最後の晩餐にはまだ早い


2019年「今年印象に残った店」(デザート・スイーツ編)

 料理編に続いてデザート&スイーツ編だが、例年どおり私の好みを反映して、フルーツ系や白色系は少なく、茶色いものが多くなってしまった(笑)。まずはレストランデザートからで、
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・稲荷町「キエチュード」の「栗とホワイトチョコレートのフォンダン」
 去年も此の店のフォンダンを選んでいるが、結局これが好きだからと云うしかない(笑)、その場でないと食べる事が出来ないレストランデセールならではの皿。

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・大阪・上本町「レストラン・コーイン」の「エチオピア産カカオ70%のビターショコラをモンブラン仕立で」
 『「今年印象に残ったデザート」に選ばれるのを狙って作りました』と、料理人が自ら話したデセール(笑)、自信作だけあり手が込んでいる、個人的には甘さもう少し控えめが好みだが、選ばない訳にはいかない秀作。

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・六本木「ル・スプートニク」の「オレンジとショコラオレ(ジヴァラ ラクテ)のパルフェグラッセ、ショコラのキャレのチュイール、カモミールの泡」
 パティスリー勤務歴のある料理人はやはり違うと、あらためて思ったデセール、見映えの良さと味の構築に、他のレストランデセールとの違いを見せつけた。

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・東麻布「ローブ(L'aube)」の「キャラメル ショコラ」
 パティシェ界の女王は健在(笑)、デザインの良さと味の積層、甘味に複雑さを持たせる点では「ル・スプートニク」と双璧だった、年明け1月には平日ランチもあるので、レストランデセールを勉強したい人は行くべきと思う。

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・赤坂「ライラ(Lyla)」の「カヌレ 紅茶(カヌレ味のアイス、紅茶のジュレ)」
 「成程、こうしたやり方もあったのか」と感心したのは、赤坂の隠れ家的フレンチで出たプレデセール、何も云われずにカヌレの味を指摘出来たら、「神の舌」の持ち主です(笑)。

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・札幌・西17丁目「プロヴァンサル キムラ」の「ピスタチオクリームのパリ-ブレスト、グラスバニーユ」
 パリ-ブレストは、私がフランスで体験した中で最も印象深い品、なかなか日本で満足できるものに出会えなかったが、これは光っていた、シュー皮の軽やかさとクリームの味わいのバランス良好、画像を見ているだけでも、また食べたいと思う(笑)。

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・赤坂「古屋オーガストロノーム」の「マロンのガトークーラン、マロングラッセとマロンのグラスウイスキー風味」
 料理人は一つの食材を多種の調理で一皿料理にするのが得意だが、それをデセールに応用したと思った逸品、元々ファンダンやクーラン系の熱い甘味は好みで、それを冷たいグラス(アイスクリーム)と合わせるのは、レストランのアシェットデセールならではの、王道にして至福(笑)。

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・小川町「ZeCT(ゼクト)byLm(バイエルム)」の「炙りチーズケーキ」
 これはアイディアの勝利、カットした自店製レアチーズケーキを客の前でバーナーを使って炙る、ケーキが溶けていく様は諸行無常やホラー映画を連想する(笑)、インパクトある一品。

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・麻布十番「リストランテ・ジャニコロ・ジョウキ」の「そば粉のクレープとヘーゼルナッツのムース(ヘーゼルナッツのパウダー、食用パンジー)」
 以前から料理とドルチェに注目している料理人で、一見ジャクソン・ポロックみたいなカオス状態の皿ながら(笑)、味わいはバランスが取れている。9階からの眺めも良好、もっと評価されていい店だと思う。

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・神戸・三宮「ラ・カスエラ」の「クレマカタルナとペドロヒメネス」
 フランスの高級店に行くと、シャンパーニュやリキュール飲みながら、時間をかけてデセール味わう客を見かけるが、アルコールに弱い私でも、このクレームブリュレの原型とされるポストレと甘口シェリーの相性の良さは判った、駅直結の商業ビル内に在るエスパーニャ。

 店売りスイーツでは、地元応援の意味も含めて、葛飾お花茶屋の2店を挙げておきたい、
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・お花茶屋「タルトレット ドウゼン」の「焼きレアチーズタルト」
 2018年11月開業、祖父の理髪店を改装して始めた小さなパティスリー、店主は上野の有名店出身で、看板商品のタルトは一度味わう価値あり。

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・お花茶屋「おやつ屋マムマル」の「ほうじ茶とチョコレートマフィン」
 2018年10月開業した自宅併設型の狭小店舗だが、レストランパティシェール出身店主の焼き菓子類は個性的で美味しい、なお夫君は乃木坂のビストロ「TABLE MOTOH(ターブルモトオ)」店主で、此処もこれから楽しみな店(笑)。

 一年間このブログにお付き合いいただき、ありがとうございました。
 飲食店では慢性的な労働力不足と後継者不在に加え、今秋以降には増税、台風到来、ラグビー熱と、特に個人経営店に厳しい年になってしまったと思う。私の地元周辺でも町中華、蕎麦、喫茶、ラーメン店等が次々閉店している、街中を歩いてシャッターの閉まった店舗を見ると、寂しさと暗澹とした気持ちに捉われてしまう。
 そんな中でも、1980年代生まれの若い才能が出て来ているのを知ると、暗闇に差す一条の光にも思えてくる(笑)、君達が次代を輝かせて欲しいと願う。そして若い人達へは将来の不安から消費を抑え貯蓄する事は反対しないが、週一いや月一でもいいので、個人店で外食してみては如何だろう?其処にはコンビニ弁当とは違う美味しさがある。
 食を提供する人、提供される人、全ての人にとって2020年が良い年である事を願っています。


