最後の晩餐にはまだ早い


大阪・本町「びすとろぽたじぇ」(2015年11月)

 大阪の地下鉄「本町」駅近くにある「びすとろぽたじぇ」は、2011年7月に開業したフレンチビストロで、オーナー料理人は肥田親子、父親は有名調理師学校の西洋料理主任教授だった人だ。
 私はGシェフ(店では父をグランシェフと呼ぶ)が在学中から光栄にも知己になる事が出来、生徒でもないのに授業料なし(笑)でフランス料理の疑問について、色々とご教示をいただいた、私にとっては唯一「師」と呼べる人だ。ビストロ開業後も大阪ながら年に一度は訪問し、「鱸のパイ包みが食べたい」「ジゴ・ダニョー(仔羊モモ肉の丸一本焼き)が食べたい」等、まるで実家に帰った時みたいな我儘な注文を出していたが、その毎に応えてくれて、「大阪の我家」と勝手に思い込んでいた(笑)。
 その店が今年一杯で閉まる事になった、涙が止まらない位に残念だが、店側としても色々と葛藤があったと思う、店は開く時も大変だが、閉じる時も難しい、松井秀喜は「ファンの望むプレーを見せられなくなったから」と引退を表明したが、レストランも「客が望む料理を出せないから」と思った時が、「引き際」なのかも知れない。今が絶好調だとしても、来年、再来年、その先を考えるのが経営者だ。

 閉店前に「お別れ&お疲れパーティー」を開催しようと、在阪の食仲間の呼びかけがあり、単身で東京から駆け付ける事にした、忠臣蔵の時代なら赤穂まで早駕籠5日だが、今は飛行機が1時間半で運んでくれる(笑)。
 普段は日曜休みだが、この日は特別にランチタイム営業をしてもらった、集まった参加者は総勢20名で、皆、食に関してはオーソリティーの関西人、私は唯一の東京人として末席を汚す事になった。
 会費制ビュッフェ、着席・立食は各自の判断?で始まったバトルロワイヤルみたいな会だが、まずは料理を紹介したい。

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・自家製ハム&田舎風豚肉のパテ、リエットのカナッペ(奥)

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・人参のサラダ、根セロリのサラダ(奥)

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・フォアグラのブリオッシュ包み焼き

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・コンソメ

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・スズキのパイ包み焼き(他に鱸形のものあり)

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・豚バラのビール煮

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・仔羊のモモ丸焼き

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・ウッフ・アラネージュ

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・デザート各種

この他に画像に収められなかった料理に
・蕪の冷たいスープ
・ウィンナーのパイ包み焼
・ラタトゥイユ
・鰤のセヴィーチェ風

 私がこの店を初めて訪れたのは、開店翌月の2011年8月だが、料理の印象はその時と殆ど変わらない、フランス的に油脂も塩分も多く使って角を尖らせた味では無く、古典に基づきながらも、穏やかで優しく包容力のある「親父の味」だと思う(笑)。
 どの料理もフランス伝統の調理法に沿った手のかかるもの、中でも「フォアグラのブリオッシュ包み焼き」は、伝説的名店のヴィエンヌ「ピラミッド」でも提供されていたが、恐ろしく手間と時間がかかる名品、フォアグラ、ブリオッシュ、コンソメジュレが三位一体となった突き抜けた美味は、暫く忘れられない体験となりそうだ。
 スズキのパイ包みもジゴダニョーも、過去にこの店で体験したが、おそらくはこの日を最後に、日本では食べる機会はもう無いだろうと思うと、涙腺が緩んできた、こうした料理をプリフィクス5,700円で、当たり前に食べていたのだから、罰が当たりそうだ(笑)、「人は失くした時に、失くしたものの大きさを知る」。

 「2ドリンクまでは定額、あとは各自負担」だった筈が、次から次へワインのコルクが開き、オーナー一家の大盤振る舞いは止まらない(笑)。
 店が終わってしまうのも寂しいが、この日の集まりもずっと終わらないで欲しいと思う程に、賑やかで楽しいものでした。パーティーの類は苦手な私だが、「来るものは拒まない」関西人の温かいサービス精神を目の前にして、飛行機と電車を乗り継いで、ここまで来た甲斐があったと思った。

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 店はいつか終わるもの、人の仕舞い方が葬儀で終わるなら、店の仕舞い方もこうして店を慕う人々に見送られ、盛り上がって明るく終わるのも悪くないと思った(笑)。集まった皆様お疲れ様でした、幹事役を務めていただいたH部先生ありがとうございました、仲間に入れていただき感謝します。
 Gシェフ、シェフ親子、そして目立たずにサポートされていた奥様二人には、とりあえずお疲れ様でしたと労いたい、また何処か別の場面で会える事を願っています。

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 店は12月26日まで営業しています、この記事を読んで「行きたい」と思ったら、「キャンセル待ち」位には何とか間に合うかも知れません(笑)。


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大阪・上本町「レストラン・コーイン」 (2015年11月)

