最後の晩餐にはまだ早い


2017年「今年印象に残った店」(デザート・スイーツ編)

 料理編に続いてデザート・スイーツ編を。
 今年この分野は女性達の活躍が目立った、レストランは夜遅くまで営業があり立ち仕事が続くので、女子には相当厳しい職場だと思うが、悪環境の中で奮闘している彼女達を見ると、この業界の先行きもそう悲観しなくてもいいのかなと、希望が見えて来る気がする(笑)。まずは料理編同様、4番打者的存在からで、
・東麻布「ローブ」の
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・5月訪問時、右上から時計回りで、「黒オリーブ(スフレ) タイム(後でタイムのソルベを添える)」「リュバーブ レティエ」「花菜ローズ マンゴー」「フロマージュ 赤い果実」

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・8月訪問時、「桃のコンポート、バラ花のアイスクリーム(右)」「ババ、ピニャコラーダ、パスティスのクレーム(左)」
 平瀬パティシェール作のデセールからと思ったが、一つだけ選べず、結局全品紹介する事に(笑)。彼女のデセールに関して解説は余計だと思うので、まず見て感じてください、そして味わいに行ってください、それが一番です(笑)。

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・芦屋「オステリア・オ・ジラソーレ」のフォンダンショコラと栗のスープ、マスカルポーネの雪見仕立て
 2月関西旅行時に最も印象的だったデザート、作ったパスティッチェーラは現在イタリア武者修行中と聞いたが、更にレベルアップして帰って来るのが楽しみ。

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・新富町「プレニチュード」の「苺のヴァシュラン、ピスタチオのアイスクリーム」
 パティシェール界の新人ヒカリちゃんの仕上げが奇麗なデセール、彼女はこれから期待出来そう。

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・新橋「コフク」の「広島県産 檸檬(バジルの液体窒素)」
 これも新人美少女系?パティシェールの作品、料理もユニークな店だが、デセールも面白い、彼女も経験を積んでいけばきっといいパティシェになると思う。

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・外苑前「フロリレージュ」の「贈り物、アマゾンカカオ(小布施の栗、栗のクリーム)」
 此処も若手パティシェールだ、シンプルな作りだが記憶に残るもの、チョコレートと栗は「黄金の組合せ」だが、いい素材でも生かして使えるかは作り手次第。使っているこの器を作ったのも女性陶芸家だと思った。

 以下は男性料理人達が作ったデザートから、
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・麻布十番「ジャニコロ・ジョウキ」の「生八ッ橋とホワイトチョコレートのムース」
 生八ッ橋とホワイトチョコレートは「禁断の組合せ」みたいだが(笑)、意外にも合っていた。独学派でマンガ好きの若手、内野料理長の発想は何時もユニークだ。

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・赤坂「古屋オーガストロノム」の「いちごとミルフィーユ、さくらのソルベと共に」
 春のデザートだった事もあるが、内野氏作の物と続けると、それ迄の女性陣作デザートに比べてフェミニンな印象がする、「春に誘われた訳じゃない」か(笑)。

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・麻布十番「ラ・リューン」の「枇杷とアーモンド風味のソルベ、枇杷のグラニテ、福井の梅ピュレ」
 これは夏を感じさせてくれた、麻布十番で15年続く人気フレンチ、痩身の永田料理長の料理も良かったが、特にこの酸味の効いたデセールは印象深かった。

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・御茶ノ水「ビストロ・ヌー」の「ホワイトチョコレートのムース、キャラメルのグラス、ショコラマカロン」
 店の雰囲気と値段はカジュアル、味は本格派と云いたい秋葉原至近のフレンチ、イケメンの磯貝料理長と美人マダムの二人体制になって、料理もデセールも更に良くなって来たと感じた(笑)。

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・稲荷町「キエチュード」の「チョコレートタルト(ノエリー酒風味)ラズベリー チェリー カボス・カルダモン・ジンジャーのアイス」
 荒木料理長が「自信作です」と云うだけあって、各素材のバランスが良好で、また味わいたい一品。
 チョコレート、バター、バニラビーンズ等原材料が値上がり続ける中で、どうしても原価が限られるレストランデザートだが、どの店も本当に苦労して工夫していると思う。
 
 以下はレストラン以外で、
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・表参道「グラッシェル」の「かぼちゃのパフェ」
 パフェブームが続いているが、都内で出会える最上質な店の一つだと思う、「プリンパフェ」も良かったが、南瓜と云うあまりパフェとは結び付かない素材を使い、印象深い味に仕上げるのは作り手のセンス、値段はそれなりにするが納得出来る、満足感は大きい。

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・西新井「エスキモーカフェ」の「かぼちゃアイス&ミカンのシャーベット」
 地元で見つけたアイスクリーム専門店、私は「下町のグラッシェル」と呼んでいる(笑)、これも南瓜を使ったアイスだが、焼く事で香りを増していい出来だった。

 一年間ブログをお読みいただき、ありがとうございました。
 勤めをリタイアした後は、千円ランチ専門ブログになるかなと思っていましたが、何故か現役時代以上に高級店も出かけています(笑)。何時までこれが続けられるのか分かりませんが、体力が続き財布が空になる迄、来年も食と人を語れたらと思います。
 混迷が続く世界情勢ですが、食を通じて人がもっと幸せになれる社会である事を願っています、皆さまどうぞ良い年をお迎えください。


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2017年「今年印象に残った店」(料理編)

 ブログの更新も年内はあと2回の予定、そこで毎年恒例の「今年印象に残った店」を挙げておきたい、昨年同様に「料理編」と「デザート&スイーツ編」の2回に分けるが、毎回言っている事ですが、私が訪れて此処に載せなかった店が、料理もデザートも駄目だったと言う訳ではありません、本当に駄目な店はブログ記事にはしていません(笑)。
 文字どおりの「最後の晩餐」を意識し始めた私にとって、人生最後に食べたい、もし食べられなくても思い出したい位の、強い印象が残っているかどうかで選びました。まずは料理からで、

