最後の晩餐にはまだ早い


乃木坂「タンモア」(2020年4月)

 FB友人で飲食店経営者の方が、自身のウォール上に『自粛休業したい気持ちと経営を維持したい気持ちの両方を飲食店はみんな持っている』と書かれていたが、殆どの飲食店が同じ思いではないか、そもそも「自粛」とは広辞苑では「自分で自分の行いをつつしむこと」とあり、自粛をする側に何らかの責があった場合に使われる。今回は何も負い目は無いので、本来なら営業「中止」か「中断」とすべきではと思っている。「雨のため試合を自粛しています」とは云わない筈。
 感染終息が見通し出来ない、この状況下でも営業を続けている店が少ないながらある、東京都に於いては「午後8時までの営業、酒類提供は7時まで」の「協力要請」を遵守してだが、何が正しいのか店主も悩みながらの継続だろう、リスクが全く無いとは云えないが、営業しているのなら応援したくなるのが個人的心情だ。
 此の日昼に伺ったのは、一昨年11月の初訪問以来注目している店、乃木坂のフランス料理「タンモア」で、この記事を書いている現在、定休日(水)以外12時から20時まで通し営業を続けている。
 私も行くにあたっては、当日朝に平熱とコーヒーの味が判る事を確認(笑)、当然マスクは着用して、空いている始発電車に乗り他の乗客との距離を取りながら向かった。
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 千代田線の赤坂駅から歩いて到着、店前にはテイクアウト料理の案内がある、週替りにしているみたいで、この週は「牛ほほ肉の赤ワイン煮込み」。
 サービス担当の坪内氏と田中料理長に挨拶しテーブル席に座った、貸切りかな?と思ったが、意外にも他に2卓利用があった。此の日はランチメニューではなく、昼夜共通のメニュー(税込8,000円)をお願いする事に、料理は以下のとおり、

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アミューズ:サヨリと生ハムのジュレ、山菜

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前菜その1:馬肉のタルタルを詰めたヤリイカ、3種のソースと共に

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前菜その2:仏産ウサギのパテとホタテのムース-ミルフィーユ仕立て-

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魚料理:桜鯛と若竹のブリック包み、木の芽と西京味噌のソースオランデーズ

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・桜鯛の骨と筍を使った一口スープ

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肉料理:仏ランド産ホロホロ鳥 胸肉のロースト-ツブ貝とエスカルゴバターを包んで-ソースアメリケーヌ

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チーズ:シャビッシューの桜餅風

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デザート:グリーンピースのデクリネゾン、グラスホッパーのアイス、苺ミルクのババロア

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ミニャルディーズ:レモンバタークリームを挟んだ青海苔のサブレ

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ハーブティー:キンモクセイ(ウーロン茶ベース)

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・ノン・アルコール・ペアリング
 右上から時計回りで:「桜花陳酒」「花ワサビのソルベ、レモンとヨーグルト」「カシスと谷中生姜のジンジャーエール」「ミントとイチゴのミルクセーキ」

 此の日同席した友人が田中chefの料理を、「洗練され過ぎない美味しさ」と、いみじくも表現したが、成程それだなと思う、過度に洗練したPARISの料理ではなく地方の料理とも違う、その中間辺りで彼女が働いていたPARIS近郊辺りの地域感かも知れない。その特徴が表れているなと思うのが、前菜1の「いかめし」を連想するようなヤリイカの料理、一見皿に色々盛り込みすぎか?とも思えるが、食べて美味しいから納得してしまう(笑)。
 4月のテーマは「海の物と山(陸)の物の合体」だそうで、続くラパンと帆立の皿もそれを表現している。鯛と筍のブリック包みは春巻を連想したが、オランデーズソースもあって、食べると分かり易いフランス料理になっている。
 2種ある肉料理から選んだのは、仏ランド産のパンタードで、国産では岩手石黒農場産を使う事が多いが、少し淡白な印象がある。これはさすが洋物ならではの肉味に濃さと脂の香りがあり、塩気を効かせたソースに負けない、この日最もFranceを感じた料理だった、ガルニの春野菜の扱いもいい。
 春らしい爽やかなデセールは以前より進化していると感じる、「グラスホッパー」とはバッタの事で、ミントを使った色が似ている事からカクテルの名前になった、バッタが入っている訳ではない(笑)。

 食後に田中chefと話をするが、来客が減って相当苦労しているようだ、公的資金融資への申請手続きは当然として、料理のテイクアウトや店周辺の一部地域だがデリバリーも開始した。何と云っても料理が大好きで、3歳の時に将来自分の店を持つと決意した彼女、国内やフランスでの料理修業後オープンさせた自分の店を、「開業一年半で潰して堪るか」みたいな決意を感じさせた(笑)。
 日本より公表された感染者・死者数が多いFranceだが、アラン・デュカスは『レストランで食事を取った方が自宅よりも安全』と断言している。理由は『人々がぶつかり合い、果物に触り、全員がマスクをしている訳でない近くの小さなスーパーで買物をした後の自宅での食事より、予防措置がすべて講じられているレストランで食事をした方がよい』との主張だ、私も全てではないが同意する、人で混雑するスーパーにはあまり行きたくない。
 今の状況下では「皆さん、行って応援してあげてください」とは云えないが、店の近くに住み自身の健康状態に不安のない人は、接触に注意した上で伺えば、家では得られない料理人のpassionを感じ取れます。また地域限定だがサービスの坪内氏がママチャリで(笑)料理デリバリーもするとの事で、利用を検討されてみてください。


