最後の晩餐にはまだ早い


堀切菖蒲園「堀切せんべい」

 私が子供の頃、東京下町の商店街には煎餅屋が必ずと云っていい位に一店あった、小学校の同級生に煎餅店の息子が居て、「○○せんべい」と皆で呼んでいたものだ(笑)。
 町中から何時の間にか煎餅店が消えてしまった、消費者の好みの変化やコンビニの出現も大きいが、一番の理由は後継者不足だろう、コンビニスイーツで育った世代に、「俺の後を継いで、煎餅を焼いてくれ」と云っても、難しいだろうなと思う。
 煎餅店が減っていく中で、京成電鉄の堀切菖蒲園駅近くには、不思議な位に専門店が幾つか存在している、全部回った訳ではないが、WEB情報では6店あるそうだ。煎餅店が多い理由を調べてみて、ハッキリした事は分からないが、江戸時代に堀切近辺は水田が多く稲作が盛んだった事と、煎餅の名産地である現在の埼玉県草加市と人や物の交流があったからではないかとされる。
 今回紹介するのは代表的な一店で、堀切菖蒲園駅から最も近い「堀切せんべい」。この店を知ったのはWEB情報で、日持ちがして受け取った側の負担にならない位の手土産になる物が、交通費を使わず(笑)買いに行ける範囲でないか?とWEB上を探していて見つけた、我家から自転車で片道25分位だ。

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 堀切菖蒲園駅を出て、線路高架に沿って「お花茶屋」駅方面へ少しだけ歩き、「クローバー商店街」と云う名の飲食店が並ぶ通り沿いにある。
 此の地で40年以上続けているそうだが、数年前に改装をしたとの事で、店舗は新しく綺麗だ。

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 店正面のディスプレイ、正月料理の重箱の詰め方と同じく、江戸風はこうして隙間なく直線的に並べるのが粋とされる。煎餅一枚の値段は税込で80~130円位、銀座や神楽坂辺りと比べたら安く下町価格だ。

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 懐かしのガラス丸ケース、昔の煎餅屋は焼いた煎餅をこれに入れるのが主流だったと記憶している、今みたいに1枚ずつ個別包装するようになったのは、後になってからだ。
 店主は笹本さんと云う方で、根っからの江戸っ子ではなく福井の出身と聞く、そのためだろうか、元々東京下町の職人は不愛想で口の悪い人が多いのだが、この人は珍しくよく喋るし、愛想がよくて腰が低い(笑)、以下は彼の説明によるもの。

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 大谷石で組んだ、特製の煎餅炭焼き釜、手前の窪みに座って焼くのだが、旧店舗時代の様子がyoutubeに動画UPされている。

 冬場はともかく、真夏は堪らないと思う(笑)、夏に行った時は扇風機が回っていたが、とてもそれだけでは間に合わない暑さだろう。

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 店主の話では、この十年で一番値段が上がったのが、この紀州備長炭だそうだ、現在は10kgで12,000円位するらしい。 
 以下、この店の煎餅商品を紹介したい。
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・割煎
 この店でまず買うべきはこの割れ煎餅、成型や手焼きしている途中で割れたり欠けたりしたものだが、不規則に割れた部分に醤油が染みて、完品とは違う味わいになる、醤油も味の尖った部分を抑えるために、一定期間寝かせて使うそうだ。

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 原材料名表示も「うるち米(国産)」と「醤油(大豆・小麦を含む)」だけ、まさにシンプル・イズ・ベスト(笑)。

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・ミックス
 店を代表する煎餅が7種類入っている、ちょっとした手土産に最適、勿論予算を云えば箱詰めにしてくれるが、受け取った側が恐縮しないで済みそうな簡易包装版。

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・胡麻
 店主が「おまけ」にくれたもの、焼いた後に割れてしまったものみたいだ、胡麻と醤油の香りが絶妙のマリアージュ(笑)、煎餅自体は昔風のガチガチした堅焼きより少し軽めな作りに感じる、今の時代に合わせているのかも知れない。

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 全国で同じような菓子を売っている現在では、「東京下町の味」を最も感じさせるのは、手焼き煎餅かも知れない、最近まで気付かなかったが、自分の身近に名店があった(笑)。
 店は年中無休で営業している、店主は仕事していないと死んでしまう、マグロやカツオみたいなタイプなのだと思う(笑)、幸いにも息子さんが後を継ぐみたいで、交替で煎餅を焼いている。
 葛飾の堀切菖蒲園近くへ行く事あれば、寄ってみる事をお勧めしたい、店主が居たら煎餅の事なら何でも教えてくれます、消えゆく下町の良心や人情を感じさせてくれる店です。
 

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赤坂「古屋オーガストロノム」(2017年11月)

