最後の晩餐にはまだ早い


牛込神楽坂「ラ・ビチュード」

 知人と会う約束があり、この日のランチタイムに向かったのは、神楽坂にある、と云ってもかなり外れていて市ヶ谷に近いが、プリフィクス・メニューのフランス料理店「ラ・ビチュード」。
 1993年開業のこの店、私は15年位前に夜一度訪れている、その時の料理は全く記憶に残っていないが、その後行っていなかったのは、あまり良い印象ではなかったかも知れない(笑)。
 それが何故この日行ってみる気になったかと云うと、現在の料理長が書いているブログをたまたま読む機会があったからだ、
http://lhabitude.exblog.jp/
 毎日は無理としても、ブログ更新と云う過酷な?作業をそれも料理人をしながら続けているのは、同じブロガーとして尊敬と云うより同情してしまう(笑)。それと共に例の「食べログ」上でも、この店の書き込みに対し、一つ一つ丁寧に回答しているのは偉いと思った、
http://tabelog.com/tokyo/A1309/A130905/13000404/
 店を任されていた料理人が前オーナーから営業権を譲り受け、現在は完全に独立したオーナーシェフになったみたいだが、それもあってこの人の料理を食べてみたいと思っていた、WEBページ上で自ら「東京で一番敷居が低い、フランス料理店」と云っているのも興味を惹かれた。この日にやっと予約が出来たのだが「12時50分からの開始なら可能です」との事で、遅めのスタートになった。

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 15年経っても見覚えがあった濃いブルーのファサード、大久保通りから引っ込んでいる入口も昔のままだ、ドアを開けたら12名の団体がビジネスランチ?中だった、このオペレーションの関係で遅い時間を指定されたと思う。

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 座る席を案内されてメニューを渡されるが、事前情報どおりにランチは3種類で、席予約の場合は税込1,620円(前菜+メイン+デセール&コーヒー)、2,268円(前者に温前菜プラス)のどちらか、前菜、メイン、デセールどれも5~6種類から選択できる。2,268円の方でお願いする事にして、悩みながら選んだ料理は以下のとおり、

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・ワラサのカルパッチョ、サラダ仕立て

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・温かいブーダンノワール、イチゴのソース

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・仔羊ハンバーグのロースト

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・2層のガトーショコラ、エスプレッソソース

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・エスプレッソ

 まずは最初のカルパッチョを一口食べて「この料理人は仕事出来る」と感じた、新鮮なワラサをそぎ切りし、柑橘の香りのするヴィネグレットで和え、サニーレタスを添えた皿だが、こうした単純な料理程食材と調理の質が問われるものだ、これは文句なし。続いてテリーヌ状のブーダンノワールは、コクはそれ程ないが血の香りと味がちゃんと感じられるし、イチゴとの相性がとても面白い。
 そして肉料理の仔羊ハンバーグもこの値段だから端肉を使った物だが、しっかり羊肉の香りと味がして「旨い」と声を挙げたくなる、ガルニの大きく切った野菜の扱いもいい。デザートは値段高騰中のチョコレートをたっぷり使い、ガトーショコラ上にチョコレートムースを乗せたもの、飲物はエスプレッソを選んでも同料金だ(笑)。
 全体的に判り易くやさしい味付けで、フレンチ初心者からベテランまで十分楽しめるクオリティだと思う。
 
 グラスワインを加えても一人3千円、これは驚くべきキャリテ・プリだ、メニュー2,268円なら原価はせいぜい800円以下で作らないと儲けは出ない筈だが、これは間違いなくもっとかかっている。見ると厨房には料理長の他にもう一人、店内サービスに一人、この二人の人件費も出さないといけない。おそらく内装や設備の減価償却が終わっているからこの価格が維持出来るのだろう、それでもギリギリの線だと想像する。
 私がこうしたプリフィクススタイルの店によく行っていたのは1990年代で、護国寺にあった「パ・マル・レストラン」等が懐かしい、当時に比べるとこの種の店は激減してしまったが、雑司ヶ谷の「オー・ボン・コワン」同様、新世代の料理人がしっかり伝統を守っていると思った、フランス料理はもっと日常のものであっていい筈、そして自分の食べる料理を選ぶのは楽しいものだ、食材ロスを考えると厳しい面があると思うが、これからも頑張って欲しいと願わずにいられない

