最後の晩餐にはまだ早い


大阪・高麗橋 「桜花」(2018関西食べ続け②)

 今回の食べ続けは天候にも恵まれて、五日間一度も雨に会う事なく、また東京に較べて暖かかったので有難かった、帰りに成田空港に降り、第3ターミナルからの連絡通路を歩いていたら、思わず「寒い」と呟いてしまった(笑)。
 関西二日目は、高麗橋「桜花」のランチへ伺う事にした、過去数年は夜に訪れていた和食店だが、今年は諸事情により初めて昼食を体験する事に。店はビジネス街にあるので、近隣のサラリーマン&OLさん向けに週4日だけランチ営業をしている、高級和食店ではランチを開けない店が多いが、此の店はWEBページにあるように、「日本料理の粋はそのままに、敷居の高さを感じずに、和やかに楽しんで頂ける粋な時間を知って欲しい」との、店主の考えによるものみたいだ。
 昼は「だし茶漬け」一種との事で、昨日の夜も今日の夜も重量級の料理なので、高齢者の領域になった私にはかえって嬉しい(笑)。

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 店前の緑も夜とは違う雰囲気、考えてみればこのエントランスを使えるのは贅沢な事だ、銀座の鳩居堂前より安いとはいえ、此処は中之島も近い一等地、一平方の地価は幾らだろう?と、つい下世話な事を考えてしまう(笑)。

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 ランチ内容の紹介が分かりやすい。

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 店主の森田氏に一年ぶりの挨拶をして、カウンター席に座らせてもらう、ガラスの急須に入ったお茶は、その都度お替りをお願いしなくて済むので、客も気兼ねなく過ごせる、ランチタイムにはいいやり方だと思う。

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 昼のせいか雰囲気がいつもと違うと思っていたら、去年とは内装を変えていた、カウンターを椹(サワラ)の白木板に、また黒白2色のPタイルだった床をカーペット敷きにした事により雰囲気が落ち着き、より日本料理店らしくなった。思わず森田氏に「お金かかったでしょう?」と訊いてしまったが、以前から替えたいと思っていたので、儲かったからではないみたいだ(笑)。
 前述のとおり、昼席はだし茶漬けだが、遠来の私のために追加で前菜を出す事は出来ますが如何ですか?との事で、喜んでお願いした。ただこの日は比較的空いていたから可能だったので、頼めば出来ると云うものではないです。

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 雛祭りを思わせる、雅な器に盛り込んだ前菜、右:赤貝、葱、中:ホタルイカ、大和まな(青菜)、ぬた、左:キビナゴの手毬寿司、手前:玉子焼き、どれも見かけどおりに繊細で雅な味でした。

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 「だし茶漬け」一式、通常はこれに温度玉子が加わり税込950円で提供している。

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 刺身は鯛と鯵、上にかかった加減醤油が独特で、茶漬けに合わせた店主オリジナルとの事、不思議な風味があるので内容を訊いたら、「そんなものを使うのだ」と驚く珍しい物を加えている、企業秘密になるから此処には書かないが、味覚に自身のある人は店へ行って食べて当ててみて下さい(笑)。

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 奥は日替わりの「おかず」と称している、鰆のから揚げみぞれ餡、中が梅干と漬物で、手前が大阪能勢町の原田ふぁーむ作の有機米。今は何処へ行ってもクローンみたいに同質のコシヒカリばかりになったが、このご飯はサラっとしていながら香りもあり、茶漬けに最適だと思った。

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 温度玉子に替えて無理を云って作ってもらった「だし巻き玉子」、東京では甘い玉子焼きが殆どなので、正調関西風のものが食べたいとお願いしたのだが、お手数かけました、とても美味しかったです。

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 東京にも「だし茶漬け」専門のチェーン店があるが、ハッキリ言ってこんな繊細な味ではない、桜花のだし茶漬けは上質な昆布出汁を長年使ってきた関西ならではの、はんなり優しくて後を引く味だった、これ950円で食べられるのなら毎週でも来たいと思ってしまう(笑)。
 同じ高麗橋にある超高級高額和食店も、先代が開業当時「鯛茶漬け」で有名になったと聞く、こうしたものは大阪の和食の歴史が育んだ一つの文化だなと思った。
 今まで夜だけ行っていた店も、昼行くと別の顔を見る事が出来ると思った、食事中に女将さんも到着、一年ぶりに会えたのは嬉しかった(笑)。
 森田料理長に女将さん、お気遣いありがとうございました、この次はまた夜に伺います。