 10月に続いての赤坂「古屋オーガストロノム」、身内の誕生日祝いのため、昼に利用させてもらう事に。
 現在、東京のフランス料理店の主力は、恵比寿、広尾、中目黒、麻布十番近辺に集まっているが、私がフランス料理に興味を持ち始めた1980年代は、銀座、赤坂、六本木、西麻布に店が多かった。30年経ち都内の人の流れが変わったみたいで、赤坂は政界御用達だった料亭や大箱の中国料理店も減り、今はサラリーマン&OL向けの、客単価の低い飲食店ばかりが目立つ。
 「古屋オーガストロノム」は、その赤坂に帰って来た「夢があった時代」の残照にも感じる、私がこの店に惹かれるのは、料理も勿論だが、そうしたノスタルジーに浸れる場所だからでもある。時間より早く赤坂に着いてしまい、一ツ木通りを歩いていて、そんな年寄じみた感傷を抱いた(笑)。そう云えば昔この近くで、着流しに下駄、パナマ帽でトランクを持った大島渚とすれ違ったが、TVそのままで周りから一人浮き立ちオーラがあった(笑)。

 店前に着くとサービス担当の石橋氏が扉を開けてくれる、ランチ一番乗りの客になった、そのまま店奥のテーブルに案内される。
 他のメンバーも集合して古屋料理長にも挨拶、始まったこの日の料理は以下のとおり、

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・アミューズ・ブーシュ(カボチャのスープ、エスプレッソコーヒー)

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・ランド産フォアグラのコンフィ、エンダイブのサラダ

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・帆立、鶏とさか、チョリソを合わせて

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・大分県産地鶏玉子“蘭玉”の66℃40分火入れ、イタリアマルケ産秋トリュフ添え

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・三重県産活締め真鯛のポワレ、サフラン風味のソース

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・ブレス産プーラルドのロティ、ソースアルビュフェラ

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・ 同  モモ肉を使ったコンフィ

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・黒イチジクのミルクシェイク

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・ライムのシブースト(左上)、トリュフのクレムブリュレ、ショコラのグラス

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・紅茶(ダージリン?)

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・石橋氏セレクションのワイン

 利用直前にフランスからのフォアグラ、鳥類の輸入が再開され、早速それを使った料理を用意してくれた。
 まずはランド産フォアグラ、過去この店でもハンガリー等東欧産を代替で使っていたが、違いは味の深さ、最初の一口はどちらも旨いと思うのだが、フランス産は脂味の中に苦味や酸味が微かに入る、これが味を複雑にして最後まで飽きさせない、中世に作られたステンドグラスは、鉛等の不純物が入る事によって複雑で深い光になるが、それに似ている、歴史の違いとしか云いようがない。
 予定になかった鶏とさかとチョリソの料理は新作みたいで、食感の組合せが面白い。続くスペシャリテの蘭玉を使った料理は安定の美味しさ。
 釣り物の活締め鯛はしっかり目に火を通した皮身の旨味と、ソースの相性が秀逸。そして久し振りに味わったのがブレス産プーラルド、私は2014年2月の「オテル・ド・ヨシノ」以来だ。アルビュフェラとは鶏肉料理に使われ、フォンをベースにトリュフ、フォアグラ、アルコール類を加えた贅沢なクリームソースで、淡白なブレス鶏胸肉がモデル系美女とすれば、彼女を包む毛皮コートみたいなもの(笑)。
 シストロン仔羊と同様、ブレス鶏も口惜しいが「旨い」と表現するしかない(笑)、一口目は淡白な印象だが、口中で噛み締めると美麗な肉味が広がっていく、ソースは現代的に軽くしてあり、最後まで飽きさせない。
 そしてモモ肉も美味、徳光和夫さんは局アナ時代、「ヒデとロザンナ」のロザンナさんの脚を見て、「さすが本場物は違う」と思ったそうだが、ブレス鶏の脚も見た目・味共に、間違いなく本物だった(笑)。
 メインデセールは三種盛りで、こうした盛り合せ系は、主役のハッキリしないものになりがちだが、これは甘味の濃淡があっていいバランスだった、個人的にはドモーリショコラのグラスが気に入った。

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 我々の他に2卓、男性3人女性1人の内訳で年齢層高め、皆フレンチ経験値高そうな人達に見える、特に男性陣は「他の店でフレンチは食べ尽くした」と云う感じの「うるさそうな親父」(笑)、まあ向こうもこちらをそう見ているだろうが、彼等が集まる店なのも理解出来る。フランス料理が最も華やかで、紛れもなく世界の料理中心地だった時代の残照が、この店の料理にはあると感じる。
 誕生日祝いだったが、ひと月早いノエルのディナーみたいな料理を提供してもらい、堪能しました。私は1990年代のフランスで、フランス料理の洗礼を受けたので、今回みたいな料理に一番反応してしまう(笑)、どうやら人生卒業するまでそれは変わらない、あらためてそう思った。
 古屋料理長、石橋支配人、色々とお気遣いありがとうございました、来年もまた来ます(笑)。


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外苑前「フロリレージュ」(2017年11月)  

