最後の晩餐にはまだ早い


麻布十番「グリグリ」(2014年11月)

 この日のランチは、9月初めに超グルメメンバーを集めたディナー以来の、麻布十番のフランス料理「グリグリ」で、内輪の祝い事をするために集まった。私以外はこの店初訪問で且つフランス食旅行から帰ってきたばかりのメンバーもいたので、彼等がこの店の実力をどう評価するかの楽しみ?もあった。
 朝から晴れ渡った絶好のランチ日和(笑)の中、地下鉄麻布十番駅から商店街を歩いて六本木方面へ向かう、この道は神楽坂通りと似ているが、観光地化と云う点では一歩遅れている様に見える、これはつい最近まで麻布十番に地下鉄が通っていなかったのでアクセスが悪く、それがために昔ながらの商店街の雰囲気が残ったからだと思う。
 現在は南北線と大江戸線が開通し、更には近くに六本木ヒルズが開業した事により人の流れが変わり外国人も増加、国際都市東京を代表する街の一つになりつつある。

 お馴染みになった正面壁が緑に覆われたビルの2階、昼間なので明るい陽光が店内に差して夜とは違う雰囲気だ、例えば「フロリレージュ」は窓が無い事もあって、昼夜の印象はそう変わらないが、この店は昼と夜で雰囲気が違うのが面白い、フランス・ローヌやスペイン・バスク等太陽光の強い地方で働いていた伊藤料理長の料理イメージには、昼の方が合っている様な気もする。

     141129-1.jpg

 いつもどおりの癒し感漂う穏やかな口調のマダムに挨拶して着席、この日料理長のおまかせで出してもらったランチメニューは以下のとおり、

     141129-2.jpg
・アミューズ(イカ墨と米のチップ&白イカ、カカウェットのギモーブ、エルブドプロヴァンスのサブレ&ラルドコロンナータ)

        141129-3.jpg
・サツマイモのムース、薔薇とピンクペッパーの香り

        141129-4.jpg
・シャンパンで蒸した北海道昆布森の牡蠣と帆立とジロール茸、シャンピニョンのコンソメ

     141129-5.jpg
・ラングスティーヌのビスクとエストラゴン、バターナッツのベルランゴ(ラヴィオリ)

        141129-6.jpg
・ヒラスズキのヴァプール、ソースアルベール・レジェ

        141129-7.jpg
・オーストラリア産仔羊のロティ、ジュ、蕎麦の実と海藻バター

        141129-8.jpg
・ブールショコラのショーフロワ

     141129-9.jpg
・ショコラマカロン

        141129-10.jpg
・エスプレッソドゥーブル

 この店を初めて利用した時は、ランチ時でも同じテーブル内で前菜二種とメイン料理が全て違った、3人で行けば3×3で9種類料理が出たが、この日は全て同じもので、私達のテーブルだけでなく隣のテーブルも同様だったので、提供の仕方を変えたと思われる、前のやり方も面白かったが、どちらかと云えば面白がる事が出来るベテランングルメ向けなので、一般的なのはこちらの出し方だろう。
 アミューズの見た目の面白さと変化ある食感は毎回に同じ。牡蠣と帆立は丁寧に取られ滋味溢れるコンソメがポイントで、日本の秋冬を代表する貝類が引き立っている。続くビスクとヒラスズキの皿は「これがフランス料理だよ」との料理長からのメッセージにも受け取った(笑)。
 肉料理はオーストラリア産の仔羊、現在南半球は春なので季節物だ、フィレ身に羊脂を巻きローストする事によって、直火のダメージを和らげると共に脂の香りを移す技法、火入れが悪いと脂の嫌味が残る可能性あるが、さすが経験値のある料理人だけあって、見事なキュイッソンだった、「ブルターニュ」を意識したソースもジュの旨さを感じさせ、オーストラリア仔羊を見直す程のいい料理だ(笑)。
 デセールは価格高騰中のチョコレートを多用したもの、ドーム状に作ったチョコレートをホットチョコレートで溶かして壊す、濃さの中にも軽やかさがあって美味。ミニャルディーズのマカロンもショコラ味、これランスのマカロン風で巨大だ(笑)。

 私はこの店の初訪問が去年の8月で、以来4回目になるが料理は少しずつ変わって来たと感じている、全体にシンプルになりソースを重視したフランス的、それもスペインや日本や北欧の影響が少なかった時代の、軽さに逃げないフランス料理のいい部分を受け継いでいると思う。
 書店で立読みした料理専門誌に伊藤憲料理長の記事があったが、フランスの「ピック」とスペインの「マルティン・ベラサテギ」の三ツ星2店で働いた経験はあるが、自分のオリジン、目指す処はあくまでもフランス料理だと語っていた、それが十分理解できる料理だった。
 この店を利用した食仲間が「野菜が少ないのでは?」と言っていたが、野菜が食べたかったら野菜料理専門店へ行けばいい(笑)、生野菜をそのまま皿盛りにする様な料理は料理長が出したくないのだろう、個性の一つとして認めていいと思う。

