最後の晩餐にはまだ早い


札幌・西18丁目「プロヴァンサル・キムラ」(2015年札幌食べ続け②)

 スープカレーを食べ終えたらホテルに向かい、部屋で足湯に浸かって一休み、あたりが暗くなったので活動を開始する(笑)、まずは今年の札幌プルミエフレンチは、このブログでは毎年登場している、北海道立近代美術館近くのフランス料理「プロヴァンサル・キムラ」、この店へ去年9月以来一年一ヶ月ぶりの訪問をする事に。

 札幌は色々な意味で「西高東低」だ、市内の西端にある円山・宮の森地区は高級住宅地で、「需要あれば供給あり」の例えどおり、ガイドブックに載る様な札幌のフレンチ、イタリアン、和食店は市内西部に集中している。これらの店が点在するのは市営地下鉄東西線の「西18丁目」駅からで、この駅から西側が少なくともフランス料理店に関しては「美食地帯」と云えそう、その第一関門となるのが、この「プロヴァンサル・キムラ」だ。
 今年の札幌フレンチ訪問に際しては一つのテーマを決めていた、それは「おもに夫婦二人で営む小規模店」で、その理由については旅行記の最後で説明したい。「プロヴァンサル・キムラ」は2003年の開業以来、アルバイトの手伝いはあっても殆ど木村夫妻二人で営業を続けていて、この形態の店としては札幌では老舗の部類になった。

 昼食時間が遅かったので、食事開始を19時にしてもらったのだが、この時間になるとレストランの界隈はひっそりとしている、その中に特徴的なプロヴァンスカラーの黄色いファサードを見ると、砂漠の旅人がオアシスを見つけた時に感じたであろう興奮を覚える(笑)。
 入店後マダムに挨拶し入口近くの席に座らせてもらう、奥の席では近くの札幌医大の医師だろうか、男性4人組が食事を始めていた、私の経験上では夜に男性客が多い店は、料理が美味しい店と思ってまず間違いない(笑)。
 まずは当夜の料理を紹介したい、

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・プロヴァンス産白ワイン‘Prunelle’

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・フォアグラのテリーヌと自家製黒イチジクのコンフィチュール

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・軽く火を通した厚岸産牡蠣と松川カレイのタルタル

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・活〆鱈のブランダードとヒヨコ豆、3種の調理法、イクラ添え    

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・リードヴォーと帆立のソテー、きのこのブルーテ、豚足のカリカリをアクセントに

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・プロヴァンス風牛肉のドーヴ、麦のリゾット、黒大根

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・松川カレイのヴァプール、レモンソース、バニラの香る真狩産フヌイユのコンポート添え

・アールグレイのソルベ(画像なし)

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・ボーヤファーム産仔羊のキャレとタン、旭川野菜

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・フランス産フロマージュ(ブリー・ド・モー、コンテ)※メニュー外だがフランス土産との事でお願いしたもの。

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・リンゴのコンポート

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・栗のシュー・ア・ラ・クレーム、バニラアイス

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・デトックスティー&ミニャルディーズ

 どの料理も力強く主役がハッキリしていて、いい時代のフランス料理の美味しさがある、私はフランス本国の料理が大幅に変わったのは、2002年実施されたユーロ通貨の統合流通からではないかと思っている、以降の料理はよく言えばグローバルに、悪く言えば無国籍になった、日本人料理人がフランスで注目・評価される様になったのもこれ以降だ。
 木村料理長の料理は、ある意味で通貨がフラン時代の料理だと思った、古臭いのではなく、フランス人がフランス語しか喋らなかった時代の、頑固さと芯の強さがあって、料理に迷いがない、あえて似たタイプを指摘するなら、指向する方角は違うが、和歌山「オテル・ド・ヨシノ」の手島料理長と共通点がある。
 特に惹かれたのが松川ガレイのヴァプールで、以前麻布十番「グリグリ」で味わった、「ピック」のスペシャリテ「鮃のソースエムルジョン」を連想し、「これぞフランス料理」と唸りたくなった(笑)。リ・ドゥ・ヴォー・帆立・茸・豚足と云う、難しい4つの食材を合わせる料理も印象的、そして仔羊は過去国内で食べたものとしては指折りの料理、ボーヤファーム仔羊を初めて食べたのはやはり札幌だが、その当時と比べても肉質が向上し、フランスで食べる仔羊に文字どおり「肉薄」して来た(笑)。
 デセールが秀逸なのはもこの店の特徴、「往く秋」を感じさせる素敵な皿でした。

