最後の晩餐にはまだ早い


稲荷町「キエチュード」(2015年8月)

 食仲間から「稲荷町『キエチュード』で、食事会があるので参加しないか、美女も来る」とのお誘いを受け、そう云われると断る理由はないと、親父心丸出しで参加する事になった(笑)。
 「キエチュード」は今年5月17日に開業し、これで訪問は3回目、江戸時代の吉原遊郭では、同じ相手方に対し一回目の登楼は「初見」、二回目を「裏を返す」と云い、三回目以降を「馴染み」と呼んだ、今でも使われている言葉「馴染み客」は此処から来ている、これで私もこの店に関しては馴染み客になった(笑)。

 上野方面からだと近道もあるが、御利益ある様にと下谷神社の大鳥居の下をくぐって入店する。この日はお盆休み明けの月曜日、飲食店には厳しい日だったみたいだが、こうした日にレストランを利用するのが、本当のグルメと云えるかも知れない(笑)。
 美女と美男?が揃った時点で、爽やかなソーヴィニヨン・ブランで乾杯し、今宵のディネがスタートする、料理は夜のおまかせムニュからで、内容は以下のとおり、

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・ジャガイモ シソ オレンジ

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・フォアグラ カラメル 黒にんにく

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・ムール貝 夏野菜 オリーブ

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・マナガツオ 緑豆 トウモロコシ

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・仔羊 レンズ豆 プチトマト

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・フロマージュ・ブラン ジュニパーベリー

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・桃 ブドウ ホオズキ

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・ミニャルディーズ

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・コーヒー
 
 私はこの店へ6月第1週と最終週の2回訪れていて、一ヶ月半間が空いていたが、料理は少し変わっていて、生硬さが取れてしなやかさが増したと感じた。
 フォアグラは見た目も味も精度の高いもの、野菜料理も洗練度を増し、魚料理は以前塩昆布を塗してソース代わりにしていたが、今回のマナガツオは正統的にバターを使ったソース、塩昆布もそれなりに面白かったが、やはりフレンチはソースあってこそで、今回のスタイルの方が好みだ(笑)。
 肉料理は仔羊ロティ、ニュージーランド産だそうで、コンベクションによる加熱だと思うが、均質に火入れされ、しっとりといい出来になっている、やはり肉は4~5人分位で調理するのがベストだと思う、ガルニのレンティーユの扱いがフランス的だし、プチトマトにはクミンの香りを付して、エキゾチックな風味も出している。
 デセールも良かった、甘さの中に混ぜる酸味の使い方が巧みで味が単調にならない。

 全体的にはライト感覚で、ワーグナーやヴェルディ的な重厚華麗さより、エリック・サティやプーランクのような軽妙洒脱な印象、5,000円と云うムニュ価格を考えると、高級食材はそう使えない筈だが、それでも食べ終わった後には結構満足感があり、料理構成とスパイス等の使い方には非凡なセンスを感じる。以前の記事にも書いたが、荒木料理長はウクライナやモロッコ等、フランス以外のそれも珍しい土地で働いているので、その経験がプラスになっているのでないかと思う。
 この夜集まった美女・美男は、食については相当経験を積んだ人達だが、料理とサービス、店のアンビエンスは概ね好評だったので、私も安心した(笑)。

 荒木料理長は1981年生れ、80年代生れは「ビストロ・ヌー」磯貝、「ジャニコロ」内野、「Bio-s」坂本各料理長と同世代、彼等に共通するのは肩の力が抜けて自然体で飄々と仕事をしている事、そして皆喋りが穏やか、彼等より前の1970年代生れの料理人が、もっとテンション高くしているのとは対照的だ(笑)。
 日本の飲食業の将来については、人材難から悲観的になる事もあるが、少なくとも料理人に関しては、こうして新しい才能が出現している、あとはサービスそして一番必要なのは、もっと客側が成熟する事か、ネット上の店評価点を頼って店回るのは、もう卒業したらどうなのだろう?(笑)

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 この夜はグルメの分野だけでなく、豚の膀胱を蹴った話(笑)等、濃い話が続いて楽しい夜になりました、誘っていただいた皆様、そして素敵な場を提供していただいた荒木料理長とサービス担当の清水さん、ありがとうございました、また伺わせてもらいます(笑)。


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白山「エリティエ」

 東京文京区と台東区の区境あたり、不忍池南側の猥雑な飲食店街の中に、場違いな位に洒落た雰囲気の店舗があり、「ロワゾー・ド・リヨン」と云う名のパティスリーだった、店主は地元出身で「ル・コント」等で働いた後に、和食店だった実家の跡地に店舗を開業、その後上野駅に併設された商業施設内にも支店を出し、順調に営業していたが、昨年春に突然閉店してしまった。理由は店主が45歳の若さで急逝したからと伝えられる、無休で店舗営業を続けていた事もあって、無理が祟ったのかも知れない。
 東京のレストラン同様にパティスリーも乱立気味だ、過当競争の中で個人経営者はストレスを過度に溜め過ぎない様、十分注意をしないといけないと思う。
 