 レストランにお洒落な内装やベタなサービス等を求める人には向かないが、財布が痛まない価格で真っ当なフランス料理を味わいたいなら此処はお勧めしたい店、私自身もまた来てみたいと思った。
 

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「北海道開拓の村」(2014札幌食べ続け・番外編)

 食レポートではないが、「札幌食べ続け」の最後に今回唯一観光的な事をした「北海道開拓の村」訪問記を書いておきたい、予想以上に面白い場所だったので、札幌グルメ旅の途中に寄ってみる価値はあると思う。此処がどう云う施設であるかは、当地で貰ったパンフレットの紹介文を一部以下に写させてもらう。
『北海道開拓の村は、明治から昭和初期にかけて建築された北海道各地の建造物を、54.2ヘクタールの敷地に移築復元・再現した野外博物館です。ここを訪れる人たちに開拓当時の生活を体験的に理解してもらうことと、文化の流れを示す建造物を保存し、後世に永く伝えることを目的に1983年4月に開村しました。』
 愛知県犬山の「明治村」、東京小金井の「江戸東京たてもの園」と同じく、建物をテーマにした屋外博物館だ。
 開拓の村へのアクセスは、公共交通機関だと地下鉄東西線「新さっぽろ」駅で下車、JRバス「開拓の村」行で15分程、絵画と違い建物を並べるとなると広い場所が必要になるので、どうしても郊外になってしまう、昨年訪れた野外美術を並べた「札幌芸術の森」は40ヘクタールだから、あれより更に一回り大きい。
 空いている時間を狙って、平日の開村(9時)直後に着くように行ったが、この日は雨が降ったり止んだりする天気で、結果早足で回ってしまった(笑)、天気が良ければゆっくり見る事をお勧めしたい。

 特に印象に残った建物の画像を紹介したい、

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・旧札幌停車場(明治41年/札幌)
 施設管理棟と入場受付(大人830円)がある、旧札幌駅舎を縮小復元した建物

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・旧開拓使札幌本庁舎(明治6年/札幌)
 村内で一番目立つ建物、白と緑の塗装によるコントラストが鮮やか、これも復元施設

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・旧三〼川本そば屋(明治42年/小樽)
 小樽では有名な蕎麦屋だったみたいだ、大きな料亭位の貫録がある、これ以降は移築施設。

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・旧山本理髪店(大正後期/札幌)
 大正モダンな和洋折衷の木造建築、中には理髪中の客(人形)がいた(笑)。

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・旧札幌警察署南一条巡査派出所(明治44年)
 小さいが個人的に好きな建物、東京にも残っている明治の赤色レンガ造り、何処か外国風だ。

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・旧島歌郵便局(明治35年/せたな)
 これも個人的にハマった建物(笑)、函館と札幌の中間位にある島歌の町にあった郵便局、局舎と云うより個人住宅みたいな雰囲気だ。

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・人形(妙にリアリティがある)
 建物の到る所にこうした当時の服装をした人形を配置している、これがちょっと横溝正史的で、急に現れるのでドキリとする(笑)。

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・旧信濃神社(明治30年/札幌)
 これも横溝正史に出て来そうな神社(笑)、長野県諏訪出身者が開拓した土地に建てられたのでこの名を付けたそうだ。

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・旧近藤染舗(大正2年/旭川)
 今は見なくなったが昔は染物商が町には必ずあった、この建物は旭川で一番古い染物店の店舗兼住宅。

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・旧有島武郎住宅(明治30年頃/札幌)
 作家有島武郎が札幌に住んで居た時代の住居、北海道は木材が豊富なので、こうした下見板張りの木造建築が殆どだった。

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・旧青山家漁家住宅(大正8年/小樽)
 小樽沿岸が鰊漁で栄えていた時代の通称「鰊御殿」、この豪壮な建物外観は立派だが中は空間が多いので、相当寒かっただろうなと想像してしまう(笑)。

