最後の晩餐にはまだ早い


2018年「今年印象に残った店」(デザート・スイーツ編)

 料理編に続いてデザート&スイーツ編を以下に続けるが、私の好みが偏っているので、料理編と同じく茶色が多くなった(笑)、チョコレートは好きだが、ショートケーキみたいな生クリーム&スポンジや、フルーツを使ったスイーツ類もあまり好まないので、それを頭に入れて読んで下さい。
 まずはレストランデザートからで、

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・稲荷町「キエチュード」の「チョコレートフォンダン、ラズベリーソース、ピスタチオのムース」
 手法的には古くなったかも知れないフォンダンショコラだが、ちゃんと作ったものは美味しいと云う実例、夏の白桃デセールも良かった。

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・麻布十番「グリグリ」のチョコレートのフラン、シュクレフィレ、黒胡椒風味のチュイール
 私にしては珍しいビジュアル系?(笑)、此の店の料理・デセール共に、もっと評価されていいと思うのだが。

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・竹ノ塚「キッチン エスプレッソ」のプリン
 グリグリと対照的な、非インスタ映えデザートだが(笑)、何とこれ200円と云う安さ、その割にはしっかり作った、美味しさを感じる固めのプリンで、柔らかプリンより断然好みだ。

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・外苑前「フロリレージュ」の「贈り物、アマゾンカカオ(チョコレートのクレープ、中にチョコレートのムース、チョコレートソース)」
 足立繋がりなら、フロリレージュの堀尾パティシェールは足立区出身、10月の「Gari-Garilege」のかき氷も良かった。木村カエラさん、波瑠さんに次ぐ、足立発の女性スターになれるか?(笑)。

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・東麻布「ローブ」の「ミルフィーユ、熊本産ブルーベリー」
 パティシェ界の女王此処にありと云うべき、「ローブ」の平瀬パティシェール、追加デセールでお願いしたこのミルフィーユは、現在の処生涯最上のミルフィーユ、羽根が生えたみたいな、次元の違う軽やかさだった。

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・護国寺「アドジ」のモンテビアンコ(モンブラン)
 元「パ・マル・レストラン」と云う、私にとって懐かしい場所に、2017年12月にオープンした若い料理人夫妻が営む小さなリストランテ、「友人夫妻の家に招かれた」ような、温かくて何処かホッとする店、料理も良かったが特にこのドルチェは印象的だった。

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・赤坂「古屋オーガストロノム」の「クレープで包んだバニラアイスクリームのベニエ、チョコレートソース」
 「インスタ萎え」と云う言葉があるそうだが、このデセールはその部門に該当すると思う(笑)、でも美味しいので困ったものだ。揚げパンとチョコレートとアイスを一緒に食べているような、子供の頃夢中になった味。

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・南青山「MAMA」の「MAMA特製パフェ、Xmasバージョン(シュトーレン入り)」
 ブログにUPしたばかりなので料理編では挙げなかったが、この時の特製洋食ランチは「最後の晩餐」に食べたいものになった(笑)、このデザートも文字どおり‘parfait’。

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・麻布十番「ジャニコロ・ジョウキ」の鬼おろし洋梨、ヘーゼルナッツのジェラート
 こちらは未だブログにUPしていないが、梨を大根おろす時に使う鬼おろしを使って擂り、ジェラートと合わせると云う、普通の発想ではまず出ないアイディアを使ったドルチェ、意外性の勝利。

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・大阪・玉出「びすとろぽたじぇ」のボキューズ風ウ・ア・ラ・ネージュ
 料理編でも書いたとおり、今年亡くなったP・ボキューズへのオマージュで、玉子だけでこれだけ深い味わいが出せるのが凄い。
 以下は店売りスイーツで印象に残った2店を、
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・蔵前「パティスリーFOBS」の「ティラミス」

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・田原町「レモンパイ」の「レモンパイ」
 この2店は近くにあり、出来れば両店へ行って欲しいと思う、最新のパティスリースイーツが「FOBS」なら、何処か昭和チックな洋菓子と呼びたい「レモンパイ」、どちらもいい店です。

 一年間ブログにお付き合いいただき、ありがとうございました、私自身は一回の食事に2万、3万払うような高級店には、もう行かなく(行けなく?)なった。でも現在の日本、特に東京の食レベルは凄い処に来ていると思う、5,000円ランチの豊富さ、レベルの高さは世界の主要都市の中でも傑出しているのでは?と感じている、そして次々と若い料理人が出て来ている。
 人口減少と少子高齢化、若年労働人口減による人手不足と後継者不在、原材料やテナント料の上昇、東京では新市場への移転に伴う問題等、この国の飲食店を巡る環境は依然厳しいものがある、でも次代を担う才能が続いているのを知ると、食の未来は彼・彼女達が何とかしてくれるだろうとの期待を持っている。
 間もなくやって来る新しい年が、皆さんにとって明るく希望の持てる一年になる事を祈っています、どうぞ良い年をお迎えください。
 新年は1月4日からブログ更新の予定です。