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・外苑前「フロリレージュ」の「分かち合う(北海道産仔羊背肉骨付ロースト)」
 いきなり4番打者が出て来たみたいだが、もう東京と云うより日本の代表選手と云っていい店と思っている、もし人生をやり直せるなら、料理人としてチームフロリレージュに加わりたい位(笑)。川手料理長は少しずつ変化していて、以前より料理が単純化された気がする。

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・六本木「ル・スプートニク」の「エゾ鹿のシヴェ、自家製セミドライピオーネとロックフォール、ジェニパーベリー」
 フロリレージュの川手氏が食のエンターテイナーとすれば、高橋料理長は食のアルチザンと云う印象、細部にこだわり妥協をしない姿勢は、孤高の職人此処に在りと見える。このエゾ鹿は近年最上の鹿料理だった。

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・赤坂「古屋オーガストロノム」の「豚足のファルシ(リ・ド・ヴォーブレゼ、トランペット茸、ムース・ド・ヴォライユ)のグリエ、シャルキティエールソース」
 昨年から注目している赤坂の古典派料理人の店、うるさいベテランのフレンチフリーク達に注目されるようになったが、まだまだ古屋料理長の抽斗は空にならない筈(笑)。今の時代に、この手間がかかる割にはおよそインスタ映えしない、地味な豚足料理を作る心意気に拍手。

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・代官山「レクテ」の「青森産真鯛、大鹿村(長野)の天然キノコ(トキシメジ、アミダケ)、黒大根」
 私にとって、去年の発見が古屋氏なら、今年の発見は佐々木氏、花の都で3年間料理長を務めた実績は、料理を食べれば感じ取れる。国産食材を積極的に使う料理人は他にも居るが、佐々木料理長程のフランス的エスプリは表現出来ていないと感じる、レストランチームとしても優秀、来年も楽しみな店だ。

 以下は東京以外で、
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・大阪上本町「レストラン・コーイン」の「鳥取県産ミンククジラのタルタル仕立て、自家菜園の野菜添え」
 同行した友人が「金属バットで頭殴られたみたいに旨い」と云っていたが、今なら「リモコン」と云い変えた方が判り易いか(笑)。とにかく物量攻撃で高級素材を積み上げ料理を構築、それでいて絶妙のバランスを取るのが、湯浅料理長の稀有な才能。「日本の食材はフレンチに合わない」などと云っている人に、この料理を食わせてみたい。今の処「最後の晩餐」に食べたい料理では第一候補か、これと近江「招福楼」の白飯、ブラス(勿論ライヨールの方)のクーランで締めたい(笑)。

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・和歌山「オテル・ド・ヨシノ」の「舌平目のパテショー」
 今はなきPARISの名店「ヴィヴァロワ」のスペシャリテが食べたいと、無理を云って手島料理長にお願いした料理、意外にも軽やかな味わいで、現代のメニューに入れても十分通用する、この時は同席したメンバーも濃くて、忘れ難い午餐会になった(笑)。

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・兵庫芦屋「オステリア・オ・ジラソーレ」の「手打ちのパッケリ、潮の香のソース」
 今回唯一のイタリア料理店、顔の濃さなら負けてはいない(笑)杉原料理長の名店、高級住宅地にありながらも、ベースは南イタリアのマンマの味だと感じる、「私の耳は貝の殻 海の響きを懐かしむ」の、コクトーの詩の一節が思い出されるような、秀逸なパスタだった。

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・札幌「プロヴァンサル・キムラの「南フランスシストロン村仔羊背肉のロースト、黒米を詰めたプチトマト」
 今年16年ぶりに輸入解禁された、仏シストロン産仔羊を料理するなら、同じプロヴァンスで働いていた木村料理長は最適任者、そう思わせる圧巻の肉料理、国産羊もかなり良くなっているが、まだ足りないものがある事を知った。
 エントリーは以上だが順位は付けられない(笑)。

 以下は今年オープンで、今後の展開を期待したい料理人の店で、
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・新橋「コフク」の「新潟県産 玄米(上に金時草)」
 フランス料理と北欧料理の経験を経て、国産食材のみで作る「日本でしか食べられない料理」を目指している赤木料理長、コンセプトは興味深く、あとは客とどう折り合いを付けていくかだが、これから楽しみな才能だと思う。

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・札幌「Obtenir K(オプトゥニール・ケイ)」の「マダチ(鱈白子)のムニエル、ソースブイヤベース」
 1983年生れと云う若さながら、古典派料理を志向する藤谷料理長、この分野には濃くて重い先輩達が多く(笑)、彼等に較べるとまだ足りないと思う部分はあるが、これから経験を積んでいけば、札幌を代表する料理人になる可能性あると思う、5年後10年後が楽しみ。

 以下は他の料理ジャンルから印象深かった2店。
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・南青山「MAMA」のランチメニュー「イベリコ豚のカツカレー」
 過去人生最高のカツカレーを選ぶなら、現在の処これか(笑)。高級フレンチ出身の料理人とサービス2人が営む、箸で食べる創作料理、インテリアも素晴らしいし、家から近かったら、毎月いや毎週でもランチに通いたい店(笑)。

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・西新井「香府山」の「担担麺(ランチセット)」
 地元足立区内に、こんな秀逸な中国料理店がある事を今迄知らなかったのを恥じる、車か自転車でないと行き難いが、この担担麺は中国料理店ならではの、湯の深さある味と香辛料使いで秀逸だった。

 次回は「デザート&スイーツ編」の店です。


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代官山「レクテ(Recte)」(2017年12月)

