最後の晩餐にはまだ早い


新富町「プレニチュード」

 フランス南東部の大都市リヨンは古い街で、ローマ時代にはガリア(フランスの古い呼称)の首都として発展、当時は「ルグドゥノム」と呼ばれた。21世紀の現在でもパリとは違う独自の文化を保っている、ソーヌとローヌの二つの川に挟まれた半島状の中心地(プレスキル)とソーヌ川右岸の旧市街には数多くのレストランが点在し、「食の都」とも呼ばれる、これは中世以降に絹織物の生産地として栄え、ブルジョワと呼ばれる商家の富裕層が多く誕生し、飲食業を支えていたからでもある。
 このリヨンで約4年働き、帰国後もリヨン出身のフランス人料理人の店、神楽坂「ルグドゥノム・ブション・リヨネ」で料理長を務めた今田一之氏が、昨年12月に独立開業をしたのが、この日の昼に伺う新富町「プレニチュード」だ。
 「ルグドゥノム~」は訪れた事があるので興味あったのだが、今回たまたまFBで知り合った人が、この店のサービス担当に就任したのもあり、友人を誘って昼に初訪問する事になった。

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 店から一番近い駅は有楽町線の新富町だが、私は日比谷線八丁堀から歩いて行った、近年「ビストロ・シンバ」「メゾン・ミッシェル」に、この「プレニチュード」と、近いエリアにフランス料理店が続いて開業している、今東京でも熱い一帯と云えそう。「シンバ」からは首都高環状線を挟んですぐの場所、このまま銀座へ向かうと「カイラダ」も近いし、他にもビストロやイタリアンが数店在り、飲食激戦区になっている。
 12時丁度に入店し、店内左側のベンチシートに案内される、思っていたより広い店内で22席あるそうだ、入口右手が厨房で中は2人体制だった。

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 テーブルは昼でも白いクロスが敷かれ、位置皿にはシャガールの絵皿、その上には白い布ナプキンを立てている、このセンスは今の東京ではちょっと懐かしい感じがする(笑)。
 サービスの大津氏に挨拶し料理が始まる、ランチメニューは3,800円と5,800円の2種で、あらかじめ後者をお願いしていた。

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・アミューズ・ブーシュ(リエットのバゲットサンド、ロマネスコのマリネ)

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・そら豆のムース、北寄貝と春野菜のサラダ仕立て

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・ボルドー産白アスパラ、鴨の燻製ハム、ハーブ

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・長谷川農園のマッシュルームスープ

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・金目鯛のポワレ 生姜風味のエブリ麦とプティポワのピューレ

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・切子杯に入れた香川産甘夏のグラニテ

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・ハンガリー産鴨胸肉のロースト、赤ワインソース、インカのめざめ

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・苺のヴァシュラン、ピスタチオのアイスクリーム

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・ミニャルディーズ

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・コーヒー

 まず料理全体の印象を云うと、東京やPARISの若手料理人達が作る、エッジの立ったコンテンポラリー料理とは少し傾向が違い、何処か懐かしくて優しい美味しさ、リヨンを訪れたのは2009年が最後だが、記憶の中での料理には共通点がある。
 個人的な好みでは、前菜の「そら豆のムース、北寄貝と春野菜のサラダ仕立て」に惹かれたが、一つの料理だけが突出する事なく、全体が絹織物みたいに柔らかな肌触り、店内は時間がゆったりと流れ、モダンアートの鮮烈な刺激より、絵具を何層にも塗り重ねた伝統の油絵みたいな料理と云うと抽象的過ぎるかな?(笑)。
 パティシェールのヒカリちゃんが作るデセールも良かった、これから経験を積むといいパティシェになると思う、コーヒーも吟味され美味しい。
 店内サービスはスーツ姿の男女2人が担当するが、上質で寛げる。客の年齢層も高めに感じ「大人のレストラン」だなと思った。皿はベルナルド、カトラリーはさすがにクリストフルではないが、肉用にはライオールを使う、この辺りにも店主のフランスへのリスペクトを感じた。
 青山学院近くで、現在「モノリス」の場所に在った「アテスエ」の料理を思い出した、割と好きだった店で、私の記憶違いでなければオーナーシェフはリヨンで働いた事があり、優秀なメートレスが居た、料理には何処か共通点があると思った。
 店のWEBページでは「食べて美味しく、身体によい環境にも優しい。オーガニックな食材に拘った自然派フランス料理を」とコンセプトを主張している。料理の傾向は違うが、外苑前「フロリレージュ」が提唱する「サスティナビリティ」にも共通する考えで、レストランがこうしたメッセージを発信するのはいい事だと思う。

 店名の‘Plénitude’とは、「完全」「充実」を表すフランス語、開業後半年なので完全には足りないものがあるのは、料理長が一番承知していると思う、あくまでも目標と理解すべきで、あと半年位経って一周年を迎えた頃に一回目の充実が来そうな気がする、確認のためにもまた来てみたい店だと思った(笑)。


