最後の晩餐にはまだ早い


大阪・玉出「びすとろぽたじぇ」(2019関西食べ続け-1)

 毎年2月の恒例になった関西への食遠征、今年は月曜日で休みの店が多い事もあり、「大阪の我家」と私が勝手に思っている、玉出の「びすとろぽたじぇ」からのスタートに決めた。やはり月曜休みの業界の友人が参加してくれる事になり、親父達3人が並んでカウンター席を占領すると云う、あまりビジュアル的ではない状況に(笑)。
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 18時半の集合時間前に店に着いてしまったが、此処なら一人で待っていても我家みたいなものだから心細くない、テーブル席では小さな子供を連れた夜のママさん会?が、あんな小さい頃からフランス料理店に連れて行ってもらえるのは羨ましいなと、自分の子供時代を思い、つい僻んでしまう(笑)。

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 友人二人も到着し、まずはメニュー選びからだが、食べたい料理ばかりで悩んでしまう(笑)。定番のスペシャリテは紙メニューにあり、黒板には「本日の料理(Plat de jour)」が記してある、真っ先に目に留まったのが「サーモンのクリビヤック」、二人前だけど食の細くない?今日のメンバーなら前菜に出来る(笑)、「これお願いしましょうよ」と半ば強引に決めた、その他を含めて私が選んだ料理は以下のとおり、

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・アミューズ(蕪のスープ、柚子の皮)

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・コンソメドーブル

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・リエットとバゲット

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・自家製ロースハムと野菜のマリネ添え

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・サーモンのクリビヤック(焼き上がり)

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・3人で切り分けて

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・ナヴァランダニョー

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・シャリオデセール

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・私が選んだ
 右から、チョコレートのテリーヌ、アップルタルト、プリン、コーヒー風味のブランマンジェ、パイナップルのソルベ

 寒い日には嬉しい温かいスープの後には、肥田総料理長の自信作みたいで、スープが重なる事を承知の上で、少量出してくれたのがコンソメドーブル、これ作り方は訊いていないが、相当手間がかかっている事だけは、私の俗な舌でも分かった(笑)。
 自家製ハムは以前にも食べているが、あっさりとした味わいの中に肉の旨みと香りが感じられ、付け合せのキャロットラペとセロリアックも秀逸。
 続くクリビヤックはロシア宮廷起源の歴史ある料理、鮭、茹で卵、米、ほうれん草を層にし、生地で包んで焼いたもので、「パイ生地ではなく、ブリオッシュ生地で包むのが正調」と、肥田氏が力説していた。この料理私はおそらく初体験だと思う、酸味のあるソースショロンなので、「スズキのパイ包み焼き」とイメージが重なるが、鱸と鮭の肉質の違いから、より濃厚で印象深い料理になっている、仕込み段階から相当手間と時間がかかっている筈なのに、親父達はあっと言う間に完食(笑)、フランス料理は料理とソースが一体となる事で完成するとあらためて思う、これは得難く忘れ難い料理体験になった。
 続くナヴァランダニョーは仔羊の煮込みだが、クリビヤックが宮廷料理ならこちらは家庭料理風、フランスでは「母の味」ではなく「祖母の味‘Le goût de grand-mère’」と云うそうだが、素朴でシンプルながら味に奥行きがあって懐かしく優しい、食べていると涙腺が緩むような料理だった。肥田氏の話では、煮込み時にフォン(出汁)や酒類はあえて使わず、野菜と水とスパイス、皿上には仔羊とひよこ豆だけで、「シンプル・イズ・ベスト」を狙ったみたいだ、それが見事にハマったので、経験豊富な親父達も唸る(笑)。仏映画「大統領の料理人」の中で、大統領(ミッテラン)が、専属料理人になった女性主人公に、「私が食べたいのは素朴な家庭料理なのです」と話す場面があるが、あれを思い出した。若い男性を落としたいのなら母の味、高齢男性を落としたければ祖母の味、どうやらこれだ(笑)。
 嘘か本当かは不明だが、「ワゴンデセールの店は星が付かない」との噂がある東京では、取り入れる店が減ったワゴン(シャリオ)によるデザート提供、でもこうして並ぶのはスイーツ好きには嬉しい(笑)。フランスは20世紀に大きな戦争を二度経験し、国土も人の心も荒廃、まともな食べ物がない時代があった、戦後「食べる‘Manger’」は、何より優先された事だ、このスタイルはその名残とも思えるので、あながち古いと否定できないし、特に昔を懐かしむ私の世代には訴えるものがある、此の店が提供するデザート類は今風な華やかさが見られないかも知れないが、どれもしみじみと味わい深いものだ。