 このムニュ―、本当に細部まで手をかけているなと思う、殆どを料理長一人で仕込みから作った事を考えると頭が下がる(笑)、マダムが「シェフは他に趣味がないので」と言っていたが、とにかく料理が好きで本気で料理にのめり込むタイプなのだと思う、その点では大阪・上本町「コーイン」とも似ている(笑)。
 素敵な料理で素敵な夜になりました、素敵な木村夫妻も健在で、札幌に帰る?時は、まずはこの店へ顔を出そうと思ったのは正解だった、夜遅くまでお付き合いいただきありがとうございました、また必ず「帰って来ます」、取りあえずは‘Bonne nuit’(笑)。


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札幌「Curry Power パンチ」(2015札幌食べ続け①)

 毎年恒例になった「札幌食べ続け」だが、今年は10月末になってしまい、秋から冬に替わろうとする季節、観光には向かないかも知れないが、食材は一年で一番旨味を増す時期だ。
 「無駄なお金は使わない、その分は食べる物に回す」がモットー?の私は、今回もLCC(格安航空会社)&安ホテル(笑)で行程を組む事にする。成田空港では急増するLCC向けに、今年第3ターミナルが開業した、今回初利用となるのでそのレポも含めたい。
 いつもどおり、京成電鉄(勿論スカイライナーではない)で「空港第2ターミナル」駅で下車、連絡バスもあるが今後のために場所を覚えておこうと、案内に従い第3ターミナルまで徒歩で向かう、この通路が事前情報どおりお金をかけていなくて、チープ感が漂っている(笑)、昔の小学校校舎と体育館をつなぐ「渡り廊下」みたいな感じ、此処を延々と歩く、私は普段よく歩いているので何とか行けたが、あまり歩かない高齢者には結構キツイかも知れない。

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 歩く事15分、やっと着いた第3ターミナル、ここも噂どおりのチープな造りで、バブル時代にこんな建物造ったら相当非難されていた筈だが、今は「簡素で判りやすい」とデザイン賞を受ける、時代は変わったなと思う(笑)。個人的には安く行けるのならこれで十分だが。

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 国内線出発は2階、このゲートへ行くまでにまた歩く、こうなるとロールプレイングゲームみたいだ、LCCの発着は遅れがちなので、ソファーは横になれる仕様にしてある。無機質なゲート内に並んだ「ガチャガチャ」がとてもシュールでSF映画的だった(笑)。

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 飛行機に乗るための通路?もやはりチープ(笑)。

 新千歳空港着は12時過ぎ、そこからJRで札幌駅に向かって降りると13時を過ぎていた。ホテルには向かわず地図上を北上し、北15条にあるスープカレーの店「Curry Power パンチ」へ向かう事にした、昨年10月に開業し、今回食旅行の目的の一つだった店だ。
 店主はU君で、彼はこの店からそう離れていない某国立大学の、あまりの居心地の良さに8年間も在籍し(笑)、卒業後も札幌を忘れ難く戻って来て、遂にはカレー店まで出してしまった。私は共通の知人が居た事から知り合いになり、短期間だがフランスのレストランを一緒に回った事もある、その彼が店主ならば、行かない訳にはいかない(笑)。

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 店は広い通りに面しているが、ラーメン店が隣にある他は何もない住宅地、客は殆どが車で来る、そのための駐車場は3台分確保している。入店は13時半、U君に挨拶しカウンター席に座らせてもらうが、この時間まで何も食べていなかったので、相当お腹が減って来た(笑)。

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 メニューは9種類で、スープが3種(ノーマル、梅、イカスミ)から選べ、辛さとライスの量は各自が決める、私は事前情報で画像を見て「旨そう」と訴えるものがあった、「うまうまつくねベジタブル」をノーマルスープ、ジャブ(中辛)、普通盛ライスでお願いする事にした、これだと970円になる。

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 テーブル上にはスプーン、フェーク、ナイフが置かれ客が各自で準備する、「L’AS」みたいなやり方だ(笑)。

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 出来上がった「うまうまつくねベジタブル」カレー、まずはスープを啜るが、意外な程あっさりとしていて和風、ベースは鶏と昆布みたいだ、そこへスープカレー特有のスパイスが各種加わり、日本人とインド人が握手する(笑)。

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 つくねは柔らか目でふっくらと仕上げてあり「鶏つみれ鍋」みたいな感覚、そして東京で食べるスープカレーと札幌スープカレーが最も違うのが野菜の質、旨味があって味が濃く、カレーの強さに負けない。

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 ご飯はカレースープに合わせて、硬めに炊いてある、後から来た北大生は「特盛」を頼んでいたが、あれは人間の食べる量ではない(笑)。
 たぶんスープカレーが札幌で始まった頃は、こうした和風な味付けだったのだと推測する、それがリピーターや若い層にも受ける様、味や濃度を変えるうちに、スープタイプではないカレーと差異がなくなって行ったのでは?と思った。
 失礼ながら予想していたよりずっと美味しかった(笑)、U君ご馳走様でした。この味をコンスタントに出していれば大丈夫でしょう、子供からお年寄りまで楽しめる普遍性がある。
 すっかり気に入った私は、この2日後にもまた店を利用するのだが、それはまた別の記事で(笑)。