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麻布十番「ビストロ・コティディアン」(2017年5月)

 東麻布「ローブ」へ行くため、麻布十番駅の改札へ向かう長いエスカレーターに乗っている時、「そう云えば、ビストロ・コティディアンに暫く行っていない」と思った、家に帰って調べたら、去年の2月が最後で1年以上経っている、冬場にスペシャリテの「カスレ」を食べに行こうと思いながらも、そのままになっていた。
 行きたいと思う店を均等に回るには、東京のレストランは数が多過ぎる、私がもし今よりお金持ちだったとしても体力的に無理、もう一人の自分が欲しい位だ(笑)。

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 そうした訳で、ご無沙汰をお詫びするお土産を持って伺った(笑)、ランチタイムのコティディアン、マダムに挨拶し窓際のベンチシートに案内され、ランチのカルトを眺めながら井之頭五郎氏みたいに何を食べようか暫し悩む。

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 この日は結構暑い日だったので、「久しぶりにカスレ食べたいが、季節的にミスマッチかな?他のメイン料理なら『ブーダン・ブラン(岩中豚と鶏肉のソーセージ)』に惹かれるが、さてどうする?」、そこへ須藤料理長が挨拶に出て来た、彼の顔を見たら瞬間に「決めた、カスレ」と思った、念のためカスレみたいに煮崩れた顔だと云うのではありません(笑)、ジムで絞った身体を持ち、美味しい物が出て来るに違いない、味のあるいい顔です。

 ランチのカスレコース(4,200円)の前菜は、通常だとエスカルゴだが、少し重いかなと別の料理に替えてもらった、内容は以下のとおり、
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・冷製新タマネギのポタージュ

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・「野生児」と云う名のワインは、ラングドック・ルーション地方のフィトー(グラス1,000円)、従来の仏南西部ワインとは一線を画す、モダンなラベルで華やかな果実味がある。

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・岩中豚のリエットとポワンタージュのバゲット

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・北海道産サクラマスのミィ・キュイ

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・フランス産鴨もも肉コンフィのカスレ

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・山梨県産白桃のコンポート(これは標準仕様ではありません(笑))

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・リュバーブのタルト、バニラアイス

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・コーヒーとミニャルディーズ

 暑い日に向く冷たく優しい味わいの新玉葱ポタージュで「掴みはOK」(笑)。リエット&バゲットはこの店へ来たら無いと寂しい定番。
 続くサクラマスのミィ・キュイ(半生調理)は、鮭バージョンも含め割と各店で出る料理だが、コティディアンでは火を通した皮を付け提供、その香ばしさと身の柔らかさ、上に乗せた野菜と周りのソースが一体になった美味しさを感じさせる。
 そしてこの店では、最後に食べてから2年以上経っているカスレが登場する、まずは鴨コンフィ下の豆煮込みを一口味見、カレーみたいな風味がするが、近くにあったコティディアンも掲載されている本「ビストロメニュー・バイブル」(ナツメ社)で確認したら、カルダモンを使っているそうだ、前回も入っていたのだろうが気に留めなかった、塩分と脂分は以前より抑えているのでは?と感じる。続いて鴨コンフィ部分は記憶に変わりなく美味しい、料理自体はビストロの定番だが、此処まで丁寧な仕上がりに出会う事は少ない、単に「カスレ」と云うより、メニューどおり「鴨もも肉コンフィのカスレ」と呼ぶべきで、主役はあくまでも鴨だ。
 何故か1品増えていたデセールは文句なく美味、料理長は私と同じくスイーツ好きなのだと思う(笑)、特にバニラアイスは良質なバニラを使用、最近では出色のグラスだった。

 久し振りのコティディアンだったが、まずは来て良かったと思った、マダムともう一人の若い男性のサービスが良質で居心地がいい。料理も最新の煙や泡が出る尖ったものでは無く定番料理が多いのだが、余計なものを省き簡潔でいながら奥行きがあって美味、「贅沢な日常」を感じさせてくれる。
 フランスのビストロと較べたら、量や塩分・脂の質は違う、悪い意味ではなく日本人向け、それもシニアクラスでも完食出来て、リピートしたくなる料理だと思う、それもあって客層も比較的高めに感じた。
 これから更に高齢化社会になる日本、レストランも変わって行く必要あると思う、70代、80代になっても食べられるフレンチ、雰囲気が良くて月1回位のペースで来ても飽きない料理と、年金からでも払える値段(笑)、そうした店があれば老後の楽しみが増すし、もう少し生きてもいいかな?と思えてくる、家から麻布十番まで辿り着ける体力は維持しないといけないが(笑)。
 須藤料理長、マダム、そしてスタッフの皆さん、おかげで素敵な午後になりました、次はこんなに間を空けずに来たいと思います。

