最後の晩餐にはまだ早い


東麻布「ローブ(L'aube)」(2019年1月)

 私の方が年上なので、「おじさん」と呼ぶのは大変失礼な事を承知の上で、「足長おじさん」と私が勝手に呼んでいる(笑)、東麻布のフランス料理店「ローブ‘L’aube’」の関支配人より、「今月は、毎日ランチ営業しておりますので、機会ございましたらお立ち寄りください。」とのメッセージをいただいた。
 通常、ランチ営業は金曜と隔週の土曜だけだが、1月は定休日以外にランチ営業をするとの事で、今外食活動は昼中心になっている私にはありがたく、これは行くしかないと参上する事に、去年8月にやはり平日ランチに参加して以来だ。
 前回は暑い日に麻布十番駅から歩いたが、今回は寒い中を歩く、途中にあるブランジェリー「コメット」でパンを購入してから店へ向かうが、この辺りはビル風が強く、そのせいなのか歩いている人が少ない(笑)。
 店へ着き、隠れ家みたいな階段を上がると、其処は海の底みたいな雰囲気の空間、暫し雑多な日常を忘れさせてくれる。関氏に挨拶し、キッチン正面奥の席に座る、此処は初めてだが、コンサートホールならS席だなと思った(笑)。
 関氏からランチメニューの説明がある、1月のテーマは「柚子」だそうで、料理やデセールに柚子を使う、季節の食材で楽しみだが、此処へ来たらやはりデセールをもう一品追加したくなるので、お願いする事にした。

‘Featuring YUZU’
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・柑橘を使ったウェルカムジュースとテーブルオブジェ

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・アミューズ(チーズのチュイール、鹿肉のクロケット&ピパーズ、蟹肉のムース)

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・鎌倉の冬野菜 柚子風味の牡蠣のペースト

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・平瀬パティシェールが焼くブリオッシュ

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・同じく自家製バター

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・リ・ド・ヴォー(ローファットミルクのソース) 柚子

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・鴨胸肉(仏ランド産鴨 埼玉入間産原木椎茸 柚子パウダー)

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・柑橘 乳製品(クレームダンジュ 牛乳のアイス)

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・(追加)「冬の庭」(ヘーゼルナッツのジェノワーズ、ミルクティーのムース)

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・変わったカップに入れた、マリアージュフレールの紅茶(南米産)

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・フィナンシェ

 今橋料理長&平瀬パティシェールのコンビは、先日タイ・バンコクで料理フェアを開催し、好評だったそうだ、この日の料理も共通している皿があるとの事。
 まずは今橋氏お得意の鎌倉野菜の一皿から始まる、一見バーニャカウダ風だが、食べるとこれはバーニャガウダではなく、今橋料理だと納得する。
 続くリ・ド・ヴォーはこの日最も感心した料理、仏産仔牛胸腺をパネして、ローファットミルクと合わせたセンスは秀逸、良質な胸腺肉はミルクの香りがするが、おそらく牛乳でも試したのだと思う、結果脂肪分が邪魔だと考え低脂肪牛乳に柚子を加えたソースを選択した、この狙いは成功していると思った。
 一方鴨は安定の肉質と調理、ガルニに使った椎茸が印象深い、主役の鴨を食う程の名脇役になっている。
 デセール2品は文句の付け様がない、先日別の店で、PARISの某三ツ星店の一皿80ユーロ(約1万円)デセールの話が出たが、此処では追加一皿1,000円、これ注文しないでどうする?(笑)。
 現在、日本人料理人とパティシェは、本場フランスでも高い評価を得ているが、今橋&平瀬コンビの料理とデセールを味わうと、その理由が納得出来る。ディティールへの拘り、繊細な味付け、見栄えの良さ等、日本人の特質とされるものが伝わって来る。

