最後の晩餐にはまだ早い


札幌西16丁目「ラ・トルテュ」」(2013札幌食べ続け②)

 今回札幌で訪れたフランス料理店は4店、実はどの店も市営地下鉄「西18丁目」駅から歩いて行ける範囲にある、泊まったホテルもこの駅に近く4店共歩いて行った、私はレストラン密度の濃い街でよくこれをやる、例えばパリでマレ地区にホテルを決めたとすると、4区を中心に出来るだけ歩いて行ける範囲内でレストランやビストロを探す、「その理由は?」と訊かれると、交通費を節約したいと云う実質的な面もあるが(笑)、もう一つの理由が、この方法だと「街」がよく見えるからだ、そこに住んでいる人がどう云う人達か、何処で買い物をするのか、レストラン以外にどんな店があるのか等、云わば「定点観測」が出来る、その上でレストランを体験すると、より理解するものが多くなるからだ、これはベテラングルメの方なら判ってもらえるのではないか、店はその地域と共存して発展するのだと思う。

 札幌二日目の昼は、昨夜行った「プロヴァンサル・キムラ」から至近のフランス料理店「ラ・トルテュ」へ行く事にした、この2店の間には近代美術館の敷地がある位、その美術館で「パスキン展」が開催されていたので、これを観て開店時間まで待つことにした。
 時間になってビルの2階にある店に入ろうとしたら、お洒落な格好をした中年女性3人が先に階段を昇って行った、地元と云うより円山辺りに住んでいそうなセレブな雰囲気で、着ている服も高そう(笑)、当方はユニクロファッション、これは時間を置いた方がいいだろうと暫く階段の下で待ち、そして数分経ってから入店した(笑)。

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 案内されたのは壁際のテーブルで、この店は全部丸テーブルを使用、6卓で計18席と云う贅沢な空間配置だ、四谷三丁目にあった「ベレコ」をさらに高級にした様な店内、皿はベルナルドの「ルーブル」、カトラリーはエルキューイを主に使い、かなり高級志向に感じた、これなら先客のマダム達の趣味にも合いそうだ(笑)。
 オーナー兼メートルの一戸氏から渡されたメニューを見る、あらかじめWEB上で調べたら、ランチは2皿で3,000円、3皿で4,300円だった筈と思ったが、そのとおりだったので安心した(笑)、東京でこのロケーションでこの値段はちょっと考えられない。
 2皿にするか3皿かで迷ったが、4日連続フレンチなので此処は抑え気味に2皿にして、メインはプラス料金のものを選ぶことに、

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・アミューズ1(豚肉のリエット、ケークサレ)

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・アミューズ2(茸のカプチーノ)

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・アミューズ3(戻り鰹の炙り、カイエンヌペッパー風味のマヨネーズ)

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・鮭の臓物パイ、赤ワイン風味、ポロ葱のクリーム

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・滝川産鴨胸肉のロースト、焼きリンゴ、カルヴァドスのソース(+1,000円)

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・柚子?のグラニテ

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・クレメダンジュ、巨峰のスープ仕立て

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・ミニャルディーズとエスプレッソ

 アミューズが3品も出るのでこれは2皿で正解だった。料理はクラシック真中の正攻法だが、ソースは比較的軽い仕上げで現代風にしている、「鮭の臓物パイ」はかつてTVドラマ「王様のレストラン」の中で、主人公がパリの「ランブロワジー」で食べたと語った料理だが、実際に「ランブロワジー」にあったのかは不明(笑)、それをイメージして作ったそうだ、パイ生地の中に調理した鮭の内臓やメフン、氷頭を入れ焼き上げる、ソースは刻んだポワローを使ったクリームソース、鮭の内臓は何処か懐かしい味で、下品になる一歩手前の美味しさ、パイ生地の出来もいい。
 初めて食べる「滝川鴨」は、旭川近くの滝川市内で飼育された合鴨、日本ではエトフェ(血を抜かない殺方法)が出来ないらしく、そのためかシャラン鴨と比べるとあっさりとした食感になる、でも私にはこれが好印象、シャラン鴨の濃さは無いが、反面繊細で噛む毎に広がる滋味は秀逸、普段飼育鴨はカルトではまず注文しない私だが、これは美味しい鴨だと判った、食材としての将来性はあると思う。
 円安の現在、長時間の輸送で疲労した高い輸入食材を無理して使うより、国産の良い食材を探して使うのは生産者の励みになるし、料理の値段等で客側も利点がある筈、特に今回の食旅行で、道産食材には今後期待の持てるものが多いと感じた。
 デセールのクレメダンジュとミニャディーズのマカロンも、丁寧な作りでとても美味しい、厨房は2人だそうだが、これはセンスある料理人だと思った。

 店内はオーナーの一戸氏が担当する、話し方やサービスの間の取り方に個性があって、好き嫌いは別れるかも知れないが、私は優秀なサービスマンだと評価したい。
 ここはバランスの取れたいい店だ、フランス料理にサプライズを求める人には向かないが、いい料理といいアンビアンスを「札幌価格」で提供してくれる場所、「違いの判る大人」なら、この良さがきっと理解できると思う(笑)、オーナーと廣田料理長に見送られ、豊かで満ち足りた気分で店を後にした。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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