 素敵な料理で優雅で充実した午後になった、伊藤料理長夫妻ありがとうございました、フランス帰りの人達も「この料理を出せるなら、PARISでもやって行ける」と、満足して帰りました(笑)。


スポンサーサイト
  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0

銀座「TOSA DINING おきゃく」

 東京・銀座一丁目、それも外堀通りに面したビル内と云う超一等地にある「まるごと高知」は、高知県の名産品等を販売するアンテナショップだ。この界隈は隣に沖縄県、更には通りを挟んだ向かいにある交通会館内には、北海道・大阪・滋賀の同種店舗があるので、銀座の中の「アンテナショップ銀座」と云えそうだ(笑)。
 この「まるごと高知」の2階に入っているのが「TOSA DINING おきゃく」で、WEBページ上では「伝統の土佐料理を基本におきながら、高知県の食材を使い和洋にとらわれない料理を楽しんでいただけるレストランです」と紹介している。
 此処の料理が銀座の中では割とリーズナブルで美味しいとの評判は聞いていたのだが、偶然にも厨房で働いている料理人と知己になる事が出来て、この日ランチタイムに初めて伺う事になった。

        141125-1.jpg

     141125-2.jpg

 建物の1階は高知県の名産・特産品を販売するショップで、地下では酒類や工芸品を販売している。2階へはエレベーターを使って昇るが、どうややこれは当初から同一テナントを想定した造りではないと見た(笑)。
 エレベーターを降りると目の前が厨房、ガラス(アクリル)張りになっていて中が見えるが、オープンキッチンにしないのは「鰹のタタキ」等で煙が結構出るからだろう。

     141125-3.jpg

 客席は思ったより広く40席位だろうか、この日は平日昼の13時過ぎだったが、結構席は埋まっていた、席に案内されてランチメニューを選ぶ。昼は定食的なものが殆どだが、一品料理も「鰹のタタキ」等少し揃えている。定食内容はなかなか魅力的でどれにしようか迷う(笑)、「本日の定食」が「土佐あかうし」を使ったものだったが、残念ながら売り切れ、そこで以前から食べてみたいと思っていた「とろ~り!はちきん地鶏の親子丼」(1,000円)と「藁焼きカツオの塩たたき」(1,650円)をお願いする事にした。
 見ると目の前の席には外国人客、器用に箸を使って天ぷらを食べている、ランチメニューは1,000~1,400円なので銀座にしては溜息の出る値段ではない(笑)、割とゆったり出来そうだし、銀座のランチ場所としては穴場かも知れない。
 割と早目の待ち時間で出てきたのが、

     141125-4.jpg

     141125-5.jpg
・はちきん地鶏の親子丼(丼と云うより鉢)

        141125-6.jpg
・藁焼きカツオの塩たたき

 「はちきん」とは「男勝りの女性」を表す土佐弁で、品種改良で出来た三元種の鶏にこの名前を付けたそうだ、階下のショップでも精肉は売っていたが結構いい値段だった。「とろ~り」とあるから、もっとグズグズに柔らかい玉子とじを予想したが、ちゃんと玉子に火は通っている、問題の鶏肉は堅くなく適度な肉質、肉自体に味があって噛んで美味しい、脂も少なめで筋肉質な体型か?羨ましい(笑)。葱は玉葱を使用、あまり煮過ぎてなくて玉葱の香りを残す作り方だ、東京の親子丼の有名店ではもっと全体的に味が濃い、一口目は旨くても最後になると飽きてくる、この親子丼はそれに比べると薄味で最後まで美味しく食べられる、ご飯も四国米みたいでやや固めに炊いたご飯が丼にいい相性だ。この丼には小鉢とサラダに味噌汁(おかわり可)、少量だがデザートも付いているので税込1,000円はお得だと思う。

 値段を見た時は「ちょっと高いかな?」とも思った「藁焼きカツオの塩たたき」は食べて納得、他店ではなかなか味わえない肉質の鰹身は、的確な火入れによって更に旨味を増している、ポン酢仕立てと塩味仕立てが選べるが、鰹そのものの肉味を味わうなら「塩たたき」の方が向いているのでは?使用している薬味類の質もいい。 
 親子丼と鰹で2,650円はランチとしては高めだが、内容と銀座と云う場所を考えれば十分納得できるもの、美味しかったです。

     141125-7.jpg

 帰りは機嫌良くなって、階下のショップで「万能おかず生姜」(324円)と「生姜はちみつ」(510円)まで買ってしまった(笑)。
 なおこのショップも2階のダイニングも年中無休、銀座でランチ処を探しているならお勧め出来る、また夜だと皿鉢料理や土佐あかうし等の一品料理も豊富みたいなので、再訪してみたいなと思った。
 運が良ければショップに色紙が貼ってあった、広末涼子や西原理恵子みたいな高知出身の有名人に会える?かも知れない(笑)


