最後の晩餐にはまだ早い


大阪・上本町「レストラン・コーイン」(2016関西食べ続け②)

 去年11月に利用し、白トリュフ料理が強烈な印象だった大阪・上本町の「コーイン」、帰り際に「今度は黒トリュフの時期に来ます」と約束?してしまい、それを果たすため今回食旅行最初の訪問店にした。これは例えれば初入幕した力士が、いきなり全盛期の曙と対戦するみたいに無謀な計画、まずは怪我をしない様に土俵上を逃げ回るしかない、昔見た貴乃花との対戦を思い出した(笑)。
 噂では前回居たサービス担当が辞め、湯浅料理長一人つまりワンオペで店を回しているとも聞いたが、誰か居ても何をやり出すか判らず、それが一人なら尚更危険では?の心配もあり(笑)、怖々と中の様子が全く見えない入口ドアを開けた。

 店内では既に4人客が食事中、そのまま奥へ進むとコックコート姿の可愛い女性が居た、料理長の他に若い男性も厨房内に見えたので聞いていた話と違う、あとで料理長が教えてくれたが、この夜は私を含め3組の来客だったので、他店に頼みヘルプに来てもらったそうだ、これなら安心?だ。
 奥のカウンター席に座り、始まったのが「恐怖の黒トリュフ祭り」(笑)、まずはさておき料理画像を紹介したい、

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(アミューズ)・富山どろ海老のカクテル(左)、長崎トラフグの炙りと皮の湯引き(上にトリュフ)

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・ウルグアイ産フレッシュキャビアの燻製

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・フォアグラとトリュフの冷製仕立て、自家畑サラダ

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・土佐ジローと黒トリュフのウッフブルイエ

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・コンソメトリュフ(ここまでが前菜)

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・静岡泳ぎラングスティーヌのラビオリ、ソースビスク

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・ブッフブルギニョン

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・パッションフルーツとココナツ

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・トリュフのブリュレとアイス

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・プティフール
・エスプレッソ

 トラフグは高級和食店でも出ない程の上質な身、「どろ海老」は名前が気の毒だが、日本海側から来る甘味ある海老を南仏風な味付けにしている、以前にも書いたがアミューズで客のハートを掴めるのは、料理がいい店に共通する事だ。
 通常だとここで「赤ピーマンババロア」が出るが、今回はキャビアそれも燻製にかけたものだった、これは見た目も味も鮮烈で目が覚めた(笑)、下に敷いたパートブリック?も、通常使われるブリニより断然美味しい。
 そして前半の山場がウッフブルイエ、これ見ただけでとんでもない料理なのが判ると思う、土佐ジロー卵と黒トリュフが濃厚なチークダンスを踊り出す(笑)。私が風邪気味だからと出してくれたコンソメも優しい味わいだった。
 料理長が得意とするビスクも濃厚華麗な味、肉料理は「ブッフブルギニョン」と名付けているが、原型はPARIS「グラン・ヴェフール」のスペシャリテ、「クッフ・ド・ブッフ(牛尾)のパルマンティエ・トリュフソース」みたいだ、オリジナルの牛尾肉ではなく肩肉を使ったとの事。
 そしてこの日の圧巻はデセールで、黒く見えるのは勿論チョコレートではなく本物のトリュフ、街中で突然裸の美女に出会ったみたいな唐突さで、これは反則技を繰り出された(笑)。

 この日ヘルプに来ていた女性が「今、厨房はとんでもない事になっています」と笑っていたが、「これでもか」と繰り出して来るトリュフ責めに、最後は悶絶して息絶えたみたいになった(笑)。
 これだけトリュフを食べると判るのだが、黒トリュフは腋臭の匂いに似ている、日本人が「いい匂い」と感じる香りではない、これを「芳香」と感じるフランス人はやはり変だ(笑)、獣を捕らえて食べ、食べなかった獣は飼育してきた彼等のDNAに訴える「獣香」だと思う、だから松茸を「黴臭い」と指摘するのだろう。
 そして黒トリュフの効能は「トリュフ酔い」が起きる事、これは体験した人なら知っている筈だが、食後突然夜中に目覚めたりする、簡単に云えば「ハイになる」(笑)。この日もホテルがある隣の駅まで歩いて帰ったのだが、何故か急に歌い出したくなり、安井かずみ&加藤和彦作の「不思議なピーチパイ」を口ずさんでいた、私とすれ違った人はきっと怖かったと思う(笑)、「トリュフドーピング」があれば間違いなく摘発されていた。