 私の好みは相当偏っているので、あまり参考にはならないし、それよりまず訊かれないと思うが、もし「ジャンルを問わず、今年初めて行った店の中から一つだけ選べ」と云われたら、代官山と恵比寿の中間にあるフランス料理「レクテ」と答えると思う。
 旧「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」を約一年かけて改装、店名も変更しリニューアルオープンしたこの店だが、前回利用時に佐々木料理長の豊富な経験を感じさせる、安定感ある料理に瞠目、「近いうちにまた行きたい」と思っていた処に、関西から食通友人がやって来る事になり、私が書いた記事でこの店に興味を持ったらしく、意見が合って昼に再訪問する事になった。
 「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」は、現「ア・ニュ・ルトゥルヴェ・ヴー」の下野氏、「ル・スプートニク」の高橋氏が歴代の料理長、更にこの場所はそれ以前には「オ・コション・ローズ」として、井上料理長が名を馳せた由緒ある場所、友人はその3人の料理を体験しているので、どんな感想を云うのかその楽しみもあった(笑)。
 JR恵比寿駅で友人夫妻と待ち合せ、西口のケンタッキーフライドチキンの角から、雑多な飲食店街を抜け代官山方面へ向かう、日曜昼のこの界隈は「夢破れて山河あり」みたいな雰囲気も漂っている(笑)。
 店が入っているのは建物の2階、階段を上がると店名表示の一切ない大きな扉、開けるとすぐ客席になる、齊藤支配人とサービス&ソムリエの辻氏に挨拶すると、予想どおり前回同様奥の個室に案内される(笑)。

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 外は冷たい風が吹いていたが、個室内は明るい光が差し込み、サンルームみたいな穏やかさ、支配人が注いでくれたシャンパーニュで乾杯し昼餉が始まる。

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・三野農園牛蒡のスープ(中に今治産ワタリガニの身)

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・蝦夷鹿のパテ

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・音更町庄司農園はるきらりとライ麦の一品(パン)

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・松島産牡蠣とポワローを様々な火入れで

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・函館産平目と山内人参

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・白糠産蝦夷鹿のシンタマ

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・コーヒー、紅茶、ハーブティーのメニュー

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・スフレショコラとプラリネアイス

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・コーヒー(ニカラグア エル・リモンシージョ農園 パカマラナチュラル)

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・ミニャルディーズ(カヌレ、フィナンシェ、黒糖のショコラきな粉)

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・辻ソムリエ考案のドリンクペアリング(良かったです、あとは「フロリレージュ」みたいに、プレゼンに工夫があるともっといい。)

 まずアミューズがスープで始まるのは、「手で摘まんで」のフィンガーフードよりホッとする、「それが古い」と云われそうだが、私は旧世代なのだろう(笑)。
 蝦夷鹿のパテは量がしっかりあり、味も割と食べ易くしてあった、添えてあるマルメロのコンフィチュールが効いている。牡蠣料理はポワロー葱を多彩な調理法で添えてあり面白い、クラシックな様でいて何処かにPARISのエスプリを感じさせる、佐々木料理ならでは。
 前回の魚料理も旨いと思ったが、今回も秀逸で次の肉料理のために味わいを抑えているが、それでいて印象に残るもの、秋田産山内(さんない)人参の味がいい。
 肉料理は蝦夷鹿の内モモ肉で火入れが抜群、最近では「ル・スプートニク」と双璧か。佐々木氏は洞爺湖の高級ホテルで働いていたので、今でも北海道の生産者や猟師と繋がりがあるそうで、この鹿も銃痕、血抜きの状態と保管が申し分ない個体との事。
 洞爺湖時代から一緒に働いているパティシェールが作ったデセールとミニャルディーズもよかった、チョコレート、バター等原価の高い素材を沢山使っている(笑)。選べる食後ドリンクのアイデアも評価したい。
 これだけ充実した内容なのに、後で支払い額を見ると申し訳ない位に安い、思わず「星なんて付かないで良かった」と口走りそうになるが、スタッフ達には勿論云えない(笑)。客人夫妻もきっと満足された事と思う。
 1973年生れの佐々木氏、同年生まれの「古屋オーガストロノム」の古屋氏と、どうしても比較したくなるのだが、重厚でいながら柔らかさもあり、根底にはレジオン(地方)の骨太さを感じる古屋料理に対して、軽快でいながら芯の強さがあり、国産食材を使いながらPARISの味も感じさせる佐々木料理。古屋氏がベートーヴェンなら佐々木氏はモーツァルト、古屋氏が宮本武蔵なら、佐々木氏は名前のとおり佐々木小次郎(笑)、何かそんな違いを感じる、共通しているのはどの料理も安定していて、不出来な皿が無い事。欧州戦線の最前線で戦って来た二人の料理には、静かな凄みとブレない普遍性がある。

 食後、席に挨拶に来た佐々木氏、3年間料理長だったPARIS時代の話、日本へ帰って来た動機、食材の話などで盛り上がってしまい、友人夫妻を交え気が付いたら、3時を過ぎ4時近くになっていて、スタッフの休憩時間まで浸食してしまったみたいで、すいませんでした(笑)。
 色々面白い話も聞けたが、此処に書くと差し障りありそうなので、興味のある人は是非一度訪ねて聞いてください。料理は間違いないレベル、スタッフ達の動きや表情も前回より硬さが取れ、居心地が良くなったと思う。
 佐々木料理長、齊藤支配人、辻セルヴール、遅くまでありがとうございました。
 
 年内の単独店記事は今回で最後になり、次回・次々回は年末恒例の「今年印象に残った店」を記事にします。 


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代々木八幡「アルドアック」(2017年12月)

 「この前来たのは何時だっけ?」と忘れる位にご無沙汰していた、代々木の「アルドアック」。忘れていた訳ではなく、勤めを辞めてからは昼の外食が増え、平日ランチ営業のない店はどうしても後回しになっていた、それに夜都心の勤め先から直行するのと、住んでいる東京の東端から代々木まで往復するのとでは、距離感にかなり違いがある(笑)。
 そうした訳で土日だけ営業のランチタイムにお邪魔する事に、昼なら帰りに近くの富ヶ谷「ルヴァン」でパンも買えるのでありがたい。
 私は地下鉄千代田線が便利なので、代々木公園駅から歩いたが、暫く来ていなかったので、駅周辺に新しい店舗が増えている。道を歩いているのは、ちょっとお金を持った30代ファミリーと云う印象、彼・彼女達を対象にしたブランジェリー、パティスリー、小洒落たカフェ等が目立つ、下町人間の私でも宝くじ当たればこの辺りに住みたいなと思わせる(笑)。少し歩いて、中央環状線高架下の不思議な壁画がある通路を出ると、そこはアルドアックが入ったビルのある小さな商店街、ここにも若者向けのカフェが進出している。