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金町「ラ・ローズ・ジャポネ」

 JR常磐線金町駅近くのパティスリー「ラ・ローズ・ジャポネ」は2012年3月の開業、WEB情報によると店主は優秀なパティシェを何人も輩出した「ホテル西洋銀座」出身で、現在上野桜木で人気パティスリー「イナムラショウゾウ」を営む稲村省三氏の下で働き、その後マンダリンオリエンタルホテルのシェフパティシェに就任、5年前に地元葛飾で独立した。
 2010年7月には「菓子界のワールドカップ」とされる、2年に1度開催の「ワールド・ペストリー・チーム・チャンピオンシップ」で日本人初の優勝者になっている。錚々たる経歴の持主だが、あえて金町と云う都心から外れた地域を選んだのは、一種の賭けでもあったと思う、現在では葛飾区を代表する人気パティスリーとして知られるまでになった。
 以前から行ってみたかったのだが、我家から自転車だと結構距離あり、電車ではメトロ&JRの乗り継ぎで往復交通費もそれなりで、つい見送っていた、現在時間があるのでパティスリー巡りをする機会が増えたので、他店との比較のためにも味わってみたくなり、今回意を決し自転車で向かう事に、距離があるので道路が空いている日曜日を狙った。

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 店の場所は、金町駅南口を出て線路沿いの道を江戸川方面へ向かうと間もなく左側に在る、広い道沿いにあるが周りには商店等がなく、少々意外な立地にも見える、隣は空き地で仮囲いがあり、近々マンションが建つのかも知れない。
 店前に立った第一印象は「何とお洒落な店」(笑)、これは従来の金町センスではない(金町の方失礼)、入口には開店5周年祝いの胡蝶蘭の鉢が置かれていた。

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 店内に入っても洒落たセンスに溢れている(撮影は承諾を得ています)、入口正面に作業場がガラス張りで見られ、手前には焼き菓子等を並べている。

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 生ケーキ類が並んだ冷蔵ケース、結構種類豊富だ。スタッフの数も多くラボに4人、売り場には3人と充実している。
 毎回の事ながら目移りして何を買うか迷うが、初回なので店のスペシャリテと聞く「ピクシー」、パティスリーの基本商品であるシュークリーム(この店では「シューパリジャン」の名)にモンブランの3種類を選んだ。
 値段は地域の他店と較べると高目、この立派な店構えとスタッフの多さを考えると仕方ない事か。店員さん達の対応は笑顔で感じがいい、少し年配と思う女性はシェフの奥さんだろうか?売場女性はマロン色と云うかチョコレート色のユニフォームが皆似合う(笑)。

 実際に食べた印象は以下のとおり、
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・モンブラン(税別430円)
 自転車の前カゴには入れず注意したつもりだが、少し傾いてしまった、実際にはもっと綺麗に自立している(笑)。パティスリーのモンブランは寿司屋の鮪握りみたいなもので、これが美味しくなければ駄目だと思うが、表面の栗クリームと中の生クリームのバランスは良好、ベースはメレンゲでもジェノワーズでもなく、パウンドケーキみたいな焼き生地を使っているのが珍しい、安定の美味しさと云う印象。

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・ピクシー(520円)
 イングランド・コーンウォール地方での「妖精」の呼び名だが、日本ではストイコビッチを連想する人が多いのでは?(笑)。WEB情報によるとこのケーキが、コンクールでの優勝作品だそうだ。表面のムースはピスタチオ、中に苺のジュレとクリーム、上には苺と煎ったピスタチオ。さすが優勝作だけあって味のバランスは見事、ピスタチオの脂分を苺の酸味が中和し、緑の中から現れる赤の色合いもいい、私がコンクール審査員でも高採点を付けると思う、この店へ来たら初回には買うべきアイテム。

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・シューパリジャン(240円)
 以前にも書いたが、モンブランが鮪握りなら、シュークリームはカッパ巻きみたいなものだと思う(笑)、パティスリーの実力を知るには一番のアイテム、この店では「シューパリジャン」と呼んでいる。堅いシュー生地の中に上質なクリームで美味しい、最近食べた中では竹ノ塚「エデュー」と双璧と云えそう、エデューの方が少しクリーム分は濃い気がしたが、優劣より好みで選べばいいと思う。

 全体的にはどれも瑕疵がなく安定した上質な出来、人気店の実力を知った思いだ。ただこれは個人的感想だが、パティシェ一人だけで作る「エデュー」や東和「アンティーム」等に較べると、スタッフ数人の手を経た工房作品と云う印象も持った。
 これはレストランの料理やデセールにも云える事だが、数人の手を経て作るか、一人で全てを作るかによって、完成品の傾向は違って来る、スタッフを多く雇えば当然値段にも反映する。安定と完成度を選ぶか、出来不出来の差はあっても値段と個人作品ならではの手作り感を選ぶかは、客側が判断すべきだろう。

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 誰にでも勧められるパティスリーの良店である事は間違いない、金町近辺に行く事あれば、寄り道して行く価値ある店だと思う。
 

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東麻布「ローブ」 (2017年5月)

