最後の晩餐にはまだ早い


札幌西18丁目「バンケット」」(2013札幌食べ続け③)

 札幌三日目の夜は、今回の食旅行中で一番の目的にしていた店、西18丁目のフランス料理「バンケット」へ行く事に。
 私と札幌在住の友人H君には、共通する友人の料理人G君がいるが、彼が今年の春からこの店にメートル兼ソムリエとして働いていて、今回はサービス勉強中の彼への激励も兼ねて訪問する事になった。
 私はこの店を3年前に一度訪れている、その時はやたら店内が暗かったのと(笑)、コンセプトはカジュアル路線ながら、随所に料理人がフランスで学んだ良い要素が見えていた、ただ料理には少し固さも感じられたので、最近店内をリニューアルしたと聞き、この辺がどう変化しているかの期待もあった。

 店のある場所は繁華街から離れていて、周りには飲食店が少ない、東京と違い横断歩道の少ない道路を渡って入店したのは19時過ぎ、G君に挨拶してから案内されたのは「シェフズテーブル」だ、旧店のオープンキッチン部の開口部を塞ぎ、厨房から飛出した形状の作業スペースを作って、若杉料理長がこの場所で仕上げをする、その作業姿が見える「かぶりつき」状態のテーブル席があり(笑)、そこに座る事になった、この店では毎週の様に料理教室が開かれていて、その時にもこのテーブルがメインになるそうだ、他には丸テーブルが2卓と半個室がある。店内は以前と比べるとずっと明るくなった、テーブルクロスは省略し、大阪の「ラ・シーム」等と同様で卓上に直接食器を置くやり方だ。 
 あらかじめ注文していたのは8,400円のメニュー、ここも「出来るだけ北海道産の食材で」とお願いをしていた、

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・「白い恋人」をイメージした(笑)、アンテョビバターを挟んだチーズのサブレ

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・ミニトマトのコンポート

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・ウッフブイエ、ブロッコリー

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・炙り秋刀魚と焼きナスのカルパッチョ仕立て、山ワサビのソース

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・フォアグラのムースとルバーブのコンポート、フローズンメレンゲ

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・噴火湾産松笠鯛と新キャベツ

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・当別産黒豚とレギューム・ア・ラ・グレック

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・黒ゴマのスープとブルターニュ産塩のアイス、和三盆糖のクッキー添え
 (補正のかけ過ぎで白色が跳ねてしまったが、アイスの上は求肥)
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・ミニャルディーズ

 実は正直に言ってしまうと、店内の雰囲気を見て、東京や大阪で増えつつある、北欧料理の外見だけを真似、ディティールに凝ってソースが少ない変化球料理が出て来るのではないかとの危惧もあった、でもその心配は無用だった(笑)。
 若杉料理長は1990年代後半から、パリの伝説的レストラン「ヴィヴァロワ」や「アンフィクレス」等、フランスでは数店で働き、最後はランド地方で長く三ツ星を維持している「ミッシェル・ゲラール」の、魚料理の部門シェフまで担当した、この経歴はやはり料理に反映していると思った、根には確かな技術と伝統継承が感じられ、その上で新しい感覚を取り入れている、そして3年前に比べると、料理も料理長の表情もより柔らかくなったと感じた。

 秋刀魚は「北海道」を感じる皿、フォアグラで一度北欧へ旅立ったが(笑)、キャベツで包んだ鯛でフランスに戻り、肉料理で「ヴィヴァロワ」が出現、デセールでは「和」を感じさせた。
 特に印象深かったのが当別産の豚肉料理、簡単に云うと「衣の無いトンカツ」(笑)だが、素材もいいしコンフィの技法で加熱した調理も的確、そしてガルニとして別皿で出た「レギューム・ア・ラ・グレック(ギリシャ風野菜煮込み)」は、かのヴィヴァロワのスペシャリテで、もう「幻の料理」と思っていただけに、此処で体験できるとはまさに感涙ものだった(笑)。
 今回の食旅行で体験した、道産の羊、鴨、豚は秀逸な食材だが、この料理人も含めて皆特別なスパイスで加味するとか、特殊な調理器具を使う訳でなく、あくまでも正攻法で調理し、それが良い結果に繋がっている、優れた食材と生産者へのリスペクトがあれば変な小細工はしない方がいい、こうして素材の持つ力で勝負すべきだと思う。
 「ヴィヴァロワ」の料理長だったのが、「ヌーヴェル・キュイジーヌの旗手」クロード・ペローで、その下で働いていたのが、現パリ「ランブロワジー」のベルナール・パコー、東京「おはらス」の小原敬、「コートドール」の斉須政雄各氏だが、この優れたエコールの精神を、若杉料理長は受け継いでいると思った。 

 食後は、友人のH君、G君に料理長も交えての食談義、札幌や東京のフランス料理界の現状やススキノの話題まで(笑)、遅くまで盛り上がった。
 夜が更けるのも忘れる様な楽しい一夜でした、皆様ありがとうございました(笑)、また何処かでの再会を願っています。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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