最後の晩餐にはまだ早い


外苑前「フロリレージュ」(2016年10月)  

 6月以来で今年3回目の「フロリレージュ」、その間に川手料理長はパリ「ES」の本城料理長と日本でフェア、更には韓国でも川手フェアを開催、つい最近はベルギー・ブルージュまで行き、三ツ星店「Hertog Jan(ヘルトン・ヤン)」でフェアを行う等、まさに「破竹の勢い」を感じる。
 私がフランス料理店へ本格的に行き始めた1980年代に、日本人料理人がフランス料理で、欧州でフェアを開催する事など、およそ考えもつかない夢物語の世界だった、長生きはするものだと思うが(笑)、40年近い間に此処へ辿り着く迄に、先人達が重ねた努力は、料理人だけでなくメソッドを作った調理師学校等も含め、改めて凄い事だなと思う。特に現在の日本人料理人、それも1970~80年代生れの若い料理人達の質と数は、世界最高と云ってもいいのでは?と感じている。
 その世代を代表する一人が川手料理長だろう、直近に行った札幌の若手料理人達が、フロリレージュと川手氏へ向けるリスペクトは、話していて特別なものがあると感じた、東京や大阪そしてパリにも同世代の日本人料理人は居るが名前も出なかった(笑)。料理技量だけでなく人間性の面でも何かが違うのは、同業者なら特に感じるのだと思う。
 また前置きが長くなってしまったが、まずはこの夜の料理を紹介したい、

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・投影、さつま芋

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・ヘルトン・ヤン、ボタン海老 バニラ

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・合作、鱧 スフレグラス

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・コントラスト、南瓜

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・サスティナビリティー、牛と牡蠣

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・記憶からのインスピレーション、ブーダン 白子

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・和の風味、甘鯛(食べ始めてから撮ったので少し崩れている)

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・分かち合う

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・北海道白糠町羊まるごと研究所の仔羊、もち米とエゴマ

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・旬、柿

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・栗 新米

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・贈り物、アマゾンカカオ

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・ドリンクペアリングの一部(一見「栄螺の壺焼き」もドリンクです(笑))

 料理個々の説明は簡単に留めるが、二品目の海老とジャガ芋ピュレのバニラ風味は、「ヘルトン・ヤン」のスペシャリテ、面白い味のバランスで美味だった。次の鱧料理は若干「?」の部分も感じたが(笑)、続く南瓜&フォアグラ~経産牛&牡蠣~ブーダン&白子の流れは見事、異種格闘技みたいな組合せもあるが、そこから新しい美味しさを作り出すのが川手料理の真骨頂だ。
 白糠町の酒井氏が育てる仔羊は「ル・スプートニク」でも使っていたが、シンプルなローストが抜群だった同店に対し、自分の得意とする技法で調理した川手料理は対照的で興味深い。
 デセールは見た目シンプルで各素材の特質を生かしたもの、中では最後のペルーの料理人から送られて来ると云う、アマゾン産カカオと赤紫蘇を使った一品が印象的だった。

 キッチンスタッフが数名交替して外国人も2人加わっていた、実はこの前日に12月公開予定の、「ノーマ東京-世界一のレストランが日本にやって来た」の試写会を観ていて、その映像がダブってしまうのだが、協働体制の緻密さや出来上がった料理を見ても、日本人としての贔屓目はあると思うが遜色はそう感じなかった、尚この映画については次回のブログ記事で紹介するつもりだ。
 当夜の客中に外国人夫妻が居て、退店時にレセプションで一緒になったのだが、こちらのメンバーに英語が達者な人間が居たので話しかけたら、オーストラリアから来たとの事、今日の料理印象を尋ねると‘excellent’を連発していた(笑)。何でもオーストラリアで有名な食ジャーナリストがフロリレージュに来店し、その好印象記事を全国紙に書いたそうで、それ以来店と料理長はオーストラリアでは、とても‘famous’になっているとの事、川手氏はオーストラリアへ行けば一稼ぎ出来るかも知れない(笑)。

 川手料理長は以前から被災地復興支援や食品廃棄物削減等、店として「サスティナビリティー(持続可能性)」に取り組んでいる、新店でのテーブルクロス省略もその一環で、製作や洗濯時の環境負荷等を考慮し、コストカットが目的ではない筈。この日肉料理に使った皿は、川手氏自らが欠けた箇所を修繕(金繕い)した物だった、今迄なら廃棄されていた皿でも修理しながら使う、こうした考えは昔の日本では当たり前の事だった。最後に彼が語ったのは、料理人が着るコックコートの省略方針で、製作時には相当量の布地をロスして廃棄されるそうで、見直しを考えているとの事。
 川手氏が同世代料理人から尊敬を受けるのは、料理に限らず、こうした取組でも他店の一歩先を行く姿勢によるものだと思う、今はもう料理だけを作っていればいい時代ではなくなった、料理人も社会を構成する一員として、何が出来るのかが問われている。そして客側も「テーブルクロスや布ナプキンを何故使う?」とか「料理毎にカトラリーを替える必要ある?」等を、今後真剣に考えないといけないと思う、料理人のレベルの高さだけでなく環境面でも、日本のやり方が世界標準になる日が何時か来て欲しいものだ。