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大阪・本町「アラルデ」(2018関西食べ続け①)

 今年もこの季節がやって来た(笑)、ただ今回はインフルエンザの後遺症によるものか体調万全とは云えず、例年より無理をしない事に決めた、そのため遠出は毎年の紀州参りぐらいで、大阪それも南大阪中心の食べ続けになった事をお断りしておきます。
 
 オーボエ奏者でエッセイストでもある茂木大輔氏の著書で知ったのだが、オーケストラ団員には独特の符牒があり、その中では「コンマス」(コンサートマスターの略)が割と有名だが、他にも「ノリウチ」と云う言葉がある、これはオーケストラが客演等でその土地に「乗り込んで」、同じ日に演奏会を行うつまり「興行を打つ」事を呼ぶそうだ、そうすると移動したその日に外食に行くのは「ノリメシ」と云える(笑)。
 今回のノリメシ、何処へ行こうか悩んだのだが、月曜日なので大阪も東京と同じく休みが多い、「月曜営業をしている店」でWEB上を探してみて、引っかかったのがバスク料理を提供する本町の「アラルデ」だった、以前から行ってみたい店だったし、この日同行する在阪の友人も興味ある店との事だったので、ネット上で予約して伺う事に決めた。

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 店の場所は本町駅西側、地番では阿波座一丁目になる町中の一階角地で、飲食店としてはなかなかいい物件だ。
 料理人は山本嘉嗣氏、奈良県生れで日本料理から料理人歴を開始、その後アルゼンチンを経てスペインバスクの港町オンダリビアで働く、帰国後は大阪本町靭公園近くのバスク料理店「エチョラ」の料理長に就任、2016年2月に同じ本町の南側に独立開業した。店名の「アラルデ(Alarde)」はバスク語で「プライド」の意味で、オンダリビアの祭りにこの名前が付いているそうだ、店内にはその祭りの音楽が流れている。
 店内はカウンター8席の他に個室風なテーブル席も2卓ある、ただ現在は山本氏一人のワンオペ対応なので、全席は埋めていないと思う。
 カウンター席に座り、始まった5,500円の料理は以下のとおり、

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・バスクと云えば、まずは現地の微発泡白ワインのチャコリ、バルで使う平べったいグラスではなく、ワイングラスを使っている。

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・ピンチョス風の前菜(手前は最中皮の中にチーズ、奥左からペドロヒメネス風味のフォアグラのテリーヌ、パートブリックの中にブランタード、溶かしたチーズのスナック)

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・ハモンイベリコ・ベジョータ(上にパン生地で作ったスナック)

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・鯖のマリネ、金柑のコンフィチュール

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・不思議な容器から注ぐ苺風味のガスパチョ、皿中に熟成させた鱸の切身

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・塩ダラのトルティージャ

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・ハチノス(牛胃)と豚足の煮込み

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・兵庫県産豚肉の炭火窯焼き、ピモンデスプレッド、万願寺唐辛子

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・トルタケソ(チーズケーキ)

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・スペイン・リオハ産ハーブティー

 事前にWEB上の店情報はあまり見ておらず、何となくだがスペインのサン=セバスチャン(バスク語ではドノスティア)のバル街で出る、ピンチョス的な料理が続くのかな?と想像したのだが、もっとガストロ的で各皿の量もしっかりあり、「今日は何を食べた」が後になっても思い出せる料理、アセゾネ(味付け)も現地風にしっかり加えていると感じた。フランス料理みたいにソースには凝らず、素材の良さを前面に押し出し、構成要素も少なくして、客に何を食べさせたいのかが明確だと思った。
 特に印象に残ったのはガスパチョ、ベースに日本の赤苺を使いながら甘味を抑え、熟成した鱸の切身と合わせたのは、山本氏のオリジナルとの事だが、意外と云っては失礼ながら、いい相性になっていた、また変わった容器を使ったプレゼンも面白い。
 工務店に特注して作ってもらったと聞く、煉瓦製の炭窯で焼いた豚は脂の旨味が印象的、これで焼く他の肉類例えば熟成赤身牛だったら、どんな味だろうと想像してしまう、これはまた来ないといけない。
 実はこの店の事を、昨年末に東京代々木のスペイン料理「アルドアック」の酒井氏から聞き、彼の店でもデザートに「トルタケソ」を出すので、どう違うか食べるのが楽しみだった、見た目はとてもよく似ている、食べてみるとこちらの方が甘さや味わいが穏やかと感じる、後を引く味の濃さでアルドアック、料理の余韻を消さないまろやかさならアラルデ、そんな印象だ。