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2018年「今年印象に残った店」(料理編)

 2018年も残り一週間を切り、間もなく平成最後の「行く年来る年」になる、このブログ更新もあと2回の予定なので、例年どおり「今年印象に残った店」を書いておきたいと思う、例年同様に、「料理編」と「デザート&スイーツ編」の2回に分けてまとめる事にしたい。
 いつも書いている事だが、私が訪れて此処に挙げなかったのが「印象に残らない店」だったと云う事ではありません、既に多方面で評価され、この零細ブログで取り上げる意味もなく、あえて外した店もあります。
 あまり知られていない店を中心に、利用した後も何かが記憶に残っているか、ブログタイトルどおりに、私自身が人生最後の晩餐に食べたいか?の視点で選びました、点数を付けたり順位付けするものではありません。
 まずは料理編からだが、今年は初訪問店に印象に残る店が多かった、それだけ日本の料理人のレベルが上がって来ているのだと思う、まずはフランス料理店から、

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・代官山「サンプリシテ」の「五島列島 真鯛 フェンネル」-一週間熟成させた長崎産の天然真鯛のブイヤベース仕立
 2018年1月開店、豊富なキャリアある料理人が、方向性を変えて挑んだ新感覚レストラン、日本人は魚介から離れられない事を再認識させてくれる、オープンキッチンの見本とも云えるオペレーションは見事、利用する時はカウンター席を希望する事。

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・三ノ輪「ビストロルミエル」の「大分産シマアジのカルパッチョ、魚醤風味のビネグレット」
 2017年6月開店、こちらもキャリアある料理人夫妻が、三ノ輪と云う意外な場所でオープンした地域密着型ビストロ。夜の4,800円のムニュは、私が知り限る都内有数のキャリテプリだと思う。「覆面料理人」を自称している理由は、店へ行って訊いてみて下さい(笑)。

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・恵比寿「ラ メゾン フィニステール」の「白身魚とオマールのクネル」
 2017年10月開店、料理の名門アカデミーを経てフランスで働き、昨年念願の独立を果たした実力派料理人、基本に忠実な楷書のフレンチと云う印象だが、これから柔軟さが加われば、名店になる可能性あり。

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・乃木坂「タンモア」の「銚子港から届いたキンメダイのポワレ、キノコのフリカッセ」
 2018年9月開店、今年の衝撃的出会いは此処の若い女性オーナー料理人に尽きる、「弾丸少女」「乃木坂のジャンヌ・ダルク」「料理界に現れた女モーツァルト」、形容する言葉が幾らでも出そうな、未知数の魅力を備えている、大袈裟と思う人は一度訪れてみて下さい(笑)。
 以下はフランス料理以外からで、
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・五反野「酒肴 和ろく」の「吸物:出汁一番(白菜と豚肉の重ね蒸し、春菊、黒こしょう)」
 2016年6月開店、地元足立にこんな秀逸な和食店が出来ていたのを、今年初めて知った。初代「和の鉄人」直系の料理人が作る夜5,800円の料理は、交通費出しても体験する価値あり、「料理屋は有名になる前に行け」は、特に和食では鉄則だと思う。

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・札幌・ススキノ「月下翁」の「マトンの赤腐乳煮込み、レタス炒め」
 2017年7月開店、ちょっと怪しげなススキノのビル地階にある隠れ家的中華、キャリアある料理人による、シンプルでいながら深味ある料理が体験出来る、此処も席数が少ないので「有名になる前に行け」(笑)。
 以下は既訪問店だが、私の定番とも呼びたい3店を、

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・赤坂「古屋オーガストロノム」の「‘Le Caille’ヴォージュ産ウズラの3プレパラション、胸肉のロティ、キュイスのブレゼ、リ・ド・ヴォーのセルベラ、ロワール産ホワイトアスパラガスとモリーユ茸」

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・代官山「レクテ」の「ガレット・ピエ・ド・ポー(豚足のガレット仕立て)」

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・札幌・西17丁目「プロヴァンサル・キムラ」の「積丹半島産鮃のパイ包み、茸のソース、秋トリュフ」
 まるで「茶色三兄弟」とでも呼びたいが(笑)、インスタ映え時代に逆行する地味で冴えない色合い、でも本当に美味しいのはこうした料理なのではと思う、目より舌と胃が揺さぶられる。
 今年はポール・ボキューズとジョエル・ロブション、フランス料理界の巨星二人が相次いで亡くなると云う、悲しい年になってしまった。特にボキューズはコロンジュ・オ・モン・ドールの本店で食事し、本人とも会っただけに感慨深い、今年2月の関西旅行時に、馴染みの料理人達に関連した料理を作ってもらったので、以下に紹介したい、

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・大阪・玉手「びすとろぽたじぇ」の「ボキューズ風ソール・フェルナン・ポワン」

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・和歌山「オテル・ド・ヨシノ」の「スープ・オ・トリュフ・ノワール・ヴェ・ジェ・ウ( Soupe aux truffes noires V.G.E)」