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2019年「今年印象に残った店」(料理編)

 2019年も残り僅かになり、このブログ記事更新もあと2回の予定、年末恒例の「今年印象に残った店」を記録しておきたい、例年同様「料理編」と「デザート&スイーツ編」の2回に分ける事にする。
 毎年書いているが、私が訪れて此処に選ばなかったのが、印象に残らなかった料理&店と云う事ではありません、安定した料理には満足を感じたが、既に十分評価が確立されていて、この選に取り上げる必然もなく外した店もあります。
 利用した後、時間を経ても記憶に残っているか、ブログタイトルどおり人生最後の晩餐に選びたいか、今後の更なる発展が期待できるか等を考えて各12店を選んだ。
 まずは料理編からで、今年は先に「格が違う」と思わせた、3、4、5番打順の中軸打者?から紹介する事に。
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・大阪・玉出「びすとろぽたじぇ」の「サーモンのクリビヤック」
 海老沢泰久著「美味礼讃」の中に、1972年(昭和47年)大阪あべの辻調理師学校で行われた、仏料理公開技術講座の様子が書かれているが、其処に出てくるロシア出自の宮廷料理、作った料理人は受講者ではなく教壇側に居た歴史の生き証人(笑)、その料理を体験する事が出来たのは奇跡、後世に伝えていくべき傑作。

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・大阪・上本町「レストラン・コーイン」の「トリュフ丸ごとを丹波産猪の身と縮緬キャベツで包んで」
 「無双」と云う言葉はこの料理人のためにある(笑)。仏産黒トリュフ一個を猪の身で包み、上から縮緬キャベツで香りが逃げないよう更に包んで調理、盛付け時には上からトリュフと云う、書いている今でも「あり得ない」と思う料理(笑)、他の料理人は危険?だから真似しない方がいい、それを絶妙なバランスで仕上げるのが、この料理人の特質。

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・代官山「レクテ」の「青森産 リエーブルロワイヤル(アロマレッドと根セロリのピュレ)」
 古典料理の華とも云えるロワイヤル、鹿に転用した料理も経験したが、この料理法は野兎を使うのが最適な事を理解した。手間がかかるのでフランスのレストランでも提供されなくなっているみたいだが、PARISでもchefを務めた経験豊富な料理人に間違いはない、お金のない庶民でも王侯貴族の気分が味わえる(笑)。

 以下は美味しいだけでなく、作った人間の個性と何をしたいのかを感じて、記憶に残った料理の紹介を、
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・鎌倉「イル ノード」の「冬の平スズキ カダイフ 渡辺農園の人参をとことん味わう」
 2018年9月、鎌倉小町通り近くにオープンした、鎌倉野菜をリスペクトしたイタリア料理店、都内名店出身の気鋭料理人が一人で客と向き合う、この人参料理(魚料理ではないと思った)は記憶に残る鮮烈な味。

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・乃木坂「タンモア」の「ブルターニュ産仔牛-リードヴォー、フォアドヴォー、モモ肉のタルタル-、人参、グリーンピース」
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・赤坂「古屋オーガストロノーム」の「ブルターニュ産仔牛内臓(リ、フォワ、ロニョン)のデクリネゾン キャロット風味のソース ジロール茸のソテー添え」
 奇しくも同じエリアにある2店が、ブルターニュ産の仔牛部位を使った皿を構築、両店ともに的確に調理された内蔵の美味しさと、それに合わせたソースが印象的だった。

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・白金高輪「ラ クレリエール」の「スコットランド産グルーズ(雷鳥)、コーヒー(コロンビア・ラスラハス産)味のソース」
 ネット上の店評価はあまり信用しないが、此の店は評判どおり、いや評判以上にレベルの高い料理だった、料理・サービス・店のアンビエンスが高次元でバランス取れた優店、フランス料理店が乱立する今の東京で、初心者からフレンチフリーク迄、多くの客層に勧められる店だと思う。

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・六本木「ル・スプートニク」の「鯖の燻製、シャドークイーン、ロックフォールのソース」
 「ラ・クリエール」の料理人が自陣で戦の指揮を執る武田信玄とすれば、此の料理人は最前線で戦う上杉謙信(笑)。周りが付いていけない位の速さで、機関銃のように繰り出す、アイディア溢れる多皿料理と古典的肉料理が特徴、この時のムニュの質・量は今年訪れた店中でも圧巻だった。

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・入谷「サルデスカ‘Sardexka’」の「フランス産仔鳩のグリル、万願寺唐辛子と鳩の内臓のソース」
 意外な場所に在るスペインバスク料理を提供する秀店、店形態はバル風だが料理は本格派、特にこの鳩は焼き鳥用みたいなグリルを使いながらジャストな火入れで、独学派の料理人は火を完全に制圧していると思った、ビアンドのキュイッソンに自信のない料理人は、此の店へ勉強に行くべき(笑)。

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・三ノ輪「ビストロ ルミエル」の「三陸産牡蠣のフリカッセ、アカモクを使ったソース」
 入谷の隣だが、最近この辺りは穴場的に良店が出現している。去年から注目している覆面料理人?だが、現在料理は絶好調と感じた、そして間違いではないかと思うくらいに安い(笑)。赤白黄色本等に載る前に行った方がいい店、此処数年フランス料理店で味わった牡蠣料理では最上位。