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・馬車鉄道
 お疲れ様です(笑)、積雪する冬場は橇曳きになるそうだ。

 以上の建物を含めて全52棟が展示されている、建築好きには興味が尽きない場所だし、建築に興味が無くても緑の中で建物を見ながら歩くのは、心身へのリフレッシュ効果があると思う(笑)。
 伝えられる処によると、この施設は財政難から存続が危惧されているそうだが、こうした歴史的文化施設は是非続けてもらいたいものだ、これから増える外国人観光客にもアピールする要素は充分あると思った。
 「2014札幌食べ続け」は今回で終了します。


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札幌・西17丁目「餅菓子商 白谷」(2014札幌食べ続け⑧)

 「バンケット」での豪勢なランチ後に、皆で札幌医大付属病院近くを歩いていたら、先を行く友人が「大福を売っている」と叫んだ(笑)、見ると目の前に和菓子販売らしき小さな店舗がある、札幌はファサードに駐車スペースを設けている店が多く、入口が奥に引っ込んでいるので気付かないと通り過ぎてしまう。友人の「入ってみましょう」との言葉に誘われ思わず入店してしまった、店の名前は「餅菓子商 白谷(しろや)」。

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 この場所は病院に来る人を想定しているのか飲食店が数店在る、和菓子店の2階は「喜香庵」と云う界隈では知られた蕎麦屋で、2年前に利用したがなかなか美味しい蕎麦だった記憶がある、その時もこの店はあった筈だが気が付かなかった。
 入ってみると意外に奥に広く喫茶スペースもある、左側に菓子類を並べた小さなガラスケース、見ると大福専門店という訳ではなく、通常の和菓子店で売っている「みたらし団子」みたいな物もあった、販売をしている若い男性が店主みたいだ。
 頭の中は既に大福モードだったので此処は「黒豆大福」(130円)を買い、店内で食べる事にする。

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 店奥の喫茶スペースは6席、特にお茶を注文しなくてもいいが、「抹茶150円」の文字を見て、思わず「安い」と頼んでしまった、大福と抹茶で合計280円は格安、スターバックスならコーヒー小1杯の値段だ(笑)。
 喫茶スペースの横には作業場が見えるが、どうやら店主一人で菓子の制作と販売、更にはお茶まで淹れている。

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 棚には抹茶碗や小物類、誰だか不明だが店を訪れた著名人?の色紙もある。物の配置等を見ると、この店主なかなかの美意識の持主、決して高価な物ばかり並べているのではなく、選んだ人間のセンスの良さが感じられるアイテム達だ。

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 先ずは大福からいただくが、形は小さめで外側の皮の部分は柔らかくしっとりとしている、中の餡は北海道産の小豆を使っているみたいで甘さを控えて上品、これなら2~3個位いけそうだ(笑)。

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 続いて店主が運んで来たのが抹茶、私は茶碗については「井戸だ、唐津だ」と薀蓄を語るのは好きなのだが、肝心の茶の作法については習った事はなく不案内だ、それなのでこの抹茶がどの程度の茶葉で、点て方が上手なのかどうかは語れないが、甘さを抑えたこの大福に合う軽やかで苦味が少ない飲み易さだった。使った茶碗も高価な物ではないと思うが、シンプルで趣味のいい器だ。

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 フランス料理店で食事後の中年?男子二人が、対面で大福と抹茶をいただくと云う、珍しくもあまり見たくない昼下がりの光景だが(笑)、美味しくて心豊かになれる時間になった、繰り返すがこれで280円は安い。
 東京のコーヒーショップは騒がしく、今コピー機でコピーしましたと云う感じの安手な絵を飾り、どうも落ち着く空間ではない、特に最近は殆どの席でスマホやタブレット端末を操作している人ばかりなのも気になる、そうかと云って土地代&賃料の高い東京で大福+抹茶を280円で提供し、長時間粘る客が居たらもう赤字必至で長く続かないが(笑)。
 こんな洒落た店がさりげなく存在する事自体、札幌が魅力を有した文化都市である証だと思う、また寄ってみたい店だ。

