最後の晩餐にはまだ早い


表参道「グラッシェル」(2016年9月)

 甘党の私にはありがたい事に、表参道のスイーツパラダイス(笑)「グラッシェル」のプレス向け新作発表会への招待をいただいた。今回は「2016年秋・クリスマス商品」の紹介、「ハローウィン向け商品では?」と思われるかも知れないが、この業界は先取りが必須で、Xmas商戦でも夏から準備するのは決して早過ぎない、それだけ一家に一台のケーキを売るために、業界間で熾烈な競争をしていると云えそう。
 政務活動費で旅行した地方議員が、報告書を作っていないのが問題になっているが、発表会招待をいただいたからには、真面目にレポートをするのは義務だと思う(笑)、以下商品の紹介と試食の印象を記したいが、あくまでも私個人の感想になる事をご理解いただきたい。

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 2日にわたって開催されたレセプション最後の回(たぶん)に参加、場所は「グラッシェル」2階のカフェスペースの別室部分、この回は満席の盛況で、料理雑誌やWEB記事で見た事ある業界関係者も数名来ていた。
 定刻になり「グラッシェル」の本間シェフ・パティシェールの挨拶から始まる、今回発表するのはアントメグラッセ(アイスクリームケーキ)新作3種で、そのうち2種がクリスマス限定商品、一つは秋季商品との事だ。

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 まずはホールで全5種類だが、左側2種が定番の人気商品、右側3種が今回お披露目するアイテムだ。

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 下から上へ「コルベイユ・ド・フリュイ」、「フォレ・ド・サパン・ピスターシュ」、「シャルロット・オ・ショコラ・グリオット」。

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 カットしたピース画像、一眼レフ持って行って良かった(笑)。

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・コルベイユ・ド・フリュイ(ホール税抜3,800円)
 配付された資料に沿うが、
「フルーツたっぷりのバスケット(コルベイユ)をイメージしてお作りしたアントルメグラッセ、サブレブルトンヌの生地にカリカリ食感のシュトロイゼルを敷き詰め、イチジクのコンフィチュール、上にバニラアイスに洋ナシのソルベを層にしております。半球状の洋ナシのソルベの上には、3種類のフルーツのソルベとイチジクやフランボワーズ、グリオットなどのフルーツを散りばめました。(後略)」とある。
 苺ショートと同じで鉄板の赤白スイーツ、日本人が嫌いな訳ない(笑)、果物の酸味とビスキュイ生地・ソルベのバランス良好、値段も他の2品に較べて安価な事もあり、アントルメグラッセ入門用として最適だと思う。9月22日から発売中の秋季商品。

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・フォレ・ド・サパン・ピスターシュ(5,000円)
 「サパン(Xmasツリー)をイメージした立体的なフォルムが目を惹くアントルメグラッセ、カカオ風味のパートサブレの土台に、チョコチップのアイスとカリカリ食感のシュトロイゼルカカオを敷き、上にはミルクシャーベットとイチゴのコンポートを絞りました。周りを縁取るピスタチオソルベが見た目の華やかさを演出します。」
 見栄えはこれが一番立派(笑)、ケーキ類にピスターシュを使うのは流行だが、色の鮮やかさと脂分が甘味に合うのだと思う、グラッセだとピスターシュの脂分が抑えられ香りが高まる印象、ビジュアル良好なのでホームパーティー等には最適だ。11月1日~12月25日の期間限定商品。

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・シャルロット・オ・ショコラ・グリオット(5,000円)
 「チョコレートのビスキュイで周りを縁取り、アーモンドショコラ生地の上にグリオット(チェリー)入りバニラアイスクリームと、グリオットのジュレで3層に、上にはキルシュ入りのビターとミルクチョコレートを絞りました。(後略)」
 個人的にはこれが一番好み、食感の違う甘味が積層になって新しい甘味が生まれる、良質なチョコレートの余韻にグリオットの微かな酸味が加わり、味が単調にならない。もし明日世界が終わるとしたら、脂肪肝を心配しなくていいので、1ホール一人で一気食いしたいと思う(笑)。11月1日~12月25日の期間限定商品。

 試食は一応上記3種だが、本間シェフから「カフェ部門で提供するパフェをこれから強化したいので、今日は一品試食して欲しい」旨の話があった、そこで登場したのが、

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・シャインマスカットのパフェ(販売価格1,600円)

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・試食用バージョン

 これは贅沢なパフェ、値段を聞いた時は一瞬「高いのでは?」と思ったが、食べて納得した、岡山産の上質なシャインマスカットを贅沢に使い、エルダーフラワー風味のグラスやフロマージュブランのムース等中身も手がかかっている、店売りスイーツと違い、ラム酒等のリキュール類を積極的に使えるので、味が複雑になり美味しくなる、10月初旬迄の期間限定なので、食べたいと思ったら今すぐ表参道へ(笑)。

 去年のXmasは「グラッシェル」のアントルメグラッセだったが、数日間味が変わらず楽しめたので、少人数家庭には向いていると思う、従来のスポンジケーキに飽きた人も含めて、今年のXmasアイテムに検討してみてはいかが?もし買わなくても店で見本を見ているだけでも楽しいです(笑)。