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北千住「鶴亀飯店」(2015年10月)

 訪れた事のあるレストランの若手経営者に、足立区北千住在住者が数人居る。JRではなく東京メトロの路線内なので運賃が安い、終電、時には始発で帰宅する事もあるのでアクセスがいい、都心に比べると不動産価格や家賃、物価が安い等の理由が考えられるが、将来彼等が地元にレストランを開業してくれないかなと期待している、それまで自分が長生き出来ているのかは怪しいが(笑)。
 最近も或るフレンチレストランのオーナーが北千住在住と知り、「鶴亀飯店の担担麺、お勧めです」と話を振った処、「あそこの担担麺好きです、近所なのでよく行きます」と既に承知済みだった。その話をしてからは、その鶴亀飯店の担担麺が頭から離れなくなった(笑)、天気の良い日曜日に自転車を飛ばして再訪問をする事に、暑くもなく寒くもない10月の気候は自転車に最適だ。
 我家からは約30分、日光街道(国道4号)に出て千住新橋を渡り、江戸時代は宿場町として賑わった千住宿跡を通り過ぎて、千住警察署の表示のある信号を左折、一部移転してきた東京芸大の千住校舎前に店はある。

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 午前11時の開店直後ながら、既に着席している家族連れがあり、私の入店後も続々と客がやって来る、日曜日と云うこともあるが、担担麺専門店みたいな単品メニューではなく、テーブル席も多いので、客の色々な好みに対応できるのがこの店の強みだ。
 「担担麺食べたい」と思って来たのだが、一応はメニューを見る、「麻婆豆腐」にも惹かれたが結局初志貫徹で担担麺(880円)に決め、プラス120円で白飯・サラダ・フリードリンクの付くセットにしてもらった。

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・フリードリンクはすべて冷たいもので、オレンジジュース、ジャスミン茶、ウーロン茶、アイスティー、アイスコーヒー

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・サラダはインドカレー店で出るみたいな物で、いたって普通(笑)、これなら選べた点心の方が良かったか?

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・前回同様に担担麺が出来上がるまで、胡麻を摺って待つ。

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・箸は洗って使う共有箸、個人的には賛成

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・白飯は開店直後だったので炊き立て、コシヒカリとの事だが美味しい。

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・二回目の担担麺

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・前回利用時にサービス券をもらったので、勿論使う(笑)。

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・チョコレートアイスクリーム、これは市販品みたいで普通でした。

 5ヶ月ぶりの鶴亀飯店の担担麺はクリーミーな胡麻の香りと、後からジワリと来る唐辛子の辛味は変わらずにいいバランスだ。炒めた挽肉も甘口で食べやすい。湯島「阿吽」や岩本町「雲林坊」の担担麺が、辛味と山椒の痺れ感を強調した「刺激系」とすれば、此処や小川町の「かつぎや」は「穏やか系」とでも呼ぶべきか、万人受けする担担麺だと思う。前回に比べると僅かだが麺が柔らかく感じた、個人的好みは前回の方だが、まあ許容出来る範囲だった。

 カウンター席だったが、私の並びは男性一人客が二人、スキンヘッド姿の男性は注文時に「担担麺辛めで」と一言発しただけ、サービスの白飯に見向きもせず、担担麺を食べ終わったらすぐ出て行った、まるで西部劇のガンマンが酒場に寄ったみたいに格好よくシビれた。もう一方の若い男性は「茄子炒め定食」に半分サイズの担担麺を注文、常連客みたいに見えるので、次はこれ真似しようと思った(笑)。
 担担麺を注文する人は多いが、専門店ではなく中華全般をメニューにしているので、皆注文は多様だ、そのため「阿吽」みたいな店全体に漂うストイックさはなく、気楽に食事が楽しめるのはいい、その点では春日の格安四川料理「川国志」と似ている、あそこは勤め人が多く、この店は近隣住民が多そうだ。
 前記事での「イレール」と同じく、地元の人に支持されてこそ「名店」だと思う。友人が日本海側にある大きな町でタクシーに乗り、運転手にその町で有名な寿司店の事を訊いたら、運転手は「お客さん、観光バスで団体客が乗り付ける寿司屋、旨いと思いますか?」と反対に訊き返されたそうだ(笑)、名前だけの名店なんてそんなものかも知れない。

 天気も良かったので、帰りは此処からそう離れていない、千住大橋駅近くにある「石洞(せきどう)美術館」まで行ってみる事に、
http://sekido-museum.jp/
 ここは千住金属工業㈱の元会長、佐藤千壽(号:石洞)のコレクションから始まった美術館で、同社と同じ敷地内にある、ちょっと不思議な建物外観が印象的。