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 壁に掲げてあるのは、平瀬パティシェールの父親が趣味で描いた荻須高徳調の油絵、PARISの街角を描いたものだそうだ、父親の趣味が油絵で、母親がパン教室を開いていた家庭環境で育った子供が、大人になり日本を代表するパティシェールになりつつある。やはり生育環境は大事だなと、油絵ともパン教室ともおよそかけ離れていた我家を想い、あらためて考え込んでしまう(笑)。
 2016年6月にオープンした此の店、開店2年半が過ぎて、今とてもいい状態になっているなと感じる、料理人とパティシェールを支える関氏のサービスも、目立たないながら秀逸だ。
 落ち着ける静かな雰囲気の中、繊細で見た目も麗しい料理とデセール、今の東京の食ステージを代表する一店になりつつあるのは間違いないと思う、何かの記念日に、大事な人との時間に、この店を選んで後悔はしない筈だ(笑)。
 たぶん次も昼間の訪問になってしまうと思うが、季節が変わったらまた来てみたい、そう思わせる何かがこの店にはある。


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小川町「ZeCT(ゼクト)byLm(バイエルム)」(2019年1月)

 此の日、何処かへランチと思ったが、朝から寒い日で歩きたくない、駅からあまり歩かないで済む店は無いか?と、軟弱な考えで、思い付いたのが去年9月以来の、小川町のイタリア料理「ZeCT(ゼクト)byLm(バイエルム)」、前回価格破壊的パスタランチが強烈な印象だった店だ。東京メトロ新御茶ノ水、淡路町、都営地下鉄小川町駅共通の通路出口から歩いて2分、寒い日や暑い日には最適だ。
 予約はしなかったが、此処なら外しても近隣には幾つも店があるので、まあ安心?(笑)。11時の開店後5分位過ぎていたが、既に女性一人客が二人席に着いていた、危ない出遅れる処だった(笑)。
 藤枝料理長に会釈し、ランチメニューを見るが4種類で前回と変わらず、近所で働いていれば、Aランチ(税込1,000円)かBランチ(1,300円)で十分と思うが、せっかく地下鉄乗って来たので、前回と同じくお任せパスタムニュのCランチ(2,000円)をお願いしてしまう、これ注文すると「さあ喰うぞ」と、アドレナリンが沸いて来る気がする(笑)。

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・ワイングラスではなく、家庭で使うみたいなグラスで出たのは、伊産‘Terre Cevico Albana di Romagna Secco’だと思った。こんなグラスで飲むのも悪くない。

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・グリーンサラダ、微かにニンニクの風味の効いたヴィネグレット
 
 此処から怒涛のパスタ攻撃が始まる(笑)。
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・コーンとチーズのクリームソース 40g

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・トマトとアンチョビのフェトチーネ 40g

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・ハムと玉ねぎ、バジリコ 50g

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・生ハムのペペロンチーノ 50g

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・ペンネのカルボナーラ 50g

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・茄子と黒胡椒 50g

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・ランチに含まれるドルチェから「塩味のパンナコッタ」

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・追加注文の「炙りチーズケーキ」を炙る。

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・完成品

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・エスプレッソ

 実は同じCランチを注文している客がもう一人居て、藤谷美和子さんの若い頃みたいな綺麗な女性、この人に藤枝氏が「パスタの量どうですか?」と訊き、女性が「もう少しあってもいい」と応えていた、私にも同じ事を訊いて来たので、ここは男子たるもの引き下がる訳に行かない、止せばいいのに、同じく「もう少し食べられる」と応えてしまった(笑)、それを聞いた藤枝氏は闘争心?が沸いたみたいで、一段と盛りがよくなった。
 前回来た時は5皿だったが今回は6皿、合計で280g明らかに食べ過ぎ(笑)。それでも過去最高は8皿で400g位だそうだから、どの世界にも上には上が必ず居る、400g級覇者のうち2人は女性だそうだ(笑)。
 各皿について細かく説明すると長くなるので、全体的な印象に留めるが、前回にも感じた事で、味のトーンは一定している、藤枝氏は一見マッチョな風貌だが、味の決め方は穏やかで優しい、濃い味付けでないから量が食べられる、気が付いたら沢山食べていたと云う感じで、ちょっと怖い(笑)。中でもカウンター前でサービス兼任の女性がパスタマシンで作った、トマト味のフェトチーネが特に良かった。
 別料金になるが、炙りチーズケーキは店のスペシャリテで、人気商品なので注文したくなる、クリームチーズを使ったレアチーズケーキにカソナードを乗せ、携帯バーナーで表面を炙ったものだが、これはアイディアの勝利だと思った。客の目の前で見せるパフォーマンスはカウンター席ならでは。
 藤枝氏から「食べるの早いですね」と、あきれられたが、「美味しさはスピードだ」は私のモットー(笑)。