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・大阪・上本町「レストラン・コーイン」の「ブレス産プーラルドのベッシー包み(胸肉部分)」
 後世に与えた影響も含め、あらためて偉大な料理人だったと思う。
 次回はデザート&スイーツ編を記したい。


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南青山「MAMA」(2018年12月)

 ブログで何回か取り上げたので、食友人から「其処、面白そうだな」と聞いていて、この店の料理内容を説明するより、まずは一回体験するのが何よりと思い、「今度一緒に行きましょう」と口約束したままになっていた、南青山・高樹町のレストラン「MAMA」、ようやくそれが実現する事になった。
 店の場所が判り難いので、近くの根津美術館で集合にするが、私は時間があったので早めに家を出て、開催していた「新・桃山の茶陶」展を観る事に、展示内容も良かったが、その後庭園を一回りして、雨上がりの樹木の風情はもっと良かった、ルソーが云ったように、人間最後?は器物に固執するより、「自然に還れ」なのかも知れない(笑)。
 高速道路の下を潜り、渋谷方面へ向かう坂の途中に店は在る、周りは住宅街なので飲食店は他に見当たらなく、行って利用できないと食難民になり兼ねないので、ランチでも予約した方がいいと思う。

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 この日も12時の入店だが既に席は結構埋まっていた、フレンチやイタリアンに比べると客年齢層が高めに感じる。平垣内オーナーと市村料理長に挨拶、手伝いに来ている女性スタッフと揃いの、黒いユニフォーム姿に変わっていた、カウンターではなく初めてテーブル席に座る。
 此の店へ来ると、いつも「とんかつ」や「かつカレー」と云った単品セットをお願いしているが、今回は初めてランチメニューを事前注文していた、結果それが凄い事になってしまった(笑)。

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・白ワインはGenot BoulangerのMeursault Clos de Cromin 2014
 この店は、何も云わずに私には不釣り合いの高級ワインを出してくれる(笑)。

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・黒オリーブ、キタアカリ&シャドークインのポテトチップ

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・前菜:右からパルマンティエ(ジャガイモのポタージュ)、野菜のカクテル、フォアグラとイチジク

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・アンコウのポワレ、ポルチーニソース、茸いろいろ

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・何故かここで出て来る「ちょっと色気づいたカレーパン」(笑)

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・メイン其の1:イベリコ豚の天使の羽根のとんかつ、ざぶとんローストビーフ、キャベツの切り方見事(笑)

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・メイン其の2:MAMA特製カレー、イベリコ豚で出汁を取った豚汁

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・メイン其の3:イベリコ豚のかつ丼。

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・デザート其の1:プリンとパッションフルーツ?
・大麦茶
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・デザート其の2:MAMA特製パフェ、Xmasバージョン(シュトーレン入り)

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・ウェッジウッド「ジャスパー」に淹れた、堀口珈琲のコーヒー

 カレーパンあたりから、もう悪ノリとしか思えない大盤振る舞い(笑)、「とんかつ」「ローストビーフ」「カレー」「豚汁」「かつ丼」と、どれも主役を張れる役者が舞台上に一気に揃った感じだ、そのどれもレベルが高い、これ日本人なら嫌いな人居ないのでは?と思う。
 ありがたい事に、このブログを海外で見ている方(日本人)が居るそうで、おそらく此の画像を見ると、「あ~、日本のとんかつ食いたい、カレー食いたい、豚汁食いたい」と、望郷の念を強くすると思う、その意味では今回罪な記事です(笑)。
 食べていてどの料理も、作った人、それを提供する人が、楽しんで仕事をしている様子が感じ取れる、笑顔と優しさがあり顔や肩が怒っていない。点数とか順位とか星の数など、作った側が楽しく、食べる側が嬉しくなれるなら、そんなのどうでもいいのでは?と思いたくなる。各料理を細かく説明するのは野暮に思えるので、「とにかく全部美味しかった」とだけ書いておく(笑)。
 今年、私と同年代の歌手西城秀樹さんが亡くなった事もあり、以前より「死」を意識する事が多くなった、文字どおり「最後の晩餐」も真面目に考えないといけないが、この日の料理は見事に好物ばかり揃ったので、まず候補にしたいと思った。近隣にはバイク便によるデリバリーもやっているが、「その時」が来たら、出来れば市村、平垣内両氏に来てもらい作って欲しく、旅費と日当分を加えた代金分を今から貯めておこうと思う(笑)。

 高級フレンチの副料理長とサービス担当だった二人が、2015年5月に始めた此の店、「フランス料理の哲学に基づいた創作料理」がコンセプトだったが、今「創作料理」と聞くと、フランスと北欧と日本が混ざったみたいな国籍不明なものを連想してしまう、それよりもっと親しみ易く、日本人の琴線に触れる日常の料理を、お金を取れるレストラン料理に高めていると思う。
 以前にも書いた事だが、この二人の実力なら完全予約制で、おまかせメニューのみの店も出来た筈だ、それをしないで1,200円のランチも提供するなど、広く扉を開いた店にしたのは正解だったと思う、これから超高齢化社会を迎えるこの国で、高齢者が上質な料理一品だけでも食べに行ける店の存在は嬉しい、足が弱って店まで行けずとも届けてもらえる、此の地で実績が続けば、別の場所でも類似のレストランが出来る筈、私の地元にも欲しい店だ。
 帰り際には、何とお土産までいただいてしまった、これは近いうちにリベンジ、いやお礼参りに来ないといけなくなった(笑)、平垣内オーナー&市村料理長、色々とお心遣い感謝です、ありがとうございました。


