最後の晩餐にはまだ早い


六本木サボア・ヴィーブル「竹下鹿丸展」

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 ブログにUPしようと思いながら遅くなってしまい、既に会期は終わってしまったが、今月初めに行った、六本木の器を中心としたギャラリー「サボア・ヴィーブル」で開催されていた「竹下鹿丸展」の報告を。

 竹下鹿丸氏については以前ブログで紹介した事があるが、1977年生まれの益子の若手陶芸家、釉薬を使わない「焼き締め」と呼ばれる陶器を中心に制作活動を続けている、私は5年前に同じ場所で開催されていた個展でこの作家を知り、片口鉢を購入してからファンになった、ただこの片口鉢は、普段は器としては使わずそのフォルムの美しさから、骨董品の銭箱の上に置いてインテリアにしているだけ(笑)、今回は出来れば日常的に使えるものを選びたいと思いながら、会場へ向かった。

 サボア・ヴィーブルは六本木AXISビル内にあり、1881年からここで食器類を中心に販売をすると共に、主に若手作家達の発表場所としてギャラリー活動を続けている。1980~1990年代初めはバブル景気の真最中、このビル辺りから飯倉、六本木と西麻布一帯は「バブルの聖地」だった(笑)、今は「つわものどもが夢のあと」だなと、近くにある「ドン・キホーテ」の建物を見ると妙に感慨にふけってしまう(笑)。この店が長く続いた理由は、こうした若手作家を紹介する事で、新しい潮流を生んでいったからではないかと思う、竹下鹿丸氏の器もこの店がある事によって、話題の日本料理「龍吟」で使われる様になったと聞く。

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 伺ったのは金曜日の夕方、入店後に奥の個展会場へ入ったら、赤いパンツ姿で独特の髪型の長身男性が居た、前回も会った作者本人だ(笑)、2011年の震災で使用していた穴窯が崩落、更に昨年は北関東を襲った竜巻で自宅兼作業場が半壊するという二年続きの災害に見舞われながらも、この作者はどこか肩の力が抜けていて軽やかな自然体だ、話し方も穏やかでこれは無骨になりやすい焼き締め器を、見た目以上に軽く仕上げる作風にも共通していると感じた。
 作者に以前から気になっていた「土」の事を聞いてみた、今は益子でも備前でも良質な陶土が枯渇し、他地方から「輸入」しているとも聞いていたからだが、これに関しては、「自分は他の人が使わない粗い土を好んで使うので、地元益子の土で足りている」との答えだった。これ食材と料理に似ていると思った(笑)、皆が同じ食材を使い出すと、需要と供給のバランスが崩れ希少価値になり値段が高くなる、「他の人がやっていない自分だけの仕事をする」事が大切なのは、優れたクリエーターに共通だと思う(笑)。

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 会場内を30分くらい見て回り、一番惹かれたのは「南蛮花入」(26,250円)だったが、今日は実用的な物を買いたかったので次回への宿題とし、李朝の名品「伊羅保茶碗」を思わせる飯碗の大(4,200円)と、古越前焼の風格が感じられる小(3,300円)の二つを購入する事に、別に夫婦茶碗にする訳ではなく自分でどちらも使いたい(笑)、小さい方は炊立ての白飯を、大きな方はお茶漬けか小丼向けと思っている。

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 全体的な作風は5年前とは少し違った印象を持った、その時は織部釉みたいな実験的作品もあったが、今回は原点回帰していると思った、日本人は「この道一筋」みたいな作風が好きだが、オランダでも個展を開いたこの作家は、世界に認められるためにも、こうした変容はあっていいと思う。
 
 誤解を恐れずに書いてしまうと、料理人にも言える事だが、一般論として物造りに関わる人間は、名前が有名になり年齢を重ね「大家」になるに従い、作った物が詰まらなくなる気がする(笑)。この作家の作品は今ならまだ私でも何とか買える金額なので、しばらくは追いかけていきたい才能だ。

※なお店内撮影は作者の承諾を得ました。
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Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
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