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 同行した在阪友人が、「バスクってどんな処?」と訊くので、サン=セバスチャンへ一回だけ行った経験だが、「道を尋ねると、一緒に付いて来てくれる人が居る」と答えたら、すかさず友人は「まるで大阪のオバチャンみたいやな」との事、この瞬間に私は何故大阪でバスク料理店が存在出来るのか、その理由が分かった気がした、「大阪人とバスク人は気質的に似ている、元を辿れば同じ民族か」この新説?を今度何処かで発表したいと思っている(笑)。
 山本料理長は大阪の料理人にしては珍しく、積極的に自分から話すタイプではないが、料理や食材を説明する言葉には、熱い思いが伝わって来る、真摯な姿勢には5年後10年後の、この店への期待を抱かせる。心配なのはワンオペ営業なので、健康&体力面だけだ。
 食べ続け初日は初訪問ながら良い店と出会えた、この後4日間も素晴らしい食体験が出来る吉兆だと思いたい(笑)。


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西新井「担々麺 琉帆」

 「また麺ですか?」と云われそうだが(笑)、食遠征を控えているので出費を抑えているのに加え、地元で興味深い店と出会ったので紹介しておきたいと思う。
 店の名前は「担々麺 琉帆(るぱん)」、場所は足立区内の西新井だが、駅からは少し離れる、「ギャラクシティ」と呼ばれる複合施設のさらに北側、ブログで紹介したジェラテリア「エスキモーカフェ」と同じ通り沿いだ。
 店の存在を知ったのはWEB情報から、2016年5月の開業で「赤坂の有名店で働いていた店主が独立開業した、ちょっと変わったスープが特色」との事だった。担担麺は「この店さえあれば」みたいな、ベストの店を見つけるのは難しい、店ごとに味の構成が違い、あとは自分の好みに合うかどうかで選ぶしかない、私が好きなのは専門店ではないが、同じ西新井にある中国料理「香府山」の少し薬膳的な味わいのある担担麺だが、噂になるものなら試してみたい(笑)。

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 我家からだと自転車で30分位、東武スカイツリーラインと環七が交差する手前の道を北上、商店街が途切れて団地の連なりが始まる場所にある。

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 店前の看板、無化調(化学調味料不使用)、自家製胡麻ダレと鶏ガラスープの飲み干せる程旨いスープがウリで、「百聞百見は1食に如ず!!」との文句に、店主の自信が感じられる。

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 他店同様、入ってすぐに券売機だが少々判り難い、担々麺(店表記のまま)は、「担々麺」(税込800円)、「香辣担々麺」(900円)、「麻辣担々麺」(900円)、汁なし担々麺(900円)の4種類、考えていたら「お客様初めてですか?今説明をします」と店員がやって来た。
 店のWEBページの説明に沿うと、
「担々麺」・・自家製の練り胡麻の風味とコクを楽しんでください!!辛さ少な目なので、胡麻の風味を楽しめます。
「香辣担々麺」・・生姜・自家製辣油・焦がし一味唐辛子等で炒めた辛口の挽肉がスープに混ざり、身体の中から熱くします!!辛さは「弱」「強」を選べます。
「麻辣担々麺」・・花山椒・焦がし一味唐辛子・ニンニク等で炒めた挽肉がスープに混ざり、舌で感じる痺れをご堪能ください!!辛さは「弱」「強」を選べます。
 店主は「!!」を使うのが好きみたいだが(笑)、初回なので無難にノーマルな「担々麺」に決め、「セット白飯」(100円)と共に購入する。