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御茶ノ水「ビストロ・ヌー」(2018年12月)

 今年5月にランチ利用して以来の「ビストロ・ヌー」、私と同じくヌーファンの友人から「磯貝シェフの奥さん復帰したよ」と聞いたのは10月初め、第2子出産を経て職場復帰したそうで、挨拶に行こうと思いながら時間が経ってしまっていた、師走に入ってようやく訪れる事に。
 いつもは千代田線湯島駅から歩くのだが、この日は別用があって、つくばエクスプレスの秋葉原駅から歩いた処、何と道を間違えてしまった(笑)、私にとって「第二の故郷」で迷うとは情けない、でも弁解すると、それだけ秋葉原の街はここ数年で様変わりしたのだ、私が頻繁に通っていた頃の秋葉原の雰囲気は、総武線の高架下店舗に僅かに残っている位だ。
 昼の開店時間11時半に入店、知らない店だと開店一番客は結構緊張するものだが、此処は私のホームみたいなもの(笑)、何も云われないままに、カウンターの定席?に座ってしまう。
 5月は磯貝料理長のワンオペでやっていたが、美人の奥様が居るとやはり店内が明るくなる、客の方も安心感みたいなものを覚えるので、つい長居してしまう(笑)。ただ残念ながら現在は日中だけ出勤みたいで、奥様に会いたければランチタイムに行く事だ。

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・本日の黒板メニュー

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・プリフィクス以外に2種のランチコースあり
 前菜+メイン+コーヒーは税別1,250円だが、いつもお願いするメイン1品のコースにして、無理を云い黒板には書いてない雉をメインにしてもらう事に。私は暇人で時間があるから問題ないが、昼休み1時間以内で帰りたい人はコース注文お勧めしない、これは時間をかけて楽しむべきと思う。

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・毎日焼く自家製パン

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・白ワイン(コート・ド・ローヌ)を撮るつもりが、パン制作中の奥様に焦点が合ってしまった、奥様は製菓出身なので、パン造りは手慣れたもの。

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・ジャガイモの温製ポタージュ

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・ホタテ貝のグリエ、春菊とビーツのピュレ

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・鱈白子のポワレ、長葱と醤油に漬けたライム、ポム・ド・ピュレ

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・仏産フェザン(雉)のロースト、フォン・ド・ジビエとフォン・ド・ヴォーのソース、色々野菜

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・柿とホワイトチョコレートのムース、サブレ、バニラのアイスクリーム

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・コーヒー

 磯貝氏はPARISに居た時、私が今東京で特に料理を評価している料理人の一人、代官山「レクテ」の佐々木料理長の下で2ヶ月だけ働いていたそうで、本人は意識していないかも知れないが、料理には何処か共通点あると思う、良くも悪くもレジオン(地方)ではなく、ユーロ統合後のPARIS料理の洗礼を受けていると感じる。
 帆立も白子も10月の札幌で味わって来て、素材自体はやはり札幌の方が上だが、磯貝氏は都会的なセンスで上手く味をまとめている。
 雉はシンプルなロティだが、肉の旨さを感じるにはこれが一番、雷鳥みたいな赤身とは違うし、白身でもホロホロ鳥とは違う独特の味、繊細でいながら艶がある、デセールも美味しかった。

 この日は予約なしで来た客も数組、結構賑わっていた。磯貝氏の話では、世界に名高い秋葉原が近い事もあり、フランス人が「bistrot」「cuisine francaise」の文字を見て、ブラリと入店する事も増えているそうだ。事前情報なく「名前だけの日本的ビストロかな?」と思い入って来て、このレベルの料理が出てくれば、「トウキョウ、ファンタスティック」と、きっと思う筈だ(笑)。
 東日本大震災直後の2011年3月末にオープンした此の店、開業8年目を迎えて、とてもいい状態になっているなと思う。奥様の話だと、現在保育園に通っている長女がマカロン大好きで、「私、15歳になったらママと二人でケーキ屋さんをやる」と云っているそうだ(笑)、現在店の一階部分が倉庫になっているので、やがて此処がパティスリーになるのかも、そうすると今年生まれた長男は将来二階で父親を手伝う事になるか?そうなれば理想的な「家族の肖像」だなと思う(笑)。
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 今、飲食店で働こうとする若者が激減しているが、そうした理想の料理人一家があれば、皆の意識もきっと変わって来る筈だ、そうなって欲しいし、私も出来るだけ長生きして、10年後、20年後の此の店を見届けたいものだ(笑)。
 例年、12月後半はフランス料理店訪問を遠慮しているので、今年はビストロ・ヌーが「フレンチ締め」になりそう。諸事情から「ふらんすへ行きたしと思へどもふらんすはあまりに遠し」になってしまったが、当地へ行けずとも素敵な店に出会えた、いい一年だったと思う。