  1. [ edit ]
  2. 日本料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0

南千住「パスティチェリア・バール・アルテ」(2014年11月)※現在ランチ営業はしていません。

 亀有のイタリア料理店「ティア・ブランカ」へ行った後は、同じ下町イタリアン繋がりで南千住(山谷)の「パスティチェリア・バール・アルテ」にも行ってみたくなった(笑)、私は基本的にイタリア料理よりフランス料理派だが、住んでいる城北地区にはフランス料理店は希少で、バルみたいな店はあっても夜だけ営業が殆どだ、それなので家から近くてランチタイムのヨコメシとなるとイタリア料理店へ行く事になる、行くからには「なんちゃってイタリアン」では困るから(笑)、本格的な店となるとやはりこの「アルテ」しかない。
 いつもどおり地下鉄日比谷線南千住駅で降りる、「地下鉄」だけれど南千住近辺では高架上を走るので文字どおり「降りる」事になる(笑)、スカイツリー方向に向かって歩くが、毎度の事ながら泪橋交差点の辺りは外国人が多い、1泊2~3,000円代の格安ホテルが点在しているからで、最近は英語表記の看板も出ている。円安のため世界中から観光客がやって来る現在の東京だが、日本人があまり「安全地帯」と思わない山谷界隈でも、世界の中では結構安全な街に見えるみたいだ、実際に歩いても今は特に心配のないエリア、でも午前中から怪しげなスナックが営業していて、大声張り上げカラオケをやっているのは「普通」ではないかも知れないが(笑)。

 12時少し前に店に到着しテーブル席に座るが、この日は女性客にデザートが増える「レディーズ・デイ」だったせいか、この後女性中心に来客が続きテーブル席は殆ど埋まった。
 奥様からメニューを渡されるが、後から出て来た相越料理長から「宜しかったら、おまかせでお出ししますが」との提案で、それでお願いする事にした(笑)。
 出てきたのは以下の料理、

 
     141121-1.jpg
・自家製カポコッロ(プーリア州の豚首肉のハム)とサルシッチャ

        141121-2.jpg
・秋刀魚のベッカフィーコ

        141121-3.jpg
・牛スジのペポーゾのストランゴッツィ

     141121-4.jpg
・カポネット(イタリア風ロールキャベツ)

        141121-5.jpg
・ドルチェミスト(チョコレートのポネ、ティラミス、カスタニャッチョ)

        141121-6.jpg
・エスプレッソ

 まず料理の色からして玄人向け(笑)、茶色ばっかりで日本人がイメージするイタリア料理とは相当違う。トマトの赤、ルッコラやイタリアンパセリの緑、パスタやモッツァレラの白を並べトリコローレにして、上からオリーブオイルを垂らし「イタリアンの一丁上がり」と思っている日本人は今でもいる(笑)、そんな事を思っている人達にまず見せて食べさせたい料理だ。
 「カポコッロ」はプーリア特産の豚首肉の生ハム、料理人は文献から学び自家製で作るのだがこれが独特の歯応えで、股肉のハムより旨いのでは?と思った(笑)。次の「ベッカフィーコ」は本来鰯で作るシチリア料理だが、旬の秋刀魚を使って作る、秋刀魚の脂と香りが食欲を刺激する。
 そしてこの店一番の魅力は低廉なランチでも生パスタが味わえる事で、この日はウンブリア州のロングパスタ、卵黄を使わないタイプだがやはり饂飩とは一味違う(笑)。肉料理は「イタリア風ロールキャベツ」の名前からトマト味の煮込みを連想したが、予想とは違いスープ(ブロード)で煮たもの、北部ピエモンテ州の料理で地味な外観ながら実に滋味深い(笑)。
 ドルチェが美味しいのは、元々ケーキ店のこの店なら納得。

 失礼ながら全体的に地味でビジュアル的には冴えないが、その分食べてみてとにかく旨いとしか言い様がない、「~地方料理」に拘らず、イタリアの各地方料理の良い所取りをしているが、日本で食べるのなら地方性やオリジンにあまり拘らなくてもいいのではと、私などはアバウトに考えてしまうのだ(笑)。
 腰の整体治療がこの後に控えていたので、アルコール類は止めてナポリの炭酸水で通していたが、ワイン好きな人ならこの料理の美味しさはきっと判る筈だ、そしてドルチェ好きな人にも勿論お勧めしたい(笑)。

     141121-7.jpg

 文化啓蒙にしても宗教の布教活動にしても、それがその地に根付いて初めて「文化」や「宗教」と呼ばれる、一代で廃れたら「昔、変な奴がいたな」で終わってしまう(笑)、山谷と云う辺境の地?で、これだけ直球勝負で骨太なイタリア料理が食べられる事を、他の人にももっと知って欲しいし、私自身も定期的に通いたいなと思っている(笑)。
 最近始めたイタリア惣菜の販売も好調との事、下町のイタリア食文化発信地として、続いて欲しい店だ。