 ワンオペ対応と聞いて心配していたが、いつもどおり異次元の料理が出て来て安心した。途中「これはもしかしたら閉店セールか?」とも思ったのだが、料理長の話では4月からは新しいスタッフも加入するとの事なので、余計な心配だった(笑)。
 こちらの予想の斜め上を行く孤高の料理人は健在、店が閉まるか私が閉まるか、どちらが先か判らないが(笑)、それまで通いたい店である事は間違いない。
 妖しいトリュフの香りに包まれた濃厚な大阪の夜、何処までも歩いて行けそうだった。



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難波駅「南海そば」のきつねうどん(2016関西食べ続け①)

 今回の関西食べ続けは、「フォースの覚醒号」から始まった(笑)。
 去年11月に大阪を訪れ、その時に見た南海電鉄の特急「ラピート号」の格好よさが忘れられず、「次はあれに乗りたい」と思っていたが、今回そのチャンスがやって来た、LCCで関西空港を利用するからだ。
 FB友達からの情報で「乗るなら黒ラピートにしなさい」と教えられた、5月まで映画「スターウォーズ/フォースの覚醒」とタイアップした、限定特別外装車が走っているとの事、ただ上り下り共一日7、8本の運行なので、上手くそれに乗れるかは運次第。一応時刻表は調べたが「まあ無理だろう」とは思っていた。

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 関空到着後、WEB上で購入済みだったバウチャーを、南海電鉄のチケット売場で交換、この売場は中国人観光客の行列で、私に対応してくれたのも「日本語が出来る中国人スタッフ」だった(笑)。
 ラピートは全席指定、打刻された車両は14:35、「これ、ひょっとして」と思い、期待を抱いてホームで待機していたら、それがやって来た。

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 そう黒ラピートでした、これは今回の食べ続けが成功する吉兆か?(笑)「鉄人28号」みたいな勇姿だが、よく見ると「ダース・ベイダー」をイメージしたのだと思う。実物の第一印象は「鉄」、産業革命後の鉄鋼業で誕生した蒸気機関車を連想する、これは存在感大ありで、乗らなくても一見の価値がある、ホームにいた中国人観光客達も皆一斉にスマホを向けていた。

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 ちなみにノーマルバージョンの青色塗装の車両画像も撮ったので、見較べてください。

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 乗車後に指定席に座ると、車両内では床まで星空をイメージさせる装飾、さすが ディテールに拘る日本人ならでは(笑)。

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 南海電鉄のWEBページでは車両のメイキング映像が公開されているので、興味のある方はそちらを観てください。
 
 すっかり「鉄話」になってしまったが、難波駅到着が15時過ぎ、此処からホテルは近いのだが、朝食後何も食べておらず、このまま夜まで何も食べないのも辛い、軽く何か食べようと思っていたら、眼の前に「南海そば」の文字を見つけた。
 旅行前に難波駅周辺を調べていて、此処の饂飩が結構いけるとの情報があったのを思い出した、あとで在阪の人に聞いたら、南海沿線にあるスタンドチェーンで、大阪では珍しく「そば」を名乗っていて、値段の割にはそれなりに食べられるとの事だった。

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 これは面白い、関西の路麺店も体験しないといけない(笑)、荷物を持ったまま立ち食いにチャレンジをする事に決めた。食券や水のセルフ等、スタイルは東京の路麺と変わらない、隣が「蓬莱551」の肉まん売り場だったのが違う位(笑)。

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 買った食券は、大阪うどん永遠のスタンダード「きつねうどん」(300円)、食券をカウンター内のオバチャンに見せ、出来上がりを待つ、WEB記事にもあった「割り箸タワー」が壮観(笑)。