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乃木坂「タンモア」(2018年12月)

 11月に初訪問した乃木坂のフランス料理「タンモア」、若い女性料理人の外見とは正反対な骨太料理が衝撃的で、それ以来「乃木坂にジャンヌ・ダルクが現れた」と云い続けていて、「あいつ大丈夫かな?」と一部の人に思わせたみたいだが(笑)、云うだけでは足りずに「タンモアへ行こう」と、半ば強引に未訪問の食仲間を誘う事に。私自身も月替わりの12月メニューを体験したいのと、11月の好印象が「たまたまだった」のでは無い事を確認したかったからだ。
 前回は土曜日で赤坂から歩いたので感じなかったが、今回は日曜昼で乃木坂駅から歩き、七五三詣の終わった乃木神社から続く道は人通りが少ない、移転前の「シュマン」があった辺りも閑散としていた、飲食店はあるが日曜営業は厳しい地域かも知れない。歩道橋の次の道を左に進むと、タンモアの入った雑居ビルが見える。

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 静かなビルの地階にある店の前に来ると、サービスの男性がドアを開けてくれる、田中いずみ料理長に挨拶し、前回と同じテーブルに座った、この日の相客達も集合して、12月のメニュー(税別5,000円)が始まる、内容はノエル(Xmas)を意識したものだった、

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・美術教師だった料理長の母親が作ったと聞く位置皿

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・フォアグラのティラミス

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・オマール、ホエー、みかん

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・鱈と白菜のコンソメ仕立て

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・うり坊―各部位―、ブーダンノワールのテリーヌと共に(+1,800円)

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・自家製パン3種とバター

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・ショコラのショーフロワ、ヴァンショーのグラニテ(Noel版)

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・ほうじ茶のムース、醤油のサブレ
・エスプレッソ

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・この日のドリンクペアリング
(ベリーのスパーリングカクテル、きんもくせい茶とキンカン、りんごのヴァンブランショー、カフェとアングレーズのカクテル)

 フォアグラを使ったアミューズは、見た目ティラミスで食べるとファアグラと云うもの、クレームブリュレに模したフォアグラ料理もあるし、これもありだなと思った。続くオマールの前菜は蜜柑との意外な相性で、乳清を加え手前から奥へ味の濃さを増して作っている、秀逸な一皿。
 鱈の料理は鱈鍋のイメージで作ったのでは?と思うのだが、白菜の葉中には鱈、白子と白菜のクリーム煮サフラン風味、皿の周りは焦がし白菜に生白菜、鱈の皮せんべい、コンソメも鱈の骨を使ったそうだ、料理長のオリジナル料理だが、なかなかよく考えてある。
 うり坊はフランスでマルカッサン(marcassin)と呼ぶ生後半年以内の仔猪、今回は骨付き背肉をローストしたもので、脂身に細かく切れ目を入れる事により香ばしく焼き上がっている、手前にある小さな肉はフィレ部分、左にバラ肉や脛肉の煮込、見え難いが右にブーダンノワールを従えている、料理長の話ではフランス産に比べ日本産猪は淡白なので、ブーダンで野性味を加えたかったそうだ、その意図は成功していると思う。
 デセールもノエルを意識したもので、焼いたカダイフを乗せたショコラが良かった、チョコレート好きには嬉しい。
 フォアグラ、オマール、ブーダンノワール、ショコラと続く、ノエル料理にはお約束の品々だが、一捻り加えてオリジナルな料理にしていると思った、アイディア倒れにはなってなく、どの皿も意図が明確で美味だった。

 田中さんは何と3歳の時に、将来料理人になり自分の店を持つと決めていたそうだ、まるで3歳でチェンバロを弾き、5歳で作曲したと伝えられる、W・A・モーツァルトみたいな話(笑)、古い言葉だが「栴檀は双葉より芳しい」だなと思う。
 通常、彼女くらい若い料理人だと、料理の何処かに師匠や先輩、あるいは専門書で学んだ料理の片鱗が見えるものだ、前回の料理にはそれを少し感じたが、今回は彼女なりの個性表現が見え、オリジナリティーまで受け取る事が出来た。レストランの不思議の一つに、初回良くても2回目期待して行ったら「あれ?」と思う時がある事、なかなかファーストインプレッションを越えられないものだが、今回の料理は前回を明らかに超えていると思った。

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 もし神が存在するのなら、彼女は神が地上に遣わすために選ばれたのかも知れない、音楽界ではまれにこうした演奏家や歌手が出現するが、経験が重視される料理界では珍しい。ただ早熟の才能は、モーツァルトやシューベルトみたいに早く神の元に戻されてしまう事もあるので、長く地上で輝けるよう、周りが見守り応援する事が必要だ。
 そして私が見込んだとおり、本物の天才少女なのか確認するため、これから毎月通って月替わりの料理を確認しないといけないかなと、本気で思い始めている。まずは来月、更なる剛の者を連れて行こうと思う(笑)。