 今回紹介するのは、文京区白山にあるパティスリー「エリティエ」で、2011年9月の開業、白山通りに面した店舗は以前「パパ・ダニエル」と云うフランス人が経営するパティスリーだった、私も何回か購入した事あるが、油脂も糖分もしっかり使う伝統的なフランスの味を感じさせて、今風ではないけれど美味しかった。一時大ブームになった「カヌレ」を日本にいち早く紹介したのもこの店、同地で25年間営業したが店主が高齢になり引退、その店舗を受け継いだのが「エリティエ」だった。
 仏語の「エリティエ‘heriter’」は英語の‘heritage’と同じく、「継承」や「受け継ぐ(もの)」と云う意味、前店主と現在の経営者とは直接の師弟関係はないそうだが、この名前を付けたのは、前店へのリスペクトの意味があったのだと思う。

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 店を訪れたのは今年東京で最高気温を記録した日、気温の高い夏はケーキ類の売上げが落ちるとは聞いていたが、店頭で訊いたらそのとおりだそうだ。
 「パパ・ダニエル」時代は店の奥をカフェスペースにして、買ったケーキをその場で食べる事も出来たが、それを受け継いでランチ等も提供しているみたいだ、フクロウを店のシンボルマークにしていて、店内外に表示してあった。
 販売を担当するのは店主の奥様なのか、とても感じのいい方で、私が汗を流しながら入店したからだろう、すかさず「どうぞ」とレモネードを出してくれた、こうしたサービスは嬉しいものだ(笑)。

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 正面にケーキ類の入ったガラスケース、右手には焼き菓子等を並べた店内デザインは「パパ・ダニエル」時代と殆ど変わっていない、ただケーキの見た目はだいぶ変わって現代的になった。

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 いつもパティスリーでは何を買うか悩むのだが、私はクレームシャンティ系が苦手で「苺ショート」みたいなのはパスしたい。結局季節の桃を使ったものと、店の特徴が判り易いモンブラン、それとチョコレート系を買って帰る事にした。

 以下そのケーキの紹介、
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・デリス・ペッシュ(税込460円)
 白桃をデザインして、中に桃の果実とクレームパティシェ、上にはチョコレートの板が刺さっている、まずビジュアルが見事、「乙女の乳房のよう」と書くと、「お前、乙女の見た事あるのか?」と突っ込まれそうだが(笑)、それはともかく見た目も味も素敵です。

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・HAKUSAN(450円)
 地名に因んで「HAKUSAN」と名付けてあるが、これはモンブラン。伝統的な焼きメレンゲ生地の上に刻んだ栗と生クリーム、更に栗を混ぜたクリームで丁寧に渦巻き状に巻いてある、この仕事もとても綺麗だ。

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・ムッシュ・シブヤ(480円)
 店主は大宮にあるパティスリー「シェ・シブヤ」で働いていたそうで、師の名前を付けたチョコレートのケーキ、一種の「ガトー・オペラ」だと思う、上質で濃厚なチョコレートを使用、リッチでありながら軽さも持たせた現代的な作り。

 全体的に云えば、最近の日本人パティシェに共通する、確かな技術を感じさせるとても真面目に丁寧に作られたケーキだった。値段も400円台なので、それ程暴力的?ではない(笑)。店のWEBページでは「Heritierのこだわり」と題して、「上質素材を使用して、見た目を美しく、お買い求めやすい価格」とあるが、まさにそれだ。
 あとは「この店でなければ」「わざわざ遠回りしても買いに行く」みたいな、個性的な特徴があれば更に人気店になるのではと思った。

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 ポイントカードも貰った事だし、今度はランチ+ケーキのイートインにも訪れてみたいなと思っている(笑)。


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神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(2015年8月)※閉店されました    

 おそらくこのブログでは、一番取り上げた回数の多い店だと思う、神楽坂のフランス料理「オー・トレーズ・ジュイエ」が、残念ながら本年8月一杯で閉店する事になった。
 閉める理由については幾つかあるが、一番大きかったのは、料理人一人つまりワンオペで暫く続けていて、それが限界に達してしまった点みたいだ、この辺りは今の東京の飲食店が抱える共通の問題がありそうだ。
 まず何と云っても人材が不足している、調理師学校を卒業した若い人達がレストラン、特に個人経営の店に勤めたがらない、彼・彼女は何処へ行くのかと云うと身分が安定し、福利厚生の充実したホテルや企業組織へ行ってしまう。それならとサービス専任者を探しても、サービス部門を希望する人材が今殆どいない、仕方なくパート・アルバイトでもいいからと募集しても時給1,000円では誰にも見向きされない、これだけ厳しい現実なのだ。

