最後の晩餐にはまだ早い


竹ノ塚「花一」※千代田区神田に移転したそうです。

 「(食べに行く)店はどうやって探すのですか?」と訊かれる時があるが、やはりWEB上での情報からが多くなる、料理評価サイトは店の地図以外はあまり当てにならず、ツイッターやインスタグラムもまず参考にしないが、「この人が書くことなら信用出来る」と思えるブログ記事に負う処が多い。自分がブログをやっていると、「不特定多数の人が読むので、行って後悔しない店、読むに堪える記事」を心掛けているつもりだが、他の食ブログでも「此の店へ行ってみたい」と思えるかの視点で読むことが多く、参考にさせてもらっている。今回記事にするのもブログ情報で知った店だ。
 東武スカイツリーライン竹ノ塚駅西口にある「花一」と云うカレー専門店で、私は知らなかったが、今年6月までは港区西新橋で同名店を営業していて、サラリーマン相手に人気だったそうだ、それが竹ノ塚とは意外な場所に移転した。
 我家からは自転車で行くのが一番便利、環七から西新井陸橋手前で右折、栗六通りから東武線の下を潜って小滝橋通りへ出て竹ノ塚駅方面へ向かう、そのまま直進すると右側に店が在る、駅から歩くと10分はかかりそうだ、店前には東武バスの「竹の塚車庫」の停留所、駅名は「竹ノ塚」だが地名は「竹の塚」の表示になっている。
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 事前に調べていて知ったのだが、この店舗は以前「原価率研究所」と云う名前で、1杯200円のカレーで一時マスコミでも話題になった店だった、さすがに200円ではビジネスとして成立しなかったみたいで、間もなく閉店してしまい、その後に入った事になるが、前店は立食と聞いていたので内装は変えていると思う。
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 看板商品は「ロースカツカレー」、値段が税込550円だから、個人店ではかなり安い部類に入る。店前に挨拶分が貼り出してあり、新橋時代よりカツを大きくしたそうだ(笑)、店主は地元民で職住接近のための移転みたいだ。
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 朝10時からの開店、店の扉を開けると目の前に食券販売機がある。「ロースカツカレー」は自販機左上のポールポジション?(笑)。持ち帰り販売もあるが、値段は変えていない。
 初回なので、やはり「ロースカツカレー」を選んだが、野菜もあった方がいいと思い、トッピングでほうれん草(120円)を追加した。
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 カウンター席が2列で10席程、ドリンク類の販売は無いので客回転は早そう。厨房内に若い男性一人、配膳が女性一人で夫妻だと思う。
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 卓上にはソースと辛みスパイス、辛口注文はなくて辛さはこれで調整する、水はセルフ。
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 食券買った後では遅い気もするが(笑)、提供している全メニュー、値段は安いと思う。
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 やって来た「ロースカツカレー」、料理の見た目が大事なのはフレンチでもカレーでも同じ、なかなか旨そうに見える。
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 まずはカレーソースだが具は殆ど見えず野菜は溶け込んでいる、最初スパイスの香りが感じられ、続いて酸味これはトマト系だろう、そして辛さが続く、味のバランスは良好。
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 カツは80g位か?薄いが揚げ置いたものでない、この薄さはかえってカレーと合う気がした、ほうれん草は普通のソテー、悪くはないがこれは無くてもよかったか(笑)。
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 福神漬は卓上になくカレーと同時に運ばれる、ココイチもそうだがコストを下げる意味かラッキョウ漬はない、福神漬好きなのでつい取り過ぎる(笑)。
 全体的な味は、値段から過大に期待していなかったが、カツは薄いながら予想以上によかった、国内産こしひかり使用とあるご飯も美味しい。チェーン店「かつや」のカツカレーは80gカツ使用で715円だが、こちらの方が断然いいと思った(笑)。区内のカレーライス専門店では、西新井の「王子ムルギー」が知られていて、オールドスタイルの味と感じたが、「花一」はトマトの酸味を感じる等、より新しさがある。

 此処はリピート決定と2週間後に再訪問、裏を返す事に。
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 初回で気になった「牛すじカレー」(690円)、見た目の色がカツカレーと違う。
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 牛筋煮込みがゴロンと入っている、赤は缶入りのトマトホールか?
 全体の味わいは牛筋肉煮が入るのでカツカレーより濃い目の印象、ボリューム感あるので若い人や肉体労働者向けと思った、個人的にはカツカレーの方が好みだが、これも試してみる価値あり。
 此の店からそう離れていない場所に、お気に入りのベーカリー「市東製作所」があるので、次もセットで来たいと思う(笑)。


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赤坂「古屋オーガストロノーム」(2019年11月)

 身内の誕生日祝いを開催する事になり場所を考えたのだが、平日昼営業していて駅からの道が分かり易い、清水の舞台から飛び降りる程の値段ではなく(笑)、昔のフレンチを知っている高齢者?でも満足出来る、軽さだけの今風料理とは違った、基礎のしっかりした料理を出す店となると、此処しかないと選んでしまうのが、赤坂のフランス料理「古屋オーガストロノーム」、今年3回目の訪問をする事に。
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 絶好のフレンチ日和?の正午時、予約時間に店に着き、一番奥の席に座らせてもらう、此の日は非常勤総支配人の秋葉氏も店に出ていた。現在店は4卓仕様にしているが、その内3卓が埋まり、夜は満席との話だった。
 今年10月は消費増税、台風到来、ラグビー熱で飲食店、特にフレンチは何処も厳しかったようで、何店かクローズする話も聞いた、これから年末へかけ生き残りへの勝負になりそうだ。此の時期しか来ない客より、既訪問客がリピートしてくれるかどうか、ガイドブックや雑誌に載るのも大事かも知れないが、「その店ならではの独自性」を出すのが重要だなと、これは札幌でも思った事だ。
 メンバーが揃い、始まった11月の料理は以下のとおり、