 今年5回目、おそらくは年内最後になると思う、外苑前「フロリレージュ」、最近はランチ専門になっている。支払額の違いもあるがそれ以上に、外苑前から夜遅い時間に遠路を帰るのが、辛い年齢になってしまった(笑)。
 予約時間の12時に店へ着いたら、既に数組がレセプションで待機、東京は札幌や大阪程でなくても、フランスに較べると特に昼の集合が早い。フロリレージュは旧店舗では客が重ならない様、入店時間調整をしていたが、新店舗ではレセプションスペースを設けた事もあり、特にしていないみたいだ。
 奥のカウンター角に着席、続々と来客があるが、この日は外国人客が多かった、カウンターは17席あったが、そのうち半数以上が外国人と思われる人達、女性一人客が二席あり、いずれも英語圏の人だった、店内で聞こえるのが英語、中国語、韓国語?で、国際都市東京の現在を象徴している。 
 顔馴染みになったスタッフに挨拶していると、舞台袖みたいな場所から川手料理長登場、相変わらず日本や世界を飛び回っているが、すっかり貫禄も付いて、国際スターになった面持ちだ(笑)。
  
 まずはこの日の料理から紹介したい、
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・投影、さつま芋

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・鰯 へしこ(フロマージュブランを加えて)

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・沢ガニのビスク(宮崎産沢蟹、クレソン、糯米)

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・牡蠣 メレンゲ(おかひじき)

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・紅鮭 卵黄(味噌漬け)

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・分かち合う(岩手石黒農場のホロホロ鳥)

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・切り分けたもの、ガルニは赤パプリカの肉詰め、上にアマランサス

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・ブランマンジェ、無花果(生姜風味)

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・贈り物、アマゾンカカオ(小布施の栗、栗のクリーム)

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・奈良かぶせ茶

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・ほおずきのパートフィロ

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・秀逸な廣田氏考案のドリンクペアリング

 まず料理全体の印象は、11月なのでジビエ系を加えるのかな?とも思っていたが、予想とは違って、真中直球系でシンプルさが目立った。従来フロリレージュの料理は「捻った組合せにより新しい味を創出」するみたいな印象があったが、そうした部分は少し後退し、過去のスペシャリテを再構築して、美味しさを明解にしたと感じた。これは外国人客が多かった事と関係あるかも知れないが、フロリレージュが今後進む方向を示しているのかとも思った。
 印象に残ったのは、活けの状態で運ばれて来た宮崎産沢ガニのビスク、野生と洗練を感じさせる構成の良さ、加えた糯米も印象深い。
 牡蠣は旧店舗時代から続く「牡蠣のかき揚げ」の進化版、和食みたいだが、食べるとこれはフロリレージュの料理だなと納得する。続く紅鮭も和食的ながら、鮭の質、調理共に抜群で、サーモンに馴染みある外国人客に受けると思った。
 岩手石黒農場ホロホロ鳥も牡蠣と同じく旧店からのスペシャリテ、比較のため以下に2011年1月、南青山の旧店舗時代のホロホロ鳥料理画像を挙げておく、

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 当時は昼でも2皿仕立て、比べると皿の上に色々なものが乗り過ぎている(笑)、見ただけで今回の料理のシンプルさが際立つ、ガルニもピーマン肉詰めだけになった。どちらが良い悪いは別にしても、これだけ料理が進化して、余分なものを省き単純になった。
 デセールも2品共にモノクロームの世界、本質だけを表現していて印象深いものだった。

 過去、客が予想する先のものを提供してきた川手料理、今回の単純化は何か客に対する「謎かけ」みたいにも感じた。他の若手料理人の、インスタグラム映えを狙ったとしか思えない、ディティール凝り過ぎの料理が目立つ中で、このシンプルさはかえって新鮮だった、やはり天才は人より先を歩くのかも知れない(笑)。 
 そして、スタッフ達の動きに無駄がなく洗練されて来た、このオープンキッチンスタイルが始まった新店では2年半が経過したが、人は替わりながらも組織として着実に進化していると感じる。
 旧日本軍の組織的欠陥を洞察したベストセラー「失敗の本質」(中公文庫)の中に、連想する組織論があったので引用させてもらう、
『組織は学習しながら進化していく、つまり、組織はその成果を通じて既存の知識の強化、修正あるいは棄却と新知識の獲得を行っていく。組織学習(organizational learning)とは、組織の行為とその結果との因果関係についての知識を、強化あるいは変化させる組織内部のプロセスである(以下略)』
 文中の「組織」を「レストラン」に変えれば、そのまま飲食業界で通用する(笑)、そしてフロリレージュはこの組織学習が出来ている、それが出来ない店はやがて淘汰される、そう思った。外形だけ真似て「フロリレージュスタイル」を取入れても駄目で、元になる思想・精神を理解しないと意味がない。
 来年になると思うが、次回も川手氏の「謎かけ」を解きに来るだろう、常に刺激を与え続けるこの店を、まだ卒業は出来ない(笑)。
 

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表参道「グラッシェル」(2017年10月)

 札幌食べ続けの記事を書いている間にも、外食には出かけているので、書く予定が溜まってしまった、ただ今回もフレンチだと書くのも読むのも疲れそうなので、此処は一回デザートタイムにしたいと思う(笑)。
 10月下旬に伺った、表参道のスイーツパラダイス「グラッシェル」のランチ記事をUPしたい、ただハロウィン直前だったので、店内装飾はハロウィン仕様、季節限定メニューもあったので、Xmas仕様の現在とは違っている事を了解願います。