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六本木「ル・スプートニク」(2016年9月)

 昨年7月に新規開店し、8~9月に3回連続で利用した六本木の「ル・スプートニク」、最後に訪れてからもう1年経っていた、決して不満があった訳ではなく、反対に「また行きたい」と思いながらも、店が星付き赤丸人気急上昇になった事や、東京で行ってみたいと思う店が続いてオープンしたのもあり、つい行きそびれていた。
 今回同行を誘ってもらえたので、1年ぶりの訪問を果たす事が出来た、電話予約の際、応対に出た田村支配人に「なかなか行けなくてすいませんでした」と、先に謝ってしまった(笑)。

 夜の六本木を歩くのも1年ぶり、この日は千代田線の乃木坂駅から歩いて行ったのだが、新しいビルがオープンしているし、飲食店も入れ替わっている、高級店が減って低価格帯店が増えているのは赤坂と同じ(笑)、昼千円、夜2~3千円単価の客を数店で奪い合いしている様に見える。
 店前の植木も1年経つと大きくなったと感じた「ル・スプートニク」、ドアを開けて入店すると、迎えてくれたのは田村支配人、彼女の案内で今回初利用の個室に着席する。
 ブラン・ド・ブランのシャンパーニュで乾杯後、提供された料理は以下のとおりで、これが「圧巻の15品」だった、画像を見直しても「よくこれだけ出して、これだけ食べたな」と感心する(笑)。

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・枝豆のチュロス

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・熟成コチを燻製にして生ハムのイメージで、グループフルーツ、モッツァレッラ

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・ピュアホワイトのブランマンジェ

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・長崎産岩牡蠣とキュウリのジュレ、液体窒素で作ったキュウリソルベ

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・卵の肝のソースを挟んだ鮎フリット、牛蒡のチップ、別添で牛蒡バルサミコのソース

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・鰯の瞬間燻製、イチジク、ナス、セミドライトマト、ジャガイモのソース

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・フォアグラのポワレ、エスプレッソ風味のシートとスパイスのクランブル、オレンジのコンポート

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・オマールのバニラロースト、蜂蜜風味の焦がしバター

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・舌平目、サマートリュフ、大分産ステーキ椎茸のパイ包み、トリュフ風味のソースサバイヨン

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・北海道白糠町酒井さんが育てた仔羊(サフォーク種・雌7ヵ月)その1、右はタン、ハツ、レバー、バベット、左はピペラード風トリップ

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・仔羊その2、シンプルなロティで、仔羊のジュ、ロックフォールソース、35年物のローズマリー風味、そのローズマリーの枝(笑)

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・白桃のコンポート、ジュレ、上に液体窒素を使った紫蘇パウダーのソルベ、ムラメ、穂紫蘇、刻んだ大葉、白桃のソルベ

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・ソーテルヌのグラス(左下)、シェーブルのムース(右)、ピオーネの自家製セミドライ

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・バナナとチョコレートのグラスの中にラムレーズン、ヘーゼルナッツ、キャラメリゼしたバナナ、上からラム酒入りの熱いチョコレート。ベジタブルゼラチンで包んだマンゴーとパッションフルーツ。

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・紅茶のシュー・ア・ラ・クレーム、トンカ豆のブランマンジェ
・カモミールのアンフィージョン

 料理を全部説明すると長くなるので、特に印象的だった料理について記したい。
 まずは熟成させたコチを燻製にかけ生ハムのイメージにした料理は、締ったコチの旨味が舌を刺激する、次のトウモロコシのブランマンジェは甘味が濃厚。岩牡蠣は液体窒素のキュウリパウダーと合わせる事によって新しい味に変化する。スペシャリテの瞬間燻製は鰯で、イチジクやナスとの意外な相性を感じさせる。
 フォアグラとコーヒーの組合せは、他店でもあったので最近流行みたいだが、この料理ではジュレ状のシートにして、そこへスパイスクランブルが加わり、味が立体的になっている、フランス産ではないがフォアグラの質は申し分ない。
 バニラとオマールは、かのアラン・サンドランスへのリスペクトか、考えたのが天才なら、その意味を正しく伝えている良好な味のバランス。舌平目パイは香りの弱いサマートリュフを補う意味で使った椎茸が面白い味のアクセントになっていた。
 そしてこの日の主役が、北海道白糠町「羊まるごと研究所」の酒井氏が育てた仔羊、シンプルなローストかロニョナードどちらも可との事だったが、肉の素性を知りたくて前者をお願いして正解だった。日本の仔羊も遂に此処まで来たかと感心する旨味、まずは脂が美味で、赤身部分は舌にまとわり付く肉質、まるで雌羊と濃厚なディープキスをしている感覚(笑)。勿論優れた素材を生かす調理があるからだが、高橋料理長は「ビーツとフォアグラの薔薇」みたいな前菜が有名だが、肉を焼かせても東京でもトップクラスだと思う、前座で出してくれた内臓料理も美味。
 デセール3皿(ミニャルディーズも含めると4皿)も、起承転結があって流れと完成度が高い、特にチョコレートとバナナの皿は、長く記憶に残りそうな逸品だった。高橋氏もパティスリー勤務経験があるので、デセールの重要度が高まる現在、強さになっている。

