最後の晩餐にはまだ早い


綾瀬「ニッキージェイ(Nicky-J) 綾瀬店」

 地下鉄千代田線綾瀬駅から徒歩3分程の場所に、今年7月にオープンしたのが「ニッキージェイ(Nicky-J) 綾瀬店」、最近都内に増えている高級(額)ハンバーガーショップだ。
 私が普段あまり利用しないジャンルだが、通っている整体治療院の近くで、地元と云ってもいい場所なので、昼も営業しているから一度行ってみようと思った。
 実はこの店舗が曰くつきで、私の知る限り大陸系中華⇒餃子屋⇒煮干らーめん店と短期間で変遷した、俗に云う閉店スパイラルに入っていたテナント、駅至近の戸建店舗で、特に場所が悪い訳ではないのに続かないのは不思議、今度は大丈夫かな?との不安と期待両方あった。
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 赤白ストライプの目立つテントの入口、WEB上では「綾瀬店」になっているが、他に店舗がある訳ではないみたいだ、これから増やしたいと云う意欲の表れか?
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 店前にウッドデッキがあり、喫煙者向けかテラス席も作れるみたいだ、ただ8月の日中は我慢大会になりそうで無理(笑)。
 ラーメン店時代に一度利用したが、店内の造りはだいぶ変わっていた、1、2階店舗で席数は結構ある、キッチン前のカウンター席に座らせてもらう。
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 席に置いてあるメニュー、ハンバーガーは基本形の税別890円から1,290円まで各種あり、ランチタイムにはドリンクが一部の品だが無料になる。
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 ハンバーガー以外にも「本日のランチセット」がある。
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 女性客向けか「サラダランチ」もあった。夜の一品料理も見たが、パテ・ド・カンパーニュみたいな本格料理もあり、料理人はフレンチ出身では?と思った。
 初回なのでやはりハンバーガーだろうと、外れは無さそうな「ベーコンチーズバーガー」(税別1,090円)に決めた。
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 カウンター前には各種果実を漬けたリキュールを並べている、店内の雰囲気はアメリカンテイストを意識しているようだ。調理は店主と思しき男性が一人、他に女性が二人居てサービスを担当する、WEB情報によると一人は店主の奥様らしい。
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 暑い日なのでジンジャーエールにしようと思ったら別料金だったので、トニックウォーターをお願いした。
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 ベーコンチーズバーガー完成品、格安ハンバーガーチェーンとは違い、当然出来上がりまでは待ち時間あり(笑)。
 焼いた牛肉のいい香りがする、下にレタス、トマト、その上にビーフパテがあり、上にチーズと焦がしたベーコン、その上にレリッシュ(ピクルス)と玉ねぎを刻んで和えたものが乗っている。
 「紙に包んで召し上がってください」と云われたので、その通りにするが、まずはバンズが美味しいのに気付いた、店の案内では綾瀬駅北側にある「ラパンラパン」に注文しているとの事だが、ブティックロブション出身のブランジェリーなので味は確かだ、それをもう一度焼いてあり、中身に負けていない。
 パテはしっかり肉の味がする、食道楽で知られた作家の開高健はチェーン店のハンバーガーを「パルプ」と表現していたが(笑)、勿論レベルの違うものだ。肉以外の材料も突出せず適量なので、中身が紙の中でグシャグシャなカオス状態にもならず、全体のバランス良好な旨いハンバーガーだと思った。
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 ハンバーガーにはお約束のフライドポテトは細切タイプ、綺麗に揚げてあり美味しい。

 この内容で支払いは1,177円、勿論チェーン展開店よりは高いが、食材原価を考えたら納得出来る味、特にバンズが美味しいと思った。中身に凝ってもご飯が美味しくなくては残念おにぎりになってしまうのと同様に、ハンバーガーの要素半分はパン、重要なポイントだと認識した。
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 私はこの分野の店はあまり行ってなくて、ブログ記事で取り上げたのは過去2店位だった筈、違いについては詳しく語る経験値ないが、味の記憶だけでも今回は美味しいと思った。
 店主はたぶん有名店で働いていたのだろう、店造りも含めて素人ではなく、たしかな技術と経験が感じられた。また訪れたいし、ハンバーガー以外の料理も味わってみたいと思った。
 この店舗、今度こそ長続きして欲しいと願ってしまう(笑)。