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 地下鉄千代田線沿線に住む身内と会うのが目的だったが、この日荒川に架かる鉄橋内で火災が発生し、途中で折り返し運転になった、困った私はつくばエクスプレスの駅まで延々と歩き、南千住で日比谷線に乗換え、さらに上野で銀座線に乗換えて、集合時間には遅刻だがようやく店に到着した。
 雨降りの平日、2階のカフェスペースは空いているかな?と思ったが既に数人の客、女性ばかりだが、さすがは表参道、皆さん自意識美意識が高そうな人達、服装は華美ではなく一見地味だが、あれは「ユニクロ」ではなく、せいぜい「無印良品」あたり、バッグも海外ブランドは野暮になるので避け、一澤等の帆布鞄をさりげなく使う、嫌味にならない存在感が漂っている(笑)。
 
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 ランチの食事メニューは「タルティーヌ」「サラダリヨネーズ」「どろぶたソーセージ」「信州ポーク肩ロースハムサンド」の4種、値段は全て単品で1,000円(税別)、+ドリンクだと1,300円、さらにアントルメグラッセ2種盛を加えると2,400円、パフェを選ぶ時は差額が加わる事になる。

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 この日提供可能なパフェは、「熊本県産和栗のパフェ」(1,600円)、「プリンパフェ」(1,500円)、「かぼちゃパフェ(期間限定)」(1,500円)の三種類。
 まず食事は「ロースハムサンド」に決めて、デザートはシェフ一押しの栗パフェではなく、あえて逆らい(笑)、季節物の「かぼちゃパフェ」にしてみた、前週札幌に居たので「北海道産南瓜使用」に反応してしまった。

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 最初に一口ポタージュ、優しい味でした。

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 続いて「信州ポーク肩ロースハムサンド」メニューの説明では、
「長野県『肉のまる公』さんから届いた、信州ポーク肩ロースで自家製ハムを作りました。たっぷりのサラダと一緒にパンに挟んでお召し上がりください。」とある。

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 料理に付いているパン、北海道から送られて来るとの事。
 サラダはサニーレタス等の葉野菜の上に、薄切りの特製ハムが敷き詰められている、奥はキャロットラペ、オリーブのフライ、カレー風味のポテトサラダ。全体に優しい味付けで万人に受け入れられそう、ビネグレットも穏やか、アルコール類と一緒なら、もう少し塩分・脂分が欲しくなるかも知れないが、ソフトドリンクならこの位の味付けが合うと思う。食感が独特なパンもサラダに合って美味しかったが、「挟んで」食べるには小さい気がした。

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 紅茶、アールグレーだと思う、香りがいい。

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 本日の主役「かぼちゃパフェ」(10月末までの限定)、メニューの説明では、 
「北海道『みなみ農園』さんのメルヘンかぼちゃを使用、メープルのジュレにアーモンド風味の生地、サクサクのフィアンティーヌ、クルミのクッキーをのせ、メルヘンかぼちゃのアイスクリームとメープルのアイスクリーム、仕上げにかぼちゃのシャンティを絞りました。」とある。上部の飾りは月に向かって飛ぶコウモリをイメージしたそうだ。
 まずはかぼちゃシャンティを一口、南瓜独特の風味が口中に広がる、続いて南瓜とメープル味のアイスが加わると、味の積層によって美味しさが増す、そして冷たく柔らかい味の構成の中に、ビスケット系の生地が加わると味が単調にならない。

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 お好みでかけてお召し上がり下さいと、ラム酒が出て来た。
 少しずつ加えて食べると、味わいに深みが増す、甘さの中に奥行きや高さが出る印象、アルコールは弱いのだが、これは加えた方が美味しいと思う。
 あっという間に完食しました、血糖値が一気に上がりお腹一杯になる、「口福に満たされる」とは、この状態を云うのだろう(笑)。

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 一階ブティックの飾り付け、現在はXmasバージョンになっている筈。
 サラダランチにパフェで支払い総額3,024円、この位払えばフレンチやイタリアンでデザート付ランチが食べられる店はあるが、タルトやムース系みたいな、あらかじめ作り置いたものが殆どだ、その場の作り立ての美味しさを感じたい甘味重視の人には、此処のランチをお勧めしたいと思う。
 外は雨だが、センス感じられる空間でいい時間を過ごせた、若いスタッフ達の客対応も良好、日常生活を忘れられる、食のテーマパークに居るみたいでした(笑)。
 なお、「グラッシェル」のシェフパティシェールである本間友梨さんが、インタヴューに応えている記事があります、「お菓子づくり」だけでなく、仕事に取組む姿勢として参考になると思うので、ご一読を。
http://www.kumon.ne.jp/kumonnow/obog/049_1/
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札幌・ススキノ「meli-melo(メリメロ)」(2017札幌食べ続け⑥)

