最後の晩餐にはまだ早い


大崎「おはらス・レストラン」

 私は東京の北端に住んでいる事もあり、東京の南西方面へはあまり出かけない、このため殆どの人が知っている有名レストランでも、ずっと未訪問のままという店が幾つかある、グルメ仲間の集まりに行って、そうした店の話題になると、「実はその店行っていません」となかなか言い出し難く、黙っているだけである(笑)。「いつか行ってみたい」と思いながらも、何時の間にか閉店してしまった事も過去何店かあった。
 この日初めて向った、大崎のフランス料理「おはらス・レストラン」も、私の「いつか行ってみたい店」リストにずっと載っていた店だった。今回訪れる事になったのは、関西の友人料理人からのリクエストで、利用予定店の中に此処の名前を見つけたからで、不安な「初体験」には心強い援軍だと思い(笑)、喜んで同行させてもらう事になった。

 大崎駅から住宅街を歩き、「地図だと確かこの辺り」と思いながら周りを探すが、どう見てもフランス料理店がある雰囲気では無い、「この道には無いだろう」と思う細い道の途中に、店名を書いた地下への入口があった、この意外感と判り難さは都内有数かも知れない(笑)。階段を降りたら笑顔で迎えてくれたのが、ドイツ人と聞く体格の良いマダムだった、店内は地下でも結構明るい、思ったより広くて30席近くありそう、このロケーションは麻布十番の「シプレ」と似ていると思った。

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・テーブル上の華やかな位置皿

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・今は珍しくなったテーブル置きの塩&胡椒、これは三田「コートドール」と同じ

 ランチメニューは3,150円と5,250円の2種、更にディナーと同じ料理を選べる7,350
円のメニューもあった。感心したのは選択肢が多い事、例えば5,250円では、前菜、スープ、メインを1品ずつ選ぶのだが、前菜5種、スープ3種、メイン6種から選択出来る。「おまかせメニュー」だけを提供する店が増えた現在、これだけ多種の食材を用意する店は少なくなった、食材ロスが出るのは覚悟の上なのだろう、このスタイルを貫いている処に、この料理人のある種昔気質なこだわりを感じた。
 5,250円のメニューから私が選んだ料理は、

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・スコットランド・サーモンのタルタル

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 ・温製、魚のスープ、ルイユ添え

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・徳島産阿波赤牛いちぼ肉の直火網焼き、ベアルネーズソース添え

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・苺のガトー、バニラアイス、カシスのソルベ
・エスプレッソ、ミニャルディーズ

 料理はとても良かった、そして今までこの店に来ていなかった事を後悔した(笑)。サーモンのタルタルは今切ったばかりと思われる角の立ち方、香草が強過ぎず弱過ぎず絶妙の加減で美味しい、「魚のスープ」は意識して魚介の繊維を残し、洗練され過ぎていない、これは本物のスープ・ド・ポワソンだ、赤牛は今注目されている食材だが、少なくともフランス料理において、私は黒毛和牛より好きだ、これを強めのキュイッソンでグリエし、美味しさを引き立たせている。

 小原料理長は1968年にシベリア鉄道!で単身フランスに渡り、今は伝説の店となったパリ「ヴィヴァロア」等で研鑚を積む、10年後に帰国し札幌で個人店を開業し、地方フランス料理店の先駆けとなった。東京の現在地に移店したのが2001年、既に40年以上フランス料理人生活を続けている事になる、それでいて料理は決して古臭くないし、変に日本化されていない。三田「コートドール」の斉須料理長とは「ヴィヴァロワ」時代の同窓なので、どうしても比較したくなるが、余分な物を削ぎ落し本質的でストイックな斉須料理に対して、大らかで懐が深く且つ繊細な小原料理と云う感じだろうか。店内サービスもマダムとソムリエールの女性コンビのため、余計フェミニン(悪い意味で無く)で優しい印象を持った。此処のマダムと話していると、フランスのレストランで出会った、貫禄ある名マダム達を思い出す(笑)。
 最近、若手料理人の店へ行く機会が多かったが、ベテラン料理人はベテランならではの良さがある事を認識した、ここは訪問が「間に合って」良かった(笑)。
 個人的にまた行ってみたいし、特にマニア系ではない人生経験を積んだ成熟した大人には、是非お薦めしたい素敵なレストランだ。

 次回ブログ更新は2月17日(日)の予定です。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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