最後の晩餐にはまだ早い


八丁堀「シック・プッテートル」(2013年8月)

 この日は、大阪から食べ仲間の友人夫妻がやって来る事になり、当然のごとく「何処かで食事を一緒にしましょう」との話になった。幾つか候補の店を挙げた中で、この方も私のブログを見て「行ってみたい」と思われたのが、八丁堀のフランス料理「シック・プッテートル」だったそうで、世間は盆休み期間中だが、幸いな事に予約が取れ、酷暑盛りの夜に八丁堀に集まる事になった。
 友人の話では、新幹線に乗って東京駅に降りた際の第一印象は、「東京は涼しい」だったそうで、大阪がいかに暑いのか同情してしまう、どの世界でも上には上が、更にはその上があるものだ(笑)。

 シック・プッテートルはこれが3回目、初訪問が5月だから、私としては「頻繁に」訪れる店になった、私は一度気に入ると立て続けに通う性癖?があり、そうなると以前から利用していた店はご無沙汰する事になってしまう、「最近来てくれなくなった」と思われてしまうのは辛い処でもあるが、もし今より資力と体力があれば、もっと沢山の店に均等に通いたいのだけれど(笑)。
 この店はカウンターも含めると一応20席あるが、現在は席数を絞り、この日も我々を含めて3卓8人で止めていた様子だ、調理場が生井氏一人なので、自分達の納得いく仕事をしたいがために、こうしているのだろう、この辺りはオーナー兼サービス担当の星氏の考えも大きいと思う、テーブルを確保出来た客側にとっては嬉しいスタンスだが、ビジネスと考えると結構大変かも知れない。

 この夜のムニュは、8,000円の全ておまかせによる「カルトブランシュ」で、全10品をお見せしたい、

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・バスク、キントア豚のサラミ「ジェズ」

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・キャラウェイシードに埋まったチーズクッキー

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・クールジェットのテリーヌ、塩シャンティ、スターレットキャビア

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・時知らずの低温湯煎調理、イクラと桜エビのマヨネーズ

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・鰹のミ・キュイ、彩り野菜、コリアンダーとアボガドのソース

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・石巻雄勝町産夏牡蠣、トウモロコシ、コリアンダー風味モロヘイヤのスープ

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・凾館産骨付き平目のムニエル、トリュフ風味のブール・ブランとブール・ノワゼット

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・岩手二戸産短角牛、二種のブールコンポゼ
     
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・リュバーブのムース、トマトと白桃のコンポート

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・自家製クッキー

 まさに生井ワールド全開で絶好調だと感じた、特に彼の際立った個性と豊かな感性が感じられるのが前菜群で、この日のクールジェットのテリーヌと鰹と野菜の皿は、それを表現する料理だと思った、味だけでなく色彩や食材構築のビジュアルが美しいのが特徴、最近若手料理人の中で、皿の中心を使わず周辺部に非対称に料理を盛るのが流行し、どうも北欧辺りで始まったみたいだが、私はあれが嫌いで、決して美しいドレッセと思えない。生井料理長は若い頃(そう言っても今でも充分若いが(笑))、美術と音楽を指向したと聞くが、あんな変な事はやらないのはさすがだと思う。
 魚料理と肉料理は、軽やかな前菜達とは少し方向が変わり、バターやチーズ等脂肪分をしっかりと使い、伝統性を感じさせてくれるもの、日本の平目はフランス料理にはあまり合わないのではとも思っていたが、こうして骨付きのまま火入れし、バターをしっかり効かせたソースで味わうと、日本の平目旨いじゃないかと認識を新たにする(笑)。牛の本場である関西から来たゲストに牛肉料理を出すのは、食材と料理への自信と見た、ムニュの中に牛肉を使うのは、時として詰まらないものになる事もあるが、この赤身肉はその心配のいらない旨味に富んだものだった。

 オーナーの星氏ともう一人の若い女性のサービスは、回を追う毎にこなれて良くなっている、厨房とホールの連携がお互いを信頼しながら、そうかと言って「馴れ合い」になる事なく、とても上手く行っている様に見える。今、料理人がオーナーシェフとして独立しても、自分と合うサービスを探すのは、人材不足の現状から至難になっているので、この店はお互い大変良い選択をしたのではないかと思う。

 大阪から来た友人夫妻も充分満足されたみたいだし、とてもいい「真夏の夜の夢」の宴になった。次回は更なる強者達が集まる予定なので、店側には大迷惑かも知れないが、どんな饗応を見せてくれるか、とても楽しみだ(笑)。


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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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