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 そしてすぐ運ばれたのが、きつねうどん、大きな油揚げと刻んだ青ねぎだけのシンプルさ、生姜や天かす等余計な物を入れないのがいい、もちろんレンゲなぞ無い(笑)。
 まずはツユを一口、ベースはたぶん昆布と鰹で淡口醤油、甘味は味醂だろうか?このチェーンは路麺店では一般的な濃縮出汁は使わないとのセールスだが、この値段だから高級な物ではないと思う、それでも上手くバランスが取れている。長く大阪を離れていた大阪人なら、このツユを味わえば、「ああ大阪に帰って来た」と思う筈だ。
 うどん玉はフニャフニャとした柔らかいタイプ、大阪人に言わせると、これが伝統の大阪うどんで、昨今使う讃岐系の歯応えを強調した麺は、元々大阪にはなかったそうだ。甘く柔らかく炊いた油揚げもいい、そして目の前に居る厨房のオバチャンが実にいい味出している、これも値段の内だ(笑)。
 あっと言う間に完食しました、美味しかった。駅構内の路麺店で、これだけのレベルが提供出来るのは、やはり食文化的に成熟した街だからで、頂点ばかり見ていては駄目、こうした底面のレベルで判断すべきなのだ、その点大阪は底と天辺がしっかりとした、通天閣みたいな安定した食都である事は間違いない(笑)。
 
 難波駅から歩いて行けるホテルにチェックインし、バスタブにお湯を張って足湯に浸かる、旅行時の足の疲れを取り、食べた物の消化を早めたい時にはこれが効く。
 さて夜の帳が降りてきたので、向かうは上本町のディオニュソス的巨匠料理人の店。

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 料理については次回記事で詳しく書きます、お待ちください(笑)。


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麻布十番「ビストロ・コティディアン」(2016年2月)

 もう十年近い付き合いになる、四国で料理人をやっている友人が東京に来る事になり、「何処かで食事を一緒にしましょう」との話になった。
 このブログを読んでいて、その中から「行ってみたい」との希望があったのが、麻布十番の「ビストロ・コティディアン」、今回はこの店にすんなりと決まった。同業者が料理画像を見ると、どの位手をかけているか、料理のレベルかどの程度かは大体想像付くみたいで、プロが行きたいと思う店なら間違いないだろうと思う。
 私は過去数回訪れているが、家から遠い事もあって毎回ランチタイムだった、夜は今回初なので、昼と料理がどう違うかの楽しみもあった。

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 土曜夜で賑わう麻布十番商店街を進み左折、飲食店が並ぶ細い通りを歩き、洒落たパティスリーの2階に店があるが、階段には仏語で店名を書き中にメニューを入れたニッチがある位で目立たない、でも一昔前のフランス料理店のセンスみたいに、仏国旗を出したりしないのはいい事だ(笑)。
 2階のドアを開けると迎えてくれたのは、サービス担当の男性と笑顔のマダム。
 店内奥の窓際席に案内されるが、すぐに須藤料理長が挨拶のため席にやって来た、トレードマークのスキンヘッドと髭は変わらないが、初めてこの店を訪れた頃と比べると随分スリムになって羨ましい(笑)。

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 夜のプリフィックスコースは3種類、料理は紙に書かれた定番料理と黒板に書かれた「本日の料理」から選ぶ、閉店してしまったが、大阪本町の「びすとろぽたじぇ」と同じやり方だ。結局前菜2品∔メイン+デザート&コーヒーの5,600円(他に席料600円)のものをお願いする事にした。
 私が選んだ料理は以下のとおり、

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・バター替わりの鶏白レバーのムース

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・麻布十番「ポワンタージュ」のバゲット

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・皮目を焼いた鱒のミキュイ

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・フランス産温かい山羊のチーズのサラダ

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・この日グラス提供可の赤ワイン3種

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・静岡産猪ロースのロティ、ジュのソース、シェリーの香り(+1,500円)