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五反野「酒肴 和ろく」(2018年11月)

 今年8月にランチ利用し、料理に光るものを感じた、東武スカイツリーライン五反野駅近くの和食「酒肴 和ろく」、それ以来夜のおまかせ献立を味わってみたいと思っていたが、ようやく実現する事になった。
 献立は月替わりなので、寒さが増してくる霜月11月の料理、魚や野菜も旨くなる季節なのでとても楽しみだ。
 相客と五反野駅で集合、歩いて店まで向かうが、この日祝日だった事もあり、夜は昼と違い営業している店も少なく、駅前と云えども寂しい雰囲気がする。
 店についてあらためて紹介すると、2016年6月の開業で店主は1980年栃木生れの佐竹剛氏、地元で料理人として経歴を開始、その後東京に出て、TVの鉄人番組で全国的に有名になる道場六三郎氏の下で12年働く、銀座「ろくさん亭」では副料理長を5年務めた。五反野に独立開業したのは、同じ職場だった奥様の実家があったからだそうだ。今の日本では、子育てをしながら夫婦で昼夜飲食店を営業するとなると、夫婦どちらかの父母に頼らざるを得ない現状だ。
 18時の入店だったが、既に4人グループが食事中で、さすが足立は夜が早い、都心とは2時間位時差がある気がする(笑)。
 勿論予約していたので、店は椅子席を作ってくれていたが、我儘を云ってカウンター席に座らせてもらった。店主は私の顔を覚えていたみたいで、昼間居た奥様に代わって中年女性が手伝っていたが、顔立ちが似ているので奥様のお母様だと思う。
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 道場流を引き継いだ「お品書き」は、店主自ら書いたそうだ、これに沿って当日の料理(5,800円)が始まる。
「霜月の料理」
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・お通し(+300円):水蛸と小松菜

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・前菜:チーズ黄金焼き、人参スープ、ひとくち寿司(平鯛)、鮭西京焼

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・吸物:出汁一番(白菜と豚肉の重ね蒸し、春菊、黒こしょう)

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・刺身:本日の鮮魚三種盛り(鮪、戻り鰹、フグ)、あしらい

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・煮物:秋の味覚(海老芋と鰊炊き合わせ、青味、針柚子)

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・小鉢:蕪の菊なます

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・焼物:和牛もも肉炙り焼肉風、和ろくダレ、野菜

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・食事:むかごと地鶏の炊き込み、有馬山椒、三ツ葉

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・甘味:豆乳ぷりん、自家製黒蜜、きなこ

 料理全体の印象から云うと、「道場流」と聞くとTVの印象から、変化球の多い料理かな?と思っていたが、実際に体験してみるとそんな事はなく、季節物を使って上手く纏めていると思った。
 和食の華とも云える椀物は特に秀逸だった、本家は「命の出汁」の言葉で有名になったが、此処では本枯節と昆布で取った一番出汁に、鮪節などで追い出汁をするとの事。そこに豚肉の脂味が加わる事により更に香りと味が立体的になっている、この椀を味わうために5,800円払って惜しくないと思った(笑)。
 造りは関西へ行くと白身魚が旨いと思うが、鮪と鰹は東京の方がいい物が出ると感じる。海老芋と身欠き鰊は元々関西で使う食材だが、少し濃い目の味付けながら、お惣菜ではなく料理屋の味になっていた。
 メイン料理とも云える和牛料理は少し変化球だが、青唐辛子と林檎が味ベースとなって、品は悪くなく美味しい。
 締めの店主の地元である、栃木米とむかごの炊き込みご飯も後を引く味で、思わずお替りをしてしまった(笑)。甘味も果物を切っただけの物でなく手をかけている。
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 料理はランチで予想したとおり、いや予想以上に良かった、行く前は大阪高麗橋の「桜花」みたいな料理かな?とも思っていたが、やはり西と東の味のまとめ方は違うと感じる。それより今は芝大門に移転した「くろぎ」が、湯島で「湯島121」を名乗っていた時代の料理を連想した、あの頃料理は夜8,800円だったと記憶している、現在の料理値段を思うと、料理屋は有名になる前に行かないと出遅れなのだなと、あらためて思ってしまう(笑)。
 私が思わず店主に「将来銀座へ移転とか考えていますか?」と、嫌な事を訊いてしまったが、佐竹氏は「自分は銀座に長く居たので、熱い料理を出してもそのままにして、話をしているだけの客も見て来た、此の地で続けたいと思っている」との事、地元民としては嬉しい話だ。
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 いただいた名刺は、師である道場六三郎氏の書との事。料理はいい意味で「道場スピリッツ」を受け継いでいるなと思った、型に捉われず自由な発想、いい物なら産地を問わず、いい料理なら国籍を問わずに取り入れる、それでいて和食の本筋は外していない。
 此処は我家から自転車で行ける距離、もっと早く夜にも来るべきだった。有名になって値段が上がってしまっては困るが、老いた人間の財布にも優しい今の値段のうちに、これから通わないといけない(笑)。