 前回も感じた事だが、平日限定のこのパスタ乱れ食いランチをしていると、贅沢と云うか、罪深い事をしているなと背徳感に捉われる(笑)、昼間一生懸命働いている人達に申し訳ない気持ち。高級フレンチのランチだと、同じ気持ちでも、支払いの段階で現実に引き戻されるが(笑)、この店ではそれが無い。
 パスタ6皿、サラダ、ドリンク、ドルチェが含まれて税込2,000円ポッキリ、私は別料金の白ワインと炙りチーズケーキを追加したが、それでも支払いは3,500円いかない、これは築地場外の寿司ランチより安い(笑)、100均でない回転寿司でも、調子に乗って注文していると、この位になってしまう。
 多少とも食べ物の原価は知っているつもりだが、このランチはあまり原価に乗せていない事だけは判る、家賃の高い地域でこれ続けていたら、経営自体を心配してしまうのだが、店主はそれなりの考えがあっての事だろう。
 昼だけでなく夜も来ないといけないなと、あらためて思った、東京にこんな横紙破りな料理人が居た事を、つい最近まで知らなかった。ジャンルもタイプも違うが、料理を食べた充実感と支払額の乖離度では、西の「コーイン」に匹敵する。
 このランチに背徳感を覚える自分の弱さに打ち勝つためにも、また来ようと思った(笑)。


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稲荷町「キエチュード」(2019年1月)

 2019年最初のフレンチは何処へ行こう?と一応は考えてみたが、答えはすぐに出た、それは稲荷町の「キエチュード‘Quiétude’」、去年も此処だったし、何と云っても店の前が下谷神社だ、初詣と一緒に初フレンチが叶う、去年は特に新規訪問の佳店に出会えたので、今年もあやかりたいと思う(笑)。
 日比谷線上野駅を出て、東京メトロの入ったビルを背に浅草方面へ歩いて行くと、7,8分で下谷神社の裏に着く、そのまま神社をお詣りして、約束時間には早いかな?と店の方を見たらスタッフが店の扉を掃除している、これが終わるまで待とうと思っていたら、よく見ると掃除していたのは荒木料理長本人だった(笑)、新年の挨拶をする。

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 入店しカウンター奥に着席、既に食事を始めている卓もある。前日に予約していたのだが良かった、カウンターを除いたテーブル席は結局満席になる、いつも昼間は場所柄なのか年配客が多いが、此の日は何故か若い人が多かった。
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 厨房内は男性が2人、店内サービスが男性1人で皆若い、荒木氏は厨房と店内両方をサポート統括している、総席数18に対しスタッフ4名の体制は、高級店は別にして「キエチュード」クラスの店では珍しいと思う。

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 あらかじめお願いしていた3,000円(税別)のランチメニューとカトラリーセッティング。

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 白ワインは、仏ラングドックChateau Rives-Blanques DÉDICACE2016 

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・カブのスープ 菊芋のチップを乗せて(Soup de Navet)

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・パン

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・真ダコのマリネと鎌倉野菜のサラダ(Salade de Poulpes Légumes KAMAKURA)

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・あんこう 小海老 麦(Lotte,Crevette,Blé)

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・宮崎県産あべ鶏の香草パン粉焼き(Poulet Sauter au Diabre)

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・栗とホワイトチョコレートのフォンダン(Fondant au Marron et Chocolat blanc)