 昨年の開店直後は、各料理の精度の高さを見せながら、全体の流れではバランス的に不均衡を感じる部分もあった、それだけ独立新店でのプレッシャーは相当なものだったと思う、1年経ってそうした部分が解消され、全体のムニュ構成も考え抜かれ、料理間の繋がりが良くなっていると感じた、やはり実力あるレストランは進化するものだ。
 あえて注文を付けるとすれば、食事中のパンはカイザーのバゲットみたいだが、料理のクオリティに比して普通過ぎた、自家製は無理でも上質なカンパーニュ等なら更に良くなると思った事位か。
 この日、外国人客が3卓あったが、田村支配人がクリーンな英語で難なく対応していた、魔界の夜の六本木に現れる客は相当な強者揃いだろうが、希少な女性支配人として、後に続く女性達のためにも「ガラスの天井」を打ち破って欲しいと思う(笑)。
 退店時に挨拶に現れた高橋料理長に、この日の料理感想を伝えたら、「(自分は)まだまだ未熟者です」と謙遜していた。仏教で云う「未在(みざい)」は「まだまだ学ぶべき事が在る」と云う意味、同じく自分を未熟と悟れるのなら、この料理人は更なる進化の領域へ進みそうだ(笑)。
 今年指折りの美味で濃厚なディネ体験、高揚した六本木の夜になった、支配人&料理長とスタッフの皆さんに感謝。


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赤坂「古屋オーガストロノム」(2016年9月)

 東京は9月に入って急に涼しく過ごしやすくなった、涼しくなると同時に「ヨコメシ熱」が沸いてくるものだ(笑)、現在は平日昼に動けるので、お得なランチメニュー狙いで、いつもの活動エリアより外に出てみようかなと考える。
 この日選んだ店は、今年の新規訪問店では料理が最も印象に残った、赤坂「古屋オーガストロノーム」、今年1月に初訪問してこれが3回目、浮気性の私にしてはかなりの訪問頻度になる、「フロリレージュ」でさえ今年まだ2回の利用だ(笑)。
 
 千代田線赤坂駅から一ツ木通りへ出て、大阪風串カツ店がある四つ角を左に曲がると店はもう近い、昼時なのでサラリーマン&OLが界隈を闊歩しているが、「ランチ500円」を掲げた店もあり、バブル景気時代の商社員とTVマンに国会関係者が入り乱れていた、派手な時代の赤坂を知っている古い人間は、驚愕するしかない(笑)。
 店に近付くと、ドアを開けてくれたのは石橋支配人、古屋料理長も客席で待っていてくれた、4月以来なのでもう5ヶ月経っている、私の歳になると月日は矢どころかミサイルみたいな早さで飛んで行く(笑)。
 手前の4人掛けテーブルに座らせてもらったが、まずはこの日の料理から紹介したい。

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・アミューズ・ブーシュ(島根県産かぼちゃの冷製ポタージュ・キャラメルマキアート風、フランス産根セロリのスパゲティ風サラダ・イタリア産サマートリュフ添え)

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・ハンガリー産フォアグラと長崎県産アナゴの燻製、オニオンとリンゴのミルフィーユ風、オレンジとベトラーブのクーリ添え

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・自家製パン3種とサンドゥー

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・淡路産スズキのポワレ、縮緬キャベツ、5種のスパイスを使ったカレー風味のクリームソース

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・ハウスワイン的存在のラングドック=ルシヨンの赤

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・ニュージーランド産仔羊のロティ、季節野菜とムースリーヌ・ド・ポム・ド・テール、
ローズマリーソース

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・同かぶり肉を使ったクスクス

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・岡山県産白桃のバジルコンポート、ジュレ、ヒューガルデンホワイトビールのソルベ

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・チョコレートブラウニー、ピスタチオのグラス、ピスタチオオイル

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・エスプレッソ

 他店を回った後に古屋料理を体験すると何故かホッとする(笑)、「自分が食べたかった料理はこれだ」と納得してしまう。例えばフォアグラとアナゴの料理だが、味のベースになるのは焦がさない様根気よく炒めた玉ねぎ、この甘味が全体の味を立体的にしている、今こんな面倒なやり方をする料理人は少なくなった。
 スズキは昨今流行の低温調理ではなく、厚い切り身をしっかりと火を入れる事によって、コクと香りあるソースに負けない味になっている。
 量のある羊を食べた後トイレに立ったら、何と肉2皿目のクスクスが来た(笑)、「もう食べられないかな?」と思ったが、ビストロ料理とは違う繊細に作ったクスクスで、殆ど完食する事が出来た。
 デセールがいいのは、パティスリー勤務経験のある料理人ならでは。凄いのはこれ全品パンも含めて一人で作っている事で、料理全てに込められた手間は相当なものだ、それを週一日の休み以外は昼夜営業しているので、呆れる程に職人気質ある料理人だと思う(笑)。