 駆け足だった今回の「札幌食べ続け」も最後の店になった。最終日のランチ場所は去年と同じく、ススキノ狸小路近くのフランス料理「meli-melo(メリメロ)」へ。
 今回宿泊先がススキノのホテルで、荷物を預けて歩いて行け、帰り荷物をピックアップしたら、近くから新千歳空港行きのバスが出ているので、JRを使うより移動距離が少なくて楽だ(笑)、次回もこのアクセスを使おうと思った。買い物は余程特別な物でなければ、空港内で用が足りる、新千歳は日本一土産物が充実している空港ではないかと思う。
 メリメロが入っているのはビルの2階、12時5分前に着いたら店前には女性達の集団、誰か有名人でも来ているの?と思ったら、店が開くのを待っている人と知って驚いた、札幌はディナーの開始時間が東京に較べると早めだが、ランチの集まりも早い(笑)。店外にあるトイレに入ってから、皆が着席した頃を見計らい遅れて入店、既にカウンター席以外満員で平日ながら繁盛している。
 佐藤料理長夫妻に挨拶し、キッチン前のカウンターに着席する、去年は夫妻の他に調理補助の男性が居たが、今回は男性が二人になり主にサービスを担当、料理人でもある奥様が調理を補助する体制に変わっていた。

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 昔のフランス料理店は、磨き込んだ銅鍋が並んでいたが、今はパコジェットにコンベクションオーブンが並ぶ、去年はガストロパックなる最新兵器?もあったが。
 この日の5,000円(税別)のランチは以下のとおり、

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・アミューズ(左:フォアグラ、右:リコッタチーズのミニタルト)

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・同 (秋刀魚のテリーヌ)

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・同 (秋刀魚の内臓を使ったチップ)

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・ホタテ貝のポワレ、春菊とタマリンドのソース

・ブリ、蕪のマリネ、パプリカとバルサミコ(画像失敗しました)

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・青森産ボラ、花ニラ、椎茸、マッシュルームのソース

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・青森産キジハタ、ブイヤベース仕立て

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・道産豚の炭火焼き、札幌黄(玉葱)

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・葡萄と洋梨のソルベ

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・パイナップルとミント、ミントのメレンゲと抹茶

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・イチジクのショコラ(奥)、葡萄2種、きな粉と醤油

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・この日のノンアルコールペアリング

 全体の印象は、前回に比べ各料理の細部が丁寧になり、味の組合せも良くなって、仕上がり精度が高くなったと感じた。特に鰤、鯔、雉羽太(漢字で書くとこうなる)と続く魚料理が秀逸だった、中でもキジハタのブイヤベース仕立ては、もう一度食べたい逸品。去年は「味のメリハリがもう少し欲しい」と思う料理があったが、これも修正されていた。
 佐藤大典料理長は札幌ではなく函館の出身、函館は江戸時代から良港として海産物貿易で栄えた街、日本海に近い札幌と違って太平洋側に近く、距離的には札幌より青森に近い、津軽海峡の魚介が豊富な地だ。佐藤氏も子供の頃から魚介に親しみ、現在でも魚料理が好きらしく、青森産の食材を積極的に使うのも、現地との交流があるからと聞く、料理も他の札幌料理人とは少し系統が違うものを感じる。
 また料理人でもある奥様の存在も大きいのかなと思った、他店で副料理長まで務めた実力の持ち主なので、二人の力が噛み合えばエンジンが二つある車、加速も安定性も違うと思う。奥様が考えたノンアルコールペアリングも、前回より味わいが良くなっていた。
 平日昼ながら女性客で繁盛している、このライト感覚でビジュアルも良く、食べ終わっても胃が重くない料理、明るい店内と洒落たインテリアや食器、まず女性に支持される事は間違いない。佐藤氏も積極的にマスコミ等に顔出し、ニューリーダーとして、札幌フレンチ界を盛り上げようとしている。
 初日に行った同じススキノにある「オプトゥニール・ケイ」が、札幌を代表するクラシックフレンチを目標にするなら、「メリメロ」は札幌を代表するモダンフレンチを目指している様にも感じた、PARISなら「ランブロワジー」と「アストランス」みたいに、両店ともに札幌の街を代表する店になって欲しいと、願うばかりだ(笑)。

 3泊4日の間、観光らしい事は殆どしないで、ただ食べて歩いていたが(笑)、今回も収穫が大きかった、特に若い世代の料理人に、従来の「札幌フレンチ」のイメージから脱却しようとする姿勢を感じた、これからも食都として伸びて行くだろう事は間違いない。 札幌から東京へ移った「おはらス・レストラン」の小原氏が、札幌フレンチ第一世代とすれば、「プロヴァンサル・キムラ」の木村氏は第二世代、「リアン」の木下氏以下は第三世代、そんな印象を持っている。業界が停滞する事なく進化が続くのは、種として健全な証拠だ(笑)。
 そして何より支払いが安い、東京のイメージで「今日は料理がこの金額だから、支払いはこの位だろう」と予測する金額より、大体1~2割は安く感じる。札幌はフレンチ好きにはパラダイスみたいな場所だ、LCC利用なら成田から札幌まで往復約一万円、2~3店回れば差額で交通費は償還できる(笑)。
 このブログを読んで、札幌へ行ってみたいと思ったら、迷わず行く事をお勧めしたい、今回訪れたフレンチ4店とスープカレーの店は、あなたの期待をきっと裏切らないと思う。


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札幌・西18丁目「プロヴァンサル・キムラ」(2017年札幌食べ続け⑤)