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・ラム酒風味のクレームキャラメル

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・ガトーバスク
・コーヒー

 まずはアミューズ的に出された鶏レバーペーストを、ポワンタージュのバゲットに付けて食べると止まらなくなった(笑)。
 サーモンや鱒のミキュイ(半生)は、日本人料理人が得意な料理だが、須藤料理は皮部分をこんがり焼き、柔らかで全く臭みの無い身と一緒に食す、テクスチャが違うので最後まで単調にならない、この店は肉料理ビストロのイメージが強いが、魚料理もいい(笑)。次の山羊チーズサラダは見かけ簡素だが、丁寧な野菜の扱いによりプロの料理になっている。
 そしてこの日の主役が猪ロースト、シーズン最後の入荷と聞く3歳位の静岡産で、しっかりとした身の弾力と脂身の甘味が特徴的、低温調理ではなく昔ながらのローストだが、表面の歯応えと芯部分の身の旨味を感じる柔らかさの対比が絶妙、定番料理にするか、プラス料金の猪にするかで迷ったのだが、これを選んで正解だった、ガルニの人参ピュレとトランペット茸も効いている、ジュ主体のソースも塩辛くなる寸前で止めてあり、肉の強さを生かしている。
 デセールのラム酒を聴かせたクレームキャラメル(プリン)は、この店定番の美味しさ、最後のガトーバスクも良かった。

 夜の利用は初めてだが、基本は昼と大きな違いはないと感じた、選べる料理が増えるので「選択する楽しみ」が増す。最近「おまかせ」メニューだけの店が増えているので、たまにはこうして料理を選んで組合せる勉強をしないと、グルメ指数が落ちてしまいそうだ(笑)。
 どの皿も一定以上のレベルで料理間にムラがない、「どれも美味しいので、あなたの食べたい料理を選んでください、満足させます」との料理人の自信にも感じた。
 友人も須藤料理長の風貌から、もっと脂や塩が強い昔のビストロ料理を予想していたらしいが、意外にも優しく柔らかい味付けに感じたとの事、今の東京で料理人を続けるからには、マッチョなだけでは生きて行けない(笑)。
 マダムとコックコート姿の男性二人によるサービスも居心地よく寛げる、隣席では5人グループが日本語、韓国語、英語が混ざった会話を続けていて、さすが麻布十番らしいグローバルさ、多国籍な彼等でも充分「旨い」と唸らせる料理だったと思う。
 須藤料理長&マダム、美味しい時間をありがとうございました、また伺わせてもらいます(笑)。


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千石「トレカルム」

 雑誌「料理通信」で紹介されていたのが、文京区千石に2014年10月にオープンしたパティスリー「トレカルム」、今はなきホテル「西洋銀座」のパティスリー部門にいた若手パティシェが開いた店との事で、興味を覚え勤め帰りに寄り道をして訪れてみる事にした。
 店の場所は、都営地下鉄三田線千石駅を出て、白山通りと不忍通りの交差点を巣鴨方面へ向かい、一本目の道を左折してすぐ、以前にブログで紹介したカウンターだけのフランス料理店「モン・プチ・コションローズ」から近い。

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 住宅街を歩くと白く塗られた外装の店を見つける、文京区内の若手パティシェールの店となると、春日の「アヴランシュ・ゲネー」と比較したくなるが、あちらが遠くからでも目立つ派手な赤い外装なのに比べ、地味で目立たず控え目な印象、個人的にはこちらの方が周りの景観と合っていて好感が持てる(笑)、店名の「TRÈ CALME」は直訳なら「とても静か」だが、そんな雰囲気だ。

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 入口ドアを開けると正面がケーキを並べたガラスケース、右手には焼菓子類、左手にはカフェスペースがあるが満席だった、種類は少ないながらパンまで売っている。

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 パティスリーに来ると、毎回「何を買うべきか」悩むのだが、あまり悩んでいると後から来た客に先を越されてしまう(笑)、特に人気店では直観に頼るしかない。
 WEB情報では「ミルフォイユ」(この店ではこう表記されていた)が美味しいとあったので、それを含めて三種類を購入する事に。
 対面販売で相手してくれたコックコート姿の男性、どうやらこの店のシェフ・パティシェールみたいで、40歳前後だろうか?店内撮影を快諾してくれて、私がレジ横にあった「料理通信」を見て、「これ読んで来ました」と云ったら、「そうですか、ありがとうございます」と笑顔で応えてくれた(笑)。