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東麻布「ローブ(L'aube)」(2019年8月)

 2016年6月末に都営地下鉄赤羽橋駅近くにオープンしたフランス料理「ローブ(L'aube)」、昨年同様に8月限定の「ホリディランチ」を開催すると聞き、早速食仲間を集めて伺う事に、今年1月にランチに訪れているので7ヶ月ぶりだ。
 私は赤羽橋より東京メトロの麻布十番駅の方が便利なので、梅雨明けの酷暑の中、10分近く歩く事に。7月は涼しかったので、この温度差は老身に響く(笑)。店に到着した頃には汗が止まらなかったが、辿り着いたら其処は照明を落とした海の中みたいな店内、21世紀の竜宮城に迷い込んだ錯覚で、暑さを忘れていく。
 ローブでは開業以来サービスを務めていた関氏が退店し、後任には若手の山本氏が就任した、さらに厨房とサービス兼務で女性が一人参入した事もあり、店内の雰囲気が少し変わった。レストランは変化成長するもの、中には退化しているでは?と思う店もあるが、此の店に関しては若い感性が溢れているので、その心配はなさそうだ(笑)。
 通常のランチメニューはアミューズ、前菜、魚、肉、デセールだが、それで帰るのは詰まらない、「デセール(追加料金で)増やしてもらえますか?」と、いつもの我儘な要求を出したらOK、それも1皿だけでなく2皿可能との応えで、デセール合計3種と云う変則な構成になった、ただ此の日は材料があったからで、何時も出来るとは限らない、希望する人は事前に店側と相談願いたい。
 山本氏が選んでくれたスイスの白ワインMont de Vaut Grand Cru2016で乾杯し、始まった料理+デセールは以下のとおり。

「MUNU HARMONIE」
・ウェルカムジュース(生姜)
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・アミューズ:5種類のハーブを使ったアイス

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・アミューズ:マグロとフォアグラのタルト

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・アミューズ:鎌倉野菜 牡蠣

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・平瀬パティシェール作のブリオッシュ2種

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・川俣軍鶏 杏茸

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・鮎 アーモンド

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・金華豚 アーティチョーク

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・メロン 蓮根餅 ヴァーベナ

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・熊本産ブルーベリーのタルト ハーブのグラス

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・キャラメル ショコラ

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・水出し珈琲(冷)

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・ホワイトチョコレート(苺、クリームチーズ、フロマージュブラン、カボチャ)

 まずは今橋料理長からで、ミニアチュアールなアミューズは夏らしく爽やかなもの、個人的には鮪&フォアグラのタルトに惹かれた。
 前菜の軍鶏料理はクロケットだが、旨味の強い軍鶏の肉質を衣で包む事により、香りと味を閉じ込め、印象深い皿にしている。
 鮎は夏の日本のフランス料理定番になったが、今回は上身をロール状にして調理、アーモンド風味のソースと合わせている、中骨は揚げて尻尾まで食べられる。
 2階建ての皿に盛られた肉料理は金華豚、中国原産だが最近日本でも生育されていて、脂の旨味に特徴がある。ロース部位をロティしてアーティショーと合わせ、バルコン席?に内臓で作ったソーセージを置く、どちらも料理に合わせたソースを添える凝った料理だ。今橋料理はマッチョな力技で攻めるのではなく、細部に注意を払った精密で繊細、それでいて印象に残る料理だと感じる。
 第二幕は平瀬劇場、まずはメロンと蓮根餅?を使ったかき氷的一品からで、涼と爽やかさを表現。続く2皿目はパティシェールの郷里である熊本産のブルーベリーを使ったタルト、ハーブのアイスを合わせている、これはレストランでないと味わえない、形態時間の短い儚いタルトだ。
 最後は元々のメニューにあった、キャラメルとチョコレートを使ったグランデセール、これも見た目も味もパルフェで、文句の付けようない(笑)。
 水出し珈琲と味わうホワイトチョコレートを含め計4皿は、凡百のレストランデセールを凌駕する圧巻の出来だった。

