最後の晩餐にはまだ早い


発寒中央「ラ・ロッシュ・ベルナール」(2014年札幌食べ続け③)

 札幌二日目の昼に訪れるのは、JR発寒(「はっさむ」と読む)中央駅近くに昨年9月にオープンしたフランス料理「ラ・ロッシュ・ベルナール」。
 この店を知ったのは偶然で、ブログ記事のため仏ブルターニュ産仔牛肉の事をネットで調べていたら店のWEBページに辿り着いた、そして「ラ・ロッシュ・ベルナール‘La Roche Bernard’」の店名でピンと来た、「この料理人は間違いなく、ジャック・トレルの元で働いていた筈だ」そう思った。
 フランス・ブルターニュ地方南部にある小さな町、ラ・ロッシュ・ベルナールの二ツ星(当時)のホテルレストラン「オーベルジュ・ブルトン」を訪れたのは2003年の事、事前情報の少ない店だった事もあり、あまり期待していなかったのだが、ここでカルト注文した骨付き仔牛(コート・ド・ヴォー)の料理が素晴らしかった、シンプルで力強く骨太な料理で、私の「生涯三大肉料理」の一つになっている。ジャック・トレル料理長ともカタコトで話をしたが、「おぬしはキィジニエか?」と訊かれた事を覚えている(笑)その位に日本人は滅多に来ない場所だった。
 そこで働いていた料理人の店なら是非行ってみたいと、今回無理に日程に入れる事にした、初めての土地で迷うといけないと思いランチに訪れたのだが、駅からは判り易い道だった(笑)。

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 店内は思っていたより広く個室まであった、25席位だが結構余裕を持って席配置をしてある、厨房も広いがこの店内を厨房一人サービス一人で対応している。この日は木曜昼だったが満席に近く、予約なしで入店して来た客も居た。
 カウンター席に案内されてメニューを見るが2,000、3,000、5,000円の三種類、初訪問なので3,000円(税込)のものをお願いする事に、料理は以下のとおり。

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・道産リーフ野菜のシーザーサラダ、プロシュート添え

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・南瓜のスープ、コンソメジュレ

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・自家製パン

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・枝幸産帆立貝のポワレ、バジルソース

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・十勝産ポークのコルドンブルー、トリュフソース

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・デザート盛合せ(チーズケーキ、クラシックショコラ、果物)
・コーヒー

 全体の印象を言えば見かけも味も1990年代テイスト、でもこれが堪らなく美味しく(笑)私が好きな料理だ。前菜の「シーザーサラダ」は、最近東京で出て来るみたいな農園野菜に酢と油を塗しただけのものか?と思ったが、予想と違い生ハムで野菜を巻きチーズをかけていて、野菜の質やヴィネグレットの味も申し分ない。
 次の何気ない南瓜スープが大変美味、素材を吟味していて中に加えたコンソメジュレが丁寧、冷製コンソメは酸化して嫌な味になる事もありがちだが、それは全くなかった。帆立貝も小ぶりながら上質な味、これは札幌でも原価高い物だと思う。
 メインは東京ではまずお目にかかれない伝統料理の「コルドンブルー」、本来なら仔牛を使用する料理だが、原価を考えてだろう十勝豚で代用していたが充分美味しく納得出来る味、札幌郊外でこれ程トラディショナル且つまともな料理に出会えるとは思わなかった。
 料理に比べるとデセールは普通の出来だが、まあこの値段でこれ以上望むのは酷だろう。使っている食材の質を考えたらこの料理内容で3,000円は安い。

 満席の店内はマダム一人で対応するので大変そう、それでもあまり客を待たせず料理が出て来るので、この料理人は日本やフランスの厨房で相当修羅場の戦場を潜り抜けて来たと思う(笑)。
 食後、マダムに店主が働いていた「オーベルジュ・ブルトン」に行った事を話すと、既に料理を出し終えて休憩中の料理長を呼んでくれた、スキンヘッドでマッチョな体格の長谷川料理長は一見怖いが(失礼)、話してみると穏やかな口調ながら料理に熱い人だった、「今のフランスの料理は、全くいいと思いません」とこれは私と同じ意見(笑)、その後はジャック・トレルとマダムの話で盛り上がってしまった(笑)。
 「オーベルジュ・ブルトン」で働いていたのは1998年だそうで、多分店の料理が一番いい時期だったのではと思う、そして「フランス黄金の1990年代」だ、あの時代のフランス料理に感化された料理人なら、きっと旨いものを作れる筈だ。確認はしなかったが、働いていた店の地名を店名にしたのは、師の店へのリスペクトからだろう。