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・アミューズ(エスプレッソ風味の南瓜の温かいスープ)

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・フォアグラのコンフィ、無花果のコンフィチュール、ブリオッシュとタケイファームの野菜、ニラの蕾

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・BOURGOGNE Chardonnay2017 AURÉLIEN VERDET、 奥は珍しいウェールズ産のティナント・スプリングウォーター

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・自家製パン2種

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・ボラ白子のカダイフ揚げ、ブラウンマッシュルームとそのピュレ、マルケ産秋トリュフ、トランペット茸の粉。

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・青森産平目のムニエル、イタリア産アーティショーとエキュム

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・仏ロゼール産仔羊のロティ、パンドエピス風味の人参ソース

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・洋梨のコンポート、ミルクシェイク、スペキローズ

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・マロンのガトークーラン、マロングラッセとマロンのグラスウイスキー風味 

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・流れ出るクーラン(笑)

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・リエージュ風ワッフル
・エスプレッソ

 まずは温かいスープが出るのが嬉しい、一年中変わらず同じような乾き物アミューズを出す店もあるが、アミューズは其の日の料理序曲で、これから何が始まるのか、客の気分を高揚させるものであって欲しい、この南瓜スープにはそれを感じた。
 続くフォアグラは古屋料理長定評の品、千葉タケイファームの良質な野菜との相性が際立っている。そして此の日一番の料理と思ったのが次の鯔白子、今の時期しか入荷しないそうで、鯔の卵巣を加工したのが高価な唐墨だが、白子もこんな旨いとは知らなかった。鱈の白子に比べると繊細な味わい、鱈白子はフレンチの場合ムニエルにする事も多いが、粉と油の香りが邪魔になる、そこで古屋氏はカダイフを巻いて揚げ、瞬時に加熱する方法を採った、技法自体新しくはないが、素材の特質を見極めたいい選択だと思った。
 続く平目料理は鯔白子の繊細さから、肉厚の平目に合わせた濃目の味わいに変え、更に泡を使う事で軽さも出している。
 フランス産仔羊は各店で出すようになったが、俗に「三大産地」と云われる、ノルマンディー(プレサレ)、ポーイヤック、シストロンは「大間の鮪」みたいなもので、値段も高く入荷量も限られ、そう頻繁には使えない、それに次ぐ生産地としてフランス中西部ロゼール県は、隣のアヴェロン県と共に知られている。此の日の料理では背肉、フィレ、胸腺の各部位を使い、スパイスの香り漂うソースが全体を締めていた、個体差もあると思うがシストロン仔羊に比べ、肉質、脂身共に少し柔らか目に感じる、肉自体の味もそう強くないので、ソースを使って仕上げる可塑性があると思う。
 デセールはパティスリー勤務経験ある古屋氏なので盤石、時にマロンクーランはかのブラスのクーランを思い出す、皿舐めしたい位の出来(笑)。ミニャルディーズとして出たワッフルは古屋氏が働いていたベルギーの国民食、ブリュッセルでは四角、リエージュでは丸で、型(アイロンと呼ぶ)も違う、古屋氏は現地から丸型を持って帰ったと聞く、シンプルながら粉の旨味が伝わる素朴な美味しさだった。

 店に点数を付けたり、順位付けするのはブログの本旨ではないが、「今、東京で行くべきフレンチは?」と訊かれたら、まずは此の店を挙げると思う、アミューズからミニャルディーズまで一切手を抜かず、それでいて起承転結があり、行く毎にマンネリにならない美味しさがある、古典を軸にした土台が強固なので料理にブレがない、そして支払いも安いと感じる。
 欠点が無い訳ではない、ネット上で書かれているように「料理の出が遅い」は、たしかに感じる事、でもこれは料理人が「ア・ラ・ミニッツ(a la minute)」を信条にしていて、極力作り置きせず、且つ一人厨房で作業しているのが理由。スタッフを数人雇えば解消されるのだろうが、そうなるとこの値段での提供は難しく、料理も工房的な出来になる恐れはある。
 時間が惜しい人は、早くから作って冷蔵庫から出すだけの前菜や、鍋で作り置きし再加熱した肉料理を並べる店へ行った方がいい、そうした店なら幾らでもある。時間と手間をかけた骨太な料理を味わいたい人なら、此の店を選んで後悔はしない筈だ。 
 古屋料理長、秋葉総支配人、お世話になりました、美味しくて楽しい時間でした(笑)。


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札幌・大通「Japanese Ramen Noodle Lab Q」~「徳光珈琲 大通店」(2019札幌食べ続け-7)

