最後の晩餐にはまだ早い


札幌西20丁目「リアン」(2013札幌食べ続け④)

 札幌最終日は何処へ行くか直前まで決まらなかった、以前に行って好印象だった店を再訪する事も考えたが、ここは冒険をして、まだあまり有名ではない若い店をレポートするのも、有名ではないグルメブロガーの使命ではないかと思い(笑)、WEB検索で西18丁目駅周辺を探してみた、私が好きなのは夫婦2人でやっている様な小さな店、特にこの日は一人ランチのため、出来ればカウンター席のある処なら気兼ね無くていい(笑)、この条件にピッタリ合いそうな店があった、それが西20丁目にあるフランス料理「リアン‘lien’」で、例の「食べログ」で見たがなかなか評価もいいし、若い店主はマニア系?レストランとして知られる、小田原「ラ・マティエール」、鹿児島「CAINOYA」の料理人とも交流があるらしい、これは面白そうだと働きかけるものがあり、出発前に東京から電話をかけ昼の席を予約した。

 店の場所は西18丁目駅1番出口から歩いて5分、札幌市医師会館と保健所の近くなので、これは札幌一安全安心なレストランかも知れない(笑)。店の正式な名前は‘cuisine urbaine lien’で、「都会で(人と)繋がる料理」とでも訳すべきか?
 予約時間の12時に入店し、マダムに名前を告げたら「椅子席でもカウンターでもお好きな方を」と云われたが、男性は私一人だけだったのでカウンターを選んだ、この後に女性二人組が入店し、10席ある椅子席は満員になったが、予約したのが私の方が早かったからだろう、一人客ながら先に席の選択をさせるのは立派だと思った、商売優先だとなかなか出来ない事だ。
 カウンター席の前にはル・クルーゼのテリーヌ型が整然と置かれ、その奥の什器もきれいに整頓されていて好印象、これだけで美味しいものが出て来そうな予感がする、やはりカウンター席はこれでないといけない(笑)。

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 ランチメニューは2,500円と4,000円の2種、前者はプリフィクスで後者は「おまかせ」になる、予約時に4,000円の方をお願いしていた、その内容は、

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・毛蟹の蟹味噌和えトマトファルシー、アボガドのクーリー

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・秋刀魚のテリーヌ

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・パテ・ド・カンパーニュ、野菜のマリネ

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・朝採りトウモロコシの冷製スープ

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・アイナメのポワレ、甘海老のソース

・緑茶を使った口直し

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・ラカン産仔鳩とフォアグラのパイ包み焼き

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・巨峰のコンポート、ジュレ、ソルベのグラス

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・ガトーショコラ、洋梨のエピスマリネ、マンゴーのソルベとルバーブのコンフィチュール
・コーヒーとミニャルディーズ

 料理全体の印象は、繊細で盛付けが綺麗、アセゾネ(味付け)も柔らか目で塩がキツクなく私好み(笑)、料理人は小田原のホテル内レストランで働いていたそうだが、何となく判る、宴会料理も相当経験したのだろう、基礎がしっかりしていて見栄えがいい、従来の札幌フレンチのイメージより、東京フレンチに近いと思った。
 特に印象深かったのが魚料理、今回4店中3店で旬の秋刀魚料理が前菜に出て、どれも美味しかったが、特にこの店のテリーヌは良かった。北海道では「アブラコ」と呼ばれるアイナメは、皮目を強くポワレして甘海老の出汁のソースで食べる、この脂の強い白身魚を上手く処理していると思った。肉料理の鳩のパイ包みも丁寧な作りで美味しいが、「パイ包み」自体は過去関西方面で横綱級料理を体験していて(笑)、較べるのは気の毒だが、どうしても較べてしまうと少し迫力には欠けた、でもこれは「知恵の悲しみ」だと思う(笑)。デセールも全て料理人一人で作っているそうで、料理の印象と同じく繊細でいい出来だ。

 サービスはマダム一人で担当する、この方も小田原のホテルで働いていたそうだ、そのためか客との応対は慣れていて、開業後まだ一年半ながら安心して料理が楽しめる。面白いと思ったのがワインリストで、イタリアワインをメインに品揃えをしている、これは「CAINOYA」や「ラ・マティエール」に倣ったそうだ、マティエールの料理人とは小田原のホテルで一緒に働いた先輩後輩の関係になるとの事。
 カウンター席だったので料理人と話しをする事が出来たが、まだ35歳と云う若さ、穏やかな話し方でランチタイムでも客の見送りは欠かさない。「CAINOYA」や「ラ・マティエール」の料理人との交流から、てっきり「テクノ系料理人」なのかなと思ったが、意外にも店の調理器具はレンジと前開きオーブンだけだそうだ、そこで「ガストロパック(調理器具)等、厨房に新しい機械を入れて料理するのはどう思いますか?」と、少し意地悪な質問をしてみた(笑)、それに対しては「興味はあるが、自分はまず料理を覚えないといけない段階、当面は今の料理を続けて、もう少し年を取って楽をしたくなったら(導入を)考えるかも知れない」と苦笑しながら答えてくれた、私はこれを聞いて「この料理人は信用出来る」と思った(笑)。

 此処はこれから楽しみな店だ、いい客が付けばもっと伸びると思う、可能なら来年再訪問してどのくらい店が成長しているか、確認してみたいものだ。
 退店時には、身長差のある(笑)木下夫妻揃っての見送りを受けた、これで満ち足りた気分のまま東京に帰れそうだ。

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 3泊4日の札幌フレンチ食べ続け、去年にも増して実に楽しかった、ご一緒出来た皆様ありがとうございました。
 北海道の食材は素晴らしいと思う、特に畜産は生産者の熱意を感じる事が出来た、そしてそれを提供する料理人も負けずに熱意がある、「今時、こんな事やっていたら儲からないだろう」と心配してしまうのだが、自分が料理する事で客に楽しんでもらうのを何よりの喜びと感じる人達なのだろう、損得抜きで人間に裏表がなく、料理に真摯で食材へのリスペクトがある、少なくとも今回私が訪れた店は何処もそうだった。
 食旅行の結論として、「今、変化球でない直球のフランス料理を、適正価格で食べたかったら、迷わず札幌へ行きなさい」と力説したい(笑)、LCCなら成田から往復一万円で行けます。
 次回のブログはそのLCCについて書く事にしたい。

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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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