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 この発寒という地には今までフランス料理店はなかった、そこへ本格的で真っ当トラディショナルなフランス料理を提供する店を開くのは、相当勇気が必要だったと思う、でもこうして人気店になりつつあるのは、日本の地方も食に関して成熟して来たのかなと思う、これから続いて欲しいと願わずにいられない。
 料理長とマダムの見送りを受けて退店したが、今年40歳と聞くこの料理人の料理は東京では出会えない個性がある、また食べに来てみたいと思った。
 


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西20丁目「リアン」(2014札幌食べ続け②)

 2014年札幌フレンチ食べ続けは、西20丁目にある「リアン‘lien’」から始める事にした。この店は去年食べ続け最後に訪れていて、若い料理人の料理に将来性を感じたので、それが一年経ってどう変わっているか、変わっていないかの確認がしてみたく、今回最初の訪問店にした。
 食仲間とよく話をするのだが、「来て良かった店」と「また訪れたい店」は違うと思う、例えばかつて訪れたフランスの三ツ星店は殆どが前者だった。一方「また来てみたい」と思うのは、今は発展途上でもこれからもっと良くなりそうな可能性を感じる店で、私も以前は「今良さそうな店」ばかり選んでいたが、最近は殆どが後者の若手料理人の店に行く事が多くなった。
 そろそろ自分の残り時間を考え、これからは若い料理人達に「昔のフランス料理はこんなに旨かった」と、嫌味を言える年寄りになった方がいいのではないか、結果それが何かの役に立ちそうな気がしている(笑)。店には迷惑だろうが「出禁グルメ老人」これこそ私が憧れる境地だ(笑)。

 この「リアン」がある界隈の雰囲気は夜になると急に寂しくなる、反面周りが静かなので料理に集中出来る環境とも言えそう、これは東京の繁華街ではなかなか得られないものだ。
 18時半に入店、料理長夫妻に挨拶して昨年と同じカウンター席に座らせてもらった、店の雰囲気は夜という事もあるが少し変わりアダルト感が増した、狭い店内ながら上手く工夫していて落ち着いて食事が楽しめる。
 まずはこの日の料理を紹介したい、主に北海道食材を使用しているとの事だ。

・ハイビスカスとローズヒップティー(画像なし)

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・フォアグラのバターサンド

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・秋刀魚のテリーヌ2014ver.とスモーク、肝と焼茄子のクーリー

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・喜茂別町からの南瓜2種(雪化粧のピュレと素麺南瓜、イカソーメンとキャビア)

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・アナゴとフォアグラのオムニエール、サマートリュフ

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・キノコのコンソメ、パイ包み焼き

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・牡丹海老と蝦夷鮑のフリカッセ 人参と牡丹海老のソース

・白桃のソルベ 生姜のグラニテのアクセント(画像なし)

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・ボーヤファーム仔羊のロニョナード(背肉とロニョン)

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・同 トリップのトマト煮と内蔵のソーシソン

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・栗のシブースト、梨のソルベ

・‘mighty Leaf’のハーブティー‘ORGANIC AFRICAN NECTAR’

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・焼き芋風スイートポテト

 フォアグラサンドは錫製の薄板に包んであり客はそれを広げて食べる、これはなかなか面白いアイディアだ。秋刀魚のテリーヌは去年特に感心した料理だが、今回更にバージョンアップしていた(笑)、身の歯応えを残しクセのある肝を焼き茄子と合わせ柔らかくしソースにすると云う、なかなか完成度の高い一品だった。
 素麺南瓜とイカソーメンは文字どおり洒落(笑)、身の締った道産穴子でフォアグラを巻いた料理は食感と香りがいい、コンソメ料理はボキューズ風、これはコンソメ自体が悪かったら如何しようもない料理になるが、さすがホテル出身だけあって間違えていない、味わい深いコンソメだった。
 次の海老と鮑も道産ならではの食材を生かして秀逸だが、サマートリュフは必要なかったと思う。そして肉料理は今回食べたいと思っていた池田町ボーヤファームの仔羊を二種の料理で提供する、羊は成長して個体が大きくなりシーズンは終わりに近いそうだが、しっかりした肉質を生かす的確な調理で楽しめた、これは北海道が誇れる食材だと思う。
 デセールも季節を先取り、繊細な美味しさだった。

 昼と夜の料理を単純に比べるべきではないと思うが、それでも全体的にクオリティはUPしているし、一皿毎の主張も明確になって来たと感じた。
 和服を着せ刀を脇に差したら坂本龍馬に似ていそうな(笑)木下料理長は1978年生れ、東京なら「フロリレージュ」川手、「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」高橋両料理長とは同世代の料理人だ、作る料理も彼等に共通する若さと才能そして遊び心が感じられる。ただ両人が多人数の厨房で料理を作るのに比べ、この店は一人それも狭い調理スペースなので制約はかなりある筈だ、もし満席になったとしてもこの日の料理クオリティが維持出来れば、更なる人気店になって行くと思う。あえて言えば料理は脱札幌的で東京的洗練さに近いので、これから地元客とどう折り合いをつけていくか、札幌の地域性と自分の個性をどう表現していくのかが課題になると思う。