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 話は札幌のフランス料理に戻るが、今回訪問した4店、何処も個性的で面白かった。毎回札幌フレンチのレベルの高さには感心するが、今年はそれに加えて若い料理人達が、自分達の料理方向について模索しているなと云う印象も受けた。世界の流行に乗ろうとすると料理はグローバルになり、東京料理との差異がなくなる、それを札幌でやる意味があるのかどうか?一方「ガラパゴス的」と云っては失礼だが、1990年代のフランス料理を地道に継承して行こうとする料理人もいる。地元客を対象にするのか道外のグルメ達にも来て欲しいのか、料理人として何処へ向かうべきなのか、彼等も悩んでいるみたいに感じた。
 でも悩む事はいい事だ、「我思う、故に我あり」はデカルト先生の名言だが、料理人は「我思う、故に我の料理あり」であって欲しいものだ(笑)。
 今年訪れた店が次回変わっているのか変わっていないのか、新たな才能が出現しているのか、帰ったばかりだが次回の札幌訪問を今から楽しみにしている。


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札幌・西18丁目「バンケット」(2014札幌食べ続け⑦)

 札幌最後のフランス料理店は、これも定番となった西18丁目にある「バンケット」へ、去年に続いての訪問となった。
 この日は札幌の友人2人が参加してくれる事になり、尚且つ店には旧知の若杉料理長と元気君が居るので、行く前から実に賑やかなランチ会になる予感がした(笑)。
 早目に着いてしまったので、店の近くを散歩していたら不覚にも道に迷ってしまった(笑)、この辺りは住宅地で目印になる建物が無いので焦る、道路にあった珍しい黄色い消火栓に見覚えがあり、店のある通りが判って一安心。近くに若い人達が行列を作っていたので「何事?」と思ったら、去年開店したパンケーキ専門店だった。あとで友人に訊いたら、札幌は現在パンケーキブームらしい、東京の流行が1年遅れてやって来たそうだ(笑)。

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 予約時間の12時に入店したが既に2組が食事開始していた、迎えてくれた元気君に挨拶し、去年と同じく奥のシェフズテーブルに案内される、この日はマダムも店内サービスを担当していた、私は過去2回この店を利用したがいずれも夜だったのでマダムとお会いするのは初めて、とても柔らかい雰囲気の方でソムリエールも兼ねているし、ミニャルディーズ等も作っているそうだ。
 この日は予約時に無理を言って、前週まで提供していた「8周年記念メニュー」(8,800円)をお願いしたのだが、料理長からは「若干内容が変わってしまうかも知れませんが、ご用意します」との事で、大変楽しみにしていた。
 友人達と乾杯して豪華ランチがスタートしたが、まずはその料理を紹介したい、 

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・アンチョビバターを挟んだチーズのサブレ

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・自家製ブリオッシュとトリュフバター

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・釧路産サンマ・テリーヌプロヴァンサル、バジルのソース

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・余市産甘エビのラヴィオリ、モンサンミシェルのムール貝添え

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・フォアグラのポワレ・ポルト酒のソース、とうもろこし「ゴールドラッシュ」のクレープ

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・スコットランド産オマールブルー・ミッシェルゲラールへのオマージュ、人参のピュレ添え

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・十勝産牛フィレ肉の炭焼き、南芽部産の昆布のリゾット

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・ヴァンショーのクレープ、ブルターニュ産塩のアイス
・杉屋珈琲・バンケットオリジナルブレンド