 以下は購入したケーキの紹介と食べた印象、

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・ミルフォイユ・ノワゼット(税別560円)
 ノーマルタイプの「ミルフォイユ」は残念ながら売切れ、ノワゼット(ヘーゼルナッツ)のチップとクリームを使っているが、パートフィユテ部分の作りがとても繊細、文字どおり「千枚の葉」になっている。個人的には梅島「ラ・ヴィアンレーヴ」みたいな、レストランデセール的な力強いタイプが好みだが、これはこれで良く出来ている、優秀なパティシェの技量がわかる。

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・シシリー(480円)
 思わず「これ抹茶ですか?」と聞いてしまったが(笑)、上に乗るのはピスタチオの粉末、その下にはピスタチオのムース、さらに下にはチョコレートとピスタチオを使ったスポンジと手が込んでいる。当然だが全体がピスタチオ風味なので、好みが別れる処かも知れない。

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・エクスキ(500円)
 今回はこれが一番気に入った、‘Exquis’は仏語で「魅力的な」の意味、詳しい素材は不明だが、ミルクチョコレートとキャラメルの味がする、ムースの中に入れたチョコレートスポンジがいいアクセントになっていた、全体的に滑らかな仕上がりで、コーヒーにも、酒好きな人にはコニャック等にも合いそう。

 全体的には小振りながら、見栄えが良く繊細な作りのケーキで、さすがは名門ホテル出身だなと思う。「西洋銀座」出身は、谷中の人気パティスリー「イナムラ・ショウゾウ」と同じだが、あちらより都会的で洗練された印象を受けた、世代的な違いも大きいだろう。
 「アヴェランシュ・ゲネー」との比較なら、リキュールやスパイスを積極的に使い、店造りも含めて、大人のパティスリーを感じさせる「アヴェランシュ・ゲネー」に対して、オーソドックスながら、普通を極めて洗練された美味しさの「トレカルム」と云った感じだろうか?どちらも秀逸なパティスリーなので、交互に買うのも面白い(笑)。

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 都営三田線は、春日に前述の「アヴェランシュ・ゲネー」、白山には「パパ・ダニエル」の後を継いだ「エリティエ」、千石にはここ「トレカルム」、さらに巣鴨でも仏アルザスのパティスリーでシェフを務めた人が開業している、ここ数年で「地下鉄パティスリー線」になった気がする(笑)、スイーツ好きは取りあえず巡ってみて、この中から自分好みの一店を見つけては如何でしょう。


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水道橋「菩提樹」

 JR水道橋駅から歩いて5分の場所にある「菩提樹」は、以前ブログ記事にした、近くの「水道橋かつ吉」の姉妹店にあたる、開業は1882年10月なので、今年で34年目になる老舗だ。
 元々「かつ吉」はとんかつ中心、「菩提樹」はステーキ・ハンバーグ等洋食的なメニューを提供するのがコンセプトで、内装などもそうした雰囲気を出しているが、最近は共通するメニューも多く、あまり違いは感じなくなっている。
 私は長年勤めた職場が近いので、この店には数多く通った、昼時が多かったが職場の宴会も此処で開いた事がある。エリア的には他店だと800円前後でランチが食べられるが、この店では1,000~2,000円位の支払いになるので、給料日後や誰かの誕生日を祝う等のランチ会での利用が多かった。
 その店だが、数年前にランチ時に利用した時に、食べてみて「?」と思う程に、雑な料理が出てきた事があって、以降は足が遠のいていたのだが、FBでこの店を褒める書き込みを読んだ事もあり、久しぶりに訪れてみた。

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 店の場所は水道橋駅から白山通りを北上、左手に東京ドームラクーアの遊戯施設がある道を挟んで向かい側、都営地下鉄三田線水槽橋駅の出入口近くの地下にある。

 階段を降りると裸婦の大理石像が置いてあり、ちょっとドキリとする(笑)、右手にある入口ドアを開けると、想像以上の広い店内、座敷も含めると104席もあるそうだ。随所に骨董品が並ぶのは「かつ吉」同様で、これらは先代社長の収集品と聞く。
 入口で人数を告げると、席の準備が出来るまで待合?で座って待つのも「かつ吉」と同じやり方、暫くして案内されたのは、店内中央にある大きな円卓。13時頃の入店だったが、ほぼ満席で座敷では妙齢の女性グループが、古の女子会ランチを開催中(笑)、この店を普段使い出来るのは、それなりに高収入な人達だと思う。