 ピシッとした髪型と服装できびきびと仕事する明るいマダムの接客には、こちらもつい背筋を伸ばしたくなる(笑)、PARISでも東京でも昔に比べてマダムの存在価値が薄れている気がするが、札幌ではまだレストランには欠かす事の出来ない存在、この後に訪れるどの店でもそれを感じた。 
 此処は「また訪れたい店」だ、出禁客にされるまでは「どう変わって行くか」見届けたいものだ(笑)


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洋食「マーシュ亭」(2014年札幌食べ続け①)

 遅い夏休みを取って向かったのは昨年と同じく札幌、また「食べ続け」の季節がやって来た(笑)。
 朝9時台の成田発LCC搭乗のため、我家を出たのが7時前、普通運賃ながら京成スカイライナーと同じ路線を走るスカイアクセス特急に乗換え出来たので、予想より早く成田空港へ着いてしまった。2月のLCC利用では降雪で出発が遅れ、延々と2時間以上空港内で待たされたが、今回は定刻出発する事が出来た。
 新千歳空港到着は11時半でこれもほぼ定刻。なお飛行機の出発時間とは「飛行機が地上の搭乗位置から動き出した時」で、到着時間とは「飛行機が地上の到着指定位置に停止する時」だそうだ、滑走路が混んでいて離陸まで時間がかかったとしても、動き出す時間が合っていれば「定刻出発」になる(笑)。

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 今回は札幌の友人が途中まで迎えに来てくれる事になり、新千歳のバスターミナルからバスに乗って市内へ向かうが、此処のターミナル風景はまるでヨーロッパみたいな雰囲気だ、この制服のおじさんが写っていなかったら日本国内には見えない(笑)。
 バス降車後車で来た友人と合流し、昼食に向かった先は市内中心部地下鉄「バスセンター前」駅近くにある「マーシュ亭」。以前「丸井今井デパート」内で「ブラッセリーマーシュ」として営業していた店で、私は2年前に訪れている。
http://toshioncle.blog.fc2.com/blog-entry-84.html
 入居していたビルの改築によりテナントを出て移転するのに伴い、これまでのフランス料理から洋食へ方向転換する事にした、店主は色々と葛藤はあったと思うが、小さな店で少ない人数で営業するには「何かを得るためには何かを捨てねばならない」と思ったのだろう、そう決めたからには今後は洋食店として人気になって欲しいし、既になりつつあるとの噂は聞いていた。

 場所は以前ラーメン店舗だったそうだ、カウンターと椅子席で20席位だろうか?料理人1人サービス1人の2名で回す最低限の布陣だ。店内には旧店時代に置いていたと思われるアイテムが飾ってある。

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 ランチメニューは4~5種からの選択になるが、13時過ぎた入店のため定食のメンチカツは既に売り切れ、そこでお願いしたのがハヤシライスでこれにサラダと豚汁?が付いて1,000円(税込)だった。夜のメニューも見せてもらったが、夜は今まで出していたフランス料理のアラカルトも一部提供する、値段は安いと思った。

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 先ず出てきたのが豚汁とサラダ、「ハヤシライスに豚汁?」と疑ってしまったのだが、一口食べてみて納得した、豚肉と野菜の甘みが少し甘めの味噌味に溶け込んでとてもいい、きっとこれは料理人の自信作だから皆に食べてもらいたかったのだと思う。
 そして運ばれて来たのがハヤシライス、見た目は東京の老舗洋食店で出すみたいな真っ黒なものではなく茶色でライトな印象、全体量は多い(笑)。

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 一口食べるとまず玉葱の甘い香り、そこへトマトの酸味が加わって全体的に優しい味、肉や米も結構いい物を使っていると感じた。決して悪い意味でなく家庭的で心和む美味しさ、これならご飯大盛りでもいけたか?と思ったが、途中からお腹一杯になって来た、見た目より量があった(笑)。目の前の人が私以上に早食いなのだが、こうしたものは一気に食べるに限る、何とか完食できた「ご馳走様でした」。

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 食後にコーヒーを飲みたくなったが、ランチタイムでは用意がないとの事で、場所を変えサッポロファクトリーへ向かった。此処は元ビール工場をリニューアルした大型商業施設で、同じサッポロビール資本のせいか、東京恵比寿のガーデンプレイスに少し似ている。この地下1階にある「ムーラン・ド・ギャレット」と云う名の在札幌資本のベーカリーでコーヒー(290円)とリンツァートルテ(310円)を買い、オープンテラスでいただく事にした。