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・ミニャルディーズ

 8周年記念と云う事で、若杉料理長の「これまで」を総括したメニューだと思った、フォアグラ料理は今無きパリの名店「ヴィヴァロワ」の、オマール料理は南西地方の三ツ星店「ミッシェル・ゲラール」の、彼が働いていたそれぞれの店のスペシャリテだ。前菜のラヴィオリは先日この店で料理フェアを開催した、東京目黒のイタリア料理店「ラッセ」にインスパイアされた料理、もう一つの前菜である秋刀魚のテリーヌはプロヴァンスより北欧調的な印象に感じた、そうすると牛フィレ料理は「北海道における現在の自分」の表現だろうか?
 こう書くと何かバラバラなメニュー構成みたいな気もするが、実際に料理を体験してみると不思議に統一感がある、その理由はどの料理に対しても形だけの模倣でない、リスペクトする精神が感じられるからではないかと思った。
 フランス料理店でオマールや牛フィレを注文する事は暫くない、特にこの日みたいなオマールの半身料理は、2003年のブルターニュ旅行時以来なので実に11年ぶり(笑)、でも久しぶりに味わってみて十分美味しいと思ったし、十勝牛も味わい深い一品で昆布のリゾットが面白いマッチングだった。食材に「初心者向けだから」と、偏見を持つのは何よりいけない事だ(笑)、美味しい物はやはり普遍的に美味しい。
 料理全体の印象を云うと、「古典への尊敬心を持ちながらも、その先にあるものは何なのか見つけようとする探求心」こんな感じを受けた。

 客席20に対して厨房4人、サービス2人とかなり手厚い体制、マダムの他にもう一人新規参入した若い男性が客席を担当するが、去年まで東京で働いていたそうで、なかなかスキルのあるサービスマンだと見た、人材難のサービス界で今後が楽しみだ。
 店全体に活気があるし、料理も含めてベクトルが良い方向へ向かっているなと感じる、これから5年後10年後にどう変わっているか、期待していい店だと思う。
 延々と男子会?で喋っていたが、濃い話が続いて何時の間にか3時間が過ぎていた(笑)。最後は皆で記念撮影、若杉料理長と元気君に見送られ再会を期して店を後にした、とても楽しい午後になりました、ご一緒出来ました皆様ありがとうございました。

 さあ荷物を預けたホテルへ寄って東京へ帰ろうと思っていたら、先を歩くダイエット中の筈だった友人が、ある店の前に出ていたノボリ旗に「大福」の文字を発見、「大福食べませんか?」と振って来た(笑)、それで何を間違えたのか、フレンチの後に大福を食べると云う愚行?に及んだのだが、この話は長くなりそうなので次回のブログ記事にしたい(笑)。


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札幌・西18丁目「プロヴァンサル・キムラ」(2014年札幌食べ続け⑥)

 「札幌のフランス料理店は何処がいいの?」、こう訊かれたとしたらとても返事に困る、「いい店」と云うのは各自の嗜好や経験値で変わる相対的なもので、十人居れば十のいい店があって当然の筈だ。そして札幌のフランス料理は平均レベルが高く、各店間の力量もそう離れていない、つまり4割打者級の突出した店は無いと感じているので、「オーナー料理人の店で、ネット上での評判がいい5店へ行ってみなさい、その中には自分の好みに合った1店は必ずある筈」、こんな言い方しか出来ない。でも質問を変えて「あなたが札幌で一番好きなフランス料理店は何処ですか?」こう訊かれたとしたら、今の私なら「それはプロヴァンサル・キムラ」と答えると思う(笑)。
 「札幌食べ続け」最後の夜に訪れるのは、私にとって定番となったその西18丁目にあるフランス料理「プロヴァンサル・キムラ」へ、この店を外す訳にはいかない。

 「何故この店が好きなのか?」と問われたら、北の地である札幌で日本人が食べて美味しいと思える正統的南仏料理を提供し続けている事に加え、サービスを担当するマダムと料理長の素敵な夫妻のおもてなしに、いつも「この店へ来て良かった」と、実家へ帰ったみたいな安心感を覚えるからだ、大阪の「びすとろぽたじぇ」が「大阪の我家」なら、この店は「札幌の我家」と呼びたい場所だ(笑)。
 この夜は札幌在住の若い友人が同行してくれる事になり、18時半に近代美術館近くの見慣れた黄色いテントの店に到着、ドアを開けたら既に満席に近い盛況で、この活気ある雰囲気と賑わいはフランス料理店には何よりのBGMだ(笑)。
 マダムに挨拶して着席、ディナーが始まるが、料理長おまかせでお願いした料理をまず紹介したい、

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・アミューズ(ボーヤファーム仔羊のトリップ、枝豆とトウモロコシ&黒オリーブのカナッペ)

