最後の晩餐にはまだ早い


和歌山「オテル・ド・ヨシノ」(2013春関西食べ続け②)

 和歌山「オテル・ド・ヨシノ」を訪れるのはこれが5回目、今回はディナーなので時間的余裕もあり、タクシー代節約と昼食の「ロールキャベツ」消化のため、和歌山駅から歩いて行く事にした(笑)、レストランの入っている建物「ビッグ愛」までは約20分、まずはレストラン階下にあるホテルにチェックインする。このホテルはレストランの利用者に対し宿泊料金の割引があるので、ディナー利用時にはお薦めしたい、ただ用途としてはビジネスホテル仕様なので、何かが起きそうな「色気」を求めてはいけないが(笑)。

 ディナーのために12階のメインダイニングに入ったのは18時半、広い窓からは夕闇に包まれる和歌山市内が一望、高い建物が少ないため穏やかに感じる夜景が遠望出来、気持ちは和らぎながらも、これから始まる宴への期待で高揚していく。既に食事中の客もいたが、客席の雰囲気はフランスのリゾート地にある高級レストランみたいで、とても素敵だ。

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 客席に出て来た手島料理長と挨拶を交わし、ボランジェをいただきながら、今宵の「Menu Special」の説明を受けて、ディナーが始まった、

・グジェール
・甲殻類のカクテル

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・鹿のコンソメ

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・ウツボのパピヨット

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・舌ヒラメ デュグレレ風

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・大和鹿のロワイヤル

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・プレデセール

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・タルトタタン、スパイスを効かせたグラス

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・ミニャルディーズ
・ヴェルヴェーヌのアンフィージョン

 まさに手島ワールド全開(笑)、最初のピークはコンソメ、これほど深くて奥行きのあるコンソメは初体験だ、伊丹十三著の「フランス料理を私と」という著書の中で、「採算度外視で極上のコンソメを作る」をテーマにコンソメを作った処、一人分の原価は約2,000円になったそうだ、これをレストランで売るとすれば一杯6,000円、これでは誰も注文しない(笑)、この手島コンソメはそれに近いのではと思える贅沢さを感じた。
 珍しかったのがウツボの料理、フィレ身を春巻状にして揚げたものだが、これは個性があって忘れ難い味だった、地元の大和鹿は東京などで出回る蝦夷鹿とは肉質が違い、より濃厚な味がする、そのために本来なら野兎を使った料理である「リエーブル仕立て」にする事で、この食材を生かしたかったと、あとで料理長が説明してくれた、この狙いは成功していると思う。
 全体的な料理の印象は小細工無しの直球勝負、ただ「速い」だけではない文字通りの「剛速球」だ(笑)。
 若干23歳と聞く、美少女パティシェールの児玉嬢が作った「タルトタタン」は、クラシックな技法の中にも繊細な軽やかさを表現し、定番ながら美味しかった、手島料理長とのコンビはまさに「美女と野獣」だが(料理長すいません)(笑)、今後楽しみな才能だ。
 そして小松支配人と女性サービス陣のサービスは以前より洗練され、レストランとしてのポテンシャルは更に高まったと感じた、それが理由だろう、客入りも好調みたいだ。

 手島料理は力強さと同時に色気がある、ちょうどこの旅行中、名コピーライターで骨董収集家としても知られる仲畑貴志氏の、「この骨董が、アナタです。」(講談社文庫)を読んでいたのだが、その中に印象的な文章があったので、引用させてもらう、
「長年、コマーシャルをこさえてきて気づいたことは、購入をうながすための表現に思索的な要素を入れてはいけないということ。広告は、消費者の首より下、胸、もしくは腹、できればへそより下を刺激するべきで、決して頭を刺激しては売れない。」
 これは正しいと思う、そして「広告は」を「料理は」に置き替えると、そのままレストランに通用すると思った(笑)、その良い実例がこの「オテル・ド・ヨシノ」だ、此処は頭で考えるのではなく、身体それも下半身を刺激する、とてもエロスを感じるレストランだ(笑)、「今、関西フレンチなら何処?」と訊かれたなら、その人の食レベルにもよるが、まずはこの店だろう。和歌山と関西はこの店がある事に誇りを持っていいと思う。

 関西一日目のラグジュアリーな夜は、スタッフの皆に見送られ、満腹を抱えながら幸福な笑顔で終わった。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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