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 カウンターはL字型配置で9席、店奥には個室風なテーブル席がある、壁面に掲げてあったのが以下の詩?で、出典は不明だが不思議な店名の「琉帆」は此処から取ったみたいだ、店内装飾も「波」をテーマにしている。

此の舟の輝く球は
 行き先を照らし
此の帆に吹く風は
 舟を前に進める
琉を帆に掲げ
 大海原へ

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 味変アイテム、供用の洗い箸を使用。

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 「店主の担々麺へのこだわりはここに書ききることができません」そうだ、延々と蘊蓄を書き連ねるよりは好感が持てる(笑)。

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 「琉帆担々麺の楽しみ方」、この中で出て来る「ネギ油」については後述。

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 やって来た担々麺、まず見た目からしてユニーク、真っ赤な切立型の丼、縁の渦巻き模様を見ていると目が回りそう(笑)、そして何と云ってもこの白いスープが珍しい、具は辛味ある炒めた挽肉、モヤシ、青梗菜。
 まずはスープを一口、少しトロミを感じる鶏白湯系、胡麻のクリーミーさがコーンポタージュスープみたいな印象で、辛味は豆板醤ではなく辣油で加えるみたいだ、「辛さ少な目」とあるが見た目より辛い、最後に酸味が来るのが一番の特徴、この味の重ね方は他店では出会った事のないタイプで噂どおりに個性派だ。
 麺は中太で縮れのあるタイプ、喜多方ラーメンに使う麺みたいだ、他店で汁あり担担麺は細麺で縮れの少ない麺を使う事が多いので、これも珍しいと思う。

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 ご飯は昼の開店直後なので、炊き立てで美味しかった、コシヒカリ系か?

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 「ネギ油」だが、赤坂「古屋オーガストロノム」でパンに使う「サンドゥー」みたいな印象(笑)、たしかにこれを入れると、スープのコクが増すと思った。
 担担麺はWEB上の噂どおりにユニークな仕上がりだった、特に酸味の使い方が面白いので、店主に直接訊いたら酢を加えているそうだ、他にはない味は後を引く、この記事を書いている今も「また食べに行ってみたい」と思い始めている(笑)。
 今、担担麺を提供する店の数が増えているので、その店でしか味わえない個性的なものを出さないと、すぐ飽きられてしまうのだろう、担担麺好きは一度試してみる価値ある店だと思う。
 

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仲御徒町「らーめん天神下 大喜」

 地下鉄千代田線湯島駅近く、春日通り沿いにあった「らーめん天神下 大喜(だいき)」は、私にとって懐かしいラーメン店だ。
 1999年の開業、当時私は湯島駅から職場へ通っていたので、残業帰りによく訪れた、あの頃は仕事漬けの毎日。それまで「ラーメンと云えば醤油味」の固定観念があったが、この店で初めて体験した鶏塩味のスープは鮮烈だった。
 開店後暫く通っていたが、数年後TVのラーメン特集だかで、何と「全国一位」に選ばれてから、突然大行列が始まった(笑)、物を食べるための行列は苦手なので、何時の間にか足が遠のいてしまっていた。
 その大喜が春日通りの道路拡張により閉店すると聞いたのが去年始め、もう一度訪れたいと思っていた処、閉店ではなく移転するらしいと知った。「何処か近く?」と思っていたが、日比谷線秋葉原駅と仲御徒町駅の中間地、昭和通り西側だった、文京区から台東区へ移った事になる、去年5月の移転後今回ようやく訪れる事が出来た。
 場所は蔵前橋通り沿い、昭和通りから鳥越神社へ向かう途中で、繁華街でも商業地でもなく、周りは地味な小さいビルが並んでいる界隈、昭和通り東側の秋葉原駅周辺は再開発が進んでいるが、西側はこれからだろう。なおブログ記事にした人気ラーメン店「粋な一生」もこの近くだ。

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 店の間口は狭い、湯島天神からは離れたが「天神下 大喜」の暖簾が掲げてある、此の地でも同じ名前で続けるみたいだ。