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 現在、「館蔵 日本のやきもの」展を開催している、古墳時代から須恵器、六古窯から昭和の民芸作家まで、数は少ないが秀逸な陶磁器を並べてあり、集めた人の「哲学」みたいなものが感じられる、焼物好きには見応えあるいい企画展だ。
 12月20日まで開催中なので、担担麺を食べに行くついでに訪れてみてください(笑)。


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人形町「イレール」(2015年10月)

 1958年、当時ニューヨークにあったMLBの人気チーム、ドジャーズとジャイアンツは揃って西海岸へ移転を決め、それぞれロスアンジェルスとサンフランシスコに本拠地を構えた。移転の大きな理由には観客減があった、同じニューヨークにはリーグは違うが人気チームの強豪ヤンキースがあり、3球団で観客の取り合い状態になっていたのだ。移転には地元のファンやマスコミの反対も大きかったが、その後それぞれの都市で新たなファン層を獲得し、西海岸を代表する人気チームとして、移転から半世紀以上経過した現在でも存続している。
 この日遠方から来た友人と、久しぶりに人形町のフランス料理店「イレール」で土曜日のランチタイムを楽しんだ後に、上記の事を連想した。この店のオーナー兼料理長の島田哲也氏は、東京恵比寿で独立開業し12年、パリ「アルページュ」仕込みの現代フレンチを続けた後に白金高輪駅近くに移転、ビストロ的に気軽に食べられる料理路線にシフトし、更には2013年9月に下町人形町に再移転、店名も恵比寿時代の「イレール」に復活し現在に至っている。
 恵比寿、白金なら東京では「レストラン銀座」みたいなもの(笑)、街の角々にはフレンチかイタリアンが存在する様な競争の激しいエリアだ、そこから下町地区への移転は相当勇気が要った筈だが、こうして満席の盛況を見ると、決断は正解だったと思う。

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 前置きが長くなったが、まず当日のランチメニュー(3,500円)を紹介したい、

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・海老のセルヴラ仕立て、カシスマスタード

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・自家製パン

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・赤ピーマンとトマトのスープ

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・イサキのポワレ、ラビゴットソース

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・沖縄本部牛のロースト 

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・ガトーショコラとバニラのアイスクリーム

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・ジェイソン ウィンターズ ティー

 前菜の「セルヴラ仕立て」のセルヴラとは、仏アルザス地方名産のソーセージの事で、海老のすり身をそれに見立て作り輪切りしたもの、私がフランス料理を食べ始めた1980年代には、こうした魚介のすり身を使う料理が流行っていたが、手間がかかり過ぎるのか最近は見なくなった、でも久しぶりに食べてみるとやっぱり美味しいし、「この料理、手間かけているな」感がある(笑)。赤ピーマンのスープは、一世を風靡した「赤ピーマンのムース」と材料が同じなので、味の方向が似ている。
 魚料理のイサキのポワレは、前菜とは対照的に真中直球的だが、酸味あるラビゴットが効いていて爽やかな一品。肉料理の沖縄本部(もとぶ)牛は初めて体験するが、噛み応えある赤身肉がなかなかの美味、短角赤毛種かと思い、サービス担当の宮脇氏に訊いた処、黒毛和牛だそうだ、まだまだ知らない牛は各地に居る(笑)、マデラ酒を使ったソースは何処か懐かしい味。
 デセールのガトーショコラは島田氏のスペシャリテ、柔らかな仕上げで店売りでは無理なレストランならではのものだ。ジェイソン・ウィンターズ・ティーは飲むとお腹がスッキリとする。

 一昔前までは「ビストロ」と聞くと、量が多くて塩分や油脂の強い料理を出す店、みたいな印象もあったが、このイレールの料理はそれとは違う、現代的に軽くなっていて健康面にも気を配っているし、手をかける所は抜かず、土台がしっかりしているから美味しい。
 店内はあっという間に満席になった、1,500円のランチを食べ終わると、すぐに出て行く客も居るし、滞在時間の長い女子会グループも居る(笑)、ディナー時以上にこの店の使い方は多様だ、皆ガイドブックを見て初めて来たのではなく、使い慣れたリピート客が多いように見受けた。 
 料理人の往き方は様々だなと思う、「星を取りたい」と躍起になる人もいるし、「コンクールで優勝する」果ては「勲章が欲しい」と願う料理人も居る(笑)。人それぞれで勿論構わないと思うが、島田氏みたいな経歴豊富な料理人が、下町地域に定着して地元客を相手に、若いスタッフ達と楽しそうに仕事をしている姿を見ると、「ナンバーワンよりオンリーワンで充分ではないか?」と思ってしまう(笑)、島田氏の表情も以前より穏やかになった印象を受けた。
 最後は店前で記念撮影、島田氏はコックコートを着ず、エプロンにフランス人が好きな青ボーダー柄のシャツ姿だが、贅肉なく若く見えるためよく似合う(笑)、オープンキッチンなのに、ヨレヨレTシャツ姿の料理人がいるが、あれでは作る料理も不味そうに見えてしまう(笑)、ファッションセンス見習って欲しいものだ。

