最後の晩餐にはまだ早い


大阪・本町「びすとろぽたじぇ」(2013春関西食べ続け⑤)

 関西二日目の夜は、この店も関西訪問時には必須となった、大阪・本町の「びすとろぽたじぇ」を訪れる事に。
 3度目の訪問になるが、毎回我儘と言うより嫌な要望を出している(笑)。一昨年の初訪問時には、通常4人前からになる、ポール・ボキューズ直伝の「スズキのパイ包み焼」を、3人で食べたいと言って困らせ(笑)、去年の2回目にはフェルナン・ポワンの伝説のレストラン「ピラミッド」の定番デセール「ガトー・マルジョレーヌ」を食べたいと、再び困らせた(笑)。今年の我儘は「牛ヒレのロッシーニ風」を昔の作り方で食べたいと、これまた困ったお願いをしてしまった(笑)。
 なぜ「ロッシーニ」なのかと言うと、2年前に和歌山「オテル・ド・ヨシノ」にて、手島料理長の華麗な「ロッシーニ」を体験し、また都内で「立食いフレンチ」で人気のチェーン店が、この料理を1,280円という超低廉な価格で提供している事が話題になっているため、原典に近い?作り方の料理を味わっておきたいと思ったからで、プリフィクス5,700円のビストロで、こんな無理な注文をしてはいけません(笑)。

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 夜6時半の入店時には既に女性2人組が食事中、私の後は男女ペアが2組来たが、そのうち1組は来店30分前の電話予約、実はこの日はバレンタインデーだったが、そんな日でも当日予約で来るカップルと、それに応える店の懐の深さ、こういう店があるのはとてもいい事だなと思う、何ヶ月も前からこの日のために「勝負店」を予約するのもレストランの楽しみ方なら、こうして「あの店行ってみよう」と、当日思い立って行ける店があり、その料理のレベルが高いとすれば、その街の食文化が成熟している実例だと思う。
 「ロッシーニ」をメインにして、迷った末に前菜を2種選んだ結果は、

・アミューズ(人参のスープ)

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・河内鴨のタタキ風

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・温製魚のパテ、ソースアメリケーヌ

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・牛ヒレ肉のロッシーニ風

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・付合わせの手打ヌイユ

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・デセール(好きなだけ)

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・選んだのは、パンナコッタ、モンブラン、パンプディング、パイナップルのグラス

 冷前菜は河内鴨特有のネットリした食感を生かし、濃厚な「鳥刺し」みたいで旨い。パテは白身魚のすり身をハンペン状に成形し加熱、そこへ甲殻類で取ったソースアメリケーヌをかけるもの、これは美味しくない訳無いのだが、それぞれの素材を吟味しているから更に旨さが引き立っている、甲殻類特に「エビ好き」な関西人には受ける事間違いない(笑)。

 「割増料金になっても構いません」と頼んだ「ロッシーニ」は、あえてプリフックス5,700円の範囲内で作れるものにしたそうだ(笑)、こうした心意気には感涙してしまう(笑)。
 「牛ヒレ肉のロッシーニ風」仏語なら「トゥルヌド・ロッシーニ(Tournedos Rossini)」は、大作曲家の名を冠した料理、ロッシーニ本人は享楽的な性格と華麗な容姿で女性に大変もて、且つ美食家だったと伝えられ、私は爪の垢が残っていれば煎じて飲みたい人物だが(笑)、ロッシーニが活躍し実際に住んでいた当時のフランスはグルメブームで、「ロッシーニ風」と名付ける事は即ち「グルメな食べ物」を意味していたらしい、日本で云えば「魯山人風」みたいな感じだろうか(笑)、この料理もロッシーニが考案したとされているが、真偽は不明(笑)。
 ソテーした牛ヒレにフォアグラを乗せ、トリュフを加えたマデラ酒のソースにするのが「お約束事」の様だ。こう書くと簡単だが、それまではフォアグラは前菜、牛肉がメインと決まっていた筈なので、それを一緒に料理するというのは、焼き魚の上に刺身を載せて食べる(笑)みたいな意外性があったと思う。でも淡白な牛ヒレとフォアグラの相性は抜群で、名料理として100年以上経った今でも残っている。この店の料理ではモワル(骨髄)を使っているのが特徴、これによりフォアグラとの繋がりが良くなり、コストダウンにも成功している筈、ソースは濃厚そうだが見た目よりは軽かった、グランシェフの話では1970年代以前の作り方になるそうだ、これは貴重な体験をさせてもらった。手島ロッシーニが楷書体なら、このロッシーニはもう少しくだけた行書体という感じ、どちらもエピキュリアンだったロッシーニを連想させる「色気」は十分だ(笑)。

 デセールは息子さんのシェフが作ったもので、数種類が食べ放題、おかわりも可能だが今回は止めといた(笑)、質はどれも高い。
 今は年に1回しか来られないのが本当に悔しい素敵なビストロ、大阪に住んでいたら毎月いや毎週でも訪れたい店だ(笑)、家庭的な雰囲気のサービスも温かく、店を出る時には「行って来ます」、店に来た時には思わず「ただいま」と言ってしまいそう(笑)。次は1年待たない内に来たいと思っている。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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