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 店前に置いてあった「お品書き」、やはり鶏塩味の「とりそば」(税込850円)を筆頭メニューにしている、湯島時代の最後から値段は上げていないみたいだ。
 入店するとすぐ券売機がある、「とりそば」にするつもりだったが、隣の「特製とりそば わんたん・味玉入」(950円)が気になってしまい、思い切って?これに決め、ついでに「ランチタイムごはん」(50円)も購入、明らかに食べ過ぎ(笑)。

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 「どちらでもどうぞ」と云われたので、入口近くの席に座る、水はセルフ式だった。

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 1階はカウンター10席、2階にも客席があるみたいだ。

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 味変アイテム、粉唐辛子入れに湯島時代の記憶が蘇る(笑)、箸は割箸使用。

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 やって来た「特製とりそば」
 具はワンタン、味玉、メンマ、海苔、白髪ネギ、カイワレ、鶏肉チャーシュー、そう云えばラーメンにカイワレを使ったのは、湯島時代のこの店が初めてではなかったか?
 まずはスープを一口、「ああ、この味だ」と20年近く前になる記憶が鮮やかに蘇った(笑)、初めは淡いが次第に深みが増す味わい、塩味ベースのスープは鶏と魚介の風味と旨味で、味を複雑にしている、淡にして濃く、静にして滾っている。
 ブログ記事で取り上げた、竹ノ塚の「武藤製麺所」の店主は大喜出身で、店のスペシャリテは「わんたんとり塩めん」、この「とりそば」とよく似ているが、味は微妙に違う、上品さではやはり本家だなと思った、細麺もスープとよく調和している。

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 ランチタイムサービスのごはん、これ50円は安い(笑)。私の記憶では店主の奥さんが台湾出身で「魯肉飯」からヒントを得て、この肉かけご飯を作ったと聞いたが、WEB上で調べてもよく分からなかった、もし違っていたら失礼。
 肉の味付けのバランス良好、日本人向けに香辛料は抑えているが、幾らでも食べ続けられそうで、ちょっと怖い(笑)。

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 大喜と云えば、この鶏チャーシューを流行らせた元祖だと思った、本家本元だけあって、昔と変わらず美味しかった。
 久し振りの大喜の塩味ラーメンだが夢中で食べ終えた、昔好きだった人に再会したみたいな、懐かしくて嬉しくて、少々照れ臭い気分(笑)。厨房内の店主の髪も真っ白になり、やはり過ぎた月日を感じてしまう、食べる客の方もそれだけ年齢を重ねているのだが・・。
 御徒町には月一位の割合で買物に来ているので、ランチローテーションに入れようと思った(笑)、次は違うメニューも試したい。
 「継続は力なり」との言葉があるが、移転しても味は変わる事なく、信じるやり方を続けて来たからこそ「名店」なのだろう、これからも残って欲しい店だ。


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代官山「サンプリシテ‘Simplicité’」

 A型インフルエンザに感染し数日寝込んでいた、年を重ねると発熱の苦しみより、関節特に腰の痛みがこたえる(笑)、「トイレへ行きたい」と思っても身体が動かせず辛かった。
 5日間とされる接触禁止期間が過ぎ、向かったのはフレンチ新店、興味があったし以前から約束していたので、多少頭がフラついても欠席しない(笑)。
 店の場所は代官山、名前は「サンプリシテ‘Simplicité’」で、仏語で「率直、簡素」を表す、今年1月2日にオープンしたばかりの出来立てだ。

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 店は東急代官山駅からJR山の手線々路へ向かう途中、1階は動物病院が入っている新しいビルの2階になる。料理長は1974年生れの相原薫氏、葉山「ラ・マーレ・ド・チャヤ」を経て渡仏、帰国後「レカン」スーシェフ、「レヴァランス」「ヴァリノール」シェフを歴任後、今回独立開業した。
 店の情報はあらかじめWEB上で見ていたが、カウンター席中心で主に魚料理のお任せムニュを提供とのコンセプト、なかなか興味深いと思った。
 店を入ると目の前がオープンキッチン、その前に直線に8席、此処に座らせてもらう、他に半個室が2部屋全部で18席位か、スタッフは料理長以下4名、キッチン兼任でサービス専任は居ない。
 まずは当日の料理(ランチ税別5,000円)から紹介したい、