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西亀有「ギャラリー(GALLERY)」(2020年4月)

 「こんな時だから地元飲食店を応援しよう」で、今日の昼に伺ったのは、葛飾区西亀有2丁目の中国料理「ギャラリー(GALLERY)」、営業自粛をする店が多い中、此処は定休日以外時間を短縮して営業継続している。
 2019年2月の開業、私は3月4月と続けて昼に訪れたが、何時の間にか一年経ってしまっていた。今回も自転車で行ったが、あらためて凄い場所に店を作ったなと思う、一番近い綾瀬駅からは15分以上歩くし、バス路線はあるが本数は少なく、あとは車か自転車で来るしかない、住宅地で周りには飲食店は無いので、此処まで来て満席等で利用不可なら困る事になる。こうした不利要件を抱えながらも一年続いたので、支持されていると云う事だろう。
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 11時半のオープン直後に店前に着くと、一年前と同じく鄧徳勝総料理長自ら来た客を迎える、テイクアウトもやっているので「今日は食事をされますか?」と確認される。私の顔を何となく覚えていたのだろう、「いや~、(コロナ騒動で)お客さん減ってしまいました」と話すが、騒動前は客入り安定していたみたいだ。
 2階の4人席に案内されるが、店内サービスも鄧氏が担当するので、開業時より従業員が減っているのかも知れない。
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 お茶は冷温を聞かれ、温かい方(中国茶)をお願いした、無料です(笑)。
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 「GALLEERY Casual Lunch set」と表記のあるランチメニューは4種類、以前あった「シンガポールチキンライス」は無かった、この中から「綿綉厨師蔬菜麺」と表示のある、日本風に云えば「本日の焼きそば」が「海鮮焼きそば」でそれに決め、前菜、点心、デザートが付く「バリューセット」(本当にそう表示があった(笑))(税込2,000円)にしてもらった。
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 鄧氏から「ご覧になりますか」と渡された、此の店を紹介している「かつしかwalker」と云う地域ムック本、雑誌に載っている人が目の前に居るのは不思議な感覚(笑)。
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 まずは前菜で、右から大根の醤油漬け、よだれ鶏、クラゲのレモン酢
 店のスペシャリテのよだれ鶏はやはり美味しい、我家でも似た料理を作るが、タレがなかなかこの味にならない、レモンで和えた海月も爽やかだった。
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 卵スープ、これはまあ普通でした。
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 点心三種(翡翠焼売、糯米焼売、蟹肉小籠包)
 鄧氏が「醤油や酢でなく、よだれ鶏のタレを使って食べてください」と云ったので、それで食べてみる、どれも安定して美味しい、特に小籠包がよかった。
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 海鮮焼きそば、細麺を鍋に焼き付ける作り方みたいだ、具は帆立、蟹、海老、野菜で、他店より飛び抜けて美味しい訳ではないが、安心して楽しめる無難な味わい。これもよだれ鶏のタレを加えると味変化が楽しめる。
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 マンゴープリン
 これも無難な美味しさだった。

 全体的にホテル中華出身の料理人だけあって、サプライズ感や心に刺さって来るような料理ではないが、平均点が高く安心して楽しめると前回同様に思った。個人的には同じ位の値段なら稲荷町の「白燕」の方が好みだが、交通費かかるし(笑)現在休業中なので、自転車で気楽に来られるのはいい。特に周辺地域の人には洒落た内外装で味もまともな飲食店は、ありがたい存在だろう。
 今日は空いているだろうと思ったが、席数を減らしているのもあるが、意外にも満席に近くなった、この時期なのに家族なのか7人の団体利用もあって、「密集大丈夫なの?」と心配してしまうが、何かにつけそう反応してしまうのもコロナ禍なのか?(笑)。
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 1階のレジに置いてあった「よだれ鶏ソース」を買ってみた(税込480円)、「スターシェフ鄧徳勝監修」とあるので、やはり偉い人みたいだ(笑)。まだ使っていないので店で使うタレと同じかは不明だが、表示によると山梨県にある「味研」と云う会社の製造。
 個人資本ではないみたいだが、此の店も去年の開業なので、このコロナ騒動を乗り越え、この地域に根付いて欲しいと願ってしまう。
 