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 親父達の昔話は何時果てるともなく続き、店の若いスタッフには聞いているだけで苦痛だったのでは?と思うが(笑)、楽しくて濃い関西初日の夜になった。私は「今迄、フランス料理を食べ続けて来てよかった、いい仲間といい経験を得る事が出来た、これで帰りに飛行機堕ちても、もう悔いる事ない」とも思えて来た、でも一部の人には残念だったかも知れないが、結果何も起きなかったが(笑)。
 肥田料理長とスタッフの皆さん、そしてこの夜参加した在関西の素敵な友人達、ありがとうございました。
 満腹の退店後、近くに在るマスコミでも知られた「スーパー玉出」を社会見学して、ホテルへ帰った、「さあ、明日は浅草か」ではなく「明日は神戸」(笑)。


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仲御徒町「富白」

 今回記事の店を知ったのは、或るブログでの訪問記から。興味を持ったのはまず場所、調べてみると地下鉄日比谷線の仲御徒町と秋葉原駅の間で昭和通りに近い、十分私の活動範囲だ(笑)、そして珍しい塩ラーメン&タンメンの専門店で、野菜山盛りながら見かけ雑でない丼の画像に惹かれた、ディスカウントストアの多慶屋へ行く用事があったので、行ってみる事にした。
 スマホ地図を見ながら歩いたが、仲御徒町駅の1番出口を出ると昭和通りの歩道になるが、そのまま秋葉原方面へ進み、左側にある御徒町食堂の角を左に曲がるとすぐの場所に在った、2012年の開業だそうで、この辺りはよく歩いていたのだが、リサーチ不足で知らなかった。

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 開店時間の11時半に店前に着いたが、まず店の外観がいい、3階建てのビルの1階部分、クリーム色のテントの端に「富白」(「とみしろ」と読むそうだ)の文字だけ、暖簾も白無地と一見何の店だか判らない、増加する大陸系中華の店とは正反対の地味な見た目で、この辺りに店主の味への自信みたいなものが伺える。

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 入口の壁には品書きが貼ってあり、6種類だが基本になるのは「鶏塩拉麺」か「鶏塩タンメン」のどちらか、野菜量の違いみたいだ。

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 入店後、入口すぐの場所に食券の自販機がある、ブログで見当を付けていた「鶏ぶた塩タンメン」(税込880円)に決め、カウンター席に座る。

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 カウンター7、テーブル4の計11席、店内は中年夫妻の対応で、夫が調理、妻が配膳を担当する。広くはないが清掃が行き届いている厨房、ステンレス壁板に汚れが貼り付いていないのは、こまめな清掃をしているからだろう。真ん中にあるのが店の命とも云うべき塩ダレ、もやしは「分福」を使っている。

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 水は最初の一杯からセルフ、このやり方が多くなった。

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 こんな周知をするのは、きっと文句を云う客が居るのだと思う、困ったものだ(笑)。

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 箸は割箸ではなく共用の洗い箸、これも多くなった。
 主人が作るのを見ていたら、まず中華鍋で野菜を炒め、そこへスープを注ぎ野菜に火通しして味を調え、そのスープを丼に注ぐやり方、昔のタンメンの作り方だ、今は手間を省いて鍋で茹でただけの野菜を後乗せする店も多い、これは期待が持てそうだ(笑)。
 厨房内の夫妻の動きがいい、夫が麺を茹で始めると妻がすかさず麺の容器を片付ける、出来上がりを見計らって丼を並べ、麺が盛られたら妻が平らに解すなど、二人の連携が見事、この辺りは昔の東京下町の中華料理店そのままだ。

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 出来上がった「鶏ぶた塩タンメン」、事前情報と同じく野菜大盛り、醤油の煮豚叉焼ではなく、塩豚を炙ったような肉が乗る、盛付の直前にカセットバーナーで温めていた、プラス110円の「ぶた」は3切れ乗るが、正直云うとちょっと寂しい(笑)。
 まずはスープからだが、一口啜った時点で、太宰治「斜陽」の冒頭みたいに「あ」と声を挙げたくなった(笑)、懐かしい昭和タンメンの味がする、これが食べたかった。巷間「二郎系」と呼ばれるラーメンも野菜大盛で見た目似ていても、あちらは豚骨ベースなので、もっと味がしつこい、この店は脂を抑えた鶏ベースの出汁、あくまでも優しく懐かしい。