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 ケーキは素朴な味ながら意外と美味しかった、札幌は粉が良質だからか「粉もの系」は大体美味しい。
 これからホテルへ行って一休み、夜から「札幌フレンチ食べ続け」が始まる(笑)、まずは新進気鋭の若手料理人の店からだ。


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最後の白飯

 近所のスーパーへ行ってみると、もう新米(平成26年産米)が売り出されていた、それも九州産ではなく千葉県産、何か昔より一ヶ月位早くなった気がする、品種改良によるものなのか、それとも地球温暖化の影響なのだろうか?(笑)。いずれにしても炊立ての温かい新米が食べられる幸せは何よりも替えがたいもの、私自身も年齢を重ねる毎に米の美味しさへの理解が増している、これは炊飯器が進歩していると云う実質的な面も大きいが(笑)。

 今回はこの「ご飯」の話を。
 現在正式な和食では、料理は一品ずつ出て最後にご版が出る献立が一般的だ、ただ旅館などでは省力化のためなのか、卓上に一度に全ての料理とご飯が出る事がある、特に外国人は後者の場合、「何からどの順番で食べるべきなのか、頭が混乱する」人もいると聞く(笑)。
 この「最後にご飯が出る」献立は歴史的には割と新しいそうだ、正式な茶懐石では最初に炊立ての白飯が出る、更に現在の会席料理の原型になった本膳料理は旅館料理に近く食べ切れない程の料理が並べられた。はっきりとした時期は不明だが、現在のスタイルは明治以降に関西で確立され、それが関東大震災以降に東京に伝達したものではないかと、何かの本で読んだ記憶がある。
 いずれにしても最後のご飯は糖質摂取による満腹感をもたらすので、その意味では「デザート」と似ていると思う(笑)。

 この締めのご飯だが、店によって白飯と炊込み御飯に別れると思う、私自身だと以前は炊込み支持派だったが最近は白飯派に転向した、それだけ身体がシンプルなものを好む様になった、要は歳をとったという事だ(笑)。
 過去に記憶に残り、記録に留めておいた白飯の中から、特に印象的なものを以下に紹介したい。

     140918-1大原
・四谷荒木町「大原」
 先日訪れたばかりの新鋭和食店の白飯、米は新潟出身店主の親戚農家から直接送ってもらうコシヒカリとの事、関西の和食店より少し固めに炊いてあった、店主の話では新潟ではもっと固めに炊き歯応えを楽しむそうだ、鍋は通販で売っているみたいな(笑)黒く丸いご飯用土鍋だった。

     140918-2岩さき
・京都釜座「岩さき」
 京都・烏丸御池近くの正統派人気和食店の白飯、店主の実家が農家をしていて、そこから直接送られる丹波米だったと思う、鍋は一部の土鍋マニア?に知られている、信楽の中川一辺陶(これ凄く高い)の物だった、京都なので炊き方は柔らか目で、二杯目の「おこげ」が特に美味しかった(笑)。

     140918-3本湖月
・大阪道頓堀「本湖月」
 大阪の和食と云えば名前が上がるこの店、訪れたのはかなり前だが画像が残っていた、料理の記憶はあまり残っていないのだが(笑)、ご飯の記憶はある。新潟魚沼産のコシヒカリだったと思う、カウンターではなく座敷だったので和服の仲居さんが給仕してくれて、「元はシチュー鍋です」と云っていた変わった形の土鍋で炊いていた。

        140918-4ゆうの
・大阪西心斎橋「ゆうの」
 これも名前の知られた浪速割烹「喜川」出身の料理人の店、ご飯の盛りが一番上品?な気がする(笑)、此処も魚沼産コシヒカリを使用し、鍋もご飯専用土鍋だったと記憶している。

     140918-5招福楼
・滋賀八日市「招福楼」
 真打登場はこれ、吟味した地元の近江米を小さな銅製の専用釜で炊いていた、味と香り、そして給仕してくれた仲居さんが美人だった事まで鮮やかに覚えている(笑)、先代女将のまったりとした接客も素晴らしかった。やはり「最後の晩餐」はこの店しか考えられない(笑)。

 こうした名店の白飯画像を並べて気付いたが、白いご飯は被写体として実に難しい、特に夜は照明で撥ねてしまい米の粒が表現できない、まだまだ修行が足らない様だ。作家は「女と食べ物が(上手く)書ければ一人前」だそうだが、グルメブロガーは「白飯とリエーブル・ア・ラ・ロワイヤルが上手く撮れれば(書ければ)一人前」なのかも知れない(笑)。



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麻布十番「グリグリ」(2014年9月)