 現在日本人料理人とパティシェは世界中で活躍しているが、日本人の特質である繊細さ、ディティールの表現と拘り、反復作業に耐える忍耐力などが評価されているのだと思う、それがよく表れているのが此の店の料理とデセールだなと感じる。
 世界に対し情報を発信する現在の東京で、外国人から「今の東京で、和食以外で行くべき店は?」と訊かれたら、候補として答えたい店の一つ。開業3年を越え好調を維持していると思った、勿論外国人だけでなく日本人にも薦めたい旬の店だ(笑)。
 8月末には香港で2日間、現地の料理人とコラボレーションフェアを開催するそうだが、現在何かと騒がしい地なので、無事に実施出来る事を願っている。
 


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六町「蕎麦遊膳 松鈴」

 城北地区に詳しくない人は「六町」と聞いても、それが何処に在るか知らない人は多いと思う、まず読み方だが「ろくまち」ではなく「ろくちょう」で、東京の北東の外れになる足立区内の更に端、1km程歩けば埼玉県八潮市になる。
 元々八潮市と同じく農地が多かったが、昭和の高度経済成長期に住宅地として発展した、また足立車検場が近い事から、自動車整備工場や中古車&パーツ販売の店が多いのも特徴。公共交通はバスしかアクセスが無い地域だったが、2005年のつくばエクスプレス開業により人口が増加、現在六町駅東側を大規模に区画整理中で、今後の発展が期待できる地域だ。
 今回紹介するのは、その六町駅から徒歩10分程の場所に在る「蕎麦遊膳 松鈴(しょうりん)」。開業が何時なのか調べてみたがハッキリとした事は分からず、10年位は経っていると思う、私が知ったのは2年位前で、以来一度行こうと思いながら機会がなかった、広い駐車場を備え、外から見ると実に立派な店構えなので入り難かったのだ(笑)。
 「手打蕎麦」と聞くと、都心老舗の趣味系の小さな店をイメージする人は多いと思うが、それとは一線を画す大店、店のWEBページでは1.2階で40~60席、更に別館があって50名の宴会も可との事、「各種ご宴会、同窓会、法要など承っております。」とあるが、地域の社交場的な店でもあるようだ、日本橋堀留町にある「花吉辰」と同じ経営との事。
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 伺ったのは空いているだろうと思って平日の昼開店直後、勇気を出して?暖簾をくぐる。
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 自転車置き場の近くには、表から見える蕎麦打ち場がある。
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 女性店員の案内で壁際席に座る、若干ハリボテ感はあるが(笑)立派な店内普請、店内に置かれた何気ない装飾品のセンスもいい。
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 蕎麦の品書き、都心の手打蕎麦店とそう変わらない値段、この地域では高級(額)店だと思う。蕎麦だけだと詰まらないかな?と思い、天ぷら盛合せや小鉢、ご飯が付く1,600円(税込)のセット物を注文する事に。
 私の後に次々と来店、車で来る人が多いようだ、隣席の老夫婦(たぶん)は常連みたいで、大きな声で店員と世間話をしている(笑)。
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 これがセット全体、結構盛り沢山感あり。
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 蕎麦は割と白っぽい作り、二八割だと思うが、割増料金(200円)で十割蕎麦も可能、個人的好みでは、冷たい蕎麦なら二八かなと思う、夏場は蕎麦には厳しい季節だが、蕎麦が食べたくなるのも夏だ。
 加水率やや多目か、蕎麦の香りはあまり感じないが喉ごしはいい、蕎麦ツユは割と辛口。
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 天ぷらは海老、キス、めごち、茄子、椎茸、舞茸、ミョウガ、パプリカ、しし唐、南瓜と大盤振る舞い、薄い衣で揚げ方も問題ない、油も新しいと感じる爽やかな味だった。
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 ご飯と味噌汁も悪くないが、結果として余計だったかも知れない(笑)。
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 蕎麦湯は後から粉を足すのではなく普通の茹で汁だと思う、蕎麦猪口や湯桶は趣味のいい物だ。
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 天ぷらが良かったので、「ご自由にお持ちください」とあった揚げ玉(天かす)をお土産に、あとで素麺を食べる時などに使ったが、油がいいので美味しかった。