 今回の大阪行きは、私が尊敬している在阪料理人のビストロが、年内一杯での閉店を公表、その「お別れパーティー」の呼びかけがあって参加を決めたもの、メインメニューがそれで、恒例の「関西食べ続け」より短い滞在期間になり、他に寄れる店は少ない。こうなると「あと一店」を決めるのが難しい、未訪問店へ行く事も考えたが、「もし、1日しかスペインに居られないのなら、迷わずトレドへ行け」との有名な言葉を思い出し、「もし、1日しか大阪に居られないのなら」の観点から考えたら、やはり行き着いてしまったのが、ブログではお馴染みの、上本町のフランス料理店「レストラン・コーイン」、此処へ今年2月以来の訪問をする事になった。
 2月は黒トリュフ責め?だったが、11月は白トリュフの時期だ、これはいい季節だと、予約時にはあえて何も云わなかったが、秘かにそれを期待していた(笑)。

 「コーイン」は今夏に店内を改装、席数を減らしカウンター席も設けたと聞いていた、加えて料理にどう変化があるのか確認するのも楽しみだった、在関西のグルメ友人も同行してくれる事になり、夜の帳が降りた上町筋を南に向かう。
 店への到着は18時半、扉には黒いテープが張ってあり、外からは店内の様子は全く見えない、これだけ閉鎖的な店は大阪では珍しい(笑)、フリでは絶対入店しようと云う気にはならない筈だ。
 扉を開けるとコックコート姿の若い男性が奥のテーブル席に案内してくれた、新たに追加した円卓だ。目の前には一枚板を使ったカウンター、バルみたいな作りで此処でも食事が可能だ。以前は誰かが「ダリの絵中みたいな」と言っていた(笑)、独特の雰囲気があった店内はスッキリと整理され、印象が落ち着いてアダルトになった。

 湯浅料理長に挨拶し、始まった当夜のメニュー、まずは全品を紹介したい、料理&食材名はあとで料理長に確認したもの、

アミューズ
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・グジェールバーガー(鹿の自家製生ハム、白トリュフ、トマト、セロリピクルス)

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・ズワイガニのカニみそのタルトレット、秋トリュフ

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・赤ピーマンのババロア、カニ身、ウニ、コンソメジュレ、キャビアの燻製

前菜
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・ユイトル(牡蠣)のボルドレーズ(あかうしのモアール、頬肉、広島カキ、自家畑のトピナンブールのピュレ、ソースボルドレーズ)

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・ラングスティーヌのカネロニ(静岡ラングスティーヌ、フォアグラ、シャンピニオンデュクセル、ソースアメリケーヌ)


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・バローティーヌ・ダンギーユ(物部川天然ウナギ、ファルス、トリュフ、ソースノルマンド)


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・パロンブのココット(パロンブ、自家畑の黒大根と黄カブと白カブと紫ニンジン、ポルチーニ、ジュ)

フロマージュ2種(白・青カビ)
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デセール
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・白トリュフのブリュレ(白トリュフブリュレ、白トリュフアイス)

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・キャレショコラマロン(マロンのムース、マロンのグラス、ショコラの板、キャラメル塩ソース)

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・ミニャルディーズとアンフィージョン

 先に料理の印象を云うと、以前に比べると全体的にシンプルになり、ガルニも減らして主役がハッキリ見えてきた、客に「何を食べさせたいのか」がより判る様になったと思う。1997年に訪れた全盛時代(人によってはもっと前だと云うが)の、PARIS「ランブロワジー」のベルナール・パコーを連想した。
 高価な白トリュフも随所に使っているが、これはあくまでも脇役、それも凄い脇役だが(笑)、黒トリュフが芳香を振りまく妖艶な熟女としたら、白トリュフは清楚だが何気ない仕草に色気を感じる人妻か、すいません変な例えで、要はどちらもいいです(笑)。
 どの料理も印象強かったが、中でも天然鰻は何十年ぶりで、鰻重の養殖ウナギとは味が2オクターブ位違う、これは別種の生き物だと思ったが、それを生かした料理も秀逸。ピレネー産と聞くパロンブ(森鳩)は筋肉質な身で、調理用の飼育鳩とはまるで違う、ピレネーの深い山々を優雅に飛び回る姿を思い浮かべた。
 白トリュフのブリュレは高貴な味だった。

 湯浅料理長の料理は少し変わって来たと思う、以前みたいに食材を物量投入しながら、ギリギリのバランスを取るスタイルから、省ける処は省き、本質的な美味しさを表現する方向になった、これは2月には料理長以下4人居たスタッフが2人になったのも大きいと思うし、年齢的にも円熟して来たのかも知れない、豪速球ばかり投げていたら、いつかは故障する(笑)。
 隣席では若いカップルが誕生日?のお祝いディナーをしていた、こうした目的にも使えるアダルトな雰囲気ある店になったと思う、あと望むとしたら、料理人兼任でもいいからサービススタッフが一人欲しいか、札幌でも感じた事だが特に女性が居ると、店全体の雰囲気がもっと柔らかくなると思う。

