最後の晩餐にはまだ早い


麻布十番「グリグリ」

 今年の初めに親しい料理人から、「今度麻布十番に出来たフランス料理店は、要マークだ」との話を聞いた、私は全く知らなかったのだが、何でもその料理人はフランス・ヴァランスの「ピック」、スペイン・バスクの「マルティン・ベラサテギ」等で働き、その後地元の名古屋で開業するも、斬新な料理に名古屋人が付いて行けず(笑)、「客を求めて」東京へ進出して来たとの事だった。この話を聞いてから「行ってみたい」と思っていたが、その後別の料理人からの話でも、実際に行ってみて「料理にオリジナリティがあって、すごく良かった」との感想を聞いた、「客より料理人が評価する店」ならこれは面白い、行かない訳には行かないと、以前より親しくさせてもらっている、尊敬するグルメ仲間のご夫妻を誘って、まずはランチタイムに訪れる事にした。

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 「店の場所が判り難い」、これは東京の名店の条件なのかも知れない(笑)、麻布十番駅を出て、「豆源」や「更科本店」がある商店街を六本木へ向かって歩き、もうじき六本木ヒルズのゲートタワーが見える辺りに出来た新しいビル内にあるのだが、看板は出ていないので、予約客以外は最初から想定していないみたいだ。
 事前にWEB情報を見た時は、店内装飾が妙に乙女チック?な雰囲気で、中年親父でも大丈夫か?との心配もあったが、実際には予想より落ち着いていてまずは一安心(笑)。店内は6席のベンチシートに4席の丸テーブル、更に4席のカウンターがあり合計14席、調理場はオーナーシェフ1人、店内はマダムが1人で対応する最低限の体制だ、丸テーブル席では女子会?が始まっていて、私達の後には男性2人組が来店した。
 ランチは4,500円(税・サービス料込)の一種類のみ、内容は全ておまかせの「カルトブランシュ」で、メニュー構成が、アミューズ・前菜1・前菜2・メイン・デザートまたはチーズになるのだが、このうち前菜2皿とメインについては、同じテーブル内で全て料理が違う、この日3人で行ったので、3×3で9皿別の料理が出た、4人で行ったら12皿出る事になるみたいだ、そしてそれを一人の厨房で時間差なく全て出せるのが凄い、画像で紹介するのは私に出た料理だが、

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・アミューズ(フォアグラのあんこ玉?トウモロコシの冷製スープ、人参チップス、茶豆に豚背脂)

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・鮎の再構築、ペリエのエスプーマ

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・Givry 1er Cru ‘Clos Jus’ Domaine Ragot 2009

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・ブルターニュ産ムール貝のフリット、ブルターニュ産海藻バター、ムール貝のスープ

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・夏鹿のシヴェ、グレープフルーツのコンフィ

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・イルフロッタント、パイナップルとマンゴーのコンカッセ、パイナップルのスープ

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・ミニャルディーズ
・エスプレッソ

 ちなみに他の二人のメインはシャラン鴨とイベリコ豚だった。
 鮎は一旦骨と中身を外してから再度成形し「うるか」を塗ってローストしたもの、ムール貝は生地の間に貝を挟んで揚げ、スープをかけて食べるのだが、生地が「かっぱえびせん」みたいに香ばしく(笑)後を引く。今注目されている食材の夏鹿は古典的なシヴェ仕立てで大変良い出来、酸味と苦みのあるグレープフルーツも効いている。

 これは見事な構成と料理力だ、例えば「フロリレージュ」のランチと比べても、デザートが少し見劣りするくらいで(作るのが一人なので、これでも立派だと思うが)、料理に関しては決して遜色ない、厨房一人なのに凄い事だ、あえて言えば食事中のパンがお代わりしたくなる様な物でなかったが、これは今後もっと良くなるだろう。
 「ピック」は未訪問だが、料理の所々に「ベラサテギ」のエッセンスは感じる事は出来た。料理人はまだ三十代後半の若さなので、これから更に進化しそうなポテンシャルを感じさせる、注目すべき才能。ただ、客側も自分の前にどの料理が出ても楽しめる度量が試される、人の皿を見て「あっちが良かった」と思う事の多い人には向かない(笑)、その意味では遊び心のある料理上級者向けの店とも言えそう。
 サービスはマダム一人のため、ベタな対応は無理だが、私にはそれがかえって好印象(笑)、都会スレしていなくて、決して毒が無い感じ(笑)なのはとてもいい。
 ランチタイム最後の客になり、料理長とマダム揃っての見送りを受けた、以前TV番組で田崎真也さんが、「帰り際に『美味しかった』と言う客は次来てくれない、『楽しかった』と言う客はまた来てくれる」と話していたが、此処は「楽しかった」と言いたい店だ(笑)。

 実に素敵な店が出現した、今年はこれまでの処、東京の新規訪問店では「当たり」が多いが、それだけ全体のレベルが上がって来ていると云う事だろう、この店はいきなり「当たりグループ」の上位にランクインした(笑)、近いうちに再訪したいと思う。
 今ならまだ予約も取り易いので、狙い目だ。


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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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