最後の晩餐にはまだ早い


白山陶器の急須

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 私はつい最近まで典型的な「欧州かぶれ」だった、赤塚不二夫の漫画「おそ松くん」の登場人物であるイヤミ氏のように、何かにつけ「フランス」を引き合いに出し、欧州の文化や風習がいかに優れていて、それに比べ日本は制度も文化も製品も遅れて劣っている、こんな事をいつも言っていた。
 「本物のフランス料理はフランスへ行かないと味わえない」とか、「コートはバーバリー、それも日本でライセンス発売された物は駄目、英国製でなければ」などと言っては周りの顰蹙を買っていたと思う。
 
 それが変わったのはここ4、5年だろうか、一番大きかったのは料理の世界で、何人かの料理人と親しくなり、フランス料理の本場フランスで、日本人料理人がいかに中心に近い存在で活躍しているかを聞き、3年前に実際にフランスを回ってみて、それが事実なのを知ってからだと思う。更には日本にやって来る中国人観光客達が、こぞって日本製品を買い占めて帰る姿も見る様になり、いままで気付かなかった日本製品の良さ、日本人の勤勉、真面目さは世界に誇っていいものではないかと考える様になった、一時関わっていた現代アートの世界でも、日本人アーチストが何人も世界で評価されている事も知ったのも大きい。そして昨年の東日本大震災を体験した後、自分の残り人生は出来るだけ国内でお金を消費し、日本の物を使う様にしたいと考えを改める様になった、別に「国粋主義者」になった訳ではないが、見るスタンスを変えるとこの国で作られる物は、優れた物が数多くある事に気付く。

 前置きが長くなったが、紹介したかったのは先日ネットショッピングで入手した白山陶器の急須、長く使っていた急須が傷だらけになってしまったため、近くのホームセンターで見たが気に入ったのがなく、アマゾンで探して見つけた物。
 白山陶器は江戸時代から400年の長きに渡り磁器生産が続く「波佐見焼」の地、長崎県の波佐見町においてデザインから製造までを一貫して行う磁器メーカー、人件費の安いアジア地域で多量の「国産品」が生まれる現在、最初から最後まで国内で生産するだけでも貴重と言える。ここは「生活になじむ美しい器」をモットーに、デザイン性にも拘りながらも且つ高価過ぎないノーブルな食器を作り続けている。

 この急須、値段は送料込みで2,310円、名の売れた「作家物」に比べたらはるかに安価だが、使い易さと単純なフォルムの美しさは見事、茶を注ぎ易く液だれもしない。
 ある意味では柳宗悦の提唱した「民芸」運動を一番継承しているかも知れない、「用の美」が伝える精神がここにある。

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Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
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