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 席に着くと、眼の前には巨大なメニューが置かれている、これもグループ共通だ。

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 あらかじめ漬物が置かれているのも同じ、この日は蕪の漬物、沢庵、キムチだった、これはお替わり自由だそうだ。
 何を注文するか迷うが、「和牛ハンバーグ」は売切れとの事で、「ロースかつ定食」(税込1,630円)に決めた、「かつ吉」のランチメニューにはロースかつがなく、昼夜共通のメニューから注文になるので、少しお得値段になる(笑)。

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 木の器に入ったサラダ、料理が来るまではこれと漬物で間を繋ぐ、キャベツ&レタス中心だが、ドレッシングが美味しいのでお替わりしてしまった。

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 そして運ばれて来たのがロースかつ、120g位だろうか?小さ目なのはランチメニューのため、見た目は白っぽい衣で、低温で時間をかけて揚げるタイプ、このグループに共通するし、秋葉原「丸五」や金町「喝」みたいに、かつ吉を経て独立した店のとんかつも同じだ、肉の中心は僅かにピンク色が残る。
 まず何も付けずに食べてみるが、肉汁と肉の旨味と甘味がやってくる、堅過ぎず柔らか過ぎない歯応えがいい、通常平田牧場の三元豚を使っていると聞いたが、おそらく熟成も少しかけていると思う。とんかつフリークは「とんかつは塩だ」説が多いが、たしかに肉の味だけ感じるには塩がいいが、ご飯と食べるにはちょっとストイック過ぎるかも(笑)、この店のソースは甘口だが、とんかつとの相性はいい。

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 グループ共通の青紫蘇ごはん、白御飯も選べるが、このグループならではの物なので、紫蘇が嫌いでなければこのご飯を注文したい、米の質、炊き方は申し分ない。

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 赤出汁味噌汁が美味しいのもこの店の特徴、昔はこれに伊勢海老の頭が入っていた時期もあったが、食材料高騰の現在は普通の赤出汁(笑)、それでも八丁味噌の渋み酸味を生かして充分美味しい、飯と赤出汁はお替わり自由だ。

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 さすがに看板メニューのとんかつだけあって美味しかった、「老舗の貫録」を知らされた気がする、食べ終わり14時近くになっても店内は満員、これがこの店の評価を何より物語っている、例えネットサイトの点数が高くても、客が来なければ如何し様もない。サービスの女性陣は皆感じが良く、これなら「また来てみたい」と思わせる。
 「名店」とは名声に奢れる事無く、常に軌道修正しながら高いレベルを維持出来るから名店であり続けるのだろう、以前の美味しさが確認出来て安心した。
  


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竹ノ塚「しおの風」

 塩ラーメンのブームが続いていて、このままだと醤油味を押し退けラーメン界を席捲しそうな勢いもある。
 私が子供時代の東京では、醤油味以外は「湯麺(タンメン)」位で、町の中華料理店メニューには塩ラーメンも味噌ラーメンもなかった。塩ラーメンの発祥についてWEB上で調べると諸説あるが、有力なのは凾館起源説で、ウィキペディアの記事には、
「古くからの開港地であった函館には、集積する昆布などの海産物の買い付けに、多数の華僑が訪れ、当時の函館の人が彼らを『広東さん』と呼称していたことから、江南出身の華僑が多く、函館における支那そば(ラーメン)のまっすぐの麺と澄んだスープの特徴からも、ルーツは広東系の塩味の湯麺であることが推測される」とある。
 どうやら湯麺も塩ラーメンも更には広東麺もルーツは同じで、中国広東に辿り着くみたいだ。
 東京育ちの私には、塩味より子供の頃から親しんだ醤油味の方を好むが、これだけ塩味系を提供する店が増えて来ると無視する訳にもいかず(笑)、最近訪れる事が増えたが、どの店もスープの味に工夫が感じられる。醤油味より塩味の方がバリエーションあり、他店との違いを表現しやすいのかも知れない。

