最後の晩餐にはまだ早い


御茶ノ水「ビストロ・ヌー」(2015年7月) 

 イマージュ㈱で出版している季刊誌「シェフ」は、主にフランス&イタリア料理の料理人を対象にした業界専門誌で、これに掲載される事は料理人にとっての「登竜門」と云える、その中でも「リーズナブルメニュー」のコーナーは、今後の活躍が期待される店が紹介されるので、音楽やバレエのコンクールなら「エスポワール賞」みたいなものだ。
 私が過去何回か訪れた御茶ノ水(秋葉原)の「ビストロ・ヌー」が、このコーナーで紹介されたと知り、この日約半年ぶりにランチタイムに訪れる事にした、前回訪問時に磯貝料理長が「もうじき子供が生まれます」と云っていたので、そのお祝いも伝えたかった(笑)。

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 平日の開店時間11時半直後に予約しないで入店したが、既にテーブル席には二人客一組、カウンターには一人客が着席していた、いつもの様にカウンター席に座らせてもらう。磯貝氏一人だけで対応していた時もあったが、この日は以前から手伝いに来ている若い女性が一人加わっていた。
 最近他店ではあまり見かけなくなった黒板メニューから料理を選ぶ、前菜+メイン+コーヒーで1,620円、デザートは別料金で340円、プラス料金の皿もあるが、低廉さは変わっていない。
 選んだ料理は以下のとおり、

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・パン・ド・カンパーニュ系のパン

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・ペイ・ドック・シャルドネ(645円?)

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・魚のコンソメジュレと野菜のマリネ(+290円)

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・ニュージーランド産骨付き仔牛のロティ(+1,080円)

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・リュバーブのタルト

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・コーヒー

 前菜、メイン共にプラス料金だが、どちらも夜でも出している料理なので、あえて注文をしてみた。
 まずコンソメジュレの皿はこの季節ならではの料理で、ちょっと和食を思わせる様なビジュアル、甲殻類を使わず魚だけで取ったフュメをジュレ仕立てにして、中には野菜を数種、ミョウガとピモンエスプレッドがアクセントになり爽やかな一品だが、欲を言えばガラス皿に入れたら、見栄えがもっと良くなったと思う(笑)。
 骨付き仔牛の料理は文句のない一品、見かけはともかくとして、肉は四本足でも二本足(鳥類)でも、骨付きで焼く以上に良い調理法はないと思う。ガルニのレンティーユ(レンズ豆)の使い方がフランス的で、フォン・ド・ヴォー主体のソースと合っていた。
 この店のデセールはシンプルながら美味しい、タルトはちょっと癖のあるリュバーブを使ったもの、以前より甘味を抑えて日本人向けになった気がする、見た目も味も良かったが、更に言えば値段を500円にして、アイスクリームを一匙添えればもっと充実感が増しそうだ。

 ビストロ・ヌーは開店4周年を迎え、前述のとおり1月1日には磯貝氏に第一子が誕生した、「シェフ」記事の掲載もあって、今は店のベクトルがいい方向へ進んでいるなと感じる、それは料理にも反映していると思った。
 料理人の心技体が充実しバランスが取れている時は、作る料理も完成度が高い、反対に迷いや悩みを抱えている時は、それが料理に出る、機械ではなく人間が作る料理はこれだから怖く、反面面白い(笑)。

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 この「シェフ」の記事どおり、磯貝氏の経歴はちょっと変わっている、大学卒業後一時バーテンダーをやっていた時に、その店のキッチンが人手不足になり、料理を手伝った事からこの世界に関わった。調理師学校も出ていないし有名店で働いた経歴もない、料理は殆ど独学で習得、スタージェ身分で渡仏した特に働いた、パリのネオビストロでの経験が大きかったみたいで、料理は脱日本的な感性がある。
 こうした料理人が突然変異的に現れるのが、今の東京の凄い処なのかも知れない、「まずは鍋磨きから修行」が当然だった昔では考えられなかった事だ(笑)。

 店のある場所は秋葉原電気街(最近はマニア系店舗も多いが)の至近、客層も普通のフレンチとは少々違う(笑)、この日も不思議な商談男性二人客が来ていた、これを多様性と見るか、フレンチらしくないと見るかは人それぞれでいいと思うが、私は現在のカオスな街東京の一面を表していて、これはこれで面白いと思っている(笑)。
 店は将来的には席数を減らし、もっとガストロ的な料理やデリ販売もやってみたい構想があるとの事、今乗っている料理人だし今後も期待できる店だと思う。
 

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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