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 麺は中太で食感しっかり目、これは昭和というより平成気味(笑)、自家製麺では無いと思う。
 全体の味わいは店の印象同様に尖らず穏やかで繊細、おそらく無化調だと思うので、普段濃い味に慣れた人には頼りなく感じるかも知れない、途中で胡椒を加えると味が変化するから、食べる時は最初そのままで、途中から胡椒振りがいいと思う(笑)。
 私は子供の頃野菜嫌いで、タンメンは苦手だったが、成人して野菜も食べるようになってからは注文する機会が増えた、実家に居た時は中華料理店に出前を頼む事も多く、定番の一つだった。最近ラーメン専門店が増え食べる機会が減っていたが、久しぶりな事もあり美味しく嬉しい気分になれた。
客の大半は同じタンメンを注文している、店を出る時には席空きを待つ客まで居た、隠れたタンメンファンは結構居るようだ、若い客が多く彼・彼女達でも、このあっさり系味を好むなら、日本の外食将来にも希望を持てそう(笑)。
 地元で行く昭和的中華に比べると、値段は少し高めに感じたが、減価償却の終わった古い店と同等に比較しては気の毒だろう、これからも此の地で続いて欲しいと願ってしまう。不思議な事に画像を見ながら記事を書いていると、また食べたくなっている(笑)。

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 店を出たらコーヒー&甘い物が欲しくなり、同じ昭和通りにあるベローチェに入り、コーヒーと生チョコケーキを買ってしまったが、ベルギー製チョコレート使用とある、税込350円のケーキは予想以上にいい、この種の店の提供アイテムは以前よりレベルUPしていると感じる、個人店はこうした企業系と競争しないといけないので、生き残りは厳しくなる一方だ・・。


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鎌倉「イル ノード」

 朝から冷たい雨の日だったが、楽しみにしていた鎌倉遠征を実行する事に。
 勿論大仏を観に行くのではなく(笑)、以前中野新橋にあったイタリア料理「タクティー(Tucktty)」で料理長を務めていた松井昭憲氏が、オーナーシェフとして昨年9月にオープンさせた「イル ノード(IL NODO)」を訪れるためだった。
 我家からは約2時間かかるが、幾つかあるアクセスの内「一番安い」だけの理由で、千代田線~副都心線~JR横須賀線のルートを選ぶ、それが横須賀線の遅れにより、横浜駅のホームで待っている時間が実に寒かった(笑)。
 鎌倉駅に到着するが訪れるのは13年ぶりで、2006年に旧神奈川県立近代美術館で開催された「チリーダ展」以来だった。駅前から続く小町通りを歩くが、春節中だった事もあり、中国人観光客らしき男女が目立つ、彼・彼女達を呼び込もうとする飲食店員の掛け声も大きく、浅草仲見世みたいな雰囲気になっていた。この小町通りから一本脇の道になると急に静かな住宅地になるが、この中に「イル ノード」の入った集合建物がある。
 1階が別のイタリアン(トラットリア)で、その上に店が在ると云う、なかなか大胆なロケーション(笑)、2階へ上るのが今珍しくなった螺旋階段で、非日常へトリップするみたいな、いい雰囲気を出している、建物に沿って植栽の緑が多く、松井氏はこの場所を見て「此処しかない」と即決したらしいが、その理由も分かる。
 ドアを開けると松井氏が待っていてくれた、「タクティー」以来だから、2年半ぶりだ。カウンター6席とテーブル6席だが、現在松井氏のワンオペで営業しているので、カウンター対応をメインにしている。
 調理する松井氏の目前に座り、始まった料理は以下のとおり、

‘CORSO IL NODO IN INVERNO’~鎌倉の畑と逗子の海 そして春のお知らせ~
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・渡辺農園より 三浦大根のポタージュ、小坪漁港・かず丸さんよりブダイ 初摘みワカメ

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・活サザエ ブロッコリーとルッコラの“春を知らせる”ほろ苦いサラダ

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・地のサバ 渡辺農園小松菜 グリーンマスタード

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・冬の平スズキ カダイフ 渡辺農園の人参をとことん味わう

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・自家製フォカッチャとパン

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・小坪漁港の愉快な仲間たち(平目、浅利、蛤、新ワカメ)と鎌倉の美味すぎるネギ