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 退店時に「次は来年2月(つまり黒トリュフの時期)に来ます」と、勢いで云ってしまったが、行けるとすれば、店と料理が更に変わっているのかいないのか、確認する楽しみが増えた。帰りには乗る電車のホームを間違える程に、満腹な夜でした(笑)。


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札幌のカフェと喫茶店(2015札幌食べ続け⑧)

 最近、札幌には年1回のペースで来ているが、去年あたりから気付いた事で、市内には居心地のいい喫茶店・カフェが数多くある。冬が長くインドアで過ごす習慣が浸透しているからだろうと思うが、名所旧跡観光に殆ど興味のない私みたいな変な旅行者には、こうした店を訪れるのも楽しみの一つになった。
 国内でも国外でも、山の中みたいな場所は別にして、ホテルで朝食を食べる事は滅多になく、ホテルから抜け出て街中の店に入る事が多いのだが、札幌は早朝から営業している店も結構あり、この手の店には事欠かない。
 「札幌食べ続け」の番外編として、今回利用した店を紹介しておきたい。

・「ジ・エンド・カフェ」(西16丁目)
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 ホテルの近くにあり、7時半から早朝営業(11~3月は9時から)していて、不思議な名前に惹かれて入ってみた。
 店主はドアーズファン?と思ったのだが、帰ってから店のWEBページを見たら、
「THE END CAFÉは元々カナダのバンクーバーにあるローカルカフェの名前でした。(中略)お店に来ていただいたお客様には、また戻って来てほしい=最後に辿り着くカフェという意味も込め、付けさせていただきました。」
 と命名の由来があった。 
 店内はなかなか落ち着いた雰囲気、禁煙でないのは惜しいが、落ち着いて時間を過ごせる、モーニングセット(7:30~10:30)はホットサンドセット(500円)とフレンチトーストセット(600円)の2種で、フレンチトーストが名物みたいなので頼んでみた。

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 セット内容は、バゲットを使用したフレンチトースト+サラダ+コーヒー、物からして「飛びぬけて美味しい」と云う程ではないが、この値段なら満足できる。窓外には近くの札幌医大病院内の木々が見え、本を読みながら寛ぐ時間は、日々のストレスから開放されていく(笑)。

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 ランチ時にはスープカレー等も提供している様だ。

・「南蛮屋珈琲店」(西16丁目)
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 これもホテル近く、早朝営業(8時~)と「自家焙煎珈琲」の文字に惹かれて入店した。店に入ると奥に細長い造りの客席、店主一人で対応していたが、全体的に古びていて「昭和の喫茶店」の雰囲気が漂う(笑)、ここも喫煙可。

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 注文したのはコーヒー+クロックムッシュ+サラダのモーニングセット(540円)、「クロックムッシュ」は薄切りトースト2枚の間に玉ねぎ、チーズ、トマトを挟んだシンプルなタイプ、コーヒーは昔風の深煎りタイプで美味しい。

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 ランチ時にはカレーやオムライス等も出している。

・名曲喫茶「ウィーン」(西7丁目)
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 「食べ続け」本編でも書いたが、狸小路アーケード内にあるクラシック専門喫茶店。此の地で50年以上営業を続けていると聞く。
 東京でも昭和の時代は各所にこうした「名曲喫茶」があったが、現在は絶滅寸前、私は時に数少なくなった店を訪ねているのだが、その情報を調べている内に、この店の存在を知った。

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 地下にある店舗は古く、客席のソファも古びて所々擦り切れている、マッキントッシュ(PCメーカーとは別)の大型スピーカー(XR290)を、同じマッキントッシュの大型アンプで鳴らしている。

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 コーヒーは500円、これも深煎り(札幌全体では深煎りが人気みたいだ)で昭和の味(笑)。
 入店時にはモーツァルトのピアノ協奏曲、続いてブルックナーの交響曲第9番が流れていた、音色は滔々と流れる大河みたいな印象、細部に拘るより曲全体を掴みで聴かせる感じだ。
 この場所で聴いていると、映画「フィールド・オブ・ドリームス」みたいに、既に故人となった演奏家や、知己のあった音楽愛好家達が、目の前に現れて来るみたいな錯角を覚えた、まさに昭和が蘇った(笑)。
 店主も高齢だが、やって来る客も高齢な男性一人客が多い、私の隣に座った白髪男性は座ると鞄の中から、近くの中古ショップで買ったらしきCDを取り出し、嬉しそうに眺めていた、街中に残された数少ない高齢男性が立ち寄れる場所になっている。
 これからそう長く営業を続けるとは思えないので、行くなら今のうちだと思う、札幌メモリアルとして記憶に留めたい場所だ。

 この他にもまだまだ魅力ある喫茶、カフェがありそう、札幌フレンチ巡りもいいが、カフェ巡りなら財布にも胃腸にも優しい(笑)、札幌を訪れたなら自分好みになりそうな一店を見つけてください。
 今回で「2015札幌食べ続け記」を終わります。