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・稲荷町「中国意境菜 白燕」の「熟成黒醋の特製酢豚」
 2019年9月開業、1987年生れと云う激若な料理人が作るセンスある正統派中華、この酢豚はそれ迄の酢豚観を覆す美味しさ、此処もグルメ本に載る前に行った方がいい(笑)。「サルデスカ」「ルミエル」を含め、今台東区が面白い。

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・五反野「酒肴 和ろく」の「大葉たっぷり糠鯖茶漬、漬物」
 20年前の私は「本当に旨いもの」に出会うには、飛行機と電車と車を乗り継いだ所に行くしかないと思い込んでいた。それから齢を重ねて、実は自分の身近にも美味しいものはある、それに気づいてないだけだと、まるで「青い鳥症候群」みたいに悟ってきた(笑)。自転車で行ける、和の鉄人直系弟子の「へしこ茶漬け」は、人生最後の晩餐が終わった後に、隠れて一人で食べたい逸品、これがあればもう思い残すことはない?(笑)。

 次回は「デセール&スイーツ編」の店を紹介したい。


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五反野「酒肴 和ろく」(2019年12月)

 前記事の「ビストロ・ヌー」で年内の単独店記事は最終にするつもりだったが、急に五反野「酒肴和ろく」に行こうとの話になり、好きな料理が出て且つ普段着で自転車に乗り行ける店なので即同意し、電話をして何とかカウンター席に滑り込む事が出来た。
 そして師走の某日、冷たい風の吹く中を店へ向かった、初代「和の鉄人」直系弟子の佐竹剛料理長が、奥様と奥様の母親と営む店だ。
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 もう私には遠い昔の話だが、一般にはボーナス支給月なので満席、昼も満席が続いているそうだ。テーブル席では多分近くで働く女子達の集まり、聴こえてくる職場話が面白く耳がダンボになってしまったが、詳しく書くと特定されそうなので止めておく(笑)。
 佐竹氏、お義母様に挨拶し、始まった師走12月の料理は以下のとおり、

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・お通し:蛸、厚揚、小松菜

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・前菜:チーズ西京、帆立胡麻クリーム、生のり茶碗、平目の握り寿司

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・椀物:「冬仕立」焼雲子(白子)白味噌椀、椎茸、人参、柚子

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・差味:本日の鮮魚三種盛(〆鯖、本鮪、鰤、あしらい)

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・蒸物:真鱈とろろ昆布蒸し、豆腐、春菊

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・温物:牛蒡のポタージュ

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・焼物:四種野菜のトマトソース「地鶏のトマト焼き」木の子、青味

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・食事:たら子の焚込み、針生姜、三ツ葉

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 味噌椀と自家製糠漬け
(キリン一番搾り、燦爛:佐竹氏の出身栃木の清酒)
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・甘味:柚子のレアチーズ

 献立に含まれないお通しの蛸柔らか煮の味にまず瞠目。続く前菜は鉄人一門共通のチーズ西京、帆立、生海苔、平目握りの組合せが美味しさ楽しさを感じさせる。
 和食の花形である12月の椀物は鱈白子を主役にした白味噌仕立て、隠し味にチーズを使うのは師から受け継いだやり方、これは冬にふさわしい印象の残る味だった。
 造りは〆鯖の旨味が舌を刺激する、鮪の質はいつもと変わらずいいが、季節物の鰤も甲乙つけ難い。続く鱈の蒸し物で一旦柔らかさへ引き戻し、洋食の技法を取り入れたと感じる、牛蒡のポタージュ、続く鶏のトマト焼きも一見イタリア料理的だが、食べてみると「これは和食だ」と妙に納得してしまう(笑)。
 鱈子を加えて炊き込んだご飯で頂点が来る、旨さに痺れて思わずお代わりを(笑)。

 私は鉄人番組をリアルタイムで観ていた世代だが、和の鉄人が毎回勝利するのは、「無敵の料理人に立ち向かう挑戦者」のイメージを作るための一種の演出では?と思っていた。それが「自分は師匠の料理を一番引き継いでいると思います」と語る佐竹氏の料理を何回か味わってみて、あれは演出ではなかったのだろうと、今になって考えている。「和ろく」の料理は最初の一口目に頂点が来る、外角低めでカウントを取るのではなく、いきなり胸元に直球が来る感じだ(笑)、そのファーストインプレッションが強烈で余韻を残す。一品が多く最後まで同じ味を続けると食べる側が疲れる事あるが、あの番組みたいに料理が4品前後で各料理の量もそう多くなければ、第一印象が強い方が有利な筈だ。二代目以降の和鉄人の戦績があまりよくなかったのは、これが違っていたからではないかと考えている。
 此の日は癖のあるチーズを隠し味に使った白味噌椀に加え、洋食の技法を取り入れた牛蒡ポタージュ、地鶏のトマト焼きが特に印象に残った、京料理が好きな原理主義な和食愛好家からは、「これはケレン味」と思われそうだが、「旨くて安いなら別にいいでしょう、高額寿司屋より余程手間かけている」と云いたくなる(笑)。
 北大路魯山人や「京味」の西健一郎みたいに、関西出自ながら東京で成功したのは、東京人の味の好みが分かり、それに合わせたからだろう。鉄人や弟子の佐竹氏も関西でも東京出身でもないが、東京で受け容れられるには何が必要か、理解していると思った。
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 区内では西新井や竹ノ塚にも和食の新店が出来たし、何と我家から歩いて行ける場所にも、居酒屋ではない和食店が今月オープンした。もう都心で開業する必要はないと云う事か、「働き方改革」が浸透する中で、料理人も家族と一緒に居る時間を増やすため、職住接近を真剣に考える時代になった、仕事が終わって夜遅く家に帰ったら妻も子供も既に寝ている、こんな生活を毎日続ける環境ではなくなりつつある。あとは都心から外れた土地でも、店へ来てくれる人が居るかどうかと云う、我々客側の問題になった。
 地元で通える店が増えるのは嬉しく、長生き?してよかったと思うが、反面自分が時代の変わり方に付いて行けなくなっているのも感じている(笑)。
 佐竹料理長、お母様、寒い日でしたが温かい料理とお話で、心温まる夜になりました、ありがとうございました。
 
 年内の単独店紹介は今回で最終になり、次回・次々回は年末恒例の総集編「今年印象に残った店」を記事にします。 


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御茶ノ水「ビストロ・ヌー」(2019年12月)

 暫くぶりに「第二の故郷」秋葉原の風景も見たくなり、「ビストロ・ヌー」のランチに行こうと、オーナー料理人の磯貝氏に連絡したら、「そろそろ来る頃だと噂をしていました」との返事、まるで仲間由紀恵さんに「お前のやることは全部お見通しだ」と云われているみたいだった、仲間さんなら云われてみたいが(笑)。磯貝氏は「年末はいつもご来店いただくので、そろそろかなと・・」、さすがはスポーツで鍛えた勝負勘があるみたいで、こちらの日常行動パターンを先読みしている(笑)。
 前回は秋葉原駅から行ったが、今回は地下鉄湯島駅から歩く事に、途中に在った古い看板建築の昭和的長屋が壊されていて残念、此の国では常に何かを壊して何かを建てていないと、業界が立ち行かなくなるみたいで、その結果何処を歩いてもコピー機にかけたみたいな町並みが現れる事に、そして昭和人間の居場所もなくなりつつある。
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 約束時間の11時半に入店、磯貝夫妻に挨拶し「いつもの席」と自分勝手に決めている、カウンター端に座らせてもらう。私の後に予約客も含め次々と来店があり、昼過ぎには満席に、場所柄ビジネスランチ的な集まりが多いと感じる。
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 黒板ではなく赤板のメニュー、基本は前菜+メイン+コーヒーで税込1,400円、プラス料金の品もある、2011年の開業時からあまり値段を上げていない。この他に「おまかせランチ」が2種類ある。
 いつも無理を云って、此処に載っていない料理を頼んだりしていたが、此の日は「牛スジ肉の煮込み、クスクス添え」の言葉が目に留まり、クスクス好きなのでこれをメインにして、あとはお任せでお願いする事にした、

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・自家製パン

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・スープ・ド・ポワソン

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・豚足のテリーヌ

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・鱈白子のカダイフ揚げ、黒米のリゾット、ピモン・デスプレッド

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・牛スジ肉の煮込み、クスクス添え

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白:Veilleur de Nuit Riesling2016
赤:Domaine Du Grand Gaumont's Pays Syrah2016

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・紅玉リンゴのタルト、キャラメルのアイスクリーム

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・コーヒー

 まず此の店のスープ・ド・ポワソンは過去にも経験しているが、青魚のクセをあえて消さず野趣ある作り、おそらくフランスで漁師が家庭で食べるスープもこんな味わいだろうと想像する、特に冬場は最初に温かいスープが出るのは嬉しい。
 豚足のテリーヌはまさにビストロ料理、フランスならこの3倍の厚さだろうが、ムニュ中ならこの位が私には丁度いい(笑)、作りも味も申し分ない。
 次の白子料理が秀逸、先月、赤坂「古屋オーガストロノーム」でもボラの白子をカダイフで揚げた料理が光っていたが、偶然にも似ている。その時に鯔白子は一般的な鱈白子より断然旨いなと思ったが、鱈の白子もやはり旨かった(笑)。繊細さでは鯔だが力強さでは鱈か、それにしても本来はトルコの菓子だったカダイフを、最初に料理に転用した料理人の慧眼は凄い。ガルニの黒米リゾットも存在価値あり。
 スジ肉煮込みは大体予想していたとおりの味、見た目はあまり映えないが(笑)食べて旨いと感じる茶色い料理、何か「まかない料理」みたいだと思った。三田「コートドール」の斉須料理長が自著の中で、「世の中で一番美味しいのは、フランスのまかない料理では」と述べていたが、見映えをあまり気にしない料理も人間も中身は味がある(笑)。
 デザートもビストロランチのデザートレベルを超えている、紅玉タルトもいいし、業務用でなく自店で直前にパコジェットを回して作ったアイスも秀逸だった。

 磯貝氏に、「10月は他店では(増税・台風等で)客入りイマイチだったと聞いているが、如何でした?」と尋ねてみたら、意外にも11月より好調だったとの事、フレンチを利用する場合、やはり値段は大きな要素になるのかな?と思った。
 2011年3月、東日本大震災直後に開業した此の店、私が初めて訪れたのは2013年の1月だが、磯貝氏とその時の話になった、たしか彼がPARISで働いていた17区のバスク料理店の話をしたと思う、当時独身だった磯貝氏も今では美人の奥様と働く2児の父親、7年近く経ったが風貌も料理値段も当時と殆ど変わっていない、それに比べると訪れる客の方が相当老けてしまった(笑)。
 最近「ネオ・ビストロ」と云う言葉はあまり使わなくなったが、「ターブル モトオ」「ビストロ ルミエル」「ビストロ・ヌー」と、東京の良質なネオ・ビストロと呼びたい3店を続けて訪れ、皆オープンキッチンのカウンター席利用で店内の様子もよく見えた、そして料理のいい素敵な店には、素敵な料理人と優秀なパートナー、そして単に流行を追うのではない料理好きな客が来ているのを再確認した。
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 帰りに秋葉原UDXまで歩いたら、路上で白のランボルギーニを載せた運搬車に遭遇、フェラーリは見るがランボルギーニにはあまり出会わない、新車でそれも足立ナンバー、他に写真を撮っている人も居て、残念ながら私の所有ではないが、足立住民として妙に嬉しくなった(笑)。


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上野「Cafe&Meal MUJI 上野マルイ」

 大体月に一度は御徒町のアメ横へ珈琲豆を買いに行くが、ついでに近くでランチを摂る事にしている、場所柄ラーメン店やカレー店が多いが、天気が良ければ稲荷町や秋葉原くらい迄歩く。生憎この日は朝から雨、あまり歩かないで済む処、そして前日から胃腸の調子がイマイチだったので、ガッツリ系以外の食べ物と考えていたら、思いついた店があった。
 それが上野マルイ地下2階、無印良品内にある「Cafe&Meal MUJI」、地下鉄上野駅からは外に出ないで行ける、此処のデリカなら胃に優しそうだと行ってみる事に。
 Cafe&Meal MUJIの運営は上場企業の㈱良品企画、「素の食」をコンセプトに掲げ、保存料不使用、化学調味料最小限、素材の味を生かして自然の旨味を引き出し、シンプルに調理する事を謳っている。全国で32店舗あり上野店は都内11店中の一つで2017年10月に開業している。無印良品内に併設されているので、店内で使われる食器類は欠品中や廃盤でなければショップで購入可能、また原材料や調味料等も販売されているものを極力使うみたいだ、この辺りは無印良品の出自母体セゾングループの西武百貨店が昔掲げた、糸井重里の名コピー「おいしい生活」を思い出す。

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 店入口には利用の仕方が書いてある、これは初来店の客にはありがたい(笑)、基本セルフサービスで、まずは席を先に確保する事からだが、此の日は空いていたので慣れている客は特にしていなかった。
 食事の場合は先にデリケースが並ぶ前へ行く、食事は「選べるデリセット」が基本で、3品か4品の料理を自分で選び、ご飯(白米か十穀米)またはパン、味噌汁が付く、3品セットが税込850円、4品で1,000円。
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 一見、デパ地下の洋風総菜売り場みたいだが、野菜中心のヘルシーな料理が多い、こちらはサラダ等の冷たい料理。(撮影の承諾は受けています)
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 豆腐ハンバーグやコロッケ等温かい料理。セルフではなくケースを挟んだ店員との対面式で衛生面の心配もない。
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 セットには含まれない別注文のスイーツ類。
 何を選ぶか迷うが、直感を頼りに4品を選び、セットコーヒー(200円)とプリンを追加した。
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 会計をするカウンター、食事をしないカフェ利用の場合はこちらで注文する、後方は作業スペースで3人位働いていた、広さもあるし温め中心の二次調理だけでなく一次調理もしていると思う。
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 店内は白木の家具を中心にした北欧調で、広く清潔な印象があり雰囲気は良好、70席あるとの事だが、土日の混雑時には席待ち状態になるそうだ。
 私が選んだ4品は以下のとおり。
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・きのこの厚焼き玉子
・ゆで豚と菊菜の香味サラダ
・ミートボールのクリーム煮
・唐揚鶏モモ肉と根菜の甘辛炒め
 各料理の細かい説明は省くが、全体的に量は少なめだが味は悪くない、保存料不使用、化学調味料最小限、素材の味を生かすと云うコンセプトは感じられた、もっと薄味なのかなと思ったが、鶏と根菜の炒め物は結構味が付いている。最近某牛丼店で出会ったサラダみたいに、野菜に消毒薬の匂いがすると云う事もない(笑)。
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 十穀米、綺麗に炊けていて美味しい、我家でも十穀か十六穀米を炊くが、量が少ない事もあり、此処まで美味しく炊けない。味噌汁も天然出汁の香りが感じられる、おそらくこれも商品。
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 追加の「本和香糖の焼きプリン」(400円)とコーヒー、プリンは何処か懐かしい味、バニラ等の香料は使っていないと思う、上部に「す」が入っていて固めな仕上がり、カラメルと混ざって万人向けの仕上がりと感じた。コーヒーも普通に美味しい、本和香糖もコーヒー粉もショップで売っている物。
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 前述のとおり店で使うカトラリーや食器、トレー等は併設の無印良品で買う事が可能、此の店ならではの特色だと云える。
 昼の時間が近づいて席が埋まってきた、意識高そうな女子それも一人客が多いと感じたが、私みたいな中年男性客も数人、営業の合間に来たみたいなスーツ姿の男性も居る。
 健康志向、低カロリー、ヴィーガン対応、独り飯、多国籍客、乳幼児から高齢者まで利用可、料理を選ぶのは客側、セルフ形態で人件費抑制、代金を払った後は店側に管理されない等々、店が提供するものが現代に合っているのだろう。郊外型店舗の「イケア」でも同様のカフェ&ダイニングがあるし、この営業形態はこれから発展しそうだ。一言で表すと「大人の給食」と云う印象(笑)。
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 食後、無印良品内を見て歩いた、主にキッチン用品売り場だが、売っている物のクオリティ&価格は、勿論ダイソーより更にニトリより上(笑)。30~40歳代の都市生活者が、華美ではないけれど「少し上の日常」を狙った生活を送るのに、選びそうな品物が多いと感じた。「無印」で食事やカフェを利用して買物をする事がブランド力になっていると云う、不思議な現象だが、これが企業の狙いか。
 色々と発見があって面白かった、また何かの時には利用したいと思う。



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三ノ輪「ビストロ ルミエル」(2019年11月)

 冬の到来を思わせる寒い日が続いた或る日、エネルギー補給のため?熱くて旨いものが食べたくなり、前日予約で伺ったのが、半年ぶりの三ノ輪「ビストロ ルミエル」、此の店は料理も熱いが料理人も熱いので、寒い日には最適、特に料理オーラが伝わるカウンター席は遠赤外線効果ありそう(笑)。
 昔の粋人は、近くの土手通りにある天ぷらの「伊勢屋」や桜鍋(馬肉)の「中江」で精をつけ、道向かいの大門から吉原に繰り込んだそうだが、私は美味しいものが食べたいだけで、この場合ルミエルがいい(笑)。
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 約束の昼12時に到着したら既に5割の入り、この後も来客が続き、カウンター席も含めてほぼ満席になった、雨の日でも集客は好調で、2017年6月に開業し3年目に入った此の店もすっかり地域に溶け込み人気店になっている。「三ノ輪でフランス料理店」と最初に聞いた時には意外感と、「お客来るのかな?」との一抹の不安も感じたが、こうして繁盛しているのを見ると嬉しいと共に、もう下町だからとの先入観を持ってはいけない時代になった、私の考え自体が時代の進行に遅れている(笑)。
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 オープンキッチンで加藤料理長が目前に居るリングサイドみたいなカウンターに座る、目の前には去年加藤一家が旅行したニューヨーク土産。その後ろには「旨いもの作るぞ」のオーラが漂う、加藤氏の肉厚な背中が見える(笑)。
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 通常のランチメニュー、10月で200円値上げしたがそれでも安い。本来この中から選ぶべきだが、つい我儘を云ってしまい「この他に何か出来るものあります?」とお願いして、メニュー外の料理を頼んでしまった、材料があったから可能なので、何時でも対応出来るとは限りません、結果以下の料理になった。

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・黒胡椒風味の牛蒡のポタージュ、自家製パン

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・ブルーチーズのクレームブリュレ

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・三陸産牡蠣のフリカッセ

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・ニュージーランド産仔羊のロースト、菊芋のピュレ、赤ワインソース

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・ルミエル風アップルパイ

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・コーヒー

 寒い日には嬉しい熱いスープからで、黒胡椒を効かせたパンチある味、欧米人に比べ唾液量が少ないとされる日本人には、和食における椀物みたいに、料理の初めに汁物で口内を潤すのは理に適っている。続くクレームブリュレは料理人からのサービスで、癖のあるチーズを上手く扱い香りが記憶に残る。
 次の前菜とは思えない程に食べ応えあった牡蠣のフリカッセは唸った、火を入れても縮まないと加藤氏が云う三陸産の肉厚な牡蠣を使い、牡蠣本来の香りと味わいを生かした逸品、岩手出身の料理人は地元食材を熟知している、元々この料理は加藤氏の師である三国清三氏のスペシャリテで、同じ厨房で見ていた加藤氏は「何時かあの料理を作りたい」と、常に凝視していたそうだ、もしかしたら師を超えている、そう思わせる程の皿だった(笑)。
 仔羊は状態も焼きも申し分ない、食の先輩から「初めての店ならパテ・ド・カンパーニュと仔羊のローストを食べれば料理人の実力が判る」と、昔教わった事があり、確かにその通りだなと以降何度も思ったが、この仔羊は焼きも味付けも合格している。
 本来は夜だけ提供している、ルミエル風アップルパイも生地のサクサク感と軽やかさが印象的、ビストロデザートを超えていると思った。
 料理全体的には、黒胡椒や酸味を積極的に使うようになり、以前より味のポイントが前に出て来ていると思った。SBグループ創業者の孫正義氏は「髪が後退しているのではない、私が前進しているのだ」と云ったそうだが(笑)、今の加藤料理は皿から料理が飛び出している、そんな勢いを感じた。
 満席の店内は皆料理を楽しんでいて、高級(高額)店で出会う事ある「初めてフレンチに来ました」的な素人っぽい客は居ない、ベタな下町の三ノ輪でこうした客層に出会えるとは、十年前には思いもしなかった事、長生きはするものだ(笑)。
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 ワインセラーの上には覆面と燭台、店内では毎夜怪しい儀式が繰り広げられる、そんな訳ではないが、お願いすれば他のレストランでは出会えない光景が見られるかも知れない(笑)。
 加藤料理長、奥様、色々とお気遣いありがとうございました。赤い本の星など付かなくても「下町の星」として十分輝いています。
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 食後に歩いて行ったのが、昭和的商店街「ジョイフル三ノ輪」の入口にある、創業80年を迎える佃煮専門店「安井屋」。
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 浅利とちりめん山椒の佃煮を購入、フレンチもいいが、昔ながらの東京下町風の佃煮でご飯を食べるのも好きです、特にちりめん山椒の佃煮は気に入り、次もルミエル来た時も寄ろうと思った。途中にある行列ラーメン店は加藤氏御用達なので、此処も行かないといけない、三ノ輪は何時の間にかグルメな街になっていた(笑)。


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お花茶屋「おやつ屋マムマル」

 前記事の乃木坂「ターブルモトオ」菊地料理長の奥様が現役パティシェールで、自宅兼店舗を営業している事を書いたが、場所が京成電鉄お花茶屋駅近くと知り、自転車で行ける距離なので、雨が止んだ日曜日に早速訪れる事に、店は木曜から日曜日迄の週4日営業との事だ。
 菊地氏によると、「ウチは原材料が高いものを使っているので、値段は安くないです」と話していたが、かえってそれに興味を覚えた(笑)。夫婦それぞれが別の店舗を持っているのも凄いが、お互い干渉しないのではなく、菊地氏も自分の店が休みの日曜日には、奥様の店を手伝う事があるそうだ、出来そうで出来ない事で立派(笑)。
 店の場所はお花茶屋駅南出口を出てすぐ、旧曳舟川を暗渠にした道路沿いに在る、菊池夫妻の事を教えてくれた「タルトレット ドウゼン」の道善氏の店からは歩いて5分程、同じ通りと云ってもいいので、「お花茶屋スイーツストリート」と呼ぶべきかも知れない(笑)。駅の周辺に既視感があり後で思い出したのだが、母親の葬儀をした斎場が近くだった。
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 水色の外壁と店のトレードマークの羊の絵が目印で住居兼店舗。店名は「パティスリー~」ではなく「おやつ屋マムマル」と云う、聞くだけでホッコリ和む名前。先客が居たので外で待っていたが、2、3人入れば一杯になってしまう小さな店舗。
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 店前の黒板には、店の「こだわり」と「本日提供のメニュー」の紹介。
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 先客が退店したので店に入る、正面には生菓子を入れた冷蔵ケース。(店内撮影の承諾は得ています)
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 店の看板商品であるパウンドケーキ等、焼いた菓子類、画像のとおり焼いた形で並べて、注文がある毎に切る、その分時間はかかるが断面が乾燥せず美味しい筈だ。
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 左側にクッキー等を並べ、その後ろが製造スペース、昨年10月の開業なので店内は新しい、あまり整然と過ぎず、少し崩し気味なのもかえって好印象(笑)。
 女性が一人で応対してくれたが、この方が菊池さんで、前記事の乃木坂「ターブルモトオ」菊地料理長の奥様。何を買おうか悩むが、後ろにもお客がやって来たので、直感で生菓子2種、焼き菓子2種を購入する。
 レストランへ行った事を話して、「今日はご主人お休みですね?」と訊いたら、わざわざ2階に居た菊地氏を呼んでくれた、疲れている処を大変失礼しました(笑)。刑事ドラマの渋い脇役が似合いそうな菊地氏と可愛らしい奥様、とても素敵なご夫妻だ。
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 店と作業スペースを隔てたガラス面に店名の由来が書いてある、店主は「菊地」姓、菊は英語で「chrysanthemum(クリサンサマム)」だが、長いので単に「mum(マム)」とも呼ぶ、たくさんの人との「縁(円)」があるようにとの思いを込め「マムマル」としたそうだ。
 以下に買った品の紹介と実食の印象を、

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・シュークリーム(税込250円)
 「寿養卵たっぷりカスタード サクサククッキーシュークリーム」と商品説明にあった。固めのシュー生地の中にカスタードとホイップのクリーム2種使用、カスタードが独特で味が濃い、甘さは控えめなので、分解すればレストランデザートになると思った(笑)、個性派だが美味しい。

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・ラ・フランスと紅茶の豆乳クリームロール(300円)
 ミニサイズのロールケーキ、シュークリームとは対照的に豆乳クリームなので軽めな味わい、ラ・フランスは綺麗なコンポートだった。

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・ウィークエンドシトロン(1cutで320円)
 「レモンとサワークリームのさっぱりレモンケーキです」とある、まずレモンの酸味がやって来る、その後で甘味と油脂の香り、この味の構成はパティスリーではあまり出会わないタイプだと思った。

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・ほうじ茶とチョコレートマフィン(290円)
 個人的にはこれが一番気に入った、しっかりしたマフィン生地はチョコレート味に焙じ茶の香りが加わり個性的で美味しい、見栄えより味優先の出来(笑)。

 店主の菊地さんは赤本星付の有名レストランでパティシェールだったそうで、その出自が分かる、どれも精度の高い作りだと思った。常々街場のパティスリースイーツとレストランデザートの違いは何だろう?と考えていたが、体操競技やフィギュアスケートに以前あった、規定演技と自由演技の違いに近いのではないか、「こうあらねばならぬ」みたいな理想形があって、それに近づこうとするのがパティスリー、「こうあってもいいのではないか」と、作者の自由な発想を表現するのがレストラン、そんな事を思っている。
 シュークリームのカスタードやシトロンケークの酸味扱いに非凡なセンスを感じさせた「マムマル」のスイーツ、また此の店に買いに行きたいと思わせるオリジナリティがある、各ポーションが大きくその割には値段も安いと思った。
 正統派パティスリーの流れを汲む「タルトレット ドウゼン」に、レストランパティシェ出身の個性派「マムマル」、どちらもいい店なので、お花茶屋住民が羨ましいと思う(笑)、もしお花茶屋駅周辺に行く事あれば、出来れば2店共回ってみる事をお勧めしたい。


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乃木坂「TABLE MOTOH(ターブルモトオ)」

 前のブログ記事で、新規に行く店は他の食ブログ記事に負う処が多いと書いたが、もう一つあって、それは料理人やパティシェからの情報。食関係のプロの視点は私みたいな単なる食愛好家とは違い、食材原価や材料の素性、客層や家賃まで大体は読む事が出来る、同じ生クリームでも乳脂肪分割合が違う種類があり、鶏卵も生産者からの生みたて直送から冷凍卵まで各種ある、そのどれを使っているのか、原価率はどの位か、全てではないが理解している筈だ。その上で勧める店なら概ね信用していいと、これは私自身の経験から云えることだ。
 今回紹介する乃木坂のフランス料理「TABLE MOTOH(ターブルモトオ)」も、お花茶屋のパティスリー「タルトレット ドウゼン」の道善氏に教えてもらった店だ。料理人の奥様がパティシェールで、道善氏と知己との事、彼が店を訪れた後FBに載せた料理画像に惹かれるものがあった。
 オーナー料理人は菊地基央氏、白金「ジョンディ・アッシュ」、表参道「ドゥーアール」等を経て、代官山「タブローズ」料理長に就任後、今年7月に独立開業した。
 店は地下鉄千代田乃木坂駅を出て六本木方面へ向かい、メルセデスのカフェを過ぎ、右側にある外国人客で賑わうピッツェリアの角で右折、すぐ右側のビル地階。
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 道路上には「本日のランチメニュー」の黒板が出ている。
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 地下への階段は急で隠れ家的雰囲気、ビル内の別テナントはスナック&バーが多い。
 予約時間の12時半に入店、カウンター席に案内される、オープンキッチンの店内はテーブルが10+カウンター2席の小体な造りで、調理1、店内1の男性2名で運営している。
 ランチは黒板にあったサラダ&コーヒー付の一品料理が税込1,650円、この他に「おまかせランチ」(3,300円)があって、予約時にこれをお願いしていた。相客も揃い始まった料理は以下のとおり、

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・最初に静岡産冷茶が出る。

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・アミューズ「海のフラン」(蜆出汁と少量のみりんを煮詰めた中に少量の味噌、生クリームで伸ばし、卵を加えて蒸し上げたもの、上にビーフコンソメと生海苔)

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・自家製燻製バター(美味)とカイザーのバゲット

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・函館産寒ブリ、下にマッシュルーム、椎茸とエシャロットを炒めたものと、軟白ネギのマリネ。酢橘のコンフィチュール、かいわれ大根、紫蘇芽とペコリーノロマーノ、黒胡椒とバージンオイル。

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・USアンガスビーフ「ザブトン」のロティ、赤ワインのソース

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・ネット予約だと含料金のシャンパーニュをネット予約ではないがサービスしてくれた、ヴァン・ムスーではなく本物の‘Le Brun Servenay’だったのは立派、肉に合わせ選んでくれた赤はコート・デュ・ローヌ。

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・洋梨のスモア、キャラメルのアイスクリーム

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・柄のないカップに淹れたコーヒー

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・自家製紅茶のパウンドケーキ

 此の日は寒い日だったので、茶碗蒸し的な温かいアミューズはホッとする、そして美味しい、アミューズが大事なことは前々記事でも書いたが、これは後の料理に期待できる(笑)。
 フレンチでも使う事が多くなった鰤は、下に敷いた葱と茸類、上にかけたペコリーノとの相乗効果で記憶に残る味になっている。使った皿は菊地氏のお母様が作った物だそうだ。
 他店ではあまり使わないアンガス牛も、調理と部位によっては十分フレンチに成り得ることが分かった、予約時間に合わせ長時間調理したそうで、肉味&キュイッソンの状態は抜群だった。牛肉をある程度量を食べて「旨い」と感じさせるには、脂身の少ない赤身それも火に耐える肉質が大事だ。普段フレンチで牛肉はまず注文しないが、これは納得できる美味しさだった。
 デザートの「スモア」はアメリカ発祥で、元はマシュマロを焼いたものを指すが、名前は「Give me some more!(もう一つ私に)」から付いたそうだ、更にひと捻り加えて美味しさを増していた、菊地氏は甘い物好きだそうで、奥様も自宅兼店舗でパティスリーを営業している。

 オープンして4ヶ月なので、空いているのかな?と思っていたが、2回転するテーブルまであった、近隣で働く女子が中心だが、隠れ家的な立地でも安くて旨い店なら彼女たちは見逃さない、当初週末だけのランチを平日も営業する事になったのは、女性客からの要望によるものだそうだ(笑)。
 テリーヌ類や煮込中心の伝統的なビストロ料理とは趣が違い、何処か日本やUSAも感じさせる「ネオ・ビストロ」と呼びたい店、BGMもマドンナやレディー・ガガ等アメリカンで、曲に合わせて小刻みに踊る菊地氏は楽しそう、サービス業の基本だと思うが、提供する側が楽しくないと、受け手側(客)が楽しくなる訳ない(笑)。
 サービス担当の須山氏は、以前別の店で菊地氏と一緒に働いていたそうで、コンビネーションは抜群、予約電話の時から優秀なサービスマンだなと思ったが、会ってみてそれは見込み違いでなかった。
 美味しくて楽しい時間が過ごせ、支払いは「これでいいの?」と疑りたくなる値段、近くで働くOLさん達に独占させてしまうのは悔しい(笑)、ランチスペシャリテのクスクスも見た目とても旨そうだったし、此処はまた来たい店だ。
 帰り道寒かったが酔いを醒ますため赤坂駅まで歩き、気がついたら私もレディー・ガガを出鱈目に歌っていた(笑)。
※なお、店についての詳しい情報は、こちらのサイトを参照されてください。
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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
人はそれぞれに「見方、感じ方、考え方」が違います。私が美味と思ってもそう思わない人が居て当然です、味覚とはそれだけ不安定で不完全なもの、あくまでも筆者個人の嗜好による感じ方である事を承知の上で読まれてください。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに赤坂、麻布十番等。
混雑電車が苦手で加齢による朝型人間化のため、ランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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