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・タリアテッレ 小坪のメジナと浅利 渡辺農園の野沢菜と柚子

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・北海道蝦夷豚ヒレ肉 藁 1月の菜の花 玉ねぎ(ココットに入れて)

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・同(皿に盛って)

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・鎌倉のもものすけカブ 山椒 トンカ豆のパンナコッタ

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・信州水野農園・リンゴ“富士”のクラフティ 青いあいつ

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・MUI(旧もとえ珈琲)のおまかせ焙煎コーヒー(コスタリカ種)

 松井氏は鎌倉在住で店へは自転車通勤している、中野新橋時代も鎌倉の農園販売所から野菜を担ぎ、小坪の漁師から魚介を届けてもらっていた。独立するにあたり、その仕入ルートを第一に考えたので、この地を選んだそうだ、食材優先の理由も料理を味わうと理解出来る。
 まず何と云っても野菜の質が抜群、味に力がある上に柔らかさも備えているので、他の食材との相性がいい。「鎌倉野菜」はブランド化して生産農家も増えているが、松井氏は以前から付き合いがあり、信頼できる生産者を選んでいると聞く、実際に畑で農作業を手伝う事もあるそうだ。
 特に印象に残った皿を挙げると、大根のポタージュ、鯖と小松菜、スズキと人参、タジン鍋で調理した魚介と葱、豚と菜の花だが、中でも人参の鮮烈な旨さは衝撃的だった、甘さだけでなく味に深さがある、これは「今年印象に残った料理」の候補入りした(笑)。
 他店と違うのは、主役が野菜で魚や肉が脇役だなと感じる事、東京以外で野菜料理に特化したレストランは他でも経験したが、松井氏の料理は何処とも違う、野菜をオペラ歌手に例えれば、個性を押さえ付け全体に従属させるのではなく、かなり自由に歌わせている指揮者と云う印象。一人厨房なので、液体窒素を使うみたいな技法やディティールに凝った料理はしない、それがかえって良い方向に行っているのでは?と感じた。

 松井氏は歴史ある「サバティーニ青山」出身で、現「ジャニコロ・ジョウキ」の内野料理長とは元同僚、同時期サービスには「ロマーナ・ジャニコロ」&「ジャニコロ・ジョウキ」の現オーナー&サービスの渡邉氏、「ル・セヴェロ」の宮脇支配人も居た、優秀な人材は集まる時に一気に集まるものだ、そして集まらない時には全く不作なのは、塩野七生が最新の「十字軍物語」でも語っている事で納得(笑)。
 店名の「IL NODO」とはイタリア語で「結び目」の事で、この店が地元生産者と客を繋ぐ場所になればとの想いから付けたそうだ。料理長は前述のとおり野菜農家を手伝い、漁師に同船させてもらい沖に出る事もあると聞く、それだけ地元生産者をリスペクトしている。
 正直に云ってしまうと、訪れて「一回行けばいいかな」と思う店はある、でも「イル ノード」は違い、季節が変わった頃にまた来てみたいなと思った。白いクロスの卓でベタなサービスを求めたい人には向かないが、此処でないと味わえない、素材重視のストレートな美味しさを体験したい人にお勧めしたい、いい店だった(笑)。

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麻布十番「グリグリ」(2019年2月)

 食関係の友人から「グリグリへランチに行きましょう」とのメッセージがあり、顔を合わせる事になった、ブログ記事を調べたら、前回の利用が去年の1月なので既に1年経っている、何回も書いているが、私の齢になると1年365日が早過ぎる、月日は音速で自分の後ろに飛んで行く気がする(笑)。
 店で合流する事にしたが、土曜昼なので麻布十番商店街が賑わっている、街の名を付けた、かりんとう店の前では女子がスマホで店をバックに自撮りしていた。
 この道を進むと右側に有名な「麻布十番温泉」があったのだが、2008年に廃業しているので、街を訪れる若い人達は、知らない人も多くなったと思う。街中の飲食店前に掲げているランチ値段も1,000~1,500円と云った処で、若者狙いなのか結構シビアな客の取り合いをしている感じだ。
 予約時間の12時半少し前に店に到着したが、カウンター席以外は既に埋まっていた、あまり料理マスコミに出ない店だが、知っている人は知っている(笑)。
 マダムに挨拶し、この店では一番座る事の多い入口から見て左側の席に座り友人を待つ。あまりいい趣味とは云えないが、私はこうした時に他卓の会話をそれとなく聴いてしまう、特に初めて行く店では、どのレベルの客が来ているかを知るのに役立つからだ、フレンチ初心者か、ある程度のベテランなのかは、会話の端々にどうしても出てしまう。それなので隣席にオジサンが一人で居る時は、会話に注意した方がいいです(笑)。
 友人も到着し、始まった料理は以下のとおり、