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 サービス担当の旧知の宮脇さんにも会えたし、懐かしくて美味しいランチになりました。場所も値段も年金生活者になっても此処なら行けると思う(笑)、それまで続けてください、また伺います。 

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南青山「MAMA」

 私が住んでいるのは、東京の起点日本橋から見て鬼門(北東)の方角で、一応東京23区内だが外れも外れ(笑)、埼玉県にはあと僅かと云う場所、都心へ出るのには時間も交通費もそれなりにかかってしまう、そのため外食する店も自宅や勤め先からアクセスの良い、都内北東部が中心になっている。もっと若い頃は遠出も厭わなかったが、最近はすっかり億劫になってしまった、年を重ねると特に夜遅い電車で立って帰るのは辛いものだ(笑)。
 今回記事にする南青山の「レストランMAMA」も、知人から誘いを受けたから行けた店、アクセスも店のコンセプトも「私には遠いかな」と、何も知らなかったらずっと行かないでいたと思う。
 誘ってくれた人の話では、料理人とサービス二人で今年5月にオープン、共に「エディション・コウジシモムラ」で働き、特に店主が提供するワイン類にはこだわりがあるとの事。WEBページを見ると夜だけの営業で、レストランと云うよりワインバー的な店なのかな?と勝手に想像していた。

 店がある場所は渋谷からも表参道からも結構歩く、私は表参道駅から行ったのだが15分位かかった、首都高速渋谷線の下を潜り、恵比須方面へ向かう途中だが、この辺りは表参道駅周辺の賑やかさが嘘みたいなひっそりとした住宅街で、「こんな処に店あるの?」と疑ってしまうが、本当にあった(笑)。
 ドアを開けると迎えてくれたのが、オーナー兼ソムリエ兼サービス担当の平垣内氏、「エディション・コウジシモムラ」時代の彼に見覚えがある。
 JAZZが流れる店内は予想していたより広く、部屋の中央には大テーブル、周りには小テーブルを配して別に個室もある、カウンター席中心のバーではなく、狙いはあくまでレストラン路線みたいだ。照明やインテリア等はスタイリッシュ、並べてあるリキュール類等を見ても、アルコールの品揃えには相当力を入れている。

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 この日の参加メンバーが集まった時点で始まったが、まずは料理を紹介しておく、8名の貸切り対応だったので、普段出している料理とは少し違っているかも知れない。

・自家製ポテチ等

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・クロケット(ブーダン、ブランタード)

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・マーブル(フォアグラ、葡萄、イチジク)

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・えびフライ(海老のカダイフ揚)

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・カリフラワー(帆立貝とカリフラワーの冷製スープ)

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・舌平目のムニエル

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・アワビ(鮑のリゾット)

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・イベリコ豚の天使の羽根(焦がしたジャガイモのピュレ、むかご)

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・フロマージュ2種

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・プリン ア・ラ・モード

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・煎茶

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・ソムリエ厳選ワイン

 料理人は市村氏、「エディション・コウジシモムラ」では長く副料理長を務めたそうで、ベースはあくまでもフランス料理だが、和食器に盛付け箸で食べる事を想定して造りは小さくしている、料理自体のクオリティはかなり本格的だ。中でもカダイフを巻いた海老は、「シモムラ」の的鯛を使ったスペシャリテを連想し、冷製スープも記憶のある味だ。
 イベリコ豚の「天使の羽根」とは、頭から肩肉の中間あたりの肉で、一頭あたり500g位しか取れない貴重な部位、これをオーブンではなくプランチャ(鉄板による直火焼)により火入れしているが絶妙、さすがは下村氏の店で長くストーブ担当をしていただけの事はある。
 最後には静岡の旅館で働いていた事があると云う平垣内氏が淹れる静岡茶、これもフランス料理店では珍しくて上質。私がワインを語らない方がいいと思うが(笑)、この日のメンバーのために平垣内氏が選んでくれたワインも、マグナムボトルが2本あり、内容も素晴らしいものだった。

 おまかせメニューの他にも、カレー、麻婆豆腐、スパゲッティ、とんかつ?等の、日替わり一品料理も提供しているとの事で、これは「スタイリッシュでコンテンポラリーな21世紀の居酒屋」だなと思った(笑)。
 料理もサービスも人材が足りていない今の東京では、スタッフや容れ物にお金をかける従来型のレストランの運営は難しくなった、今後もこの店みたいな調理一人サービス一人、あるいは一人で全部まかなうミニマムレストランが増えて行くと予想する、人で賑わう20世紀型の大型店はもう昔話になりそう、そして日本人の還る場所はやはり居酒屋的な店なのかも知れない。
 なお店名は「きょう、ママンが死んだ」の‘maman’ではなく‘mama’、「ありのまま」から付けたとの事で、出典は「アナと雪の女王」かも?