 こうして客側にも問題を提起して、刺激を与えるフロリレージュ、考えさせられる事が多いので、この店さえ通っていれば認知症など怖くない気がする(笑)。
 同席を誘って参加いただいた皆様、多忙な中をありがとうございました。

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札幌・ススキノ「meli-melo(メリメロ)」(2016札幌食べ続け⑥)

 3泊4日駆け足での札幌食べ続けも最終日、最後の店に選んだのは、すすきの狸小路近くにあるフランス料理「meli-melo(メリメロ)」だった。
 料理人は1980年生れの佐藤大典氏、2013年に札幌円山で同名店舗を開業、昨年5月現在地に移転した。興味深いのは移転後すぐにフランスへ行き、パリの「アストランス」&「ルドワイヤン」で約半年間働いた事、その間に料理長として店を営業していたのは料理人でもある奥様だった、フランスで単身働く事により、自分も妻もお互いスキルアップを図ると云う、現代的で面白いやり方だ。
 ブログ記事にした「リアン」の木下料理長とも親交があり、彼より更に年齢が下なので、札幌の新しい世代の料理を体験出来ると、今回初訪問を楽しみにしていた店だ。

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 店の場所は去年訪れた、人気フランス料理店「サヴール」のすぐ近く、複合ビルの2階部分なのも「サヴール」同様だが、新しい建物で窓が大きく採光があり、明るい店内なのが違う。 
 料理長夫妻に挨拶してキッチン横のカウンター席に座らせてもらう、奥様とは前に働いていた店で会っていた、もう一人若い男性料理人がキッチンに立ち3人体制。
 ここ数年来東京でも増えたフルオープンキッチンスタイルで、客席から全て作業が見えるが、洗い場は客席から見えない場所にある、店内はカウンター含め16席だが、既に3人客が居て後から8人の団体も来たので、ほぼ満席になった。
 ランチは3,000円と5,000円の2種だが、あらかじめ後者でお願いしていた、更にノンアルコールのペアリングがあるとの事で、興味を惹かれ注文してみる。
 この日の料理は以下のとおり、

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・アミューズ(左:アイコトマト、ボタン海老 右:炙り鯖、バターナッツ南瓜)

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・ズッキーニとリコッタチーズのタルトミルフィーユ、プラムソース

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・自家製パン、焦がした玉葱を挟んだ発酵バター

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・甘鯛のウロコ焼き、ホウズキのソース
・帆立、アオリイカ、パースニップとほうれん草のソース(画像撮り忘れました)

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・北海道産松茸とノドグロのスープ仕立て

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・青森金子ファームの黒毛和牛ランプのロティ、ポルチーニ、ムキタケ、黒ニンニクソース

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・プレデセール(大葉のソルベ)

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・デセール(手前から:メープル&プラリネのグラス、洋梨のコンポートの上にマロンのエスプーマ、ショコラムース)

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・アレッシイの変ったカップにエスプレッソ

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・ミニャルディーズ(きなこショコラ、サブレ)

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・ノンアルコール4種(上段左:赤紫蘇&ライム、右:パブリカ&パイナップルにローズマリー、下段左:ヨーグルトのホエー、右:ビーツが其々のベース)

 前日までに比べ料理に緑色が増えた(笑)、活力を感じる若い料理人の料理だと思ったのが第一印象。
 二品目のタルトミルフィーユは、働いていた「アストランス」の料理から着想を得たみたいだ。今回札幌で訪れたフレンチ3店は何処も自家製パンで味も上質、これは東京のレストランも見習って欲しい点だと思う。
 次の甘鯛はホウズキをソースに使う意外な組合せだが、なかなか面白いと思った。帆立と烏賊料理はパースニップの風味が生きている。佐藤氏が「今日一番食べて欲しかった」と云う道産松茸とノドグロは、香りを強調し和食の様でいながら、やはりフレンチの皿になっている。
 上質な牛ランプは的確な調理で美味、ガルニに使ったムキタケの食感・風味が特徴ある。デセールも軽めながら変化に富んでいい構成だった。
 全体的な印象は、油脂を抑えてライト感覚ながら、肉料理はしっかりと出すフランス式、料理人は違うと云うかも知れないが、やはり「アストランス」からの影響はありそうだ、甘鯛のホウズキソースみたいな際どいバランスを狙う料理もあり、ムニュ構成として全体を味わう料理だと思った。私は2001年ミシュラン一ツ星になったばかりの「アストランス」を訪れているが、料理を連想させるものがある、でもあの容れ物で三ツ星店になったのは今でも信じられないでいるが(笑)。