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・明石 鰆
 イカ墨のコーンの中に熟成した鰆の切身

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・シラス/マドレーヌ
 左:サブレ生地の上に卵黄で和えたシラス、右:黒オリーブを使ったマドレーヌ

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・熟成イワシ 銚子
 箱の中で瞬間燻製させた鰯、生姜と白葱

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・自家製カンパーニュ(美味しい)

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・竹炭を練り込んだバターと

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・函館縞海老 薔薇
 鮮度のいい海老と、液体窒素で処理した食用薔薇を合わせて

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・明石アラアラ カワハギ
 肝、ブルーチーズ、マイクロコリアンダー、ルイユと合わせた「肝和え」。

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・五島林鮮魚店 鮃 桜海老
 料理長が気に入り仕入れる事が多い長崎の魚商からで、身厚の長崎産平目、黒オリーブと昆布出汁のソース、桜海老が面白いアクセントになっている。

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・群馬せせらぎポーク 加賀蓮根 鮪
 それまでの料理の余韻を壊さない、繊細な肉質の豚肉のロティ、金沢蓮根、ドライ白菜、野菜も上質で添えた白菜のパウダーが面白い。

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・丸久小山園ほうじ茶フォンダン
 焙じ茶を使った美味しいデセール、赤はフランボワーズ粉末?。

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・シュークリームとエスプレッソ

 料理全体の印象から云うと、魚中心ながら組合せや調理に工夫があって飽きさせない、その場の思いつきではなく、何年も前から「自分の店ではこんな料理をやりたい」と考え、イメージトレーニングを重ねて来たのだろうと思う。
 経験に裏打ちされた調理と技術、魚は熟成したものも使うみたいだが、それに特化するのではなく、油脂を抑えたソースや付合せを駆使し、最初から最後まで「自分が提供したい料理はこれだ」と筋が通っていると感じた、随所にクリスピー感のある物を使っている。
 2009年に訪れた、PARISの17区にあった一つ星(当時)‘Bigarrade’の料理を思い出した、料理長はクリストフ・ぺレ、スーシェフは日本人でやはり魚料理中心、斬新で「また行ってみたい」と思っていたが、残念ながらその後閉店。相原氏はこの店を知っているのか不明だが、コンセプトに共通するものを感じた。

 店はオープンしたばかりでピカピカ、オープンキッチンなので当然だが、店内の整理整頓、清掃が行き届いている、スタッフは揃いのポロシャツ風ユニホームにタブリエ姿、誰も時計や指輪をしていない、このスタイルでは当然な事だが、無神経な店を時に見かけてしまう、流行店の外形だけ真似ても駄目で「何故そうするのか」を考えていない、さすがは経験豊富な料理長だけあって、そうした間違いはなく、最後まで快適に過ごせた、これはとても大切な事だ、プレートやカトラリーも趣味のいい物を揃えている、クロスは省略だがそれも料理に合っていると思った。
 料理のスタートは「和食?」と思うような皿もあったが、食べ進めていると、これはフランス料理の技法や哲学を学んだ人の料理だと納得する。同じ材料を使って板前割烹の献立を作る事を考えたら、ランチ5,000円は安いと感じた、先入観のない外国人グルメなら、割烹や高級寿司店と比較して同じ見方をするだろうと思う。
 オープンしてまだ一ヶ月ながら、此処まで安定して楽しめる店にするのが、料理長の真の実力だろう、また来たいと思わせるいい店だった、我家から遠いのだけが残念だが(笑)。


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綾瀬「タイレストラン」

 去年5月に、地元の千代田線綾瀬駅近くの高架線下(亀有寄り)に忽然とオープンしたタイ料理店、元々長く続いた靴屋だった場所を改装したテナントで、高架下店舗は日本人店主のアパレル系が撤退した後に、外国人が経営していると思われる飲食店開業が続いている、此の店の反対側には最近ベトナム料理店がオープンした。
 店名は「タイレストラン」で、タイ料理店でこの名前は直球そのもの(笑)、PARISセーヌ左岸オデオン座界隈には、「日本」とか「東京」を店名にした、中国系や韓国系の人達が営業する怪しげな日本料理店があったが、どうもあれをイメージしてしまうが。