 美女たちに囲まれた事もあって、美味しく楽しい夜になりました(笑)、お誘いいただきご一緒出来た皆様、平垣内さん、市村さん遅くまでお付き合いありがとうございました。


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浅草「マニュファクチュア」

 フランス料理店の記事が続いたので、今回は間奏曲のつもりでパンの話をしたい。

 「浅草に面白くて本格的なパン屋が出来た」との情報を知ったのは半年位前、何でもビルの3階にあって、エレベーターで昇らないと行けない店だそうだ、まずこれだけで珍しい、そして工房みたいな場所でパンを製造していて、店の名前は「マニュファクチュア‘Manufacture’」、「工場制手工業」の意味なので、ここまで聞けば興味津々、行ってみたいとずっと思っていたのだが、なかなか浅草へ行く機会がなかった。この日は花川戸のフランス料理「エヴ?」のランチに行く事になり、少し早めに浅草に着き店を探す事にした。

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 場所はすぐわかった、東武線浅草駅に直結した松屋浅草のビルを出て、隅田川に向かって歩き、少し北側に歩いた川沿いのビル、1階は「SUKE6 DINER」と云う名前のカフェで、あとで知ったのだが同じ系列店だそうだ、このビルの3階に店はある。
 まずは3階へ行くエレベーターを探すのだが、カフェ側には見当たらない、建物の奥まで行って、ようやく看板と出入り口を見つけた。

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 案内に従い3階で降りたら、目の前には事務所の入口みたいなドア、「え~、此処じゃないだろ?」と思っていたら、奥からパンを焼く香りがして小さな看板が立っているのを発見、やっぱりこれが店だった、どう見ても事務所用物件を強引にパン屋にしたとしか思えない(笑)。

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 そのまま廊下?を進むと左側がパンを焼く工房で、若い男性が二人で作業をしている、熱が部屋全体に回らない様にガラス板で仕切ってあるが、右側には大きなテーブルと小さな冷蔵庫にドリンク類、この場所はパンの陳列兼カフェスペースにしているみたいだ。

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 午前中だった事もあり、パンの種類はそれほど多くない、バゲットにパン・ド・ミ、ベーグル等、その中で真っ先に目に付いたのが「雑穀パン」(税込800円)、あればカンパーニュ系のパンを買いたいと思っていたので、これに即決した。私が好きなマルイ新宿店内「ル・プチメック」の「パン・ド・セレアル」に似ていて、あれを一回り大きくした感じだ、ズシリと重そうでこれは期待できる、美味しいパンは概して重いものだ。
 パンを買う時に応対してくれた男性に、「凄い場所にありますね、入口を探してしまいました」と云った処、「ウチは一階のカフェと同じ経営で、此処のパンを使っているのもあって、こんな形態になっている」との事だった、後で調べたら九段下にあるパン店「ファクトリー‘FACTORY’」も同経営だそうだ、「ファクトリー」に「マニュファクチュア」なんて、変な仏語名詞を使うより単純明快で判り易く、日本人には覚えやすくていいと思う(笑)。

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 家に帰ってから早速食べてみたが、粉の旨味、香り、焼き方は申し分ない、中に入れたセレアル(雑穀)もいい味出している、「ル・プチメック」に比べると雑穀のホールが大きいので、より野性的な感じがした、これが公家社会の京都と武家社会の江戸の嗜好の違いなのかも?(笑)。
 値段は高めだが美味しいパンなので、また買いに行きたいと思う、一階にあったカフェも面白そうだし、此処のパンを使っていれば期待できる。

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 ブログ記事に書いたフランス料理店「エヴ?」もそうだが、東京で最もお洒落じゃない街と思っていた浅草に、こんな小洒落た店が登場するとは昔は想像も出来なかった(笑)。
 私が子供の頃の浅草は、花やしきに松屋浅草の屋上遊園地、今JRAになっている場所にあった新世界と云う屋内娯楽施設、六区の寂れた映画館街しか思い浮かばないが、時代は変わったと、浅草寺仲見世に溢れる外国人観光客を見るに連れそう思う。
 東京は住んで居る人間も追い付けないスピードで街が変わって行く、一番「今の東京」を知らないのは、東京人なのかも知れない。

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外苑前「フロリレージュ」(2015年9月)  