 主に奥様が考えるジューペアリングは、時に四次元的?で難解な時もある「フロリレージュ」に較べ、優しく判り易い組合せで特に女性客に受け入れられそうだ。
 奥様は現在サービスとデセール担当みたいだが、料理人でもあるので、これから二人のポテンシャルが相乗効果になって行けば、更なる進歩がありそう、モダンなインテリアや食器・カトラリー等は新しく上質で店の居心地もいい、「新しい札幌フレンチ」の風を感じる事が出来る店だ。

 今回、札幌フレンチ訪問は3店だったが、何処も特徴があり料理人の世代も違っていたので面白かった。東京でも同様だが、これだけ競合店が増えている中で生き残るには、他店にはない独自性が求められると思う、個性を出そうとする意図はどの店でも感じられた。
 ハイシーズン以外、LCC利用なら往復1万円前後で東京から札幌まで行ける、フランス料理に限らず、札幌飲食店のレベルの高さを是非体験して欲しいと思う。
 次の訪問は来年になるが、今回訪れる事が出来なかった店を含め、今から何処へ行くか考えるのも楽しみだ(笑)。

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札幌・東本願寺前「らーめん五丈原本店」(2016札幌食べ続け⑤)

 札幌三日目の夜は、まずは東京にも支店がある、札幌発祥の有名回転寿司店へ行くつもりで、市内西北部にある店舗まで歩いて行ったのだが、店へ着いたら入店待ちの行列が出来ていて驚いた。週末夜だった事もあるが、東京と同じく地元の人はそう高級な寿司店には行かない、こうした店へ行く事が「日常の贅沢」なのだなと思う。
 並んでいようかとも思ったが、30分は待ちそうだし、そこまでしなくても何時か東京の店へ行けばいいかと断念した。
 こうなると今から行くとすると、思い付くのはあの店しかない、「あなたをたずねて南へ歩く」事に(笑)。歩いている途中「天然温泉」を見つけて心惹かれたが、タオルも着替えも無いので見送り、辿り着いたのが東本願寺前で30分以上歩いた、東京人は地下鉄の乗換通路等で鍛えられているので、意外にも歩きには強い(笑)。

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 そして到着したのが、このブログではお馴染みの「らーめん五丈原」、夜暗くなってこの赤い暖簾と店内の灯りを見ると、集魚灯に引き寄せられる烏賊みたいに近づいて、自動ドアのボタンを押してしまう(笑)。

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 店の入口には「スープとの相性抜群 チャーシューおにぎり」の文字と写真が、これはサブリミナル効果を狙ったのか、その意図どおりに、入店してから目の前にある自販機のボタンをつい押してしまった(笑)。

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 席に座って食券を提出、結局選んだのは一番人気と云われる「とんしおらーめん」(税込680円)&「チャーシューおにぎり」(150円)、脂多目or少な目を訊かれるので、少な目でお願いする。
 目の前には、割り箸と洗いの共有箸2種類が置かれているのがこの店の特徴、私は割り箸使わない派だ、胡椒、七味、おろしニンニクの味変アイテムは以前と変わらず、水ポットは東京ではあまり見かけなくなった非透明のプラスチック製。

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 やがて出来上がったのが「とんしおらーめん」何だかデフォルトの具より増えている気がするが、まあお許しください(笑)。
 まずはスープを一口、豚骨ベースながら脂気は少なく、スルスルと嚥下していく、「ああ、この味」と脳が反応する、去年も感じたが微かに甲殻類みたいな風味がある、確認したが干し海老等は使っていないとの事で、豚骨から出たものだろう。
 麺は以前から変わらない細麺で縮れのないストレートタイプ、スープとの相性はいい、チャーシュー、メンマ等具のクオリティも高いと思う。

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 炭水化物過多はとても気になるが、久しぶりのチャーシューおにぎりは、パラっとほぐれる作りで、何処か懐かしく記憶を呼び覚ます味。固めに炊いた粘りの少ない北海道米(たぶん)にラーメンに使うチャーシューを刻んで混ぜ、醤油ダレで和え型を使ってオニギリ状にしたものだが、インドカレーとパスマティライスみたいに、ラーメンスープとこのオニギリは相性抜群、添えられた刻み沢庵がまた泣ける(笑)。
 ごちそうさまでした、完食です(笑)。関東圏でのフェア出店でもない限り、一年に一回しか食べられないのが残念だが、しっかり記憶に留めたい味だった。

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 この店は平成6年(1994)に、旭川の元寿司職人が始めた店と聞く、札幌ラーメンより旭川ラーメンに近いらしいが、創業20年を過ぎて味も少しずつ変わって来たのだと思う、今は二郎系みたいなタイプや辛味系メニューも取り入れている。現在の経営は実質二代目、その跡継ぎも出来たみたいで(笑)、あと50年は続けられそうか?
 皆が消費を控えようとする昨今、札幌でも飲食店の現状が厳しい事は肌で感じた、スープカレー店が札幌市内で250店なら、ラーメン店は1000店以上あると云われている、その中で生き残って行くのは本当に大変だろうが、此の地でこれからも続いて欲しい名店だと思う。
 余裕があれば、店の近くにある海老出汁で知られるラーメン店も行ってみたかったが、さすがにそれは無理だった(笑)。もう足が痛くなって来たが、またホテルまで歩いて帰る事に、でもこれ位では三日間のカロリー過多は殆ど解消しないが(笑)。