 GW中の「友、遠方より来たる」シリーズ(笑)、今回も在関西の友人夫妻で、訪問店のリクエストもあり、それが昨年6月末に開業し、直後の7月初旬に訪れた東麻布のフランス料理「ローブ‘L'aube’」だった。
 此の店は夜営業が中心で、毎週金・土だけランチをやっているが、今年開店後初のGWなので、期間中ランチとそれに続くデセールタイムを営業、企画に便乗する事になった。私も冬場に行きたいと思いながらも季節が過ぎてしまい、ようやくこれで念願の再訪問が出来る。
 店に一番近い駅は都営大江戸線の赤羽橋だが、乗換えが不便なので麻布十番駅で待合せ歩いて行く事に、天気は快晴で絶好のフレンチ日和だ(笑)。
 店の入って居るビルは昼間見ても隠れ家的、2階店舗へ上がる階段が一種の「結界」になって、俗世界から非日常空間へトリップする印象。サービス担当の関氏に挨拶し、オープンキッチン近くの席に案内される、劇場なら舞台上手前のかぶりつき席になる(笑)。
 着席後に関氏より料理の、平瀬パティシェールからデセールの説明がある、GW期間中のランチは標準仕様の肉料理が山形豚、これを仔羊または仔牛にプラス料金で差替え可との事なので、私は輸入解禁されたばかりのシストロン産仔羊に決めた。
 続いてデセールだが、通常だとチーズムースと赤果実の一品だが、デセールタイム用のアシェットデセールなら差替えまたは追加可との事、暫し悩んでいたら、平瀬氏より「皆さん食べられるのなら、追加分を3種類分けてお出ししましょうか?」と素敵な提案があった(笑)、これに乗らない訳はなく、即答で「お願いします」と応えてしまった。これはデセールタイム用の準備があったからで、お願いすればやってもらえる訳ではないです(笑)、いかに優秀なパティシェでも材料が無ければ作れません。

MUNU HARMONIE
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・高知レモンのジュース

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・シラスのオムレツ

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・アーティショー、桜肉

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・緑アスパラガス、レモングラス

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・自家製ブリオッシュ2種

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・土佐ジローの卵、長谷川マッシュルーム

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・天草産鱸のヴァプール、鎌倉野菜、ソースヴェルデ

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・シストロン産仔羊、シュクリーヌレタス(+1,400円)

 今橋料理長による第一幕は、レモンジュースの鮮烈な酸味で始まる、「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえる」感じだ(笑)。一口サイズだが、シラスオムレツ、アーティショー、桜肉のトリオはよく考えられて、味の印象を残す。続く野菜料理は農業従事経験ある今橋氏の得意分野、春の香りと色が印象深い。玉子料理はおでん種の「バクダン」みたいだが(笑)、シャンピニオンピュレとの相性抜群、これは発想の勝利だと思う。
 魚料理はこの日最も今橋氏のセンスを感じた皿、鱸に添えたソースヴェルデがフランスで味わう時みたいに、各素材が日本的に慣れ合わない香りと味で、「これは南仏」と感じた。
 16年振りと聞く国内での仏産仔羊は盤石の美味しさ、本心を言ってしまうともっと量が食べたかったが、この後のデセール展開を考えると、これで丁度良かった(笑)。

 第二幕は平瀬劇場、まずは圧巻の4品をご覧ください。
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・フロマージュ 赤い果実

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・黒オリーブ タイム(後でタイムのソルベを添える)

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・リュバーブ レティエ

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・花菜ローズ マンゴー

 細かい解説は「蛇を画きて足を添う」になりそうなので止めておく(笑)、味わえなくても見て感じてください、味やデザインで4皿のレベルが高い事は勿論だが、出来不出来の差が無い事にも感心する。去年のブログ総集編で「最も印象深かった一品」として、平瀬氏のデセールを挙げたが、その後超える皿に出会う事を期待しながらも、何処も及ばず相当差があった、日本で彼女を超えるのは彼女自身しか居ないのかも知れない。
 オープンキッチンなので作業が見えるが、この複雑な仕様の4皿をエスプーマや液体窒素みたいな、料理人なら使いがちな飛び道具を使わず(たぶん)、仕上げの殆どが手作業。そして窓からの自然光を受け、彼女がポシュ(絞り袋)を手にする姿は何とも格好いい(笑)、此処にフェルメールがいたら、「絞り袋を持つ女」のタイトルで傑作を描き、数億いや数十億の価値ある絵になるのに残念だと、実に俗な事を考えてしまった(笑)。

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・ショコラ4種(もちろん自家製)
・水出し珈琲

 今橋&平瀬両氏の料理とデセールは前店から通算して3回目だが、更に良い方向へ変化していると思う、そして此処で留まらず進化して行きそうな力量を感じさせる。これから東京で注目すべき一店だと思う。
 関西から柏市経由?で来た友人夫妻も充分満足されたみたいで、今橋料理長、平瀬パティシェール、関メートル、手厚い対応をありがとうございました(笑)。