 シルバーウィーク関西からの刺客を迎えての第二試合は、このブログではお馴染みになった外苑前の「フロリレージュ」へ。
 ブログやFBのおかげで、在関西の料理人やグルメな方達と知己になる事が出来たが、彼・彼女達が東京で「行ってみたい」と、一番関心を寄せているのがこのフロリレージュだろう、これは一種の「ないものねだり」もあると思う、私が関西でレストランを選ぶ時に、念頭に置くのが「東京にない店」で、「オテル・ド・ヨシノ」「コーイン」「びすとろぽたじぇ」はまさにそれ(笑)。同様に関西のグルメ達は「地元にない店」に興味を惹かれるのだと思う、私の知る限りでは、関西には現在の「フロリレージュ」に似た店はない、ご希望とあれば見せない訳にはいかない(笑)。

 超人気店なので予約には毎回困難さもあるが、そこを何とかクリアして刺客達と外苑前駅で待ち合わせ店へ向かう、いつも夜は人で賑わう外苑前駅から熊野神社までの細い道は、日曜夜のためひっそりとしていた。開店時間前に着いてしまったので、店の入ったビル前にあるドッグフード専門店?を見学するがさすがは青山だ、ドッグフードまで高級(笑)。
 時間になったので地下一階店舗に入る、レセプションを通って自動ドアが開いたらオープンキッチンのカウンター席、今回も料理人達の動きが一番よく見える最上席に4人で陣取らせてもらった(笑)。料理長に挨拶して始まった「川手劇場」、まずは料理全品をお見せしたい、 

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・投影 さつま芋(ほうじ茶に忍ばせて「焼き芋」を表現)

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・出逢い 鰹

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・名残りとはしり 鮎(フォアグラと鮎、鮎のリゾット)

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・要素 牛(宮崎産経産牛のカルパッチョ、スープ仕立て)

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・ヨード 牡蠣 鮑(牡蠣のフリット、鮑のパスタ)

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・分かち合う 鹿(蝦夷鹿のロースト)

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・本質 車海老(右側は焼いた茄子皮のピュレ)

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・異国情緒 鳩(中華風スパイスを使った揚焼き)

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・リフレッシュ パイナップル

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・艶めかしさ 黒糖(ゴーフル)

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・素顔 マロンスフレ

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・ホオズキのパートフリュイ
・国産烏龍茶

 フロリレージュは9月からディナーのムニュ価格を千円値下げし、全13品だった品数を11品に減らしたが、これについては後で述べたい。
 個々の料理にも少し変化が感じられた、一例として鮎の料理だが、移転後は国産食材を使用するがために、封印していた輸入フォアグラがこの料理で復活した。色々と試してみて、この料理には必要だとの結論に達したのだろう、それが納得できる見事な相性だった。鮑と牡蠣の料理も前店舗時代の「鮑のビゴリ」が原型、車海老も同じく専門誌に紹介されていた「45℃の海老」で、最後の鳩料理も以前出していた鳩を揚げた後に炙って火入れした料理を、中華風香辛料を使用して進化させたものだと思った。
 デセール3品は前店時代の一皿の完成度を高めたものから、もっとシンプルになり、3品完食して完結する構成の組合せにしている。

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 そして、この日初体験だったのがノンアルコールドリンクのペアリング、これがとても面白い、全6杯で6,000円なので安い金額ではないが中身は充実している、柑橘系や、きな粉味や白胡麻味等、バラエティに富み飽きさせない、不思議な事に飲んでいると胃がスッキリとして軽くなる、サービススタッフが目の前で作るからこそ価値があると思った、興味のある人は一度試す価値あり(笑)。

 料理同様少し変わったと感じたのがスタッフ達の対応で、料理を運ぶ料理人もドリンク等を提供するサービス陣も、以前より積極的に客と話すようになった、品数を減らした事により余裕が生じたのが大きいと感じ、川手料理長の狙いの一つはこれではないかと思った。この店のスタッフは皆若い人が多い、料理人としての技術はあっても人間的には未熟だ、それなら客と接する事によって成長して欲しい、これから料理人として生きるにしても、料理から離れたとしても、此処で得た経験を今後の人生に生かして欲しい。考え過ぎかも知れないか、そんな風に感じ取った。
 店も料理も時間と共に変化するものだ、20世紀を代表する指揮者W・フルトヴェングラーが、手兵ベルリンフィルを率いてロンドン公演を行った時、公演曲目が前年と殆ど変わらず、それを英国のマスコミが指摘した処、フルトヴェングラーは「(同じ曲であっても)私達の演奏は、去年とは違う」と答えた逸話を思い出した、料理も音楽演奏と同じく其処に留まるのではなく進化するものだ、「それが判らないのか、あなたたちは」と、大指揮者の怒りが聞こえてきそう(笑)。
 美味しくて楽しい夜でした、関西からの刺客三人衆も喜んでくれたし、案内役の私も安心した、川手料理長以下スタッフの皆様、今回もありがとうございました(笑)。


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六本木「ル・スプートニク」(2015年9月2回目)