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札幌・ススキノ「サヴール」(2015札幌食べ続け⑦)

 毎年の「札幌食べ続け」ではリピート店だけでなく、出来るだけ新規訪問を一店入れる様にしている、未知の料理人との出会いは自分の視野が広がる事になるし、簡単に云えば「浮気心」でもあるのだが(笑)。
 私の好きなのは夫婦二人で営んでいる小規模店だが、実はこれが東京では少なくなっている、私がフランス料理店に通い始めた頃は、こうした店は赤坂「ビストロ・サンノー」等数多かった、「北島亭」も「ひらまつ」も元は料理人夫妻が中心で始めた店だ、減ったのはPARISでも同様みたいで、これは夫婦の形態が都会から変わりつつあるのでは?と推測するのだが、詳しい事はわからない。
 札幌にはまだこのタイプの店が多くある、その理由を知りたいのもあって、今回は小規模店中心に回る事にした、そして最後のランチに選んだのが、ススキノにあるフランス料理店「サヴール」だった、知人の料理人からお勧めがあった店でもある。

 料理人は金田二朗氏、神奈川出身で箱根、フランス、東京のフレンチで働いた後、札幌の有名フレンチ「ル・ヴァンテール」の料理長を経て、2012年に此の地に独立開業した、一緒に働く奥様はパティシェールで、吉野建氏の「ステラマリス」(小田原&PARIS)で働いていたそうだ。
 店の場所は繁華街ススキノの真ん中、それも雑居ビルの2階なので、これまで訪れた札幌西部のフランス料理店とは、雰囲気がかなり違う。似たビルが多くあり迷ってしまったが、手書き黒板による店の案内を見つけ、やっと店が判った。

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 2階に上り店舗の扉を開けると、眼の前にオープンキッチンとカウンター席、左奥には椅子席があるが、全体的な印象は寿司屋や天麩羅店みたいな造りだ、名前を告げて「カウンター席でいいです」と予約時に言ってあったので、そのまま料理長前の特等席?に座り、料理長に挨拶する。
 ランチメニューは税込2,160円と4,860円の2種で、せっかくなので「スペシャル」と名付けられた後者をお願いした。
 まずは料理から紹介したい、  

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・アミューズブッシュ(帆立のグリエと茗荷)

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・‘Vin en verre ’から選んだのは、奥尻ピノ・ロゼとボーヌ・ゴワ・ヴァニエ

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・南瓜のポタージュ

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・羊アキレス、タン、ネック、脛肉など温かいサラダ仕立て

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・クネル~北海道~(白身魚、帆立貝のムースに甘海老、タラバ蟹、生雲丹)

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・足寄永井ファーム三歳メス馬バラ肉のグリエ

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・選べるデセールメニュー

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・バトン・ド・ショコラ“フランボワーズ”

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・コーヒーとミニャルディーズ

 北海道食材が並んだ料理で、店のコンセプトも「北海道のフランス料理」を前面に打ち出している、全体的な印象では他の札幌のフランス料理店とは、少し味の方向性が違うかなと感じた。札幌フレンチの特徴を一言で云えば、「乳脂肪分を多く使い、豊富な道産食材の本質を崩さない料理」と感じていた、フランスなら北部ノルマンディーの料理に近い印象を持っていた。
 金田料理長は酸味を積極的に使う、この点では東京的だ、例えば東京の料理人が札幌にフェア等で招かれて、道産食材でフレンチを作れと云われたら、これに近い料理になるのでは?とも思った。
 スペシャリテのクネルは、本場リヨンで食べた物よりかなり軽く作ってあり現代的だ、食べ続けだったので別の魚料理にしようかとも思ったのだが、選んで正解だった(笑)。仔羊・鴨の選択もある中から選んだ足寄産の馬肉は、東京で出回る熊本産に較べるとより野趣と旨味がある、これも選んで正解。
 デセールの味、ビジュアル共に秀逸で、このレベルなら東京・大阪の高級店でも通用すると思った。

 サービスの女性が明るく笑顔を絶やさず、邪魔にならない程度に話しかけてきて好印象だった、今東京では慢性的なサービス人材不足だが、彼女なら東京でも人気者になれそうな気がする(笑)、席数21に対して厨房4人+サービス2人はかなり手厚い体制だ。
 金田料理長は一見ラグビーの五郎丸選手似(笑)、気難しそうな印象もあったが、話してみると穏やかな口調ながら、料理に熱い人なのが判る。スタッフに的確な指示を与える姿は、さすが高級店の料理長経験を積んでいると思った。
 雑居ビル内のロケーションなので、店へ入るまで「ときめき感」が湧かないのが少し残念な点だが、料理・デセール・サービスどれもバランスが取れていて好印象、また訪れてみたい店だと思った。