 値段を考えると満足出来る、マニアックな蕎麦好きが通う店と云うより、車で来た人がゆっくりとした雰囲気で蕎麦や他の料理も楽しめる、上品な大人のファミレスと云う印象(笑)。
 感心したのが女性店員の応対で、白と黒の揃いのユニホーム、客優先の接待で受け答えもテキパキとして好印象。やはり地元だが、数ヶ月前に入った蕎麦店で、女性店員が長髪を金色に染めていて化粧も目立ち、オヤジ狩りでもされそうな錯覚になり、肝心の蕎麦の味を覚えていない(笑)。人材不足の折、パートでも働いてくれるのはありがたいが、やはり格好、見かけは大事だなと思う、客が「また行きたい」と思う理由は、料理の味だけではない。
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 宴会可能な別館、周りにこうした店は皆無なので、需要はありそうだ。
 車は持っていないので、自転車でしか行けないが(笑)、また行きたいと思ういい店だった。天丼やカツ丼も美味しいと地元の人から聞いたので、次はそれを試してみたい。


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六本木「ル・スプートニク」(2019年8月)

 きっかけは「ル・スプートニク」髙橋料理長がFBウォールに書いた、『今週末暑さのせいか、土曜、日曜のディナー少しお席のご用意可能です』との言葉だった、思わず「3月の料理が秀逸だったので、また行きたいな」と反応してしまった。同じ事を考えた食友人が居て、早速お誘いのメッセージが来た、最近外食は昼中心だが、あまり遅いスタートでなければ途中で寝る事はないだろう(笑)、席は早い者勝ちだから迷っていては後悔する、「参加しますよ」と喜んで同意する事に。
 酷暑が続く中を乃木坂駅から歩き、開店時間の18時に店前に着いたら、私の前に続いて2組の入店、これが日本のフランス料理店の問題と思うが、料理人がやりたい事を全部提供したら時間がかかる、此の日も結局4時間居る事になったが、客は遅いスタートだと終電に間に合わない事態も予想され、明日の仕事に支障が出てしまう、そうなるとなるべく早い時間の入店を選ぶ事になる、店側としたら15時位まではランチ客が居るので、夜の準備時間が削られてしまう。
 平日ランチ営業を止める店も増えているが、そうすると経営的な問題が出て来る。職と住が離れていて終電時間の早い東京で解決方法があるのかとなると難しいが、夜「おまかせメニュー一種」だけの仕様も見直す時期に来ているのかも知れない。
 支配人の千葉氏に挨拶し、奥の丸テーブルに座って始まった、全17皿のフルディナーメニュー、まずは全品紹介したい、

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・一週間熟成甘鯛、中に桃

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・叩いたマグロを海苔で巻いて

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・枝豆のチュロス

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・レタス、トマトと帆立貝

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・フェンネル、烏賊

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・オマールとオマールのジュレ、焼き茄子のムース

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・鯖の燻製、シャドークイーン、ロックフォールのソース

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・トウモロコシのスフレとアイスクリーム

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・若鮎のフリット、アボガド、スイカのソース

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・クールジェットの花中に牡蠣、15種のスパイスソース

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・鹿肉のエマンセ、セロリラヴとトリュフを挟んで、鹿のコンソメ

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・金目鯛のポワレ、パパイヤの中に椎茸と生姜のスープ

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・鳥取産ウリ坊(仔猪)のロティ、ホオズキとオクラ

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・仏ラカン産仔鳩、ワイルドペッパー、ピオーネ

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・ソルダム、液体窒素で固めたジン

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・アマゾンカカオ 、ピスコ、バナナとカカオパルプ、熱いチョコレートのソース

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・アメリカンチェリーを使ったミニャルディーズ
・カモミールティー