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 以前と変わらず、知らない人はまず入り難い2階の店扉、店名が傾いでいるのは狙ったものだと思う(笑)。
 オーナー料理人の酒井氏に挨拶し、カウンター席真中に座る、昼のメニューはパエージャをメインにした3,600円(税別)1種で、この日の料理は以下のとおり、

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・アンチョビ風味のオリーブ

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・アホブランコ

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・青森産鱈白子のプランチャ、百合根とドライほうれん草、白ワインとかぼちゃのソース

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・自家製チョリソとスペイン産青大豆の煮込み

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・海の幸のパエージャ

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・皿に盛りアイオリとレモンを添えて

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・この日のワイン、チャコリとポルトガル産白

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・トルタ・ケソ(チーズケーキ)焼き上がりの原形

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・花梨のジャムを添えて

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・カフェソロ

 このブログを読む人はまず知っていると思うが、「アホブランコ」はスペイン・アンダルシア地方の大蒜とアーモンドを使ったスープで、別名「白いガスパチョ」とも呼ばれる。酒井氏が作ったものは、特にアーモンドの香りと甘味が印象的だった。
 続く白子の料理は、スペインの羊脳味噌を使った料理にヒントを得て作ったとの事、南瓜の味が白子と意外と合うのに驚く。
 肉料理は窓際にぶら下げてあった自家製チョリソを、青大豆、ドライトマトと煮込んだもので何処かホッとする味、ガストロ的ではなく、田舎のお母さんが作った美味しい料理と云う印象。
 パエージャは文字通りに「鉄板の美味しさ」(笑)、この店では毎回食べているが、回を重ねる毎に味のレベルが上がっていると思った。定番のチーズケーキは見かけあまり綺麗ではないが(笑)、外は焦げても中身はトロっとしていて、これは癖になる味だった。

 「アルサック」「エル・ブジ」「ベラサテギ」以降のスペイン料理界の傾向を「モダン・スパニッシュ」とも呼んでいるが、この日の酒井料理は「モダン」が取れて、郷土料理や家庭料理を思わせるものだった、個人的には「こういう料理が食べたかった」と、膝を打ちたくなる(笑)。それと関係あるかも知れないが、この昼は年配のカップル2組が同じカウンターに座り、静かに料理を楽しんでいる、私も含め人生の終楽章に一番食べたいものは、見かけ重視の珍しい料理より旨い料理だなと、つくづく思ってしまう(笑)。
 2012年6月にオープンしたこの店、カウンター8席の完全予約制、夜だけのワンオペレーション営業(途中から土日のみランチ営業)、ビルの2階で入り難い雰囲気と、それまでの常識を破る形態だったが、その後フランス料理でもアルドアック的な店が増えた、10~12席位のカウンター中心、料理人一人サービス一人位で、客単価を上げて料理はおまかせ1種、重い扉で店は閉じている(笑)。要は和食の板前割烹や高級寿司店の形式だ、結局はこれが日本に最も適したスタイルだと云う事か?アルドアックはそれだけ先駆的だったとも言える、時代の方が追い付いて来た(笑)。
 この場所で5年間続けた経験は、酒井氏の無駄のない動きに現れている、まさに「習慣は第二の天性なり」だ。飲食店のスタッフ不足が続いている現在、これからワンオペ営業は増えて行くと思う、もし考えている料理人がいたら、料理ジャンルを問わず、一度この店に客として勉強に来るといいと思う。
 家から遠いので次回もたぶん昼になりそうだが、「また来たい」そう思わせるいい料理でした。店を出た後はそのまま歩いて井ノ頭通りへ出て、「ルヴァン」でパンを買って帰る事に、天気も良かったし美味しい午後になった(笑)。


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御徒町「L'ambiance douce」

 「L'ambiance douce」、仏語をカタカナにするのは難しく、先に言ったもの勝ちみたいな処があるが、「ランビエンス・ドゥース」で「心地よい雰囲気」とでも訳すべきか?
 今年11月に御徒町の昭和通り近くにオープンしたこの店、知ったのはFB友達のウォールからで、その中にあった「料理人はビストロ・アバ出身」の言葉に反応してしまった。
 地下鉄本郷三丁目駅とJR水道橋駅の中間程の場所にある「ビストロ・アバ」は、私が長く勤務地だった場所から近く、昼に数回訪れた。予約を取らないランチは1,000~1,200円位で、特にスペシャリテの「豚肩肉のロースト」は、半端でない量で食べる人間を圧倒した(笑)。
 そのアバが主人の体調不良により閉店したと聞いたのは、今年初めだったと思う、もうあのキャリテプリなランチを味わえないと寂しく思っていたが、最近になって夜だけ営業再開したとの情報を得た、いずれランチも再開をと期待していたが、働いて居た人が店を出しランチもやっているなら、これは行ってみようと思った、場所も御徒町なら私の活動エリアだ(笑)。
 地下鉄日比谷線仲御徒町駅3番出口を出ると、目の前が有名ディスカウントストアの「多慶屋」だが、そこから上野駅方面へ昭和通りを進むと、右側に「上野イーストタワー」と云う新しく出来たビルがある、その角を右折するとすぐの場所、赤い塗装のファサードが目立つので「たぶんあれだろう」と思ったが、やはりそうだった(笑)。

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 開店時間(11時半)少し前に着いたので、店前で待って居たら、中から若い男性が出てきて「OPEN」の札を出したので入店する、厨房正面のカウンター席に座った、確認はしてないが、おそらく「アバ」同様にランチは予約不可だろう。