 今回訪れた札幌のフランス料理店は4店、うち2店は料理人夫妻だけ、残りの2店も夫妻が中心になって営業をしている、どの店も家庭的な温かさがあって、夫妻の家に招かれているみたいな安心感があった。家族のあり方が変ろうとする現在、昔ながらの最小単位で店を続けるのは、ある意味古いやり方なのかも知れない、でも料理はやはり「人」だなとあらためて思った、そして店が成熟するには、ある程度の年数が必要だと云う事も理解した、「名店」は一朝一夕では決して出来ないものだ。
 東京とも大阪とも違う、独自の進化を遂げている札幌フレンチだが、私は大好きだ、自分が動ける内は出来れば毎年通いたいと思っている(笑)。


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札幌・西8丁目「クネル」(2015札幌食べ続け⑥)

 今年の札幌フレンチ3軒目は、西8丁目狸小路にあるビストロ「クネル‘Quenelle’」を訪問する事にした、2008年この地に開業し、私は2010年秋に訪れていて、それ以来だから5年ぶりになる、「光陰矢の如し」と云うが、私の年齢になると歳月は矢よりミサイル並のスピードに感じてしまう(笑)。
 オーナー料理人は屋木宏司氏、東京・三田の名店「コートドール」で14年間斉須料理長と働いた後に出身地の札幌で開業した、奥様も料理人出身で有名調理師学校の職員として勤務経験がある。
 前回訪問の印象では、コートドールの精神を受け継ぐ、正統的でシンプルな料理を、東京では考えられない低廉価格で提供していると思った事に加え、料理人夫妻の飾らない人柄、細やかな気遣いに心打たれた記憶がある。すぐに再訪するつもりだったが、札幌は行きたい店が多過ぎて後回しになっていた、それを反省して今年の訪問計画に入れた店だ。

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 店のある場所は、中国人観光客がドラッグストアで「瀑買い」に励む狸小路アーケードの入口(出口?)近く、わざと古びた感じのドアを入口にしてあり、北海道特有の雪除け室から店内の雰囲気は初訪問当時と変わっていない、レストランと云うより、私が通っていた小学校の古い木造教室を思い出す(笑)。

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 店奥の半円テーブルに座らせてもらう、同じ卓の奥には別のグループが居たが間を仕切ってあり特に気にならない。店を利用した人は「ああ、あの席ね」とすぐ判る筈。

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 「プロヴァンサル・キムラ」のマダムはマダムだが、此の店の奥様は奥様と呼びたくなる(笑)、久しぶりの訪問である事を告げると、覚えていてくれたみたいだ、おかげで緊張がほぐれていく(笑)。前回利用時は夫妻だけで営業していたが、今はサービス担当の女性が加わり3人体制、厨房に見える尾木料理長も全く変わっていなかった。

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 ムニュはなくカルトのみ、さあ何を選ぼうか悩む、前菜はすぐ決まったが、メインはコートドール直伝の「牛尾の赤ワイン煮込み」と最後まで悩みながら、結局以下の組合せにした。

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・カリフラワーのフランとカキのムニエル(税別1,600円)

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・自家製パン

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・十勝仔牛もも肉のストロガノフソース、バターライス添え(2,400円)

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・きたあかりとホワイトチョコレートのスフレ、ヴァニラアイスクリーム添え(650円)

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・コーヒー(400円)

 スペシャリテのクネル(900円:安い!)も食べてみたかったが、翌日ランチの店でクネルを食べるつもりでいたので断念した。
 カキ料理は道産牡蠣だと思うが、小ぶりながらしっかりした食感と旨味の詰まった身をムニエルにし、柔らかいフランをソースにして食べる、「カキフライとタルタルソース」の変形?これは旨くない訳がない、幾つでも食べられそうだ。
 ビーフストロガノフは三田「コートドール」のランチメニューで食べた記憶があり、それとの比較もしたかったのだが、よりビストロ的と云うか親しみやすい料理になっていた。悪い意味ではなく「まかない料理」的で、コートドールの厨房で、斉須氏、尾木氏、私の3人でこれを食べている光景が浮かんだ(笑)、フランスの厨房で食べる「まかない」は世の中で一番旨いと、斉須氏が名著「十皿の料理」で語っていたと思った。
 デセールは前回もスフレで今回もスフレ(笑)、作るのが面倒なのか東京のビストロではあまりカルトに載らないが、やはり出来たては格別、道産「きたあかり」を使ったのが珍しい。

 近い席だったので見えたのだが、厨房内に斉須政雄氏が料理している姿を撮った小さな写真が掲げてあった、独立して7年経っても、修業した店と師へのリスペクトを忘れない姿勢は素晴らしいと思う、その真摯さが料理にも表れている、そう思った。
 前記事で「成長や進化を感じられる店に通うのは面白い」と書いたが、この「クネル」にはそれとは違う「変わらない事の良さ」がある。
 店内は何時の間にか満席に、同じ卓や他席の会話が聴こえるが、「有名店に一度は来てみたかった」みたいな一見客ではなく、皆本当に料理を楽しんでいる、実直で芯があって「今日何を食べたか」が、後になっても思い出せる料理を作る店とは、理想的な関係に見える。私みたいな道外者がいい関係を荒らしてはいけないのかな?とも思ったりするが、でもまた来たい店だ(笑)。