 秋風の便りを聞くと共に、今年も関西から「最強料理人」がやって来る季節になった(笑)。彼とは年に1、2回食卓を囲むのだが、普段なかなか聞けない業界話などを知る事が出来るので毎回楽しみにしている。ただ一つだけ困る事があって、それは店選びを任される事、これがとても難しいのだ。東京の名立たる店は殆ど行っている筈なので、彼が初めて行く事になる店で、料理のクオリティがそれなりに高く、尚且つ重厚長大な彼の料理とは対照的な料理を出す店の方が面白かろうと考えると更に難しくなる。何日か悩んだ末に選んだのが麻布十番のフランス料理「グリグリ」、今回はこの店で決行?する事に決めた。
 私は過去2回訪れていて料理には瞠目すべきものがあったが、何れもランチタイムだったので、ディナーでどんな料理が出るのか楽しみだったし、最強料理人が来るとなると伊藤料理長もかなり本気になる筈と、少々意地悪な期待もあった(笑)。
 折角だからと、食仲間達に呼びかけた処、平日夜にもかかわらず参加表明してくれる人が続々と?現れて、総勢7名での集まりになった、呼びかけ人としては嬉しい限りだ(笑)。

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 現地集合は19時、異業種混合集団でこの日初顔合わせの人もいるが、皆食べる事に関してはオーソリティ、同好の士というものは直ぐに打ち解けられるものだ(笑)。

 まずは伊藤憲料理長が提供するこの日の料理を紹介したい、 

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・アミューズ1(胡麻のギモーヴ、パプリカのサブレと茄子のピュレ、ムールマリネとイカ墨と米のチップス)

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・アミューズ2(サツマイモのムースとオリーブオイル、ピンクペッパーとバラの香り)

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・ホタテとアボガドのタルト、バニラとライムの香り

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・鰻のパイアッソン、ピーマンのジュ、ピマンデスペレッド、レモンの皮、バスク豚のチョリソー

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・鮪とフォアグラ、サマートリュフのロッシーニ、セルバチコのグラス、アーリーレッドのマリネ

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・鮃とシャンパンのエムルジョンソースとキャビア

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・栃木産鳩のコンソメとトリュフと春菊のベルランゴ

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・同じく鳩のロティー、そのジュ ルバーブ、内蔵を詰めた股肉のコンフィ

・(ラクレットのガレット)画像撮り忘れました(笑)。

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・燻製牛乳のアイス ライムの香り

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・マルドン塩を効かせたモンブラン2014バージョン

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・ミニャルディーズ

 料理長は色々と考えてくれて、まず前菜ではこの店のスペシャリテを中心にした構成になった、ホタテとアボガド、鮪とフォアグラは相当自信作なのだろう、WEB上でこの店を紹介されるケースではよく画像が紹介されている。盛付は綺麗で丁寧、味も複雑過ぎず単調にもならない適度な刺激がある。
 鮃はフランス・ヴァランスの三ツ星「ピック」の料理、伊藤料理長はこの店の魚部門にいたので同じ料理(実際には鱸を使う)を作っていたそうだ、これはスペインではなくソースに包まれた紛れもないフランス料理、極めて軽いブールブランと良質な鮃の火入れは見事の一言。
 そして肉料理は2皿仕立て、この鳩を使うつもりでいたが取引先から「在庫がない」と云われ、「今日は大事な客が来る、入れてくれないと困る」と云った処、捕りに行ってくれたそうだ(笑)。フランスの鳩が骨太で妖艶なら、この鳩は柳腰で繊細、一皿目は軽いソース、二皿目はソースなしで味わうが、この淡麗でいながら濃厚さもある鳩の味覚は暫く忘れられないものになりそうだ(笑)。
 デセールはバスクの「エチェバリ」にインスパイアされた薫香のアイスと、2014バージョンになったモンブラン、どちらも秀逸で前回・前々回より良くなっていると感じた。

 一人厨房のフランス料理店は割と利用する方だが、この日の料理は異次元的に精度が高く且つ7人分同時に出しても味やドレッセがブレない、それでいて料理が滞る事無くスムーズに出て来る、同規模店では頭一つ抜けていると感じた。
 そして最も感心したのが「音」だ、私はオープンキッチンに近い側の席に座っていたが、鍋の音や油の爆ぜる音、話し声や時によっては舌打ち、厨房にありがちなこの種のノイズが殆ど聞こえない、これは凄い事だ。おそらく料理人は判った上でオープンキッチンを採用した筈だ、その上で客に不快な思いをさせない様細心の注意を払っている、これは「ピック」「マルティン・ベラサテギ」と云う三ツ星店を2店経験している料理人が、厨房経験で得たものだと推測する。フランス料理に限らず、オープンキッチンを展開している全ての飲食店で見習って欲しい事だと思う。
 サービスを担当するのがマダムで、私はこの方の嫌味のない「癒し系話術」にとても惹かれている(笑)、フランスでサービスの仕事に就いた経験がありながら、控え目で一歩引いた姿勢はとても好感が持てる。