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 ランチメニューは5種類で全て税込1,000円、サラダと自家製パンが付く、キッシュはパンではなくポタージュとの事。やはり注文は「豚肩ロースのグリエ ジャガイモのピューレ添え」で行こうと即決した(笑)、オープン当初はコーヒーとデザートが別料金であったみたいだが、今はランチタイムでの提供はなくなった、客回転を早くしたいのだと思う。

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 カウンター席頭上には黒板が掲げてあり、夜のカルトが並べて書いてある、これは「アバ」と同じだ。

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 水ではなく冷茶なのがフランス料理店では珍しい、微かにジャスミン茶みたいな香りがする。

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 まずはサラダ、サニーレタス、トマト、キャロットラペにヴィネグレットの標準的なもの。

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 自家製パン、容れ物も含めて「アバ」で出していたパンに似ている。

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 カトラリー、ナイフはブラジル製のTRAMONTINA。

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 そしてオーバル皿に乗って来たのが「豚肩ロースのグリエ」、「アバ」程は暴力的な量でないが十分大きい、カウンターから見えたが、あらかじめ塊で豚肉をローストしてあり、注文に応じて切り分けグリルパンで温めている、やり方はアバと同じだと思う。
 あっさりしたトマトソースも似ている、ジャガイモピューレはこちらの店の方が好み。

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 肉の断面、ロゼ色に綺麗に火が入っている。焼き上りに無造作に振ったように見えた塩の加減もジャストだった。「美味しさはスピードだ」との言葉があるが、これだけの肉塊は早く食べないと脂が冷えて美味しくなくなる、アクセルを踏んで一気喰いしてしまった(笑)。
 これで千円ポッキリは格安、本郷と御徒町では客層は違うが、この店も昼は満席空き待ちになると思う、狙うなら開店時間直後だ(笑)。
 店内は若いイケメン系男性二人、WEB情報ではオーナー料理人は、大卒後証券会社に就職しながらも、料理人になりたいと転職。六本木「ブラッセリー・ヴァトゥ」、丸ノ内「レゾナンス」を経て、本郷「アバ」でシャルキュトリー(食肉加工品)の技術を習得とあり、なかなか変わり種だが面白いと思う。
 アメ横や多慶屋にはよく来るので、このランチならリピート確実、何時か夜にも来てみたいものだ。

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 食後はコーヒーが飲みたくなったので、昭和通りを渡ったドトールでコーヒーとカボチャタルトを注文してしまった、タルトは予想以上に良かったが、明らかに食べ過ぎでした(笑)。この日も2店合計で1,520円、東京のランチは本当に安いと思う、約11ユーロだがPARISで11ユーロ払っても、これだけ充実したランチはまずない(笑)。


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西新井「王子ムルギー」

 東武鉄道スカイツリーラインの西新井駅近くに、いいカレー専門店があるとの情報をWEB上で知り、「自転車で何とか行ける、交通費いらない」と嬉しくなり(笑)、さっそく訪れてみる事に、日常は節約生活を心掛けているので、些細な事ながら往復の交通費をどうしても考えてしまう、自転車で行ける場所なら何よりだ。
 以前だと初訪問店は地図をプリントして持って行ったが、スマホに変えてからは、MAP上で店の場所と自分の現在位置が分かるので、その必要がなくなった、これだけでもお金かけて変えた意味があったと思いたい(笑)。
 我家からだと、環七をずっと西に向かい、国道4号線(日光街道)を越え更に直進、東武鉄道と交差する地点からすぐ左が西新井駅だが、現在高架工事を行っている関係で、駅の西側へ出るのが少々不便だ。

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 店の場所は西新井駅西口を出てすぐ、駅前は現在再開発進行中で、区画整理によって古い建物が無くなりつつあるが、この店がある一角は三角地帯になっていて、取り残されたみたいな不思議な場所、駅への近道になるのか、店前の細い道を人や自転車が頻繁に往来する。
 店名は「王子ムルギー」、WEB情報によると店主は昭和26年創業の老舗「渋谷ムルギー」でカレー作りを学び、北区王子で開業したが、一昨年現在地に移転して来たとの事。西新井でも「王子」を名乗っているのは、今迄の常連客への配慮からか?なお「ムルギー」とはヒンディー語で「鳥」の意味だそうだ。

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 開店時間の11時半直後に入店、店内はカウンターが8席程で、小上がりみたいな座布団の4人席もある。年配の夫婦(たぶん)二人で営んでいて、調理担当のご主人は、映画「タンポポ」に出ていた大友柳太郎に、米国のマティス国防長官を少し混ぜたみたいな渋い二枚目、若い頃は相当女性にもてた筈だ(笑)。建物の造りは結構古く、トイレを借りたら珍しく和式だった。

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 メニュー、カレーは税込780円~1,080円の価格帯、カレー以外にはオムライス(680円)もある。奥様に「今日初めて来ました、皆さん何を食べますか?」と聞いた処、「ウチは玉子入りムルギー(880円)が一番出ますね」との答えで、それにするつもりだったが、下にあった「ナシカレー(数量限定)1,080円」の「限定」の文字が気になり(笑)、「これはどういうものですか?」と訊いた処、「ナシゴレンの上にカレーを乗せた」との説明で方針変更、これをお願いする事にした(笑)。

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 まずはサラダ、刻んだキャベツにフレンチドレッシングをかけたシンプルなもの。