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・コーヒー

 この日は寒かったので、アミューズの蕪のスープは嬉しい、ほっこりする優しい美味しさ。続く前菜は荒木氏のスペシャリテ的サラダで、今回は正月を意識し茹で蛸を使っている、マヨネーズ風のソースに加えたナッツのクリスピー感が効いている。
 魚は冬が旬の鮟鱇、塩昆布を使うのは荒木氏のオリジナル、ガルニにした麦のリゾットが面白い。笑い話だがフランスへ行き始めた今から20年位前の事、カルト中の‘Lotte’が鮟鱇と分からず、「これ何だ、チョコレートを使っているのかな?」と、連想したのを覚えている(笑)。
 肉料理は宮崎鶏を使ったディアブル、直球料理だが、ちゃんと作ったものは美味しいと云う実例、ガルニにしたクミン風味のレンコンがいいアクセントになっている。
 キエチュードの魅力の一つがデザート、開店当初店を手伝っていた荒木氏の奥様は元パティシェールで、荒木氏自身もデザートは好きとの事、それは毎回造りに現れていると思った、今回も得意の熱い流れるチョコレートを使った逸品、シャンパーニュとオレンジを使ったムースの冷たさと良い対比になっていた。
 料理全体としては安定して美味しいし、この値段だから高級食材を使えなくても、要所を抑えていて十分楽しめる内容、やはり料理はセンスだなと思う。高価な服ばかり重ね着しても、下品なファッションにしか見えない人も居るし、ユニクロ等のファストファッションでも、いつも小ぎれいな印象を与える人が居るように、大事なのは内面、ハートなのだと云う事か。

 2015年5月に、下谷神社の目の前と云う、かなり思い切ったロケーションの地にオープンしたキエチュード、初めて利用した時に「此の店はきっと流行る」と思ったが、予想どおりになった、今では他にも神社仏閣近くのヨコメシ系が増えている気がする、窓から墓石が見える店もあった(笑)、誰かが成功すると必ず後を追うものが現れる。
 現在調理は若い男性2人がメインになり、荒木氏は全体の仕上げや皿出しを主にしている、何でも自分が先頭で居ないと気が済まない料理人ではなく、次世代を養成しながら店を盛り上げて行こうとするタイプに思える、それも一つのやり方だ。店として次のステップも計画しているみたいで、これは楽しみにしていいと思う(笑)。
 天気も良かったし、気分のいいフレンチ初めになった。


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葛飾水元「Le Clair(ル・クレール)」

 銀座アスター金町店からの帰路、遠回りしてでも寄りたかったのが、葛飾区水元3丁目にあるパティスリー「Le Clair(ル・クレール)」、11月に初訪問をしていて、ケーキ類のクオリティと値段の安さに注目して、もう一度行って別のケーキを買ってみたいと思ったからだ。
 JR金町駅から、水元公園へ向かって北上、左に葛飾清掃工場の大きな煙突が見えるが、その清掃工場と同じ広い道路に沿って店はある、アクセスはよくない、公共交通では金町駅からのバスがあるだけ、車か自転車で来るしかなさそう、近くに専用駐車場は用意しているみたいだ。
 2007年の創業、洒落た外装の店舗は遠くからも目立つので、店の存在は知っていた、ただ自転車でケーキを運ぶには微妙な距離だったので、今迄利用した事はなかった。水元公園の帰りに行ってみたら好印象だったので、早速裏を返す事に。

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 PARISに在ってもおかしくない、フランス風な彩色塗装の外観、これは初回訪問時の画像で、「クリスマスケーキご予約承り中」の張り紙がある。

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 店内へ入ると其処はパティスリーの顔と呼ぶべきガラスケース、全体的に小さめなサイズで値段も1個400円前後と安い。販売担当は若いコックコート姿の女性、店内撮影の承諾は受けています。

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 それ程広くはない店内、入って右側が焼き菓子などを置いてあるコーナー、ありがちな「ウチはパティスリーなんです」みたいな高踏的な雰囲気はなく、親しみ易さを感じるが、子供ウケ狙いのアニメキャラ的なものは無く好感持てる。
 2回に分けて買ったのだが、以下に全てを紹介したい。

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・モンブラン(税込420円)
 寿司屋が鮪ならパティスリーはモンブラン(笑)、実力を判断するには最適なアイテムだと思う。此の店は中が伝統的な焼メレンゲ、マロンクリームは和栗ではないと思うが、薫り高く美味しい、420円は安いと思う。

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・カフェリエ(405円)
 初回購入時に一番気に入ったのがこれ、良質なチョコレートを多く使い、味を印象深くまとめている。レストランデセールでも感じる事だが、チョコレート系は質つまり値段で出来に差がついてしまうと思う、これだけいいチョコレートを使いながらこの値段で出せるのは立派。