 地元の足立区竹ノ塚に、塩ラーメンを名物にしている人気店がある、店名も「しおの風」と名付けているので、塩味に特化している店だ、担担麺が名物の北千住「鶴亀飯店」とは同経営で、以前から行ってみたいと思っていたが、最近行列店は極力敬遠しているので、後回しになっていた。この日は平日休みだったので、開店一番を狙って自転車で行ってみる事に。
 店の場所は竹ノ塚駅東口から北へ向かい、イトーヨーカ堂の近くで、ブログで紹介した「洋食かちゃくり」のすぐ裏手にある。

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 11時の開店直後に着き「客か並んでいるかな?」と思ったのだが、開店一番乗りで誰もおらず拍子抜け(笑)。

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 ドアを開けると目の前が「L」の字型にカウンター席、自販機方式だが、この自販機がゴチャっとしていて判り難い、すかさず店員が「(当店の)お勧めは特製塩です」と云って来る、いきなり高額(900円)メニューを勧めてくるのはどうなの?」との疑問も湧き、ひねくれ者の私はあえてベーシックメニューの塩らーめん(680円)にしてみた。ついでにネギチャーシューごはん(300円)まで食券を買ってしまい、炭水化物過剰摂取を後悔する事に(笑)。

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 カウンター上には味変調味料が並ぶ、小甕に入れてあるのは、ねり梅肉、ガーリックチップ、柚子胡椒、それに胡椒やパルメザンチーズまで多種多彩。

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 そして出来上がってきたのが塩らーめん、スープは澄んだタイプで、後で知ったのだが「熟成塩」になると白濁したスープらしい。具はチャーシュー、メンマ、水菜に茎ワカメ、珍しいのはクコの実と麩まで入っている事。
 まずはスープから飲んでみるが、勿論塩味だが味わいは複雑、塩も数種ブレンドしてあり、更には甘味も感じるので、おそらく砂糖等の糖分も加えていると思う、スッキリとしているがコクもあって、なかなかこの味は出せない。
 続いて麺だが、細めで縮れが少ないタイプ、自家製麺ではなさそうだが、スープの味とは合っている。具はどれも上質なもので、特にメンマが良かった。
 全体的にはバランスがとれていて、飽きずに最後まで食べられる。この店の近くにはブログでも紹介した、同じく塩味系で知られた「武藤製麺所」があるが、味的には甲乙付け難い、あえて言えばスープのコクで「しおの風」、自家製麺の味と歯応えで「武藤製麺所」だろうか。

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 ネギチャーシューごはんは、細切りしたチャーシューと白ネギを醤油ダレで和えた小丼、普通に美味しかったが、ちょっとネギが多過ぎたか(笑)、「この店ならでは」の個性も感じなかったので、あえて注文する程ではないかも知れない。

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 全体的には美味しかったが、少々残念だったのは、混んで来た事もあり、退店時に店員二人共何も声を発せず、自分達の仕事にかかりきりだった事、忙しくてもせめて「ありがとうございました」位は言って欲しいなと思う、客はちょっとした事で心象が変わるものだ。
 これはラーメン店に限らず、飲食店全般に言える事だが、「来て良かった店」と「また来たい店」は違うと思う、料理だけではなく、値段、サービス、店の雰囲気、こうしたものの総合で差が付く、客に「また来てみたい」と思わせたら店側の勝ちだ(笑)、避けられるミスで勝利のチャンスを逃してはいけない。


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神楽坂「ビズ‘bisous’」

 意識した訳ではないが、「古屋オーガストロノーム」に続き、今年2店目のフレンチも新店訪問になった。今回は神楽坂にある「ビズ‘bisous’」で、場所は坂上交差点から近く、神楽坂通りから一本裏手に入った細い道に沿った「ROJI神楽坂」と云う新築ビル内に、2014年12月にオープンした店だ。
 此処を知ったのもネットからで、職場から便利な神楽坂では、好きな店だった「ル・デッサン」「オー・トレーズ・ジュイエ」が続いて閉店し残念な思いをしていたが、「続けて通えそうな将来性ある若い料理人が居る」の視点で探して見つけた店だ。
 WEB情報によるとオーナー料理人は、大阪の名門調理師学校~同フランス校~リヨン「ポール・ボキューズ」~ウィンザーホテル洞爺~乃木坂「FEU」~銀座「ミラヴィル」を経て独立とあるので、料理人として王道エリートを歩んで来たが、その割に独立店は、価格を抑えたカジュアル路線に感じたので興味を覚えた、この日職場の仲間を誘って初訪問をする事に。