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 続いてスープ、具はワカメでちょっと和風味。

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 やって来た「ナシカレー」、予想より量が多い(笑)。
 ご飯を炒める手間がかかるので、数量限定にしているのだと思う。まずはソースを一口、辛さだけでなく深さもある味わいで、手間と時間をかけているのが分かる、おそらく炒めた玉ネギが味のベースで、そこへ各種スパイスを加えて煮込み、寝かせてから提供するのではないかと思った。あまり煮込まないインド・ネパール系のカレーとは根本的に違う。土台がしっかりしていて、その上に多くの要素が手を繋いで強固な防波堤を作っている、そんな感じだ(笑)。
 ナシゴレンはカレーに合わせて穏やかなもの、上に乗った目玉焼きがいい(笑)、ソースが美味しいので、あっという間にナシゴレンがなくなった。カレーだけ舐めているのも寂しいので、「すいません、白いご飯を追加でお願いしていいですか?」と、禁断の注文をしてしまった(笑)。

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 白ご飯、「あきたこまち」系か?一度に大量炊くのだろう、綺麗に粒が立っていて美味しい。ハイスピードで食べている私を見て、ご主人が「ウチのカレーはご飯に合わせて、美味しいカレーです」と、ニコリと笑っている(笑)。

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 顔を上げるとメニュー写真の上に、おそらく主人が描いたのだろう、達者な書とカレーの画が並べてあった、読んでいるとなかなか深い、「西新井の片岡鶴太郎」とでも呼びたくなる(笑)。
 カレーは美味しく、ご夫妻の優しさを感じて、温かさに包まれる素敵な店でした、今迄来なかった事を後悔する、此処はリピート確定、「また来ます」と云って店を後にした。

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 カレーを食べると甘味が欲しくなるもの、そこで環七を渡って行ったのは、ブログ記事で取り上げた「エスキモーカフェ」、私が「下町のグラッシェル」と呼んでいる店だ(笑)。

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 ランチタイムながらアイスクリームだけの注文で恐縮だが、お願いしたのは、かぼちゃアイス+みかんシャーベットの2種盛り(税込420円)、特にカボチャアイスは自店で焼いて香りを増した南瓜を潰して使い、チョコクッキーを加えたとの事で秀逸なものだった。
 2店で合計1,500円、充実したランチでした、同区内に住んでいながら、西新井は過去あまり来る機会がなかったが、食に関して奥の深い街だ、また探訪に来たいと思う(笑)。


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足立・東和病院前「手作りシュークリームとお菓子の店 らら島」

 JR常磐線亀有駅北口を出て綾瀬方面へ向かうと、東部地域病院から環七大谷田陸橋へ北上する道があり、昔は葛西用水と云う薄汚れた水路が流れていたが、暗渠にして大規模な改修が行われた現在は、足立区内は「葛西用水親水水路」として整備され、桜並木や流水路により近隣住民の癒しの場になっている。
 この道を自転車で走っていて、途中の東和病院向かい側で、不思議な小さい看板を見たのは今年になってから、看板には「手作りシュークリーム&お菓子」と書いてあるが、店らしい建物はない、その時は大して気にも留めなかった。
 次に行った時にもこの看板があり、怖いもの見たさ?に探してみようと思ったが、よく見ると「水・金の営業です」と書いてあり営業日ではなかった、「週2日営業?それで商売になるのかな」と思ったが、歳は重ねたが好奇心はまだ残っているみたいで(笑)、更に興味がわいた。

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 そして遂に営業日に行ってみる事に、水路に沿った道には面していなくて、奥の民家密集地に在った。

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 第一印象は「これは店と云うより、野菜販売所みたいだな」と思った、そして「もし怖そうなオバさんが居たら、道間違えたフリして帰ろう」と思っていたが、奥に居たのはオバさんの娘さんではないかと思う位の若い女性、身構えていた緊張が解れていく(笑)。

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 販売窓口には焼菓子系が並ぶ、<本日のお菓子>として、その日販売するアイテムが黒板に書いてあり、値段は街中のパティスリーに較べたら格安だ。

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 並べてあったシフォンケーキ、シュークリーム等生菓子は奥の小さな冷蔵庫で保管している。
 製作販売するのは前述の若い女性で、小柄で華奢な外見から、失礼ながら学生位に見えたが、近くにベビーチェアが置いてあり、れっきとしたお母さんだった(笑)。その場での立ち話と、あとから店主が書いているブログを見て、店の事情が分かってきた。
 この家は祖父母が住んでいた築60年になる木造家屋で、空き家になっていたが、元パティシェールだった秋本さんが、此処で菓子販売とカフェをやりたいと思い立ち、一家で移り住んで来た、住まい兼販売所にするために改装し開口部を設け、機材も揃えて2014年にオープンしたそうだ、その後第二子の出産があり一時休業したが、現在は育児と同時進行で週2日だけ営業しているとの事。 
 初回に買ったシュークリームとケーキが美味しかったので、その後も続いて買いに行く事になる、以下に買ったものを紹介すると、
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・シュークリーム(税込150円)
 この店の看板商品、小さくホンワカとしていて、店主のイメージそのまま(笑)、幾つでも食べられそうな優しい味。

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・栗のシュークリーム(160円)
 クリームに栗ペーストを混ぜたもの、秋限定版。

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・つくば産栗のケーキ(上にアーモンドのメレンゲ)(270円)
 見た目そのままシンプルでピュアな味、焼きメレンゲは別添えで後から乗せるが、ちょっとエロティック風になってしまった(笑)。

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・アップルクラムパイ(300円)
 個人的にはこれが一番気に入った、パイ生地、リンゴ、クラムベースのバランス良好。

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・左:ぶどうとクリームチーズのヨーグルトマフィン(140円)
 右:国産レモンとホワイトチョコ、ピーカンナッツのケーキ(210円)

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・アップルパイ2種(シナモン入&カスタードクリーム入)(300円?)

