最後の晩餐にはまだ早い


富ヶ谷「ルヴァン」のパン

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 「あなたが一番好きなのは何処のパンですか?」、こう訊かれたとしたら、私は躊躇なく「富ヶ谷のルヴァン」と答える、これは20年間変わらない(笑)、それ程この店のパンが好きだった、
 店がある場所は渋谷区の富ヶ谷、代々木公園から代々木上原駅へ向かう途中で、井ノ頭通りに面した角にある。店主は甲田さんという方で長野県出身、フランス人のパン職人からイーストを使わない天然酵母によるパン製法を学ぶ、最初は調布で開業し店頭販売はしていなかったが、1984年に現在地で小売店を開業、以降30年近くにわたってマスプロ的でない独自のパンを提供し続けている。
 我家からは地下鉄千代田線の端から端まで、乗っているだけで約1時間かかるが、以前は土日に本を読みながら買いに行くのを、月に一度の楽しみにしていた。此処のパンの特徴はどっしりとした重量感と粉の旨味、噛めば噛むほど味わいが広がる存在感のあるパンだ、酵母の香りと酸味が多いのも特徴。

 その「ルヴァン」に久しぶりに行ってみた、たぶん2年位ご無沙汰していたと思う、通勤定期がある時は代々木公園駅まで片道190円の乗り越し料金で済んだが、通常料金で乗るとなると我家からは往復500円以上かかってしまう、1,000円のパンを買いに行くのに500円以上払うのは、今の薄給の身には結構辛い(笑)、パンを買うのは自転車で行ける場所の店が中心となってしまっていた。この日は近くに用事があって、「そうだ、富ヶ谷に行ってみよう」と思い立ち、平日休みの午後に訪れる事に。
 代々木公園駅から歩いたが、途中にある高級マンションが、「新宿・渋谷エリートバラバラ殺人事件」(ウィキペディアの記載だが、もう少し別の表現ないのかな?)の現場になったのを思い出した。驚いたのは富ヶ谷交差点の歩道橋が新しくなり、エレベーターが設置されていた事、この工事の間来ていなかったのだ、いつもこの歩道橋は辛かったので、設置はありがたい(笑)。

 店は以前と全く変わっていなかった、隣に在るカフェ「ル・シャレ」も変わらず、そして店内にいるスタッフが若くて活気がある、この店はいつ来てもスタッフが若いのだ、全国各地から天然酵母のパン作りを学びたい若者達が集まって来て、ここで経験を積んでから各地でブランジェリーを開業している、こうして伝統的な製法でのパン作りを「伝承」していくのは、素晴らしい事だと思う。

 パンは数種類あるが、特に私が好きなのは全粒粉を5割含んだ「パン・コンプレ50」と、この店の看板商品でもある胡桃とレーズン入りの「メランジェ」、この日買った2個で1,155円、此処の店はグラム売りが基本だ。家に帰って早速食べてみたがやはり美味しかった、以前のブログに書いた「プチ・メック」のパンが新世代なら、この店のパンは旧世代と言っては失礼になるから「トラデショナル」と呼びたい(笑)。フランスでも地方ならまだあるかも知れないが、パリではこうした伝統的な作り方をしているブランジェリーは、もう殆ど無いと思う。

 30年近く続いたこの店が、何時まで続いているのかは判らないが、東京に優れたパン文化を残した功績は讃えられていいと思う、「東京が誇れる名店」だ。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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