 全部説明すると長くなってしまうのでアミューズは飛ばし、まずはレタスを主役にした皿は、見た目、味共に斬新で刺さってくる(笑)。続くフェンネルと烏賊は相性のいい食材だと感じた。
 オマールの冷菜は焼き茄子の風味が効いている、続く鯖は前半戦のトリ、癖のある食材同士を合わせ、新しい味を創り出していると感じた、鯖の質もいい。
 マイスのスフレはパティシェ経験のある高橋氏ならではの、デセール造りを応用した秀逸な料理。旬の鮎はこれも相性のいい西瓜を使う事により印象に残る皿にしている。
 クールジェット(ズッキーニ)の花と牡蠣の料理は、カレー風味のソースが品悪くなる一歩手前で踏みとどまり、盛夏に相応しいパンチの効いた料理。この辺りで「何時まで続くの?」と心配になって来るが(笑)、まだ前菜(たぶん)は続く、夏鹿のコンソメ仕立ては見た目も美しく、絶妙な味の組合せにより印象深い皿。
 ようやく魚料理になったが、金目鯛にパパイヤを合わせていて、主役はパパイヤと中身の生姜スープだなと思った、中国料理を思わせる立体的な味の構成。
 この辺りでギブアップしそうになるが、一度立ち上がりトイレに行く事で少し食道中の物が下に落ちた(笑)。
 始まる前に肉料理は鳩と聞いていたが、何故か此処でウリ坊(仔猪)が出て来た、鳥取から届いたばかりの個体で、料理人が我々に出したかったみたいだ、フレンシュで瑞々しい肉質、自分に足りない若さを貰えた気がする(笑)。そして主役登場が仔鳩、夏を意識してかエピスの刺激とピオーネの甘味を使い揚げ焼きしたそうで、一見中国料理を連想するが、食べるとこれはやはりFRANCE料理だと納得する。
 話題のアマゾンカカオを使ったデセールも秀逸、従来のものより酸味を感じるチョコレートだが、特に日本の夏場にはこの酸味が合うと感じる。

 4時間超の料理体験は圧倒的だった、店名のとおり地上を離れ、暫し地球周回軌道に乗ったみたい(笑)。繊細にして大胆、斬新さを感じながらも古典的、ディティールに拘りながらも大河の流れみたいな起承転結がある。
 私の好きな「コーイン」「オテル・ド・ヨシノ」「古屋オーガストロノム」の料理が、時にハンマーパンチを繰り出す、フォアマンやタイソンとすれば、髙橋料理は「蝶のように舞い蜂のように刺す」モハメド・アリだなと思った(笑)。機関銃みたいに料理が続き、ドラマチックな筋立てのオペラみたいに、フィナーレへ向かって高揚し大団円を迎える、そして料理のオリジンはあくまでもFRANCEなのが理解出来た。
 金目鯛の皿みたいに、私のような凡俗には「?」と思う料理もあったが、それを含めて、髙橋氏の「今自分のやりたい料理はこれです、あとは貴方が判断してください」との確固とした意志を感じさせた、芸術家と云うより職人気質な料理人だなと毎回思う。
 最後客席に出た髙橋氏と少し話をするが、以前より顔が穏やかになったと感じた、開店して4年が経過、ようやく自分のやりたい事が出来ているのかも知れない。支配人の千葉氏ともう一人のサービス男性も福岡出身だそうで、この福岡トリオはこれからも期待出来そう。
 今、東京で最も行くべき店の一つだと思う。



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五反野「酒肴 和ろく」(2019年7月)

 昨年8月に初めてランチ利用、その後2回夜の懐石料理を体験し、すっかり気に入りの店になったのが、東武スカイツリーライン五反野駅近くの和食「酒肴 和ろく」、通算4回目の夜訪問をする事に、我家からは自転車に乗って行ける距離なので、交通費がかからないのは低所得者にはありがたい(笑)。
 料理人の佐竹剛氏は、初代「和の鉄人」である道場六三郎氏の元で12年働いた直系弟子、1980年生れで独立開業して3年が過ぎ、料理人としてこれから一番良くなる時期と思う。専門雑誌に載る程になった有名ベテラン料理人の安定性は認めるが、個人的に面白いなと思うのは、これから頂上へ向かって登攀中の料理人、特に此の店や乃木坂「タンモア」は月替り料理なので、行く毎に進化の過程を目撃するような楽しさがある(笑)。
 下町の夜は早いので店は17時半の開店だが18時に予約していた、フレンチ高級店のディナーでは入店から退店まで4時間を超えていたと云う事もあるが、私が行くような和食店ではそうした事はまずなく、体力も使わないし腰も痛くならない(笑)、この点では高齢者に和食が向くのは分かる。
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 入店すると店主の佐竹氏と、配膳を担当するお義母様が迎えてくれる、カウンター席を好む事を知っているので、今回も店主前の砂かぶり席?を用意してくれた(笑)。
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 店主自筆の文月(7月)のお品書き。
 料理は以下のとおり。
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・お通し:白魚と木耳