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・砂糖水に漬けたシソの葉のチップ、ライム風味

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・アールグレイ風味のカボチャのピュレを入れたボンボン

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・牡蠣のペーストを入れたタラの芽のフリット

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・鹿児島産グリーンピースで作ったボール、クリームを添えて

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・宮崎産地鶏を解してフォアグラと合わせたバー、外側はパートフィロ、ヴァンジョーヌ・ソース

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・自家製パン、バター、オリーブオイル、どれも良質なもの

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・鯛のヴァプール、ドライセップと牛蒡のソース

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・青森産鴨胸肉のロースト、ケール、アボガド、ピスタチオ

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・ショコラガナッシュ

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・オレンジフラワーを使ったミニャルディーズ

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・コーヒーも美味しい

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・グラスワインは白がPinot Gris、赤がCrozes-Hermitageだと思った。

 初めの4品はアミューズ、このうち3品がヴェルデ(緑)で、早春をイメージしたものだろう、ヴィジュアル的にも面白いし、最近は見た目だけで美味しいと思えないものに当たる事あるが、この店は食べても味が鮮明で印象に残る。特に一品を挙げればタラの芽か、春の息吹とは若さと再生、老人が失ったものだ(笑)。
 前菜は伊藤氏らしい手の込んだ皿、地鶏を加熱し解してフォアグラを加えロール状にした料理、仕上がりの美しさは画像では伝えきれない、勿論食べても美味しい。
 魚料理の鯛はセップ茸と牛蒡のソースが印象深い、全体の印象はモダン料理だが、ソースを大事にするのが伊藤流。
 肉料理の鴨は青森産との事、「古屋オーガストロノム」でも使っていた飼育鴨だと思う、なかなか秀逸な肉質で、歯応え、肉味、血の香り等十分感じられる、個人的には養殖ハマチみたいなシャラン鴨より好み(笑)、調理も申し分ない。
 デセールは2月なのでチョコレート系、味は良かったがチョコレート好きな私には、量がもう少しあるともっと良かったか(笑)。
 全体的に料理は以前より構成要素が少なくなり、主役がハッキリして来た印象、「何を食べさせたいのか」が明確、ランチなので全体的な量も程よくて食後胃が重くない。私はクラシック料理好きみたいに思われているが、フロリレージュやこの店みたいに、キチンと作ったモダン系料理なら好む(笑)。

 伊藤料理長は、先日2泊3日と云う弾丸往復でコペンハーゲンを訪れ、話題のレストランにも行ったそうで、その感想を最後に訊いたのだが、詳しく書かない方がよさそうで、なかなか微妙な話だった(笑)。やはり彼のオリジンとする処はフランスなのだろう、それは料理を体験してみれば分かるし、私が此の店を好きな理由もそこだと思う。
 2012年11月に名古屋から移転して来た、夫婦二人で営む14席のプチレストラン、6年が過ぎて、東京人客の嗜好との折り合いも付いたのか、今いい状態のレストランになっているなと感じる、フレンチ好き、特に場数を踏んだベテランにお勧めしたい店の一つだ。
 それにしても東京の5,000円ランチの競争は改めて凄いなと思ってしまう、フレンチ、イタリアンにスパニッシュ等々、客の選択肢は広がり、どの店を選んでも殆ど外れがない、此処へ新たに参入しようとするのは、千人の敵軍勢の中に一人で斬り込むような事で、討ち死に覚悟でないと出来ないのかも知れない(笑)。


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五反野「とんとん亭」

 地元飲食店応援シリーズ(笑)、今回は東武スカイツリーライン五反野駅近くにある、洋食「とんとん亭」を。
 此の店を知ったのはTVの街歩き番組で、芸能人が五反野駅近辺で食事処を探すと云う設定だった、その後ブログで紹介した和食店「酒肴 和ろく」へ行く時に店を見つけ、「今度来てみよう」と思っていた。
 我家からは自転車で20分程、五反野も昔に比べ個人商店が減っている気がする、駅前にある大型スーパーだけが生き残ったと云う感じだ。そのスーパーの裏手に店がある、「和ろく」とは同じ通り、以前は並びに下町的なケーキ店があったのだが、此処も残念ながら先年閉店してしまった。
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 WEB情報で店の事を調べたのだが、何年前から営業しているのかは判らなかった、相当古くから此の地にあるみたいだ。おそらく改装していると思うが、外観はかつて街中に一店はあったとんかつ店で感じは悪くない、食品サンプルを使う店は少なくなったが、懐かしい雰囲気を出している。