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・牡丹海老のマリネ、赤ピーマンソース、紅しぐれと蕪のサラダ、いくら添え

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・昆布森産ムール貝とホタテ貝のフリカッセ、無農薬人参のフォンダン、オレンジ風味

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・ソイのポワレ、烏賊とゲソ、ズッキーニのラビオリ、無農薬トマトのソース

・紫蘇のグラニテ

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・滝川産合鴨スノーホワイトチェリバレーのロースト、山ブドウのソース、林檎のソテー添え

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・ミニトマトのコンポート、蜂蜜風味

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・ガトーマロン、カカオのアイスクリーム添え

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・ミニャルディーズ

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・フランス産デトックスティー

 料理全体の印象を云うと、以前は脇役だった野菜が主役級になり、全体的に料理の厚みが増して立体的になった印象を受けた、寒冷地である北海道の食材を使用して南仏プロヴァンスを彷彿とさせる料理を作るのは、考えてみればかなり難しい事だ、料理人は過去に相当葛藤もあったと思う、それでも今回の料理を体験してみて、何か迷いが吹っ切れたみたいな爽快さを感じた。
 前菜2種は海老と貝が主役だが、それを喰ってしまうかの様な濃い野菜の味で印象深い皿になっている。道産ソイと烏賊の皿は無農薬トマトのソースによって見た目も味も鮮烈な印象、そして肉料理の滝川産合鴨は去年札幌の別の店で初めて食べたが、とても美味しい鴨肉で個人的にはシャラン鴨よりこちらを好む、それを的確な火入れと酸味のある山ぶどうソースにより一層美味しさが際立っていた。
 そしてデセールはフランス的に甘味がしっかりとして美味しいのが、この店の特徴だ。

 木村浩料理長は1968年生れ、フランスでは1990年代に主に南仏で働いていた、あの「黄金の1990年代」だ、実際に料理を体験してみると、本当にいい時代のフランスの料理が身に付けていると感じる、そして日本へ帰って来てから料理が変に日本的変容をしていない、これは大事な点だ。レストラン界に魑魅魍魎がうごめく東京や大阪で働かなかったのが、結果として良かったのではないか?とも感じている(笑)。

 店内サービスを担当するのはマダム、バレリーナみたいな軽やかさと笑顔で満員のテーブルを回る、料理の間には各席で話しかけて「料理を待つストレス」を客に感じさせない様気遣っている、最近の東京でこれだけ活気あるマダムがいたかな?と思いを巡らせたら、8月に利用した駒込の「レザントレ・コウジイガラシ・オゥ・レギューム」のマダムに似ていると思った、あそこの料理長も控え目な渋いイケメンタイプなので、このコンビも同じだ(笑)。
 食後、他の客が帰った後に木村料理長と遅くまで話し込んでしまった、彼が修行時代に一緒に働いた、元「タイユヴァン」料理長のミッシェル・デル・ブルゴの皿割り事件等、実に貴重な?話を聞かせてもらった(笑)。

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 美味しくて忘れ難い楽しい夜になりました、木村料理長夫妻遅くまでお付き合いありがとうございました、また「プロヴァンサル・キムラに帰る」ために、必ず札幌に来たいと思います(笑)。


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札幌・西15丁目「あら政」(2014札幌食べ続け⑤)

 札幌三日目は、市内東部の厚別町にある「北海道開拓の村」まで行く事にした、空いているのを狙って朝9時の開村直後に到着し、途中何度か雨に降られながらも施設を一周する事が出来た、此処はなかなか面白い場所だったので、札幌レストランレポートの最後にブログ記事にしたいと思う。
 昼食は施設併設の食堂へ行くつもりでいたが、ちょうど新札幌駅へ向かうバスが発車する時間だった、この次の便は30分後のため、札幌中心へ戻ってから昼にしようと予定を変更する事に。
 バスの中でまた「俺の胃袋は今、何を食いたいのだろう?」状態になったが、この日はどういう訳か寿司が食べたかった、昨夜はあまり食べたくなかったのに勝手なものだ(笑)。札幌の寿司屋と云えば、過去には円山の超高級店やススキノの有名店も訪れた事がありそれなりに美味しかったが、去年行った大通近くの某店はハズレだった(笑)。今回の札幌行程を考えていた時に「もし時間があれば行こう」と候補にしていた店があり、それが札幌在住の友人に教えてもらい、数年前に訪れ値段と質のバランスが良かった西15丁目にある「あら政」だった、「そうだ、あそこならハズレないだろう」と行ってみる事に決めた。