 今年の札幌食べ続けも最終日になった、此の日の昼も現地から予約、あるいは予約なしでも利用可なヨコメシ系店へ行くつもりでいたが、帰りの飛行機の時間を考えると、長時間の食事は難しい事が分かった。初日に新千歳空港のバス切符売場で往復券を買った時、窓口の女性から「空港までは渋滞が予想されるので、1時間半から2時間は余裕をみてください」と云われていたからで、滞在時間が少なくて済みそうなランチ場所に方針変更。
 ネット情報が当てにならないのは、初日と3日目の麺専門店で経験している。ここは地元人に聞いてみようと、前日「メリメロ」の佐藤料理長に、「(ホテルのある)すすきのからあまり遠くない場所で、何処か行くべき店あります?」と訊いた処、教えてくれた店へ行ってみる事にした、やはり麺専門店だったが(笑)。
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 店の名前は「Japanese Ramen Noodle Lab Q」、地元の人は単に「Q」と呼んでいるみたいだ、2014年開業のラーメン専門店で、佐藤氏によると「スープに特徴があり、相当手間をかけて作っている」との事、料理人がそう話すのだから間違いないだろう。
 店の場所は中央区北1西2、「日本3大ガッカリ名所」の一つとも云われる、札幌時計台(札幌の方、失礼)のすぐ裏手、「時間によっては行列する」と聞いていたので、開店時間の11時少し前に店前に到着した、店は地下だがまだ並んでいる人は居ない。
 初めてのラーメン店で口開け(一人目)の客になると、システムが判らない不安があるので、二番目を狙って?歩道で誰か来るのを待っていた。やがて男性一人客が降りて行ったので後を付いて行った(笑)、外国人客のためか幟や案内は全て英語で店名表示している。
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 階段の下には自動販売機、先に食券を買ってから入店、満席なら階段で待つことになる。何を注文するかだが、一番ベーシックタイプと思われる「清湯/醤油」が900円(税込)、「清湯/塩」が950円と東京と同等以上の値段、チャーシュー、わんたんの追加が300円、結局「Qオススメ!!」と黒板に協調している「清湯醤油わんたん麺」(1,200円)に決める。
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 扉は入った事ないが(笑)牢獄を思わせる重そうな鉄扉、開店時間前に中で朝礼?をやっていた。11時になって扉が開き、女性店員の案内でカウンター席に座る、この時点でも7、8人の来客、この後続々と来客があり席が埋まっていく、見た感じでは観光客ではなく、地元の若い人が中心。
 客席はカウンターが前後二列と間に大きなテーブル席、全部で20~25席位か、「ラーメン以外は撮影しないでください」と云われたので撮っていないが、全国各地の日本酒一升瓶を並べている、窓のないコンクリート打放し空間は、ラーメン店より今時な和風ダイニング的。
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 事前にセットされた箸とレンゲ、ル・クルーゼのナイフレスト、割り箸ではなく共用の洗い箸を使う。卓上には胡椒等の味変アイテムは無い、店員は厨房内に店主と思われる男性を含め4人、店内が女性2人と、ラーメン店にしては手厚い体制だ。
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 運ばれて来た「清湯醤油わんたん麺」、見た目はとても綺麗だ、濁りや脂浮きが見えないスープ、手前に自家製雲吞、奥に低温調理系のチャーシュー、これ肉屋で使うスライサーで注文の毎に切っていた。その下にメンマ、葱は使っていない。
 WEB情報では全国から選んだ地鶏だけでスープを採り、醤油も数種ブレンドして使っているとの事。まずはスープを一口啜る、いい香りが鼻腔を刺激し、雑味のない深く奥行のある味が舌を包む、これは聞いたとおり上質なコンソメみたいに相当手をかけている。何処が特徴と訊かれると表現が難しいが、淡にして濃、清楚にして妖艶な味わい。
 続いて自家製と聞く麺、縮れのないストレートな中細麺で素材の良さは分かった、ただ個人的な好みを云ってしまうと、少しだけ柔らか目だった、これは茹で時間の長短ではなく加水率の多さではないかと思う、真偽は確認していないが、札幌では加水率多めの麺が好まれるとも聞く、初日と3日目の麺でもそれを感じた。
 全体的な味傾向では、東京春日にある「信濃神麺 烈士洵名」に似ているかな?と思った、「Q」程は広くないが店内の雰囲気も少し似ている。
 札幌ならではの地方色は感じないが、美味しいラーメンであるのは間違いない、空港で同じ金額払うなら、時間の都合を付けてこちらへ行った方がいい(笑)。

 食後まだ時間があるのでコーヒー位飲もうと、店前に在るタリーズに入ろうと思ったが、札幌まで来てタリーズは無いなと思い直し、2日目に行った大通ビッセ内に珈琲店があったのを思い出し、近くなので行ってみる事に、荷物はホテルに預けてあるので助かる。
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 店は「徳光珈琲 大通店」でビッセの2階に在る。道内に3店舗ある内の1店で、珈琲豆販売とカフェスペースを兼ねている。
 「Q」とは正反対な外光が多く明るい店内はホッとする雰囲気、カウンター含めると40席近くありそう、スタッフが全員若い女性なのもいい(笑)。
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 ノーマルなブレンドの他に季節のおすすめ珈琲があり、「秋色ブレンド」(税込600円)を選んだ。
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 これが秋色ブレンド、スタバやタリーズとは大違いで器類もセンスあり好印象。カウンター内で女性スタッフがハンドドリップで淹れていたが、まず香りがいい、味わうと濃い深さを感じた、南米系で深煎りした豆を使用しているか、そして札幌は水がいいので珈琲が余計美味しく感じる、過去にも珈琲が特に良かった街は京都、神戸、軽井沢なので、水との関係は大きいと思う。
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 甘味も欲しくなって、追加でお願いしたフィナンシェ(220円)、「リヴゴーシュ・ドゥ・ラ・セーヌ」(セーヌ川左岸)と云う名前の、北20条にあるパティスリーのもの、粉も油脂も上質で美味しい、次に札幌来る時には寄ってみたいと思った。
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 この後ホテルに戻り、預けていた荷物をピックアップ、「すしざんまい」の前から空港行のバスに乗車する。
 駆け足で観光もせず食べ続けていたが、楽しい4泊5日でした。お会いできた皆様ありがとうございました。札幌は来る毎にあらたな魅力を感じる街、石原裕次郎が歌った「恋の町札幌」の中に、『寂しい時 むなしい時 私はいつも この町に来るの どこかちがうの この町だけは なぜか私に やさしくするの』と、浜口庫之助作詞の歌詞があるが、そんな人に優しい街、仕事や人生に疲れたら札幌へ行きましょう(笑)。
 