 こうなるとレストラン店主も考え方を変えざるを得ない、他力本願はやめて自分一人でやるか、パートナー(妻または夫)に手伝ってもらうか、後者の場合は子供が生まれたらどうするのか、代わりになる人間は居るのか?と云った大きな問題もある。
 これからレストランを開業するなら、その時点である程度の将来展望を決める必要がある、「アルドアック」や「モン・プチ・コションローズ」みたいに、料理人一人だけでやるなら、店舗のデザイン自体をそれに合わせないといけない、「自分の下で働きたいと思う人間は居る筈だ」などとは、もう思わないほうがいい(笑)。

 おそらく食事行としては最後の訪問の「オー・トレーズ・ジュイエ」、この赤い螺旋階段を上るのも最後になるか?
 入店時既に1組が食事中、私の後にもテーブル席2組とカウンター席1人が来店した、「8月末で閉店」を公表してから、客入りは増加したそうだから、客の動向は本当に予測不能だ(笑)。
 この店での「最後の晩餐」のムニュは以下のとおり。

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・サボテンのガスパチョ、新イカ

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・会津馬肉の冷製ポトフ、トウモロコシのマヨネーズソース

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・佐藤氏秘蔵?のロワール白

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・イワナのムニエル、冬瓜のスープ、ニンニク風味のブロッコリー

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・黒メヌケ、フヌイユとサリコーン、桑名ハマグリ

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・海老のカダイフ、ブーダンノワール、イチジクロティ

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・ソルトブッシュラム、ニンニクとセージのジュ

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・桃のコンポート、パシュランのジュレ、マスカルポーネ、カシスソルベ

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・ガトーバスク、バナナキャラメリゼ、ヨーグルト、プルーンのグラニテ
・コーヒー

 佐藤料理長はこの店での集大成のつもりなのか、次から次へ料理を出してくれた(笑)、他のテーブルの料理も同時進行しながら、これだけ調理プロセスのある料理を一人でこなすのは、相当大変だった筈だ。
 サボテンの実を使ったガスパッチョは面白く、イタリア特にシチリアではよく食べられているそうだが、これから日本でもブームになるか?次の馬肉のポトフもジュレ状にしたスープが野菜とマッチしていた。
 イワナは養殖が安定してきたのか、最近フランス料理店でよく見る、夏場海洋魚の味が落ちる時には出番が増えると思う。メヌケのガルニに使ったサリコーンは、仏ブルターニュ産で海岸近くに生える緑野菜、海の塩分を吸っていて独特の塩味が特徴、興味深い食材で使い道は色々ありそうだ。
 カダイフを巻いた海老は、ブーダンノワールの塩気とイチジクの甘味で食べさせる手間をかけた料理、ソルトブッシュラムはやはり美味しく、ノーマルな南半球産羊に比べると肉味に深みがある。
 デセール2品はどちらも良かった、全体にちょっとサービスし過ぎか(笑)。

 佐藤料理長は9月以降、たまプラーザのフランス料理店「レ・サンス」で料理人として当面働くそうで、その後については未定、彼の料理を食べたいなら電車を乗り継いで、たまプラーザまで行くしかない(笑)。
 私が初めてこの店を訪れたのが2012年の7月、以降定期的に通わせてもらい、亡母の法事の会食まで使わせてもらったので、閉店はつい感慨深くなってしまう。
 佐藤料理長も悲しんでいるのでは?と思って来たのだが、この日は意外にも表情が明るく、何か吹っ切れたみたいで安心した(笑)、これまでのストレスが相当なものだったと思う。一人で店をやっていたら、タクシー運転手みたいに、知らない客から危害を加えられる恐れもあり得ない事ではない。

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 「人間万事塞翁が馬」と云う言葉もあり、一度閉めてみる事で新しい展開が開ける可能性もあると思う、取りあえずは「お疲れ様でした」と労いたい(笑)。
‘Merci À bientôt!’