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上野「晴々飯店」

 上野の東京国立博物館で開催中の特別展「茶の湯」を観に行こうと思い、その前に何処か近くでランチを食べようとWEB上で店を探してみた。上野公園近辺はあまり惹かれる店が見当たらず、お馴染みの「ハリマ・ケバブ・ビリヤニ」かな?とも思い、上野駅東側を見ていたら少々気になる店があった、それが今回記事にする「晴々飯店」だ。
 「四川省家庭料理の店」と云う文句に惹かれたのが理由で、どうやら大陸の人達がやっている店らしく、それなら以前の勤務先近くにあり、ランチによく通っていた春日の「川国志」みたいな店かな?と期待する気持ちになる、グルメサイトのメニュー紹介画像でも、一番人気とされる麻婆豆腐や、「本場四川の回鍋肉は日本の味付けとは全然違います」と解説のある回鍋肉等魅力的だ、歩道橋でJR線路を渡れば博物館も近い、「よし行ってみようと」と思った(笑)。

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 店の場所はJR上野駅なら入谷口、メトロなら昭和通り側の出口から出て、昭和通りを入谷方面へ歩く、左側に岩倉高校の校舎が見えたら少し先で同じブロックに在る。
 店の外観を見てまずは「これは中国の人のセンスだな」と思った(笑)、一見では何の業種か、あるいは飲食店なのかどうかも判別できない店がある東京だが、これは瞬時に店がアピールするものが判る。「晴々飯店」と「々」の文字を直した跡があり、この字は中国では使わない筈なので不思議に思ったが、後で調べたら元々「晴晴飯店」と云う名前の店があり、そこからスタッフが数人出て独立店舗を立ち上げたらしい、そしてこの店の近くに「晴晴飯店2号店」があるので、かなり紛らわしい(笑)。

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 入口には各種料理の紹介の上に、「本日の日替わり定食」が「回鍋肉」とあった。

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 店内は20席位でそう広くない、2階にも客席はあるが昼は使っていないのかも知れない。スタッフは全て中国系の人みたいだ、厨房から聞こえるのは中国語のみ、中華厨房らしい雰囲気充分。

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 ランチ定食メニューを見るが、「麻婆豆腐」(税込750円)か「リアル回鍋肉」(880円)で迷う、サービスの中国人(だと思う)女性に「このリアル回鍋肉と、日替わりの回鍋肉とは違うの?」と、念のため訊いたら「ゼンゼン違うヨ」との事、その一言で決めた(笑)。

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 店の造りは古そうで何かの居抜き店舗だろう、インテリア等をみても中国人の美意識だなと思う、天井近くのTV前には「翠玉白菜」のレプリカ(笑)。

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 暫くして出来上がって来たのが「リアル回鍋肉定食」、手前に主菜の回鍋肉とご飯、真中には何故かキャベツの千切り、奥にトマト&玉子スープに中国風漬物、杏仁豆腐まで付いている。

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 問題のリアル回鍋肉、「リアル」とは本場(四川)式の意味だろう、メニューにも「葉ニンニクと芽菜が入った本場の味付け」と説明がある、日本で見慣れたキャベツを使った回鍋肉とは見かけからして違う。
 まずは一口味見、辛さはそう強くない、味のベースは豆板醤と豆鼓だと思う、特に豆鼓を多く使い、日本で出回っている物に比べ独特の風味がある、ニンニクの茎、玉葱、人参の火の通しは浅く歯応えを残している、厚切りの豚肉も結構食べ応えある。

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 ご飯の質はもう一息か、キャベツは謎だが箸休めになる、スープはなかなかいい。
 全体的には美味しかった、日本の回鍋肉は甘辛味の印象が強いが、もっと複雑な味を感じた。この味付けが四川そのままなのか、日本人の嗜好に合わせたものかとなると、おそらく後者だと思うが、日式中華の他店では味わえない料理なので、食べに来る価値あると思った。

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 店内は何時の間にかほぼ満席に、男性が多いのはインド・ネパール料理店と同じ、注文は一番人気の「麻婆豆腐定食」が多い、次回はこれを食べようと思う(笑)、また夜は一品料理に加えてコースメニューもあり値段は安い、何かの機会に利用してみたいと思った。
 なお前述のとおり「晴々飯店」と「晴晴飯店2号店」があるので要注意、今回の店は前者で昭和通りからJR線路へ向かう途中の店だ。

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 食後は歩道橋を渡って線路向こうの上野公園へ行き、「茶の湯」展を観に行く、平日昼ながら結構混んでいた、内容は充実していて、特に印象に残ったのは、何かと話題の曜変天目茶碗「稲葉」(公開は5月7日で終了)と、楽家初代長次郎作の黒楽茶碗、前者は宇宙の流星群を、後者は宇宙の闇深さを連想させる逸品だった。
 6月4日迄の会期なので、茶に興味のある方、興味がなくても日本文化に関心のある人は見逃さない様に、これだけの名品が揃う機会はそう無いと思う。