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・手書きのレシート?がいい(笑)。

 都心のパティスリーに並ぶお洒落なケーキ類とは違って、余計な物を入れず、どれもシンプルながら実質的で美味しい。お菓子作りの好きな人から分けてもらったケーキを、作ってもらったので材料費だけ払う、何かそんなイメージだ(笑)。珍しい材料やリキュール類を使い細部の仕上げに凝った、やたら値段の高いケーキも売っているが、それとは全くコンセプトが違う。
「日本一のパティシェになる」と、自分の全てをスイーツ道?に捧げて邁進する人も居るし、この店主みたいに育児や家事と兼業しながら、限られた時間内で自分の好きなスイーツを作り、喜んでくれる人達に売る、何方の行き方もあっていいと思う、多様化の時代だし、それこそ「働き方改革」だ(笑)。
 店名の由来について訊いたら、「深い意味はなくて、実家で飼っていた猫が『らら』で、私が海好きなので『島』の名前にした」との事(笑)。今は販売だけだが、いずれはカフェもオープンしたいみたいだ、「古民家で手作りケーキ」楽しみなので待っていたいと思う。


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外苑前「AIX:S(エックス)」

 10月に札幌のフランス料理「プロヴァンサル・キムラ」へ行った時、木村料理長から「僕のフランス時代の同僚だった山下君が東京で店をオープンしたので、今度行ってみて下さい」と云われていた、山下氏と云えば半蔵門の「ARGO」で長く料理長を務めていた料理人、私はかなり前に訪れた事あるが、緑深い皇居を望める窓外の眺望と、ピエール・ガニェール譲りのセンスある料理が印象的だった。今年独立したのは知っていて、何時か行くつもりではいたが、木村氏の推しなら真っ先に実行しようと、友人を誘って平日ランチタイムに訪れる事にした。

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 店の名前は「AIX:S(エックス)」、南仏のエクス・アン・プロヴァンスから付けたと聞く、木村・山下両氏が同じ店で働いた街だ。場所は外苑前で、地下鉄外苑前駅からラグビー場や神宮球場へ向かう道を進み、左側の酒屋の角で左折すると、「フロリレージュ」のある熊野神社方面へ出るが、左折しないで直進してすぐのビル地下になる。
 店内は予想以上に広い空間で、ドライエリアからの採光もあり、天井が高いので地下店舗にありがちな圧迫感はない。入口近くはバーカウンターみたいな席になっていて食事も可能、一番奥が厨房でその間に椅子席が並ぶ、カウンター含めて60席あるそうで、ウェディング等のバンケットも想定している。
 ランチメニューは3,700円(税別、昼はサービス料無)と昼夜共通の5,800円、他にビジネスランチで1,200円もあるが、これは席予約時だと不可みたいだ。メニュー内容を見て、せっかく遠路?を来た事もあり、5,800円の方でお願いする事にした。

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・アミューズ3種(右から:トマトのサブレ、グジェール、ラタトゥイユ)

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・ブランダードのクロケット

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・サーモンの燻製・モンブラン仕立て

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・人参のスープと抹茶パスタ(中に沈んでいる)

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・真鱈のポワレ・ソースモルネー 半熟卵と共に

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・鴨のロティ・ポムパイアソン添え 粒マスタードソース

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・茸とトリュフのリゾット

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・自家製パン3種

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・フルムーン AIX:S風(アールグレーのゼリー、シナモンパウダー)

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・蕎麦とマロンのコンポジション

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・トミオ・フクダ・ドライオンツリー(コーヒー)

 料理はやはり南仏を感じさせる、まず色合いが鮮やかだ、特に前菜のサーモンは店のスペシャリテで、ソーモンフュメの上に紫芋のピュレ、見かけでドキリとさせるが、味はバランスが取れていて美味しい。南仏を代表する料理「ブランタード」をコロッケにしたのは面白く、食べても美味だった。
 真鱈はこの日一番印象に残った料理、見た目は地味だが何処か懐かしい味で美味しい、ソースを最後まで舐めたくなった(笑)、鴨の調理は手慣れたもので、下に敷いたジャガイモのパイアソンの作りと味が「ああ、これフランスだ」と、呟きたくなる(笑)。フランス料理店でリゾットを出すのは全国的に流行だが、外国人客に「日本」をアピールする意味もあると思う、山下氏はガルニにするのではなく、和食みたいに締めの料理として独立させている、味わいも良く日本人で嫌いな人はいないと思う(笑)。
 デセールもいい、一品目の「フルムーン」とは、高齢介護施設?と料理長が共同で作ったものとの事で、「わらびもち」みたいな食感、歯が悪くても食べられる(笑)。二品目のモンブランも秀逸だった、食事中の自家製パン3種も美味しい。
 コーヒーはブラジルで日本人が栽培している、樹上で実に成ったまま熟成乾燥させた珈琲豆を使う、まろやかで軽い味わいながら奥が深い、茶なら玉露みたいな感じだ。
 全体的には、高級食材は使わずとも随所にフランスを感じさせて、上手く手堅くまとめていると云う印象、店のWEBページでも、
「高級フレンチレストランの味を、若い人たちにもぜひ味わって欲しい。その想いから、この店をつくりました。(中略)フレンチはハードルが高いと思わずに、どうぞ、お気軽にご来店ください。」とあり、少ない客席でギリギリのガストロノミーを狙うのではなく、カップルやグループ、一人でも団体対応も可能、色々な場面で使えそうなフレキシビリティがある。
 トイレブースが男女別な事もあり、特に女子会等には最適だと思った、女性は男性の使用後や、自分が使った後に男性が個室を使うのを気にする人は居る。
 サービス専任はいなくて、料理人が5人で客席も兼務する、かしこまらずカジュアルだが、気持ちいい対応だった。

 食後、挨拶に来た山下敦司料理長、1970年生れとの事だが、実際の年齢より若いと感じる、フランスで働いたのは「クロ・ド・ラ・ヴィオレット」「ディヴェレック」オーベルジュ・ド・レリダン」「トロワグロ」「ピエール・ガニェール(PARIS時代)」と、錚々たる名店ばかり、帰国後は料理学校の「ル・コルドン・ブルー東京」で講師も務めた。
 料理の話から、フランスの料理人とフランス人女性の話題で盛り上がったが、後者は実践が伴わないので、適当に話を合わせただけです(笑)。
 外苑前から北参道駅へかけての北青山は、ここ数年来飲食店のオープンが続いている、私が近くに勤めていたら、ボーナス時には「フロリレージュ」、月一回の集まりには「AIX:S」、そんな使い方をしたいと思う筈だ(笑)、またいい店が出来た。