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札幌・北15条東「Curry Powerパンチ」(2019札幌食べ続け-6)

 札幌最後の夜は、北13条東駅から歩き環状通り沿いに在る、スープカレーの店「Curry Powerパンチ」を訪れる事に、2015年から5年連続6回目の訪問になる。
 店主の植木氏とは店を開業する前からの知り合いで、ちょうど十年前の2009年に一緒にFRANCEのレストランを回った、私が海外へ出かけた最後の年で、あれから十年経って、フランスの料理界を取り巻く状況も変わったが、この話をすると長くなりそうなので止めておく、今日はスープカレーの日だ(笑)。
 特に夜来ると駅からの道に迷う、周りに目標となる建物がないからで、今はmapアプリで自分の位置が確認出来るので助かるが、寂しい道の途中に見覚えのある小さなパン店が見え、「この道で合っていた」と安心する。
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 環状通りの向こう側に店の灯りが見えた、人で賑わう繁華街のすすきのとは正反対で誰も歩いていない(笑)、こうした場所で飲食店を営むには、フリの客を狙うのではなくリピーターを確保しないと続かない筈、2014年に開業して6年目に入ったから、ポイントカード発行等で集客の努力をしているのに加え、人を雇っていないのが続いた理由だろう。
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 入店して一年ぶりに会う店主に挨拶する、去年迄と違って食券自動販売機が導入されていた。リースではなく買取りだそうだが、ワンオペ営業なので人を一人雇うよりは結局安く付く(笑)。客側としては、入店後すぐに食べるものを決めないといけないので、リピーターはともかく初回利用者は機械の前で迷うかも知れない。
 過去「うまうまつくねベジタブル」を選ぶ事が多かったので、今回は「タンドリーチキン(野菜5種)」(税込1,080円)に決め食券を購入し、いつものカウンター席に座る。
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 5周年記念のお祝い花、本当に月日が経つのは、矢ではなくミサイルみたいに早い(笑)。
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 スープが3種類、辛さが一番弱い「パンチ」から最強の「試合放棄」迄8段階、ライスの量も小盛から特盛まで選べる。私はノーマルスープでフック(辛口)、ライス普通盛でお願いした。
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 以前はなかった「ちょってりスープ」と云う、濃味オプションも出来ていた(笑)。
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 これが「タンドリーチキン(野菜5種)」、実際にタンドリー釜がある訳ではないが、それで焼いたみたいな仕上がりの鶏骨付モモ肉、野菜があっさりした和風スープの中に横たわっている。
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 スープカレーの重要な要素が道産野菜特に根菜類で、此の日は人参、ブロッコリー、蓮根、南瓜、さつま芋と5種、色合いを考えてオクラ、パプリカも加えてある。
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 ご飯は道産の「ななつぼし」使用との事、北海道米は最近急速に美味しくなっている、東北米を追い越す勢いだ。
 スープカレーを食べた事のない人には、従来の「カレーライス」のイメージとは違う食べ物、カレー味の付いた汁物とご飯を一緒に食べ、中の具はおかずと考えた方がいい。特に此の店のスープベースは和風味なので、余計にそう感じる。湿気の多い本州とは違い、春から秋迄は欧州的で乾燥した気候の札幌ならではのカレーだと思う、そして寒い冬には身体を温めてくれる。
 具の鶏肉は煮た「やわらか」と、焼いた「タンドリー」があるが、両方食べてみて私の好みは此のタンドリーの方だと思った、皮目を焼いた香ばしさがいい。
 4日間の食べ続けで、胃腸と身体は飽和状態に来ているのだが、それでも短時間で完食した、やはり日本人に汁物は欠かせない(笑)、勿論美味しくなければ話にならないが。
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 店主からのサービスで、店では「のむヨーグルト」と表示しているラッシー。
 
 一年ぶりの「パンチ」だったが、記憶にある優しく穏やかな美味しさに変わりなかった、東京でもスープカレー店がオープンしていて、幾つか利用してみたが何かが違う、去年店主が話していたが、北海道の土壌が生む力強い根菜と、札幌の良質な水に負う処が大きいのだろう、根菜は運べても水はまず無理だ。
 次に来るのは来年秋になると思うが、変わらない味で続いていて欲しいと願う。
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 ホテルのあるすすきのへ帰り、近くのローソンで買ったカップケーキ「ごろっと栗のモンブラン」(税込295円)とコーヒーでデザートタイム、コンビニのスイーツ類は年々レベルが上がっている、夜遅くでも入手可な事も含めて個人経営店には脅威だと思う。
 札幌滞在もあと一日、昼食の場所は決めていないので、井之頭五郎氏みたいに「さて、明日も札幌だ、何を食おうか」と考えているうちに眠りに就いた(笑)。