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三郷「林や」

 東京に隣接する埼玉県三郷市に、安くて美味しいとんかつ店があるとの話は以前から聞いていた、調べてみると我家から自転車で30分位の距離、とんかつ好きの私としては行きたいと思いながらも、寒い日が続いたりすると自転車に長乗りが億劫になり、とんかつ食べたくなると、地元の格安チェーン「松乃屋」に行ってしまっていた(笑)。やがて春になり自転車にふさわしい季節、「よし、今日こそ行ってみよう」と定休日でない事を確認した上で出かける事に。
 我家からだと、中川に架かる飯塚橋を渡り、ガソリンスタンドのある交差点を北東へ向かって進む、やがて広大な水元公園の敷地になるが、そのまま直進すると、東京都と埼玉県の都県境にあたる小さな川がある、そこを越えたらすぐ右側に店がある。

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 開店待ちの行列が出来ていたので、「え~?行列」と思ったが、よく見たら隣の鰻屋だった、此処も割と有名な店だそうだ、更に進むと豪壮な日本家屋の蕎麦店もあり、この道(67号線)はちょっとしたグルメストリートになっている(笑)。ただアクセスはよくない、一番近い駅は、つくばエクスプレスの八潮駅だが20分は歩く、車で来るか地元民でないと難しい場所だ。

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 看板が面白い、この豚が食べているのはラーメンに見える(笑)。店前には数台駐車可能なスペースあるが一般民家風な店舗、おそらく階上は住居だと思う、家の玄関みたいな入口引戸を開ける。

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 開店時間の11時すぐなので一番乗りだった。店は入口近くに厨房とテーブル席、奥が畳敷きに座卓の席で、特に「こちらへどうぞ」みたいな事は云われず、落ち着きそうな奥の座敷に座った。

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 WEB情報で大体のメニューは知っていたが結構内容豊富だ、平日限定のランチは800円台、とんかつ以外にはエビフライも有名で、数量限定の大きな有頭エビを使った「エビフライ&とんかつセット」(税込1,610円)にも惹かれたが、初回なのでまずはとんかつだろうと、「特上ロースカツ(240g)」を定食(1,320円)でお願いした、国産豚使用なら都内に比べるとこの値段は安いと思う。

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 注文後すぐに運ばれて来たのが、擂鉢に入った胡麻、漬物に空のままの茶碗(これが店の特徴)。

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 WEB情報で知っていたが、噂のジャーご飯(笑)、畳の部屋だけでも3台あった、ご飯食べ放題方式、胡麻を摺りながら出来上がりを待つ。

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 やがて運ばれて来たのが特上ロースかつ、240gなので結構厚みがあり大きい、ご飯は自分で入れるのかなと思ったが、一杯目は店の女性がやってくれた(笑)。

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 撮影用に真中の部分を、衣は厚めで最近ロースでも中心をピンク色で止める店もあるが、この店はしっかりと火を通している、定番の千切りキャベツにマカロニサラダが付く。
 最初は何も付けずに食べてみる、しっかりとした肉味と肉汁、厚みがあるので口中が満たされる(笑)。続いてソースをかけ食べるが、このとんかつはソースで味わうタイプだと思った、揚げた肉の旨味にソースの甘味と酸味が加わると複雑さが加わり食べ飽きない、「フロリレージュ」でも肉料理のソースに甘酸味をよく使うが、酢豚で判る様に脂味に変化を付けるには酸味が肝心だ。

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 豚汁ではなくワカメの味噌汁だが、挽肉が入っているので豚汁的味わいがある。ご飯は炊き立てなので美味しい、速攻で二杯目を自分で盛ってしまう、ランチ時に旨いご飯を食べたいなら、炊き上がったばかりの開店直後に行くべきだ(笑)。
 林やのとんかつは美味しかった、最近東京の人気とんかつ店は行列必至で、やっと席に着いたと思ったら、「とんかつは塩で食べる」とか、うるさい事を云うフリークも目に付き、正直「嫌だな」と思ってしまう、後ろにも行列なら食べ終われば早く席を立たないといけない。
 「とんかつ位ゆっくり好きな様に食べさせて」と云いたくなる(笑)、私が子供の頃とんかつ店へ行く事は日常少し上の贅沢だった、平均的なサラリーマン家庭が月一回位で食べられるご馳走、店特製の甘いソースをたっぷりかけ食べる時、本当に美味しくて嬉しかった、あの幸せだった日が「林や」で蘇った気がする(笑)。
 内容からすれば支払いは都心の高級店に比べると安い、女性店員の感じも良く、此処はまた来たい店だと思った。
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 すっかり満足して、帰りはすぐ近くの水元公園の敷地を自転車で一周する事に、都内でも遅咲きになる桜も綺麗だが、ここはメタセコイア並木がいい、水辺の風景画像は「アルザス行って来た」と云っても、見る相手を騙せそうだ(笑)。
 映画やTV、CM撮影等によく使われ、都内で自然と親しめる場所としてお勧め出来る、ランチは弁当を持って行くのも楽しいが、とんかつ食べに行くのもいいと思う(笑)。


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外苑前「フロリレージュ」(2017年4月)  