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 TV番組でも紹介していたが、この「セット定食」が看板メニュー、この中から2品選べる定食が税込720円、近隣の飲食店相場でも安いと思う。

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 初回訪問で選んだのはハムカツとメンチカツ、最近あまり出会わないが、ハムカツは下町庶民の味、子供の頃から慣れ親しんだ私は、これがあるとつい注文してしまう(笑)。 
 事前予想より内容は良かった、揚げ物だけでなくご飯、味噌汁、漬物もちゃんとしたものを出す、値段を考えたら立派だと思った。
 初回はスマホしか持っていなかったので、次はブログ記事にしようと、カメラを持って再訪する事に。

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 この時はとんかつ店なので、「ロースかつ定食」(820円)か「上ロースかつ定食」(1,360円)にするつもりでいたが、壁に貼ってあった「カキフライ(5コ入)定食 950円」の文字に目が留まり、「そうだ、この季節はカキフライを食べておかないと」と気が変わり、これを注文する事にした。

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 よく見ると「魚の定食」まである(笑)、とんかつ店と云うより、近所の食堂と呼んだ方がいいかも知れない。

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 ティッシュの入った箱を横置きにして、その上にソース等を並べたケース、これは省スペースアイテムで、秀逸なアイディアだと思った。

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 やって来たカキフライ5個、少な目だがタルタルソースも付いている、肉厚で大きな牡蠣を使い綺麗に揚げている。牡蠣は10月頃から出回るが、身が太り美味しくなるのは1~3月だと思う、見た目どおり肉厚でジューシーな身がいい、揚げの技術も問題ない、この質からすれば都心のとんかつ店や洋食店に比べたらかなり安いと思う。

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 定食には何故か冷奴が付く、手前の漬物は自家製みたいだ。

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 ご飯は揚げ物に合わせているのか、少し固めに炊いている、味噌汁は白味噌使用、どちらも手を抜いていない。
 厨房内は髭を生やした男性が調理にあたり、年配女性2人が配膳等を担当している、男性は40代位に見えるから、もしかしたら2代目と母親かも知れない。

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 店内食だけでなく持ち帰りも可能で、なんと500円弁当まで売っている、この内容で500円なら魅力だ(笑)、そのため弁当だけを買いに来る人を前回も今回も見た、まさに「横町の食堂」的な店だ。
 店も古く減価償却も終わっていそうだし、家族経営に見えるので人件費もかからない、だからこの料金で出せるのだろう。
 此処は穴場的ないい店だ、もっと早く知っていれば、とんかつと云うより揚げ物好きな私は頻繁に来ていた筈だ、我家からだと綾瀬、亀有はよく自転車で行くが、五反野はあまり来る機会がなかった。
 此処はまた来てみたい、とんかつ店なので次こそとんかつ定食を食べ、真の実力を知りたいと思う(笑)、そして町の食堂として、これからも此の地で長く続いて欲しいと願ってしまう。


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乃木坂「タンモア」(2019年1月)

 乃木坂と赤坂の中間地に、昨年オープンしたフランス料理「タンモア」、11月に初訪問し、田中いずみ料理長の真っ直ぐで作為のない料理に、流行のインスタ映え料理とは違う「何か」を感じて、以降料理好きの友人知人に「タンモアいいよ」と事ある毎に吹聴していた(笑)。
 話すだけでなく、12月は実際に店まで連れて行ったのだが、それでもまだ足りずに「次は業界の大物を連れて行き、評価を訊いてみたい」と、意地の悪い事を考えた、大物と云えば誰だろう?残念ながらボキューズ、ロブションは相次いで彼岸へ行ってしまったし、東京の一人厨房の料理人は忙しそうだしと考えていたら、これ以上ない人物が浮かんだ、関西料理界で古典派として先頭を切っている剛腕料理人だ(笑)。
 早速FBメッセージで彼女の料理を説明、興味を示してくれたので、彼が東京に来る日に合流する事になった。勿論田中料理長には「重鎮を連れて行く」旨を話したが、「緊張しますが、いい修行の機会を与えられたと思って頑張ります!」との心強い返事をもらえた。
 この店では夜利用は初めて、寒い日ながらテーブル席では別のワイン会?が開催されていて、我々はキッチン前のカウンター席に陣取る事に、華奢な少女みたいな料理人の前に煩そうな親父達が並ぶという、作る側にとっては嫌なシチュエーションだ(笑)。
 いつも料理人一人サービス一人の体制だが、この日は特別にサービス二人で満員の客席を対応していた。
 まずは月替わり、1月のムニュの紹介から、