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札幌・ススキノ「meli-melo(メリメロ)」(2019札幌食べ続け-5)

 札幌食べ続けも終盤戦に入った、4日目のランチ場所は2016年から連続で訪れている、すすきの狸小路至近のフランス料理「meli-melo(メリメロ)」へ。
 2013年に札幌円山で開業した此の店、2015年に現在地に移転し人気店になっていたが、今年前半に店内の大改装を敢行、それまでカンター席を含め20席以上あった客席をカウンターだけの僅か6席の仕様に変えた、かなり大胆なリニューアルだが、料理を含めてどう変わったのかが興味大で、まずはランチタイムに訪れる事にした。
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 店の場所はビルの2階で同じだが、入口が重厚な木の扉に変わっていた、ランチは12時入店の一斉開始のため、時間になると店のスタッフが扉の前で案内する。
 以前は客席があったスペースに壁を作りダイニングへの導線として、茶道で云う「結界」的な、非日常へトリップする感覚を演出している。客席は事前情報どおり6席のみ、横一列に並ぶのは代官山「サンプリシテ」のカウンターと同じだ。目の前には仕上げと配膳用のテーブルが2卓、その奥に客席から見えない厨房があり、実際の調理は其処で行う、広尾「Ode」的な造りと云うと、行った人は分かると思う。
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 時に佐藤料理長、スーシェフの奥様が客席前のテーブルを使って料理を進行、スタッフは他に男女1人ずつ、客席6に対し4人で対応する。調理器具類は客席からは見えないので、スタイリッシュで非日常的な視覚体験。個人的にはオープンキッチンなら、火入れ調理工程が見える方が好きだが、こちらは舞台裏を見せないので、より「劇場型」ではある(笑)。
 以前ランチは3,000円、5,000円の2種類だったが、改装後は5,000円だけになった、同時スタートなので、アレルギーや苦手等の食材以外は客席に全て同じ料理が提供される。

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・ガラス器の中に帆立、中にキャビア、甘海老、甘海老のコンソメジュレ

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・羅臼沖産15kg鰤の3日間熟成後燻製した身、ガーベラ他を使ったサラダ

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・菊芋のヴルーテ、北寄貝とフランス産生ハム

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・パンと自家製海藻バター

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・留萌産カスベ顎肉のムニエル、蛤出汁と春菊のピュレ

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・石狩産望来豚の炭火焼

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・一人分、オマールのソースで、

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・Riesling2015/Zind Humbrecht ・alain milliat MERLOT(ノンアルコール)
 ミネラルウォーターはフリーフロー

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・ハーブと新生姜のソルベ

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・富良野産えびす南瓜のムース、プルーン、ハックルベリーとペドロヒメノスのソース

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・道産黒千石茶

 まず料理全体の印象から云うと、提供の仕方は違っても料理自体は大きく変わっていないと思った、これは安心した(笑)。過去3回の訪問でも感じた事だが、佐藤氏は魚料理が特に上手い、これは彼が札幌以上に新鮮な魚介類が豊富な、三方を海に囲まれた函館出身である事と関係あると思う。福岡出身の私の友人が、大学へ通うため東京で単身生活を始めた時、「東京のスーパーで売っている魚は、(地元に比べて)不味くて食えないと思った」と話していたが、子供の頃から旨い魚を食べ続けていれば、素材の善し悪しは教えなくても判るのだろう。
 海面温度上昇によるものか、最近北海道でよく獲れると聞く、良質な鰤の軽い燻製は、和食の造りみたいだが、食べると味のエッジの利かせ方にフランスを感じさせる。続く菊芋と北寄貝の扱いや両者を合わせたセンスもいい。
 此の日最も感心したのがカスベで、隣席の在札幌(たぶん)女性が「カスベなんて、煮付けしか食べた事なかった」と思わず呟いていたが(笑)、顎肉を使う事で適度な歯応えと味わいがあり、蛤と春菊のソースが脂を中和、秀逸な一品になっていた。
 肉料理の望来豚は石狩市のノース・ベスト・ファームで飼育されるブランド豚、白豚種ながら脂の旨味を感じさせる、シンプルな炭火焼にしたのは正解だと思う。
 メインデセールはハロウィーンを意識したものか、なかなか凝った味の積層を感じさせた。
 食事中の水はフリーフローでガス入りかノンガスが選べる、東京でも一部の店で導入しているが、いいシステムだと思う。食後は千石茶一択なのも思い切っていてユニーク。

 この内容で5,000円はかなり頑張ったムニュ価格だなと思った、前日見た3,000円の海鮮丼が頭をよぎるが、対価に対する準備と手間や時間がまるで違う(笑)。夜は15,000円1種と高額だが、どう違うのかも確認したくなる。「1回行っておけばいい」の店ではなく、次への期待が持てると思った。
 経営的な面を考えると、従業員も雇っているし6席では昼夜満席にしないと厳しい筈だが、夜はまだ集客にバラつきがあるとの事、怖いのは予約だけして来ない“No Show”やドタキャンだが、何らかの対策は必要と思う。経営面でのリスクを背負っても、自分がやりたいと思う事を実行したのは、料理人として立派、多くの料理人が理想と現実の狭間で悩んでいる中で、一種の「賭け」に出たように感じるが、その賭けに勝つ事を願っている。
 そして料理長をサポートしている、スーシェフである奥様の存在も大きいと見えた、料理人一人の力では此処迄思い切れなった筈だ。
 食後、佐藤氏と色々と話したが、今の形態が最終形ではなく、この後の発展も既に考えているようだ、1980年生れと云う若さ、チャレンジする気持ちを失わないで欲しいものだ。
 札幌フレンチの中では割と上級者向けの店だが、他店とは違う非日常体験を味わえ感じさせるので、まずはランチからでも訪れてみる事をお勧めしたい(笑)。