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五反野「Tempus」

 東京広尾のドイツパンの老舗「東京フロインドリーブ」が3月末で閉店してしまった、神戸に在る「フロインドリーブ」の姉妹店として1970年に開業して50年、半世紀を迎えた今年閉店するのは店主が高齢になり、店を維持していくのが難しくなったからと伝えられる。
 以前、街中の蕎麦店が消えて行く事を書いたが、単価の低い食べ物を売るより、土地建物売った方が得るものが大きいとなると、続けるモチベーションを持つ事が難しく、子供が居ても後を継ごう、継がせようと云う考えにはならないと思う。
 今回のコロナ騒動を経て、老舗個人店の廃業が増えるだろうと危惧しているが、個人経営店、特に地元の店は何とか応援する意味でも紹介して行きたいと思っている。
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 今回記事にするのは、地元に昨年4月にオープンしたベーカリーで、店名は「Tempus(テンプス)」、住所は足立区足立2丁目、場所を説明するのが難しく、一番近い駅は東武スカイツリーラインの五反野駅で、荒川に向かい南へ進んだ住宅街の中、近くに小さな児童遊園と中華料理店がある、もし行く時は「五反野Tempus」でグーグルmapを検索して下さい。
 私は元々パンが好きで、若い頃は休日に有名店巡りをしていたが、今は地元のベーカリーを自転車で回るのを「老後の楽しみ」にしたいと思っている(笑)。此処もWEB情報で知った店だが、どう見ても普通の一軒屋、窓にパンが並んでいなければ通り過ぎていた。
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 店名表示はこの黒板だけ、これ見て店主が何を提供したいのか、どんな人に自分のパンを買いに来て欲しいのか、何となく伝わって来る。
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 「密」を避けて、前の客が店を出るのを待ってから入店した、民家の一階部分を改装したと思われる店内は、居酒屋のカウンターみたいになっていて、パンを並べるスペースの後ろが製造焼成する場所、一応対面式販売で若い男性店主が一人で対応する。ウィルス感染対策で低い場所に置くパンには透明ビニールを被せてあった。(店内撮影の承諾は受けています)
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 密集状態を避けるため現在は使っていないが、カフェスペース的なイートインコーナーもある、税率違うのかな?(笑)。奥のコーナーは子供用スペースだそうだ。
 店主の前歴や何故この場所に開業したかなどを訊きたかったが、外に人が待っていたので、長居は禁物と早めに店を出る事にした、此の日買ったパンは以下のとおりで、食べた感想と共に紹介したい。

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・プチフランス(税別100円)実測80g
 バゲットを買いたかったのだが、「あと30分位かかります」との事で、代わりに買った小さなバゲット、パリッと乾いた焼き上がりではなく、少しウェットな印象、粉の香りは感じられた。

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・フォカッチャ(プレーン)(300円)280g
 結構大きい、緑オリーブ入りと2種あったが、作りの素性を知りたかったのでプレーンを選択、店主より「少し炙って食べてください」と云われたので、トースターで焼いたが、粉の旨味、香りは十分感じられた、今回最も気に入った。

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・エピ(ベーコン&キノコ)(230円)
 ‘epi’は仏語で「麦穂」の意味、バゲット生地を捻じって穂の形にする、小さ目の作りだが、格好はいいし焼き味も問題ない。

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・桜ちゃん(笑)(桜餡のアンパン)(180円)
 可愛らしい名前だが、桜色の餡を包んだ季節限定のアンパン、爽やかな甘味とパン生地の相性いい。

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・クリームパン(150円)
 幼児の手みたいな小さな作り(笑)、カスタードクリームは軽めで、従来の下町パン屋のクリームパンとはイメージが違うが美味しかった。

 全体的にはなかなか当たりのパン店だった(笑)。下町住宅地の民家改造型の店としては、以前ブログで紹介した綾瀬の「もみの木」に似ているが、店主の年齢の違いかこちらの店の方が感覚的に、より新しいと思った。
 なかなか難しい立地だと思うが、周りの住人が支えて、此の地で続いて欲しいと願ってしまう。
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 店を探す時は、斜め前に在るこの中華料理店が目印。
 都知事の外出自粛要請、首相の緊急事態宣言と続き、営業自粛や営業時間を短くする飲食店が増える中、街場のパン店に来る客が増えているように感じている、おそらく子供が一日中在宅しているので、親が3食作るのが大変だから調達に来ているのでは?と思う、出来ればスーパーやコンビニではなく、こうした個人店を利用して欲しいもの、街中から個人商店の灯が消えたら、それは味気ない街になってしまうからだ。


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代官山「レクテ」(2020年4月)