 古屋賢介料理長は1973年東京生まれ、学校卒業後大手スーパーに就職したが、たまたま食品売場に配属された事から料理に興味を持つ、その後某店で食べたフランス料理に感動し、自分はこの道へ進むしかないと決心、勤めを辞め調理師学校へ入学する、その時はお金がなかったので、一番授業料の安い学校を選んだそうだ(笑)。卒業後は本場で働きたいとの想いが募り単身渡欧、以降5年間フランス、ベルギーで働く事に。一度日本へ帰り、都内のフレンチ料理長に就くが、ベルギー「オーガストロノーム」の総料理長から懇願され、再度渡欧し同店の実質的な料理長に就任する。
 活躍した場がパリやブリュッセルみたいな大都会ではないので、日本では注目されていなかったが、総合的な実力は最近出会った料理人中では頭一つ抜けているなと思った。 
 彼と話していて感じるのは、まず「面構え」がいい事(笑)、顎が発達してエラが張り、顔の縦軸と横幅が変わらない、この手の顔は例えばジョエル・ロブション、それから和歌山「オテル・ド・ヨシノ」手島、あとは「グリグリ」伊藤、もう少し優男だが「キエチュード」荒木各料理長が同じタイプ、遭難して食糧が無くなっても、自分の腕を齧ってでも生き延びそうな肉食系、大料理人になれる(可能性のある)顔だと思った(笑)。
 そして欧州生活が長かったからか、日本では他の誰かと群れず、誰かの傘の下に入らず、独自な道を歩んでいる様に見える、それでいて日本のフランス料理界に対しては、結構冷静に観察していると思った、願わくはこのままの姿勢で居て欲しいものだ。

 前任のベテラン支配人の跡を継いだ石橋氏も、何処か飄々としていて、若いながら、なかなかいい味を出している(笑)、これから優秀なサービスマンになりそうだ。
 「今、東京フレンチなら何処がお勧め?」と訊かれたら、昔から伝わる手間を惜しまない古典系料理が好きな人には、まず教えたい一軒。
 表現の世界に於いて、「優れた古典は前衛である」なのかも知れない(笑)。


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銀座「TOSA DINING おきゃく」(2016年8月)

 東京・丸の内の出光美術館で開催中の「東洋・日本 陶磁の至宝」展を観に行こうと思い、ついでに近くでランチ処はないか?と調べたら、暫く行っていなかった、高知のアンテナショップ内の「TOSA DINING おきゃく」を思い出した、ブログを調べたら前回訪問から2年近く経っている、料理長とはFB繋がりの友人でもあるので、ご無沙汰のお詫びも含めて伺う事にした(笑)。

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 陶磁展は名品揃いで充実し、陶磁好きには見応えのあるものだった、観ていると日本人と中国人の美意識の違いを感じる、日本人は自然と共存しようとするが、中国人は自然を克服しようとする、竹林の中から竹一本だけ皿に描くのが日本、空を飛び回る龍でも壺に閉じ込める様に描くのが中国、この自然観の違いは興味深い。
 出光グループは現在合併問題で揺れているが、一美術愛好家としては、こうした貴重な文化遺産が公開される機会が、失われない事を願ってやまない。

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 12時から13時までは混むと聞いていたので、「おきゃく」の到着は13時過ぎ、エレベーターで2階に上がると、眼の前が厨房で作業が全て見える、料理長に手を振り挨拶(笑)、左へ進むと客席で手前の2人席へ案内された。

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 土佐と云えば皿鉢料理で知られるが、それに使われた大皿が飾られている、山海の料理を盛り、大酒を煽りながら天下国家を論じた、土佐の男達の心意気が偲ばれる(笑)。

 ランチメニューは数種あり、前回は親子丼と鰹のたたきを選んだので、今回は違うメニューにしようと思い、「さっくり!本日の天丼」(税込1,200円)に決めた、そしてデザート欄が増えていたので、中から「土佐茶と四万十コーヒーのケーキ」(550円)を追加でお願いした。
 店内は昼のピーク時間が過ぎても結構賑わっている、隣席は年配の男性二人連れ、高知出身者だろうか、階下のアンテナショップで買ったらしい高知の酒を眺めている。銀座に急増している外国人観光客は、さすがに此処までは来ていないと見える。

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 やがて運ばれて来た天丼、内訳は鱧、四万十鶏、ウルメイワシ、高知茄子、赤ピーマン、ししとう、かぼちゃの7種類で、全て高知食材との事だ。

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 天丼種としてはウルメイワシが珍しい、東京の天丼ではあまり青魚は使わないが、意外に美味しかった、関東なら穴子だが代わりに使った鱧もいい。全体的に関西風の薄味仕立て、胡麻油を使って揚げた天ぷらを、濃い醤油ダレにくぐらせる江戸前天丼とは基本的に違う、手前は小鉢でししとうの和え物。

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 サラダ、味噌汁に、一口デザート(高知のカステラ?)、味噌汁も味が濃くなく私好み、お替わり可なのでお願いした(笑)。ご飯(高知米?)も美味しかったし、全体的に満足な天丼だった。ただこれが正調高知の味なのかは、高知に行った事の無い私にはコメント不能(笑)。