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札幌・バスセンター前「サタデイズ チョコレート ファクトリー カフェ」(2019札幌食べ続け-4)

 札幌3日目は市内在住のFB友人に急遽会う事になり、待ち合せ場所に指定があったのが「サタデイズ チョコレート ファクトリー(Saturdays Chocolate Factory Cafe)」だった。
 札幌市内を南北に流れる創成川の東側、地下鉄大通駅とバスセンター前駅、札幌二条市場の三角地帯の中心辺り、この一角は「創成川イースト」と呼ばれ、元々は印刷工場などが多かったそうだが、移転や廃業が続き寂れた一帯を現在再開発が進行中、古い建物をリノベーションして今風の飲食店やインテリアショップ等が出来つつある、その中に店がある。
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 開業は2015年2月、ショコラティエとカフェ部分を併設している。開店までに時間があったので、近くの二条市場を見学するが、来ているのは殆どが中国系の観光客、店先の簡易テーブルで一杯3,000円位する海鮮丼を提供して、食事をしながらスマホで撮影中の彼・彼女達に人気で、原価や固定費を考えると「?」と思いたくなるが、関係者が読むかも知れないので、詳しくは止めておく(笑)。
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 開店時間の10時に入店する、外観はとても洒落ていて、東京青山辺りにあっても違和感ない、店内にカフェを併設しているが、外でも飲食可能な席がある、まあ冬場雪が降ると無理だと思うが(笑)。以前友人から此の店製のタブレットチョコレートをいただいて、美味しかったので今年行くつもりでいたから、待ち合せの場所に指定してくれたのは丁度よかった。
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 店内は手前がタブレットや焼き菓子を置くスペース、奥がラボラトリーで、周りを取り囲むように椅子やソファーを並べ、カフェスペースにしている(店内撮影の承諾は得ています)。
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 カフェスペースでも提供販売する焼き菓子類。
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 店奥に在るラボ、此の店では“Bean to Bar”を謳ってチョコレート製品を作るのが特徴、「ショコラティエ」と云っても種類があり、別の場所で作ったものを並べるだけの店、業務用の製菓チョコレート(クーベルチュール)から製品を作る店等があるが、カカオ豆(Bean)を仕入れて焙煎・粉砕するところから始め、チョコレート製品にして販売する工程を全て同じ店内で行う、そのための製造スタッフが常勤している。例えが適当かどうかだが、自家製麺をするラーメン店みたいなものか(笑)。
 友人もやって来て、朝10時のカフェスイーツタイム、初来店なので何を注文するか迷うが、熱いココアの季節には早そうで、冷たい飲み物の中から店のお勧めに従う事にした。注文後自席にて待ち、出来上がったら取りに行くセルフスタイル。
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 実は自分でお金を払っていないので、正確な品名を忘れてしまい、たぶん「アイスチョコレートホイップ」?値段は600円位だった。
 冷たいチョコレートドリンクを飲むのは久しぶり、フランスのカフェでショコラショーを頼むと、時にむせる程濃厚なものに当たる時あるが、これは日本人向けに軽い味わいで最後まで飲める、甘さも控えめ、ホイップクリームも安手な感じが無く楽しめる。
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 友人が頼んだ「アイスチョコレート」?と並べて、見た目どおりお洒落です(笑)。
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 インテリアは独特なセンス、東京の銀座や青山のショップでは、もっとスタイリッシュで「余計なものがない」感が強いが、こちらはほのぼのとした温かさみたいなものを感じた、雪が降る中を熱いホットチョコレートを飲みに来る、そんなシーンが似合いそうだ。ただ札幌は寒くなると暖房をガンガン入れるので、温度管理が難しいチョコレート製造は大変だと思う、そのためにラボ部分は店舗部分と隔離し密室にしている。
 甘くて美味しい10時のスイーツタイムになりました、ありがとうございました(笑)。

 此の日は特に予定がなかったので、友人と別れた私は友人が勧めてくれた北大構内へ行く事にした、この時期銀杏並木や紅葉が綺麗だとの事。
 札幌定番の観光スポットではないと思うが、アジア系の観光客も結構来ていて、銀杏並木等をスマホで撮影している、自撮り棒を持っているのはまず中国系と思っていい(笑)、祝日だったので日本人の親子連れも多い。
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 訪れる目的の一つだった北海道大学総合博物館、結構古く本郷の東大構内に似た建物がある、入館料が無料なのが嬉しい(笑)。
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 館の目玉的展示で、絶滅した大型水生哺乳類「デスモスチルス」の全身骨格標本、この他にもワニの先祖の頭部骨格や、白熊の剥製、マンモスの復元標本など結構見どころあり。
 構内が広いので歩き疲れた(笑)、自転車があれば尚いいと思う、札幌ではシェアサイクルが盛んだが、あれ借りる方法を次は調べて行こうと思う。
 この後、大通近くに戻り、東京にも支店がある割と知られた麺専門店へ行ったが、正直云って味は私の好みではなかった、自分が共感できない食事をブログ記事にしても意味ないので、これは飛ばして翌日に訪れたフランス料理店を次の記事にしたい。