 今回札幌行の一番の目的が、これから訪れるプロヴァンサル・キムラだった。
 北海道立近代美術館近くで14年間営業して来たが、今年11月に近隣へ移転する事が決まり、思い出ある店舗ともお別れする事になるので、伺っておきたかったからだ。
 最初「移転」と聞いた時は、東京で増えている、カウンター席中心の店へスケールダウンするのかな?とも思ったのだが、そうではなく水回りを始め店舗の不具合が多くなり、前から移転を考えていたが、今回たまたま近所でいい物件を紹介されたので、思い切って引っ越しを決意したそうだ。
 私の初訪問は2010年、翌年は東日本大震災等で札幌へ行けなかったが、2012年以降は毎年1回訪れているのでこれが7回目になる、歩いていて遠くからでも目立つ、プロヴァンスジョーヌの外装を見るのも最後と思うと、感傷的になってしまう。

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 ドアを開けると迎えてくれるのは、いつもと同じ南仏の太陽みたいに、明るく華やかなマダム、初めて会った頃と全く変わっていない。初訪問当時SNSで書いていた日記を今回探したら、マダムの印象を「小泉今日子の『なんてったってアイドル』を連想した」と書いていた、年齢を重ねても輝く小泉今日子さんと同じ位に、マダムも魅力的です(笑)。
 テーブル席に座らせてもらい、この店舗での「最後の晩餐」になるが、まずは料理から紹介したい、

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・ピサラディエール

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・甘海老のタルタルと甘海老のコンソメジュレ

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・自家製パンとオリーブオイル

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・大間マグロと野菜のクロッカン、マンゴーとバジルのソース

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・苫前産かすべのポッシェ、人参のクーリーとレモングラスのエミュルジョン

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・道産ホタテとムール貝、ジロール茸、トマトフォンデュとシェリービネガー

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・口直し:ジャスミン茶のソルベ

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・南フランスシストロン村仔羊背肉のロースト、黒米を詰めたプチトマト

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・洋梨の赤ワイン煮と洋梨のソルベ

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・黒糖のクレームブリュレ、五香粉のグラス

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・ミニャルディーズと台湾パイナップルケーキ(笑)
・デトックスティー

 料理は「プロヴァンサル・キムラ、14年間の集大成」そんな印象を持った。定番の南仏風ピザからスタート、優しい味わいの甘海老料理の後は、普通フレンチではまず扱えないレベルの上質な鮪料理、最近では「フロリレージュ」の鮪以来に旨いと思った。日本で鮪は値段によるヒエラルキーが確立しているから、量を使うフランス料理では難しい食材だが、採算度外視の質だった(笑)。
 続くかすべ(エイ)と帆立&ムールの料理は、道産の豊かな魚介と野菜を使い、味わいを変えていい構成だった、特にエイ料理の完成度が高いと思った。
 そして真打登場が、今年から輸入解禁になった、フランス三大羊産地の一つとされる、南仏シストロン産の仔羊。羊料理は日本でもフランスでも数多く体験したが、背肉「Carre d'agneau」、もも肉「Gigot d'agneau」共に、こうした骨付き調理に勝るものないと思っている、今回もそれを確信した。
 木村氏はチマチマと切り分けたりせず、ドンと厚切りの背肉を出して来た(笑)。肉質、調理は申し分なし、北海道の仔羊も最近味が良くなっているが、シストロンは格の違いを見せつける。元NYヤンキースの名クローザー、マリアノ・リベラ投手みたいに、千両役者の風格でこの日の試合(料理)を締める(笑)。スチームコンベクション等による低温長時間調理ではなく、昔ながらのオーブンによる高温&余熱調理だと思うが、過去日本で食べた仔羊料理では、三指に入れたい旨さだと思った。
 デセールには定評ある木村氏、二品共に秀逸で、もう一品追加したい位だ(笑)。

 私は気候のいい季節に行っているだけだが、真冬の札幌は1m近い積雪になる、酷寒の地で南仏スタイルの料理を続ける事は、おそらく過去に葛藤や悩みもあったと思う、それでも自分達のスタイルを変えずに貫き通し、ブレる事のない木村夫妻のセンスに拍手(笑)、今は真っ直ぐ前を向いて迷いがない。
 この夜の料理には「凄み」まで感じさせた、東京なら赤坂「古屋オーガストロノム」や代官山「レクテ」の料理に共通する、若い料理人にはなかなか難しい、メニュー構成における、平坦でない深さがあると思った。
 同じ札幌フレンチでは、円山の「ラ・ブランシュール」が10月末で閉店、「Miya-vie」も移転し、カウンター席中心の規模を小さくした店になると聞く、東京でも同じだが、札幌でも限られた数の客を獲り合う現状、スタッフ不足も変わらない、そうした中でも新店で第二幕を開けようとする木村夫妻には、応援のエールを送りたい。
 なお新店は、旧店舗の道路を挟んで東側、次は一軒家でテラス席もあるとの事で、東京なら六本木の「トレフ・ミヤモト」みたいな店になるのかも知れない。
 再オープンは11月末の予定だそうで、今から次回の札幌訪問が待ち遠しい(笑)。


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札幌・北15条東「Curry Power パンチ」~西17丁目「餅菓子商 白谷」(2017札幌食べ続け④)