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・前菜:チーズ西京、もろこしスープ、ホオズキの中につぶ貝旨煮、いちぢく黄身酢

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・秀鳳(山形)特純超辛口(税別900円)

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・吸物:はも真丈と冬瓜、順才、芽葱、梅肉

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・刺身:本日の鮮魚三種(鮪、カンパチ、ヒラマサ)、あしらい

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・焼物:みちば夏の名物 まるごとトマトお宝焼、(中に)海老、鶏、玉葱、椎茸

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・小鉢:竹筒盛り土佐酢ジュレ(下にモロヘイヤ)・画像ブレています。

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・煮物:夏の食材冷し焚合せ、鮎、茄子、南京、他

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・食事:大葉たっぷり糠鯖茶漬、漬物

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・水菓子:白桃ジュレとヨーグルトムース

 まずは酸味の効いたお通しで、暑さに緩んだ身体と舌に活力を注入する。前菜のチーズ西京は、葵の紋所みたいな道場門下生の証的料理、トウモロコシスープは出汁を使いフレンチとは違う味の決め方、つぶ貝の旨さを認識した。
 鱧真丈椀は今回最も楽しみにしていた品、関西の味付けより少し濃い目の出汁地に感じるが、東京育ちの私にはこの位が最も反応出来る。確認はしていないが、おそらく冬場とは昆布と鰹の割合は変えていると思う。
 造りはやはり鮪が旨い、関西へ行くと白身が秀でているが東京では赤身、佐竹氏の話でも日本中の最上鮪は全て東京に集まって来るとの事、要は高く売れるからだが(笑)。
 そして「まるごとトマトお宝焼」は師匠直伝の料理、鉄人番組でも披露している筈で、フランス料理のトマトファルシに似ているが、中身の存在感がより強く、出汁を加える事によって新しい食感を生んでいる、たしかにこれは名作だと思った。
 頭を殴られるように旨かったのが最後の茶漬け、加賀の信頼出来る業者から直送してもらう「鯖へしこ」を使い、家庭料理を料理屋の料理に昇華させていた、「このままずっと食べ続けていたい」と思ってしまった(笑)、これ食べるために店まで来る価値あると思った。
 和食店にしては工夫ある、桃を使ったデザートも爽やかで好印象。
 
 師匠道場六三郎譲りの、京料理とは違う少し捻った料理を提供する佐竹氏、来る毎に調子を上げている気がする。関西の和食はたしかに美味しいが、時に椀物などは「これ塩味薄いだけでは?」と思ってしまう事がある(笑)、もうこうなると育った環境の違いとしか云えないが、旨さがストレートに伝わる佐竹氏の料理を味わうと、京都が公家なら東京(江戸)は武士の和食文化だなと思う。
「道場の弟子筋には、既に自分の料理を確立している料理人も居るが、自分(佐竹氏)は道場料理を継承している」と謙遜を込め話すが、4回通えば只の模倣料理でない事ぐらいは、私の俗な舌でも判る(笑)。
 都心に較べたら支払いも申し訳ない位に安い、勿論下町五反野と云う地盤を考慮したのもあるが、師匠の店が料理12,000円なので、その半分からスタートしたいと考えたのだろう。実力は同等なのに支払いは半分なら、客としてこんな嬉しい事はない(笑)。
 可能なら月替わり献立を味わうために、毎月でも来たいと思う店だ。