 新型コロナウィルスと人間との関係が戦争だとすれば、開戦前日になるのかも知れない、首相が非常事態宣言をする前日の昼に訪れたのが、代官山のフランス料理「レクテ」だった。「何故そんな日に?」と思われるかも知れないが、以前から予約をしていて、事前に当日営業する事は確認、市中感染が全く気にならない訳ではないが、空いている始発電車に乗り、回りとの濃厚接触を避けながら恵比寿駅まで向かった。
 恵比寿駅から店迄は10分程歩くが、その間にある店も思っていたより営業していた、特にラーメン店みたいに低単価で客の滞在時間が短い店は開いている、営業自粛しても毎月の家賃や光熱水費等の固定費は払わないといけない、そう簡単に休めないのが実情だ。
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 2階に在る店舗の入口には、「スタッフがマスク着用で接客します」との説明がある。
 予約時間の12時に入店、「もしかして貸切り?」とも思ったが、既に1組が食事中、我々の後にも1組来店したが、店内の距離感としてはこの位がいいのだろうと思った。
 奥の個室に案内されたが扉は開放したままなので、特に不安は感じなかった、もっとも料理が始まると、そんな事も忘れていたが(笑)。
 佐々木料理長に挨拶、一年ぶりのご無沙汰をお詫びして始まった料理は以下のとおり、今回は去年設置した特製竈で調理した料理を入れてもらった。

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・パテ・ド・カンパーニュ(鹿&豚肉)

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・地蛤(房州産) 春キャベツ

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・庄司農園 はるきらり ライ麦(自家製パン)

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・ロワール産 ホワイトアスパラガス(モリーユ茸 バターソース)

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・長井港(神奈川)長谷川さん 平目(長崎産緑アスパラ、蕗の薹)

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・ランド産 ウズラ(バター&パセリのプレス)※竈調理

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・ブロンドアキテーヌ牛 ロッシーニ風(菊芋)※竈調理

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・白:Sancerre TERRES BLANCHES
 赤:Roter Traubenmost 花粉症悪化のためオーストリア産のノンアルコール
 他にシャテルドン

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・江連農園無農薬苺 ミルフィーユ

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・高千穂 甲斐製茶園 べにふうき セカンドフラッシュ

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・ミニャルディーズ(カヌレ、マカロン、キャラメルヌガー)

 アミューズ的なものではなく、いきなりパテ・ド・カンパーニュで始まるが、鹿&豚を使った料理は、以前も此の店で体験している、その時に比べて味の密度は増していると感じた。
 続く蛤は豊満な身の厚みに蛤のジュとキャベツが絡み、「春」を感じさせる料理。自家製パンを挟みロワール産の白アスパラ、表面を炙るのがレクテ流で、これにより香りと甘さが増している、そして小さなモリーユ茸と合わせたバターソースが秀逸、此の日一番「France」を感じた一品だった。
 身の厚い鮃に蕗の薹の苦味を感じるソースが合う、添えた緑アスパラはロワール産の白が女王なら、これは王子と云う印象、春の息吹と若さを感じさせる。
 ここでサービス担当の岡部氏より「この後肉料理2品になりますが、お腹の具合は大丈夫ですか?」と確認があり、「何とか頑張ります」と答え期待していた竈料理を待つ。
 まずは鶉からで、量は抑えているが鶉肉の濃さが伝わって来る、特製の竈は大谷石で構築し炭火で焼く、この特徴なのかは断言できないが、肉の繊維の中に火が入っている印象、天然温泉に浸かると身体の隅々が温まるが、何かそんな感じだ(笑)。
 真打のアキテーヌ牛は佐々木氏の伝手により、フランスから直輸入した生後27カ月の個体との事、これはもう見ただけで旨いのが分かった(笑)、竈調理により安心して焼かれ横たわっているイメージだ、ガルニのトピナンブールは蒸してから焼いたそうで、百合根と間違えたくらいに繊細な味わいになっていた。
 佐々木氏が洞爺湖のホテルで働いていた時以来のコンビであるパティシェール作のミルフィーユは、見映え良く味も料理の印象を損ねる事なく安心して楽しめる。ミニャルディーズも秀逸だった。
 料理全体の印象は非常時?を意識したからなのか、料理人の本気度が直に伝わってくるものだった。アルフォンス・ドーデの短編小説「最後の授業」は、ドイツ領に編入されるアルザスの学校におけるフランス語最後の授業で、教師が黒板に「Vive La France!(フランス万歳!)」と書く事で終わるが、その場面を思い出した。明日から暫くの間、フランス料理が食べられなくても悔いはない、そんな熱を感じさせて、おそらくは今年五指に入れたい料理体験になるのは間違いないと思った。

 調理を終えて挨拶に来た佐々木氏と色々と話をするが、やはりこの人は肝が据わっているなと云う印象、「心配するな、何かあれば俺が腹を切る」みたいな、リーダーに必要な雰囲気が漂っている(笑)、付いて行くスタッフは大変だろうが、「私が責任を取ればいいと云う訳ではない」と発言した何処かのリーダーとは違う。「この人の料理なら全て安心して任せられる」そう客に思わせるのは大事だ、料理にもそれが表れていると思った。
 営業自粛する店が多い中、此の店は当面の間営業時間を短くして続けるそうだ。休むのか続けるのか、何が正しいのかどの店も混迷する中で、「レストランは安全だ」と断言するつもりはないが、提供する側も提供される側も、現状をよく理解して行動すれば、外食を全て否定しなくていいのでは?と思っている。そして此の店が非常時でも安全な営業を敢行した店として、評価されることを願っている。
 佐々木料理長、サービスの岡部さん、室井さん、素敵な時間をありがとうございました、行けてよかったです、「レクテ万歳!」と書いておきます(笑)。