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 ランチならハズレでも後悔しないだろうと思う値段なので、或る日好奇心から入ってみる事にした、タイ料理店はパクチーがあまり得意でない事もあってあまり利用しないが、数年前に「孤独のグルメ」に登場した、北千住の「ライカノ」へ行って以来だ。

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 オープン当初は行列が出来ていたが今は静かになった、持ち帰りも可能で、500円のワンコイン弁当まである。

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 ランチメニュー、セットは6種類で値段は全て税込880円。
・カオガパオガイ+ゲェーンキョワーン(鶏肉のバジル炒めとライス、グリーンカレー他)
・クイッティオトムヤンクン+カオガパオガイ(トムヤムクンラーメン、鶏肉のバジル炒めとライス)
・パッタイ(タマリンドソース風味の海老入り焼きそば)
・ゲェーンキョワーン(グリーンカレー)
・ゲェーンデーン(レッドカレー)
・カオマンガイ(タイ風とりめし、野菜スープ)
 初回は無難そうなカオガパオガイ+ゲェーンキョワーンを選んでみた。

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 ドリンクメニュー、タイビールは3種揃えている、置いてあるワインはチリ産だった。

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 この「ハイセックスブラウン」なる有精卵を使っているとの事で、何か元気漲りそうな名前(笑)。

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 タイ料理店でお馴染みの「4種の神器」、「ナンプラー(魚醤)」、「プリックボン(唐辛子)」、「ナムソム(酢)」、「ナムターン(砂糖)」、タイ料理好きはこの4種類を駆使して自分好みの味に料理を変容させる。

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 「カオガパオガイ+ゲェーンキョワーン」、第一印象は「野菜が豊富」、タイ料理と聞くと「辛い、酸っぱい」のイメージになってしまうのだが、実際は野菜が主役なのだと思う。
 味は日本人向けに多少アレンジしているとは思うが意外と食べ易い、特にカオガパオガイの味付けは気に入った。

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 グリーンカレーも普通に美味しい、やはりレトルトとは一味違う(笑)。

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 初訪問で好印象だったので、2回目裏を返した時は「クイッティオトムヤンクン+カオガパオガイ」を、トムヤンクンはまあ想定内だが、米粉を使った麺がイマイチ好みではなかった、長年小麦粉麺を食べていると、どうも米粉麺に慣れるのは時間がかかるみたいだ。

 店内はアジア系の女性が二人で対応している、厨房はよく見えなかったが男性が一人、日本人ではなさそう。
 珍しさも手伝ってか、結構お客はやって来る、特に女性客が多いと思った。インド&ネパール系料理では男性客が増える傾向があるが、これがタイとインドの料理方向性の違いなのかも知れない。
 日本人が経営する店舗が撤退した後に、外国人が経営する飲食店が交替入居する、地元でもこうしたテナントが増えている、飲食は「3K職場」とも云われ、なかなか若い人が働かない実態があるが、この日本人から外国人(特にアジア系)へのシフトはもう必然になってしまったみたいだ。
 綾瀬駅高架下には前述のベトナム料理店を始め、他にも面白そうな店がオープンしている、いずれこのブログでも紹介したいと思っている。


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  2. カレー・エスニック料理
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ボキューズの想い出

 今回は店訪問レポではなく、さる1月20日に91歳で亡くなったポール・ボキューズ氏の事を書きたいと思う。
 ただ私は氏と直接会ったのは、店へ食事に行った1回きりで、それも挨拶だけで話をした訳ではなく、故人の事を語るのはもっと適当な人が居ると思う、あくまでも「私的な想い出」として読んで欲しい。また氏の経歴や業績もネット上で紹介しているサイトが幾つもあるので、ここでは繰り返さない。