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東上野「ビストロ ノーガ」

 JR上野駅の入谷口を出て、昭和通りを渡ると東京地下鉄(東京メトロ)の本社ビルがあるが、その裏手辺り、住所なら台東区東上野2丁目と3丁目は、昔から日本式旅館が多かった、上野駅は東京の北玄関口、東北・北関東方面から集団就職や季節労働で上京した人達が、長時間列車に揺られた後此処で宿泊し、翌朝都内各地に散って行った、井沢八郎が「あゝ上野駅」で歌った、昭和高度経済成長期の風景だ。
 令和の現在になっても、当時からは減ったが旅館が存続している、今はインバウンドの外国人が、値段の安さに惹かれ利用しているケースが多いみたいだ。その地味な旅館街の一角に、昨年最新のホテルが開業した、名前は「ノーガホテル上野」、野村不動産が初めて手掛ける直営ホテルで、「NOMURA」と、幸運である事を意味する「冥加(みょうが)」を合わせホテル名にしたと聞く。全130室で2人部屋、旅館やビジネスホテルとは傾向の違う、今迄上野には無かったタイプの洒落たシティホテルだ。
 このホテルの一階がメインダイニングの「ビストロ ノーガ」で、宿泊者の朝食を始め、ランチやディナー、更にはその間にはカフェスペースとしても利用可能、多用途に使える場として昨年11月にオープンした。
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 たまたま或るブログで、此処の料理を見て興味を覚え、アメ横に買い物に来たついでにランチに寄ってみようと思った、予約はしていないが、席数は多そうだし何とかなると勝手に思った(笑)。
 敷地を少し削ってアプローチを作り、植栽により日常からのトリップ感を演出。ホテル入口を過ぎるとすぐレセプションで、レストランの案内も兼ねている。フロントもレストランも若い女性達が担当で、堅苦しさのない対応を心がけているみたいだ。
 予約はしていない事を告げると、奥のソファ席に案内された、此処結構目立つので、もう少しまともな格好で来るべきだった(笑)。店内は当然新しく、専門デザイナーが入っていると思うが、天井が高くスタイリッシュでセンスある空間、店内外には緑を配置しテラス席もある、この雰囲気ならお金を払ってもいいと思わせてくれる(笑)。
 ランチメニューは税別1,600、2,300、3,000円の3種、前菜、メイン、デザートの選べる3,000円でお願いした、料理は以下のとおり。

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・アミューズ(トウモロコシのババロワ)

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・本日の前菜(鰹のマリネ、焼きナスのソース、ミョウガとオクラ、竹炭の粉)

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・本日のグラスナチュールワイン白(伊トスカーナ‘Anatrino Toscana Bianco Az.agr.carlo Tanganelli’2017)(1,100円)アヒルの絵が面白い。

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・浅草花川戸のブランジュリー「マニファクチュア」のパン

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・仔羊のモロッコ風スパイス煮込み クスクスと一緒に

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・バナナのブリュレを乗せたクレームブリュレとキャラメルのアイスクリーム

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・台東区鳥越「蕪木珈琲」のコーヒー

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・「フロリレージュ」等でも使っている、ポルトガル「Cutipol」のカトラリー

 アミューズはまあ普通の出来、無理にババロワにしなくてもよかったのでは?続く鰹は見映え良く、全体の味の決め方も悪くない、鰹自体の質がもう一息と思ったが、この値段では仕方のない処か。
 期待と不安半々だったクスクスが予想以上に良かった、羊肉はちゃんとリソレ(あらかじめ表面を焼く事)されていて、時間をかけ煮込んである、スープの濃度は少なくシャバシャバとした作りだが、アセゾネ(味付)と野菜の扱いはいい、スムール(挽き割小麦)は極小の物を使っている。
 専任パティシェが居るのだろう、デザートがなかなかいい、バナナを上手く使い印象に残るものにしている。WEBページをみると、夜のカルトだとクスクスが2,800円でこのデザートが1,000円だから、ランチメニューならお得だと思う。
 珈琲は酸味の強いタイプだった。
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 料理全体の印象は、見かけ綺麗でライトな美味しさ、心に刺さって来るようなものは少ないが決して凡庸ではない。オープンキッチンの厨房スタッフが見た限りでは4人、店内が4人と手厚い体制で皆若い、今スタッフを集めるには、親会社の知名度と非ブラックな待遇が必要のようだ。女性陣中心のサービスは肩苦しくなく、店内の雰囲気も落ち着けるし、この内容ならまた利用してもいいなと思った。
 此の店から少し浅草方面へ歩けば、ブログでも何回か登場しているフランス料理「キエチュード」がある、ランチ価格帯も似ているので、おそらくリサーチ済だろう、個人的な印象で云えば、料理だけなら「キエチュード」、客席の雰囲気なら「ノーガ」かな?と思った。
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 東京に来た時には此のホテルに宿泊、朝食に加えて昼か夜の食事にダイニングも使ってもらおうと云う狙いだろう、そのためにインテリア等は、特に女性に受けるよう注意して選んでいると感じた。
 来年の東京五輪を踏まえ、東京駅や六本木辺りから始まった東京ホテル戦争、遅ればせながら上野にもやって来たと云う印象だ(笑)。