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本郷「ビストロ・アバ」(2015年8月) 

 頭の中が煮えそうな酷暑の中、本郷壱岐坂から本郷三丁目駅を目指して歩いている時、11時半になる事に気付き、何処かで昼食をと思い、この暑さでは冷たい蕎麦か饂飩かなと考えていた。丁度その時にこのブログでも紹介した事のある「ビストロ・アバ」が見え、予約を取らないランチに並んでいる女性2人が居た、「この炎天下で待つのは立派」と感心していたら、扉が開いて彼女達が店に入って行った、これを見て「そうだ、暫く訪れていなかった」と閃き、吸い込まれるように入店してしまった(笑)、饂飩がフレンチに一瞬で変わる意思の弱さだが、考えてみれば前回利用は去年の6月なので、1年以上経っていた。

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 「この暑さでも、皆千円overのフレンチランチ食べに来るのかな?」と疑っていたが甘かった、それから続々と客が現れて満席になる、この種の店にしては男性客が多いのも特徴的で、やはり皆は安くて旨いものを知っている(笑)。
 前回利用時は料理人一人で全て回していたが、今回はコックコートを着たサービス担当の女性が居た。ワンオペの難しさは、料理は何とか出せたとしても、食器やカトラリーの片付や厨房内の清掃等、料理以外の部分でどうしても負の要素が出やすく、客はそうした所を見てしまうものだ、その点一人でも戦力になる人間が居れば違う。

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 カウンター席に座り、サービスの女性が豚の形に切られた黒板の「本日のランチメニュー」を見せてくれる、料理8種の中から選ぶ事になるが、他に冷製ポタージュが3種、さて何にしよう?暑いから冷製の「白レバー」か「バロティーヌ」がいいかと考えたが、やっぱり思い直し、ランチスペシャリテの数量限定「豚ロースのロティ」(税込1,150円)を、「カリフラワーのポタージュ」(300円)と共にお願いする事にした。

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 まず水がピッチャーで出るのが定番(笑)、店内がちょっと暑いので直射日光が当たるせいかな?と思って天井を見たら、エアコンの下には不思議な扇風機?が回っていた。

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 少し冷房の効きが悪くなっているのかも知れない、オープンキッチンの店は調理がライブで見られる面白さはあるが、真夏はちょっとキツイ場合があるのを覚悟しないといけない(笑)。

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 まず出てきたのがカリフラワーの冷製ポタージュ、スープと云うより茹でたカリフラワーを大根おろし状態にしただけのシンプルさ、味付けは塩とオリーブオイル、乳脂肪分は感じない、それでいて妙に旨いのだ、これがプロの料理の潔さだと思う、素人は概して味を引っ掻き回して不味くしてしまう(笑)。

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 そして次に登場したのが巨大な豚肉塊(笑)、これは笑うしかない。前回は四角形だったが今回は棒状で直径は10cm以上、厚みは5cm以上、重さは1ポンド(453g)近いのでは?と思える大きさ。下に敷かれたのはシェルマカロニとキャベツのブレゼ、トマトソースはイタリア風のシンプルなもの、「完食できるかな」と不安になるが、これは満腹感がこみ上げてくる前に食べ切らないといけない(笑)。

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 肉と同時に出てきたのがシンプルなリーフサラダ、酢と油をまぶしただけだが、これも何故か美味しい。

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 自家製だと思われるパン、これもいい出来だが、危険なので1つで止めておく(笑)。

 豚肉の味付けは塩味のみ感じる、当然だが「フロリレージュ」の3時間ローストとは領域の違う仕事だ、原価からして有名な銘柄豚は使えないと思う、でも「それがどうした」と云う位の圧倒的な迫力がある。素材の枝葉で味わうのではなく、美味しさを質量として感じさせる料理、増井和子さんの「パリの味」に載っている、1980年代の「アラール」や「ラミルイ」みたいな、良き時代のフランス料理がある。
 此処の料理人は北海道出身で、一時札幌のフレンチ「バンケット」に居た事があると聞く、私の知る北海道人は、その大地のように皆チマチマしていなくて大らか、やたら気前がいい人が多いので、そうしたものを東京に来ても失っていないのだろう(笑)。

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 これで支払いは税込1,450円、サラリーマンのランチとしては高いかも知れないが、圧倒的な量を考えると信じ難い位に安い。お腹一杯になりました、通常フランス料理ではデセールまで食べたくなるものだが、この店に限っては入れる場所がない(笑)、この肉量を短時間で消化するのは通常の人間の胃では無理な筈だ、少し歩いて下に落ちるのを待つしかない。
 いつか夜にも訪れてみたいのだが、土日が休みな事もあって果たせていない、老いて消化力が落ちない内に行かないと(笑)。