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・アリュメット・ポンム(270円)
 アリュメットとは仏語でマッチ棒の事、表面の焼いたパイ生地が棒状なので、そう呼ばれるそうだ、リンゴを使った焼き菓子、これも値段の割にしっかり作っている。

 初回で気に入ったので、2回目に買ったのは以下のとおり。
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・ガトーショコラ(395円)
 自転車で運んでいたので、上のクリームが崩れてしまった、それよりこのクリームは必要ない気もしたが、本体の出来はいい。

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・小豆とほうじ茶(395円)
 少し系統の違うものを買ったのだが、ビスキュイみたいな生地で小豆とほうじ茶のクリームで挟んでいる和風なケーキ、味は悪くないが、何かもうひと捻り欲しい印象。

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・キャラメルとガナッシュ(415円)
 2回目ではこれが一番良かった、キャラメル味ブームが続いているが、上手くチョコレートガナッシュと合わせ、印象深いものにしている。

 総じて印象は、チョコレート系はとても評価できると思った、いいクーベルチュールを使っているし仕上げも丁寧、その割には値段が安いのは魅力だ。
 最近は葛飾・足立でも1個600円以上のケーキを売るパティスリーが登場している、「随分強気だな」と思う事あるが、それなりに客を集めているし、客はパティスリーを選ぶ際に値段の要素は考えていないのかも知れない、今は物の本質やコストパフォーマンスより、有名シェフが居る、みたいな話題性やインスタ映えで店を選ぶ時代になって来ている?(笑)。
 此の店のシェフパティシェールの経歴等は不明だが、実力ある人なのは全体の造りを見て味わえば判る、そして地域と共存して続けて行こうとする姿勢には好感が持てる。個人的にこうした小規模店は元々好きで、作った人間のイデーが伝わって来て、会話をしているような体験はレストランも同じだか、私が一番大事に思うものだ。
 アクセスはあまりよくないが、水元公園に行く時には寄ってみる価値ありと思う。


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金町「銀座アスター 金町店」

 年末に姉と電話で話していて、昭和52年(1977年)に58歳で死んだ父親の話題になった、その後に思い出したのが、何回か銀座アスターの金町店へ行った事、晩年糖尿病から脚が悪くなっていたので、亀有にある実家近くでタクシーを拾い行ったのを覚えている。
 そこで急に店を訪れてみたくなった、父の死後全く行っていないので、最後は1976年としても42年ぶりと云う間隔、オリンピックが10回あった事になる(笑)。
 タクシーだと、いかにもわざとらしくお金もかかるので、自転車で行く事にするが(笑)、我家から距離があるので、年末の寒くなく風のない日に実行した。
 中川に架かる飯塚橋を渡り、当時は影も形も無かった東京理科大学キャンパスの傍を通ってJR金町駅前へ、北口正面にある東急ストアの2階が店舗、これは当時と変わっていない。
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 料理サンプル、デジタル時代になって画像表示が多くなり、これを使う店は少なくなった、どれも特注品らしくお金がかかっている、「銀座アスター金町店50周年特別メニュー」と記したパネルがあるので、開店から半世紀過ぎた事になる、チェーン店とは云え、入れ替りの激しい東京の食業界で稀有な事だ。
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 ランチや点心類のメニューが入口の階段下に掲げてある。
 2階に上り入店、予約はしていないが空いていたので問題なく座れた、ランチメニューをあらためて見る。ランチセットは1,500円、2,000円、3,500円(税別)の3種類、この他に麺類や点心、一品料理がある。
 40年以上前に何を食べたかハッキリ思い出せないが、酢豚と春巻は覚えている、主菜に酢豚を選べる2,000円のセット「桂花」にして、追加で春巻(2個400円)をお願いした。
 店内は当時からは改装されているが、椅子の配置の仕方は何となく記憶がある、天井のダクトカバーが恐ろしく古くて、これは昔と変わっていないと思う(笑)。
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・無料と云うより料金に含まれる(笑)中国茶

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・前菜5種(湯葉の和え物、イカの湯引き、叉焼、胡桃、茹で海老)