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・アミューズ:ムール貝の雑煮風

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・前菜1:ジビエ(ウリ坊・蝦夷鹿)のパテ、白菜のシュークルート

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・前菜2:野菜のバリエーション

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・魚料理:穴子と牛ホホ、大根、赤ワインソース

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・肉料理:ピジョンラミエ、モモ肉のロースト、サルミソース

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・同:モモ肉と内臓のバーガー

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・体調が万全でなく、ノンアルコールを注文
 右上から時計回りで:(人参、いよかん、クミン)(春菊、キウイ)(生姜、スパークリング)(ライム、ミント)

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・チーズ:サントモール、りんご、甘酒

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・デザート:シャルトリューズのジュレ、洋ナシとキンカン、ホワイトチョコレートのソルベ

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・お茶菓子:味噌のパウンドケーキ、百合根、キャラメル

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・エスプレッソ

 正月なので雑煮を意識した一品から、個人的にはこうしたスープ系のアミューズは好きだ。続くパテは王道のカンパーニュ系、後の料理を意識してか割と軽めの作り、添えられた白菜のシュークルートが面白い。
 続くガラスの器に盛られた野菜の皿は、春菊のムースが味のベースになっている、野菜の調理、彩り、盛付も良かった。
 魚料理は攻めてきた印象、穴子と煮た牛ホホ肉をポワレし、赤ワインソースで柔らかくした大根と合わせる、3種の食感と味・香りの違いを感じさせる一皿。
 肉料理は2種からの選択だが、私が選んだのは追加料金ありのピジョンラミエ(山鳩)、お馴染みの血を使ったソースだが、端肉を使ったハンバーガーが料理人オリジナルで、感覚的にも新鮮で面白いと思った(笑)、全体のアセゾネ(味付)はしっかりとしたフランス的だが、「女性だから」と云うフィルターをかけなくても、何処か優しく尖っていない穏やかさが伝わる。
 デセール2品は決して悪くないのだが、料理に比べると少し印象が薄かったか、これは今後の課題だと思った、ただ専任パティシェを雇うとなると、人件費は当然料理値段に加わる事になるので、客側としては難しい処だが。
 支払いはサービス料を取らない事もあり、「今日はこの位かな?」と予想する金額より安い、これから店が有名になって人を雇い、内装や什器を充実させると、当然値段は上がって行く筈、行くなら今のうちかも知れない(笑)。
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 此処では詳しく書かないが、重鎮からは色々と指摘とアドバイスがあった、やはりプロの視点は違うと思う、あとで田中さんから「頂いたアドバイスを噛みしめて、次回はもっと良い物を出せるよう頑張ります!」との言葉があった、料理人は向上心がある内は大丈夫だ、「有名になりたい、一発当てたい」みたいになると、変な方向に行ってしまいがちだが。
 何時の日か、彼女が古典料理の王者を斃す日が来るかも知れない、王を斃した者はあらたな王者になる、その日が来るのを楽しみに待っていたいものだ(笑)。
 たぶん今年も「タンモア」には何回か行く事になりそうだ、それだけ期待できる才能だと思う、粗削りだが原石の魅力を備えている。時間をかけて磨いていけば、大きな光で輝く可能性あるので、小さくまとまった料理人になって欲しくないと願う。
 次回はどんな強者と行くか、考えるのもまた楽しみだ(笑)。