 前回の利用時に、誕生日祝いをしようと次の予約を入れていた外苑前「フロリレージュ」、二ヶ月近く前だったが、私の歳になると意外に早くやって来るものだ(笑)。
 地下鉄外苑前駅から神宮球場へ向かって歩き、酒屋のある角を左折して細い道を直進、右手に熊野神社が見えるので、通り過ぎて最初のビル地下に店はある。
 前回に続いての平日ランチタイム、この日外国人客は見当たらなく、皆日本人客だと思うのが、殆ど12時に揃う事(笑)、フランスならデジュネ開始は地元人なら13時頃から、スペインなら14時頃それもバラバラにやって来る、「ヨーイ・ドン」で殆ど同時に始まる日本式は、店側は大変だがスタッフさえ揃っていれば、同時進行で料理を出せるので、楽な面はあるかも知れない。
 カウンターの角席に座って川手料理長に挨拶する、話題に出たのが「ドタキャン」で、つい最近も多人数であったそうだ、他店でも聞く事だが根本的な解決法は今の処なく深刻な問題、やがて海外有名店や日本でもフェア等では既導入している、料金先払いシステムを採るしかないのかなと考えるが、そんな事心配しない時代にレストランを食べ歩けたのは幸せだった(笑)。
 
 春4月のメニューは以下のとおり、
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・投影、そら豆
 盛られた鞘のうち一つだけ空豆コロッケ、空豆の温製スープ。

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・到来、ホワイトアスパラ
 奥に白アスパラのムースに桜花、緑のソースはシャルトリューズがベース。

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・サスティナビリティー、牛
 宮崎産経産牛のカルパッチョ、温かい出汁、国産野生アスパラガス。

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・フォアグラ、生姜
 仏産フォアグラの冷製、中に蕗の薹シフォンケーキ、上にサマートリュフ、ロゼワインを使ったソース。

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・稚鮎のフリット
 稚鮎を鰺みたいに開き、短時間干した後にフリットし実山椒と合わせる、腸を使ったジュースを添えて。

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・分かち合う
 北海道産仔羊背肉骨付ロースト、奥に新玉葱と羊端肉をミルフィーユ状にしてローストしたもの、新玉葱のピュレ。

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・ブランマンジェ、ココナッツ

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・贈り物、アマゾンカカオ

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・苺のパートフィロ
・奈良・月ヶ瀬「ティーファーム井ノ倉」のかぶせ煎茶

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・誕生月の参加者が居たので、お祝いのメッセージとマカロン
 台はサスティナビリティーの考えで再使用出来るドライフラワー、廣田氏作だと思う。

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・本日のドリンクペアリング(廣田氏作)
 
 まずは空豆の香りを生かしたコロッケとスープで春の息吹を体験する、続く白アスパラも緑のソースが印象的、verte(緑)は某知事がイメージカラーにしているが、若さと春の象徴色でもある(笑)。
 次の宮崎経産牛は前半のヤマ場、移転後に経産牛を使い始めたが、この料理は特徴を一番生かしているのではないかと思った、成牛の肉味が枯れた部分を出汁が補い、単に1+1=2ではない、複雑な旨味を出している。
 鶏インフルのため、最後の輸入分と聞く仏産フォアグラ冷製は上質、ロゼワインを使ったソースが引き立てる。続く稚鮎は、根気よく開きにしたスタッフ達に拍手(笑)。
 そしてこの日最も印象に残ったのが仔羊、春から仏産仔羊が輸入解禁されたが、この北海道産も質では決して劣っていないと思う、勿論素材を引き立てる的確な調理があってこそだが、ガルニの新玉葱の扱いもいい。
 デセール2品も以前より洗練度が増したと感じる、パティシェール1人で作っているが、川手料理とイメージが合って来た。
 料理&デセールも秀逸だったが、この店で特筆すべきは若いスタッフ達だ、川手料理長以下は、北海道出身で香川真司似(笑)のスーシェフ田原君、彼は川手氏が出張時には二毛作店?「ウラリレージュ」でシェフに就く。大阪出身で「オテル・ド・ヨシノ」スーシェフを経て、去年から此の店で働いている少し強面の角田君。更にはNYから来たスキンヘッドが特徴の彼に、小さな身体をフルに駆使してキッチン内を飛び回るパティシェール。
 サービス陣は旧店舗時代からの生き残り(笑)で、フラワーデザイナーでもある長身で知的な廣田氏、眼鏡と髭に白い靴下がトレードマークの明るいソムリエ中村氏、他にも若いスタッフ数人が皆個性的でキャラがある(笑)。他店なら黒子役で埋没してしまうが、この店では客と会話する事で全員が主役に見える、これは日本のレストランでは稀有な事、料理を作るのは機械ではなく人間、料理人である前にまず社会に通用する人であるためにも、このやり方はいいと思う。やがて彼・彼女達は旅立って行くのだろうが、此の店で得た経験はきっと生涯役立つ筈だ。
 ヴィエンヌ「ピラミッド」出身の料理人達が現代フランス料理の歴史を築いた様に、何時の日か「フロリレージュ」出身者の時代が来る、そう思いたい(笑)。