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 卓上にはこの店を紹介したガイド本が置いてあり、「気軽にフレンチを自然体でいただく」と書かれていたが、店も客も作為の無い自然体そのもの、「味も人なり」だなとつくづく思う(笑)。
 奥様に見送られて退店するが、次来る時には「ただいま」と云いそうな気がする、札幌が誇るべき珠玉のビストロ、この地で健在でいて欲しいと願わずにいられない。


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札幌「Curry Power パンチ」~「ル・プティ・ブーレ・ショコラティエ・サッポロ」(2015札幌食べ続け⑤)

 今年の「札幌食べ続け」後半戦がスタート、初日に行ったスープカレーの店「Curry Power パンチ」を早速再訪する事になった、それも今回は車による送迎付きと云うありがたい設定(笑)。
 「リアン」に同行した札幌の友人と、「パンチ」の店主U君は旧知の間柄で、そこへ私がやって来たので、「皆で行きましょう」との話になり、友人の奥様まで運転手も兼ねて参加、3人で豪華自家用車(私は車の事は判りません(笑))によりスープカレー大名行列を敢行、初日に札幌駅から結構歩いたので助かった。

 札幌フレンチは市内西部に多い事を前記事で書いたが、スープカレーの有名店は市内北東部に多い、これは客層の違いとしか思えないが、この「パンチ」がある辺りはタワーマンションや新築住宅が増えているので、これから開発が進む地域なのだと思う。
 3台分の駐車場が塞がってしまう前に店に着こうと、午前11時の開店直後に到着したが、既に食事を開始しているグループがあった、カウンター席に3人陣取り、再びメニューを選ぶ。前回は「うまうまチキンベジタブル」だったので、今回は人気メニューの一つ「やわらかチキンベジタブル」に決め、プラス80円で梅スープにして、辛さは前回より一段階辛い「フック」にしてもらった。

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 しばらくしてから運ばれて来たのが、「やわらかチキンベジタブル」+梅スープ(合計1,030円)、鶏つくねが骨付き鶏モモ肉に変わり、野菜の種類も少し違う、叩いた梅肉が加わり、これを崩しながら食べると、辛味と脂味と野菜の甘味に酸味が加わって味が複雑になる、リピーターが飽きない工夫だと思うが面白い。鶏肉は柔らかく煮込まれ食べ易く、何より美味しいと感じたのが具の3種類のジャガイモで、さすがは本場札幌、東京では出会えない味だ。

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 ご飯は「ほしのゆめ」と云う北海道米だそうで、硬めに炊いてありスープカレーによく合う、この日はアルバイトのお姉さんが丁寧に盛ってくれたので、U君より美味しそうに見えた(笑)。
 3人共あっと言う間に完食しました、ごちそうさまでした美味しかったです、「札幌に行く時は、寄るのが必須な店」がまた増えてしまったが、来年も来ます、これから長く続けて欲しいと願って、U君とは別れた。

 食後、「デザートを食べに行こう」との話になり、友人夫妻お勧めの西8丁目にある「ル・プティ・ブーレ・ショコラティエ・サッポロ」へ向かう事に。2010年10月にオープンしたチョコレート専門店で、店主はPARISの有名ショコラティエ「ジャン・ポール・エヴァン」で働いていたそうだ。

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 広い道路に面した1階店舗、外観はなかなか洒落た雰囲気で、PARISや東京でも充分通用しそうなセンスだ、扉を開けると蠱惑的なチョコレートの香りが漂ってくる、店に入ると左側が生チョコやケーキ類を並べた冷蔵ケース、手前と奥が焼菓子等を並べたスペース、訪れたのがハロウィン直前だったので、それに因んだ飾り付けをしていた。

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 右側が2卓のイートインスペースで、友人から聞いて驚いたのだが、買ったケーキをここで食べる場合は、ケーキの販売値段を払うだけで占有でき、飲物の注文は必須ではなく、何も言わずとも無料の焙じ茶が出る、これは東京ではあまりないサービスだ(笑)。

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 まずケーキを注文するが、結構種類が豊富なので何を選ぶか迷う、結局素材のチョコレートの味が判りそうなシンプルな外観から「クロリオ」(440円)を選んだ。後で店のWEBページを見たら「ビターなムースショコラとビターなチョコレートスポンジの一番シンプルなケーキ」とあったので、判断は間違ってなかった(笑)。「クロリオ」とはカカオ豆が成る樹の種類、ケーキ類の値段は東京の高級パティスリーや「ジャン・ポール・エヴァン」の日本店と比較すれば安い。

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 肝心の味だが、チョコレートの甘味・酸味・苦味のバランスはいい、舌上での滑らかさもあって香りも感じる、全体に尖っていなくて優しい味だ。「PARISのジャン・ポール・エヴァンと同じか?」と訊かれると、これは少し違うだろうと思う、知人のパティシェも言っていた事だが、日本で入手可能な材料で作ると、完成度にはどうしても限界があるし、客層を考えたらそんなに高い値段は取れない、それを考慮すれば十分美味しく、家の近くにあれば嬉しい店だ(笑)。