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・玉子スープ

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・酢豚

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・搾菜、大根と人参和え

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・ご飯

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・春巻

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・セットに含まれる焼売

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・杏仁豆腐

 料理全体の印象は、尖った処や突き抜けたものは感じないが、味付けが穏やかで優しく上品、日本人が好む日本で発展した中華味だと思った。前菜5品はどれも素材が良く丁寧に作っている、スープはこれと云って特徴ないが安心できる味。
 懐かしい酢豚は、最近流行の黒酢使用ではなく白酢と醤油が味ベース、トマトケチャップは使っていないと思う。豚肉は肩ロース部位か?肉質がもう一息だが、全体の味のまとめ方はいい、味の記憶は美化しがちだが、久しぶりでも美味しかった、ご飯はまあ普通のレベル。
 春巻は揚げたて、中身は豚肉や筍、椎茸の一般的なものだが、これも家庭とは違うお金の取れる味だった、焼売と杏仁豆腐はごく普通か?(笑)。
 これ全品で2,592円、たしかに安くはないが、今街中では中国や台湾の人がやっている中国料理店が増加し、私も値段の安さに惹かれて利用する事も多い、やはりそれとは味の作り方が違う、どこか懐かしく、子供の頃「中華料理って美味しいんだ」と、驚いた気持ちが甦る。そして私にとっては久しぶりに父との思い出に浸る事ができた、酒は全く嗜まなかったが、食い意地が張っていて偏食、寿司屋に行ったらトロばかり食べ、とんかつ、ラーメン等今の私が好む、身体にあまりよくない食べ物が好きだった、血は争えないようだ(笑)。
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 平日ながら客が次々と入って来る、年齢層は高めだ、一人客も数人、父母と娘、その子供と3世代と見える5人連れも慣れた様子で食事を始めている。「日常のちょっと上」と云う価格帯だが、根強いファンは居る、そうでなければ50年続かない筈だ(笑)。店内サービスは制服を着た女性陣で感じのいいものだった、厨房からコックコート姿の、おそらく料理長と思われる人が出て来たが、日本人だと思う。
 WEB情報によると、銀座アスターは昭和元年(1926年)東京銀座で、日本人矢谷彦七により創業、戦後支店を増やして、現在では全国40店舗で展開、この他にデリカショップもある、金町も1階の東急ストア内で中華惣菜や饅頭等を売っていたそうだが、残念ながら2017年2月で終了してしまっていた。
 まずは平成が終わる前に来られて良かった、記憶だけでなく、今でも美味しいと思ったので、また来てみたい。何を食べたか、父とどんな話をしたか、もっと思い出せそうな気がする(笑)。


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麻布十番「リストランテ・ジャニコロ・ジョウキ」(2018年12月)

 年末恒例の「今年印象に残った店」をまとめるため、去年1月からの料理画像を見ていたら、行こうと思いながら行けてない店が幾つかある事に気付く。ブロガーの業みたいなもので、既に記事で紹介済みの店より、新規オープンや未訪問の店に行ってみたいと思う、よく云えば好奇心、悪く云えば助平心(笑)が出てしまうので、既訪問店は後回しになりがちだ。
 私の場合は現在現役をリタイアしていて、食に使えるお金も限られる、その中で偏らないよう店を選ぶのは結構難しい、時にブログなど始めるのではなかった、自分の好きな店だけ通っていれば、残りの人生幸せなのでは?と思う事もあるが、「ブログ楽しみに読んでいます」との声を聞く毎に、思い直してしまう(笑)。
 今回訪れる麻布十番のイタリア料理「ジャニコロ・ジョウキ」も、前回利用時から1年以上経っていた。内野料理長は前店のピッツェリア時代から注目していたので、今どんな料理を出すのかは興味大、賑わうXmas前にランチ訪問する事に。
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 平日ながら賑やかな歳末の麻布十番商店街を上り、ダイエーを過ぎると、店の入っているビルが見える、エレベーターで9階へ昇りドアが開くと其処はもう店内、雑多な日常を忘れる空間になる。
 サービス担当の木津氏に挨拶し、眺めのいい窓際に座らせてもらう、開店時間の12時だったが既に数組着席し、この後も次々と来客があり、1卓を残して全て埋まった、それも全員女性で平日昼ながら賑わっている。昔1月15日は「小正月」と呼ばれ、女性が中心になって新年を祝っていたそうだが、まるで「小Xmas」とでも云いたい雰囲気の中、親父が一人で浮いていた(笑)。
 内野氏にも挨拶し、始まったランチメニューは以下のとおり、通常よりドルチェが1品増えていると思う。