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稲荷町「中国意境菜 白燕」(2020年4月)

 出歩かない方がいいのは理解しているが、珈琲豆が切れてしまったのでアメ横まで買いに行く事に。空いている時間帯の空いている電車を選んで乗車したが、考えてみれば数年前迄は毎日混雑電車で往復、テレワークには縁のない仕事なので、今でも続けている当時の同僚達が居るから、抱えるストレスは相当だろうなと同情してしまう。
 御徒町~上野間の人口密度は以前の4分の1位か?もう「三密」の場所ではない。あれだけアメ横を闊歩していたチャイナ系の人達を全く見ない、いかに彼&彼女達が此処の経済を支えていたのか、居なくなって初めて分かる。
 買物のついでに昼飯を何処かで食べようと思い、向かったのが稲荷町の中国料理「意境菜 白燕」だった。去年昼2回、夜1回利用したが、今年になってから未訪で、こうした時にはまず個人経営店に行こうと考える。
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 店の近くにランチメニューの案内黒板が、さらには税込600円と云う破格な「白燕弁当」(平日のみ)の紹介、新型コロナウィルス蔓延で来客減少する現状で、こうして何とか店を維持しようと、何処も知恵を絞っている。
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 店入口には「期間限定 テイクアウトメニュー」の案内がある、全11品で全て800円、テイクアウト(英語では「テイクアウェイ」だが、和製英語の方がしっくりする(笑))メニューに取組む店が増えているが、此処は「仔羊の内モンゴル風煮込み」「油淋鶏」等、なかなか魅力的な料理が並んでいる。
 入店は開店直後の11時半過ぎ、予約はしないで突然行ったので、白岩料理長を驚かせてしまった(笑)、既に女性二人客が居て、この後次々と客が来てほぼ満席になった。来客にはまずアルコールスプレーで手を消毒する。
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 ランチメニューが以前と変わり3種類になった、あまり長居しない方がいいだろうと思い、Aランチの中から以前から食べたいと思っていた、「魚介スープのワンタン麺」(前菜&ライス付で税込1,200円)を、スペシャリテのミニ麻婆豆腐(300円)と共に注文する事にした。
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 ランチタイムサービスのセルフドリンクは酸梅湯(サンメンタン)、山査子を使った薬膳ドリンクで酸味が胃を刺激するので、アルコールは含まないアペリティフになる。
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 前菜:ホタルイカの和え物、家鴨の低温調理
 フランス料理店でも働いた経験ある料理人ならではの、少量だがセンスの良さが感じられる前菜。
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 魚介スープのワンタン麺。
 まずはスープを一口、見た目は白湯ラーメンだが魚介ベースなのでもっと淡白な味わい、深さと奥行きがあり軽さに逃げていない。麺は少し柔らか目に感じた、ワンタンはスープに合わせた上品な作りで、横にあるのが中国福建省産の岩海苔、この海苔が結構効いていて、最初はゴワっとした食感だが、次第にスープを吸ってキクラゲみたいな味わいになる、この相性を見抜いた料理人のセンスは、中国国内でも働いた経験あるだけにさすがだ。
 ラーメン専門店の白湯ラーメンがマッチョな青年とすれば、このワンタン麺は艶と色気ある30歳位の女性?と云う印象(笑)、優しい味わいながら後を惹く旨さで、特に女性に好まれそうだ。
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 添えられたのが、店のスペシャリテ「よだれ鶏」に使う辛味だれ、味変材料として途中で入れるとまた違う味わいになり、最後まで飽きずに食べられる。
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 追加注文のミニ麻婆豆腐、中国料理有名店の麻婆豆腐をそう食べている訳ではないが、過去経験した中では上位に入れたい出来だと思う、辛さや痺れ感だけが突出することなく、中庸でバランスが取れている。
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 麻婆豆腐には白ご飯がベストカップル、炊き立てで且つ量を多く炊いているから美味しい、サービス担当のパートナー女性から「お代わりできます」と云われて乗りそうだったが、「コロナ太り」中のため糖質過多を恐れてグッと堪えた(笑)。
 この二品で税込1,500円、サラリーマンの毎日の昼飯には高めかも知れないが、週に一度の贅沢と思えば、内容を考えたら十分安い、充実したランチになった。
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 2019年9月にオープンした此の店、一年も経たないうちに大変な騒動に巻き込まれてしまったが、若い料理人のやる気とアイディアで、困難に立ち向かおうとしているのが感じ取れた、隣席の客は食事のついでに「夜の分も」と云って、持ち帰り料理も注文していた。利益自体は少額だろうが、料理をしないより料理をする事で、料理人自身のモチベーション維持にもなっているのでは?と思った。
※この後、店は暫くの間休業する事がリリースされた。
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 帰りには隣のビルに在るベローチェで好物の「コーヒーゼリー」(310円)を、これが太る原因だが、両店合わせても2,000円以下で満足な昼餉として完結した(笑)。