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 店の場所は市内繁華街からは離れていて、一番近いのは市電の西線6条停留所だが、地下鉄だと西18丁目駅から15分程歩く事になる、元々観光客が来る店ではなく、地元客を対象にしていて出前もやっているし、寿司だけでなく鰻まで扱っている。
 予約はしていなかったが、平日昼と云う事もあり問題なくカウンター席に座れた。昼は750円の「ちらし」からあるが、せっかく数年ぶりに訪れたからと、通常メニューから「にぎり」のそれも特上(3,240円)をお願いすると云う、大盤振る舞い?に出た(笑)。

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 東京から来たのと以前にこの店を訪れた事を話したら、「北海道らしい寿司を握ります」と十貫握ってくれた。

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・後列左から
 (鯛、鮪トロ、帆立貝、牡丹海老、北寄貝)
・前列
 (蝦蛄、赤貝、蝦夷鮑、雲丹軍艦、いくら軍艦)

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・あら汁

 この店は明朗会計で店内に握り寿司の価格表示がある、それによると殆どが1貫4~500円の握りでそれが10貫3,240円だからお得だと云える、ただ個人的には値段が安くても秋刀魚等の青魚(光り物)があった方が良かった、どうやら普段は回転寿司店で安い皿しか選ばない「貧乏気質」が身に付いてしまっているみたいだ(笑)。

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 この店の寿司の特徴は形が大き目、特に酢飯(シャリ)の部分が大きい、店のWEBページでは「寿司はシャリが命、当店の寿司飯は新潟県の岩船産を使用しています」とあったが、それがよくわかる美味しい寿司飯だった。寿司種で特に印象に残ったのは蝦夷鮑、牡丹海老、北寄貝で、水温が冷たいからか札幌の近海食材は身が締まって独特の歯応えがあり美味だ。
 あら汁も何気ない物だが、薄味ながら身に浸みて行く、札幌の食べ物全般に云えるのは、濃度自体は濃いのだが塩分は東京より少なく、関西的な味付けに近いのではないかと感じる。

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 ご馳走様でした。東京では回転寿司店中心で高額な寿司屋にはまず行かないので、恥ずかしながら「寿司は美味しい」とあらためて思う(笑)。
 年齢を重ねて一日昼夜2回のフランス料理は正直きつくなった、「昼はしっかり重かったので、夜は軽く食べたい」と云う時に、札幌は寿司、ラーメン、スープカレーに蕎麦と、沢山選択肢があるのが嬉しい。フランスだとなかなかこうはいかないし、「折角フランスまで来たのだから」と昼夜頑張ってしまい、胃薬を飲み続けながら旅する事になる(笑)。

 札幌で食事するのは残り2店になったが、どちらもフランス料理で既に複数回訪れている店だ、料理人は相当気合を入れて挑んで来る筈なので、こちらも斃れないよう最後のスパートだ(笑)。
 


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札幌・東本願寺前「らーめん五丈原本店」(2014札幌食べ続け④)

 札幌二日目の夜は元々ノープランで、ホテルの部屋で井之頭五郎みたいに、「俺の胃袋は今、何を食いたいのだろう?」と暫し悩む状態だった(笑)。
 昼間はフランス料理だったのでヨコメシよりタテメシだろうと思い、札幌の友人から勧められた寿司屋に行く事も考えたが、この日は寿司よりもっと汁気のある物が食べたくなり、「そうすると蕎麦かスープカレーかな?」と思いを巡らせる。ホテルから歩いて行ける範囲には、以前に訪れたそれなりの蕎麦屋やスープカレー屋がある、でも急遽「今日はラーメンだ!」と閃いて?方針変更、何事も当初の予定どおりに行かないのが人生だ(笑)。