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お花茶屋「卵のまほう」

 ブログ記事で取り上げた、葛飾区お花茶屋のパティスリー「タルトレッテ ドウゼン」の事を調べている時に、偶然見つけたのが、もう少し駅寄りにあるパティスリー「卵のまほう」、1997年の開業だから、此の地で22年営業している事になる。
 以前はお花茶屋まで行かなくてもパティスリーが地元にあったので、今迄利用した事がなかった、自転車で何とか行けそうな距離なので、あまり暑くない日に行ってみる事にした。
 スマホの地図表示が頼りだが、MAPアプリはバッテリーの消耗が激しいのが困りものだ(笑)、京成電鉄お花茶屋駅の北側に、規模は大きくないが商店街があり、その外れに店はあった。
 なお「お花茶屋」と云う不思議な地名の由来は、江戸八代将軍吉宗がこの近辺に鷹狩りに来た際、急な腹痛を起こし、近くにあった茶屋の「花」と云う娘の看病により快方したので、地名を受け賜ったとされる、ただ天下の将軍御一行なら当然医者も居た筈なので、少々疑わしい話だが(笑)。
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 思っていたより大きな店構えの店だった。フランス語の横文字ではなく「卵のまほう」と云う、お年寄りや子供にも判り易い店名は下町的でいい(笑)。
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 入店すると右側にケーキ類を並べたガラスケース、種類は割と多い(店内撮影の承諾は得ています)。
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 誕生日などに買うホールケーキ類、これだけ並べてあるのは当然需要があるからだろう。
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 店奥ではアイスクリーム類も売り、中程には焼菓子等のギフトを並べている、カフェスペースは設けていない。
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 誰でも利用可能なウォーターサーバー、暑い日にはありがたい(笑)。
 販売担当の若い女性に話を聞きながら、3種類のケーキを購入する。

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 ちょうど昼時だったので、何か食べて帰ろうと思ったら、店の近くにインド・ネパール系料理の店があった、興味を惹かれ入って見る事に。
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 カレーとナンはまあ普通でした、あとで調べたらお花茶屋には、インド・ネパール系料理店が増えている、あらためて探訪に来てみたい。

 3種のケーキは以下のとおり。
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・マンゴーショート(税別450円)
 ついビジュアルに惹かれて買ってしまった、ショートケーキの苺をマンゴーに変え、カップケーキにしたと云う印象、それ以上ではなくまあ無難な味、インスタ映えはすると思う(笑)。

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・小布施栗のモンブラン(450円)
 店の実力を知るにはモンブランと思っているが、この店では3種類(ショコラ、かぼちゃ、小布施栗)揃えていて小布施栗を購入、これは美味しかった、中はジェノワーズではなく焼きメレンゲ、クリームも良質で、此の店で買うべきアイテムだと思う。

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・フレイズショコラ(420円)
 苺とチョコレートと云う普遍的な組合せ、クリームが柔らか目で、外側のフィルムを剥がすと見た目悪くなりそうでそのまま撮影。クリームもジェノワーズ生地も無難に美味しく、欠点のない出来と感じた。

 全体的にケーキ類はオーソドックスで丁寧な作り、特に何か飛び抜けている訳ではないが、中庸で実質的に美味しく値段も下町価格、遠くから電車に乗って買いに行くと云うより、地域住民に支持されて来た店と云う印象。今の東京で、個人事業主の飲食・菓子店が20年以上続くのは、奇跡に近い事かも知れない。
 店名からして、卵を使ったスイーツが得意らしく、「すごーくプリン」(200円)、「プリンパフェ」(380円)、「たまちー」(100円)等にも惹かれたので、次回はこれらを試してみたいと思っている。
 「タルトレッテ ドウゼン」が、これから進化していくだろう可能性を感じさせるなら、此の店は安定の味を提供し続けている、そんな印象を受けた、どちらもいい店です。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
人はそれぞれに「見方、感じ方、考え方」が違います。私が美味と思ってもそう思わない人が居て当然です、味覚とはそれだけ不安定で不完全なもの、あくまでも筆者個人の嗜好による感じ方である事を承知の上で読まれてください。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに赤坂、麻布十番等。
混雑電車が苦手で加齢による朝型人間化のため、ランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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