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代々木公園「暮らしの店 黄魚」

 「アルドアック」での秀逸なランチ後、友人と別れて向かったのは、代々木八幡商店街にある「暮らしの店 黄魚」と云う店、今時の言葉なら「セレクトショップ」と呼ぶのだろうか、食器を中心に揃えた私の世代で云えば雑貨店だ(笑)。
 此の店を知ったのは偶然で、友人との待ち合せに適当な場所はないかと、代々木公園駅近くの店舗を、ネット上で探している時にWEBページを見つけた。
http://www.kio55.com/
 特に惹かれたのが、女性だと思われる店主のブログで、私も同じブロガーの端くれとして、他の人が書いた文章は気になるのだが、このブログは短いながら器など物の見方に非凡なセンスを感じさせた。自分が若い頃は、対人間は主に外見でしか判断しなかったが、年齢を重ねた今は、相手の知性、品性がまず気になり、結果付き合いたくなければパスしたいと思ってしまう。

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 店の場所は代々木八幡駅と代々木公園駅の出入口から続く、代々木八幡商店街中の同じ並びにある、私は富ヶ谷の「ルヴァン」へパンを買いに来ていたので、この界隈は昔から知っていたが、此処十年で様変わりし、若い人達それもファミリー層の姿が目立つ、彼・彼女向けの今風な飲食店も幾つかオープンしている。 
 小さなビルの1階に店舗がある、窓に作った棚に並べた食器や鍋類を見ても、色使いやデザインに上品な物が多く、入ってみたくなる雰囲気だ。

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 店のトレードマークは名前のとおり黄色い魚、「きお」と読むそうだ。

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 ドアを開けると其処はすぐ店舗になる、右手が会計などをする場所で、店主と思われる女性が女性客と話をしていた。
 目の前には皿を並べた低い机、此処から左側へ品物が並べてある。(店内撮影は了承を得ています)

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 陶磁器だけでなく、弁当に使う曲げわっぱや、ポルトガル製の靴下も置いてある。

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 布製や革製の鞄、下にあるジョージナカシマ風の椅子も商品との事。

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 アクセサリーやヴィンテージ物のホーロー鍋、キッチン用品やカトラリー類まで置いてある。
 店主はWEBページ上で自店の器について、
 『私のうつわ選びは、料理を盛って完成する うつわ。私は、ほぼ毎日、誰かのために、自分のために私は料理をします。ここにあるうつわで、ご自身の作られたお料理を妄想してみてください。そうしたら、きっと完成します。』と詩的に語っているが、成程その言葉が理解できる品揃えなだと思った。
 全体的に華美でなくノーブルで、飾るのではなく実際に料理に使ってみたくなる器、他の雑貨類も含め、店主の美意識と云うか一貫した審美眼が推し量れる品物だなと感じた。
 品物選びで長く話していた女性客が退けたので、穏やかな印象の店主と少し話をさせてもらった、「私は元々作る側だったので、物を勧めたりする売る方はあまり得意ではありません」と語る、ご自身も陶芸をやられていたみたいだ。
 彼女が物を選ぶ基準はやはり「使って幾ら」みたいだ、店内で目に留まった器に、ルーシー・リーが作った物に似ている鉢があり褒めていたら、「これ子供が居ると倒しそうで怖いのです」と云う、つまり高台が小さくて重心が上にあるので、デザイン的には格好いいが、あまり実用的ではないとの事、実際に料理を盛る器として使う視点から助言してくれるのはありがたい。何かと屈折している私は、それ聞いてかえって欲しくなった位(笑)。

     181207-7 坂上のり子
 話だけで帰るのは失礼かなと思い、目に留まった白磁の小さな楕円皿を買う事に、店主によると作家は坂上のり子さんと云う女性で、神奈川で作陶しているとの事。冷たく見えがちな白磁だが、これはどこかほっこりとした柔らかな印象、店主のイメージにも共通する(笑)。
 「うちの器は全て電子レンジでも使えます」との事、金銀装飾の物は置かないらしい、これは現代における「用の美」だなと思った。

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 同じ日に買った、富ヶ谷「ルヴァン」のパンを乗せてみた、予想どおり良かった(笑)。
 「アルドアック」「黄魚」「ルヴァン」は同じエリアなので、これから一緒に訪れる事ありそう、アルドアックのランチは土日、黄魚は水日休みなので、土曜日限定になるが。
 女性の掌が作った物を、女性の眼が選んで自店に置く、それを求めに来る客も女性が殆ど、「21世紀は女たちの時代」とも云われるが、此の店はそれを感じさせてくれる。
 代々木八幡&代々木公園駅に行く時には寄ってみる事をお勧めしたい、素敵な店です。


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代々木八幡「アルドアック」(2018年11月)