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札幌・西20丁目「リアン」(2016札幌食べ続け④)

 札幌3日目は、ここも4年連続で伺う事になる、西20丁目にあるフランス料理「リアン」へ、木下夫妻が二人で営む席数12の小さなレストランだ。
 札幌のフランス料理店へ年一回通う様になって何年か経つ、最初の頃は東京でもよく名前が知られた、スタッフが何人も居る店も利用したが、次第にこうした処は行かなくなり、最近は「プロヴァンサル・キムラ」やこの「リアン」みたいに、夫婦二人でやっているミニマムな店への訪問が殆どになった、理由は東京のフランス料理店でこの形態が少なくなったからで、過去一年都内で利用した中で夫婦二人だけの店は「グリグリ」位しか思い付かない、個人的にこのスタイルが好きなのもあるが、札幌フレンチの特色&個性として、もっと注目されていい点だと思う。

 この日もフレンチ日和?で快晴、店前には去年も見た青い自転車(笑)。過去3回の利用は全てカウンターだったが、この日はテーブル席に座る事に、外光が差す明るい店内に夫妻が集めた絵画が映えている。
 札幌の友人と共にマダムと料理長に挨拶し、始まったランチの内容は以下のとおり。

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・ローズヒップティー

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・江丹別産ブルーチーズのプティサレ、サラミとオリーブ

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・蝦夷鹿とフォアグラのパテアンクルート、レーズンのマスタード

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・積丹産イナダのマリネ、自家菜園の野菜のエチュベ

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・自家製パン

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・落葉キノコのコンソメ

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・道産魚介のヴォロヴァン

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・伊達鶏とオマールのバロティーヌ、オマールのジュとシェリーヴィネガーのソース

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・葡萄のコンポートとソルベ

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・ショコラのチュイールと酒粕のグラス

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・マイティーリーフのチェリーレモングリーンティー

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・ミニャルディーズ(カヌレ、ギモーヴ、マカロン、フィナンシェ)

 プティサレに使ったブルーチーズは、旭川市郊外の江丹別町で作られ、最近注目されているもの。「パテを食べれば料理人の実力が判る」と聞いた事あるが、蝦夷鹿で作ったアンクルートは見た目も味も秀逸だった。
 イナダは鰤の幼体だが、最近北海道近海で獲れていると聞く、自家菜園の野菜と合わせて木下料理らしい皿。落葉キノコのコンソメは昨年も味わったが、料理長自ら採りに行く茸を使ったもので、味わい深く記憶に残る味になっている。
 ボタン海老、帆立、ムールの料理はメイン的に重量あるクラシックな皿、「ヴォロヴァン」とはパイ生地の中にクリーム系の料理を詰める事で、旨味の強い道産魚介には油脂を使ったソースが合うと判断したのだろう、その意図は充分感じらえた。
 鶏料理は軽く抑えた印象、ムニュ構成の中で肉料理を特に重くしないのは流行みたいだが、前の魚介料理がしっかり目だったので丁度いいバランスだった。
 料理長は元々パティシェ志望だったのでデセールは得意分野、2品の構成、味共に良かったし、定番が並んだミニャルディーズも丁寧な作りで美味でした。

 木下雄介料理長は1978年生れ、「フロリレージュ」川手料理長とは同年、前日の「プロヴァンサル・キムラ」木村料理長とは十歳違う。今迄は最若手世代だったが、現在1980年代生れの料理長が各地で誕生している、年齢的には中堅処となり、そろそろ「自分の料理」を確立する時期に来ていると思う、おそらくその理由からだろう、自家菜園で野菜を育て、山へ茸を採りに行き、時に磯釣りまでして、極力業者だけに頼らない食材料の確保に努めている。
 料理はまず見た目が綺麗なのが特徴の一つ、そして自家製パンやコーヒー、ハーブティー、カトラリー類等細部まで注意を怠らない、この辺りはホテルの厨房経験が長かったからと推測するが、今回の料理印象では今迄に比べて、皿上から余計なハーブ等が消え本質的になり、古典料理への回帰を感じた。
 このスタイルを突き詰め、和歌山「オテル・ド・ヨシノ」の手島、大阪上本町「コーイン」の湯浅両料理長みたいな、古典王道の領域へ進むのか、これは来年も来て確認しないといけないなと思った(笑)。
 
 店のWEBページには「女性一人でも気軽にお越しいただける雰囲気づくりを心がけています」とあるが、その言葉どおりに常連らしき女性一人客が入店し、カウンター席で食事を始めた、その姿が自然で作為がなく、札幌でフランス料理店が根付いている実態を見た思い、皆レストランの楽しみ方を知っている。
 苦しい位に満腹になりました、マダムに会計を頼んだら、予想以上に安くて「本当にこれでいいの?」と疑ってしまう、これだから札幌フレンチ行脚は止められない(笑)。
 最後は夫妻の笑顔の見送りを受け退店、この日の天気みたいに爽快で気持ち豊かな午後になった。身に入れた分を夕食までに消化しないといけないので、この周辺を歩いてホテルまで帰る事にする(笑)。