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お花茶屋「庵治」

 現在進行中のコロナウィルス騒動で直接影響を受けている飲食店、特に地元の個人経営店は応援したいが、自分一人の資力では何とも難しいので、ブログで取り上げる事で少しでも興味を持ってもらい、実際に客として店迄行って欲しいと願っている。このため暫くは地元周辺の店紹介が増えると思う、ただ私が行って「人に勧めて大丈夫」と思うか否かの篩はかけるつもりだ(笑)、また感染が鎮静化する迄は、営業の可否や時間帯が変わる可能性があるので、確認してから行かれてください。
 此の日の昼に向かったのは、葛飾区内の京成お花茶屋駅前商店街にある「手打うどん庵治(あじ)」で、夫妻(たぶん)で営む讃岐うどん専門店。以前紹介したピッツェリア「マチルダ」へ行った時に見つけた、後でWEB上を調べたら「美味しい饂飩店」として、地元では知られた店みたいだ。
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 店の場所は駅北側にある商店街を、バレーボール女子の強豪校として知られる共栄学園に向かって進み途中の左側、三井住友銀行のATMコーナーが店前に在る。
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 WEB上では火曜日定休で11時から開店となっていたが、実際には11時半からだった。
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 ランチメニューの「まんぷくセット」は4種類。
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 店内へ入るとカウンターだけの11席、讃岐うどん店は愛媛県の砥部焼の器類を使う事が多く、重いが丈夫な丼。
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 店の奥は独立した打ち場になっている、エアコン完備は厨房の熱に影響されないためだろう。
 初回に選んだのは「カレーうどん+ちくわ天+半ライス」のセット(税込900円)、単にカレー味が食べたかったのだが、先日大阪で食べたカレーうどんとの比較もしたかった(笑)。
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 饂飩を打って茹でるのはご主人で、丼を仕上げるのは奥様が担当する、出来上がって来たカレーうどん。
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 うどん部分のUP。
 まずはツユを一口啜る、大阪で食べたのは後からルーを乗せる作りと思ったが、これは饂飩ツユにカレー粉を加え、その都度作るやり方だと思う。全体的に中庸でスパイスの刺激は抑え穏やかな印象、個人的にはもう少しパンチが欲しい気もするが、ベースになる出汁の良さは感じ悪くない。饂飩自体は打ち立てで美味しい、コシだけ強調した物ではなく、粉の香りは感じ口腔感や喉越しも良好。
 大阪で食べたカレーうどんと比較すると、カレーつゆの出来は大阪、饂飩のクオリティはこちらの店が好みだなと思った。それぞれを合わせると更に良くなるか?と云うと、そうでもないのが食べ物の難しい処だ(笑)。
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 結構インパクトあるちくわ天、以前TVの街歩き番組で、台湾出身の若い女性に「日本で美味しかったものは?」と訊いたら、「ちくわ」と答えていた、たしかに値段を考えたら旨いと思う(笑)。
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 セット物以外の単品メニュー。

 初回で気に入ったので2週間後に裏を返す、つまり再訪問をする事に。
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 2回目は「かけうどん+野菜天丼」(税込850円)のセットにする、うどんつゆの素性を知りたいのもあった。
饂飩出汁はおそらく昆布+イリコで、醤油も讃岐のものではないかと思う、讃岐そのままと云うより、東京人それも下町の嗜好に合わせているのだろう、やや濃い目の味付けに感じた。
 注文の度に揚げる天丼の野菜天ぷらやご飯は良質、饂飩も天ぷらも他店より飛び抜けて美味、と云う程ではないが、丸亀よりは勿論いい(笑)。値段を考慮すれば十分納得できる内容、我家からは自転車で行ける距離なので、麺好きとしてはローテーションに入れたい店だと思う、お花茶屋まで行く用事あれば寄ってみる事をお勧めしたい。