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 充実した午後になりました、このあと気分が良くなって、そのまま表参道「グラッシェル」まで歩いて、念願の「プリンパフェ」(税込1,620円)を食べに行く事に、本物のバニラを贅沢に使い、吟味したフルーツと共にまた食べたい逸品でした(笑)。この店のスタッフ達も皆笑顔の接客がいい、「悪いオーケストラはいない、悪い指揮者がいるだけだ」の名言は、どうやら飲食業界にも通用するみたいだ(笑)。

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富ヶ谷「ルヴァン」

 1月末に青山「MAMA」のランチへ行く前に寄った、富ヶ谷の自然派ブーランジェリー「ルヴァン」、写真を撮っていながらブログ記事にするのを忘れていた(笑)、時間は少し経ってしまったが、記事にしておきたいと思う。
 「この前来たのは何時だった?」と思い出せない位に久しぶり、私は地下鉄千代田線利用なので、代々木公園駅から歩くが、途中の富ヶ谷交差点の歩道橋が昔に比べると随分と立派になった。

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 ブーランジェリーと隣のカフェスペース「ルシャレ」の外観、これは以前から殆ど変わっていない。

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 誇らしげに掲げられている「1984」の文字は創業年、WEB情報によると、店主の甲田幹夫氏がフランス人から天然酵母によるパン作りを学び、調布で自然食品店へのパンを卸すため開業したのがこの年で、富ヶ谷店は1989年(平成元年)の開業、暫くの間は調布と同時営業していたが、現在調布の店舗は閉め長野県上田に支店が在る。
 開業以来、自家製天然酵母と国産小麦によるパン作りを続けている、パンの印象は「トラディショナル」と云う言葉が最も合う、何百年と培われたヨーロッパのパン作りの伝統に沿いながらも、日本の材料を使い日本の風土に合ったパン、見かけはごつくて地味だが、噛むと味の余韻が長く続く。
 若い店員達の活気を感じるのも以前と変わらず、この店でパン作りを学んだ彼&彼女達が各地で独立開業している、「ゼルコバ」(立川)「ダンディゾン」(吉祥寺)「cimai」(幸手)「タルイ」(参宮橋)等々、数え切れない位に在り、エコール・ルヴァンと云えそう、和菓子店にも遜色ない位に、十分日本の伝統を築いて来たと思う(笑)。
 この日買ったのは2種類、久しぶりだったので「値段上がったな」は正直な印象、この間の小麦等原材料の値上がりを考えると仕方ない事だが。

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 帰りに富ヶ谷歩道橋のエレベーターを利用してみた、これを24時間使用可能にメンテナンス怠らないのも相当費用がかかるが、無人なのに壊されないで維持出来るのが、ある意味で日本と日本人の凄い処だ(笑)。

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 買ったパンを入れるのは紙袋だけ、これも昔から変わらない、現在の様に「エコ」「リサイクル」が盛んに云われる前から簡易包装に取り組んでいる。買いに行く時は手提げ袋等を持って行くべき。当日買ったパンは以下のとおり、

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 ・パン・コンプレ25(税込540円)1/2本
 全粒粉小麦使用のパン・コンプレは25%、50%、100%の3種類あり、以前はよく50%の物を買っていた、この日25%の大きな物しかなかったので、1本を半分にしてもらった、この店は基本グラム売りなので、一部商品は半サイズで買う事も可能、1g1円だと思った。
 味はノーマルで食べやすく食事を選ばない、ルヴァン初心者にお勧め(笑)、粉の旨味、香りと重量感が特徴。軽く焼いてから食べるのが美味しいと思う。

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・メランジェ(870円)
 この店の看板商品と云ってもいい「メランジェ」、仏語で「ミックス」を表す。通常は小と中サイズがあるが、これは中でたしか1g1.5円だと思う。以前はパンを買う前や順番待ち時に、少量切って試食させてくれたが、この日はそれがなかったので、もうサービス?は終了したのかも知れない、少々残念な事だ(笑)。
 中身はクルミとレーズン、それもギッシリ詰まっている、吟味した上質な材料を使用しているのが判る。美味しくないスイーツを買うより、これを薄く切って食べる方が胃と頭が満たされる気がする(笑)、値段は安くないが、この店へ来たら買って欲しいアイテム。
 久しぶりのルヴァンのパンはやはり美味しかった、ベテランの底力と云う印象。東京では毎年の様に、PARISの有名ブーランジェリーの名を付けた店がオープンし、そうした店で働いていた職人も独立開業している、これらの店も行ってパンを買い食べてみるが、ルヴァンのパンには「他店が超えられない何か」があると思う、その何かを上手く表現できないが、東京で自然派パンを作り続け、歴史を築いて来た「文化」なのかも知れない。
 これからも長く続いて、パン文化を発信して欲しい名店だ。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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