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 繰り返すが、ティーカップでサービスされた焙じ茶は「無料」だ(笑)。
 この日使ったお金はスープカレーとケーキで約1,500円、その割には充実感が大きい、高知の友人が上京し、東京の某有名パティスリーに入って、家族5人でケーキと飲物を頼んだら、支払いが1万円超えたと驚いていたが、東京は怖い所だ(笑)。そんな事考えると「札幌に住みたいな」とも思ってしまう、冬の豪雪はちょっと辛いが、それ以外の季節なら真剣に考えてもいいかも知れない(笑)。
 楽しい午後になりました、忙しい中付き合ってもらった札幌の友人夫妻に重ねてお礼申し上げたい、ありがとうございました。


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札幌・東本願寺前「らーめん五丈原本店」(2015札幌食べ続け④)

 「リアン」での友人との楽しいランチの後は、ホテルに帰るのも詰まらないので、そのまま西7丁目まで歩き、かねてから行ってみたいと思っていた、狸小路にある老舗の名曲喫茶「ウィーン」を訪れた。

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 この店についてはあらためて別記事で書くつもりだが、創業は1959年なので、半世紀以上前から此の地にあるクラシック専門喫茶、もう存在自体が奇跡としか思えない店だが、せっかく訪れたのにワインの酔いが回わったのと、「安らかに眠ってください」との暗示みたいな、ブルックナーの交響曲を聴いていて、暫しの間居眠りした事を悔いる(笑)。 
 その後ホテルに戻ってベッドに横になっていたら、昨日早朝からの疲れが出たのか、今度はそのまま本気で寝てしまった(笑)、目が覚めたら午後8時を過ぎている、この日の夜はレベルが高いと聞く、札幌の回転寿司店を訪れてみようかなと思い、地図までプリントしていた(いまだにスマホ持てない(笑))が、この時間になるとさすがに遠出する気を失くした。これから予約なしで利用出来る所となると、ホテルの近くにスープカレー店があるが、初日に行った「パンチ」に明日も行く予定なので、これはパス。そうなると消去法で残ったのは、深夜までやっているあの店、そう「らーめん五丈原」しかない(笑)。

 今回の札幌旅行は天候に恵まれた、最終日に少しだけ雨に降られたが、その他は快晴、気温も思ったより低くなく移動が楽だった、西8丁目にある店舗へも当然歩いて行く事に、少しでも摂取したカロリーを消費しないといけない。

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 東本願寺前にある本店に着いたのは21時を過ぎていた、この時間にラーメンは身体にはよくないが(笑)、まあ許してください。店は夜中3時まで営業しているので、深夜営業の個人タクシー運転手が仕事の合間に食べに来る店でもある、この時間帯でも満席に近かった、まずは食券を買うのだが、今回は迷わずに「とんしお」(680円)を、過去何種類か食べてみたが、個人的にはこれが一番好きで、他店では出会えない味だと思う。
 席に座って食券を出すと、店員が「スープはあっさりとこってり、どちらにします?」と訊いてくる、「あっさり」をお願いしたが、以前は何も訊かれなかったので、「二郎系」等を知った若い客の濃い味好みに対応する様になったのだろう、これはスープカレー店で感じた事と同じだ(笑)。誰に何と言われようと「己の味」「店の味」を貫き通していた頑固店主の時代は終わり、様々な年齢層や嗜好に対応していかないと、店は長く続けられない時代になったのだと思う、これは他のあらゆるジャンルの飲食店にも共通して言える事だ。

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 カウンター前の調味料等の配置は以前と変わらず、若い店員さん達は活気あるが、ただ怒鳴るだけの「カラ元気」ではない(笑)、表情が明るいし、作業を楽しんでいる様子が見受けられる、これは大事な点だ。

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 割と早目の待ち時間で出て来た「とんしおラーメン」、嬉しい久しぶりだ(笑)。まずはスープから啜るが、コクと旨味は記憶にある味、塩分、脂分、旨味成分がエミルジョンされたバランスは絶妙、微かに甲殻類の味と香りを感じたのだが、あとでスープの製作担当者に確認した処、海老出汁等は使っていないとの事、ちょっと不思議だったが美味しい。
 続いて麺だが、縮れの少ない細麺は以前と変わらず、茹で方も安定している。以前にも書いた事だが、此処のラーメンはデパートの物産展でも経験しているが、味は本店で食べるのが格別、これは麺の輸送管理や茹で方の違いによるものではないかと睨んでいるのだが、違うだろうか?チャーシュー、メンマ、海苔の副菜類もいい、これで680円は東京のレベルを考えたら安いと思う。
 いや美味しかったです、ご馳走様でした。本当は「チャーシューおにぎり」も追加でいきたかったが、ぐっと堪えました(笑)。