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千駄木「毛家麺店」

 不忍通りを道灌山下から上野方面へ向かって進み右側、地下鉄千駄木駅入口の手前にある壁面に描かれた、巨大な毛沢東の彩色肖像画を見た事ある人はいると思う。

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 今回紹介するのはその店で、名前は「毛家麺店(マオラーメン」)、専門店と云う訳ではないが担担麺で知られた店だ。
 開業は2000年だから今年で15年目になる、大塚「上海チキン」、桜新町「紅蜥蜴」とは系列店になるそうで、「東京で担担麺が美味しい店ランキング」等を調べると、名前が挙がる事が多い。店の近くには、やはり四川料理で知られる「天外天」があり、以前は本館と別館の2店舗で営業していたが、不忍通りに面した本館は売却したみたいで、現在は居酒屋?に変わってしまった、天外天と毛家麺店は特に関係は無いみたいだ。

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 訪れたのは夕方の開店時間直後で、不忍通りに面した入口を開けたら、カウンターの奥で女性が食事中、どうやら従業員らしく「開店時間を間違えた?」と一瞬思ったが、入口案内には17時~開店の文字がある、この女性も厨房に立っている男性も中国の人みたいで、こうした処は大らかと云うか雑と云うか、大陸的なのだろう(笑)。
 店内はカウンターが8席と小さなテーブルが1卓、古い家具を並べ「昔の中国の食堂」をイメージしているのか、まるでチェン・カイコー作品の「覇王別姫」や「北京バイオリン」の一場面みたいな雰囲気。壁等は相当傷んでいるが、これはわざとそうしている訳ではなさそうだ(笑)。

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 席に座ってメニューを見る、ここはやはり「名物」と表記された担々麺(この店はこう表記している)880円だろうと、ライス100円と共にお願いした。

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 店内は「毛沢東時代の中国」的だが、BGMには何故か沢田研二や石野真子と云った日本の懐かしい昭和歌謡曲が流れる、これで革命歌だったら、今の日本では何かと差し障りがありそう(笑)。

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 注文後に出て来たのが担担麺、WEB情報では「注文後、すぐ出る」とあったが本当だった。箸は洗って使う共有の真っ赤な塗り箸、これも中国的だ。

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 丼には白胡麻のスープに黒胡麻のペーストを乗せ、辣油にパクチー、まずは一口スープを啜るが濃度がかなりあって、初めに胡麻の香りと甘味、次に唐辛子の辛さが来る、全体的に少し甘口だが、味のバランスはいい、他店ではあまり使わない黒胡麻ペーストが効いている、このスープはなかなか美味しい。
 続いて麺を食べる、細くて縮れの少ない麺で、このため茹で時間が短くて済むのだろう、細いのはいいのだが麺自体柔らかくて少々頼りない、濃厚なスープとの相性が今一つ合わない気がした。
 個人的にはもう少し歯応えある麺の方が好みだが、やはり中国の人が経営する春日の「川国志」でも、こうした細くて柔らかな麺を使っているので、大陸の人が「美味しい」と思う麺は、こうしたタイプなのかも知れない。彼等にとって、日本のラーメン専門店で使うような加水率が低く硬い麺は受け入れ難く、日本人が芯の残ったご飯を嫌うのと同じ感覚?

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 追加で頼んだライスは思ったより大盛、米の質はごく普通だが、丼に残った担担麺のスープに入れると俄然美味しくなった、これは「担担雑炊」としてメニューに載せられるのではないか?と思った位(笑)。
 繰り返すがスープは結構いける、麺は好みが別れる処だが、全体的には良く出来た担担麺だと思う、ただ880円と云う値段は他店と比べ、店の居心地も含め考えれば、少々高いか。

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 店の内外装や接客等、かなり個性的で好き嫌いは別れると思うが、個人的には味は良かったので、次回は担担麺以外の料理も食べてみたいと思った、「天外天」より気楽で入り易い。電車賃かけてまで行くと云うより、近くの谷根千地区へ行く事があれば、寄ってみていい店だと思う(笑)。


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六本木「ル・スプートニク」

 「彗星のように出現した」との言葉があるが、「人工衛星のように出現した」フランス料理店が登場した(笑)。店の名前は「ル・スプートニク」、ある程度の年代の人ならご存知だろうが、1957年に当時のソ連から打上げられた、世界初の人工衛星に因んだ店名だ、ロシア語本来の意味は「旅の同伴者」。
 オーナー兼料理長は高橋雄二郎氏、代官山「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」で6年間料理長を務め、7月20日に六本木に自店をオープンさせた。
 前店の料理についてはこのブログでも紹介したが、これからの東京フランス料理界を牽引する若手(1977年生)料理人と思っていただけに、自店開業をとても楽しみにしていた。レストラン開店直後はオペレーション等定まらない事もありがちで、今迄は少し時間が経ってから訪れる事が多かったが、この店に関しては待ちきれず、食仲間を誘って訪れる事にした(笑)。