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 そして天丼以上に本格的な出来と驚いたのが、フランス料理店で使われるラドワーズ(黒板)に乗ったデザート。まず全体のビジュアルが秀逸、「美味しい物は美味しそうに見える」は本当(^^;)。緑茶のスポンジにコーヒーと緑茶のムースを重ね、味のバランスがいい、周りの炒ったアーモンドパウダーと酸味あるムースソースも効いている、これ550円なら安いと思った(笑)、料理長はフランス料理出身なので、さすがの完成度だ。
 支払いは1,750円、サラリーマン&OLランチとしては豪華版だが、銀座でデザートも含めてこの値段なら、内容を考えれば十分納得だった。
 夜限定だが、高知食材を使ったフランス料理メニューもあるので、これは一度来てみたいと思った(笑)。

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 食後は一階の「まるごと高知」で高知食材を数点購入、中でも「土佐のしょうがごはん」は炊いた白米と混ぜるだけで、和食店でも出そうな立派な変わりご飯になる逸品、此処へ来たらお勧めです、「塩けんぴー」も食べ出したら止まらない、癖になる美味しさだった(笑)。
 高知県は気候が温暖、三方を海に囲まれ海へ注ぎ込む川があり山もある、食材には恵まれた土地で、食に関してもっと注目されていいと思う、今迄はセールスがあまり上手くなかったのでは?と感じる(笑)、このアンテナショップ&ダイニングから、高知の美食情報を発信して行って欲しいものだ。


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東上野「ハリマ・ケバブ・ビリヤニ」(2016年8月)

 4月以降は理由が幾つかあり、外食は昼が中心になっているが、経験上「日本のランチのお得度は世界有数ではないか?」とも思っていた、例えばパリ市内で、昼千円の支払いで、椅子に座ってまともな物が食べられるかとなると、かなり難しい。せいぜいパニーニとかカスクルート、ファラフェルあたりがいい処だろう。これが北欧へ行くとパリよりもっと高いと聞くので、日本に住んで居てありがたいなと思うのは、ランチの豊富さだ(笑)。
 ただ千円ランチを何店かで食べてみると、やはり「玉石混交」だなと思う(笑)。ファミレスやステーキ、ハンバーグで全国展開をしているチェーン店も体験したが、不満は無いけれど感動も無い(笑)、個人経営店でも家族中心で、店舗も古くなって減価償却も終わったみたいな店の方が、味も概ね良くお得感は大きいなと感じる事が多い。
 そして東京全体で云えるのが中国系の人が営業する中国料理店と、インド・ネパール系の人が営業するインド料理店、この増加が止まらない事。ただ同業種が増えると、次は当然競争となって不人気店は淘汰される事になる、今の東京はこの段階に来ていると思う。

 私がブログで取り上げたのが理由ではないと思うが、既に何人かの料理人がビリヤニを食べに行ったと聞く、東上野のインド・ネパール料理「ハリマ・ケバブ・ビリヤニ」、皆は口を揃えて「あのコスパは凄い」と感心している(笑)、料理人だから大体の原価は判るだろうが、彼等から見ても飛び抜けていると思うそうだ。
 或る日突然そのビリヤニが食べたくなって、他に何の用もないのに、我家から地下鉄に乗って来てしまった(笑)。この店は年中無休で11時からランチタイムスタートするのはありがたい、思い立った時に定休日や、11時半や12時からのスタートだったりすると、待っている間にビリヤニで高揚した気持ちが萎えてしまう(笑)。

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 店に付いたのは11時の開店直後、当然この日一番乗りの客(笑)、席に付いたと同時にインドorネパール系の店員に「ラムビリヤニ」と叫んだ?が、「チョットマッテクダサイ」とかわされた、暫くして別の男性が水を持ってきたので、改めて注文するが、さっきの男性は日本語が判らなかったのかも知れない(でも日本語ではないが(笑))。
 まず当日の料理内容を紹介したい、

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・インド風サラダ

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・インド風トマトスープ「ラッサム」

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・「柔らかラムビリヤニ」(中辛、パクチー少な目(笑))

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・ビリヤニには必須の甘くないヨーグルト「ライタ」

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・「これサービスです」と出してくれた、キーマカレー

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・豆粉で作る薄焼き煎餅「パパド」

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・ホットチャイと、食べかけだがインドのリオレ「キール」

 これ全部で税込1,030円、もう一度云う1,030円です(笑)。「この後、何か宗教の勧誘でもあるのか?」と疑いたくなる位に安く、突き抜けている(笑)。
 サラダに入った人参は意外にも生、無問題で食べられるのですね(笑)、驚いたのは「ラッサム」に梅干が入っていた事、インド5000年の歴史は日本2700年?の歴史と融合した(笑)、それはともかくとして酸味を強調させるために、梅干を使ったセンスはこの料理人只者でないなと思った。
 ビリヤニは安定した美味しさだが、サービスで出たキーマカレーがよかった、このサービスは日によって違い、混雑時には出ない事もあるので、行くなら平日開店一番が狙い目(笑)。
 途中、ライタがなくなったのを見た店員が、「お替わりは?」と聞いて来たのでお願いした、ビリヤニにライタが約束なのは、何度か食べている内に理解した、これがあると味が単調にならず、量があっても食べられる。