 悩んだ末にこの店を選んで良かったと思う、料理がいいと当然話は弾むもの、オフレコ話が多かったので、ここでは詳しく書けないが(笑)、とにかく濃くて密度の高いディナーになりました。
 料理長ご夫妻、そして参加された皆さん、遅くまでありがとうございました、私は次何処の店で開催しようか今から悩み始めます(笑)。


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亀有「讃岐うどん 菊屋」

 「自宅を改造して飲食店にする」、私自身も興味が無い訳ではなく、今よりもっと若く体力があり、資金も揃えば「やってみたい」と思う事はある(笑)。ところが調べてみると、管轄保健所から営業許可を受けるにはかなり制約があるのを知った。
 例えば東京都の場合は以下のWEBページのとおりだ、
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/eigyounavi/flow/regulation/
 シンクとは別の手洗い場を設け、給水設備や洗浄設備などキッチン改良が必要になる、集合住宅(マンション)で居住空間と同じ場所を利用するのはかなり難しい。
 こうした制約がありながらも、最近自宅(主に一軒家)を改造して店舗にするケースが増えていると感じている、私の地元でも結構見ているので、これは「職住接近」が目的より、高額家賃の東京で自宅とは別の賃料を支払いながら営業を続ける事が難しいのが主な理由だろう。月40万円のテナント代とすれば売上げの理想値はその十倍だから400万円、月25日の営業なら毎日16万円を売り続けるのは、飲食店数が星の数以上?にある東京では困難な話だ。
 それでも飲食店をやってみたい人が、テナント代を節約するために自宅改造店舗を選んだと云う事だろう。

 今回紹介する店もこの自宅改造型で、場所は私の実家がある亀有、業種は手打ち讃岐うどんで「菊屋」と云う店名だ。WEB情報で知ったのだが、去年の11月に開店したばかりなのでまだ1年経っていない、面白そうと惹かれ今回初訪問をしてみた。
 場所は常磐線亀有駅南口から大型のショッピングモール「アリオ」へ向かう道を進み、環七へ出たら左折してすぐ、道を挟んで向かいには香取神社がある。
 環七の歩道には「うどん」と書いたのぼりが立ててあるが、これがなければ間違いなく通り過ぎる、そこから奥へ細い道を進むと右手に一軒家の玄関、「本当に此処?」と不安になるが暖簾が下がっていたので安心する(笑)。

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 玄関は普通の一軒家そのもので、靴を脱いで客席へ入るが、この部屋も通常で云えばリビングルーム、丸テーブル席が3卓で畳席が2卓、これは「知人の家を訪れた」感じそのもの。玄関を挟んで向かいには厨房と云うより見た目では台所がある。

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 WEB上では、「うどん歴30年以上の職人が自宅を改造して開いた店」とあったが、客席を担当する奥様らしき女性も、厨房に見える店主も結構年配だ。

 メニューは、
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・冷たいうどん 

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・温かいうどん

 この中から「鴨だんごせいろ」(880円)を注文する事にした。
 先客が2組いたせいか、うどんが出て来るまでに結構待たされた、奥さんが「お待たせしてすいません」と何回も謝っていたが、この辺りは悪い意味でなく少々アマチュア的印象も受けた(笑)。

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 暫くして運ばれて来たうどん、とても美白で艶もあり美味しそうに見える。

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 画像ではよく見えないが、中に鴨団子の入ったつけツユ

 まずはツユなしでうどんだけを1本食べてみたが、噛み応えあり粉の香りもちゃんとする、これは美味しいうどんだと判った。
 次にツユを付けて食べるがこのツユは少し甘い、多分讃岐の醤油を使用しているのではないかと思う、嫌味のない甘さで味はいい。中に鴨挽肉で作った団子が入っているが、これも丁寧に作ってあり、冷凍を戻して中が冷たいままと云う事も無い(笑)。
 喉越しも良く美味しいうどんなので、食べ終わるのが惜しく「お代わり」したくなった位(笑)、出来るのに時間がかからなければ注文したかも知れない。

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 最後は蕎麦湯ならぬ饂飩湯で締めた(笑)。

 私自身はうどんより蕎麦派で、外でうどんを食べる機会は少ない、そのため評価はあてにならないと思うが、過去に食べたうどんの中では上位に置けると思う、此処はまた行ってみたい、他の客が食べていた温かいうどんやご飯物も美味しそうだった。
 自宅改造店舗はこれからも増えると思う、他にも地元で気になる店があり、このブログでまた紹介したいと思っている。

 

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四谷荒木町「懐石 大原」(2014年8月)