 札幌後半戦の3日目は、朝の散歩で昨夜胃に入れたものを消化する事から始める(笑)。市内南部豊平川に近い中島公園は広い池や音楽ホール、天文台や文学館も園内に備えていて、緑豊かな札幌を代表する公園、それが歓楽街ススキノのすぐ近くにあるのも面白い。この時期紅葉が始まっていて、歩いていると北国の秋を、そして長い冬の気配を感じ取れる。地下鉄の駅も近いので、札幌を訪れた時にはお勧めしたいスポットだ。

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 公園内にある「豊平館」の建物、1880年にホテルとして大通に建築、明治天皇も宿泊し宴会場としても使われ、札幌の迎賓館的役割を担った。1958年に中島公園内に移築保存されるが、以降結婚式場として市民も利用可能だった、1964年国重要文化財に指定される。昨年4年間のリニューアルを経て再オープンした、少々綺麗になり過ぎた感じもするが(笑)、文化財でありながらも、現在でも式場や宴会場として、市民が利用可能な事が素晴らしいと思う。
 昼が近づいて来たので、地下鉄で北13条東駅へ向かう、札幌にはこうした地番そのままの地下鉄駅が幾つかある。

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 目的地は「リアン」同様に、札幌の定番になったスープカレーの店「Curry Power パンチ」で、私は3年連続で4回目の訪問になる。今回は札幌在住の友人夫妻との会食?で、開店時間直後に店内で待ち合せる事に、札幌の飲食店は駐車場を完備している処が多いが、先に停めた者勝ちで(笑)、混雑時には溢れてしまう事もある。

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 2014年10月開業のこの店も3周年を迎える、「石の上にも3年」と云うが、繁華街ではない場所でも3年続いたのは、それだけ味が支持されて来たと云う事だろう。

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 此処へ来ると、いつも「うまうまつくねベジタブル」(税込1,170円)を注文するのだが、今回も一応迷いながらも、やっぱりこれを選んでしまう、選べる辛さは8段階ある内の下から3番目「フック」で、ライスは小盛にしてもらった(笑)。

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 一年ぶりの「うまうまつくねベジタブル」、何故か「おまけ」も付いていた(笑)、まずはスープを一口、あっさりした和風スープが胃に浸みていく、ゴロンと大きいつくね団子と北海道野菜の相性が抜群、スープカレーは道産の豊かな農作物と乾燥した気候が生んだものだと思う。東京で食べるともっとコッテリした店が多いが、この店のカレースープは毎日でも食べられそうな優しさと中毒性がある(笑)。

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 店主の好意でラッシーまで出してもらい恐縮してしまう、今回も美味でした。残念なのはこのスープカレーが札幌へ来ないと味わえない事で、願うのは「五丈原」のラーメンとセットで、東京に支店出してくれないかな?と思う事(笑)。 
 食後は「甘味を食べに行こう」と、急に話がまとまり(笑)、友人の車に乗せてもらって、西17丁目札幌医大近くまで遠征、「餅菓子商 白谷(しろや)」まで行く事に。

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 2011年開業のこの店、私は3年前に訪れていて2回目。その時はフレンチランチの後に友人と店の前を通り、「大福」の文字に惹かれ入ってしまった店で、喫茶スペースで大福と抹茶をいただいた。
 前回もそうだったが、製造、販売、お茶出しの対応等全て店主一人でやっている、高級住宅地の円山も近く、住人達の御用もある店に見える。「和菓子店」ではなく「餅菓子商」を名乗っているのが特徴、店のWEBページでは、
「ここ北海道で収穫される米は、厳しい自然の力と少しの人の手を借りて美味しく育っていきます。土と水と光と命。それだけで作り上げた白谷の餅。大量生産も日持ちもしません。ただ誰かに喜んでもらえるために、毎日丁寧にこしらえています。」
と自店紹介をしている。
 店頭の餅菓子、どれも美味しそうで何を選ぶか迷うが、珍しい「モンブランもち」(税込140円)にしてみた。

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 抹茶椀が並び、客は好みの物を選べる。

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 一番渋く地味な、瀬戸黒みたいな碗を選んだ(笑)。

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 モンブランもちは、同じく店の説明では、
「白餡とマロンペーストで作った『マロン餡』でお餅をふんわり包み、刻んだ栗の甘露煮を上に添えました。お餅の中には生クリームが入っています。」とある。
 柔らかく上品な味、餡もマロンペーストも上質、儚く消えてしまう束の間の美味しさでした、抹茶(200円)もさすが本職で丁寧に点ててある。そして東京のこの種の店と比べると、価格破壊的に安い(笑)。
 地元民を対象としている店なので、あまり観光客が荒らしてはいけないと思うが、西18丁目駅近辺にフレンチ食べに行ったついでに、寄ってみる価値ありです(笑)。
 お付き合いいただいた友人夫妻に感謝です、忙しい中をありがとうございました。
 私はその後ATMでお金を引き出し、フレンチ3店目に出発する事に(笑)。


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札幌・西20丁目「リアン」(2017札幌食べ続け③)

