最後の晩餐にはまだ早い


白山「エリティエ」

 東京文京区と台東区の区境あたり、不忍池南側の猥雑な飲食店街の中に、場違いな位に洒落た雰囲気の店舗があり、「ロワゾー・ド・リヨン」と云う名のパティスリーだった、店主は地元出身で「ル・コント」等で働いた後に、和食店だった実家の跡地に店舗を開業、その後上野駅に併設された商業施設内にも支店を出し、順調に営業していたが、昨年春に突然閉店してしまった。理由は店主が45歳の若さで急逝したからと伝えられる、無休で店舗営業を続けていた事もあって、無理が祟ったのかも知れない。
 東京のレストラン同様にパティスリーも乱立気味だ、過当競争の中で個人経営者はストレスを過度に溜め過ぎない様、十分注意をしないといけないと思う。
 
 今回紹介するのは、文京区白山にあるパティスリー「エリティエ」で、2011年9月の開業、白山通りに面した店舗は以前「パパ・ダニエル」と云うフランス人が経営するパティスリーだった、私も何回か購入した事あるが、油脂も糖分もしっかり使う伝統的なフランスの味を感じさせて、今風ではないけれど美味しかった。一時大ブームになった「カヌレ」を日本にいち早く紹介したのもこの店、同地で25年間営業したが店主が高齢になり引退、その店舗を受け継いだのが「エリティエ」だった。
 仏語の「エリティエ‘heriter’」は英語の‘heritage’と同じく、「継承」や「受け継ぐ(もの)」と云う意味、前店主と現在の経営者とは直接の師弟関係はないそうだが、この名前を付けたのは、前店へのリスペクトの意味があったのだと思う。

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 店を訪れたのは今年東京で最高気温を記録した日、気温の高い夏はケーキ類の売上げが落ちるとは聞いていたが、店頭で訊いたらそのとおりだそうだ。
 「パパ・ダニエル」時代は店の奥をカフェスペースにして、買ったケーキをその場で食べる事も出来たが、それを受け継いでランチ等も提供しているみたいだ、フクロウを店のシンボルマークにしていて、店内外に表示してあった。
 販売を担当するのは店主の奥様なのか、とても感じのいい方で、私が汗を流しながら入店したからだろう、すかさず「どうぞ」とレモネードを出してくれた、こうしたサービスは嬉しいものだ(笑)。

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 正面にケーキ類の入ったガラスケース、右手には焼き菓子等を並べた店内デザインは「パパ・ダニエル」時代と殆ど変わっていない、ただケーキの見た目はだいぶ変わって現代的になった。

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 いつもパティスリーでは何を買うか悩むのだが、私はクレームシャンティ系が苦手で「苺ショート」みたいなのはパスしたい。結局季節の桃を使ったものと、店の特徴が判り易いモンブラン、それとチョコレート系を買って帰る事にした。

 以下そのケーキの紹介、
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・デリス・ペッシュ(税込460円)
 白桃をデザインして、中に桃の果実とクレームパティシェ、上にはチョコレートの板が刺さっている、まずビジュアルが見事、「乙女の乳房のよう」と書くと、「お前、乙女の見た事あるのか?」と突っ込まれそうだが(笑)、それはともかく見た目も味も素敵です。

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・HAKUSAN(450円)
 地名に因んで「HAKUSAN」と名付けてあるが、これはモンブラン。伝統的な焼きメレンゲ生地の上に刻んだ栗と生クリーム、更に栗を混ぜたクリームで丁寧に渦巻き状に巻いてある、この仕事もとても綺麗だ。

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・ムッシュ・シブヤ(480円)
 店主は大宮にあるパティスリー「シェ・シブヤ」で働いていたそうで、師の名前を付けたチョコレートのケーキ、一種の「ガトー・オペラ」だと思う、上質で濃厚なチョコレートを使用、リッチでありながら軽さも持たせた現代的な作り。

 全体的に云えば、最近の日本人パティシェに共通する、確かな技術を感じさせるとても真面目に丁寧に作られたケーキだった。値段も400円台なので、それ程暴力的?ではない(笑)。店のWEBページでは「Heritierのこだわり」と題して、「上質素材を使用して、見た目を美しく、お買い求めやすい価格」とあるが、まさにそれだ。
 あとは「この店でなければ」「わざわざ遠回りしても買いに行く」みたいな、個性的な特徴があれば更に人気店になるのではと思った。

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 ポイントカードも貰った事だし、今度はランチ+ケーキのイートインにも訪れてみたいなと思っている(笑)。


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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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