 今年4月に、代々木八幡の秀逸なカウンタースペイン料理「アルドアック」に誘っていただいた尊敬するグルメなご夫妻に、「お返しに何処かお誘いしなければ」とずっと考えていたのだが、何処にしようかと悩んで決まらなかった、それで今年これまで東京で訪れた中で特に「印象に残った店」は何処だろうと考えてみて、真っ先に思い出したのが、1月に訪れた四谷荒木町の和食店「懐石 大原」だった。そうだこの店にしようと決めたのが6月末、それで電話をしてみたら「金曜夜だと最短で8月末、土曜夜だと9月になります」との答えで、思わずのけぞってしまった(笑)。東京の和食店は名前が知られ出すと、需要と供給(提供出来る席数)のバランスが崩れ、すぐに「予約が取れない店」になってしまう、それでも8月末でお願いをしたのだが、私の年齢になると2ヵ月と云うのは意外と早くやって来る、何時の間にか当日を迎える事になった(笑)。

 この日は花の金曜夜、店がある「杉大門通り」や、JR四ツ谷駅から此処へ来るまでに歩いてきた「しんみち通り」も若い人中心に賑わっていた、ただよく見ると人が入っているのは客単価の低そうな店だけ(笑)、神楽坂あたりも同じだが、今は居酒屋より「バル」的な店が人気で、客単価は低くしても回転を早め「質より量」で勝負する店ばかりに見える。その中にあるこの「大原」は、店へ入るまでは雑多で俗な雰囲気だが、一歩店へ入ると心地よい緊張感に包まれる別空間に感じる。
 1月以来だから7か月ぶり、ご主人に挨拶してカウンター席に着くが、麦茶を出してくれたのが奥さん、たしか6月に出産予定と聞いていたのだが、もうお店に出ていた。「お子さんは?」と思ったら、厨房内の隅に寝ていた(笑)。前回来た時はもう一人女性が居たが寿退職?したとの事で大変そう、だからと云ってこの奥様に代る人材を探すのは、今は至難だろう。夫婦二人それも変則営業のため席は全部埋めていないみたいで、それで余計に予約が取り難くなったみたいだ。
 まな板の音を聴いて眠るこの子は、もしかしたら将来大料理人になるかも知れない、いやきっとなる筈だ(笑)。

 この日の料理(9,000円)全品を紹介したい、メモを取っていないので、食材等細部は違っているかも知れません、

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・先付 茄子の煮浸し、胡麻クリーム

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・造り 石鰈、秋刀魚

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・椀物 はも

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・八寸 里芋、ひげそり鯛、もろこ、薩摩芋他

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・焼物 郡上八幡産天然鮎、蓼酢

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・煮物 冬瓜、鱧の子、椎茸

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・酢の物 えのき茸、オクラ

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・御飯 新潟産こしひかり、青海苔の味噌碗、自家製じゃこ・香の物

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・甘味 自家製水ようかん

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・抹茶

 1月訪問時の料理印象は真面目で正攻法、料理人の朴訥な人柄が滲み出ていたが、少し硬さも感じた、それが少し変化している様にも思った。
 正当な和食献立の3番・4番打者は椀物と八寸だろう、料理人が個性を発揮するのもこの二品で、これが詰まらないと如何しようもない料理になる。椀物は前回よりキレと深味が増し、八寸は見栄えが更に良くなって各料理の味も際立っていた。その他の料理も前回の印象と同じく、目白にあった茶懐石の名店「和幸」の衣鉢を継ぐ、正統的でケレン味のないもの、「草・行・楷」で云えば楷書の料理だが、随所に野暮でない洒脱さを感じた。
 料理人は父親になった、これは料理に影響していると思う、カウンターでの話の応対も柔らかくなったし、態度にもある種の自信が感じられる、これは大事な点だ。
 
 和食は上を見たらキリがない、献立が2万3万円する店は幾つもあるし、使う食材や食器によって如何様にも出来る自由さ、言い方を変えれば「いい加減さ」がある(笑)。「大原」の料理も高額家賃の銀座で人を雇って高価な器で出せば、この値段(9,000円)の倍払っても無理かも知れない(笑)。
 この店は本質がわかるベテラングルメにこそお勧めしたい店、ベタベタな接客や人を驚かす料理技法はないが、姿勢を正したくなる気品と上質さ、それでいて親しい人の家に招かれたような、心和む温かさがある。

 店を出る時に「今日は美味しかった」と思う店はそれなりにあるが、「今日、素敵な人達に逢えた」こう思える店は少ない。いくら料理が旨くても厨房での怒号が聞こえて来る様な店では決して楽しめない、此処は少しでもいい時間を提供しようとする夫妻の気構えが感じ取れる店、「料理は人」だなとあらためて思う。
 料理長ご夫妻、おかげで素敵な夜になりました、また伺わせてもらいます。
 

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神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(2014年8月)