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本郷三丁目「クッチーナ イタリアーナ ラ・コッリーナ」

 2月の「関西食べ続け」からフランス料理が続き、たまにはイタリア料理それも新規開拓店のランチへ行こうとの話を食仲間としていた。
 其処で選んだのが、去年3月に文京区本郷三丁目にオープンした「クッチーナ イタリアーナ ラ・コッリーナ」。私は此処から歩いて10分の場所に長年勤めていたから、土地勘あるので迷わず行ける。
 店に近い駅は本郷三丁目だが、私は千代田線の方が便利なので、湯島駅から歩いて行く事に。「三組坂」と名前の付いた結構急な坂道の界隈は、昔ラブホテルが林立していたが今は少なくなった、経済が停滞すると草食系ばかり増え需要がなくなったのかも知れない(笑)。この坂を昇り切り霊雲寺の前を進むと、日本サッカー協会が在る事から「サッカー通り」と呼ばれる道との交差点にコンビニが見える、その先右手に店がある、利用した事はないが以前はフランス料理店だったそうだ、斜め前にはブログ記事で紹介した伊勢うどんの店がある。
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 2019年3月の開業、「ラ・コッリーナ‘La Collina’」とはイタリア語で「丘」の意味、坂道の上だから名付けたのだと思う。
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 店前に置いてある黒板にランチメニューの案内がある、税込1,600円と3,000円の2種で予約時に後者をお願いしていた、内容は週替わりのようだ。
 入店してサービス担当の男性に名前を告げテーブル席に座る、カウンターはなく全部で18席、此の日全て埋まり2回転する席もあった、開店一年で且つ難しい時期だが既に人気店になっている様子だ。
 友人も到着し始まった料理は以下のとおり、

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・彩り野菜のバーニャガウダ、空豆アンチョビソース

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・白ワインは伊マルケ州のCasal Di Serra Verdicchio2018(グラス800円)

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・自家製フォカッチャ

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・フォカッチャ用オリーブオイル

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・鶏ササミとドライトマトペースト、レタス、スパゲッティーニ

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・サルシッチャを詰めたロールキャベツ トマト煮

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・ホワイトチョコレートのババロワ はちみつ紅茶風味

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・エスプレッソ

 まずは両方のメニュー共通のバーニャガウダからで、定番のアンチョビソースに空豆のピュレを加えたのが珍しい、アンチョビの塩辛さを和らげ豆の香りを加える事により、味のアクセントを付けている、「~ファームの野菜」みたいなブランド野菜ではないと思うが、どれも鮮度がよく処理も適切、特に根菜が旨いと思った。
 イタリア料理の華とも云えるパスタは細い乾麺を使ったもの、茹で具合はジャストでレタスの歯応えとの相乗効果により、シンプルだがプロならではの味だと感じさせる。
 メインはイタリア版ソーセージを使ったロールキャベツで、何処か家庭的なマンマの味と云う印象、この分かり易さは好感持てる(笑)。
 ドルチェもフレンチのデセールと違い、甘さ美味しさがストレートに来て、何処かホッとする安心感がある。エスプレッソはイタリア料理店の方が、気のせいかも知れないがフレンチより美味しく感じる(笑)。
 名刺交換させてもらったが、料理長は上田健史氏、話を聞くとイタリア修行後、東京ステーションホテル内のイタリア料理店を経て独立開業したそうだ、何処となく若さを感じる料理から30代後半位?と予想したが40代半ばとの事。ホテルレストラン出身だけあって、前菜からドルチェ迄バランスが取れ、サプライズ感より安心して美味しいと思える料理だった。
 サービスの男性は料理人の親族かな?と思ったが違い、前店時代から料理人と一緒に働いていた仲だそうだ、穏やかなサービスも良好で今度は夜にも来てみたいと思った。何よりこの時期なのに満席だったのが店の実力を証明している。
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・お土産用に買った自家製ビスコッティ2種(1袋400円)
 私は食べてなく知人に渡したのだが、美味しいと評判だった。

 特筆しておきたいのは、メニュー価格が税込でサービス料等が付加されない事(夜は一人500円のコペルトあり)、グラスワイン1杯注文しても支払3,800円なので明朗会計、これは他店も見習って欲しいと思う、ランチメニューが2,000円なのに支払いが4,500円になった話などを聞くにつれ、日本の飲食店会計はもっと判り易くすべきと以前から思っていた。
 此の店もそうだが、最近ブログ記事にした南青山「MAMA」や麻布十番「リネディ」、更には乃木坂「タンモア」など、明朗な価格表示に努めている店は、何処も料理がよくリピートしたいと思うのは私だけか?
 今イタリア国内が大変な事になっているので、応援した気持ちは勿論あるが、ただイタリア料理を食べるなら、暫くは東京の方がよさそうだ(笑)。
 


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五反野「酒肴 和ろく」(2020年3月)