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札幌・北15条東「Curry Power パンチ」(2016札幌食べ続け③)

 札幌の街は道路が碁盤目状に整備されているので判り易い、その反面東西南北を間違えると、行き止まりが無いから何処までも真っ直ぐ歩いてしまい、気が付くと目的地と相当離れていた事もある(笑)。
 札幌二日目の夜は、北15条にあるスープカレーの店「Curry Power パンチ」へ行こうと、地下鉄の北13条東駅から歩いている途中、夜で暗かった事もあり「この道でいいのかな?」と不安になった、誰かに訊くにも札幌の住宅地は夜歩いている人が居ない(笑)、心配しながら進んでいると、ようやく目的の環状通りらしい広い道が見えたので一安心、こうした時には、もうナビ可能なスマホに替えないといけないなと思う、老後が心配になる(笑)。

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 去年は旅行中に2回訪問したので早くも3回目、店主は開業前から知っているが、何とか1年続いた(店としては間もなく2年)のは嬉しい事でもある。日頃東京飲食店の厳しさを見ているし、札幌でも価格競争や従業員不足の面で、同じ状態になりつつあるのは感じた、この店も現在は昼夜共にワンオペレーションで混む時間は結構厳しい筈、札幌に住んでいたら手伝いに来てあげたいと思ってしまう(笑)。
 入店は19時過ぎ、勤め帰りみたいな男性が一人カウンター席で食事中、テーブル席では若い男女4人組が出来上がりを待っている。店主のU君に挨拶しカウンター隅に座る、店内の雰囲気は去年と殆ど変わっていない。

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 さて何を食べるか迷うのだが、去年食べていない「タンドリーチキンベジタブル」か「豚タンドリーベジタブル」どちらかな?と思ったが、やはり考え直して、去年食べて好印象だった「うまうまつくねベジタブル」(税込1,090円)に決めた、今回食べないと、多分また一年「つくねベジタブルが食べたい」と思い続ける事になる(笑)。辛さは7段階あるうち下から3番目の「フック」でライスは普通盛、プレーンラッシーも一緒にお願いした。
 カウンター席だけならワンオペでも何とかなりそうだが、この店みたいにテーブル席も多いと大変だ、札幌のフレンチで「札幌人はカウンターで食事するのをあまり好まない」と聞いた事あるが、2人以上の場合向かい合って食事するのは、日本人の習性みたいだ(笑)。

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 やがて出来上がったのが「うまうまつくねベジタブル」、元はおそらく「つくね鍋」から着想したものだと思うが、大きなつくねが4個、そこに茹で玉子と各種野菜が加わる。
 まずはスープを一口、あっさりした和風味が広がる、昆布ベースに鶏出汁だと思うが、私みたいな年齢の人間にも受け入れられ易い穏やか系、東京では出会えない系統の味だ、スパイスの積み重ねにこの和風が不思議と合う。
 つくねは柔らかく揚げてあり、道産の力強い野菜と合って中国料理の「砂鍋獅子頭」みたいな印象、今東京では天候不順によって野菜が高騰しているから、食べられる時に食べておかないといけない(笑)。

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 ご飯は「ほしのゆめ」と云う道産米だそうだ、コシヒカリ系の粘りの強い品種ではなく、スープカレーと相性がいいサラっとした感じの炊き上がりになる、去年は少しご飯を追加してもらったのを思い出したが、今回は控えた(笑)。

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 ラッシーはインドカレーともスープカレーとも合う。

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 完食です、ごちそうさまでした(笑)。
 
 昼間のブイヤベースもそうだが、札幌の気候にこうした「汁物」がよく合う、これはヨーロッパみたいな湿度の低さと関係あるのでは?と以前から思っていたが、今回それを確信した。2日前の東京は結構蒸し暑かったが、札幌へ来たら喉も自慢の?潤い肌も乾いて(笑)、保湿のため水分が欲しくなる。別の見方をすると、このスープカレーをそのまま東京へ持って行っても受けないかも知れない、もっと粘度を増して刺激も強くする必要がありそうだ。

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 ウィキペディアによるとスープカレーは、1971年に札幌の喫茶店「アジャンタ」が発売した「薬膳カリイ」が発祥とされている、それから45年経って現在は札幌市内だけでも約250店舗あるそうだ、これだけ札幌の人口に膾炙したのは、気候風土に合ったからとしか思えないのだが、その中で生き残るのは東京のフランス料理店と同じで熾烈なものがある、この店も何とか続いて欲しいと願わずにいられない。
 U君、一年ぶりのカレー美味しかったです、来年また来られるのを楽しみにしています(笑)。


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札幌・西18丁目「プロヴァンサル・キムラ」(2016年札幌食べ続け②)