 2011年12月から始めたこのブログだが、最初の頃はアクセス数も悲惨な状態で見る気も起きなかった(笑)、「どうせ誰も読んでいないだろう」と、レストランレポでも適当な料理名を書いていたが、それが最近ではアクセス数も増え、特に料理人やグルメブロガー、調理師学校の先生など料理業界の方が多く読まれているみたいなので、ありがたい反面「迂闊な事は書けない」と毎回緊張する事しきりだ(笑)。
 このブログがきっかけとなって食仲間も出来、実際にレストランでテーブルを同席する機会も増えた、私は元来人見知りが激しく出不精な人間なので、ブログやSNSをやっていなかったら、多分「孤独のグルメ」だったと思う(笑)、その点ではブログをやっていて良かったと思うし、「継続は力なり」の言葉を思い知った。

 今回も私のブログがきっかけで知己になった関西在住のグルメな方が東京に来る事になり、「何処かでディナーをご一緒しましょう」との話になったのだが、「東京では何処へ行きたいですか?」と訊いた処、神楽坂のフランス料理店「オー・トレーズ・ジュイエ」の名前が出た、私のブログを読んで興味を惹かれたそうで、やはりベテラングルメはしっかり見ている、店が有名か否かはあまり気にせず本質だけが見える人はいるのだ。関西でも知られた在京有名店ではなく、この店や山谷の「アルテ」へ行きたいと言われると、「おぬし、出来るな」と私も嬉しくなる(笑)。
 さっそく予約時佐藤料理長に「大事なお客さんなので、相当気合を入れる様に」と脅かし、「ブルターニュ産仔牛が食べたいのだけれど・・」と、これは私の無理な希望を伝えてしまった(笑)、以前に池尻大橋「オギノ」でこの仔牛を食べ、佐藤料理長ならどんな料理にするか興味があり頼んだのだが、嫌な注文を無理して揃えてくれた、まずはそれを含めて当日の料理から、

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・稲藁で燻したスモークサーモン、スイカの皮と黒胡椒のジャム、コンテチーズ、パパイヤのクーリ

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・真イカと鶏肉のインヴォルティーニ、枝豆&バルサミコのメレンゲ

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・冬瓜の冷たいスープ、茄子のキャビア、松の実

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・イナダ、鶏レバー、インカのめざめのマルミタコ

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・金目鯛と白貝のカルツォーネ

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・ブルターニュ産仔牛ロース、カシスオレンジのソース、ガルバンゾのピューレ

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・ピナコラーダ

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・メロンとプラリネ、レモンケーキ

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・焼ホワイトチョコ、冷凍デラウェア
・アンフィージョン

 ノルウェー産サーモンは店で稲藁を使ってスモーク、上にはコンテチーズでスイカジャムの甘味が面白い。「インヴォルティーニ」は本来イタリアの煮込料理だが上手く前菜に変化させている、冬瓜は和食の椀物みたいな印象、「マルミタコ」は元はスペインの鮪料理で、それを鯔(イナダ)とキタアカリを使ってフランス風に優しい料理にしている、金目鯛の料理もイタリア的だが、上質な食材と的確な調理が感じられた。
 そして問題の仔牛だが、この火入れは「オギノ」より本場ブルターニュの「オーベルジュ・ブルトン」で食べた仔牛に近く、割と強めに入れたもの、この方が仔牛の特徴が生きる気がする。料理長が「パルメザンチーズみたいな匂いがします」と云ったが、そのとおり濃厚な乳の香りが感じられた。
 デセールは無難な出来で、安心して美味しいと思えるものだった。

 面白かったのが隣席の年配女性客二人、料理長との会話が聞こえてしまったのだが、福岡から上京して日本橋にある超高級ホテルに宿泊、タクシーでこの店に来たそうだ。「美味しい、この店に来て良かった」と二人で話していたが、私は思わず「どうしてこの店を知ったのですか?」と訊きたい衝動を抑えていた(笑)。日本橋から銀座にかけては星の数ほど飲食店があるが、あえてそれを外して、まだマスコミへの露出度の少ないこの店に来た理由が知りたかった、まさか「このブログで知りました」ではないと思うのだが(笑)。
 この店初訪問の友人の感想を聞いたが、「全体に甘味をアクセントにしている、一皿の量はもう少し食べたいなと思わせる処で次の料理になるので、なかなかいい食後感を残す。粗削りな部分もあるが、この値段でこれだけの料理を出すのは立派、料理とワインとの相性を真剣に考えているし、いい店を紹介してもらった。」とのお褒めの言葉をいただいたので、案内役の私も安心した(笑)。
 私自身も、以前よリ料理から余計な物が取れシンプルになって、本質がよく見えるようになったと感じた。

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 佐藤料理長、我儘な注文に対応していただきありがとうございました、この次は何をお願いしようかと今から考えていますので、その時は宜しく願います(笑)。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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