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 店の場所は六本木7丁目、東京ミッドタウンから道を挟んで向かい側にある細い路地を、国立新美術館方面へ向かった辺り、新しいビルの1階部分になる。目立ちはしないが、フロリレージュの旧店舗程には判り難くはない、なかなか絶妙なロケーションだ。
 ドアを開けると迎えてくれたのは黒いスーツ姿の若い小柄な女性、テーブルに着くと名刺を貰い、この方が支配人の田村さんだと知った、日本橋「メルヴュイユ」、広尾「マノワ」等でセルヴーズ&ソムリエールとして働き、この店の開業に併せ支配人として就任したと聞く、つまり高橋料理長に「旅の同伴者」として選ばれた(笑)。

 あまり前置きが長くなってもいけないので、まずは当夜の料理全14品を紹介したい、これだけ見てブログから去っていただいても、勿論構いませんが(笑)。

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・シュセット、帆立と蕪の柑橘マリネ、蕪のヌーベ

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・エアバゲット(ミニバケットの生ハム巻き)

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・ピュアホワイトのグラス、サマートリュフ

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・枝豆のチュロス

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・パプリカのムース、オマール、マンゴーとパッションフルーツのエスプーマ

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・和歌山産鮎のコンフィ、ジャガイモのクルスティアン、パンプルネル、加賀太胡瓜
鮎のブルーテ

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・鮑、黒米、紫キャベツ、アスパラガス、コキヤージュのエミュリション

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・フォアグラ、メロン、クレソンアレノア

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・炭火鱧、花ズッキーニ、青柚子、そのエキス

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・静岡産大岩魚ロティ、ブールノワゼット、焼きなすピュレ、コリアンダー、トマト

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・茨城産小鳩炭火焼 、玉葱ロティ、ビーツ、軽いソースアバ

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・白桃 、ハイビスカス、ヨーグルト

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・ベルガモットオレンジショコラ(カライブ)、生茶のソルベ

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・レモンティーのシューアラクレーム

 料理全体の印象から云うと、「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」時代は、店名のとおり「遊び」の要素を随所に取り入れて、サプライズ的料理もあったが、今回はもう少し抑えた感覚で、安心して料理が楽しめると思った。体操競技なら離れ技や捻り技の回数を減らし、着地が乱れないように上手くまとめたと云う印象(笑)。
 これは支配人も話していたが、開店して未だ一ヶ月も経っておらず、スタッフも厨房器具も店内のオペレーションも不慣れな部分がある、そのため来た客を失望させないよう、安全策を採ったのがあるみたいだ、料理長はこれから「攻めたい」と思っているので、もう少し時間をかけて料理は変えて行くつもりとの事だった。個人的な感想としては、今のままでも十分良かったが(笑)。
 パプリカムース&オマールに果物を加えた前菜は味の積層や見た目がデセール的で、これぞ高橋料理と思った。鮎、鮑、鱧、岩魚と云った和の食材を多く使い、それでいて十分フランス的要素と香りを感じさせるのが、この料理人の非凡な点だろう。あえて言えば肉料理の皿が少し盛り込み過ぎで、もう少し整理した方がいいかも知れない。
 デセール3品に関しては文句の付け様がない、中でもショコラの一品は「これは、大人のエンゼルパイだ」と思った(笑)、生緑茶との組合せはとても面白い。デセールが2品以上の場合、季節の果物系⇒ショコラ系と続けるのは王道だが、平凡なものにしないのはさすがだと思う。

 店内はブラウンを基調色とした落ち着いた印象、テーブルクロスは省略している。20の客席数に対し厨房4人、サービスが3人の体制、店内を取り仕切るのが前述の田村支配人だ、若いながら客観察に優れ、それに合わせたオートクチュールな対応が光る。女性で且つ支配人の業務となると、大変な気苦労と体力を要すると思うが、21世紀は女性達の時代だ(笑)、後に続く業界関係者のためにも、長く続けて欲しいと思うし、そのスキルは充分あると見た。

 今年の東京フランス料理界は新店ラッシュだが、前半のハイライトが「フロリレージュ」の移転新店なら、後半はこの「ル・スプートニク」だと云って間違いない、それだけのポテンシャルと今後の発展性を、開業2週間目ながら既に感じる事が出来た。これから楽しみな店だが、この2店に並んで更に越えようとするには、相当の覚悟と優秀な人材集めが必要になると云っておきたい(笑)、「東京の今」を感じたいなら、まずは訪れてみる事です。