 札幌フレンチ2店目は、西20丁目にある「リアン」へ伺う事に。この店は2012年4月の開業で、私が初めて訪れたのが翌2013年9月、それから年一回定点観測?をしているので5回目の訪問になる。テーブル10席、カウンター3席の小さな店だが、勉強熱心な木下料理長の料理と、キリっとしたマダムのサービスは年々進化していて、毎回訪れるのが楽しみな店だ(笑)。
 今回は久しぶりの夜訪問、店の在る場所は人通りの少ない寂しい道沿いなので、周りが暗い中に緑色の店表示が見えると、我家に戻って来た時みたいにホッとする。
 ドアを開けてマダムに挨拶し、初めて来た時と同じカウンター席に座る、この椅子は後ろに他の客が通らず、視線にも晒されないので、落ち着いて食事が出来るからいい(笑)。
 テーブル席には私の後に男だけのグループが来たので、この夜は珍しく男客ばかりの日になった、フランス料理店に男性客が増えるのはいい事だと思うが、どうも日本の場合、ランチ時は女子会、ディナーは男子会とハッキリ別れてしまう傾向がある、そう云えば札幌初日の「オプトゥニール・ケイ」も男子会だった(笑)。
 いつものローズヒップティーから始まる料理は以下のとおり、

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・ローズヒップティー

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・ニンジンのババロワと刻んだ甘海老のマリネ、甘海老のコンソメジュレ
       
・カスベとビーツ、山葵菜、キャビアとエストラゴンヴィネガーのソース(画像失敗しました)

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・エゾ鹿のパテアンクルート

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・カットしたものとフォアグラ入りブリオッシュ、小田原無花果のコンフィチュール

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・とうもろこしのヴルーテ、秋トリュフ

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・キンキのポワレ、道産新蕎麦の実のリゾット、ソースペルノー

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・オマール海老と道産ホタテのフリカッセ

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・愛知県内田ファームのウズラ、ジュ・ド・カイユ、道産野菜

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・葡萄いろいろ

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・ショコラとトリュフのモンブラン

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・ハンドドリップコーヒー

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・ミニャルディーズ


 料理全体の印象から云うと、全体の流れに起承転結が感じられ、野菜、魚介、肉の組合せや、各料理の仕上がりも良くなっていると感じた。
 まず印象に残ったのは、焼き上がりを見せてくれたエゾ鹿のアンクルート、これは主に関西方面でうるさい作り手が居るけれど(笑)、決して劣らない出来で、自信があるからこそ見て欲しかったのだと思う。
 続くキンキのポワレは、この日最も印象に残った料理、これだけ上質なキンキは東京では和食店に回ってしまい、フランス料理店では扱えないと思う、調理やソースも秀逸だった。
 道産食材ではない肉料理は、料理長の新境地へのチャレンジかなと思った、従来の札幌フレンチは、道産の豊富な魚介に牛肉か羊肉、ソースには乳製品を多く使うみたいなイメージもあった、東京人が札幌フレンチに期待するのもそれだ、みたいな思い込みもあると思うが、木下氏の世代あたりから変わって来たと感じる。東京のフレンチで北海道や九州の食材を使うなら、札幌で愛知県の鶉を使っても何ら不思議ではない筈、それが納得できる質と調理だった。
 もとパティシェ志望だった木下氏が作るデセール2品はいい出来だったが、あえて云えばモンブランにもう少し軽やかさがあれば、もっと良かった。
 マダムが豆挽きから始めるハンドドリップのコーヒーも美味しい、「砂糖、ミルク使いますか?」と最初に訊くのは、それで豆の挽き方を変えるからで、その気遣いが感じられる余韻の残る味だった。

 東京赤坂の「古屋オーガストロノム」や麻布十番「グリグリ」も、「リアン」と同じ一人厨房ながら、多彩でレベルの高い料理を出すが、比べれば厨房が広い、木下氏は狭い厨房でよくこれだけの料理を並べるなと感心する、且つホテル出身だけに盛付が雑でない。
 年に一回ながら5年間追い続けて、料理は右肩上がりで来ているのは間違いない、ただこの先も上がり続けて行くかとなると、難しい処もあると思う。
 外苑前「フロリレージュ」の川手料理長は木下氏と同年生れだが、超人気店だった旧店舗を続けていて、「このままでは、やがて行き詰る」と思い、新店舗への移転と、従来とは違う形態で料理を提供するスタイルを決めたと聞くが、木下氏も「この後どうするか」を考え始めているようだ。
 一年ぶりの「リアン」、いい料理でした。私はこうした夫婦二人だけでやっているミニマムな店が好きで、訪れる事が多いのだが、何故か東京ではこのスタイルが減りつつある、それだけ夫婦のあり方が変わって来たのかも知れない、でも札幌ではまだ健在だ、「我家に招かれたみたいな」温かさに触れたいなら、札幌それも西18丁目駅近辺に出かけましょう(笑)。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
人はそれぞれに「見方、感じ方、考え方」が違います。私が美味と思ってもそう思わない人が居て当然です、味覚とはそれだけ不安定で不完全なもの、あくまでも筆者個人の嗜好による感じ方である事を承知の上で読まれてください。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに赤坂、麻布十番等。
混雑電車が苦手で加齢による朝型人間化のため、ランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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