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 「ROJI神楽坂ビル」は「こんな処にあるの?」と驚く位に細い路地の途中、小さな公園に沿って建てられたガラス張り建築で中が丸見え状態、「ビズ」を含め4軒の飲食店が入居していて、階下の中国料理は知られた店だ、この2階にある。
 夜の開店時間直後に着いてしまったが、入口ドアを開けると笑顔と元気な声で迎えてくれたのが村田敏範料理長、後で知ったのだが1982年生れと云う若い料理人だ。時折アルバイトが手伝っているそうだが、この日は最後まで彼がワンオペ対応だった。
 ディナーは3,800円、4,950円(税別)の2種の他にアラカルトもあるが、初回はお手並み拝見と云う事で、4,950円の方をお願いした。
 店内はカウンター席も含め19席、クロスもナプキンも省略しカジュアルな印象だが、インテリアは工夫が感じられチープさは無い。
 まずは当日の料理全品を紹介したい、

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・アミューズ(本日のお楽しみ盛り合わせ)あん肝、ブルーチーズのカナッペ他

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・栃木足利の知的障害者支援施設が母体になった、ココ・ファーム・ワイナリーの「農民ドライ2014」、スッキリとした美味しさ

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・フランス産ホロホロ鳥のデクリネゾン、ピーナッツソース

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・自家製パン

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・北海道産エゾ鹿のパピヨット仕立て

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・茨城県常磐産ヒラメのヴェノワーズ仕立て

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・スペイン産イベリコ豚肩ロースの低温ロースト

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・静岡産緑茶とマシュマロアイス

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・ガトーショコラ、三日月のクッキー、「眼」を付けたフルーツ(笑)

 まずこの料理を全て一人で、それもランチ営業をしながら作る料理人に敬服する(笑)、話を聞いたら毎日ではないが、築地市場にも自転車で通っているそうで、若いから無理出来るのだろうが、そうかと云ってテンション高くキリキリしている訳でもなく、この夜は後2組来店したが、滞りなく料理を出していた。そして料理が画像のとおり、ガルニまでキチンと細かい仕事をしていて雑でない、立派なレストラン料理だ。
 次いで感心したのはキュイッソン(火入れ)で、魚も肉もジャスト、アセゾネ(味付)も外していない、「FEU」時代には下村浩司料理長の下で働いていたそうだが、基本を学んで影響は受けたとしても、料理は独自路線を歩んでいると思った。

 最後のデセールを食べ終わって、「これは新しい才能を見つけた」と、思わず笑い出したくなった。料理を運んで来た時に話をしても、料理人は雇われの軛を離れ、自分の店で好きな料理を出す事に何よりの幸福を感じている様に見える。モヒカン刈り髭の風貌は少々強面、話す口調は「体操のお兄さん」みたいな元気系だが(笑)、料理に関しては幾らでも喋りたい事があるみたいで、熱いハートを感じた。
 そして支払いは内容を考えたら嘘みたいに安い、この料理がこの値段で出せるのなら、あの店(あえて書きません(笑))のあの値段は一体何?と、馬鹿馬鹿しくなって来た(笑)。
 ワインは国産の品揃えを充実させているが、最近フランス人の来店も多くなった(神楽坂は仏人率が高い)ので、フランス物も増やしているとの事、円安の現在、この料理が40ユーロ位で食べられるのならPARISより断然お得と思う、彼等はちゃんと判っている。
 食べ歩き人間としてはあまり教えたくない店だが、ブロガーとしては記事を書かざるを得ないと云う、アンビバレントな気持ちになった(笑)。前回フレンチの「古屋」もそうだが、今の東京は新しい若い才能が次々と現れ恐ろしい事になっている、長生き?して良かったと思うが、自分が料理人でない事を安堵する、若さと体力そして感性は、お金を積んでも得られない、それは失って初めて気付くものだ。
 レストランにベタなサービスや期待する人には向かないが、若い料理人の元気さとセンスある料理を体験出来る場所、通いたい店がまた増えてしまった。



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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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