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五反野「ジュモー」

 我家から自転車で行ける範囲内のパン屋は殆ど行ったと思っていたが、一軒だけ抜けていた店があった、それが東武伊勢崎線(スカイツリーライン)五反野駅近くにある「ジュモー」だった。店の存在は知っていたが、日曜日が定休だった事もあり、つい行きそびれていた。
 ある日WEB上でこの店のパンを褒めている記事を見て、これは行かなければならないと、猛暑の中だが愛車(自転車)を飛ばして行く事にした(笑)。
 店の場所は五反野駅を出てすぐ、高架下の道路を渡って右側、マクドナルドの裏手にある、開業は2008年9月なので間もなく満7年になるそうだ、ガラス張りで店内がよく見える様になっていて、店名の‘BOULANGERIE JEMEAUX’の文字が大きく書いてある。この外観はちょっとパリ、それも中心地ではなく14区とか15区辺りにありそうな小さなブランジェリーと云った印象で、東京下町的ではない(笑)。
 店は双子の兄弟で経営しているとの事で、店名はそれに因んだもの、仏語では男性の双子なら‘Jumeau’で女性なら‘Jumelle’、‘Les Jemeaux’は「双子座」の事になるが、‘aux’がロゴに入ると何となく格好いいから店名にしたのかも?まあ細かい事はいいでしょう(笑)。

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 「パン屋には何時頃に行けばいいのか?」は、その店によって違うので難しい、個人経営店は製造量が少なく、おおむね午前中にはパンを焼き上げてしまうため、夕方行ったら殆どパンが残っていない店が結構ある、販売ロスを出さないために仕方ないと思うが、勤め人には厳しい処だ、特にこの店は日曜休みなので、行くなら土曜日しかない。
 この時は土曜日の午前10時頃だったが、ちょっと早過ぎた(笑)、まだ棚には余白があり、これから種類が増えそうだった、店内で待っている訳にもいかないので、置いてある物から3個選んで購入する事に。
 パンとは直接関係ないが、レジのお姉さんがモデルさんみたいに細くて格好いい(笑)、真っ白いシャツに黒のベレー帽と腰までのタブリエ、このスタイルがとても似合っている、他の下町パン屋では人生の渋みが出たみたいなパート女性が居たりするが、この店に関してはパリよりレベルが上かも知れない(笑)。

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 家に帰って撮影と試食を、それぞれの印象と共に紹介したい、

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・パン・オ・ヴルターニュ(税込 230円)
 「ブルターニュ」ではなく「ヴルターニュ」と表記されていた、リュスティックみたいな外観だが、実際にはもう少し柔らかくプレーンなパン、ブルターニュ地方にこの種のパンがあるのかは不明、粉と油脂が悪かったら不味いパンになってしまうと思うが、しっかり粉の旨味が感じられる素朴な美味しさだった。

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・コロッケパン(220円)
 太宰治の「富士山には月見草がよく似合う」みたいに、「下町パン屋にはコロッケパンがよく似合う」(笑)。どうしてもブログに書いた一個千円越えの高級ハンバーガーと比較してしまうが、私にはこちらの方が安心して食べられる(笑)、過去食べたコロッケパンの中ではトップクラスの出来だった。

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・アップルタルト(220円)
 これはいい出来だった、この種の物としては都心のカタカナを沢山並べた高級店に引けを取らないと思う、生地、フィリング、焼きどれも申し分なく値段も安い。名前だけの「外資」には騙されるな(笑)。

 WEB情報によると、兄弟はそれぞれ別の製パン大手で働いていたが、やがて二人で念願だった独立店を立ち上げる、選んだ土地が足立区五反野と云う濃い下町だが、競合相手もまだ少ないし、かえってこれから期待できる環境だと思う。
 最近、街場のベーカリーの数は減っているが、少ないながら新規開業する店はレベルが上がっていると感じている。理由の一つにはコンビニやスーパーで24時間パンが買える時代に、差別化を図るためにレベルを上げていかないと、おのずと淘汰されてしまうのだと思う。
 怖い時代でもあるが、本当にいい物を作ろうとする意欲のある若者には、自分の実力を試すいいチャンスなのかも知れない。
 交通費無料で行けるのはありがたいし(笑)、これから他の種類も買いに行ってみたい店、地元の個人営業店は可能な限り応援したいものだ。


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麻布十番「ピッツェリア・ロマーナ・ジャニコロ」

 南千住(浅草)のイタリア料理「パスティチェリア・バール・アルテ」がランチタイム営業を止めてからは、まともなイタリア料理店に行っていないなと、ずっと思っていた。イタリア料理で食べたいと思うのは、まず生パスタだが、調べてみると提供している店は意外に少ない、自家製だと原価はともかく手間がかかり過ぎるので、特にランチタイムには提供し難いと云う店側の事情があると思う。往復電車賃を払ってまで、茹でた乾麺を食べるのは気乗りしないので、同じ値段払うならと考えると、どうしてもフランス料理店へ行く事になってしまう。