 店内は遅い時間になっても客が絶えない、ススキノ同伴帰りみたいな怪しげなカップルもいたが、その街の特徴を表すのはフランス料理店よりラーメン店かも知れない。

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 閲覧注意の噂のオカルトポスター?も見られたし(笑)、やはり札幌行くなら一度は寄りたい名店。これからまた摂取エネルギー消費のため、ホテルまで歩いて帰らないといけないが(笑)。


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札幌・西20丁目「リアン」(2015札幌食べ続け③)

 札幌2日目は、十年来の付き合いになる札幌の友人と合流、西20丁目にあるフランス料理「リアン」のランチタイムに伺う事に、私はこれで3年連続の訪問になる。
 料理人に色々なタイプがある様に、食べる側も千差万別だ、独自のランク&点数付けに励む人がいるし、新規開店に誰より早く行くのを使命にする人もいる、価値観は人それぞれでいいと思うが、私自身はどんなタイプかと云うと「定点観測型」だと思っている。気になる店を見つけたらまず行ってみて、料理に何か感じるものがあれば、その店へ続けて通う方だ。東京都外だとそう頻繁には行けないので、年一回の訪問になったりするが、それでも成長や進化を感じられる店に通うのは面白い、私には子供はいないが、たぶん成長を見守る親の気持ちに近いのかも知れない、子供と同じく何時か店は客を追い越し離れて行くかも知れないが、それまでは同じ時間・空間を共有していたいと思ってしまう。

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 前回訪問はディナーだったが今回はランチ、札幌はススキノ等の繁華街を除けば、昼間が活動の中心になっている様にも感じる、フランス料理店も概ねランチタイムが賑わっているが、この日も続々と客がやって来て結局満席になった。
 12時の入店後マダムに挨拶し、二人で並んでカウンター席に座るが、眼の前に暑苦しい男子二人は、マダムにはちょっと辛かったかも知れない(笑)。
 それはともかくとして、この日の料理を紹介したい、

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・ハイビスカスとローズヒップティー

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・サーモンの自家製スモークとガーデンハーブ

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・軽く〆た関鯖、トマトのマルムラードと大根サラダ

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・自家菜園の野菜のエチュベ、ベーコンのソース

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・落葉きのこのコンソメ

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・キンキのファルシ、甲殻類のソース

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・蝦夷鹿のロースト、根セロリと天然まいたけ、ソースポワブラード

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・栗とトリュフのパルフェ

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・サヴァラン (小田原曽我梅林の梅酒、足柄いちじく、足柄梨)

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・マダムがハンドドリップで淹れた珈琲

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・ミニャルディーズ

 まず友人も感心していたが、木下料理長はすべて一人で料理しながらも盛付が綺麗だ、これは小田原でのホテル勤務経験がプラスになっているのではと思う。
 以前に比べ料理中に「自家製」の食材が増えた、スモークサーモンは嫌な脂の酸化臭を感じさせない秀逸なもの、料理長は自宅近くに農地を借りて、自家菜園で野菜を作り始めたそうだが、この野菜のエチュベは鮮烈な美味しさだった。
 自ら山中に採りに行ったと聞く茸類も野趣あふれるもの、特にコンソメの香り高さは今年体験した中では、「オテル・ド・ヨシノ」「コーイン」と並んで三指に入れたいと思った。
 魚料理のキンキ、肉料理の蝦夷鹿も地元ならではの美味しさを感じたが、一方関鯖の料理はこのムニュの流れの中では必要ないかな?とも思った、私みたいな道外客は、フランス料理でも「北海道的なもの」を求めたがるが、料理人特に若い人達は、そこだけに留まりたくない、地方性だけで評価されたくないと云う想いはあると思う、この辺りの「せめぎ合い」は興味深い(笑)。
 デセール2品はどちらもいい出来で、甘党の男子二人は思わずニッコリ(笑)、マダムがハンドドリップで淹れたコーヒーも、マシンで淹れたのとは段違いに美味だった。

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 店に置かれていた「SAPPORO PREMIST」と云う不動産業界誌に、この「リアン」が紹介されていた、記事によると札幌生れで札幌育ちの木下料理長は、もともと製菓志望だったが、就職先のホテルで洋食部門に配属された事から料理の道に進む事になった。ホテルダイニング出身でその後独立する料理人は少なくなっていると感じる、給与体系や福利厚生がしっかりした企業組織から、あえて個人オーナーと云う「茨の道」に進みたくないのは、経済情勢や将来を考えたら当然だと思う、それでも木下氏は自分が生まれ育った札幌で、自分の店を持ちたいとの想いは不変だったみたいだ。
 この紙面から木下氏の言葉を一部引用させてもらうが、
「日本人が作るフランス料理の意味というものを、ずっと考えています。日本の美しい四季を、繊細な風情を、お皿の上で表現したい。私の料理を食べて、今年もこの季節が来たと感じていただけたらうれしいです。」
 とあった、この言葉が「リアン」の料理を表現していると思う、来年は料理がどう進化しているのか、それもまた楽しみだ(笑)。
 楽しい午後になりました、木下夫妻のおもてなしに感謝したい(笑)。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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