 新型コロナ騒動で最も影響を受けているのが個人経営事業者、飲食店もその一つだ。仕入業者への代金支払や従業員への賃金支給が滞らないよう、緊急支援を実施する必要があると思う。或る区のWEBページには『現在、融資あっせん申込受付窓口が大変混雑しております。長時間お待ちいただく場合がございますので、あらかじめご了承ください』とあるが、この時点でもう駄目だなと思ってしまう、待っていられる事態ではない。
 不要不急の外出は控えよとの主旨は勿論理解するが、個人的には此の時期出来るだけ個人経営の飲食店、それも地元の店を利用する事で応援したいと思っている、そして支払いは現金でするべきだ。
 そうした訳で此の夜伺ったのは、ブログでも数回取り上げている、東武五反野駅近くの和食「酒肴 和ろく」。WEB上で紹介されていた3月の料理に興味大で、自分が行きたかったのが一番の理由だが(笑)。 
 予約の電話をした時、第一希望の日は殆ど塞がっていて第二希望の日を選択、店主の佐竹氏によると、2月の客入りは冴えなかったが、3月半ばになって復活しつつあるとの事、此の日もテーブル席は2卓埋まっていた。やはりこうした時に頼りになるのは、ガイドブックや店評価サイトを見て来る客ではなく、地元中心のリピーター客のようだ。
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 下町五反野の夜始まりは早い、18時に入店したがテーブル席では家族連れのグループが既に座っていた。佐竹氏と義母様に挨拶をして、希望していたカウンター席に座り、キリン一番搾りで乾杯、始まった弥生三月の料理は以下のとおり、

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・お通し:厚揚、練物揚、小松菜

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・前菜:チーズ西京、ピースふくませ、天豆白和え、ホタルイカ酢味噌

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・御祝:節句椀、地蛤と春野菜(わらび、独活、木ノ芽)

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・造里:本日の鮮魚三種盛り(本鮪、〆鯖、平目)

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・揚物:春の山菜揚げ(ふきのとう、たらの芽、こごみ、長芋)

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・酢物:三ツ葉と木の子、かに、切干し

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・煮物:牛すね肉の赤味噌煮、赤ワインも入れて、新玉葱、他

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・食事:筍の焚込みご飯、白こんにゃくあげ

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・甘味:京味噌ぷりん、桜の香

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・此の日の日本酒二種、「望(ぼう)」は佐竹氏の出身地栃木県の益子にある蔵元
  
 料理全体の印象は予想どおり「春」を感じさせるもの、まずは前菜のグリーンピースとマイクロトマトの小鉢で目が醒め(笑)、天(空)豆、ホタルイカと旬の野菜が身体を覚醒させる。
 続く和食の華である椀物は蛤と春野菜、昆布と鰹に蛤出汁が重なり、奥行ある立体的な味になっている。関西で食べたいのが白身の造りなら東京ではやはり鮪、報道では高級鮪の値段が下がったと伝わるが、佐竹氏の話では市場では良い物はかえって値段が上がっているとの事。
 衣をあまり付けない春野菜の揚げ具合も文句なし、これも春の活力を貰えそうだ(笑)。酢の物は蟹が主役、酸味を強めにするのが関西との違いかなと感じる、次の料理のため一旦今迄の流れを切る役目にもなっている。
 そして一番楽しみにしていたのが次の牛脛肉煮、佐竹氏の師である初代和の鉄人譲りの和洋折衷、和と洋のいい部分をどう繋げるかに興味があった。まず感じたのが甘味、思わず佐竹氏に「この甘味は何ですか?」と訊いてしまったが、新玉葱がベースで少量だが味醂も加えるそうだ、そこへ赤ワインの酸味と味噌の渋みが加わり全体の味を複雑で立体的にしている、ブロッコリーとジャガ芋の扱いもいい、たしか鉄人は「ブロッコリー対決」で勝利したと思った(笑)。フランス料理的に物量で攻めるのではなく、もう少し食べたいと思う位の量も、全体の流れの中で適切と思った。
 筍ご飯は自分でも年一回は作るが、味が単調になりがちだ、素人とは手の掛け方が違うのが判った、思わずお代わりを所望(笑)。
 デザートの味噌味プリンはアンパンに使う桜塩漬けを乗せ、和食らしい味わいになっている、切った果物だけで体裁を整えるより、献立に入れる必然があると感じた。
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 私はこれが7回目の訪問で、夜だけなら5回目になった、「あいつ暫く来ないな」と思われている店が多い中(笑)、地元で行き易いのもあるが頻繁に通っている店だ。まず云えるのは訪れる毎に料理が進化している、佐竹氏は1980年生れなので今年40歳、今一番いい時期だろう、アイディアが次々と湧いて来る勢いと感覚の鋭さを、話していても感じる。
 「五反野?何処それ、五反田じゃないの」と云われる事もあった、失礼ながら知名度の低い五反野だったが、こうした良店が登場する事により、個人商店が消える一方の地域全体が活性化して欲しいと思う。個人的にも自転車で行ける範囲にいい店が増えるのは嬉しい、此の地で長く続いて老後の不安と孤独を支えて欲しいと願ってしまう(笑)。
 帰り道に「次は何時来よう」と思わせるが良店だと思うが、次回利用も楽しみな店だ。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
人はそれぞれに「見方、感じ方、考え方」が違います。私が美味と思ってもそう思わない人が居て当然です、味覚とはそれだけ不安定で不完全なもの、あくまでも筆者個人の嗜好による感じ方である事を承知の上で読まれてください。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに赤坂、麻布十番等。
混雑電車が苦手で加齢による朝型人間化のため、ランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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