  1. [ edit ]
  2. イタリア料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0

亀有「ティア・ブランカ」(2014年11月)

 このブログを始めた2011年は、3月11日に未曾有の災害である東日本大震災が起きたが、意外にもこの年に開業したレストランが多い。このブログで取り上げている店では、「オー・トレーズ・ジュイエ」「ビストロ・ヌー」「ビストロ・コティディアン」「ピアッティ・カステリーナ」等で、その翌年の2012年では「シック・プッテートル」「グリグリ」「懐石大原」「リアン(札幌)」が開業している。
 実際には震災の影響と云うより、2008年に起きたリーマン・ショック後の外食不況で、旧態然なスタイルを続けていたレストランが閉店になり、それに代わって次の世代の料理人達が登場して来たと云うのが現実だと思う、でも後世振り返ってみて「あの震災年は世代交代の年だった」と云う事になるのかも知れない。

        141117-1.jpg

 この日ランチに訪れた、亀有のイタリア料理店「ティア・ブランカ」も2011年11月の開店だ。
 過去にも書いたが亀有は私の実家があり20年以上を暮らした街、昭和時代の亀有は戦時中軍需工場にもなった日立の大きな工場があり、どこか荒んだ雰囲気の労働者の街で、イタリア料理店が出現するとは考えもつかない事だった。
 平成以降に進んだ街の再開発は一応成功したように見える、特に昼間の人通りが多くなり、労働者の街から人が活動する街になった、人が増えれば外食店に需要が生まれるが、それまでの労働者相手の一杯飲み屋は廃れて、若い人達をターゲットにした飲食店が誕生する、この店もその流れで必然的に誕生したと思う、そして人気店になった。

 訪れるのは7月以来だったので、私の姿を見た福島料理長からは「久しぶりですね~」と言われてしまった、両耳にピアス、ラテン系のノリは相変わらずだ(笑)。11時半の開店直後に入店したのだが、既に6人のママ友?団体と2人客が着席、その後も女性達がやって来て12時前には満席に、相変わらず繁盛している。
 ランチメニューは2種類で、Aが一品料理でBがパスタだが、以前Aは肉か魚かを選べたが、今はどちらかになってしまいこれはちょっと残念、この日は魚だったので、Bのパスタ3種の中から選んだ、出た料理は以下のとおり、

     141117-2.jpg
・豆と野菜のミネストローネスープ

        141117-3.jpg
・パンにオリーブオイル

     141117-4.jpg
・アンティパスト(白いんげん豆のサラダ、ナスのカポナータ、豚肉のパテ)

        141117-5.jpg
・ルッコラと生ハムのパスタ

     141117-6.jpg
・パンナコッタとコーヒー

 これで税込1,300円、「亀有ランチ」では高額な部類だが、まともなイタリア料理店でスープ・前菜・パスタ・ドルチェにコーヒーでこの値段なら格安だと思う、ランチタイムは女性達が押し寄せるのもそれが理由だろう、彼女達は食べ物の値段には実にシビアだ(笑)。
 以前に比べると、アンティパストの定番だったスペイン風オムレツがランチでは出なくなり、ドルチェも小さくなった気がするが、これは原材料高騰中の現状を思うと仕方ない事か、サービスの女性が一人加わったので彼女の人件費も出さないといけない(笑)。その分パスタは豪快、ベーコンを沢山炒めてそこへスパゲッティーを加え、最後にルッコラと生ハムを「これでもか」と乗せていた(笑)、この料理人は前にも感じたが「ちまちまとした事」は嫌いみたいで、要はラテン系なのだ(笑)。

 「石の上にも三年」と云うが、これは「冷たい石も三年座り続ければ、暖かくなる」との意味からで、どんなに苦しくても大変でも、じっと辛抱すれば必ず報われると云う日本人が好きな「おしん」的発想(笑)、でも今の東京で新規開業した飲食店が三年続けば、一応成功と云っていいのではないか?それだけ開店→閉店→開店のサイクルが早くなっている気がする。
 逆に開店三年経って客足が伸びず、店の方向も定まらないのなら、もう現在の営業形態を考え直した方がいい、今の客は遅咲きする花を待ってくれない、それだけ厳しい時代だ。
 この店は下町亀有で花を咲かせたと思う、イタリア料理店では同じ「亀」の字が付く亀戸の「メゼババ」が話題になっているが、これから東京で開業を考えているのなら下町が狙い目だ(笑)。

     141117-7.jpg

 店の前の路地に住み付いた人気猫も健在だった、この猫本当に人間を恐がらない、「ティア・ブランカ」へ行く事があったら探してみてください(笑)。


  1. [ edit ]
  2. イタリア料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0

神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(2014年10月)

 フランス帰りの知人から、お土産を渡したいから昼間の時間で何処か場所をセッティングしてくれとの依頼があった、何の事は無い要は「行って来た自慢」をしたいらしい(笑)。私も2009年を最後にフランスへ行っていないので、直近の料理傾向がどうなのか興味あり、真面目に店探しをする事にしたのだが、結局はこのブログでお馴染みの、神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」でお願いする事になった。
 佐藤料理長に「(料理に)うるさい人間と一緒なので、予算は問わないから?フロリレージュに匹敵する位の料理を出して欲しい」と、また無理難題をふっかけた(笑)。