 隣席はインド系と見えるビジネスマンらしき男性二人、彼等の食べ方を見ていると、「インド人は手で食べる」とも聞いた事あるが、ちゃんとスプーン&フォークを使っていた、この後商談ならカレー臭い手ではマズイのだろう(笑)。一人はサラダに一切手を付けず、ビリヤニも結構残していたので、無理して全部食べなくても失礼にはならないみたいだ、日本でも地方だと食べ切れない程料理が出る時あるが、無理して全部食べると「足りなかったのではないか?」と思われる事もある。
 人類の歴史上では、ご馳走とは「質より量」の時代が長く、その考え方はそう簡単には消えない、この店で次々とサービス的な品が多いのも、根底にはこうした思想?があるからかも(笑)。
 久しぶりの「ハリマ・ケバブ・ビリヤニ」だったが、やはりこのランチは頭一つ抜けていると思った、往復の電車賃使っても充実感は大きい、食べ終わった後も「また来たい」と思ってしまう(笑)。


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亀有「トモヒロ」

 略称の「こち亀」の方がすっかり有名になったが、漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が、40年に及ぶ連載を終える事が伝えられた、1976年開始だから私が亀有の実家に住んで居た時から続いていた、それまで「亀有」の知名度は低く、「亀戸」と間違われる事も多かったので、この漫画のおかげで全国に知られたのは、元住民として感謝したいと思う(笑)、長い間お疲れ様でした。
 今回紹介するのは、その亀有にあるブランジェリー「トモヒロ」で、開業は2011年、亀有を紹介した地域本によると、店主は大手製パンで十年以上職人経験を積んだ後に独立開業したとあった。

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 店の場所は亀有南口から続くバス通りを直進し、江北橋通りへ出たら右折、綾瀬方面へ向かう途中、すぐ近くにはブログで紹介したイタリア料理「イタリ家食堂マルショ」があり、同じ通りには洒落たカフェやピッツェリアが新しく出来ていて、ちょっとした「グルメストリート」になりつつある、これは「こち亀」の連載が始まった頃には、想像も出来なかった事だ(笑)。

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 外観はグリーンをイメージ色にしたヨーロッパ調の洒落た雰囲気、ドアを開けると目の前がレジ、その奥が工房で作業が全て見える、右手がパンの陳列スペースになるが広い店内ではない、一度に入れる客定員は3人位、対面販売ではなく客が選んだパンをトレイに乗せレジで会計する。
 店は大きくないが、作業中の店主は体格の良いビッグサイズで、パン職人と云うより料理人みたいに見える(笑)、地域本で見たがこの方が「トモヒロ(友廣)」氏だ、店主の他には女性が二人居るが、一人は奥さんだろうか?

 過去数回買っているので味の傾向は掴んでいた、全体的に小振りなパンが多いと思ったが、この店に限らないがここ数年で、店売りのパンのサイズが小さくなったと感じている、小麦粉やバター等、原材料が高騰する中で一度に値段を上げられないとなると、これは仕方のない事か、特に下町では値上げ=客減少に繋がり兼ねない。反面スーパーで増えている、セントラルキッチンで作った冷凍種パンを店内で焼く、インストア形態のベーカリーでは値段もパンのサイズも、以前とそう変わっていない気がするので(美味しいか否かは別だが)、個人経営の小規模店は何処も大変だろうなと同情してしまう。
 
 この日買ったパンは以下のとおり、
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・ルヴァンバゲット(実測44cm)(税込280円)
 フレンチ料理人の実力は「パテ・ド・カンパーニュ」を食べれば判ると聞いた事あるが、それならブランジェリーはバゲットが標準原器になるか?粉の香り、生地の旨味、焼きは良好、地元で最近出来た店をブログで紹介したが、完成度では一日の長がある

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・全粒粉ベーグル(200円)
 ベーグルはこの店の看板商品だそうで数種類揃えている、モチモチとした食感と粉の美味しさは格別、ベーグル好きならお勧め。

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・全粒粉食パン(1/2斤)(150円)
 「全粒粉」ばかり買っている気もするが(笑)、最近白い食パンはあまり食べなくなった、トーストにすると独特の香りが立つ。

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・亀有あんぱん(190円)
 これはオープン時からの看板商品との事、求肥で作った皮の中に「ずんだ餅」みたいなうぐいす餡が入る、「うぐいすパン」の変形版だが、和菓子みたいでもあり、ちょっと癖になる美味しさ(笑)。
 
 おそらく国産だと思うが、良い粉を使っているのは判る。下町住民の中には値段が高いと感じる人は居るかも知れないが、使っている素材を考えたら適正価格だと思う。今の時代に安全で美味しい物を食べようと思ったら、信頼のおける店で買い、ある程度の対価は覚悟しないといけない。
 駅から10分は歩くし、決して便利な場所ではないが、自転車に乗って買いに来る客は多い、自分や家族に美味しいパンを食べたい、食べさせたいと思う人は居る。
 地域で頑張る個人経営の個人店はどうしても応援したくなる、両さんに代って亀有なら「トモヒロ」と、云われるまでになって欲しいと願っている(笑)。