 札幌でラーメンを食べるならこの店を外す訳にはいかないのが、繁華街ススキノの外れ、東本願寺前にある「ら~めん五丈原本店」、歩くには距離があるが、それでもカロリー消費のため30分程歩いて行く事にした。
 店へ向かう途中、金髪&ミニスカートの綺麗なお姉さん(日本人だと思う)に遭遇、どうやらこの近くに住んでいて、歩いてススキノへ出勤するみたいだ(笑)、昔なら「アザミ嬢のララバイ」でも口ずさむ処だが、今はずっとドライな雰囲気で、せいぜい少女時代の歌が似合いそうだ(笑)。

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 この東本願寺前はタクシーの溜り場になっていて、休憩中の運転手が五丈原にもやって来る。インターネットが一般的になる前は、「旨いラーメン屋はタクシー運転手に聞け」と云われていた時代があった、若い人達にはもう有史以前の話だろうけど(笑)。
 入店時には幸い席待ちの行列は無かったが、券売機の前に立って「何にしよう」と一瞬迷う、過去この店では「とんしお」か「みそ」どちらかの注文だった。前回(2年前)は新作の「牛肉麺」で、今回は今までこの店では食べていなかった「しょうゆ」(680円)に決めた、前回時より30円値上がっていたが、諸物価高騰する中でこれは良心的だ、「チャーシューおにぎり」も食べたい誘惑にかられたが、ここはぐっと我慢した(笑)。

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 カウンター席に置いてある箸は前回割り箸と再利用可なプラスチック箸の併用だったが、今回は全てプラスチック箸に替わっていた、これは賛否両論あるみたいだが、個人的には賛成したい。
 カウンター内は体格が良く元気な店員が2人、やっぱりラーメン屋はこれでないといけない、喋りも遠慮したくなるお通夜みたいな雰囲気はどうも苦手だ(笑)。食券を出したら「脂多目か少な目か選べますが?」との事で、少な目でお願いした、さすがにこの歳では背脂系は苦手になってきている(笑)。

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 細麺を使うためか、割と早目の待ち時間で出てきたのが醤油ラーメン、まずは一口スープを飲むが、豚骨ベースのコクのある味だが脂はあまりしつこくない、具は大きめのチャーシュー(煮豚)2枚とメンマ、白ネギに加えて大きな海苔が乗るのが特徴、最近は東京のラーメン屋でも海苔が付く店は少なくなった。
 札幌なので全体的に味はコッテリしているが、不思議としつこさが無いので箸が進む、昔なら大盛りいや2杯はいけたかも知れない(笑)。此処のラーメンは本店以外でも何回も食べている、各地で行われる物産展に出店するからだが、そこで食べる印象とは少し違い味のグレードは一段高い、特に麺の鮮度が生きていると感じた、山岡士郎ではないが「ワインと豆腐とラーメンの麺は旅をさせてはいけない」のかも知れない(笑)。
 ちょっと驚いたのが私の隣席に座った仕事帰りに見えるスーツ姿の若い女性、一人でビールとラーメンを注文し、手酌で(当たり前ですね)ビールを注いで旨そうに飲み、次いでラーメンを一気に食べた、その格好良さに思わず見とれてしまった(笑)。

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 醤油ラーメン美味しかったです、ご馳走様でした。札幌のラーメン店は過当競争から何処も客の取り合いで大変みたいだが、この味がコンスタントに出せているなら店に付いている客は浮気しない筈だ、ラーメンフリークとして半世紀?を過ごした私が言うのだから間違いない(笑)。
 以前にもブログに書いたと思うが、客単価1万超えの高級店がピラミッドの天辺だとしたら、こうした客単価千円以下の店はピラミッドの底辺、でも底辺がしっかりしていないとピラミッドは崩れる、札幌の食が優れているのはこの土台の強さだと思う。

 食後はまたホテルまで歩いて帰ったが、札幌は電線の地中化が進んでいるせいか、街並みが脱日本的でヨーロッパの街みたいな雰囲気、いつまでも歩いていたい、そんな想いにかられてしまう、もちろん若い恋人達ならもっと素敵な夜になる筈だ(笑)。


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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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