 最近東京のフランス料理店では、平日ランチタイム縮小の方向にあると感じている、有料ドリンクを飲む客が少なく身入りの悪い昼間は店を閉め、その分夜から店によっては深夜の時間帯まで営業し、客単価UPに期待しようと云う「戦略」を取る店が多くなった、東京の高額テナントや原材料高騰の現状を考えると仕方の無い事だとは思うが、写真が綺麗に撮れ、且つ概ね夜に比べて低予算で済むランチは、ブロガーにとっては魅力が大きいので、続けている店は応援したいなと思う(笑)。

 この日、佐藤料理長が考えてくれた特別メニューは以下の通り、

     141113-1.jpg
・キャベツのスープ、牡蠣のポシェ

        141113-2.jpg
・ビーツのモザイクとサンマ、ケールの落ち葉

     141113-3.jpg
・自家製フォカッチャ

        141113-4.jpg
・長ネギとマダコのエチュベ、春菊のアリゴ

     141113-5.jpg
・秋のフルーツのフリカッセ、フォアグラのアイスパウダー

        141113-6.jpg
・鰈のムニエル、イタリア産栗のヴルーテ、ローズマリーの香り

     141113-7.jpg
・ペルドロールージュとフォワグラのキエフ、その腿とブルガー小麦のリゾット、トリュフソース

     141113-8.jpg
・熊とコルニションのアリュメット

        141113-9.jpg
・温かい人参のケーキ、早生みかんのパルフェグラス

 個々の料理を説明すると、アミューズとして出たスープは、キャベツの風味が牡蠣と舞茸をうまく引き立てている、次のサンマとビーツは面白い組合せで、青魚特有の風味にビーツが意外な相性を見せる、葱と蛸は「おでん」みたいな和的なものを感じさせ日本人が好きな味だ。
 フォアグラ料理は新機軸、フルーツをソテーしてパコジェットでパウダー状にしたフォアグラをかけながら食べる、これは面白い、そしてアイデア倒れにならずにちゃんと料理として完結している、この日一番印象深い皿だった。
 料理長得意の魚料理はオーソドックスな手法だが、イタリア産の栗がいいアクセントになっていた。
 ペルドロー(山鶉)の料理はキエフ風カツレツのスタイル、ガルニにトルコ料理で使われるブルグールを使ったのはいいアイデアだ。
 そして「おまけ」に出してくれたのが「熊」(笑)、狩猟を趣味にしている人が撃ったものだそうだが、初体験の味で野性味とはまさにこれ、上手く表現出来ないので「熊の味」だったと言っておく(笑)。なお「アリュメット(allumette)」とはマッチ棒の事で、この大きさに切る事を呼ぶ。
 デセールもなかなか良かった、特に人参のケーキが秀逸。

 この店も開店3周年を迎え、過去には施設面でのトラブルもあったが、ここへ来て料理人がやりたい事がハッキリ形になって来たのかなとの印象を受けた。私は開店当初から知っている訳ではないが、それでも料理は変わって来たと思う、神楽坂の客層と嗜好、それに自分の料理をシンクロさせる事に迷いがなくなった気がする、皿上からも余計な物が少なくなった、これは「フロリレージュ」の記事にも書いたが、ある種の自信の現れにも感じる、全般的にいい料理だった。
 現在人材不足から、ランチタイムは料理人一人で全て対応しているが、客数を絞っている事もあり、料理は滞りなく出て来る。今はそれなりのサービススタッフを雇うにはそれなりの出費が必要だ、人を雇った経費は当然料理価格に反映する、客はサービス面には目を瞑ってリーズナブルさを求めるか、相応のお金を払ってでも丁寧なサービスといい環境での食事を望むのか、二者択一しないといけない時代になったと思う、原宿の高級レストランを利用した後だっただけに、余計それを感じた。
 スマイルは0円かも知れないが、スマイルをしてくれる人は0円では雇えない(笑)、良質なサービスを得るには対価が必要なのだと云う事を、日本人はもっと理解しないといけないと思う。

        141113-10.jpg

 今のフランスの料理傾向にあまり魅力を感じていなかったので、もうフランスへ行く事は無いかなと思っていたが、現地の話を聞き特に日本人料理人の活躍を知るにつれ、久し振りに行きたいなと思い始めている、でも現在の円安&ユーロ高は何とかならないものか(笑)。