 札幌二日目は、北海道立近代美術館で開催中の「ゴジラ展 特撮映画のヴィジョンとデザイン」を観に行く、これがとても面白かった(笑)。「ゴジラスーツ」と呼ばれる着ぐるみを始め、1954年制作の初代「ゴジラ」からの貴重な資料が展示され、ゴジラファンや映画ファンには胸躍る企画で、子供ではなく大人が楽しめる内容だった。でもこれを見ていると、昭和の特撮映画界のマンパワーは凄かったなと思う、今は何でもCG制作になってしまったのが少々残念。

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 昼の時間が近づき歩いて向かったのは、美術館から至近のフランス料理「プロヴァンサル・キムラ」、この店は数年来札幌食べ続けの定番になっている、今回は札幌在住の友人夫妻との食事で、「ブイヤベースを食べる」とのテーマを決めていた。
 此処の料理が好きな理由は、私が毎年の様にフランスを訪れていた1990年後半から2000年代前半位の、フランスの料理を思い出せるからで、料理を一口食べただけで「旨い」と唸らせる、頭で理解するよりも感覚へ訴える美味しさがある。あの時代の名料理人達は皆、水戸黄門の印籠的な「これが見えないか、食ってから文句云え」的なスペシャリテがあった(笑)、それを食べるために客は遠路を厭わず訪れたものだ、今は料理よりも店が提供するイメージを体験する方が優先されている気がする。
 天気はプロヴァンスの青空みたいな快晴(笑)、ファサードに塗られた店のイメージカラー、プロヴァンサルジョーヌが映えている、ドアを開け迎えてくれるのは木村マダムだ。
 入店後厨房近くの席に座らせてもらい、シャンパーニュとペリエで乾杯して始まったブイヤベースを中心にしたメニュー、内容は以下のとおり。

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・秋刀魚のピサラディエール(3人分)

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・自家製スモークサーモンのマリネ、キアヌ、ビーツ

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・道産帆立貝のグリエ、コリンキーかぼちゃ、黒トリュフ

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・スープ・ド・ポワソン、ルイユとグリュエールチーズ

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・ブイヤベース(鮟鱇、縞ソイ、アナゴ、ホウボウ、ムール、ジャガイモ)

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・プレデセール(トマトのコンポート、大葉のグラニテ)

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・旭川産木苺のバシュラン

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・ミニャルディーズ(マカロン、イチジクのロールケーキ、ショコラ)

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・デトックスティー

 今年は秋刀魚が不漁だが、あえて東京から来た人間のために出してくれたピサラディエールは、根気よく炒めた玉ねぎが味のベース、これがあの時代の基本だ(笑)。
 臭みの全くない自家製サーモンはねっとり舌に残る美味、クリスピーなキアヌが面白い食感、地産の採れ立て帆立貝はシンプルだが美味しくない訳がない(笑)。
 そして次の「スープ・ド・ポワソン」を一口飲んで、「旨い」と唸って息が止まりそうになる(笑)、このために往復の飛行機代払って惜しくないと思った。此の店のブイヤベースは2回目だが、以前より味の濃縮度が増している、有無を言わせない美味しさとはこれ、添えられたルイユも絶妙。
 続くブイヤベース本体もいいが、やはりスープの強烈な印象の後では少し感動が薄れる、この料理はスープが7割、本体が3割位の重要度かも知れない(笑)。
 デザートも味、見た目共に良かったし、ミニャルディーズまで手を抜かないのは職人気質な木村料理長ならでは。

 木村浩料理長は1968年生まれ、ユーロ統合前のフランスで働いていて、当時のフランス料理を知っているが、これが財産になっていると思う、あの時代は客が最初の一口でガツンと頭を殴られるみたいな、強烈な印象の料理が多かった、そのために一皿に込められた材料と手間は相当なものだった。当時の南仏のブイヤベースを知っているし、日本人が好む味も知っている、北海道の魚介を使って日本人が食べる事を想定した、完成度の高い料理になっていると感じた。
 絵師長谷川等伯の生涯を書いた、安部龍太郎「等伯」の中で、等伯のライバルだった狩野永徳が初めて等伯の絵を見て、思わず「古い」と漏らす場面がある、これには羨望の意味が含まれていて、「この表現では自分は敵わない、新しい表現を求められる狩野派の総師として、自分は違うやり方で描くしかない」と悟ったのだ。
 この後に訪れる事になる、札幌の若い料理人達が木村料理を体験すると、おそらく狩野永徳と同じ心境になるのではと想像してしまった(笑)。
 間違いなく云えるのは「旨いと唸らせるブイヤベースが食べたかったら、ニースでもPARISでも東京ではなく、札幌へ行け」(笑)。なおブイヤベースの注文はランチ、ディナー共に可能だが、2人分からなので要注意。

 サービスを担当するマダムの明るさもこの店の財産、名前は南仏プロヴァンスでも店の雰囲気が極北では困ってしまう(笑)。友人達も交えてブログには書けない話も含め、とても楽しい午後になりました、皆様ありがとうございました。
 来年はこの店で何が食べられるか、今から待ち遠しく期待したいと思う(笑)。