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御茶ノ水「ビストロ・ヌー」(2017年11月) 

 秋葉原への買い物ついでに、ランチタイムに寄ったのは、今年6月以来の「ビストロ・ヌー」、磯貝氏が夫妻で店を回すようになってから2回目だ。
 11時半の開店直後に入店、カウンターの端席に座るのはいつもと同じ(笑)。サービスを担当する奥様が、前回より幾らかふっくらした様子で、訊いたら来年5月に第2子誕生予定との事、少子高齢化時代に多子育児に挑もうとするのは、この国の将来を考えるといい事だが、奥様産休中の代替労働力は大丈夫?と、つい余計な心配をしてしまう、まあ過去にも磯貝氏一人で営業した日もあったので、たぶん何とかするのでしょう(笑)。

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・この日の黒板メニュー
 前回と変わらずプリフィクスのランチメニューは、前菜+メイン+パン+コーヒーで1,250円(税別)、料理によってはプラス料金がある、近隣のサラリーマン&OLさん向けに、昼休み1時間で終わって帰れるのを考慮している。私も長くサラリーマンだったので分かるが、ランチは時間との戦いだ(笑)、特に高層ビルで働いていると、エレベーターに乗っている時間も計算しないといけない。
 今の私みたいに時間のある人向けに、2,500円(メイン1皿)と3,500円(メイン2皿)の昼コースがあり、私はいつも前者をお願いしている。選べるメイン料理は5種類、仔羊(+1,000円)か蝦夷鹿(同)か、どちらにしようか?と迷っていたら、磯貝料理長が「他にフランス産の鶉も+1,000円で出来ます、あと青首(鴨)もあります+1,750円ですが」と、夜のカルトからの料理も提案してくれた。
 鴨にも惹かれたが値段(財布)も考え(笑)、フランスから鳥類輸入解禁され、入荷したばかりと聞く、ブルターニュ産鶉でお願いする事にした。

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・自家製パン

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・解禁になったばかりの今年のボジョレーヌーボー、PHILIPPE PACALET(グラス950円)、過去飲んだヌーボーの中では一位か二位に美味しかった、ヌーボーらしくない深い味わい(笑)。

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・スープ・ド・ポワソン

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・ホウボウのカルパッチョ、ビーツとカリフラワー

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・季節茸のフリカッセ、発酵マッシュルームの出汁、温度玉子

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・ブルターニュ産ウズラのロティ、彩り野菜のソテー

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・「ビストロ・ヌー」風タルトタタン、マスカルポーネのアイスクリーム

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・ショコラマカロン

 スープ・ド・ポワソンは以前にもこの店で体験したが、品が落ちる一歩手前で踏み止まった野趣ある味わい、元々漁師料理だから、あまり上品に作ると凡庸なものになりがちで、磯貝氏はその辺りは理解している、攻めていると思った(笑)。
 続くカルパッチョは魚の質は良いが、野菜が少し堅かったか。次の茸料理は秀逸な一品、珍しい物ではなく、スーパーでも売っている身近な茸類を使いながら、プロの料理になっている、アイディアの勝利だと思った(笑)。
 仏産カイユ(鶉)はやはり美味だ、胸からモモ肉と食べ続けると、味が淡から濃へ、噛み応えが柔から堅へ変化していく、食味が単調にならず複雑なので最後まで飽きない、食べ終わると「もう一度始めから食べたい」と思わせる(笑)、さすがは食肉生産の歴史の違いだなと感じる、調理も申し分ない。ソースはジュ・ド・カイユではなくフォン・ド・ヴォーベースだそうだが、野菜のソテーと合わせる事で重くならない工夫をしている。
 選んだデセールも良かった、大きく焼いたタルトではなく、一人前の形態になっていて見栄えはこちらの方がいい(笑)、現在バニラビーンズが高騰により入荷が殆ど途絶えていて、マスカルポーネを加えたアイスを添えたが、パコジェットで回した直後のもので、軽やかな美味しさだった。

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 2011年3月、東日本大震災の直後に、母親がやっていた喫茶店を改装して始めた店は、6周年が過ぎ7年目に入った、私が初めて訪れたのは2013年の1月だが、当時独身だった磯貝氏も結婚して子供が生まれ、夫婦で店を切り盛りするようになった。秋葉原の外れと云う、あまりフレンチが似合わない場所でこれだけ続いたのは、何より料理が支持されて来たからだろう、清新な料理の印象は初訪問当時と変わっていない。
 これから先、ガストロノミー系へ向かい値段を上げ店のレベルもUPさせるのか、それとも今のまま地域密着系のビストロで続けるのか、何方を目指すのかは磯貝氏の考え方次第だが、これから少額年金生活者になる一ファンとしては、今みたいに普段着で昼間一人ブラっと行ける店であって欲しいなと、勝手に願ってしまう(笑)。
 支払いも財布に優しく、それでいて料理は本格的、秋葉原・御茶ノ水方面に出かけた時には、お勧めしたい店だ。心配なのは前述のように、これから人手が足りなくなるので、もうランチ営業は止めたとならない事、そう思わせない様にランチタイムに出かけて皆でお金を使いましょう(笑)。
 奥様が産休に入る前にもう一度来ますと、約束?をして店を出た後、平日ながら人で賑わう電気街へ、人混みは元来苦手だが、不思議と秋葉原だけは落ち着く、此処はオーディオ少年だった私にとって、第二の故郷だから(笑)。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
人はそれぞれに「見方、感じ方、考え方」が違います。私が美味と思ってもそう思わない人が居て当然です、味覚とはそれだけ不安定で不完全なもの、あくまでも筆者個人の嗜好による感じ方である事を承知の上で読まれてください。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに赤坂、麻布十番等。
混雑電車が苦手で加齢による朝型人間化のため、ランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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