 私がボキューズの名前を知ったのは、1975年から放映されていた料理番組「料理天国」だったと思う、その後別のTV局でもリヨン郊外のボキューズ本店の一日を取り上げていて、当時の日本のフランス料理店の堅苦しさとは随分と違う雰囲気に興味を覚え、「何時か行ってみたい」と思い続けていた、都内には提携店が出来たが、あまり興味を持たなかったのは、「まずは本物を知らないと何も語れない」との思い込みだったと思う。
 「人は願い続けていれば、何時かは叶うもの」らしいが、長年の願いが叶って遂にボキューズ本店に行けたのは、1999年夏の事だった。
 その時は銀塩カメラしか持っていなくて、今に残っているのはプリントした画像数枚だけ、まず外観というより壁、何故こんなもの撮ったのか不明(笑)。
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 元々この場所は、フランス革命前の1765年から続くホテル・レストランが起源、目の前のソーヌ川で捕れる川魚料理が名物だったそうだ。
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 訪問当時の店内の様子、メインダイニングは二重構造みたいな造りで、座ったのは窓際の席だった、真中の方は地元客中心で、日曜昼で大賑わいし、誕生日を祝う手回しオルガンのメロディが何卓かで聴こえた。
 その時頼んだのは、たしか780フランの昼夜共通のムニュで、記憶を辿ると、
・プティポワの冷製スープ
・スペシャリテ‘Soupe aux truffes noires V.G.E’
・エクルビスのグラタン
・ブレス鶏のクリーム煮込(元は「ジョルジュ・ブラン」のスペシャリテ?)
 以上だったと思う、肝心の味だが全体の量が多く、且つバターやクリームが日本のものとは違い濃厚で、エクルビスあたりでギプアップしそうになる(笑)。何とか鶏を食べ終わり、止せばいいのにフロマージュまで少し食べたら、完全に気持ち悪くなった。この後に運ばれたシャリオ3台分のデセールは見ただけで脂汗が出て、バニラアイスとフランボワーズのソルベだけお願いしたが、そのバニラアイスが天国的に美味だったのは覚えている。
 食事中マダムが各テーブルを回って挨拶していたので、「今日はボキューズ御大不在だ」と思っていたら、後になってご本人が「真打登場」と云う感じで現れた、出方も心得ている(笑)、その時に撮った筈の写真が見つからないのが残念。
 長く念願にしていたボキューズ初体験だが、圧倒的な存在感で打ちのめされた感じだ、タクシー乗るとリバースしそうなので、川沿いの道をトボトボとバス停まで歩いたのを、今でも覚えている(笑)。

 この強烈体験から十年後の2009年、今度はリヨン市内にあるボキューズグループ直営のブラッセリー「L’EST」を訪れる事に、リヨン市内東西南北にあるセカンドラインの一つ、此処は元々駅舎だった場所を改装したと聞く。
 予約もしないで昼に入店したが、この時頼んだのがプラ+デセール(19.6ユーロ)の簡易メニューで、
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・ジゴダニョー、ラタトゥイユ

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・ガルニのポムフリット

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・ヴァシュランフレーズ(赤ん坊の頭位に大きかった(笑))
 特にジゴダニョー(仔羊腿肉の塊焼き)とジャガイモが美味だった、この時のジゴダニョーが忘れられず、後に日本のレストランで特別注文してしまった程(笑)。
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 料理以上にスタッフ達のキビキビした動きが印象的で、「自分はP・Bグループで働いているのだ」みたいな、気概と矜持が伝わって来た。リヨンではもう基幹産業みたいなもので、働けるのはとても名誉な事なのだと思った。ボキューズ氏の偉大さと懐の深さみたいなものを、この時に理解した思いだった。「何時か本店もリベンジに行きたい」そう思いながらも、年月は過ぎてしまっていた。
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 2009年に撮った、リヨン歴史地区内にある「サン・ジャン聖堂(Primatiale Saint-Jean)」、今回ボキューズ氏の葬儀は此処で執り行なわれた。

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 70年以上に及ぶ料理人人生、本当にお疲れ様でした。あなたの作った帝国は無事に次世代に引き継がれて行く事でしょう、
‘Requiescat in Pace’。


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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
人はそれぞれに「見方、感じ方、考え方」が違います。私が美味と思ってもそう思わない人が居て当然です、味覚とはそれだけ不安定で不完全なもの、あくまでも筆者個人の嗜好による感じ方である事を承知の上で読まれてください。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに赤坂、麻布十番等。
混雑電車が苦手で加齢による朝型人間化のため、ランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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