  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0

原宿「KEISUKE MATSUSHMA」

 フレンチの食前酒代わりに饂飩を飲む?と云う、恐るべき「関西食べ歩き界のドン」(笑)が弾丸往復で東京に来る事になり、日曜日のランチをご一緒しませんかとのお誘いを受けた、場所は原宿・東郷神社近くにある「KEISUKE MATSUSHMA」、この店は最近まで「レストラン・アイ」を名乗っていたが、7月に仏ニースの本店と同じ名前に変更したばかり、新しいビル内、70席の大キャパシティ、ウェディング等のバンケット対応と、夫婦二人で営んでいるみたいな小規模店が好きな私がまず選ばないタイプの店(笑)。正直言って始めはあまり気乗りしなかったのだが、実質的な料理長(松嶋氏は総料理長の扱い)は1980年と気が遠くなる位に若く(笑)、且つ鎌倉野菜に惚れ込み、生産者の現場に何度も出向いているとの情報を得て、俄然興味が湧いてきた。
 今年「ビストロ・コティディアン」でご一緒した在京料理人も同行してくれる事になったが、この方もフレンチの前菜?にラーメンを食べる胃袋の持主なので(笑)、「今日、生きて帰れるのだろうか?」との不安を抱えながら、原宿の物凄い人混みの中を店まで歩く事に。

 東郷神社で骨董市が開かれていた頃は、この辺りよく歩いていたが、暫く来ない内に様変わりしてしまった。新しいビルが建ち、更にその横には別の新しいビルが建築中、道を歩く人達から聞こえるのは英語に仏語に中国語、判別不能な言語も混じってまさにカオス状態。「群衆は孤独者の家郷である」と云ったボードレールにこの光景を見せたら、前言を取り消すだろうと思う(笑)。
 店は原宿警察署に隣接する16階建ビルの1階で階上は住居になっている。このビルエリア内は緑多く静かな場所、店前のウッドデッキを歩いていると、さっきまでの原宿の喧騒とは別世界だ。
 ランチタイム一番乗りで入店、窓際奥の席に案内されるが、窓外には木々の緑が眺められ、此処が東京都心とは思えない上質なロケーションだ。

     141109-1.jpg

 着席したら早速料理長の今橋氏が挨拶に来た、この日はニースから松嶋総料理長も来ていて、時折客席にも顔を出し常連客と話しをしていた。
 この日の料理は同席した料理人の計らいで特別に誂えてもらったもの、以下に全品を紹介したい、
  
        141109-2.jpg
・栗に模した栗のクロケット

        141109-3.jpg
・ヴァニラ風味の洋梨を纏った冷製フォアグラ

     141109-4.jpg
・鎌倉野菜 レモングラス風味のアンショワイヤード

     141109-5.jpg
・長野産天然キノコのフリカッセ、トリュフの香りのサバイヨン

     141109-6.jpg
・甘鯛のウロコ付きフリット 、ウイキョウのフォンダン、 ハーブソース

        141109-7.jpg
・ ペルドローのロースト、腿肉とキャベツのパイ包み

     141109-8.jpg
・カボチャのニョッキ入りカボチャのスープ、 シェーブルチーズのグラス

        141109-9.jpg
・赤い果実のタルティーヌ、ホワイトチョコレートのムースとシャルトリューズの香りのグラス

     141109-10.jpg
・ジンジャービスケットとブランマンジェ、エスプレッソ

 料理は日本的に細部まで行き届いたミニアチュール的繊細さに、南仏の風と香りが加わった印象。
 個々の料理では栗と洋梨の皿は外国人が喜びそうな「見立て手法」、こうした物は食べて美味しくないとアイデア倒れになりがちだが、見た目美しく食べても十分美味しい。キノコのフリカッセは優れた食材を生かした特に印象深いもの、甘鯛もウロコの香ばしさと日本風なソースがいい相性を感じる、ペルドローもポーションは日本サイズながら繊細な肉質が特徴的な美味しさだった。
 デセールも秀逸、WEBページによるとパティシェール(女性)みたいだが、なかなか才能のある人だと思った。
 サービススタッフも数と質が揃っていて快適に過ごせる、慢性的人材不足の東京の外食業界で優秀な人間を集めるには、この店みたいに知名度があり給料や福利厚生等の待遇が整った会社組織でないと、もう難しい時代かも知れない。

 気が付くと店内は何時の間にかほぼ満席になっていた、そして騒がしい客や服装の乱れた客がいない、我々親父3人のグループが一番浮いていたけれど(笑)。このレベルの料理を窓外の豊かな緑を眺めながら楽しめる場所は、東京都心ではそう無いと思う、このロケーションを選んだ松嶋氏のセンスはさすがだ。
 ここはまずはランチタイムに行かれる事をお勧めしたい、若い料理長は面構えもいいし、これから先もっと伸びそうな才能だと見た。他のレストランスタッフも皆若いので、5年先は更に店のポテンシャルは高くなっている気がする、そう東京五輪の頃が成熟期かも知れない、それまで長生き?しないといけない(笑)。