 たまたまピッツェリアに勤めている料理人とFecebookを通じて知り合いになり、「いつか店へ行こう」と思っていたのだが、この日地下鉄に乗っている時に急に思い付いた、「そうだ、ピッツァも考えてみれば生パスタの一種(かなり強引だが)、専用釜で焼く事だし、わざわざ食べに行く価値ある筈だ」と、そのまま店へ向かう事にした、「一人だから、予約なしでも大丈夫だろう」と勝手に思い込んでしまった(笑)。

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 店の名前は「ピッツェリア・ロマーナ・ジャニコロ」、近年グルメスポットとして注目される麻布十番にある、十番商店街を六本木方面へ向かい、「豆源」がある交差点を左折してすぐの場所だ、半地下にある店舗のドアを開け、一人である事を告げると、厨房近くの席に案内された。昼前だった事もあり、予約なしでもセーフだったが、客はこの後続々と入店して来て満席になり、2回転するテーブルもあった、予想以上の繁盛店だ。
 まずは内野料理長に挨拶し、突然アポなしの訪問をお詫びする事に(笑)。その後席に戻ってメニューを眺める、ランチタイムは「Pranzo A」(税別1,000円)と「Pranzo B」(1,600円〜)の2種で、メインはパスタかピッツァのどちらかの選択になる。「どうしようか?」と悩んでいたら、それを察したのかサービスの男性が「ご希望でしたら、料理長のお任せでお出しする事も可能ですが?」と振ってきた、あとでこの人がオーナー兼サービスの渡邉氏と知ったが、そう云われたら断る理由はないと(笑)、そのお任せランチでお願いする事にした。

以下その料理を紹介したい、

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・とうもろこしのフリット(画像ぶれています)

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・アナゴの白焼、スモモと水ナスのサラダ、オレガノ、バルサミコ

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・フォアグラムースのミルフィーユ、カンパリ蜂蜜

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・ピッツァマルゲリータ

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・ズッキーニのマリネ(ピッツァの口直し)

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・桃のコンポートとジュレ、ソルベ、紅茶風味のグリッシーニ

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・生チョコレートのタルトとビーツのヴァリエーション

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・ブラッドオレンジの生キャラメルとドライいちじくのドーナッツ
・エスプレッソ

 若い料理人らしく、前菜では意欲的で斬新な料理が続く、「とうもろこしのフリット」は「フロリレージュ」や高橋料理長時代の「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」を連想する、次のアナゴ料理は夏向けで和食的な一品、フォアグラは現代スペインや北欧調の料理だ。
 専任のピッツァイオーロ(ピッツァ職人)が本格的な石窯で焼いたのは、ローマ風の「マルゲリータ」、この店はローマ風ピッツァを提供するが、ナポリと比べると生地が薄く平べったく硬めだ、ウェットなナポリに対してドライなローマと云う印象、特徴を一言でなら「都会的な軽さ」だろうか。定番のマルゲリータに使ったのは永田農法による緑健トマトと、イタリアから直輸入したモッツアレラ、特にトマトは鮮烈な酸味と旨味で、これは「イタリア人もビックリ」の味だと思った(笑)。
 特筆すべきはドルチェが良かった事、パティシェは置かず料理長が考えて作るそうだが、最近のフランス料理店で出る、細部に凝り過ぎた物ではなく、美味しさが直球で到達する、特にチョコレート&ビーツの一品は秀逸だった。

 サービスを担当するのがオーナーの渡邉氏で、内野料理長とは「サバティーニ青山」時代からのコンビとの事、この人「うちはピザ屋ですから」と謙遜するが、ただのピザ屋の親父ではない(笑)、肩の凝らないカジュアルな応対ながら、店内と客に気を配りツボを抑えた接客は、久し振りにプロのサービスマンらしい人物に出会ったと思った。
 経験豊富なサービス出身のオーナーと、研究心旺盛な若手料理人のコンビは、富士宮の「Bio-s」等もそうだが、店としていい結果を生む事が多いと思う。若い料理人はアイデアは溢れていても、それを実現する場所も資金も不足しがちだ。

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 この店は「ピッツェリア」を名乗っているが、実力は充分リストランテだ、また行ってみたいし、現状で留まらずに次のステップも期待出来そう、在京グルメ達はマークすべき店だ。
 なお店名の「ジャニコロ」とは、ローマにある七つの丘の一つで、レスピーギの交響詩「ローマの松」中の第三曲「ジャニコロの松」でも知られている。
 それにしても麻布十番はいい店があり過ぎる、何とか宝くじを当て、近くへ引っ越したいものだ(笑)。



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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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