなかった位で、1,800円メニューのメインながら、基本とするものに大きな違いは無いと思った、スープ・ド・ポワソンも「おはらス」のスペシャリテ、小原氏と磯貝氏は年齢なら30歳の開きがあり、フランスで働いた時代は40年違う、それでいて指向するものが似るのは、とても興味深い。 
 ガルニのブロッコリーや蓮根が浅い茹で具合だったので、「フランスでも、同じやり方でしたか?」と思わず訊いてしまったが、料理長は首を振って「これでは、やり直せと云われます」との事(笑)、野菜の火入れに関しては、日本とフランスでは、まだ「越えられない壁」が存在するみたいだ。
 デセールは「ガトー」と云うよりも、「テリーヌ」と呼びたい形状、フランス的に甘さがあって、見かけは地味ながら印象に残る味だった。
 高額レストランでも、美味しいと思えないデリバリーのバゲットや冷凍種パンを使う店もある中で、自家製のパンを焼くのは立派だし、専門店とは違うが充分美味しいものだった。

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 この店を訪れるのは4回目で、失礼ながらランチタイムばかりだが、それでも進化は感じ取れる、訪れる毎に料理は良くなっている。この日の料理は「定番のフランス」だが、こうしたものがしっかりと美味しく作れるのは、古典に学ぶ姿勢と料理センスがあるからだと思う。
 この料理にブルゴーニュの自然派ワインを飲んで、3,000円でお釣りがくるのは申し訳ない位の安さ、これはもっと間を置かずに訪れないといけないと反省(笑)。
 週末は厳しいかも知れないが、その日に思い立って行く事が可能で、高クオリティで低廉価格のありがたいフランス料理店として、「ビストロ・コティディアン」、「ビストロ・アバ」と共に、私の都内3傑に選びたい店だ(笑)。


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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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