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・寒ブリのカルパッチョ、紅くるり大根のサラダと青リンゴのピュレ

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・伊ソアーヴェANSELMI San Vincenzo2017

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・自家製フォカッチャ3種

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・白子とかぶのフレーグラ(リコッタチーズ)

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・ウニとなめこのタリオリーニ

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・(鳥取産)イノシシのロースト

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・切り分けて、付合せは黒キャベツ、杏

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・鬼おろしで摺った梨、ヘーゼルナッツのジェラート

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・リンゴのキャラメリゼと安納芋の焼き芋

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・エスプレッソ

 まずは目が覚めるような、見事な彩りのカルパッチョでスタート、提供の仕方に一工夫があり、ネタバレになるといけないので、これは行ってからの楽しみに(笑)。
 色彩の後には白子と蕪で表現する白の世界、フレーグラはサルディーニャ島の粒状パスタで食感が面白い、白子の柔らかさ、フリーズドライ?のリコッタと共に三種の食感を楽しむ料理。もう一品のパスタはウニとナメコ茸を合わせたタリオリーニ、これも意外な相性で狙いは成功していると思った。
 肉料理は鳥取産の猪、マルカッサンより少し大きくなった肉質で、豚とは違う野性味を感じる歯応えと香り、脂の旨さが印象的だ、黒キャベツの酸味と杏の甘味も合っている。
 ドルチェ2品も良かった、特に1品目の梨とヘーゼルナッツはアイディアが秀逸。
 何時も感じる事だが、イタリア料理はフランス料理に比べて頂点が前に来る、パスタが旨いと思っても、肉料理やドルチェがシンプル過ぎて、後の印象が薄れがちだ。一方フランス料理ではメインで頂点が来て、デセールで華麗なフィナーレを迎える、私がフランス料理を好きなのは、その交響曲的構築の仕方に惹かれるからだが、さらに云うと和食では二品目か三品目の椀物で早くも頂点が来てしまう(笑)。
 内野氏はフランス料理も好きで、よく食べに行っている、イタリア料理との違いや日本人の好みを理解しているので、この日の料理も頂点の置き処も含め、いい構成だったと思う。でも彼は外食する割には以前より更にスリムな体形で、全く太らないから羨ましい限りだが(笑)。
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 2016年8月に、近くにある「ピッツェリア ロマーナ ジャニコロ」のバージョンUP店として始まった此の店、開店時から料理長に就く内野氏だが、当初は客層との関係なのか、ピッツェリア時代に比べると料理は慎重になっている印象もあった、開店2年が経ち、ようやく本領発揮して来たかなと思った。
 発想が自由で、普通なら考え付かない素材の組合せをする、これは「フロリレージュ」の川手氏的だ、料理細部の仕上げや色合いの斬新さは、「ル・スプートニク」の高橋氏を連想させる。自然光に映える彼の料理は、夜とはまた違う魅力を見せる、麻布十番に集まるランチ女子達が惹かれる理由も理解できる、周りから聞こえて来る話は、東京下町とは次元の違うハイソなものだったが(笑)。
 内野氏からは「来年は、もっともっとワクワクするお店にしていきます。」との言葉があり、2019年は更に楽しみにしていいと思う。


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竹ノ塚「ラスミプージャ」

 皆様、明けましておめでとうございます。
 このブログも丸7年を過ぎ8年目に入りました、東日本大震災後に、日本の飲食店を応援したいとの想いから始めたのだが、此処まで続けられたのは、時に応援の言葉をもらう皆さんが居たからと思います。
 筆者の気力体力、財布の中身次第ですが、今年も持続可能な限り食と人について語りたいと思います。収入も限られた身なので、高級高額店は少なく、地元中心のランチ訪問が多くなりますが、時間があればお付き合いください、なお新年を迎えブログデザインを変えてみました。
 年初は旧年中の店訪問記事になりますが、初回は地元のインド・ネパール料理店から。

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 竹ノ塚に用事があって、ついでに何処かでランチと思い、行ってみたのは竹ノ塚駅東口商店街中にある「ラスミプージャ」、埼玉県南部と東京足立区で多店舗展開しているインド・ネパール料理店で、竹ノ塚にも西口、東口両方に店舗がある。今回記事にする東側の店は2014年8月の開店、ネット上の評判は割と良かったので選んだ店だ。

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 昼の開店一番乗りになってしまったが、店内は外から想像するより広い、全部で50席あるとの事、何かの居抜き店舗に入る事の多いインド料理店だが、前は何だったのだろう?

