最後の晩餐にはまだ早い


秋葉原「ビストロ・ヌー」(2013年3月)

 この日は平日休みで、ランチは以前からマークしていた某フレンチへ行こうと、電話をかけたのだが満席で断念、そこで思いついたのが、今年1月に利用して好印象だった、秋葉原のフランス料理「ビストロ・ヌー」へ行く事に、此処ならカウンター席があるので、予約しないでも大丈夫だろうと思いフリで出かけたのだが、結局この店も最後には満席になった。ランチタイムだけの現象なのかも知れないが、飲食店に客が戻りつつあるのは確かな様だ、平日ランチでも「1,000円以上払ってもいい」という客が増えているとしたら、これはレストランにとって良い兆候だと言える。ついでに厳しい言い方をすれば、今の時期にお客が増えていない店は、集客に根本的な問題があると言えなくもない。

 地下鉄千代田線の湯島駅から歩き、店に着いたのは11時30分の開店直後だが、既に2組入店していた、カウンターに座って、プリフィクス(1,500円+デザート300円)の黒板メニューから選んだのは、

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・エビのパートプリック包み

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・アンジューブランと自家製?パン

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・牛ハラミのロティ、粒マスタードソース

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・クレーム・ブリュレ
・コーヒー

 「エビのパートプリック包み」は、エビ身を叩いてパートプリックで春巻状に包み揚げたものを、エビで取った出汁のスープを付けて食べる、ちょっとアジアンテイストが入っていて、これはユーロ導入後のパリ味だ(笑)、この料理人がパリで働いていた時期が、このタイプの料理が一番流行っていた頃だと思う。
 「牛ハラミのロティ」は、フランスの国民食「バベットステーキ」‘bavette steak’の事で、これはあえてスーパーオーソドックスな料理を選ぶ事で、この料理人の実力を推し量りたかったのもある(笑)、期待に違わず充分美味しかった、豪州産牛肉だそうだが、この料理とは上手くマッチしている、下に敷かれたのは最近あまり見かけなくなった気がするジャガ芋のピュレで、これがまた美味しい。
 クレーム・ブリュレも脱日本的に甘味のしっかりしたもの、これならフランス人も納得すると思う。

 実は私の後に予約していない男性5人組が来店したが、最初接客係の女性が「今日は満席なので」といったん断ったのだが、料理長が「詰めれば座れる」と指示を出して案内させた。これで店内は満席になったが、ここからこの料理人が本気を出した(笑)、一人でガスレンジ4口とコンベクションオーブンをフル稼働、見ていて「腕が3本あるのでは」と思わせる素早さで、次々と料理を出して行く、思わずこのスピードに見とれてしまった(笑)。前回来た時に、この料理人がパリで働いていた当時の話をしたが、人気のネオ・ビストロで、週末夜は2回転・3回転する日もあったそうだ、こうしたスピード感はその中で身に付いたのだと思う、そしてパニックにならず平然としている、これは大事な点だ。
 今は技術に関しては、日本の調理師学校の優秀なメソッドで、殆どのものが日本で習得出来る筈だ、だがこうした「火事場の馬鹿力」的なものは、現場と云うか「修羅場」を体験しないと身に付かないと思う、これからフランスで働こうと思っている日本の若い料理人達は、こうしたものを是非持ち帰って欲しいものだ。

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 この店と料理人はこれから楽しみだ、そしてこのタイプの店が成功すれば、東京でも「ネオ・ビストロ」的な店が増えていくと思う、そうだとすれば長生きする楽しみが少し増える気もしている(笑)。

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  2. フランス料理
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  2. 2013/05/26(日) 13:13:26 |
  3. URL |
  4. アルテファン
よい料理人は例外なく「仕事が速くて、休まない」印象があります。
偉いものだねえ、と感嘆しつつも、「とてもとても自分には務まらない、一生客のままでいよう」と思います。

Re: タイトルなし

  1. [ 編集 ]
  2. 2013/05/26(日) 16:27:46 |
  3. URL |
  4. オンクレ・トシ
アルテファンさん
大阪のある料理長の言葉ですが、良い客とは皆「良く食べて、体が丈夫」だそうです(笑)。
作る方も食べる方も、要は身体が第一。
食欲の衰えは肉欲違った肉体の衰えでもあるようですね(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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