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札幌・西20丁目「リアン」(2019札幌食べ続け-3)

 札幌2日目の夜は、西20丁目のフランス料理「リアン」へ、2012年4月の開業だが、私の初訪問は翌2013年で、今年が7年連続になる。
 前日「プロヴァンサル・キムラ」の木村氏が話していたが、以前は地下鉄西18丁目駅周辺にはフランス料理店が幾つかあったが、徐々に消えていってしまったとの事。現在残っているのは「キムラ」もそうだが、夫婦で営むような小規模店が中心、東京でも同様だが、従業員不足も含めて、現在フランス料理店を取り巻く状況は厳しいと云える。
 此の日訪れる「リアン」も、開業以来木下夫妻二人で営業して来た席数12の小さな店だ。
大型駐車場の裏手で周りに飲食店はなく、暗がりの中にポッと浮かぶ緑色の店の灯りは、こちらはオアシスと云うより、旅人を迎える小さな宿、そんな印象だ。
 18時半の入店時にはテーブルは満席で、既に食事が始まっていた、札幌のディネは早く始まり早く終わるのが特徴。此の店に初めて来た時と同じく、カウンター席に座らせてもらう。
 カウンター内の木下マダムに挨拶して、始まった料理は以下のとおり、

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・ハーブティー

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・人参のムース、甘エビのマリネ、雲丹、コンソメジュレ

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・帆立と蟹のタルタル、キャビア、千歳産野菜

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・自家製パンとバター

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・朝採れトウモロコシ(雪の妖精)のスープ

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・平目と帆立のパイ包み焼き

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・一人分を切り分け、ソースブールブラン

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・仙鳳趾牡蠣の軽い燻製と白老牛、コンソメ仕立て

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・蝦夷鹿のカツレツ、マスタードソース、インカのめざめ

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・北海道産クリームチーズのムースと沖縄塩「ぬちまーす」、北海道ミルクのアイスクリーム、ハスカップのコンフィチュール

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・北海道産和栗のパイ包み焼き、葡萄のソルベ

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・ミニャルディーズとハンドドリップコーヒー

 木下料理の特徴は、まず盛付が綺麗で細部まで手を抜いていない、これは彼がパティシェから経歴をスタートし、ホテル厨房に居た事と関係あると思う。フランスでもパティシェ出身の料理人はミッシェル・ゲラールを筆頭に多いが、共通する特徴があると思う。
 雲丹とコンソメジュレを加えた人参ムースは、某料理人系列の「葵紋の印籠」みたいなものだが(笑)、それだけ日本人好みの料理、他店の料理もよく勉強している木下氏は、外見だけではなく味も外していない。続く帆立と蟹の前菜は此の日特に感心した皿の一つ、食材の上質さと、それをまとめる構成力を感じた。
 続いてスープが出るのが嬉しい、「雪の妖精」と云う洒落た名前の道産玉蜀黍は甘みが強く、余韻が残る個性的な味だった。魚料理のパイ包み焼きは既製品ではなくパート(生地)から木下氏が起こしたそうで、整形や焼き上がりの見た目は申し分ない、さすがはパティシェ経験ある料理人で肝心の味も秀逸、見た目より軽さが感じられた。
 肉料理は変則で2皿、まずは牡蠣と牛肉のコンソメ仕立、こうしたものはコンソメが駄目だと話にならないが、牛から丁寧に採ったコンソメが主役になっていた。最後の鹿料理も盤石、地元の料理人が地産食材全てに精通しているとは必ずしも云えない、売れそうな物は地元を飛ばして更に高く売れる処に行ってしまうものだ、シンプルなカツレツにしたのは、北海道鹿肉の特質を上手く扱っていて、おそらく豚ヒレカツからイメージしたのでは?と思う。
 前述のとおり元々パティシェ志望の木下氏なのでデセールが良質、特にパイ包みは光っていた。コーヒーはマダムが淹れるハンドドリップ、札幌は水が良質だからか、コーヒーが東京より美味しく感じる。
 木下氏の料理は、10月に利用した赤坂「ライラ」の成清料理長と共通するものがあると思った、どちらも1978年生れ、古典を軸にしながら軽さも感じさせる新しい感覚で自分の料理を表現する、流行した北欧調を取り入れる事もなく、中心線はあくまでもフランスだ。そしてタイプは違うが、両店共にマダムが店を支えている。
 ライラは他に厨房スタッフが居るが、リアンは一人厨房それもかなり狭いスペースなので、此の日使ったパイ生地等、仕込みは相当大変な筈だ、木下氏は成清氏と違いフランスでの就労経験はないと思ったが、以前働いていた国内ホテル厨房で相当鍛えられたようだ、現在のホテル内レストランの様子を聞くにつれ、時代も組織もかなり違っていたみたいで、きっと「戦場」のような職場だったと思う。
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 他の客が引けた後、木下氏と色々と話をする事が出来た、去年の料理が私には少々“too much”だったのに比べ、今回は量的にも起承転結ある味の構成もよく、最後まで美味しかった事を伝える。若い料理人は進化し成熟するが、客の方は鈍化し老いていくもの、お互いの蜜月はそう長くないが、今は何とか追いついていける(笑)。7年続けて通うと見えてくるものがある。
 店の今後の計画なども聞かせてくれたが、私にとって札幌における「掌中の珠」みたいな此の店が、あまり変わらないで欲しいとも願ってしまう(笑)。
 木下夫妻に見送られて、ホテルのあるすすきのへ静かな夜道を歩いて行こうと思ったが、体重が増えたせいか膝が痛くなり途中で断念(笑)、市電に乗ってネオンと喧騒の街へ帰った。