 ランチ仲間と話していて、「アルドアックヘ行った事がないので、一度行ってみたい」と聞いたのは結構前、「それなら今度ご一緒しましょう」と話しながら、実行出来ないままだったが、ようやく実現する事になった。「その店今度行きましょう」と云ったままになっているのは他の人にもあるが、忘れている訳ではありません、諸事情(主に経済的問題で)により先送りしているだけで、自分では「云うだけ番長」のつもりではない(笑)。

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 店の場所が分かり難いので、千代田線代々木公園駅前のナチュラルローソンで待ち合せ、昭和の雰囲気そのままの青年座前を通り、何度見ても笑ってしまう「春の小川」の壁画が描かれたトンネルを潜ると、アルドアックの入ったビルがある小さな商店街へ出る。
 2階に上ると、踊り場で先客2人組が開店を待っていた、間もなく中から扉が開き、酒井涼氏が顔を出す、この閉じた隠れ家感は夜も昼も同じ、紹介制の店ではないが、同行者が居ないと一人では入り難い雰囲気大。
 前のカップルに続いて入店し、酒井氏が目の前で調理をする砂かぶり席?に座った。私は去年12月以来、昼夜合わせて通算5回目の利用だと思う。
 土日だけ昼営業するが、ランチメニューは3,600円一種、この日の内容は以下のとおりだった。

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・バターナッツ南瓜のスープ、ムールと洋梨、クミンの香り

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・此処へ来たらやはりチャコリ(バスク産微発泡白ワイン)、この日は‘AGERRE’

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・九州産真ハタ、浅利のスープ、サルサベルデ、蕪と万願寺唐辛子

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・何かと話題の「365」のバゲット

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・山形産平牧金華豚のロースト、カタルーニャ風ソーセージ、白いんげん豆、パブリカ、シェリービネガーソース

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・赤はリオハの‘VALENCISO’2011

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・イカ墨のパエージャ

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・アイオリを添えて
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・定番のトルタケソ(バスク風チーズケーキ)、栗のペースト
・カフェソロ

 アルドアックを「スペイン料理」と一言で片づけるのは少し違う気もする。今年2月に同じワンオペスタイルの、大阪・本町「アラルデ」を利用したが、あちらがバスクに特化した料理なら、酒井氏はスペイン各地方料理に加え、フランス料理も取り入れているのでは?と感じる、「スペイン料理の哲学に基づいた酒井料理」と呼ぶべきではと思う。
 一品目はフランス料理店でも使う機会が増えたバターナッツ南瓜のスープ、其処へムール貝と刻んだ洋梨を加えるのが面白く味的にも外していない。
 ハタは繊細な身に浅利の出汁が絡んで、この味を嫌う日本人はまず居ないだろうと思う。続く金華豚はとんかつ店でお馴染みの平田牧場産、これを人数分一度にローストした火入れが抜群、舌に絡みつく様なネットリとした肉質はエロスも感じる(笑)、少し癖のある自家製ソーセージとのコンビもいい。
 イカ墨パエージャは文字どおり鉄板の美味しさ(笑)、隠し味として鰯の出汁を使うそうで、その下品になる一歩手前の風味が効いていると思った。

 スペインとフランスの違いはあるが、酒井氏と御茶ノ水「ビストロ・ヌー」の磯貝料理長は雰囲気が似ている、1980年と1981年なので同年代、二人とも若くしてオーナーシェフになり、特定の師には付かない独学派とも云うべき料理人。酒井氏はサッカー、磯貝氏はバスケットと元スポーツマン、どちらもイケメンで奥さんも美人(酒井氏妻は会っていないが皆の噂)、その結果当然として子供も可愛い(笑)。どんなに忙しくても飄々と料理を作る姿勢も同じ、何時も肩の力が抜けているように見える。若くして全てを手に入れたみたいな二人だが、話していても慢心は感じないので、謙虚さと向上心は、これからも失わないで欲しいと願ってしまう。
 2012年6月に始まったアルドアックだが、今では食通の間に知られる人気店として定着したと思う、私が「今後もこのスタイル(ワンオペ)で続けるのです?」と酒井氏に訊いたら、「店がこの狭さだし、誰かを入れてもあまり意味ないので、当面はこのまま続けるつもり」との応えだった、自分のやりたい事を続けるには、マイロードマイペースが最善で、結果長続きすると云う事かも知れない。
 店の形態はあくまでもバル的でありながら、スペインでは此処まで凝った料理を出すバルは見なかった、入り難さはあるが、興味のある人はまずはランチから行かれてみては如何だろう、但し予約は必須だが。
 次のブログ記事では、アルドアックの帰りに寄ったセレクトショップの事を書くつもりです。

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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
人はそれぞれに「見方、感じ方、考え方」が違います。私が美味と思ってもそう思わない人が居て当然です、味覚とはそれだけ不安定で不完全なもの、あくまでも筆者個人の嗜好による感じ方である事を承知の上で読まれてください。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに赤坂、麻布十番等。
混雑電車が苦手で加齢による朝型人間化のため、ランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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