最後の晩餐にはまだ早い


大阪・北新地「天麩羅 ひらいし」(2013春関西食べ続け⑥)

 関西3日目は、これまで「観光」らしき事を全くしていなかった(笑)ので、午前中は雨降る中を、大阪中之島の「大阪市立東洋陶磁美術館」を見に行く事に、私が特に好きな美術館で、収蔵品の高麗青磁や李朝白磁、中国元・明時代の陶磁器は毎回必見、この日は濱田庄司の茶碗展も同時開催されていた。収蔵品の陶磁器類は旧安宅産業の企業コレクションが主だが、日本が高度経済成長で浮かれていた時期に、よくこれだけの逸品群を収集したものだと毎回感心する、安宅産業も既に無く、収集の中心だった安宅英一も故人になったが、遺された物はこうして輝き続けている、この美術館は大阪が世界に誇れる文化施設だと思う。

 この日の昼食は、中之島から歩いて行ける距離の、大阪を代表する繁華街「新地」にある天麩羅店「ひらいし」を訪問する事に、この店も去年に続いての訪問になる、実はこの日の夜もフランス料理なので(笑)、昼は「縦メシ(和食)」にしようと、色々と店探しをしてみたが、去年行って好印象だったこの店に結局行き着いてしまった(笑)。
 店の場所は北新地の中心地で、近くには創作鉄板料理?で知られる「カハラ」がある、雑居ビルの3階にありテナントは以前バーだったと聞く。今回は行けなかったが、カウンターフレンチで人気上昇中の「グラン・シャン」も、同じ新地のビル内なので、不況でバーから業種替えするテナントが増加中みたいだ。
 入店は12時、カウンター10席の店で、私の後には女性一人客、その後に若いアベックが入店して来た、どちらも予約客だが、この店はなかなかフリでは来られないと思う。店主に挨拶していただいたのは昼の5,000円コース、

・突き出し(若牛蒡、塩昆布とレタス)

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・車海老の頭

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・海老二種(画像は大葉を巻いたもの)

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・タラの芽

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・雅鮎(もう漁が始まっているそうだ)

・ヤングコーン(沖縄)
・筍(奄美大島)

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・白魚

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・椎茸(鳥取)

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・行者ニンニク

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・穴子

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・蕗の薹

・牡蠣(北海道)

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・天丼(小海老のかき揚、赤だし、香の物

・デザート(トマトのコンポート、ジュレかけ)

 海老、白魚、穴子と云った定番の天麩羅種の美味しさは勿論だが、特に野菜が秀でていた。特に印象深かったのは、タラの芽、筍、蕗の薹と云った春の活力を感じさせる物と椎茸、この超肉厚な鳥取産椎茸は、鶏肉みたいな食感で、外国人に食べさせたら、「ジャンボマッシュルーム」と云っても多分信じないと思う(笑)。締めの食事は天茶か天丼どちらかの選択になる、前回が天茶だったので、今回は天丼を選んだが、小海老のかき揚げを載せた天丼は鮮烈な美味しさ、沢山食べた後なのに「おかわり」したくなった(笑)。

 あらためて思ったのだが「天麩羅」は凄い料理だと思う、構成要素は粉と水と卵だけ、主材料をこれにくぐらせて油で揚げるという単純な手法だ。例えればフランス料理がワーグナーの楽劇やヴェルディのグランドオペラだとしたら、天麩羅はバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタかチェロソナタみたいな印象、これ以上何も削れない単純さだが、無伴奏ソナタの音楽的感動がワーグナーやヴェルディに決して劣らない様に、優れた料理人の揚げる天麩羅から受ける感動は、フランス料理に比して劣るものではない。

 店主の平石氏は名門調理師学校卒業後、最初は和食へ進んだが、天麩羅の名店を食べ歩くうちに、自分の天分はこれだと思い、大阪には珍しいカウンター天麩羅の店を開業した、場所柄夜は外国人客も来店し、人気店になりつつある、ランチは夜来られない女性客を意識して営業しているそうだ、銀座程ではなくても家賃の高い新地で、この内容でこの値段ならかなり「勉強価格」だと思う。
 雨が上がった窓からは、障子を通して明るい光が差し込み、気持ちも穏やかになっていく、今の時代にランチに5,000円は高いのかも知れないが、この店で供されるものを考えると決して高くない、むしろ「安い」と思ってしまった。
 次に大阪に来た時も、また寄りたい店だ。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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