 今年は9月にシルバーウィークなる5連休が出現、せっかくだから出かけようかと思ったのだが、皆考える事は同じみたいで、この時期は何処もホテルや航空運賃等が高くて早々に断念、5月の連休同様に家で寝ながら本でも読んで居ようと思っていた。ところが以前からお付き合いしている、在関西のグルメな方達から相次いで連絡があり、「東京に行くので食事を一緒にどうですか?店は〇〇〇がいいです」と、ご指名の連絡があった、私と違って日々多忙な人は、こうした連休でもないと動けないようだ(笑)。
 お金は無いが時間なら人より持っている私は(笑)、喜んでお供をする事にした、予約が大変な店もあったが、そこは何とかクリアして、関西からの遠征客を迎える事に。

 まず第一日目は、六本木に7月にオープンしたフランス料理店「ル・スプートニク」、私はこれで3回目の訪問になる、オープンしたばかりの店に、短い期間でリピートするのは、店にとっては迷惑な客だと聞いた(笑)、理由はまだオペレーションが整っていない事もあり、出せる料理がどうしても限られる、それなのに立て続けに来て、違う料理を期待されるのは困るのが実情、その辺りは理解しているつもりで「私は案内役なので、料理が被っても気にしませんよ」と伝えてあった、さてその結果はどうだったか、まずは料理全品をご覧ください。

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・シュセット、帆立と蕪の柑橘マリネ、蕪のヌーベ

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・薩摩芋チュロス、紫芋のコルヌ・ブーダンノワール

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・秋刀魚の赤ワイン煮、千寿葱、竹炭のチュイル

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・稚鮎の牛蒡フリット

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・鮎のテリーヌ、メロンと胡瓜のガスパチョ

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・セップ茸のクルスティアン、ウフブランマンジェ、サマートリュフ

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・鯖の燻製、ソースロックフォール

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・フォアグラと鰻、黒イチジク、玉葱のソース

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・甘鯛のポワレ、モン=サンミッシェル産ムール貝、香草ソース

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・スコットランド産グルーズ(雷鳥)のロティとカイエット、内臓を使ったソース

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・ピオーネ、シャインマスカット、巨峰のジュレ アルザスワイン「グラニット」の香り、ヨーグルトソルベ

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・カシスモンブラン、

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・紅茶のシューアラクレーム

 前2回と重なる料理もあったが、それは承知している、前回と出来上がりにブレがないかどうか確認すると云う、意地悪な楽しみ方も出来る(笑)。
 秋刀魚は今回前菜に使って「蒲焼き」をイメージしたものだそうだ、フランス料理で秋刀魚や鯵を使うのは難しいが、これはなかなか面白い一品。高橋氏の料理でテリーヌ系は初めてだと思うが「鮎のテリーヌ」は確かな技術を感じる。「ウフブランマンジェ」は、「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」時代の「スフレオムレツ」を原型にして進化させていると思った。フォアグラ~甘鯛の料理も、素材、構成、出来上がりどれも文句ない料理だった。

 そしてこの日の真打は、田村支配人から「届いたばかりのシーズン初のジビエです」と説明のあった、スコットランド産のGrouse(雷鳥)、これが凄かった。私は過去一度だけ食した記憶があり、独特の苦味と腋臭みたいな?強烈な個性を感じ、それ程美味しいものとは思わなかった、それが一夜で引っくり返った(笑)。この料理を体験した後には、川端康成の「眠れる美女」を連想してしまった。
 目の前には、深紅の夜具を纏い横たわって眠る美少女、ナイフを入れると繊細できめ細やかな肉質が露わになる、噛みしめると血の香り、微かに苦味を感じるソースは濃厚でいながら軽やか、失せるのが惜しくて、ずっとこのまま一緒に居たい、儚い美しさを独り占めしたい(笑)。
 何かそんないけない妄想を呼び起こす味だった、私自身はそれ程ジビエをありがたいと思わない人だが、この雷鳥にはやられた、過去国内で食べたジビエ料理では5指に入れたいと思った。
 デセールのモンブランはシンプルでいながら、秋の香りを感じさせるものだった。

 高橋氏の料理を去年から追い続けているが、前店では店名や端正なマスクのイメージから、ラファエロやモーツァルトみたいな「才能と感性に恵まれたアーチスト的料理人」みたいに感じていたが、独立後に3回続けて通ってみて、彼はもっと職人気質で一つの料理を突き詰めるタイプなのかも知れないと、少し考えを改めている。
 田村支配人の的確なセレクションによるワインペアリングもあって、関西からの遠征客も満足して帰られたみたいだし、案内役の私も安心した(笑)、高橋料理長、田村支配人遅くまでありがとうございました。
 明日の夜はまた別の遠征客を迎えて、違うリング?で第2ラウンドです(笑)。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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