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札幌・西17丁目「円山マッシュルーム」(2016札幌食べ続け①)

 今年の札幌食べ続けは、ハンバーグから始まった(笑)。
 これには訳があるのだが、今回LCCでも最安の行程を選んでしまったため、新千歳到着が16時になった。今年北海道・東北への台風被害は顕著だが、もし台風等で欠航や遅延があると予約した店に迷惑が及ぶと考え、到着日の夜はフランス料理ではなく、到着してから予約なしでも利用可能な店へ行こうと思った。
 ホテルから離れていない場所で良さそうな店はないか?と探していた時に、見つけたのが市内西17丁目にあるハンバーグ&洋食の「円山マッシュルーム」だった。
 2009年に開業し店主はフレンチ出身、今回訪れるフランス料理店「リアン」の木下料理長とは同じ職場で働いていた時期があるとの事、それを知って「行ってみよう」と思った。

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 店の場所は札幌医大病院前でホテルから歩いて行ける、店前は何回か通った事あるが、ハンバーガーショップかな?と思っていた。

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 夜の入口照明は少し怪しげな雰囲気(笑)、掲げたメニューを見るとハンバーグ専門店と云う訳ではなく、れっきとした?洋食店みたいだ。
 ドアを開けて入店し、サービス担当の女性に一人利用である事を告げ、カウンター席に案内される。2階にも客席があり、WEB情報では44席とあるが、厨房一人サービス一人の体制なので全席は埋めていないと思う。
 札幌へ来て感心するのは、飲食店特に洋食系のインテリアセンスがいい事で、全体が北欧調にニトリが少し混ざったみたいな(笑)、そんなにお金をかけなくても洒落た店内装飾が出来ている印象、これから店を始める人は参考になる筈。

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 メニューはハンバーグやパスタ等単品料理の他にセット物もある、その中に「月替わりメインのお得なセット」とオススメ文句のある、「ピックアップ夜ランチセット」(税込1,500円)が目に留まった、「夜ランチ」と云う表現が判り易くていい(笑)、4品から選択のメイン料理の他にミニサラダ、スープ、ドリンクから2品選べる(3品だと+200円)、これに決めてメインは「ペッパー風味グレービーソースの目玉焼ハンバーグ(150g)」にして、デザートも追加でお願いした。

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・ドリンク用グラスに入ったサラダ

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・南瓜と人参のスープ

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・ハンバーグ

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・ライス

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・南瓜のアイステリーヌ

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・コーヒー

 サラダはごく普通だが、次のスープがとても美味しい、この時期ハロウィンが近いから南瓜のメニューを積極的に取り入れているが、南瓜だけでなく人参も加える事で味が深まっている。
 ハンバーグはおそらく合挽肉だと思うが丁寧に作られていて、黒胡椒のソースが効いている、店のWEBページでは3週間かけてデミグラスソースを作るとあるが、これがベースなのか味が深い。添えられた道産野菜の質も申し分なく、下に柔らかくしたキャベツの芯が敷かれていたが、美味しい部分を無駄にしないのは賛成、ハンバーグ上に乗せた目玉焼きが懐かしく思わずニッコリする(笑)、成田空港フードコートの焼きそば上の酷い目玉焼きとは雲泥の差だ。ご飯は北海道米みたいで水分含有が少な目で洋食に合っている。
 デザートはさすがフレンチ出身の料理人だけあって、見た目も味も洋食店のレベルを超えていた。

 予想以上に美味しいハンバーグでした、東京の老舗洋食店に較べ、現代的な軽さも追求していて、ソースや野菜のレベルが高いので満足感は大きい。
 此処はなかなか使い勝手のいい店だと思った、私の年齢になると毎日昼夜フレンチは辛いので、「今日は傾向の違うもの食べたい」と思う時は向いていると思った。
 最後に遠藤料理長と話をさせてもらったが、WEBページによると元ミュージシャン志望との事、八丁堀「シック・プッテートル」の生井料理長と同じだが、柔軟な発想と音楽は関係あるのかも知れない(笑)。
 毎年札幌に来て、この近くに泊まりながら今迄利用していなかった事を後悔する(笑)。支払いは思ったより安くて、また昼でも夜でも来たいなと思った、札幌食巡りの穴場店と云えそうだ。

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 「始めよければ終りよし」を願い、食べ続けはまず順調にスタートした(笑)。
 