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札幌・大通「鮨 棗 大通りビッセ店」(2019年札幌食べ続け-2)

 札幌二日目は暖かく快晴、此の日だけでなく今年の札幌行は天候に恵まれた。関東~東北では悪天候が続いたので、東京脱出は結果正解だったが、大雨被害に遭われた方には謹んでお見舞い申し上げます。
 夜はまたフランス料理なので昼は出来れば軽くしたい、もう昼夜重い料理を続けるのは辛い年齢になった。札幌を代表する食と云えばラーメン、スープカレー、ザンギ(鶏唐揚げ)あたりだがどれも軽くはない、そうなると寿司かな?と考えた。宿泊地はすすきなので寿司店は多いが殆どが夜のみの営業、回転寿司は札幌の代表的な店へ行った事ある、予約なしで気軽に行け、値段も財布に優しい店は無いだろうかと、スマホからWEB上を探してみた。
 そこで見つけたのが「鮨棗(なつめ)」で、東京日本橋の高島屋S.C内に出店しているのは知っていたが、札幌出自だった。本店はすすきの西側にあり夜のみ営業の高級店だか、大通近くにランチ営業している支店があり、値段も手頃そうなので行ってみる事にした。「大通ビッセ店」と「赤れんがテラス店」と二つあるが、ホテルから近い前者に向かった。
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 「大通ビッセ」は、2010年に竣工した19階建の複合ビル「北洋大通センター」内の商業部分、近代的なデザインで特にエントランス部分にはガラス(アクリル)が多用され、明るい北の外光が注ぐ。店はこの4階「北の美食空間」と名付けられたフロア内に在るので、エスカレーターで上がって行く。
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 開店は11時半、店の雰囲気は何となくだが良さそうに感じる、この「何となく」が結構大事なのだ(笑)、入店しカウンター席の端に案内される。店内はカウンター、テーブル席、座敷に分かれていて30~40席位ある。店名の「棗」は果物だが、茶席で使う漆器の薄茶入もそう呼ぶ、此の店名は後者の意味みたいだ。
 ランチメニューは、にぎり寿司、ちらし寿司それぞれ3種類、商業ビルなので商談ランチの需要なのか、昼でも高額コースを用意している。まあここは様子見?で握りだろうと3種を比較するが、内容の違いは蟹、ぼたん海老、雲丹と云った道産名物が含まれるか否か、鮪の種類の差なので、高級ネタをありがたいと思わない私は、あえて赤身鮪を使う「楠」(税込1,980円)を注文する事にした。

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 まずはランチに含まれるサラダから、何気ないがちゃんと手切りして固い葉先は省いている、ドレッシングはサウザンみたいな甘口だが結構いける、ホテル朝食ビュッフェの、セントラルキッチンで機械裁断し袋で運んで来た、味のない野菜サラダとは大違い(笑)。
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 茶碗蒸し、割といい出汁の味と香りがする、少量だが丁寧な作りで、これなら後の寿司に期待できると思った、フランス料理ならアミューズだが、こうしたもので店の実力が判る。
 にぎり寿司が始まるが、WEBページ上で紹介されている店主と思しき人が握り、一緒盛りではなく2貫ずつ別の種類を出すやり方、産地は不明だが焼締めの俎板皿に盛る。
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・赤身まぐろ、平目
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・サーモン、ホタテ
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・青海苔の味噌汁(これも良質な出汁が効いていて美味しい)
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・鯛、イカ
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・サバ、甘エビ
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・トビッコ
・玉子(画像にないがシャリなしで)

 まず厚みのある赤身鮪が旨い、サーモンと帆立貝もさすが本場物だ、烏賊、鯖と云った日常的な鮨ダネが特に光っていた。
 以前、札幌の寿司と云えばまず名前が挙がる、円山地区の高級店で食事した事があるが、寿司の形が小さめ、ご飯(シャリ)が少し固めなことに相似性があると思った。あちらのランチには前菜的なものと食後の甘味があったと記憶するが、それでも寿司のレベルと値段を比較すれば、この1,980円の内容は秀逸と思った。
 寿司が目的で札幌へ来る人には、量的に少し足りないと思うかも知れないが、此の日の私みたいにフレンチとフレンチの間に間奏曲として入れるには、丁度いいと感じる。
 店内サービスは女性二人が担当、高級店系列なので感じのいいものだった。寿司店は回転寿司を含めて結構当たり外れがあり、過去札幌では勝率5割くらいだが、今回は当たりに入れていいと思う(笑)。寿司自体も上質だったので、「次、札幌来る時にもまた寄ってみたい」と思った。
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 気分良くなって、近くの札幌を代表するコンビニ「セイコーマート」で、PB商品の「北海道メロンモナカ」を購入、北海道庁近くの銀杏並木のベンチに座ってデザートタイムに、考えたら去年も同じような行動をしていた、進歩がない(笑)。
 夜はまた円山エリアにあるフランス料理店へ。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
人はそれぞれに「見方、感じ方、考え方」が違います。私が美味と思ってもそう思わない人が居て当然です、味覚とはそれだけ不安定で不完全なもの、あくまでも筆者個人の嗜好による感じ方である事を承知の上で読まれてください。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに赤坂、麻布十番等。
混雑電車が苦手で加齢による朝型人間化のため、ランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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