  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0

五反野「そば遊膳とりい」

 フランス料理が続くので、今回は少し息抜き?に蕎麦です(笑)。
 外食業界では洋食一般をヨコメシ、和食一般、時に中国料理を含めてタテメシと呼ぶ事がある、これはメニュー、献立、菜単の書き方からとの説があるが、このブログではヨコメシ系の店を取り上げる事が圧倒的に多い。このため私がタテメシ系の食事を好まないのでは?と思われるかも知れないが、実際にはそんな事はなく、和食も中華も好きだ(笑)。
 ただ、どうしてもブログに載せる店への外食になると洋食系が多くなる、理由は和食特に寿司や蕎麦みたいな単品系と中華は、子供の頃から近所の店で親しんでいたため、交通費かけてまで食べに行く気になかなかなれないのだ(笑)、子供の頃に銭湯帰りに父親に連れられて行った寿司屋、出前で食べるのが日常だった蕎麦とラーメン、こうしたものが自分の原体験になっているので、どうもそれから抜けられないでいる。
 蕎麦も勿論好物なのだが、ガイドブックに載るみたいな趣味系の蕎麦店にはまず行かない、自宅から自転車で行ける範囲でいい店を探したい方だ、その私が参考にしているのがこのブログ、
http://plaza.rakuten.co.jp/livemachine2/ 
 おそらく同区内に住んで居る人だと思うが、足立区の蕎麦店を全部回って(凄い)蕎麦を食べているとの事、それも立ち蕎麦から趣味系高級店まで分け隔てないのが立派だ、本当に蕎麦全般が好きな人だと思う、言うなれば「カサノヴァ的蕎麦グルメ」か(笑)。

        141105-1.jpg

 この日自転車に乗って初めて訪れた「そば遊膳とりい」は、このブログで知った店だ。店の場所は東武線五反野駅から江北高校へ向かう商店街中、蕎麦店らしくない外観で知らないと通り過ぎそうになる。WEB情報では「ランチがお得」とあり、この日ランチタイムに訪れてみた。
 店を入ると右手にカウンター席と奥に厨房、左手には椅子席と座敷まであり思っていたより広い、この日は一人だったので自らカウンター席に座った。

        141105-2.jpg

 カウンターは一枚板の銘木物を使い、目の前には種田山頭火の掛け軸が下がっていて、これだけでもなかなか凝った造り、「ここは只の街場の蕎麦屋ではないよ」とのメッセージにも感じた(笑)。

     141105-3.jpg

 4種類あったランチメニューから選んだのは、「キスと野菜天ぷらの昼膳」(税別991円)で、内容は天ぷら、ざるそば、ご飯、香物、サラダ、デザートだが、プラス50円でご飯を天丼へ変更可との事でそれでお願いした、白飯と蕎麦は一緒には食べたくないと思う(笑)。

     141105-4.jpg

 すぐに運ばれてきたのが、サラダと蕎麦ツユの入った徳利と薬味、更にはデザートの冷白玉ぜんざいまで並べたのには、ちょっと興醒め(笑)。サラダはごく普通のものだが、蕎麦の薬味は本山葵を使っているみたいだ、麻布十番の有名店でも練り山葵を使っていたのでこれは立派。

        141105-5.jpg

 そして洒落た竹笊に乗った蕎麦が運ばれて来た、今年の新蕎麦だとの事だが、自家製粉で二八(小麦2:蕎麦8)で打っているそうだ。少し青味がかった蕎麦は細切りで二八の特徴である喉越しがいい、蕎麦の香りもちゃんとしている。ピュアな蕎麦好きの中には「二八は蕎麦じゃない」と云う人もいるみたいだが、私は旨ければ生粉打ち(蕎麦十割)でなくても全然構わないと思う方だ(笑)。

     141105-6.jpg

 続いて運ばれたのが天丼、内容はキスと茄子、南瓜、薩摩芋に紫蘇だったと思う。天麩羅店の揚げ方ではなく、衣を尖らせた蕎麦屋ならではの天ぷら、これを江戸前の濃い目の丼ツユを使って作る、ご飯も新米だそうで炊き方もいい、これは見た目以上に美味しかった。

        141105-7.jpg

 蕎麦湯は高級店で多い後から蕎麦粉を加えたタイプでなく、文字どおり蕎麦を茹でた後の薄いものだった。

        141105-8.jpg

 白玉ぜんざいは一口サイズだが、まあ無いよりあったほうが嬉しいと云う感じだ。

 この店予想以上に美味しかった、今まではちゃんとした蕎麦が食べたくなったら綾瀬の「重吉」へ行く事が多かったが、この店も選択肢に入れたいと思う。
 やはり蕎麦屋は家の近くでいい店を探したいものだ、隣の梅島にも良さそうな店があるので行ってみたいと思っている(笑)。


  1. [ edit ]
  2. 麺・ラーメン
  3. / trackback:0
  4. / comment:0

青山「フロリレージュ」(2014年10月)