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西麻布「ル・セヴェロ・ジャポン」

 パリ14区、モンパルナス駅からそう遠くない場所に在る「ル・セヴェロ‘Le Severo’」は、肉屋出身のオーナー、ウィリアム・ベルネが1987年に開業した熟成肉ステーキで知られるビストロだ。私は残念ながら訪れていないが、知人・友人達は何人か行っていて、「料理は肉しかないが、旨かったよ」との声は聞いていた。
 その名前を冠した店が、今年4月に東京西麻布に開店したとの情報は得ていた、日本人料理長はパリの店で働いていて、ベルネ氏より直接指導を受けているとの事、そして店内サービス担当には旧知の宮脇氏が就いているので、これは行かないといけないなと思っていた。そんな時に、十年近い付き合いになる在関西の有名料理人が東京に来る事になり、何処かで会いましょうとの話になったのだが、幾つか候補店を絞った中に「ル・セヴェロ」の名が出たので、ランチタイムに伺う事に決めた、「行きたい」と思っていると何時か行けるものだ(笑)。

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 店の場所はバブルの古戦場(笑)西麻布、ホブソンズのある有名な交差点から広尾方面へ向かってすぐ右側、外苑西通りに面していて、目立つ赤色の外観なのですぐ判った、少し早めに着いたので、店の周りを歩いてみたが、もうこの名を知っている人も少ないと思う通称「地中海通り」は、昼間なのもあって閑散としている、六本木ヒルズやミッドタウンが開業してから人の流れが変わり、アクセスのよくない西麻布は取り残された印象が強い、まさに「つわものどもが夢のあと」と云う雰囲気だ(笑)。
 12時になり入店、2階の客席に案内され窓際の4人席に座らせてもらう、窓から通りの向かいにある老舗イタリアンの赤いテントが見えるが、此処もバブル遺産に登録したい雰囲気が漂っている(笑)。
 9月末なのに暑い日で、ビールで乾杯した後にメニューをじっくり眺める。

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・ランチメニュー

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・夜のカルトだが昼でも注文可能な料理

 集まったメンバーが濃いため(笑)、カルトから選ぼうかなと思っていたのだが、よく見るとランチメニュー(税込2,500円~)も結構魅力的な内容だ、特に「熟成短角牛」の文字に惹かれた、国産の短角牛生産者が不人気により廃業している実態をニュースで見たので、応援の意味も込めこれを中心に選ぶ事に決めた。
 食べた料理は以下のとおり、

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・パテ・ド・カンパーニュ パリ本店のレシピ 厚切りお肉のテリーヌ(+500円)

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・最近レストランで見る機会が増えた、仏ペルスヴァルのナイフ

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・北海道産熟成短角牛ランプ200g (+500円)

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・私以外の人が注文した 北海道産熟成短角牛サーロイン250g(+1,500円)

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・ブランマンジェ(+500円)

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・レトロ調なカップに入ったコーヒー(メニュー内)

 まず、パテ・ド・カンパーニュを食べて、「旨い、でも日本で食べるパテの味と違う」と思った、すかさず同席の料理人が説明してくれたが、「この香りは、おそらく豚のフォア(肝臓)を使っている、日本では食べ易くするために鶏のフォアを使うが、豚使用は珍しい」との事、さすがである(笑)。ガルニの青菜はサラダほうれん草か?シンプルだがこれもまた妙に旨い、野菜の質とビネグレットの味は申し分ない。
 私が食べたランプは脂身の無い腿からお尻にかけての肉で、過去日本人には「脂がないから」とあまり好まれなかったが、最近の赤身肉指向で注目されている部位だ。熟成香自体それ程は感じなかったが、歯応えと肉の滋味は結構ある、噛んで美味しくなる肉。添えてあるポムフリットが抜群に旨い、WEB情報によると「北海こがね」と云う品種で、これを1年間雪室熟成させた物を使うらしい、日本産の芋でこれだけフリットが旨いと唸ったのは初めて。前菜同様にガルニを一種だけにしたのは、「何を食べさせたいのか」が明快で賛成。
 ブランマンジェは何処か懐かしいテイスト、店の雰囲気同様に1990年代終り頃のパリビストロの味だと思った(笑)。
 失礼ながら予想以上に本格的で美味なステーキだった、これだけ肉自体に味があればソースは要らない、塩&胡椒で充分だと思う、その意味では大阪・長居にある熟成焼肉の店「又三郎」と共通するものがある、違うのは炭焼きかフライパンによる加熱かの調理法位、あそこのオーナーが此の店へ来て、どんな感想を語るか聞いてみたいと思った(笑)。
 料理長は柳瀬充氏、1985年生れなので私から見ればとてつもなく若い(笑)、この日厨房はもう一人の料理人に任せ、宮脇氏と二人でサービスにあたっていたが、それだけ「旨い肉料理」とは焼く前迄に勝負が決まってしまうものかも知れない。

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・退店時に見せてもらった一階の熟成庫

 支払いは「この位かな?」と思っていたより安く、濃厚で熱いグルメ話が続いた事もあり、満足至極なランチになった。店内は平日昼ながら肉好きそうなベテラングルメが来ていて、年配男性客は「安井かずみがいた時代」にも登場する有名人だと思う、さすがは腐っても鯛、いや寂れても西麻布だなと思った(笑)。
 食好きな参加者のおかげで楽しく有意義な午後でした、最適な場を提供してくれた、柳瀬料理長、宮脇さんありがとうございました。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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