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綾瀬「ぱん もみの木」

 2016年に開業し、このブログでも取り上げた事のある、地元のベーカリーが昨年末に突然閉店してしまった。実質2年と数ヶ月しか営業しなかったが、2年では開業資金も回収していない筈、残ったのは借金だけとなると、とても残念な事だ。
 部外者が詮索するだけでなく、店を閉めるにあたっては様々な事情があったのだと思うが、個人店舗が減るばかりの地域に、せっかく出来た店なので、もっと買いに行ってあげればよかったと、手遅れに過ぎない反省をしてしまう。
 ブログ記事で地元の店を取り上げると、アクセス数が減る事は間違いないが、それでも応援しないといけないなと思う、「東京一極集中」と云うが、集中しているのは指折りで数えられる中心区だけ、周辺区や市は地方都市と同じく、少子高齢化により衰退が始まっていると感じる、何とか盛り上げる意味でも、折に触れ小規模で名前の知られていない店でも、ブログで取り上げて行きたいと思っている。
 前置きが長くなったが、そうした訳で今回紹介するのは、地元の小さな「ベーカリー」と呼ぶより「パン屋」と呼びたい店。

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 店名は「ぱん もみの木」で、住所は足立区綾瀬6丁目、場所を説明するのが難しいのだが、千代田線綾瀬駅を出て、東京武道館へ向かい、更に東綾瀬公園に沿って歩くと住宅街の中にある、駅からは15分近く歩く、直線距離ならば、つくばエクスプレスの青井駅の方が近い、「食べログ」では地域が「青井」になっているが、綾瀬川に架かる橋を渡るので、時間的には殆ど変わらないと思う。
 店の周りは何もなく「こんな処に店がある」と云う意外感と、「商売になるのかな?」と云う心配感に捉われるが(笑)、2009年の開業だから9年過ぎた事になるので、地元民を中心に人気があるのだと思う。
 外見はどう見ても普通の木造民家、おそらく住居兼店舗だと思う、店名を書いたのぼりと引戸、見かけは昭和チックな雰囲気に満ちている。店内は客が2、3人入れば満員の小ささ、一応トレイ式で客が選ぶ買い方だが、一部のパンで対面販売をしている、このパンが置かれたガラスケースがまた昭和の雰囲気十分(笑)。
 店奥が作業場になっていて、年配の男性が一人でパンを作っている、販売は割と若い女性が担当、夫婦ではないと思うので親子かな?

 過去数回訪れているが、ブログ記事に乗せる事を意識して買ったのは今回が初めて、買ったパンを以下に紹介する。
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・ミニコッペパン(2個で税込76円)

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・げんこつぱん(108円)

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・クロワッサン(157円)

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・天然くるみぱん(200円)

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・ポテトサラダドック(189円)

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・スイートポテト(185円)

 これ全部でも915円と云う安さ、天然酵母使用らしいが、それを売り出し文句にする訳でなく、何処か懐かしい昭和の味、私が子供の頃の東京下町でお馴染みだった、ほっこりした懐かしいパンの味がする(笑)。個人的に気に入ったのは、天然くるみぱんとスイートポテトだが、他も決して悪くない、昭和世代の琴線に触れるパンだ。
 私の記憶では、前回の東京五輪後の昭和40年代辺りから、パンは製パン大手が工場で作って包装、つまりファクトリーシールドされたものが店頭に並ぶようになった、パン屋は自店でパンは焼かなくなり、何処へ行っても同じパンが売っている、やがてスーパーの登場でパン屋は駆逐されて行く、そして今パンはコンビニで買うのが当たり前になった。

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 この店で買ったパンは、店名入りの茶色く薄い紙袋に入れてくれる、これを使う店も少なくなった。昔はお店の人がこれにパンを入れたら、両端を持ってクルクルと回してパンが飛び出ない様にしてくれた。子供達は小遣いで買ったパンの袋を持ち走って帰って行く、そんな昭和の風景が甦ってくる(笑)。
 店主は相当な年齢に見えるので、あと何年続けられるのか判らないが、少しでも長く続いて欲しいと願わずにいられない。
 自宅から半径1km以内では、此処2~3年の間に前述のベーカリー、パティスリー、豆腐屋、肉屋、理髪店が次々と閉店している、個人商店を駆逐した筈のコンビニまで1店閉めてしまった。少子高齢化と人口減少の弊害はボディブローの様に効いて来ている。
 地域の中で個人商店が生き残る道を、これから皆で考えていかないと、気が付いたら「そして誰もいなくなった」になりそうな気がする、地域が衰退する事は、やがてこの国が衰退する事でもある。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
人はそれぞれに「見方、感じ方、考え方」が違います。私が美味と思ってもそう思わない人が居て当然です、味覚とはそれだけ不安定で不完全なもの、あくまでも筆者個人の嗜好による感じ方である事を承知の上で読まれてください。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに赤坂、麻布十番等。
混雑電車が苦手で加齢による朝型人間化のため、ランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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