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 何処でも座っていいみたいなので、入口右側のベンチシート席に座りランチメニューを見る。
 単品カレーのセットだと700円(税込)~900円、他に5種類の組合せメニューがある。せっかくだから、男子でも注文可な事を確認して(笑)、「レディースセット」(税込1,080円)をカレー中辛でお願いした、性多様化の観点からだと、この名称も適当でないのかも知れないが。
 注文を取りに来たのは、頭に小さな帽子を乗せた、たぶんネパール人だと思う男性、ちょっと不愛想な感じで、愛想のいい人が多いこの種の店では珍しい。「不愛想な店は料理が旨い」と云われたのは昭和だが、その点では期待していいか?(笑)。

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 まずはインド料理店では定番の、サウザン系ドレッシングのかかった小さなサラダ。

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 これがレディースセット、手前から白飯(日本米)、マトンカレー、ダルカレー、マンゴーとヨーグルトのデザート、真中がチキンティカ。
 選べる2種のカレーでは特にダル(豆)カレーが良かった、他店ではガルバンソー(ひよこ豆)を使う事が多いが、此処ではフランス料理店でも使うレンティル(レンズ豆)で、個人的にはこちらの方が好み。スパイスの効かせ方、味のエッジも決まっている、2種類のカレーが味の方向性が違うので飽きない、店によっては焼き過ぎで時間が経った物が出るチキンティカもいい、惜しむらくはご飯がバスマティライスでは無い事か。

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 ナンは普通の大きさ、味もまあ普通に美味しい、表面に塗った油なのか、叶姉妹の肌みたいに妙にテカテカしていた、勿論実物は見た事触った事ないですが(笑)。

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 ホットチャイ、これは可もなく不可もないと云う印象。

 インド・ネパール料理は、我家の近くと云っていい場所に佳店があったが、料理人が変わったのか最近どうもパッとしない、これからインドカレー食べたくなったら、少し遠いが此処まで来ようと思った(笑)、愛想はなくても味に関してはなかなかヒットだと思った店。

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 ランチ後にATMでお金を出そうと、商店街を駅の方へ進んだら、途中にあったのが「香港デリ 美龍」と云う店、以前自転車で走っている時に此の店を見た記憶があった、餃子、小籠包、肉まん(包子)その他中華デリを売っている。見ていたら中から中年女性が出て来て、中国語訛りで「どうぞ、いらっしゃいマセ」と勧める、店内にはイートインスペースもあって、饅頭や麺類の提供もしている様子だ。
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 カレーを食べた後だったので、昼食ダブルはさすがに無理(笑)、肉まん(税込200円)、野菜まん(180円)、黒ゴマあんまん(180円)の饅頭3種を買って帰った。
 久しぶりに中華蒸籠を出して温め食べてみたが、余計なものを入れないシンプルで家庭的な味と云う印象、なかなか良かったので、今度はイートインで麺も試してみようと思う。
 同じ商店街の中に、インド&ネパールの人がやっているインド料理店と、中国系の人がやっている中華デリ店が共存しているのが、今の東京を表しているなと思う(笑)。この商店街は珍しくシャッター閉めた店が少なく活気がある、今衰退するだけの商店街を活性させるには、外国人の力が必要と云う事かも知れない
 良さそうな豆腐店も見つけたし、また探訪に来たい商店街だ(笑)。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
人はそれぞれに「見方、感じ方、考え方」が違います。私が美味と思ってもそう思わない人が居て当然です、味覚とはそれだけ不安定で不完全なもの、あくまでも筆者個人の嗜好による感じ方である事を承知の上で読まれてください。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに赤坂、麻布十番等。
混雑電車が苦手で加齢による朝型人間化のため、ランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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