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麻布十番「リストランテ・ジャニコロ・ジョウキ」(オープニングレセプション)

 中野新橋「タクティー」を出て向かったのは麻布十番で、過去数回利用させてもらった、ローマピッツァとイタリア料理の店「ピッツェリア ロマーナ ジャニコロ」が、第二店として本格的なリストランテを開業し、オープニングレセプションの招待をいただいたので伺う事にした、「今更遅い」と云われそうだが(笑)、簡単なレポートを挙げておきたいと思う。

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 店の場所は第一店と同じく麻布十番、商店街を上り切った辺りの9階建てのビルの9階で、店名は「リストランテ・ジャニコロ・ジョウキ(Ristrante Gianicolo giochi)」になる、イタリア語の‘giochi’は英語の「ゲーム」にあたり遊ぶ事を表す、つまりこの場所で、やって来た皆が心の底から楽しんで欲しいと云う、店側の気持ちの表れだ。
 料理長は前店でピッツェリアとは思えない位に、斬新で美味な料理を提供していた内野拓料理長が、そのまま異動して就任する事になった。
 9階なのでエレベーターがアクセス手段になるが、扉が開くともう其処がすぐ店内、いきなり遊びの空間にワープする感覚だ(笑)。
 オーナーの渡邉氏が居たので、挨拶して空いていた席に座らせてもらう、明るい店内は18席前後と、それ程広くはないが、レストランに来たと云うより、高級ペントハウスに招かれたみたいな感覚、残念ながらそんな金持ちの知人友人は一人も居ないので、店にいる間だけのセレブ気分に浸るしかない(笑)。

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 店内にはオーナーが収集した現代絵画が数点、一応ギャラリー勤務経験がある私に言わせてもらえば、お金を使って有名作家の絵を集めたのではなく、無名でも選んだ人のセンスの良さが感じられるいい絵、この空間に似合っていると思う。

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 高層ビルと違ってベランダがあり、外へ出て外気を感じられる、此処からは六本木ヒルズ、六本木ミッドタウン、虎ノ門ヒルズと云った東京の有名高層ビルが近くに見え、東京タワーも遠くない、これは夜景も素晴らしいだろうなと思う、「今日こそ決めてやる」みたいな勝負デートの場所を探しているなら、まさに最適だと思った(笑)。

 以下に当日提供された料理の一部を紹介するが、あくまでもレセプション向けの料理な事を理解した上で見て欲しいと思う、

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・とうもろこしのフリット

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・スパゲッティアマトリーチャ

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・プロシュート、レフォール?のエスプーマ

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・豚肩肉のロースト、ローズマリー風味

 オーナーの気前いい振る舞いで、各種アルコール類が提供されていたが、私は訳あって水ばかり飲んで居た(笑)。
 たまたま隣に座った、私より年配と思しき男性がとても粋な人で、高級そうなジャケットにボルサリーノのパナマ帽、オーナーとはサバティーニ青山時代からの旧知の間柄みたいで、グルメな会話の内容が濃い(笑)。私が若い頃はレストランでこうした振る舞いが出来る大人達に憧れたものだ、濃い客の相手をしていたのが、現「フルヤオーガストロノーム」非常勤支配人?の秋葉さんみたいな人だから、お互いに丁々発止の会話が続く、それは濃厚な時間だったと思う(笑)、最近高級店にあまり行かなくなったのもあるが、レストラン空間でこうした素敵な大人達を見かけなくなった、今は楽しむために来たのか批評をするために来たのか、判別不能な客が増えた、昔を知る人間には寂しい事でもある。
 ただ自分も年齢を重ねて、かつて憧れたこうした大人に成れたかと云うと、自己採点では残念な答えしか出ないが(笑)。

 次々と客がやってくる、料理雑誌やWEB上で見かけた顔もあって、それだけ新店への期待度が大きいと云う事だろう。個人的にも内野料理長の料理には以前から注目していたので、彼が料理に専任出来、本領を発揮する場が新たに出来たのは嬉しい事だ(笑)。
 なお、渡邉オーナーはピッツェリアの方に専任し、新店ではサバティーニ青山出身のサービス担当が就くとの事、スタッフは当面男性ばかりになるみたいだが、麻布十番の天空レストランで、内野料理長のリードによってどんなハーモニーを響かすか、期待したいと思う。

 9月以降少し落ち着いた頃に訪れ、また改めて記事にしたいと思っている、渡邊オーナー&内野料理長、ご招待ありがとうございました(笑)。

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中野新橋「タクティー(Tucktty)」※2017年4月で閉店しました。