 P・シェーファーの戯曲を映画化したミロス・フォアマン監督の「アマデウス」、あの中に印象的な場面がある。生活苦のため困ったW・A・モーツァルトの妻が宮廷楽長サリエリの元を訪ね、夫が書いた楽譜を見せて宮廷音楽師の職を得ようとするのだが、それを見たサリエリは、楽譜に通常ある筈の書き直しの後が全く無い事に驚愕する、妻が言うには「これはオリジナルだ」つまり写しではなく楽譜はこれしかないと、それを知ってサリエリは「あの男は神に愛された(選ばれた)者」で自分はそれではない何者かだと、如何しようもない敗北感を味わう。
 この日の夜に訪れた青山「フロリレージュ」での食事後、見送りのために厨房から出てきた川手料理長と話していて、何故か急に映画の場面を思い出した。モーツァルトは頭の中に沸いた音楽を書き留めるだけで作曲が出来たが、目の前にいる料理人は頭の中に湧いた発想を、すぐに皿上に表現出来る稀有な才能の持主ではないか、「この料理人は(神に)選ばれた者かも知れない、そして自分は一体何者?」、選ばれなかった事を自ら認めなければならないのは、人生において時に必要だ(笑)。
 
 また前置きが長くなったが、時間を遡ってこの夜に提供された料理を紹介したい、 

     141101-2.jpg
・石焼き芋(茸と銀杏)
・(四角いグリーンオリーブ)

        141101-3.jpg
・秋の茸とスッポンとコンソメ

     141101-4.jpg
・スッポンの血によるブーダンノワール

        141101-5.jpg
・フォアグラとオータムトリュフのシフォンケーキ

     141101-6.jpg
・静岡産戻り鰹のロースト、水晶文旦と林檎

        141101-7.jpg
・蝦夷鹿のロースト

        141101-8.jpg
・(二皿目)蝦夷鹿のガレット

        141101-9.jpg
・柿のデクリネゾン

        141101-10.jpg
・カマンベールのクリームを詰めたシュー、糖蜜のグラス
・(鬼灯のパート・ド・フリュイ)
・アンフィージョン

 ムニュ全体の流れからすると、スッポン⇒鰹⇒鹿と赤肉が続くのは大胆な構成、普通の料理人なら魚は無難に白身のポワレ等を持って来る処だが、他人と同じ事をしないのがこの料理人の真骨頂だ、誰かの真似をしていたら「料理界のサリエリ」として世俗的な成功を得ても、後世に作品と名声が残ったモーツァルトにはなれない(笑)。
 スッポンの皿は、中華や和食から料理発想のヒントを得る事が多いと聞くこの料理人の特色が現れたもの、それでも食べるとフランス料理だと感じさせるのが非凡な処だ。
 フォアグラは独特の酸味により脂が中和され、シフォンケーキの食感でサンドイッチみたいな面白さ、鰹の料理は特有の血味に水晶文旦の酸味と林檎の甘味と合わさり、オリジナリティが溢れる。
 そして「まず食べてくださいとシェフが申しております」と、宮垣支配人が告げた鹿肉料理、これが凄かった、蝦夷鹿猟の名人が撃ったものだそうで、この鹿は「自分が死んだ事に気付いていない」(笑)、そして火入れが絶妙で、まるでJ・ロブションの往年の名品「仔羊のパストラル」みたいな外観、後で川手料理長に「バキューム(真空調理)ですか?」と思わず訊いてしまったが、通常のオーブンでのキュイッソンだそうだ、過去国内外で体験した鹿肉料理の中でも最上位に置きたいものだ、そしてガルニに選んだ小豆との相性が絶妙。
 デセールもカマンベールを解体・再構築したものに蜂蜜のアイスを合わせたもの、これも「今年印象に残ったデザート」の筆頭になりそうだ(笑)。

 料理全体の印象は「実りの秋」、そして以前に比べると余計な飾りやガルニがなくなり、主役が明確で中心がハッキリしてきた気がする。別の料理人と話していた時に、「若い料理人ほど皿上に余計な物を乗せたがる」と私が言ったら、その料理人は「何かを足さないと、どうしても不安になるのです」との答えだった、「何も足さない、何も引かない」の境地に行くには経験と時間、そして何より自分の料理に対する自信が必要だ、この日の川手料理には迷いが全く感じられなかった。
 サービススタッフは少しずつ変わっているが、宮垣支配人になってからは全体的に緊張感が和らぎ、フォーマルな中にもカジュアルな柔らかさが増した様に感じる、そして夜は男女カップル中心で客層がいい、騒がしい席は一つもなく皆本当に料理好きな人達が集まっている。

        141101-1.jpg

 最後に店外でこれからの「フロリレージュ」について語る川手料理長の表情に一点の曇りもなく、周りは暗くなっても輝きに溢れている様に感じた、これは例えれば、モーツァルトの比類なき才能に嫉妬するサリエリみたいな心境だろうか(笑)。
 そして帰り道はモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」中のケルビーノのアリア、「恋とはどんなものかしら」のメロディーを何故か口ずさんでしまった(笑)。


  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0

NEW ENTRY  | BLOG TOP |  OLD ENTRY


プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

訪問者

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

« 2014 11  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -