最後の晩餐にはまだ早い


麻布十番「L'inédit(リネディ)」

 普段は家に籠って居る事が多い日曜日の昼、友人に誘われて訪れたのは、麻布十番から歩いて5分程の場所に在る「L'inédit(リネディ)」だった。2018年2月に開業したフランス料理店だが、毎週日曜日の昼に数量限定のブランチを実施している、パティシェ夫妻(パートナー?)二人が営んでいるそうで、興味を惹かれ重い腰を上げる事にした。
 事前情報によると、料理を担当する石毛氏はフランスでの経験長く、ロレーヌ地方メッス市郊外の有名パティスリー「Fresson(フレッソン)」で働いた後、料理にも興味を持ちトレトゥールも経験する、「トレトゥール(traiteur)」とは菓子系店が作る総菜の総称で、日本にも進出していたPARIS「ジェラール・ミュロ」みたいに、菓子類と惣菜を同店舗販売する店がフランスには結構ある。その後「レ・ゼリゼ」「ピエール・ガニェール」等錚々たる名店に在籍し、帰国後はガニェールの日本店でも働いた後、以前から温めていた料理とデセールの店を開いたそうだ。
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 店名の‘L’inédit’は仏語で「新機軸、斬新」みたいな意味。場所は麻布十番駅から一の橋交差点へ出て右折、「富麗華」の先にあるビストロの角で左折し、「スブリム」の入った建物を左に見ながら直進すると、突き当り左に狸穴(まみあな)公園、右側に狸穴坂がありその右側。この界隈は静かな高級住宅地だが、坂の先にはロシア(旧ソ連)大使館があるからか、此の日も右翼の街頭宣伝車と警察が出動?していた。
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 一見カフェか美容室みたいな外観だが、店前にはブランチの案内が、最近まで平日ランチも営業していたが、現在は日曜日だけ昼に開けている。
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 入って右奥のベンチシート席に座った、店内は14席と小規模、インテリア類は簡素だが、居心地は悪くない。店内を担当するのがパートナーの北原さんで、この方もパティシェールだと聞く。
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 ブランチメニュー、ヴェノワズリー4種とドリンクで税込980円、他にクレープやスープもある。私はヴェノワズリー4種盛とオレンジジュースに、白いんげん豆スープを注文する。
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 オレンジジュース、これは普通のジュースだった。
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 白いんげん豆スープ、上に乗っているのは鴨の脂とその出し殻で、大阪の「かすうどん」に使う油かすみたいな印象。スープ自体は仏南西部の郷土料理「ガルビュール」に近いが、レストラン料理にヴァージョンUPしている、塩使いも的確な美味しいスープで、料理人の相当な実力を感じる。
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 ヴェノワズリー4種類、「ヴェノワズリー(Viennoiserie)」とは、フランスにおけるパン生地を使った菓子パン類の総称、「ウィーン風」「ウィーン物」の意味で、19世紀末にPARISでオーストリア由来の菓子パンが流行して以来、この呼び方が広まったとされる。
 内容は右から、クロワッサン、クイニーアマン、エスカルゴ?(奥)、ボストック(ブリオッシュ生地)。
 正直に云ってしまうと、値段から過大な期待をしていなかったが、予想以上の本格派だった。サイズは小さ目だがどれもレベル高く、PARISブーランジュリーの日本店位のレベルは十分あると思う、固めの焼きとバターの香りが脱日本的な印象。
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 特に気に入ったのが、このクイニーアマン。本場ブルターニュでも食べたが、バターの水分からか作りがヤワイ感じで(笑)、この小股の切れ上がったみたいな焼きの固さはPARISスタイルだなと思った。
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 この秀逸なヴェノワズリーの後はやはりコーヒーが欲しくなる、追加で注文。
 
 食後、調理場からジャージ姿で出て来た石毛氏、話していると只者でない雰囲気がある、フランスや日本で相当な数の戦場を潜り抜けて来たと想像する、麻布十番の本多忠勝か?(笑)。
 これは近いうちに、夜の5,000円メニューも体験しないといけないと思った、店全体に「一発当ててやろう」みたいな商売っ気を全然感じない事もあり、人に知られぬ穴場とはこんな店を差すのだろう。
 尚、店情報はこちらを参考にしてください。
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 店の近くに或る狸穴公園、江戸時代に大狸が住む洞穴が存在したとの伝承がある。園内に狸穴稲荷があり、鳥居奥には狸ではなく狐が祀られているが、其処に何故かくまのプーさんのぬいぐるみが置いてあり、ミスマッチ感が半端なく面白いので見学をお勧めしたい(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
人はそれぞれに「見方、感じ方、考え方」が違います。私が美味と思ってもそう思わない人が居て当然です、味覚とはそれだけ不安定で不完全なもの、あくまでも筆者個人の嗜好による感じ方である事を承知の上で読まれてください。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに赤坂、麻布十番等。
混雑電車が苦手で加齢による朝型人間化のため、ランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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