 2011年に始めたFacebook、最近は色々な意味で面倒にもなっているが(笑)、続けていて良かったなと思う事は、現役料理人やパティシェと知り合える事で、彼・彼女達がどんな考えで仕事に取り組んでいるのか、幾らかでも判ると「この人の料理やスイーツを食べてみたい」と思う時がある。
 今回訪れる中野新橋のイタリア料理店「タクティー(Tucktty)」も、Facebookで知り合った松井昭憲氏が料理長を務める店だ。我家からは遠いので、なかなか行く機会がなかったが、この日夕方に麻布十番まで行く用事があり、「その前に松井さんの料理が食べたい」と直にお願いし、訪問が実現した(笑)。
 中野新橋は30年位前に仕事で一度来た事あるが、勿論当時とは駅も街も大きく変わっている、微かに駅の名前になった神田川に架かる「新橋」辺りの風景には記憶があった、街の看板的存在だった相撲部屋も移転し、真夏の白昼な事もあり、人通りは少なく感じてしまった。

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 店の場所は駅から続く道で新橋を渡ればすぐ左手、道路に面しているので判り易い、開業は2007年だが2014年にリニューアルしているそうで、見かけは新しい印象を受けた。店内に入ると年配の女性が居たので名前を告げるが、後でこの方が店のオーナーだと知った、昼の繁忙時間が過ぎてから訪れたのだが、先客が2組食事中だった。
 席に着くと、もう一人サービスを担当する綺麗な女性が、今日のランチメニューについて簡単に説明してくれる、通常のランチメニューは1,500円だが、今日はあらかじめ遠くから行くのでと、松井料理長に無理を言い、スペシャル内容にしてもらった(笑)。

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・鎌倉のメカブ、栃木県ココファームワイナリーのベルジュ、オリーブオイル

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・鎌倉のトマトが美味しいカプレーゼ

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・8月・鎌倉野菜のサラダ

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・佐島の真ダコ、鎌倉の万願寺唐辛子とピーマンのアラビアータ、ストロッツァプレーティ

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・山形豚、肩ロースのワラ焼き、鎌倉のナスとパブリカ、ハラペーニョ

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・急遽、追加で出してくれたカマス料理

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・焼いた鎌倉トマト、ズッキーニ、ミントのソルベ

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・ヘーゼルナッツの香るチョコ“ジャンドゥイヤ”のタルトと鎌倉のビーツ
・イタリア産コーヒー“オペラ・プリマ”

 まずは野菜の味が鮮烈だ、料理長は鎌倉在住で、地元の生産農家から無農薬野菜を直接購入、店までぶら下げて来るそうだが、それだけの価値はある、例えば北海道の野菜に比べると、力強さより味の奥行きや洗練度を感じる、苦味の中に甘味があり、辛味の中に旨味がある。勿論それを生かす調理技術があってこそだが、改めてイタリア料理は「始めに素材ありき、素材は料理なり」なのだなと理解した(笑)。
 パスタ料理の「ストロッツァプレーティ」とは、「坊さん(神父)の首を絞める」と云う物騒な意味の手打ちパスタ(笑)、麺を両掌で捻って成形するのでこの名が付いたそうだ、ソースと絡んで美味、やはりイタリア料理店では生パスタを食べたくなる。
 台風の影響で鮮魚が入らなかったと事前に説明あったが、「今、魚が届きました」と急遽出してくれたのがカマス料理、魚介も鎌倉の漁師と直接取引し、店まで車で運んでもらっているそうだ、生産者(漁師)⇒店⇒消費者(客)が最短ルートで構成されるので、これは美味しくない筈がない(笑)。
 野菜を使ったドルチェも良かったし、予想の上を行く上質なランチだった、そして支払いは、都心のスタイリッシュ系イタリアンと較べたら申し訳ない位に安い。

 また「古い」と云われそうだが、松井料理長は「ヒデとロザンナ」のヒデさんに少し似ている(笑)、「グラナダ」「サバティーニ青山」等の名門イタリアン出身で、サバティーニ時代は、現「ジャニコロ・ジョウキ」の内野料理長と同じ厨房で働いたそうだ、喋り方は穏やかだが、生産者を盛り上げようとする熱い気持ちに満ちている。
 この料理長を信頼して、全て任せている女性オーナーも立派だと思った、採算や利益追求以上に、何とか地元を盛り上げたい気持ちがあるからだと思う。
 そしてサービスを担当する女性が優秀、私がレストランオーナーならスカウトしたい位(笑)、接客、喋り、間の取り方等、高級店でも通用しそうな対応で、「この人のサービスなら、もう一度来てみたい」と思ってしまう、「最近、女性ばかり褒めていないか?」と勘繰られそうだが、慢性人材不足のこの業界で、一生懸命働いている彼女達はとても素敵だと思う(笑)。

 正直に言うと、訪れた後に「一回行っておけば十分」と思う店はある、料理だけでなくサービスも含めて「これ以上は進歩しないな」と感じた店、片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんが言う「ときめかない」店がそれで、この店はもっと進歩しそうだし「ときめく」店だった、また何か用事を作って、いや他に用事が無くても行きたいなと思った(笑)。
 爽やかで美味しい午後になりました、スタッフの皆さんありがとうございました、気分の良くなった私はこのまま麻布十番へ向かう事に。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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